JP4351305B2 - Pem燃料電池の陽極のための白金担体触媒、その製造方法、pem燃料電池の陽極側のためのガス拡散電極、触媒により被覆されたプロトン伝導性重合体膜及びpem燃料電池の陽極側のための膜電極ユニット - Google Patents

Pem燃料電池の陽極のための白金担体触媒、その製造方法、pem燃料電池の陽極側のためのガス拡散電極、触媒により被覆されたプロトン伝導性重合体膜及びpem燃料電池の陽極側のための膜電極ユニット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一酸化炭素による被毒に対して良好な抵抗性を有する、PEM燃料電池の陽極のための白金担体触媒に関する。該触媒は、微粒状導電性担体材料上の貴金属即ち白金及びルテニウムを含有している。該触媒は、特に、重合体電解質膜を有する燃料電池の陽極触媒として適当である。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、原理的に、水素と酸素の反応から得られたエネルギーが直接電気エネルギーに変換される、ガスにより運転される電池である。本発明には、燃料電池のための触媒の製造、殊にPEM燃料電池(PEM=重合体電解質膜)のための白金−及び白金合金を基礎とする担体触媒の製造が記載されている。この種の燃料電池は、その高いエネルギー密度及び頑丈さという理由から、自動車分野での使用に対して、即ち電気運転のための自動車への使用に対してますます重要になっている。
【0003】
燃料電池で運転される自動車の利点は、常用の内燃機関と比較しての著しく僅かな放出物及び高い効率にある。燃料ガスとして水素が使用される場合には、唯一の放出物として水が電池の陽極側に発生する。これは、いわゆるZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)のことである。しかしながら、水素は、現時点ではなお高価であり、かつ貯蔵時及び自動車の燃料供給時における問題を有している。上記の理由から、水素を直接自動車の車体内でメタノールのリフォーミングによって発生させる代替物は、ますます重要となっている。自動車のタンク中に貯蔵されたメタノールは、スチームリフォーミング法で200〜300℃で、副成分として二酸化炭素及び一酸化炭素を含有する水素豊富な燃料ガスに変換される。シフト反応、優先酸化(preferential oxidation)(PROX)又は他の精製方法による一酸化炭素の変換後に上記燃料ガスは、PEM燃料電池の陽極側に直接供給される。このリフォーメートガスは、理論上は水素容量75%及び二酸化炭素25容量%からなる。しかしながら、実際には該ガスは、なお窒素、酸素及び、精製度に応じて一酸化炭素の変化する量(1容量%まで)を含有している。
【0004】
PEM燃料電池の陽極側及び陰極側での触媒として白金−及び白金合金を基礎とする担体触媒は、使用される。該触媒は、導電性担体材料(通常カーボンブラック又は黒鉛)上に析出されている微細な貴金属粒子からなる。貴金属の含量は、10〜40量%であり、導電性担体材料の含量は、相応して60〜90量%である。X線回折法(XRD)によって測定された粒子のクリスタリットの大きさは、約2〜10nmである。
【0005】
これまでの白金触媒は、一酸化炭素による被毒に対して著しく敏感であり、従って、陽極の触媒の被毒による燃料電池の性能損失を回避するために燃料ガスのCO含量は、10ppm未満に下げなければならない。このことは殊に、70〜100℃のその作業温度によってCOによる被毒に特に敏感であるPEM燃料電池に該当する。
【0006】
本発明は、一酸化炭素による被毒に対して高い抵抗を示す白金及びルテニウムを基礎とする担体触媒の製造を内容とする。100ppmを越えるCO含量は、可能であり、かつPEM燃料電池の顕著な性能損失には至らない。PEM燃料電池の陽極側へのこのような新しい種類の触媒の使用によって、燃料ガスからの一酸化炭素の除去に必要な工程段階数を減少させることができる。このことは、装置経費の著しい減少、装置効率の改善及び装置全体の縮小をもたらす。従ってこの新規の触媒は、自動車分野におけるPEM燃料電池の導入にとって著しく重要である。一酸化炭素による白金触媒の被毒の問題は、かなり以前から知られている。COは、その特殊な分子構造のために白金表面に吸着され、かつ従って白金の触媒活性中心への燃料ガスの水素分子の到達を阻止する。
【0007】
水の添加によって吸着された一酸化炭素は、二酸化炭素へと酸化することができ、かつこの場合には触媒表面から除去されうる。一酸化炭素による被毒に対する白金触媒の許容度をルテニウムによる白金の合金又はドーピングによって改善することも知られている。
【0008】
L.W. Niedrach他(J. Electrochemical Techn. 5, 1967, 318頁)は、硫酸燃料電池のためのCO許容の陽極触媒としてのPt/Ru触媒の使用を記載している。この物質は、極めて特別な表面を有する微細なPt/Ru合金粒子からなる。該物質は、いわゆるアダムス法(ADAMS process)によって溶融物の形で塩化白金、ルテニウム及び硝酸ナトリウムから500℃で製造される。製造の際の高い温度によって上記触媒は、Pt/Ru合金として存在する。該物質は、担体上に固定されているのではなく、かつ従って担体触媒ではない。PEM燃料電池への該物質の使用についても記載はない。Pt/Ru担体触媒は、しばらく前から購入することもできる。即ちETEK社、米国Massachusetts州、Natick、によってPEM燃料電池の場合の陽極触媒としての使用のための相応する物質が提供されている。
【0009】
この物質は、貴金属の負荷5〜40量%及びPt/Ru原子比1:1を有するPt/Ru合金触媒である。この触媒は、均一の、XRDによって分析可能な合金相(alloy phase)を有している。しかしながら、該触媒は、殊に100ppmを越える一酸化炭素濃度及び燃料ガス中の酸素残留の場合には一酸化炭素に対する不十分な許容度を示す。
【0010】
イワセ(M. Iwase)及びカワツ(S. Kawatsu)の最近の論文にてCO許容の陽極触媒について報告されている(M. Iwase及びS. Kawatsu, Electrochemical Society Proceedings, 第95〜23巻, 12頁)。この論文の場合には、合金形成のための特殊なアニーリング工程によって製造されたPt/Ru合金触媒を用いて最良の結果が達成されている。電流密度0.4A/cm2の場合の電圧降下は、CO含量100ppmの場合に、それにも拘わらずなお約200mVであった。これは、実際の運転にはなお高すぎる。これに対して非合金Pt/Ru系を用いて、さらに不良な結果が得られ、その結果、この記述に基づいて、合金Pt/Ru担体触媒のみが、PEM燃料電池の場合のCO許容度についての最良の結果をもたらすということから出発しなければならない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、一酸化炭素、殊に100ppmを越える含量の場合、に対する改善された許容度を有する担体触媒を提供することである。この触媒は、一酸化炭素含有、窒素含有及び酸素含有の燃料ガスを用いた運転に適当でなければならず、かつ高い電流密度でのできるだけ僅かな電圧降下を示さなければならない。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、貴金属即ち白金及びルテニウムを微細な導電性の担体材料上に含有する、一酸化炭素による被毒に対する良好な抵抗性を有するPEM燃料電池の陽極のための白金担体触媒によって解決される。該触媒は、2つの貴金属が相互に合金されていないことを特徴とする。該貴金属は、むしろ高分散された形で担体材料上に存在しており、この際白金のクリスタリットの大きさは、2nm未満でありかつルテニウムのクリスタリットの大きさは、1nm未満である。
【0013】
意外にも、本発明によれば、合金形成を抑制する特殊な方法で製造された非合金Pt/Ru担体触媒は、CO150ppmまでの濃度に対して著しく良好なCO許容度を示す。
【0014】
触媒の改善されたCO許容度の原因は、まだ完全には解明されていない。1つの可能な説明は、CO酸化の速度一定の段階がRu表面の酸素との反応ではなく、触媒表面上でのCOの拡散であるということである。Pt−クリスタリットとRu−クリスタリットの距離が小さい場合、即ち2つの金属間に高い分散性が存在する場合には、COの拡散は、迅速に行なうことができる。このことによって触媒の酸化性質は、有利に影響を及ぼされる。
【0015】
これに対して、2つの金属の合金形成の場合には格子点の交換が起こり、このことによってルテニウムの部分がもはや粒子表面で利用することができない。
【0016】
本発明によるPt/Ru担体触媒の製造方法は、貴金属の合金形成を回避すること及び同時に高い分散性を達成することに特別に適応している。
【0017】
担体材料上への白金及びルテニウムの析出のために担体材料は、先ず水中に分散される。この分散液に貴金属即ち白金及び/又はルテニウムの前駆物質化合物の水溶液が添加され、かつ担体材料と貴金属溶液からなる分散液のpH値は、アルカリ溶液の添加によって7〜9の値に調整される。その上、分散液の温度は、貴金属化合物の添加の前又は後に50〜80℃の一定温度に高められる。引き続き、白金及び/又はルテニウムは、還元剤を用いた還元によって完全に担体材料上に析出され、このようにして得られた触媒は、濾別され、洗浄されかつ乾燥される。
【0018】
高められた温度でのアニーリング工程、例えば合金の生成のために使用される高められた温度でのアニーリング工程は、回避される。温度及び乾燥としては最大200℃までの温度での真空乾燥は、有効である。
【0019】
上記の2つの貴金属は、同時にか又は逐次任意の順序で担体材料上に析出することができる。逐次の析出が選択された場合には、第2の貴金属は、触媒の乾燥前に第1の貴金属の場合と同様にして担体材料上に析出される。
【0020】
還元剤として有利にアルデヒド基を有する還元剤、例えばホルムアルデヒド又はギ酸ナトリウムは、使用される。
【0021】
導電性担体材料として、比表面積(BET)約40〜1500m2/gを有するカーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、黒鉛又は活性炭は、使用される。貴金属の析出は、水溶液からの相応する白金塩及びルテニウム塩の化学的還元によって行なわれる。この場合には塩素含有の出発化合物、例えばヘキサクロロ白金酸及び塩化ルテニウムならびに塩素不含の化合物、例えば硝酸白金、重亜硫酸白金又はルテニウムニトロシルニトレートは、使用することができる。白金及びルテニウムの含量は、10〜40量%であり、導電性担体材料の含量は、60〜90量%である。白金/ルテニウムの原子比は、1:4〜4:1、有利に1:1〜2:1である。
【0022】
本発明による触媒は、PEM燃料電池のための種々の構成要素の製造に使用することができる。このような構成要素の例は、図1〜3に示されている:
図1は、撥水処理された導電性支持体材料上の多孔質触媒層からなるガス拡散電極を示す断面図である。
【0023】
図2は、触媒層で被覆されたプロトン伝導性重合体膜を示す断面図である。
【0024】
図3は、PEM燃料電池のための膜電極ユニット示す断面図である。
【0025】
図1は、触媒を有する、いわゆるガス拡散電極を示している。該電極は、触媒(1)の多孔質層が施与されている撥水処理された導電性支持体材料(2)(例えば撥水処理されたカーボン紙)からなる。
【0026】
上記ガス拡散電極を用いて、重合体膜(4)の両側でこのようなガス拡散電極と接触させることによって、図3に示されたPEM燃料電池のための膜電極ユニットを組み立てることができる。この場合には陽極側に、本発明による触媒(1)を含有しているガス拡散電極が使用される。陰極側で、陰極触媒(3)を有するガス拡散電極は、膜に取り付けられている。
【0027】
これとは別に、重合体膜は、分離したガス拡散電極の製造による中間段階なしでも、図2に示されいるとおり、ガス拡散電極で被覆することができる。この場合には第1の段階の際に重合体膜(4)は、両側に触媒層(1、3)が備えられ、これら触媒層のうちの1つが本発明による陽極触媒(1)を有している。撥水処理されたカーボン紙との触媒層との接触によって、これから完全な膜電極ユニットが得られる。
【0028】
下記の例の本発明による触媒は、X線分光法(XRD)及び分析学によって特性決定された。引き続き、該触媒は、ガス拡散電極及び膜電極ユニット(MEU)に加工され、この際触媒は、MEUの陽極側に使用された。
【0029】
CO許容度の測定は、セル面積25cm2を有するPEM燃料電池の形で行なわれた。陽極燃料ガスとして、水素50〜60容量%、窒素10〜15容量%、二酸化炭素20〜25容量%及び酸素0〜5容量%の組成の擬似メタノールリフォーメートガスは、使用された。一定量のCOの供給後に生じる電圧降下ΔU(mV)は、触媒のCO許容度についての尺度である。この電圧降下が小さければ小さいほど、触媒のCO許容度は良好である。本発明による触媒は、通常、市販の触媒の比較値より50%まで良好であるΔU値を示す。
【0030】
次に、本発明を例につき詳説する。
【0031】
【実施例】
例 1
本発明によるPt/Ru担体触媒
脱イオン水2000ml中のカーボンブラック即ちバルカンXC72(Vulcan XC 72)(残留湿分1.39量%)81.1gの懸濁液に十分に撹拌しながら室温で10分間、脱イオン水200ml中のヘキサクロロ白金酸52.7g(白金25量%)及び塩化ルテニウム(III)溶液48.4g(ルテニウム14量%)の溶液を添加する。この混合物を80℃に加熱し、かつ苛性ソーダ液を用いてpH値8.5に調整する。ホルムアルデヒド水溶液27.2ml(37量%)を添加した後に濾別し、湿ったフィルターケークを脱イオン水2000mlで洗浄し、かつ80℃で真空乾燥庫中で乾燥する。
【0032】
触媒の分析データは、次のとおりである:
Pt含量: 13.18量%
Ru含量: 6.82量%
原子比Pt/Ru: 1:1。
【0033】
触媒をXRDによって特性決定した。白金の(110)反射がほぼ2θ=40゜で得られる。合金形成を示唆しうる反射のずれは、検出されない。これに対してルテニウムの(111)反射は、2θ=44゜で顕著に視覚可能である。
【0034】
白金のクリスタリットの大きさは、約1.5nmであり、ルテニウムのクリスタリットの大きさは、1nm未満である。
【0035】
触媒をナフィオン(NAFION(登録商標))の溶液の使用下にインキに加工し、かつこの形で撥水処理された導電性カーボン紙(東レ、TGC 90)に施与する。被覆は、1cm2あたり貴金属0.16mgである。このようにして得られた陽極は、イオン伝導膜(Nafion(登録商標) 117)及び陰極電極(被覆 白金0.3mg/cm2)とともに熱間圧縮しかつこのようにして膜電極ユニット(MEU)を製造する。
【0036】
測定をPEM単セル(single cell)(加圧せず、温度75℃)の形で行ない、この際電流密度0.5A/cm2に調整する。
【0037】
燃料ガスへのCO100ppmないしは120ppmの供給後に生じる電圧降下ΔUは、触媒のCO許容度についての尺度として参照する。
【0038】
結果:
燃料ガス組成: H2 58容量%; N2 15容量%
CO2 24容量%、 O2 3容量%
CO濃度: 100ppm
電圧降下(ΔU): 41mV
CO濃度: 120ppm
電圧降下(ΔU): 72mV。
【0039】
電圧降下ΔUについての値は、比較例1の比較電極の場合よりほぼ2分の1低い。このことは、触媒の改善されたCO許容度を示している。
【0040】
例 2
本発明によるPt/Ru担体触媒
脱イオン水2000ml中のバルカンXC72(残留湿分0.8量%)81.1gの懸濁液に十分に撹拌しながら室温で10分間、脱イオン水200ml中の硝酸白金43.2g(Pt30.5量%)及びルテニウム−ニトロシルニトレート溶液34.1g(Ru20量%)の溶液を添加する。この混合物を80℃に加熱し、かつ苛性ソーダ液を用いてpH値8.5に調整する。ホルムアルデヒド水溶液27.2ml(37量%)を添加した後に濾別し、湿ったフィルターケークを脱イオン水2000mlで洗浄し、かつ触媒を100℃で真空乾燥庫中で乾燥する。
【0041】
分析データ:
Pt含量: 13.18量%
Ru含量: 6.82量%
原子比Pt/Ru: 1:1
Pt−クリスタリットの大きさ(XRD) <1.5nm
Ru−クリスタリットの大きさ(XRD) <1nm。
【0042】
この場合にも触媒のX線分析は、非合金系の存在を示している。
【0043】
触媒を、例1に記載されているとおりに、ガス拡散電極及び膜電極ユニットに加工し、かつPEM燃料電池の形で同一条件下で測定する。燃料ガスの組成は、例1に一致する。
【0044】
結果:
CO濃度: 100ppm
電圧降下(ΔU): 40mV
CO濃度: 120ppm
電圧降下(ΔU): 67mV。
【0045】
この場合にも、比較例1と比較して本発明による触媒の改善されたCO許容度が示されている。
【0046】
例 3
本発明によるPt/Ru担体触媒
脱イオン水1500ml中のバルカンXC72(残留湿分1.6量%)40.65gの懸濁液に80℃で、脱イオン水100ml中の硝酸白金溶液26.5g(30量%)の溶液を添加し、かつ苛性ソーダ液を用いてpH値8に調整する。ホルムアルデヒド水溶液10.8ml(37量%)を添加した後に濾別し、湿ったフィルターケークを脱イオン水3000mlで洗浄する。
【0047】
この湿った触媒を改めて脱イオン水1000ml中に懸濁し、かつ脱イオン水100ml中のルテニウムニトロシルニトレート溶液30g(Ru6.86量%)を室温で添加する。80℃に加熱した後に苛性ソーダ液を用いてpH値7に調整する。反応溶液を濾別した後に、湿ったフィルターケークを脱イオン水1000mlで洗浄しかつ80℃で真空中で乾燥する。
【0048】
分析データ:
Pt含量: 15.9量%
Ru含量: 4.1量%
原子比Pt/Ru: 2:1
Pt−クリスタリットの大きさ(XRD) 1.8nm
Ru−クリスタリットの大きさ(XRD) <1nm。
【0049】
X線分析によれば非合金Pt/Ru系が存在する。触媒を前記実施例の場合と同様にしてMEUに加工し、かつPEM燃料電池の形でそのCO許容度について検査する。
【0050】
結果:
CO濃度: 100ppm
電圧降下(ΔU): 45mV
CO濃度: 120ppm
電圧降下(ΔU): 89mV。
【0051】
この場合にも、比較例1と比較して改善されたCO許容度が示されている。
【0052】
比較例 1
比較試験のために市販のPt/Ru担体触媒(EM含量20量%、Pt/Ru原子比1:1)を使用する。該触媒は、当該分野での公知技術水準を代表する。
【0053】
上記物質へのX線分析は、合金Pt/Ru系の存在を明らかに証明している。Pt(1、1、1)反射のずれが得られ、このことは、Pt中のRuの固溶体を示唆しており、純粋Ruの相応する反射は、存在していない。Pt/Ru−クリスタリットのクリスタリットの大きさ(XRD)は、2.7nmである。
【0054】
触媒をナフィオンの溶液の使用下にインキに加工し、かつこの形で撥水処理された導電性カーボン紙(東レ、TGC 90)に施与する。被覆は、貴金属0.18mg/cm2である。
【0055】
引き続き、陽極としての上記の電極は、イオン伝導膜(NAFION(登録商標) 117)及び陰極電極(被覆 Pt0.3mg/cm2)とともに熱間圧縮しかつこのようにして膜電極ユニット(MEU)を製造する。測定をPEM単セル(加圧せず、温度75℃)の形で行ない、この際電流密度0.5A/cm2に調整する。
【0056】
結果:
燃料ガス組成: H2 57容量%; N2 15容量%
CO2 25容量%、 O2 3容量%
CO濃度: 100ppm
電圧降下(ΔU): 80mV
CO濃度: 120ppm
電圧降下(ΔU): 128mV。
【0057】
COの添加の場合の電圧降下ΔUについての値は、本発明による触媒の場合よりほぼ2倍大きい。殊に100ppmを越えるCO濃度の場合の新規の触媒の卓越性を示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】撥水処理された導電性支持体材料上の多孔質触媒層からなるガス拡散電極を示す断面図である。
【図2】触媒層で被覆されたプロトン伝導性重合体膜を示す断面図である。
【図3】PEM燃料電池のための膜電極ユニット示す断面図である。

Claims (10)

  1. 貴金属即ち白金及びルテニウムを微細な導電性の担体材料上に含有する、一酸化炭素による被毒に対する良好な抵抗性を有するPEM燃料電池の陽極のための白金担体触媒において、
    2つの貴金属が相互に合金されておらずかつ高分散された形で担体材料上に存在しており、この際白金のクリスタリットの大きさは、2nm未満でありかつルテニウムのクリスタリットの大きさは、1nm未満であることを特徴とする、PEM燃料電池の陽極のための白金担体触媒。
  2. 白金/ルテニウムの原子比が1:4〜4:1である、請求項1記載の担体触媒。
  3. 導電性担体材料がカーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、黒鉛又は活性炭からなる、請求項1記載の担体触媒。
  4. 白金及びルテニウムの含量が10〜40量%でありかつ導電性担体材料の含量が60〜90量%である、請求項1記載の担体触媒。
  5. 請求項1記載の担体触媒の製造方法において、
    導電性担体材料を水中に懸濁し、この懸濁液に貴金属即ち白金及び/又はルテニウムの溶性化合物の水溶液を添加し、かつ該懸濁液のpH値をアルカリ溶液の添加によって7〜9に上昇させ、引き続き、白金及び/又はルテニウムを還元剤を用いた還元によって完全に担体材料上に析出し、このようにして得られた触媒を、濾別し、洗浄し、場合により第2の貴金属を同様にして担体材料上に析出し、かつ引き続き、白金/ルテニウム触媒を温度200℃以下で乾燥することを特徴とする、PEM燃料電池の陽極のための白金担体触媒の製造方法。
  6. 懸濁液の温度を貴金属化合物の添加の前又は後に50〜80℃の一定温度に高め、かつこの温度で支持体材料上への貴金属の析出を行なう、請求項5記載の方法。
  7. アルデヒド基を有する還元剤を使用する、請求項6記載の方法。
  8. 撥水処理された導電性支持体上の多孔質触媒層を有する、PEM燃料電池の陽極側のためのガス拡散電極において、
    請求項1記載の白金担体触媒を含有していることを特徴とする、
    PEM燃料電池の陽極側のためのガス拡散電極。
  9. PEM燃料電池のための触媒により被覆された水素イオン伝導性重合体膜において、陽極側の触媒層が請求項1記載の白金担体触媒を含有していることを特徴とする、PEM燃料電池のための触媒により被覆された水素イオン伝導性重合体膜。
  10. 陽極側及び陰極側の両方に施与された水素イオン伝導性重合体膜及びガス拡散電極を有する、PEM燃料電池のための膜電極ユニットにおいて、陽極側の触媒層が請求項1記載の白金担体触媒を含有していることを特徴とする、PEM燃料電池のための膜電極ユニット。
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