JP4351017B2 - 金属疑似表面を有するスクリーン印刷物並びにスクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法 - Google Patents

金属疑似表面を有するスクリーン印刷物並びにスクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4351017B2
JP4351017B2 JP2003345188A JP2003345188A JP4351017B2 JP 4351017 B2 JP4351017 B2 JP 4351017B2 JP 2003345188 A JP2003345188 A JP 2003345188A JP 2003345188 A JP2003345188 A JP 2003345188A JP 4351017 B2 JP4351017 B2 JP 4351017B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pattern
light
printing
sheet
screen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003345188A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005111685A (ja
Inventor
正 河合
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
YAMATO GRAND CO., LTD.
Original Assignee
YAMATO GRAND CO., LTD.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by YAMATO GRAND CO., LTD. filed Critical YAMATO GRAND CO., LTD.
Priority to JP2003345188A priority Critical patent/JP4351017B2/ja
Publication of JP2005111685A publication Critical patent/JP2005111685A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4351017B2 publication Critical patent/JP4351017B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は、金属疑似表面を有するスクリーン印刷物並びにスクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法に係り、特に、そのようなスクリーン印刷を利用した技術において、機械加工により切削された金属表面を擬似的に表現する技術の向上に関するものである。
よく知られているように、スクリーン印刷は、被印刷物の形状や大きさ、素材等に捕らわれることなく、多種、多様な被印刷物に対する印刷が可能であるところから、極めて幅広い用途において利用されており、近年では、単に、図柄や文字等を印刷するだけでなく、様々な工業製品の製造にも、利用されている。
ところで、そのようなスクリーン印刷の利用技術の一つとして、金属表面を擬似的に表現する金属疑似表面を形成する技術が、知られている。これは、ポリカーボネート製やアクリル樹脂製の透明な樹脂平板や透明なガラス平板等からなる被印刷物の表面や裏面に、アルミニウムや真鍮等の金属色(銀色や金色)を有する、所謂メタリックインキをスクリーン印刷によりべた塗りして、メタリックインキ層を形成し、このメタリックインキ層が形成された被印刷物の表面にて、金属表面を擬似的に表現するようにした技術である。
そして、このようなスクリーン印刷技術によって形成された金属疑似表面を有するスクリーン印刷物は、実際に金属材料を用いて製作された物品に比して、優れた成形性や軽量性等が発揮されるため、最近では、例えば、各種のマークや名称を表示するのにビルの壁面等に張り付けられる記号プレートや文字プレート、或いは自動車用計器板等、重厚的な印象や高級感を得る上で金属製であることが好まれる物品に、金属製品の代用品として、多く使用されてきている。
かかる状況下、上述の如き金属疑似表面を有するスクリーン印刷物において、よりリアルな質感を出すために、機械加工により切削された金属表面を擬似的に表現する技術が、種々、提案されている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
例えば、特開2000−211234号公報(特許文献1)には、透明なガラス平板や樹脂平板からなる被印刷シートの表面上や裏面上に、メタリックインキをべた塗りして、メタル地色層を形成する一方、このメタル地色層の上面に、機械加工により切削された金属表面上に形成されるヘアライン等と同様な模様を有するデザイン層をスモークインキ等により形成して、金属表面を疑似的に表現する手法が、明らかにされている。このような金属疑似表面の表現手法によれば、メタル地色層上に、ヘアライン等と同様な模様が形成されるため、機械加工により切削された金属表面が、被印刷シートの表面において、リアルに表現され得るものの、機械加工により螺旋状に切削された金属表面の反射光が回転して見えるスピン効果が期待され得ず、その点において改良の余地が存していた。
一方、特開2001−113899号公報(特許文献2)には、所定の合成樹脂製の透明な平板からなる被印刷シートの表面と裏面の両方の面上に、多数の同心円が一定のピッチで描かれる同心円状模様を有する第一及び第二のスピンドルパターンが、それぞれ、表面上と裏面上とにおいて対応位置するように、スクリーン印刷により印刷形成されると共に、被印刷シートの裏面上に形成された第二のスピンドルパターン上に、メタリックインキがべた塗りされて、メタル地色層が形成されてなるスクリーン印刷物が、開示されている。
このようなスクリーン印刷物においては、被印刷シートの裏面上に形成されたスピンドルパターンが、透明な被印刷シートを透過して見られることになるため、被印刷シートの表面上に形成された第一のスピンドルパターンと、その裏面上に形成された第二のスピンドルパターンとの間で見掛け上のズレが生じ、それによって、反射光が回転して見えるスピン効果が発揮され、以て、機械加工により切削された金属表面が、より高い質感をもって、更に一層リアルに表現され得るのである。
ところが、かくの如き従来のスクリーン印刷物にあっては、スピン効果を確実に発揮させる上で、第一のスピンドルパターンと第二のスピンドルパターンとが、正確に対応位置するように、被印刷シートの表面上と裏面上とに形成されておらなければならず、そのため、金属疑似表面を形成するのに極めて困難な作業が強いられることとなって、製作性が劣悪なものとなるといった欠点を有していた。また、図4に示されるように、かかる従来のスクリーン印刷物30においては、スピンドルパターン32からの反射光によって、金属疑似表面34上に、実際の金属表面には現れることのない模様のモアレ36が発生することが避けられず、そのようなモアレ36によって外観が損なわれてしまうといった問題も、内在していたのである。
特開2000−211234号公報 特開2001−113899号公報 特開2001−301306号公報
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、実際の金属表面には現れることのないモアレの発生による外観の低下や、製作性の低下を何等招くことなく、機械加工により切削された金属表面が、より高い質感をもって、更に一層リアルに表現され得るようにした、金属疑似表面を有するスクリーン印刷物の改良された構造を提供することにあり、また、そのような金属表面が、高い質感をもって、よりリアルに表現された金属疑似表面を有利に形成し得る、スクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法を提供することも、その課題とするものである。
そして、本発明は、上記せるスクリーン印刷物に係る課題の解決のために、その第一の態様とするところは、(a)透明な平板からなる被印刷シートと、(b)該被印刷シートの裏面に、光の反射により金属光沢を発するインキがスクリーン印刷によりべた塗りされて、形成されたインキ層からなり、該被印刷シートの表面側から該被印刷シートを透過する光を反射して、金属光沢を発する光反射層と、(c)前記被印刷シートにおける前記光反射層の形成部位の表面に、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成された、多数の同心円が一定ピッチで描かれる同心円状模様を有するスピンドルパターンと、(d)該スピンドルパターンの前記被印刷シート側とは反対側に、若しくは該スピンドルパターンと該被印刷シートとの間に、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成された、前記スピンドルパターンの中心部分から放射状に延びる放射状模様を有する放射状パターンとを備え、前記光反射層にて発せられる金属光沢により、金属表面を擬似的に表現する金属疑似表面が、前記被印刷シートの表面において形成されていることを特徴とする金属疑似表面を有するスクリーン印刷物にある。
また、本発明に従う金属疑似表面を有するスクリーン印刷物の好ましい第二の態様においては、前記放射状パターンが、前記スピンドルパターンの中心部分から放射状に延びる多数の直線が描かれた線形放射状模様を有するように構成される。
さらに、本発明に従う金属疑似表面を有するスクリーン印刷物の第三の態様にあっては、前記被印刷シートの裏面に形成された前記光反射層の上に、その全面にわたって、不透明なインキがスクリーン印刷によりべた塗りされて形成されたインキ層からなり、前記被印刷シートの透過光が該光反射層を更に透過することを阻止して、該光反射層による光の反射量を増大せしめる遮光層が、更に設けられることとなる。
更にまた、本発明に従う金属疑似表面を有するスクリーン印刷物の有利な第四の態様においては、前記スピンドルパターンにおける前記同心円状模様の前記同心円のピッチが、0.2〜0.8mmの範囲内における一定の値とされる。
また、本発明に従う金属疑似表面を有するスクリーン印刷物の第五の態様にあっては、前記スピンドルパターンにおける前記同心円状模様の同心円の線幅が、0.2〜0.5ポイントの範囲内の値とされることとなる。
さらに、本発明に従う金属疑似表面を有するスクリーン印刷物の望ましい第六の態様によれば、前記放射状パターンにおける前記放射状模様の線幅が、0.1〜1ポイントの範囲内の値とされる。
更にまた、本発明に従う金属疑似表面を有するスクリーン印刷物の第七の態様においては、前記スピンドルパターンと前記放射状パターンのそれぞれの厚さが、何れも5μm以上とされる。
また、本発明に従う金属疑似表面を有するスクリーン印刷物の有利な第八の態様では、前記スピンドルパターンと前記放射状パターンとをそれぞれ形成する前記光透過性を有するインキとして、何れも紫外線硬化型インキが用いられることとなる。
そして、本発明にあっては、前記せる金属疑似表面の形成方法に係る課題の解決のために、その第九の態様とするところは、(a)透明な平板からなる被印刷シートを準備する工程と、(b)光の反射により金属光沢を発するインキを用い、前記被印刷シートの裏面に、該金属光沢インキをスクリーン印刷手法によりべた塗りして、該被印刷シートの表面側から該被印刷シートを透過する光を反射し、金属光沢を発する光反射層を形成する工程と、(c)光透過性を有するインキを用いて、スクリーン印刷手法により、多数の同心円が一定ピッチで描かれる同心円状模様と該同心円状模様の中心部分から放射状に延びる放射状模様のうちの何れか一方を、前記被印刷シートにおける前記光反射層の形成部位の表面上に印刷した後、それら同心円状模様と放射状模様のうちの何れか他方を、該何れか一方の模様の上に印刷して、かかる同心円状模様を有するスピンドルパターンと放射状模様を有する放射状パターンとを、該被印刷シートにおける光反射層の形成部位の表面に、それぞれ積層形成する工程とを含み、前記光反射層にて発せられる金属光沢により、金属表面が擬似的に表現される金属疑似表面を、前記被印刷シートの表面にて形成するようにしたことを特徴とする、スクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法にある。
また、本発明に従う、スクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法の好ましい第十の態様においては、不透明なインキを用い、前記光反射層の上に、その全面にわたって、該不透明インキをスクリーン印刷手法によりべた塗りして、前記被印刷シートの透過光が該光反射層を更に透過することを阻止して、該光反射層による光の反射量を増大せしめる遮光層を形成する工程を、更に含んで構成される。
そして、本発明に従う金属疑似表面を有するスクリーン印刷物の第一の態様によれば、透明な平板からなる被印刷シートの裏面に形成された光反射層から金属光沢が発せられるため、かかる光反射層の被印刷シート側の面が鏡面として機能せしめられ、それによって、被印刷シートの表面に、光透過性を有するインキを用いて形成されたスピンドルパターンが、かかる光反射層に写し出されて、あたかも、被印刷シートの表面と裏面の両面上に形成された如き状態とされる。それ故、このようなスクリーン印刷物では、被印刷シートの表面上に実際に形成されたスピンドルパターンと、被印刷シートの裏面上の光反射層に写し出されたスピンドルパターンとの間で見掛け上のズレが生ぜしめられて、反射光が回転して見えるスピン効果が、効果的に発揮され、以て、そのようなスピン効果と光反射層において発する金属光沢効果とが相俟って、機械加工により切削された金属表面が、被印刷シートの表面において、より高い質感をもって、更に一層リアルに表現され得るのである。
しかも、かかるスクリーン印刷物においては、上述の如く、被印刷シートの表面上のみに形成されたスピンドルパターンと、被印刷シートの裏面上にインキのべた塗りにより形成された光反射層とによって、スピン効果が発揮されるようになっているため、例えば、被印刷シートの表面と裏面の両面上に、それぞれ形成された第一のスピンドルパターンと第二のスピンドルパターンとによってスピン効果が発揮されるようにした従来のスクリーン印刷物とは異なって、被印刷シートの表面と裏面の両面上に、第一のスピンドルパターンと第二のスピンドルパターンとを正確に対応位置するように形成する如き困難な作業を何等行うことなく、上述の如きリアルで質感の高い金属表面を擬似的に表現する金属疑似表面が、容易に形成可能とされている。
また、本発明に係るスクリーン印刷物においては、光透過性を有するインキを用いて印刷形成された、スピンドルパターンの中心部分から放射状に延びる放射状模様を有する放射状パターンが、スピンドルパターンに対して積層位置せしめられているところから、スピンドルパターンからの反射光と放射状パターンからの反射光とが入り交じり合り、それによって、スピンドルパターンからの反射光にて生ずる、実際の金属表面には現れることのない模様のモアレが、消失され得るか若しくは目立ち難くされ得る。
従って、かくの如き本発明に従う金属疑似表面を有するスクリーン印刷物にあっては、実際の金属表面には現れることのない模様のモアレの発生による外観の低下や、製作性の低下を何等招くことなく、機械加工により切削された金属表面が、より高い質感をもって、更に一層リアルに表現され得ることとなる。そして、その結果、より重厚的で高級な印象を与える金属代用品として、より幅広い範囲での使用が可能となるのである。
また、本発明に従う金属疑似表面を有するスクリーン印刷物の第二の態様によれば、放射状パターンの線形放射状模様にて、機械加工により切削された金属表面に形成されるヘアラインが表現され、それによって、機械加工により切削された金属表面が、より一段とリアルに表現され得ることとなる。
さらに、本発明に従う金属疑似表面を有するスクリーン印刷物の第三の態様によれば、遮光層による光反射層での反射光の増大作用により、光反射層において、より鮮やかな金属光沢が発せられて、スピン効果と金属光沢効果とが更に高いレベルで発揮され、以て、機械加工により切削された金属表面が、より一層リアルな質感をもって表現され得る。
更にまた、本発明に従う金属疑似表面を有するスクリーン印刷物の第四及び第五の態様によれば、より優れたスピン効果が発揮されて、機械加工により切削された金属表面が、よりリアルな質感をもって表現され得る。
また、本発明に従う金属疑似表面を有するスクリーン印刷物の第六の態様によれば、放射状パターンの存在による、実際の金属表面には現れることのない模様のモアレの発生の消失乃至は抑制作用が、より効果的に発揮され得ることとなる。そして、かかる放射状パターンが、前記線形放射状模様を有する場合には、ヘアラインが、より鮮明に表現され得て、機械加工により切削された金属表面が、更に一層リアルに且つ高い質感をもって表現され得る。
さらに、本発明に従う金属疑似表面を有するスクリーン印刷物の第七の態様によれば、より高いスピン効果が得られると共に、実際の金属表面には現れない模様のモアレの消失乃至は抑制作用が、より確実に発揮され得て、機械加工により切削された金属表面が、より一層リアルな質感をもって表現され得る。
更にまた、本発明に従う金属疑似表面を有するスクリーン印刷物の第八の態様によれば、スピンドルパターンと放射状パターンとを与えるスクリーンインキとして、紫外線硬化型インキが用いられているため、それら各パターンの厚盛り印刷が可能となっており、それによって、各パターンの厚さが、紫外線硬化型インキとは異なる種類のインキを用いて印刷形成されたパターンの厚さに比して、効果的に厚く為され得、以て、スピン効果と、実際の金属表面には現れない模様のモアレの消失乃至は抑制作用とが、より確実に発揮され得ることとなる。
そして、本発明に従う、スクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法に係る第九の態様によれば、透明平板からなる被印刷シートの裏面に、被印刷シートの透過光を反射して金属光沢を発する光反射層が形成される一方、かかる被印刷シートの表面に、光透過性を有するインキにて、同心円状模様を有するスピンドルパターンと、放射状模様を有する放射状パターンとが積層形成されて、金属疑似表面を有するスクリーン印刷物が、容易に且つ確実に得られることとなる。
従って、かくの如き本発明に従う、スクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法によれば、機械加工により切削された金属表面が、より高い質感をもって、更に一層リアルに表現された金属疑似表面を、実際の金属表面には現れることのない模様のモアレの発生による外観の低下や、製作性の低下を何等招くことなく、極めて有利に形成することが出来るのである。
また、本発明に従う、スクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法に係る第十の態様によれば、光反射層での反射光を増大せしめる遮光層が形成されるため、そのような光反射層での反射光の増大作用により、光反射層において、より鮮やかな金属光沢が発せられて、スピン効果と金属光沢効果とが更に高いレベルで発揮され、以て、機械加工により切削された金属表面がより一層リアルな質感をもって表現された金属疑似表面が、更に一層有利に形成され得ることとなる。
以下、本発明をより具体的に明らかにするために、本発明に係る金属疑似表面を有するスクリーン印刷物とスクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1及び図2には、本発明に従う構造を有するスクリーン印刷物の一例としての自動車用計器板が、その平面形態と縦断面形態とにおいて、それぞれ概略的に示されている。それらの図から明らかなように、本実施形態の計器板10は、基材としての被印刷シート12を有し、その裏面(図2では、被印刷シート12の下面)上に、光反射層14と遮光層16とが積層形成されて、構成されている。
より具体的には、被印刷シート12は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の樹脂材料やガラス材料等からなる透明な薄肉平板にて、構成されている。そして、そのような被印刷シート12の裏面上に、光の反射により金属光沢を発するインキが、スクリーン印刷により円形にべた塗りされることによって、光反射層14が形成されている。即ち、光反射層14は、透明な被印刷シート12の裏面における所定大きさの円形領域部分を、所定の厚さをもって完全に覆うにように形成された、光の反射により金属光沢を発するインキ層にて、構成されているのである。
一方、遮光層16は、不透明なインキが、光反射層14の被印刷シート12側とは反対側の全面に、スクリーン印刷によりべた塗りされて形成された不透明インキ層によって、構成されている。換言すれば、遮光層16は、被印刷シート12の裏面側において、光反射層14に裏打ちされる如き状態で、光反射層14の裏面の全面を覆うように形成されており、それによって、被印刷シート12の表面側から被印刷シート12を透過する光が、光反射層14の裏面側に漏れるのを遮断し得るようになっている。
かくして、ここでは、被印刷シート12を表面側から透過した光が、光反射層14で反射されて、かかる光反射層14において、金属光沢が発せられるようになっており、また、そのような光反射層14の裏面側への被印刷シート12の透過光の漏れが、遮光層16にて遮断されることで、光反射層14で反射される光の反射量が増大せしめられて、光反射層14上で、金属光沢が、より鮮明に発せられ、以て、被印刷シート12における光反射層14の形成部位の表面が、金属表面を擬似的に表現する金属疑似表面22として構成されるようになっている。そして、それに加えて、かかる金属光沢の発散により、光反射層14の被印刷シート12側の面が、鏡面として機能せしめられるようになっているのである。
なお、光反射層14を与えるインキとしては、スクリーン印刷に用いられるスクリーンインキのうち、真鍮の微粉末を混和した金インキや、アルミニウムの微粉末を混和した銀インキ、更には金インキに赤インキや紺インキ、藍インキ等のインキを混ぜ合わせた混合インキ等、光の反射により金色や銀色、ブロンズ色等の金属光沢を発するインキ等が、光反射層14で表現されるべき金属色等に応じて、適宜に用いられる。また、遮光層16を与えるインキは、各種のスクリーンインキの中から、例えば、白色や黒色等、不透明な色を有するものが適宜に選択されて、使用される。更に、それら光反射層14や遮光層16を与えるインキには、一般に、安価な溶剤型のものが用いられるが、そのようなインキの種別(タイプ)は、特に限定されるものでない。
また、光反射層14の厚さ:t1 や遮光層16の厚さ:t2 も、何等限定されるものではないものの、光反射層14の厚さ:t1 が3μm以上とされて、遮光層16の厚さ:t2 が3μm以上とされていることが、望ましい。これによって、光反射層14の裏面側への被印刷シート12の透過光の漏れが更に効果的に阻止されて、光反射層14において、より鮮やかな金属光沢が発せられることとなる。なお、それら光反射層14と遮光層16のそれぞれの厚さ:t1 ,t2 の上限は、インキの無駄な使用により、光反射層14や遮光層16が必要以上に厚くならない程度において、適宜に決定される。
そして、本実施形態の自動車用計器板10にあっては、特に、光反射層14と遮光層16とが積層形成された被印刷シート12の裏面とは反対側の表面(図2では、被印刷シート12の上面)に、放射状パターン18とスピンドルパターン20とが積層形成されており、そこに、従来品には見られない大きな特徴が存しているのである。
すなわち、ここでは、図3に示される如く、被印刷シート12の表面、つまり被印刷シート12における円形の光反射層14形成面の反対側の面上において、光反射層14が形成される円形領域の全体に、円形の光反射層14の中心:Oから放射状に延びる多数の直線が描かれてなる線形放射状模様が、光透過性を有するインキを用いて、スクリーン印刷され、この線形放射状模様を呈する印刷パターンによって、放射状パターン18が、形成されている。
換言すれば、放射状パターン18は、光透過性を有するインキがスクリーン印刷により印刷形成された多数の線形凸条24からなり、且つそれら多数の線形凸条24が、円形の光反射層14の中心:Oから放射状に延びるように位置せしめられて、構成されている。そして、そのような放射状パターン18を与える多数の線形凸条24のうちの一部のものが、互いに隣り合うもの同士で重り合い、或いは、その他のものが、互いに隣り合うもの同士において、不規則な隙間を開けつつ、密に位置せしめられている。また、一部の線形凸条24は、円形の光反射層14の半径と同一の長さをもって、光反射層14の中心:Oから、かかる光反射層14の外周にまで達するように位置せしめられており、更に、その他の線形凸条24は、円形の光反射層14の半径よりも短い長さをもって、光反射層14の中心:Oから、或いは光反射層14の径方向の中間部から、それぞれ光反射層14の外周に向かって延びるように位置せしめられている。要するに、ここでは、光反射層14の中心:Oから放射状に延びる多数の線形凸条24が、全体として無秩序に配置されており、以て、放射状パターン18が、全体として、機械加工により切削された金属表面に現れるヘアラインと同様な模様を有して、構成されているのである。
そして、図1及び図2に示される如く、被印刷シート12の表面上に形成された放射状パターン18の被印刷シート12側とは反対側の面上に、多数の同心円が一定ピッチで、密に描かれてなる同心円状模様が、光透過性を有するインキを用いて、スクリーン印刷されており、この同心円状模様を呈する印刷パターンによって、スピンドルパターン20が、形成されている。
つまり、ここでは、スピンドルパターン20が、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により、被印刷シート12における円形の光反射層14形成領域の表面側部分の全面に、放射状パターン10を介して印刷形成された、互いに径の異なる多数の円形凸条26からなり、且つそれら多数の円形凸条26が、円形の光反射層14の中心:Oを中心点として、その周りに、同一で且つ極めて狭い間隔(ピッチ):pを隔てた同心円を描くように位置せしめられて、構成されている。そして、このような多数の円形凸条26を有するスピンドルパターン20にあっては、それと被印刷シート12との間に位置する放射状パターン18が透明性を有しているため、各円形凸条26が、前述の如き鏡面機能を発揮する光反射層14において写し出されて、あたかも、被印刷シート12の表面と裏面の両面上に形成されたような状態とされているのである。
かくして、本実施形態の自動車用計器板10にあっては、被印刷シート12における光反射層14の形成部位の表面上の全体に、ヘアラインと同様な模様の放射状パターン18が形成されていることにより、かかる被印刷シート12における光反射層14の形成部位の表面からなる前記金属疑似表面22に、機械加工により切削された金属表面に現れるヘアライン状模様が形成されており、また、そのような金属疑似表面22を与える被印刷シート12の表面と裏面とにスピンドルパターン20が形成される如き状態とされているところから、かかる被印刷シート12の表面上に実際に形成されたスピンドルパターン20と、被印刷シート12の裏面上に現れるスピンドルパターン(20)との間で見掛け上のズレが生ぜしめられて、機械加工により螺旋状に切削された金属表面の反射光が回転して見えるスピン効果が惹起せしめられ得るようになっている。そして、その結果として、被印刷シート12の表面からなる金属疑似表面22において、ヘアラインが形成され且つスピン効果が発揮される、機械加工により切削された金属表面が、よりリアルに、しかも高い質感をもって表現され得ているのである。
また、それに加えて、かかる自動車計器板10においては、放射状パターン18とスピンドルパターン20とが、共に、光透過性を有して、被印刷シート12の表面上に積層形成されているところから、放射状パターン18からの反射光とスピンドルパターン20からの反射光とが入り交じり合うようになっており、それによって、スピンドルパターン20からの反射光にて生ずる、実際の金属表面には現れることのない、例えば木目状模様のモアレの発生が、効果的に抑制乃至は解消され得ているのである。
なお、このような放射状パターン18やスピンドルパターン20を与えるインキとしては、スクリーン印刷に用いられるスクリーンインキのうち、光透過性を有するインキが適宜に選択されて用いられるが、その中でも、紫外線硬化型の透明インキが、好適に使用される。かかるインキを用いることによって、光反射層14で発せられる金属光沢の鮮明性を損なうことなく、紫外線硬化型インキを使用した印刷特有の厚盛り印刷が可能となって、放射状パターン18の各線形凸条24とスピンドルパターン20の各円形凸条26とが、共に有利に厚肉化され、その結果として、放射状パターン18にて表されるヘアライン状模様がより鮮明化されると共に、スピンドルパターン20にて発揮されるスピン効果が有利に増幅されて、金属疑似表面22で、機械加工により切削された金属表面が、更に一層リアルな質感をもって表現され得ることとなる。
また、放射状パターン18の各線形凸条24の幅、つまり放射状パターン18における線形放射状模様の線幅:w1 (図示せず)は、特に限定されるものではないものの、0.1〜1ポイント程度とされていることが、望ましい。何故なら、0.1ポイントを下回るような極めて小さな線幅:w1 を有する放射パターン18を印刷形成することは、現在のスクリーン印刷技術では困難であるからであり、また、放射状パターン18の線幅:w1 が1ポイントを上回る場合、各線形凸条24の幅が大きくなり過ぎて、金属疑似表面22上に、光透過性のインキをべた塗りしたのと同じような状態となって、放射状パターン18によるヘアライン状模様の鮮明さが低下するばかりでなく、スピンドルパターン20によって生ずるモアレの隠蔽効果が小さくなってしまうからである。
一方、スピンドルパターン20各円形凸条26の幅、つまりスピンドルパターン20における線形放射状模様の線幅:w2 も、何等限定されるところではないが、有利には、0.2〜0.5ポイント程度とされる。何故なら、0.2ポイントを下回るような小さな線幅:w2 を有するスピンドルパターン20をスクリーン印刷により形成することは、極めて困難であるからであり、また、スピンドルパターン20の線幅:w2 が0.5ポイントを上回る場合、各円形凸条24の幅が大きくなり過ぎて、金属疑似表面22上に、光透過性のインキをべた塗りしたのと同じような状態となって、互いに径の異なる円形凸条26が同心円を描いて、密に形成されてなるスピンドルパターン20にて得られるスピン効果が良好に発揮され難くなるからである。
さらに、スピンドルパターン20の各円形凸条26間のピッチ:p、つまりスピンドルパターン20を与える同心円状模様の同心円のピッチは、前記せる如く、一定の値とされるが、その値は、例えば、0.2〜0.8mmの範囲内における値が、選択される。何故なら、かかるピッチ:pが0.2mm未満であるようなスピンドルパターン20をスクリーン印刷によって印刷形成することが難しく、また、かかるピッチ:pが0.8mmを越えるようになると、隣り合う円形凸条26同士の間に隙間が大き過ぎ、それによって、スピンドルパターン20の線幅:w2 が過剰に大きくされる場合と同様に、互いに径の異なる円形凸条26が同心円を描いて、密に形成されてなるスピンドルパターン20にて得られるスピン効果が良好に発揮され難くなるからである。
更にまた、放射状パターン18の各線形凸条24の厚さ:t3とスピンドルパターン20 の各円形凸条26の厚さ:t4 も、適宜に選定されるところではあるものの、それらは、何れも、5μm以上とされていることが好ましい。それらの厚さ:t3 ,t4 が5μmを下回るような放射状パターン18やスピンドルパターン20では、薄くなり過ぎて、ヘアライン状模様の鮮明さやスピン効果が損なわれ、それによって、放射状パターン18やスピンドルパターン20の線幅:w1 ,w2 が、その好適な下限値を下回る場合と同様な問題が惹起されるからである。また、それら放射状パターン18の厚さ:t3 とスピンドルパターン20の厚さ:t4 の各上限値は、何れも特定されるものでないものの、インキの無駄使いによって、各パターン18,20が必要以上に厚くならない程度において、それぞれ、適宜に定められることとなる。
ところで、かくの如き構造とされた自動車用計器板10は、例えば、以下の如き手順に従って、作製されることとなる。
すなわち、先ず、目的とする自動車用計器板10の基板となる被印刷シート12として、前述せる如き樹脂材料やガラス材料からなる透明な薄肉平板が準備されるが、この被印刷シート12は、後述するスクリーン印刷作業が何等支障なく実施され得るように、表面と裏面の両面において、少なくとも、光反射層14、放射状パターン18が形成される前記円形領域が、何れも平滑面とされていることが、望ましい。
次に、被印刷シート12が準備されたら、前述せる金色や銀色、ブロンズ色等の金属光沢を発するスクリーンインキのうち、目的とする自動車用計器板10の金属色に対応した色のスクリーンインキが用いられ、かかるスクリーンインキが、公知のスクリーン印刷手法に従って、被印刷シート12の裏面における円形領域部分にべた塗りされ、乾燥硬化せしめられて、光反射層14が、円形形状をもって形成される。
その後、被印刷シート12の裏面に形成された光反射層14の被印刷シート12側とは反対側の面の全体に、例えば白色や黒色を呈する不透明なスクリーンインキが、公知のスクリーン印刷手法によってべた塗りされ、乾燥硬化せしめられて、円形の遮光層16が、光反射層14の被印刷シート12側とは反対側面に、その全体を覆うようにして、一体的に積層形成される。
次いで、被印刷シート12の光反射層14と遮光層16とが積層形成される側とは反対側の表面において、それら光反射層14と遮光層16とが形成される領域に対応した円形領域の全体に対して、好ましくは透明な紫外線硬化型のスクリーンインキを用いて、公知のスクリーン印刷手法により、多数の線形凸条24からなる、全体として線形放射線状模様(ヘアライン状模様)を有する放射状パターン18が形成される。その際、かかる放射状パターン18を与えるインキ層の硬化には、公知の紫外線照射機等が用いられる。
なお、本工程において、放射状パターン18を、被印刷シート12の大きな領域に形成する場合等にあっては、かかる形成領域に対して、極めて多くの線形凸条24が形成されることとなるが、その際には、例えば、それぞれ、多数の線形凸条24を被印刷シート12の表面上に形成可能ではあるものの、それら多数の線形凸条24の被印刷シート12への印刷形成位置が互いに異なる複数種類の印刷版が用いられて、スクリーン印刷が繰り返し行われる。そうすることによって、より多くの線形凸条24からなり、しかも、それらのうちの多くのものが互いに重り合って位置せしめられてなる如き放射状パターン18が、様々な印刷不良を惹起せしめることなく、極めて良好に且つ容易に形成され得ることとなる。また、複数種類の印刷版を用いてスクリーン印刷を繰り返し行う場合には、先のスクリーン印刷にて、被印刷シート12の表面上に印刷形成された多数の放射状パターン18の形成位置と、その後のスクリーン印刷にて形成される多数の放射状パターン18の形成位置とが適度にずらされておれば良く、それらの形成位置において、厳密な精度が要求されることはない。
そして、被印刷シート12の表面上に放射状パターン18が形成されたら、かかる放射状パターン18の被印刷シート12側とは反対側の面の全体に、例えば、放射状パターン18の形成に際して好適に使用される透明な紫外線硬化型のスクリーンインキを用いて、公知のスクリーン印刷手法により、互いに異なる径の円形凸条26の多数からなる、全体として同心円状模様を有するスピンドルパターン20が、積層形成される。このスピンドルパターン20の形成に際しても、公知の紫外線照射機等が用いられて、スピンドルパターン20を与えるインキ層が硬化せしめられる。
これによって、図1に示される如き構造を有する、目的とする自動車用計器板10が作製されることとなる。また、かくして作製された自動車用計器板10は、その後、必要に応じて、スピンドルパターン20の放射状パターン18側とは反対側の面上に、所定の加飾層や目盛り等がスクリーン印刷されて、使用に供される。
なお、ここでは、被印刷シート12の裏面上に、光反射層14と遮光層16とが積層形成された後、被印刷シート12の表面上に、放射状パターン18とスピンドルパターン20とが積層形成されていたが、その反対に、被印刷シート12の表面上に、放射状パターン18とスピンドルパターン20とを積層形成した後、被印刷シート12の裏面上に、光反射層14と遮光層16とを積層形成するようにしても、何等差し支えない。
このように、本実施形態の自動車用計器板10にあっては、単に、被印刷シート12の光反射層14と遮光層16がべた塗りにより形成される側とは反対側の表面において、それら光反射層14と遮光層16の形成領域に対応した領域の全体に対して、スピンドルパターン20が形成されるだけで、かかるスピンドルパターン20にて、スピン効果が確実に発揮されるようになっているところから、例えば、被印刷シート12の表面上と裏面上に、それぞれスピンドルパターン20を正確に対応位置するように設けることにより、スピン効果を発揮させるように為す場合とは異なって、被印刷シート12の表面と裏面とに形成されるインキ層乃至はパターンを正確に対応させるための面倒な作業を何等行うことなく、被印刷シート12の表面にて構成された金属疑似表面22において、スピン効果が確実に発揮され得、以て、機械加工により切削された金属表面が、そのような金属疑似表面22にて、極めてリアルな質感をもって表現され得るのである。
しかも、かかる自動車用計器板10においては、被印刷シート12の表面上に、放射状パターン18が、スピンドルパターン20に積層位置するように形成されることで、前述せる如く、ヘアライン状模様が鮮明に形成されると共に、スピンドルパターン20からの反射光にて生ずる、実際の金属表面には現れることのない模様のモアレの発生が効果的に抑制乃至は解消され得る。
従って、このような本実施形態の自動車用計器板10にあっては、実際の金属表面には現れることのない模様のモアレの発生による外観の低下や、製作性の低下を何等招くことなく、機械加工により切削された金属表面が、より高い質感をもって、更に一層リアルに表現され得ることとなるのである。
なお、本実施形態では、被印刷シート12の表面上に、放射状パターン18が直接に形成され、この放射状パターン18上に、スピンドルパターン20が積層形成されていたが、例えば、被印刷シート12の表面上に、スピンドルパターン20を直接に形成し、その上に、放射状パターン18を形成するようにしても良い。
また、光反射層14のみにて、被印刷シート12の透過光を充分な量において反射し得るのであれば、遮光層16を必ずしも設ける必要はない。
さらに、光反射層14や遮光層16の被印刷シート12裏面側への形成領域、つまり、それら光反射層14や遮光層16の全体形状は、例示される円形形状に、何等限定されるものではなく、それ以外の形状が適宜に採用され得るのであり、また、放射状パターン18とスピンドルパターン20の被印刷シート12表面側への形成領域も、それら光反射層14と遮光層16の被印刷シート12裏面側への形成領域に応じて、適宜に変更されるところである。
更にまた、放射状パターン18が有する模様は、スピンドルパターン20の中心部分(光反射層14の中心点:O)から放射状に延びる多数の直線が描かれてなる、例示の線形放射状模様に、必ずしも限定されるものではなく、スピンドルパターン20の中心部分から放射状に延びる放射状模様であれば、その他、様々な模様が採用される。
また、放射状パターン18の中心点とスピンドルパターン20の中心点は、完全に一致していなければならない訳ではなく、それらの中心点が多少ずれていても、近い距離に位置するのであれば、前述せるごとき効果が、充分に奏され得る。
さらに、それら放射状パターン18の中心点とスピンドルパターン20の中心点は、互いに略一致しておれば、光反射層14の中心点に一致しておらなくとも良い。
加えて、本実施形態では、金属疑似表面を有する自動車用計器板と、自動車用計器板に対する金属疑似表面の形成方法に対して、本発明を適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、自動車用計器板以外の、金属疑似表面を有するスクリーン印刷物と、スクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法の何れに対しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
その他、本発明は、各種の形態において実施され得るものであって、当業者の知識に基づいて採用される本発明についての種々なる変更、修正、改良に係る各種の実施の形態が、何れも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、本発明の範疇に属するものであることが、理解されるべきである。
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明の特徴を更に明確にすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
先ず、被印刷シートとして、ポリカーボネート製で、表面と裏面とが平滑面とされた、0.5mmの厚さの透明な平板を準備した。そして、この準備された被印刷シートの裏面の所定大きさの円形領域に、光の反射により銀色の金属光沢を発するスクリーンインキ[商品名:MRC750シルバー(株式会社ミノグループ製)]を、250メッシュのスクリーンを用いて、公知のスクリーン印刷手法によりべた塗りし、これを乾燥硬化させて、2μmの厚さを有する光反射層を形成した。
次いで、被印刷シートの裏面に形成した光反射層の被印刷シート側とは反対側の面の全面に、黒色を有する不透明なスクリーンインキ[商品名:MRC黒(株式会社ミノグループ製)]を、250メッシュのスクリーンを用いて、公知のスクリーン印刷手法によりべた塗りし、これを乾燥硬化させて、2μmの厚さを有する遮光層を、光反射層上に積層形成した。
その後、被印刷シートにおける光反射層と遮光層の形成側とは反対側の表面において、それら光反射層と遮光層の形成領域に対応した領域の全体に、透明な紫外線硬化型のスクリーンインキ[商品名:6100SLメジウム(十条ケミカル株式会社製)]を用いて、公知のスクリーン印刷手法により、全体として、光反射層の中心から放射状に真っ直ぐに延びる線形凸条を多数印刷形成し、そして、それら多数の線形凸条に対して、紫外線を紫外線照射機にて照射し、硬化せしめて、線形放射線状模様(ヘアライン状模様)を有する放射状パターンを形成した。なお、ここでは、放射状パターンを与える多数の線形凸条を、被印刷シートに対して、互いに異なる位置に印刷形成せしめる350メッシュの2種類のスクリーンを用いて、スクリーン印刷を2回繰り返し行うことにより、より多くの線形凸条を被印刷シートに形成した。また、かくして形成された放射状パターンの線幅を0.15ポイントとし、また、その厚さを10μmとした。
引き続き、被印刷シートに形成した放射状パターンの被印刷シート側とは反対側の面の全面に、放射状パターンを与えるインキと同じインキを用いて、公知のスクリーン印刷手法により、互いに異なる径を有し、光反射層の中心を中心点として同心的に位置する円形凸条を多数印刷形成した。そして、それら多数の円線形凸条に対して、紫外線を紫外線照射機にて照射し、硬化せしめて、同心円状模様を有するスピンドルパターンを形成した。なお、かかるスピンドルパターンの形成に際しては、350メッシュのスクリーンを使用した。また、ここで形成したスピンドルパターンの線幅を0.3ポイントとし、また、その厚さを10μmとし、更に、そのピッチを0.27mmとした。
かくして、被印刷シートの裏面に光反射層と遮光層とが積層形成される一方、被印刷シートにおける光反射層と遮光層の形成部位の表面に、放射状パターンとスピンドルパターンとが一体的に積層形成されてなる、目的とするスクリーン印刷物を得た。
そして、この得られたスクリーン印刷物を表面から視認により観察したところ、かかる表面において、光の反射により銀色の金属光沢が発せられ、また、そのような金属光沢を発する表面に、ヘアライン状模様が形成されると共に、スピン効果が発揮されていることが認められ、更に、かかる表面には、実際の金属表面には現れない模様のモアレが殆ど発生していないことが、確認された。このことから、本発明に従う構造を有するスクリーン印刷物において、モアレの発生による外観の低下や、製作性の低下を何等招くことなく、機械加工により切削された金属表面が、より高い質感をもって、更に一層リアルに表現され得ることが、明確に認識され得るのである。
本発明に従うスクリーン印刷物の一例を示す平面説明図である。 図1のII−II断面における要部拡大説明図である。 図2におけるIII−III断面説明図である。 従来のスクリーン印刷物の金属疑似表面に生ずるモアレを説明するための図である。
符号の説明
10 自動車用計器板
12 被印刷シート
14 光反射層
16 遮光層
18 放射状パターン
20 スピンドルパターン
22 金属疑似表面
24 線形凸条
26 円形凸条

Claims (9)

  1. 透明な平板からなる被印刷シートと、
    該被印刷シートの裏面に、光の反射により金属光沢を発するインキがスクリーン印刷によりべた塗りされて、形成されたインキ層からなり、該被印刷シートの表面側から該被印刷シートを透過する光を反射して、金属光沢を発する光反射層と、
    前記被印刷シートにおける前記光反射層の形成部位の表面に、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成された、多数の同心円が一定ピッチで描かれる同心円状模様を有するスピンドルパターンと、
    該スピンドルパターンの前記被印刷シート側とは反対側に、若しくは該スピンドルパターンと該被印刷シートとの間に、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成された、前記スピンドルパターンの中心部分から放射状に延びる多数の直線が描かれた線形放射状模様を有する放射状パターンと、
    を備え、前記光反射層にて発せられる金属光沢により、金属表面を擬似的に表現する金属疑似表面が、前記被印刷シートの表面において形成されていることを特徴とする金属疑似表面を有するスクリーン印刷物。
  2. 前記被印刷シートの裏面に形成された前記光反射層の該被印刷シートとは反対側の面上に、その全面にわたって、不透明なインキがスクリーン印刷によりべた塗りされて形成されたインキ層からなり、前記被印刷シートの透過光が該光反射層を更に透過することを阻止して、該光反射層による光の反射量を増大せしめる遮光層が、更に設けられている請求項1に記載の金属疑似表面を有するスクリーン印刷物。
  3. 前記スピンドルパターンにおける前記同心円状模様の前記同心円のピッチが、0.2〜0.8mmの範囲内における一定の値とされている請求項1又は請求項2に記載の金属疑似表面を有するスクリーン印刷物。
  4. 前記スピンドルパターンにおける前記同心円状模様の同心円の線幅が、0.2〜0.5ポイントの範囲内の値である請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の金属疑似表面を有するスクリーン印刷物。
  5. 前記放射状パターンにおける前記放射状模様の線幅が、0.1〜1ポイントの範囲内の値である請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の金属疑似表面を有するスクリーン印刷物。
  6. 前記スピンドルパターンと前記放射状パターンのそれぞれの厚さが、何れも5μm以上である請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の金属疑似表面を有するスクリーン印刷物。
  7. 前記スピンドルパターンと前記放射状パターンとをそれぞれ形成する前記光透過性を有するインキが、何れも紫外線硬化型インキである請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の金属疑似表面を有するスクリーン印刷物。
  8. 透明な平板からなる被印刷シートを準備する工程と、
    光の反射により金属光沢を発するインキを用い、前記被印刷シートの裏面に、該金属光沢インキをスクリーン印刷手法によりべた塗りして、該被印刷シートの表面側から該被印刷シートを透過する光を反射し、金属光沢を発する光反射層を形成する工程と、
    光透過性を有するインキを用いて、スクリーン印刷手法により、多数の同心円が一定ピッチで描かれる同心円状模様と該同心円状模様の中心部分から放射状に延びる多数の直線が描かれた線形放射状模様のうちの何れか一方を、前記被印刷シートにおける前記光反射層の形成部位の表面上に印刷した後、それら同心円状模様と線形放射状模様のうちの何れか他方を、該何れか一方の模様の上に印刷して、かかる同心円状模様を有するスピンドルパターンと線形放射状模様を有する放射状パターンとを、該被印刷シートにおける光反射層の形成部位の表面に、それぞれ積層形成する工程と、
    を含み、前記光反射層にて発せられる金属光沢により、金属表面が擬似的に表現される金属疑似表面を、前記被印刷シートの表面にて形成するようにしたことを特徴とする、スクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法。
  9. 不透明なインキを用い、前記光反射層の前記被印刷シートとは反対側の面上に、その全面にわたって、該不透明インキをスクリーン印刷手法によりべた塗りして、前記被印刷シートの透過光が該光反射層を更に透過することを阻止して、該光反射層による光の反射量を増大せしめる遮光層を形成する工程を、更に含んでいる請求項に記載の、スクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法。
JP2003345188A 2003-10-03 2003-10-03 金属疑似表面を有するスクリーン印刷物並びにスクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法 Expired - Fee Related JP4351017B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003345188A JP4351017B2 (ja) 2003-10-03 2003-10-03 金属疑似表面を有するスクリーン印刷物並びにスクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003345188A JP4351017B2 (ja) 2003-10-03 2003-10-03 金属疑似表面を有するスクリーン印刷物並びにスクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005111685A JP2005111685A (ja) 2005-04-28
JP4351017B2 true JP4351017B2 (ja) 2009-10-28

Family

ID=34538535

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003345188A Expired - Fee Related JP4351017B2 (ja) 2003-10-03 2003-10-03 金属疑似表面を有するスクリーン印刷物並びにスクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4351017B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5020561B2 (ja) * 2006-07-25 2012-09-05 ナガシマ工芸株式会社 背光疑似象嵌加飾体
JP5756599B2 (ja) * 2010-02-10 2015-07-29 株式会社ミマキエンジニアリング インクジェットプリンタ及び印刷方法
JP6308878B2 (ja) * 2014-06-09 2018-04-11 株式会社平和 装飾表示体及びそれを備える遊技機
JP6416422B2 (ja) * 2018-03-13 2018-10-31 株式会社平和 装飾表示体及びそれを備える遊技機

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3430069B2 (ja) * 1999-01-20 2003-07-28 株式会社 吉田製作所 メタル仕上げ模様の表現方法
JP2001113899A (ja) * 1999-10-15 2001-04-24 Yoshida Seisakusho:Kk スクリーンスピンドル
JP2001301306A (ja) * 2000-04-18 2001-10-31 Yoshida Seisakusho:Kk スクリーン印刷による立体モアレ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005111685A (ja) 2005-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5106126A (en) Process printed image with reflective coating
US5407711A (en) Display with enhanced highlights
JP2008018631A (ja) 光輝性装飾体およびその製造方法
EP2357091A1 (en) Exterior part and method of manufacturing same
JP2001150624A (ja) 化粧シート
DE112020007304T5 (de) Dekorfolie und verfahren zum herstellen eines formkörpers
WO2003025681A1 (de) Verfahren zur herstellung eines zifferblattes und danach hergestelltes zifferblatt
JP4351017B2 (ja) 金属疑似表面を有するスクリーン印刷物並びにスクリーン印刷による金属疑似表面の形成方法
JP2019202705A (ja) パネル部材の製造方法
JP2004045063A (ja) 光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法および光学式ロータリーエンコーダ板
JP4628850B2 (ja) スクリーン印刷物
JP5914997B2 (ja) 装飾体の製造方法
JP4675668B2 (ja) 自動車用計器板
JP5374799B1 (ja) スクリーン印刷法による文字・記号印刷等を不要とする、回路基板の製造方法
JP4192842B2 (ja) 化粧板および車両用表示装置の表示板
JPH0821749A (ja) 表示盤およびその製造方法
JP5545948B2 (ja) 計器板のヘアライン表示構造
JP2020089996A (ja) 加飾シート
JP2007292776A (ja) 表示板
JP7272735B2 (ja) 情報表示媒体及びその製造方法
JP4679248B2 (ja) 金属質表面の表現方法
JP6354164B2 (ja) レーザ印字カードの印刷・印字方法、レーザ印字カード
US11970017B2 (en) Badge and manufacturing method of the same
JP6117270B2 (ja) 金属調計器板の製造方法
KR101836682B1 (ko) 네일 팁 및 네일 팁의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060713

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090414

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090602

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090721

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090723

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120731

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120731

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130731

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees