JP4983126B2 - ズームレンズ及びプロジェクタ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主にDMDなどの光の反射方向を変えて画像を形成するライトバルブからの画像をスクリーンその他に拡大投射するレンズ口径が小さくコンパクトなズームレンズに関するものである。
近年、微小なマイクロミラー(鏡面素子)を画素に対応させて平面上に並べ、マイクロマシン技術を用いて、それぞれの鏡面の角度を機械的に制御することによって画像を表示するDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)が実用化されており、この分野で従来から広く用いられてきた液晶パネルより応答速度が速く、明るい画像が得られるという特徴が、小型で高輝度、高画質であり携帯可能としたプロジェクタ装置を実現するのに適していることから、急速に普及してきている。
プロジェクタ装置においてライトバルブとしてDMDを用いる場合、同時に使用する投射用レンズに対してはDMD特有の制約が発生する。第1の制約は小型のプロジェクタ装置を開発する上で最大の制約とも考えられる投射用レンズのF値に関するものである。現在、DMDにおいて、画像を生成する際にマイクロミラーのON及びOFFを表現するために旋回する角度は±12°であり、これにより有効な反射光(有効光)と無効な反射光(無効光)とを切り替えている。従って、DMDをライトバルブとしたプロジェクタ装置においては有効光をとらえる必要があると共に無効光を捉えないことが条件となり、この条件から投射用レンズのF値を導くことが出来、すなわちF=2.4となる。実際にはさらに少しでも光量を取り込みたいという要望があるため、実害のない範囲でのコントラストの低下などに配慮した上で更なる小さなF値を要求されることも多い。また、この様な条件は投射用レンズのライトバルブ側の瞳の位置が一定という条件のもとで成立しているため、ズームレンズなどの瞳位置が移動する場合は、移動した分、光量のロスなどが生ずるため、一般的には明るさが問題となりやすい広角端で瞳位置を最適化するなどの配慮も必要となる。第2の制約は光源系との配置に関するものである。小型化の為には投射用レンズのイメージサークルはなるべく小さくしたい為に、DMDに投射用の光束を入力する光源系の配置は限られてしまう。前述のDMDからの有効光を投射用レンズに入力するには、光源系を投射用レンズとほぼ同じ方向(隣り合わせ)に設置することとなる。また投射用レンズの最もライトバルブ側レンズとライトバルブとの間(すなわち一般的にはバックフォーカス)を投射系と光源系との両光学系で使用することになり、投射用レンズには大きなバックフォーカスを設けなければならないと同時に、光源からの導光スペースを確保するために、ライトバルブ側のレンズ系を小さく設計する必要が生ずる。このことは投射用レンズの光学設計の立場から考えると、投射用レンズの後方付近にライトバルブ側の瞳位置が来るように設計するという制約となる。その一方で、投射用レンズの性能を向上するためには、多数のレンズを組み合わせる必要があり、多数枚のレンズを配置すると投射用レンズの全長は有る程度の長さが必要となり、投射用レンズの全長が長くなれば、入射瞳位置が後方にあるレンズでは当然のことながら前方のレンズ径が大きくなってしまうという小型化とは相反する問題となる。
この様に、開発を行う上の大きな制約はあるものの、ライトバルブとしてDMDを採用するプロジェクタ装置は、小型化の上で他の方式よりも有利とされており、現在ではプレゼンテーションを行う際に便利なデータプロジェクタを中心として、携帯可能なコンパクトなものが広く普及してきている。また装置自体をコンパクトに構成するためには、当然のことながら使用される投射用レンズに関しても、コンパクト化の要望は非常に強く、もう一方では、多機能化という要望もあり、諸収差の補正の結果としての画質に関する性能が使用するDMDの仕様を充分満足することはもちろんのこと、利便性の点ではズーム構成による変倍が可能というだけではなく、DMDの中心と投射レンズの光軸をずらした、いわゆるシフト構成を採用するためにイメージサークルが大きいものを要求するようになりレンズのその広角端の画角の大きいもの、さらに変倍比も大きい物が要求されるようになってきた。このような仕様で開発された投射用レンズは特に前群レンズの口径が要望よりどうしても大きくなりがちで、プロジェクタ装置の厚さ寸法に大きな影響を及ぼすことになる。しかしながら、携帯可能であることを前提としたプロジェクタ装置において厚さ寸法を小さくすることは重要で、ノート型パーソナルコンピュータなどと共に持ち歩くことの多い使われ方をするプロジェクタ装置では、最も重要な要素であるとも言える。この問題を解決する手段として、例えば特開2004−271668号公報(特許文献1)に開示されているような投射用レンズのコンパクト化設計方法の一例があるが、この例では0.7インチDMDを使用した場合の前玉有効径は39mmから42mmとなり、少なくともプロジェクタ装置の厚さを50mm以下にすることは出来ない。この厚みは、実際にノート型パーソナルコンピュータなどと共に携帯してみるとまだまだ厚さに不満を感じざるを得ない。
特開2004−271668号公報
本発明は、前述した事情に鑑み、DMDなどの光の反射方向を変えて画像を形成するライトバルブの特性に適しており、ライトバルブからの画像をスクリーン上或いはその他の壁面等に拡大投射する用途において結像性能が高く、さらにレンズ口径が小さくコンパクトなズームレンズを実現し、コンパクトで明るく、小さな会議室等の限られたスペースでも大きな画面を投射可能な高画質で携帯に便利な薄型のプロジェクタ装置を提供することを目的としている。
拡大側から順に、全体で負の屈折力を有する第1レンズ群、全体で正の屈折力を有する第2レンズ群及び全体で正の屈折力を有する第3レンズ群から構成され、前記第3レンズ群は変倍動作中固定されており、前記第1レンズ群は広角端から中間域までは拡大側から縮小側方向へ、また中間域から望遠端にかけては縮小側から拡大側方向へ光軸上を移動し、前記第2レンズ群は広角端から望遠端にかけて縮小側から拡大側方向へ光軸上を移動することによってレンズ全系の変倍を成しており、前記第1レンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(1)を満足しており、前記第2レンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(2)を満足しており、広角端における前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の位置関係に関して下記条件式(3)を満足し、前記第1レンズ群は、拡大側から順に第1aレンズ群及び第1bレンズ群を配して構成され、前記第1aレンズ群は、拡大側から順に、拡大側に凸のメニスカス形状で負の屈折力を有するレンズ(以下負レンズ)、負レンズ及び正の屈折力を有するレンズ(以下正レンズ)を配して構成され、前記第1bレンズ群は、最も拡大側の屈折面が縮小側に向いた強い凹面であり、最も縮小側の屈折面が縮小側に向いた凸面であって1枚乃至3枚のレンズを配して構成され、前記第1aレンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(4)を満足し、前記第1bレンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(5)を満足し、前記第1レンズ群の光軸上の寸法に関して下記条件式(6)を満足していることを特徴とする
(1) −1.4 < fw/fI < −0.55
(2) 0.35 < fw/fII < 0.6
(3) 1.7 < dwII/fw
(4) −1.1 < f w /f Ia < −0.2
(5) −0.4 < f w /f Ib < 0
(6) 1.3 < T I /f w < 2.4
ただし、
w :広角端におけるレンズ全系の合成焦点距離
(第1レンズ群の最も拡大側面からの拡大側物体距離1700mmに合焦状態)
I :第1レンズ群の合成焦点距離
II :第2レンズ群の合成焦点距離
wII :広角端における第2レンズ群と第3レンズ群の間の空気間隔
Ia :第1レンズ群を構成する第1aレンズ群の合成焦点距離
Ib :第1レンズ群を構成する第1bレンズ群の合成焦点距離
I :第1レンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面と第1レンズ群で最も縮小側に配置されるレンズの縮小側面の光軸上の距離
条件式(1)は、全体として負の屈折力を有する第1レンズ群へのパワーの適切な配分に関する条件である。光学系全体の大きさと諸収差を適切に補正するための条件のバランスをとるための必要条件となる。またDMD等のライトバルブを照明するための光学系を配する為の空間を第2レンズ群と第3レンズ群の間の空気間隔部分にとらなければならず、この空間を確保する上でも重要な意味を持つ制約である。そのため下限を越えると、第1レンズ群の有する負の合成パワーが大きいことになり、これに伴い第2レンズ群、第3レンズ群等の正のパワーを強めなければならず、諸収差のバランスを取るのが困難となり性能が悪化する。逆に上限を越えると、第2レンズ群との空気間隔を大きくとらなければならず、光学系全体の大きさが大きくなり小型化の目的と相反するか、あるいは第2レンズ群と第3レンズ群の間の空気間隔部分が確保出来なくなる。条件式(2)は、光軸方向に移動することでレンズ全系の変倍を司る強い正パワーを持つ第2レンズ群に関するものである。上限を超えて正パワーが大きくなると第2レンズ群の変倍に関する移動量は小さくて済むことになるが、他の各レンズ群とのバランスが崩れ性能が低下し、下限を超えると収差的には有利だが、移動量が大きくなり小型化を損ねてしまう。また、条件式(3)は、第2レンズ群、第3レンズ群の広角端における間隔条件である。ライトバルブの照明系のスペースの為、この間隔を確保することが必要となる。従って下限を超えると照明系のスペースが不足しプロジェクタ装置として設計困難となる。
条件式(4)及び条件式(5)は、照明系を配置する為のスペースすなわち第2レンズ群と第3レンズ群の間で通常では長いバックフォーカスに相当する部分を良好な性能と小型化という相反する条件のもとで確保する為のものである。この為には第1レンズ群は強い負のパワーを有することが必須となるが、それを条件式(4)、条件式(5)で示されるように配分する。各々の条件式の表現する内容としては条件式(4)では、第1aレンズ群の負のパワーに関するものである。第2レンズ群と第3レンズ群の間のバックフォーカスに相当する部分を長くするためには、特に第1aレンズ群の負パワーを増大することが有効で、上限、下限を超えると第1bレンズ群または第1aレンズ群の負パワーが過大になり良好な性能が得られない。同様に条件式()では、第1bレンズ群の負パワーに関するものであるが、一般的には第1aレンズ群の負パワーよりも小さいことが有利である。上限、下限を超えると各々第1aレンズ群または第1bレンズ群の負パワーが過大になり良好な性能が得られない。続く条件式(6)は、小型化、特に前玉近傍のレンズの小口径化の為に効果的な条件を示している。第1レンズ群の強い負パワーにより第1レンズ群射出後の光束は大きく発散しており、従ってレンズ径も大口径化しやすい。これを条件式(6)のように第1レンズ群の厚さを大きくとることによって防ぐものである。また、第1レンズ群の負パワーを分散するために、レンズ枚数も増加することが必要で、必然的に第1レンズ群はある程度長くならざるを得ない。下限を超えると小口径化は難しく、上限を超えると光軸方向の寸法が大きく成り過ぎて仕様を満足することが難しくなると共にレンズ枚数の増加にともない重量が増えて小型化の意味がなくなる。
また、前記第1aレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの縮小側面の形状に関して下記条件式(7)を満足しており、前記第1aレンズ群を構成する各レンズに使用される硝材の屈折率の特性に関して下記条件式(8)を満足しており、前記第1aレンズ群を構成する各レンズに使用される硝材の分散特性に関して下記条件式(9)を満足しており、また前記第1bレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の形状に関して下記条件式(10)を満足していることが好ましい
(7) 0.8 < fw/rIa2 < 1.6
(8) 1.68 < NIa
(9) 8 < VIaP−VIaN
(10) −1.5 < fw/rIb1 < −0.9
ただし、
Ia2 :第1aレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
Ib1 :第1bレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
Ia :第1aレンズ群を構成する各レンズのd線に対する屈折率の平均値
IaP :第1aレンズ群を構成する各正レンズのアッベ数の平均値
IaN :第1aレンズ群を構成する各負レンズのアッベ数の平均値
条件式(7)は、前記第1aレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの縮小側の形状に関するもので、強いパワーを持たせながら、拡大側の光束に対し概ね同心的形状とし、根本的に収差の発生を抑えた形状としている。したがって上限を超えると、球面収差、コマ収差が補正過剰となり、下限を超えると逆に補正不足となる。条件式(8)は、特に強い負パワーを有する第1aレンズ群の屈折率の特徴に関するものである。強い負パワーを獲得することによる曲率の強さを軽減する為、高屈折率であることが必須で、条件式において下限を超えると曲率過大の面となることによる球面収差、コマ収差が過大となり、またペッツバール和も小さくなりすぎてしまい、良好な性能を得ることができない。条件式(9)は、第1レンズ群において基本となる色消し条件であり、色収差補正を良好に維持するための条件式である。負の強いパワーを有する第1レンズ群の中で大きな負パワーを分担している前記第1aレンズ群に使用される硝材の分散特性のバランスを表現しており、これにより群内部で発生している基本的な色収差を小さく抑えておくことが重要である。これらのレンズの硝材選択を条件式(9)の条件のもとでおこなうことにより、適切なパワー配分を実現することが出来、色収差の良好な補正が可能となる。下限を越えると色収差補正のために各レンズのパワーが過大となり、諸収差が悪化する。条件式(10)は、第1レンズ群における球面収差、コマ収差補正と前玉近傍に配置されるレンズの大きさに影響を及ぼすものである。本ズームレンズの仕様は、広角端での画角が広角であると同時に前玉径を小さく設計することを要求している。通常この2つの条件は、相反する性格の条件である。各収差補正を満足すると同時に前玉径を小さくするためには、像高の大きい像点に対応する光線束を前玉近傍においてより光線高の低い位置を通すことが必要である。このことを第1レンズ群内で顕著な形で実践しているのが第1bレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズである。このレンズに与えられているパワーは比較的小さいものの、縮小側に大きく凸となるメニスカス形状となることにより、その目的を達成している。その一方で、第1レンズ群内の球面収差、コマ収差補正とのバランスを取る必要もあり、下限を超えると、すなわち曲率半径が小さ過ぎる場合であるが、このときは球面収差、コマ収差の補正に関する自由度が不足することとなり、上限を超えると前玉径をより大きくして対応しなければならなくなり与えられた小型化の目標を達成出来なくなる。
また、第1aレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズに関して、少なくとも拡大側面が非球面形状であり、設定されるパワーに関して下記条件式(11)を満足し、前記第1aレンズ群の拡大側より2番目に配置されるレンズの拡大側面の形状に関して下記条件式(12)を満足していることが好ましい
(11) −0.8 < fw/fIa1 < −0.45
(12) −0.5 < fw/rIa3 < 0
ただし、
Ia1 :第1aレンズ群を構成する最も拡大側に配置されるレンズの焦点距離
Ia3 :第1aレンズ群を構成する拡大側より2番目に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
条件式(11)は、第1aレンズ群を構成する最も拡大側に配置されるレンズに設定されるパワーに関するもので、軸外収差に大きな影響を及ぼす。上限を超えると負のパワーが小さくなり過ぎ、軸外収差の補正に対して十分な対応がとれず、また下限を超えると負のパワーが過大となり、色収差をはじめとする諸収差が劣化する。続く条件式(12)は、第1aレンズ群を構成する拡大側より2番目に配置されるレンズの拡大側面の形状に関するものであり、条件式(7)及び条件式(11)と共に前玉近傍に関しての軸外収差のバランスを維持するための条件である。上限を超えると、この面の曲率半径が大きくなり、下限を超えると逆に曲率が大きくなり、いづれにしても、軸外収差である倍率の色収差、歪曲補正が困難となる。
また、前記第2レンズ群は、拡大側から順に第2aレンズ群、第2bレンズ群及び第2cレンズ群を配して構成され、前記第2aレンズ群は、全体で正の屈折力を有し、1枚乃至2枚の正レンズを配して構成され、前記第2bレンズ群は、全体で負の屈折力を有し、1枚の負レンズで構成されるか、または負レンズ及び正レンズを各1枚ずつ配して構成され、前記第2cレンズ群は、全体で正の屈折力を有し、正レンズを2枚と負レンズを1枚配して構成され、前記第2aレンズ群、前記第2bレンズ群及び前記第2cレンズ群に設定されるパワーに関して、それぞれ下記条件式(13)、下記条件式(14)及び下記条件式(15)を満足し、また前記第2レンズ群を構成する各正レンズに使用される硝材の屈折率の特性に関して下記条件式(16)を満足していることが好ましい
(13) 0.35 < fw/fIIa < 0.8
(14) −0.62 < fw/fIIb < −0.25
(15) 0.17 <fw/fIIc < 0.55
(16) NIIP < 1.65
ただし、
IIa :第2レンズ群を構成する第2aレンズ群の合成焦点距離
IIb :第2レンズ群を構成する第2bレンズ群の合成焦点距離
IIc :第2レンズ群を構成する第2cレンズ群の合成焦点距離
IIP :第2レンズ群を構成する各正レンズのd線に対する屈折率の平均値
条件式(13)は、第2レンズ群の拡大側に配置され、強い正パワーを有する第2aレンズ群に関するものであり、正レンズ1枚かまたは2枚で構成される。第1レンズ群から第2レンズ群にかけての発散する光線束を集束するための大きな正パワーの付与と、適切に諸収差を補正するための条件となる。上限を超えると、正パワーが過大となり、下限を超えると逆に集束するための正パワーが不足となるが、いずれにしても球面収差、色収差に大きな悪影響を及ぼすこととなる。条件式(14)は、負の第2bレンズ群のパワーに関するもので、正の第2aレンズ群及び第2cレンズ群のパワーと組合わせて配置することは、色収差や、像面湾曲等の収差を基本的に小さく抑え込むために重要である。上限を超えると、色補正の為、第2aレンズ群、第2cレンズ群の群パワーも小さくなり、ペッツバール和が小さく出来ない。下限を超えると、逆に、強い正パワー、負パワーの組み合わせになるので、高次の球面収差、コマ収差が過大となる。また、条件式(15)は、第2cレンズ群のパワーを規定するものである。第2レンズ群の正パワーを条件式(13)及び条件式(15)のように適切に分配することで、良好な性能が得られる。上限を超えると第2cレンズ群のパワーが過大となり、下限を超えると第2aレンズ群のパワーが過大となり、共に良好な性能を得ることができない。一方、条件式(16)は、構成要素における正レンズの屈折率に関するもので、像面湾曲補正に必要となる条件である。小型化の為、負の第1レンズ群は強いパワーをもち、これによりペッツバール和は過小となりやすい。条件式(16)により第2レンズ群を構成する正レンズの屈折率を低く抑えることによって、これにバランスし補正する。従って、上限を超えると像面湾曲の補正過剰となる。
また、前記第2aレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の形状に関して下記条件式(17)を満足しており、前記第2aレンズ群を構成する各レンズに使用される硝材の分散特性に関して下記条件式(18)を満足していることが好ましい
(17) 0.45 < fw/rIIa1 < 0.9
(18) 60 < VIIa
ただし、
IIa1:第2aレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
IIa :第2aレンズ群を構成する各レンズのアッベ数の平均値
条件式(17)は、球面収差をバランス良く補正するための条件式である。すなわち第2aレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の形状は、第1レンズ群を射出する発散する光線束を集束する状態へと導くための強い正パワーを有する形状を与えられていて、その結果大きなアンダーの球面収差を発生している。これに対応して後述するように第2bレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面にて、大きなオーバーの球面収差を発生してバランスしている相対的な構造となっている。したがって、条件式(17)の上限を超えるとアンダーの球面収差が大きくなり、下限を超えるとオーバーの球面収差が大きくなる。条件式(18)は、色収差補正条件である。第2aレンズ群は、前述のように強い正パワーを有しているため、色収差への影響も大きい。従って、条件式(18)のように、アッベ数の大きい(分散の小さい)材料を用いることが必須となる。下限を超えると、第2aレンズ群における短波長に対する色収差が大きくアンダーとなり補正困難となる。
また、前記第2bレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の形状に関して下記条件式(19)を満足していることが好ましい
(19) −0.7 < fw/rIIb1 < −0.25
ただし、
IIb1:第2bレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
条件式(19)は、前述のように条件式(17)と相俟って、球面収差をバランス良く補正するための条件式である。前述のような相対的の構造であり、条件式(19)において下限を超えるとオーバーの球面収差が大きくなり、逆に上限を超えるとアンダーの球面収差が大きくなる。
また、前記第2cレンズ群で最も縮小側に配置されるレンズの縮小側面の形状に関して下記条件式(20)を満足しており、前記第2cレンズ群を構成する各レンズに使用される硝材の分散特性に関して下記条件式(21)を満足していることが好ましい
(20) −0.65 < fw/rIIc5 < −0.25
(21) 15 < VIIcP−VIIcN
ただし、
IIc5:第2cレンズ群で最も縮小側に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
IIcP:第2cレンズ群を構成する各正レンズのアッベ数の平均値
IIcN:第2cレンズ群を構成する各負レンズのアッベ数の平均値
条件式(20)はレンズ全系における球面収差をきめ細かく補正するための条件式である。球面収差の補正に関して支配的であった前述の第2aレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面、及び第2bレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の形状でも補正しきれずに残存する球面収差を補正している。上限を超えると補正不足となり、逆に下限を超えると補正過剰となる。条件式(21)は、第2cレンズ群における色補正条件である。単色収差を補正するには、各レンズのパワーが過大とならないことが必要で、そのためには条件式(21)を満たす正レンズ、負レンズのアッベ数であることが必要な条件となる。下限を超えると、色収差の補正が困難となる。
また、前記第2cレンズ群は、負レンズと正レンズの少なくとも2枚の接合による部分系構成要素を含んで成っており、接合される各レンズに使用される硝材の屈折率に関する特性において下記条件式(22)を満足しており、同様に接合される各レンズに使用される硝材の分散特性に関して下記条件式(23)を満足していることが好ましい
(22) 0.25 < NIIcCN−NIIcCP
(23) 8 < VIIcCP−VIIcCN
ただし、
IIcCP:第2cレンズ群の接合部分系に配置される正レンズのd線に対する屈折率の平均値
IIcCN:第2cレンズ群の接合部分系に配置される負レンズのd線に対する屈折率の平均値
IIcCP:第2cレンズ群の接合部分系に配置される正レンズのアッベ数の平均値
IIcCN:第2cレンズ群の接合部分系に配置される負レンズのアッベ数の平均値
第2cレンズ群の接合部分系の配置方法に関しては、正レンズ1枚を分離して配置する場合拡大側に置く配置方法と縮小側に置く配置方法がある。いずれの場合でも接合レンズに屈折率差を与え、接合面での球面収差の補正能力を維持しつつ像面湾曲補正の効果をも期待している。条件式(22)で下限を超えると、像面湾曲補正過剰および球面収差補正不足となる。また条件式(23)は、レンズ全系における色収差補正に関しての条件式となっており、下限を超えると特に倍率の色収差が大きくなる。
また、前記第3レンズ群は、正レンズ1枚を配して構成され、前記第3レンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(24)を満足していることが好ましい
(24) fw/fIII < 0.35
ただし、
III :第3レンズ群の合成焦点距離
DMDからの光線束を効率良くスクリーン面に結像させるためには、照明光学系の特性に合わせて第3レンズ群とDMD間の光線束の主光線角度を設定しなければならないが、多くの場合、ほぼテレセントリックに設定されることが多い。この間でのテレセントリック性の確保のためには、第2レンズ群の縮小側光線束に対する瞳の近傍に第3レンズ群の焦点位置が来ることが必要となり、条件式(24)の範囲で第3レンズ群のパワーを与えることにより目的を達成することが可能となる。従って上限を超えても、下限を超えても、瞳のマッチングがとれず周辺光量の低下、または諸収差が悪化する。
また、拡大側から順に、全体で負の屈折力を有する第1レンズ群、全体で正の屈折力を有する第2レンズ群及び全体で正の屈折力を有する第3レンズ群から構成され、前記第3レンズ群は変倍動作中固定されており、前記第1レンズ群は広角端から中間域までは拡大側から縮小側方向へ、また中間域から望遠端にかけては縮小側から拡大側方向へ光軸上を移動し、前記第2レンズ群は広角端から望遠端にかけて縮小側から拡大側方向へ光軸上を移動することによってレンズ全系の変倍を成しており、前記第1レンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(25)を満足しており、前記第2レンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(26)を満足しており、広角端における前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の位置関係に関して下記条件式(27)を満足していることを特徴とする。
(25) −1.4 < f w /f I < −0.55
(26) 0.35 < f w /f II < 0.6
(27) 2.13 ≦ d wII /f w
ただし、
w :広角端におけるレンズ全系の合成焦点距離
(第1レンズ群の最も拡大側面からの拡大側物体距離1700mmに合焦状態)
I :第1レンズ群の合成焦点距離
II :第2レンズ群の合成焦点距離
wII :広角端における第2レンズ群と第3レンズ群の間の空気間隔
このように本発明によるズームレンズをプロジェクタ装置に搭載することにより装置全体を小型化することが可能となり携帯にも便利な薄型のプロジェクタ装置を提供することが出来る。

本発明によれば、DMDなどのライトバルブの特性に適した結像性能が高くコンパクトなズームレンズを実現し、コンパクトで明るく、高画質のプロジェクタを提供することが出来る。
以下、具体的な数値実施例について、本発明を説明する。以下の実施例1から実施例7のズームレンズでは拡大側から順に、全体で負の屈折力を有する第1レンズ群LG1、全体で正の屈折力を有する第2レンズ群LG2及び全体で正の屈折力を有する第3レンズ群LG3から構成され、前記第1レンズ群LG1は、拡大側から順に第1aレンズ群LG1a及び第1bレンズ群LG1bを配して構成され、前記第1aレンズ群LG1aは、拡大側から順に、拡大側に凸のメニスカス形状の負レンズ(レンズ名称L111、拡大側面111、縮小側面112)、負レンズ(レンズ名称L112、拡大側面113、縮小側面114)及び正レンズ(レンズ名称L113、接合の場合は拡大側面114、縮小側面115)を配して構成され、続く前記第1bレンズ群LG1bは、最も拡大側の屈折面が縮小側に向いた強い凹面であり、最も縮小側の屈折面が縮小側に向いた凸面であって1枚乃至3枚のレンズを配して構成され(レンズ名称を拡大側より順にL121、L122‥‥、面の名称を拡大側から順に121、122‥‥とする)、前記第2レンズ群LG2は、拡大側から順に第2aレンズ群LG2a、第2bレンズ群LG2b及び第2cレンズ群LG2cを配して構成され、前記第2aレンズ群LG2aは、全体で正の屈折力を有し、1枚乃至2枚の正レンズを配して構成され(レンズ名称を拡大側より順にL211、L222、面の名称を拡大側から順に211、212、213、214とする)、前記第2bレンズ群LG2bは、全体で負の屈折力を有し、1枚の負レンズで構成されるか、または負レンズ及び正レンズを各1枚ずつ配して構成され(レンズ名称を拡大側より順にL221、L222、面の名称を拡大側から順に221、222‥‥とする)、前記第2cレンズ群LG2cは、全体で正の屈折力を有し、正レンズを2枚と負レンズを1枚配して構成され(レンズ名称を拡大側より順にL231、L232‥‥、面の名称を拡大側から順に231、232‥‥とする)、前記第3レンズ群LG3は、正レンズ1枚を配して構成される(レンズ名称をL301、拡大側面の名称を301、縮小側面の名称を302とする)。また、前記第3レンズ群LG3の縮小側とライトバルブ面との間には僅かな空気間隔をおいてDMD等のライトバルブの構成部品であるカバーガラスCG(拡大側面をC01、縮小側面をC02)が配されている。前記第1レンズ群LG1を構成する前記第1aレンズ群LG1a及び前記第1bレンズ群LG1bは前記第1レンズ群LG1に固定されており、前記第2レンズ群LG2を構成する前記第2aレンズ群LG2a、前記第2bレンズ群LG2b及び前記第2cレンズ群LG2cは前記第2レンズ群LG2に固定されている。変倍動作としては、前記第3レンズ群LG3は変倍動作中固定されており、前記第1レンズ群LG1は広角端から中間域までは拡大側から縮小側方向へ、また中間域から望遠端にかけては縮小側から拡大側方向へ光軸上を移動し、前記第2レンズ群LG2は広角端から望遠端にかけて縮小側から拡大側方向へ光軸上を移動することによってレンズ全系の変倍を成している。
各実施例において使用している非球面については、周知のごとく、光軸方向にZ軸、光軸と直交する方向にY軸をとるとき、非球面式:
Z=(Y2 /r)/〔1+√{1−(1+K)(Y/r)2 }〕
+A・Y4 +B・Y6 +C・Y8 +D・Y10+‥‥
で与えられる曲線を光軸の回りに回転して得られる曲面で、近軸曲率半径:r、円錐定数:K、高次の非球面係数:A、B、C、D‥‥を与えて形状を定義する。尚表中の円錐定数及び高次の非球面係数の表記において「Eとそれに続く数字」は「10の累乗」を表している。例えば、「E−4」は10-4を意味し、この数値を直前の数値に掛ければ良い。
[実施例1]
本発明のズームレンズの第1実施例について数値例を表1に示す。また図1は、そのレンズ構成図、図2はその諸収差図である。表及び図面中、fはズームレンズ全系の焦点距離、FnoはFナンバー、2ωはズームレンズの全画角を表す。また、rは曲率半径、dはレンズ厚またはレンズ間隔、nd はd線に対する屈折率、νd はd線のアッベ数を示す(ただし、表中の合焦動作により変化する数値は111面からの物体距離を1700mmとした合焦状態での数値)。諸収差図中の球面収差図におけるCA1、CA2、CA3はそれぞれCA1=550.0nm、CA2=435.8nm、CA3=640.0nmの波長における収差曲線であり、S.C.は正弦条件である。非点収差図におけるSはサジタル、Mはメリディオナルを示している。また、全般に亘り特別に記載のない限り、諸値の計算に使用している波長はCA1=550.0nmである。
Figure 0004983126
[実施例2]
本発明のズームレンズの第2実施例について数値例を表2に示す。また図3は、そのレンズ構成図、図4はその諸収差図である。
Figure 0004983126
[実施例3]
本発明のズームレンズの第3実施例について数値例を表3に示す。また図5は、そのレンズ構成図、図6はその諸収差図である。
Figure 0004983126
[実施例4]
本発明のズームレンズの第4実施例について数値例を表4に示す。また図7は、そのレンズ構成図、図8はその諸収差図である。
Figure 0004983126
[実施例5]
本発明のズームレンズの第5実施例について数値例を表5に示す。また図9は、そのレンズ構成図、図10はその諸収差図である。
Figure 0004983126
[実施例6]
本発明のズームレンズの第6実施例について数値例を表6に示す。また図11は、そのレンズ構成図、図12はその諸収差図である。
Figure 0004983126
[実施例7]
本発明のズームレンズの第7実施例について数値例を表7に示す。また図13は、そのレンズ構成図、図14はその諸収差図である。
Figure 0004983126
次に第1実施例から第7実施例に関して条件式(1)から条件式(24)に対応する値を、まとめて表8に示す。
Figure 0004983126
表8から明らかなように、第1実施例から第7実施例の各実施例に関する数値は条件式(1)から(24)を満足しているとともに、各実施例における収差図からも明らかなように、各収差とも良好に補正されている。
本発明によるズームレンズの第1実施例のレンズ構成図 第1実施例のレンズの諸収差図 本発明によるズームレンズの第2実施例のレンズ構成図 第2実施例のレンズの諸収差図 本発明によるズームレンズの第3実施例のレンズ構成図 第3実施例のレンズの諸収差図 本発明によるズームレンズの第4実施例のレンズ構成図 第4実施例のレンズの諸収差図 本発明によるズームレンズの第5実施例のレンズ構成図 第5実施例のレンズの諸収差図 本発明によるズームレンズの第6実施例のレンズ構成図 第6実施例のレンズの諸収差図 本発明によるズームレンズの第7実施例のレンズ構成図 第7実施例のレンズの諸収差図

Claims (11)

  1. 拡大側から順に、全体で負の屈折力を有する第1レンズ群、全体で正の屈折力を有する第2レンズ群及び全体で正の屈折力を有する第3レンズ群から構成され、前記第3レンズ群は変倍動作中固定されており、前記第1レンズ群は広角端から中間域までは拡大側から縮小側方向へ、また中間域から望遠端にかけては縮小側から拡大側方向へ光軸上を移動し、前記第2レンズ群は広角端から望遠端にかけて縮小側から拡大側方向へ光軸上を移動することによってレンズ全系の変倍を成しており、前記第1レンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(1)を満足しており、前記第2レンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(2)を満足しており、広角端における前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の位置関係に関して下記条件式(3)を満足し、前記第1レンズ群は、拡大側から順に第1aレンズ群及び第1bレンズ群を配して構成され、前記第1aレンズ群は、拡大側から順に、拡大側に凸のメニスカス形状で負の屈折力を有するレンズ(以下負レンズ)、負レンズ及び正の屈折力を有するレンズ(以下正レンズ)を配して構成され、前記第1bレンズ群は、最も拡大側の屈折面が縮小側に向いた強い凹面であり、最も縮小側の屈折面が縮小側に向いた凸面であって1枚乃至3枚のレンズを配して構成され、前記第1aレンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(4)を満足し、前記第1bレンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(5)を満足し、前記第1レンズ群の光軸上の寸法に関して下記条件式(6)を満足していることを特徴とするズームレンズ。
    (1) −1.4 < fw/fI < −0.55
    (2) 0.35 < fw/fII < 0.6
    (3) 1.7 < dwII/fw
    (4) −1.1 < f w /f Ia < −0.2
    (5) −0.4 < f w /f Ib < 0
    (6) 1.3 < T I /f w < 2.4
    ただし、
    w :広角端におけるレンズ全系の合成焦点距離
    (第1レンズ群の最も拡大側面からの拡大側物体距離1700mmに合焦状態)
    I :第1レンズ群の合成焦点距離
    II :第2レンズ群の合成焦点距離
    wII :広角端における第2レンズ群と第3レンズ群の間の空気間隔
    Ia :第1レンズ群を構成する第1aレンズ群の合成焦点距離
    Ib :第1レンズ群を構成する第1bレンズ群の合成焦点距離
    I :第1レンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面と第1レンズ群で最も縮小側に配置されるレンズの縮小側面の光軸上の距離
  2. 前記第1aレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの縮小側面の形状に関して下記条件式(7)を満足しており、前記第1aレンズ群を構成する各レンズに使用される硝材の屈折率の特性に関して下記条件式(8)を満足しており、前記第1aレンズ群を構成する各レンズに使用される硝材の分散特性に関して下記条件式(9)を満足しており、また前記第1bレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の形状に関して下記条件式(10)を満足していることを特徴とする請求項記載のズームレンズ。
    (7) 0.8 < fw/rIa2 < 1.6
    (8) 1.68 < NIa
    (9) 8 < VIaP−VIaN
    (10) −1.5 < fw/rIb1 < −0.9
    ただし、
    Ia2 :第1aレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
    Ib1 :第1bレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
    Ia :第1aレンズ群を構成する各レンズのd線に対する屈折率の平均値
    IaP :第1aレンズ群を構成する各正レンズのアッベ数の平均値
    IaN :第1aレンズ群を構成する各負レンズのアッベ数の平均値
  3. 第1aレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズに関して、少なくとも拡大側面が非球面形状であり、設定されるパワーに関して下記条件式(11)を満足し、前記第1aレンズ群の拡大側より2番目に配置されるレンズの拡大側面の形状に関して下記条件式(12)を満足していることを特徴とする請求項記載のズームレンズ。
    (11) −0.8 < fw/fIa1 < −0.45
    (12) −0.5 < fw/rIa3 < 0
    ただし、
    Ia1 :第1aレンズ群を構成する最も拡大側に配置されるレンズの焦点距離
    Ia3 :第1aレンズ群を構成する拡大側より2番目に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
  4. 前記第2レンズ群は、拡大側から順に第2aレンズ群、第2bレンズ群及び第2cレンズ群を配して構成され、前記第2aレンズ群は、全体で正の屈折力を有し、1枚乃至2枚の正レンズを配して構成され、前記第2bレンズ群は、全体で負の屈折力を有し、1枚の負レンズで構成されるか、または負レンズ及び正レンズを各1枚ずつ配して構成され、前記第2cレンズ群は、全体で正の屈折力を有し、正レンズを2枚と負レンズを1枚配して構成され、前記第2aレンズ群、前記第2bレンズ群及び前記第2cレンズ群に設定されるパワーに関して、それぞれ下記条件式(13)、下記条件式(14)及び下記条件式(15)を満足し、また前記第2レンズ群を構成する各正レンズに使用される硝材の屈折率の特性に関して下記条件式(16)を満足していることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のズームレンズ。
    (13) 0.35 < fw/fIIa < 0.8
    (14) −0.62 < fw/fIIb < −0.25
    (15) 0.17 <fw/fIIc < 0.55
    (16) NIIP < 1.65
    ただし、
    IIa :第2レンズ群を構成する第2aレンズ群の合成焦点距離
    IIb :第2レンズ群を構成する第2bレンズ群の合成焦点距離
    IIc :第2レンズ群を構成する第2cレンズ群の合成焦点距離
    IIP :第2レンズ群を構成する各正レンズのd線に対する屈折率の平均値
  5. 前記第2aレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の形状に関して下記条件式(17)を満足しており、前記第2aレンズ群を構成する各レンズに使用される硝材の分散特性に関して下記条件式(18)を満足していることを特徴とする請求項記載のズームレンズ。
    (17) 0.45 < fw/rIIa1 < 0.9
    (18) 60 < VIIa
    ただし、
    IIa1:第2aレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径VIIa :第2aレンズ群を構成する各レンズのアッベ数の平均値
  6. 前記第2bレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の形状に関して下記条件式(19)を満足していることを特徴とする請求項記載のズームレンズ。
    (19) −0.7 < fw/rIIb1 < −0.25
    ただし、
    IIb1:第2bレンズ群で最も拡大側に配置されるレンズの拡大側面の曲率半径
  7. 前記第2cレンズ群で最も縮小側に配置されるレンズの縮小側面の形状に関して下記条件式(20)を満足しており、前記第2cレンズ群を構成する各レンズに使用される硝材の分散特性に関して下記条件式(21)を満足していることを特徴とする請求項記載のズームレンズ。
    (20) −0.65 < fw/rIIc5 < −0.25
    (21) 15 < VIIcP−VIIcN
    ただし、
    IIc5:第2cレンズ群で最も縮小側に配置されるレンズの縮小側面の曲率半径
    IIcP:第2cレンズ群を構成する各正レンズのアッベ数の平均値
    IIcN:第2cレンズ群を構成する各負レンズのアッベ数の平均値
  8. 前記第2cレンズ群は、負レンズと正レンズの少なくとも2枚の接合による部分系構成要素を含んで成っており、接合される各レンズに使用される硝材の屈折率に関する特性において下記条件式(22)を満足しており、同様に接合される各レンズに使用される硝材の分散特性に関して下記条件式(23)を満足していることを特徴とする請求項記載のズームレンズ。
    (22) 0.25 < NIIcCN−NIIcCP
    (23) 8 < VIIcCP−VIIcCN
    ただし、
    IIcCP:第2cレンズ群の接合部分系に配置される正レンズのd線に対する屈折率の平均値
    IIcCN:第2cレンズ群の接合部分系に配置される負レンズのd線に対する屈折率の平均値
    IIcCP:第2cレンズ群の接合部分系に配置される正レンズのアッベ数の平均値
    IIcCN:第2cレンズ群の接合部分系に配置される負レンズのアッベ数の平均値
  9. 前記第3レンズ群は、正レンズ1枚を配して構成され、前記第3レンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(24)を満足していることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載のズームレンズ。
    (24) fw/fIII < 0.35
    ただし、
    III :第3レンズ群の合成焦点距離
  10. 拡大側から順に、全体で負の屈折力を有する第1レンズ群、全体で正の屈折力を有する第2レンズ群及び全体で正の屈折力を有する第3レンズ群から構成され、前記第3レンズ群は変倍動作中固定されており、前記第1レンズ群は広角端から中間域までは拡大側から縮小側方向へ、また中間域から望遠端にかけては縮小側から拡大側方向へ光軸上を移動し、前記第2レンズ群は広角端から望遠端にかけて縮小側から拡大側方向へ光軸上を移動することによってレンズ全系の変倍を成しており、前記第1レンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(25)を満足しており、前記第2レンズ群に設定されるパワーに関して下記条件式(26)を満足しており、広角端における前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の位置関係に関して下記条件式(27)を満足していることを特徴とするズームレンズ。
    (25) −1.4 < f w /f I < −0.55
    (26) 0.35 < f w /f II < 0.6
    (27) 2.13 ≦ d wII /f w
    ただし、
    w :広角端におけるレンズ全系の合成焦点距離
    (第1レンズ群の最も拡大側面からの拡大側物体距離1700mmに合焦状態)
    I :第1レンズ群の合成焦点距離
    II :第2レンズ群の合成焦点距離
    wII :広角端における第2レンズ群と第3レンズ群の間の空気間隔
  11. 前記請求項1から前記請求項10の少なくともいずれかの1項に記載されるズームレンズを搭載していることを特徴としたプロジェクタ装置。
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