JP4348730B2 - かつら及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はかつらに係り、特に、毛割れの生じにくいかつらに関する。
従来、かつらは、ネットや人工皮膚などのかつらベースに天然毛髪や人工毛髪などの毛髪を植えつけることにより製造される。人間の頭髪は通常、毛包から頭皮を通って略垂直に生えているが、頭部の湾曲形状に応じて頭髪の先端側は水平方向への流れ、すなわち指向性を有している。例えば、頭部の前側では頭髪の流れ(指向性)は前額部方向へ、後頭部側では後方へ、また側頭部側では各々の側方へというように、頭部の湾曲状態に応じた方向に流れている。そのため、自然なかつらを製造するには、毛髪に指向性を与えて植設することが好ましい。このような指向性を持たせて植設する方法としては、一方向植設という方法が採られている。具体的には、図14に示すように、毛髪Hをネットベース100を構成する横糸Xもしくは縦糸Yのいずれか(図14では横糸X)のみに、所定の間隔を空けて、一定の指向性を与えて結びつける方法である。なお、矢印Hは横糸Xとの交点Kが毛髪の植設点を示し、矢印の向きが指向性の向きを示す。
ネットベース100に毛髪を植設する場合、一般的な従来の結着方法では、毛髪はネットベースを構成する糸に対して垂直な方向への指向性を備えるように結着されることになる。植設は通常、手作業で行われ、かつらベースと水平な一定方向に毛髪を引っ張ることで結びつけられるから、引っ張られた一定方向への指向性を備える。このような方法によれば、植設した毛髪が同一方向の指向性を備えて規則的に並ぶので、毛髪がまとまりやすくきっちりとしたヘアスタイルを簡単にセットでき、所定のヘアスタイルで固定しているために、ヘアスタイルが乱れ難いという利点があった。
また、毛流方向、すなわち指向性の方向は、上記したように前額部、頭頂部、後頭部などの各領域で異なっている。そのため、自然なかつらを製造するためには、かつらベースに人工毛髪を植えつける際に各領域に対応した指向性をもたせて植設を行なう必要がある。そこで、図15に示すように、かつらベース101上を境目102a〜102eで区切り、画成された領域A〜Dにおいて、矢印で示すようにそれぞれ異なる指向性を与えて毛髪を植設していた。
しかしながら、このような方法により製造されたかつらは、使用するにつれて意図しない不自然な髪の分け目(以下「毛割れ」という)が生じ、植設された毛髪の根元付近のかつらベースが露見することにより、かつらの装着が他人に知られてしまうという問題があった。毛割れは、かつらに植設した毛髪が自由に可動できず、風による毛髪の動きや櫛で梳かすなどの外部からの力に弾力的に追従できないことにより発生する。以下、図を参照して説明する。
図16(A)は、人間の頭髪、すなわち自毛が生えている頭皮付近の断面図である。自毛110は、皮膚111の内部にある毛包112によって固定されているが、自毛110が生えている皮膚111は弾力性を有すると共に、表面付近では毛髪110との間に凹部113があり、皮膚111が自毛110の左右の動きに弾力的に追従することのできる弾力的可動範囲114が確保されている。そのため、自毛110は毛包112を含む自毛固定層115で確実に固定される一方、弾力的可動範囲114があることにより、弾力的に可動することができ、外部からの力に対して無理なく追従することができる。
一方、図16(B)は、毛髪が植設された人工皮膚の断面図である。毛髪120は、人工皮膚121を貫通して植設され、結び目123で固定された後に結び目123が抜けないように毛止め層124が設けられている。このように、毛髪120は、人工皮膚121と毛止め層124とからなる毛髪固定層125によって確実に固定されており、人工皮膚121の表面には毛髪の弾力的可動範囲が設けられていないから、外部からの力に対して弾力的に追従することが難しい。そのため、一旦毛髪を根元付近で曲げると、毛髪自体に折れ癖がついてしまい、修正が困難である。
図16(C)は、毛髪が植設されたネットの断面図である。毛髪130は、ネットの綱目131に結着される。このように、毛髪130は、直接ネットに結着され、確実に固定されているが、弾力的可動範囲がないため、様々な動きに弾力的に追従することが難しい。そのため、一旦毛髪を根元付近で曲げると、毛髪自体に折れ癖がついてしまい、修正が困難である。また、人工皮膚のように毛髪固定層がないため、時間の経過により結び目42Cが緩んでくると、毛髪が立ち上がらずに寝てしまうこともある。
毛割れには、(1)植設した毛髪が立ち上がらないことによる毛割れ、(2)領域によって毛髪の指向性が異なることによる各領域の境目付近に発生する毛割れ、(3)束状になった毛髪の間で発生する毛割れの3種類がある。
まず、(1)植設した毛髪が立ち上がらないことによる毛割れについて説明する。
上述のように、従来のかつら製造方法において、毛髪はネット網目のうち縦糸もしくは横糸の一方に結びつけることで所定の間隔をあけて規則的に植設される。植設は通常、手作業で行われ、一定方向に毛髪を引っ張ることで結びつけられるから、植設された毛髪は結びつけられた糸と垂直な一定の方向へ向かう方向性を有する。このような植設方法によれば、植設された毛髪が同一方向に規則的に並ぶので、上方向からの力が何度か加わると毛髪が立ち上がらずに寝てしまうことがある。
毛割れとは毛髪の根元が相反する方向に寝てしまう状態であるから、毛髪が立ち上がり、ボリュームが出ていれば、毛割れが発生しにくい。また、たとえ毛髪の根元部分に毛割れが生じても、毛先をスタイリングすることで毛割れを露見させないようにすることが可能である。しかし、植設した毛髪が立ち上がらずに寝てしまうと、毛髪が根元から分かれ易くなり、かつらベースが露見してしまう。また、毛髪が寝ている場合、一度毛割れが発生すると、スタイリングにより修正しても、時間が経過すると毛割れが再度発生してしまうことが多い。
上記(2)の、領域によって毛髪の指向性が異なることによる各領域の境目付近に発生する毛割れについて説明する。
上述のように、人間の頭部は、前額部、頭頂部、後頭部などの各領域で毛髪の流れる方向が異なっており、違和感のない自然な流れをかつらで再現するためには、図15に示すように、各領域に合わせた指向性を備えて毛髪を植設する必要がある。しかし、領域Aでは前頭部に向かって毛先が流れるように植設し、領域Bでは後頭部に向かって毛先が流れるように植設するため、その境目102cの両側では毛髪の方向が真逆となり、また、領域Cでは左頭部周縁に向かって毛先が流れるように植設し、領域Dでは右頭部周縁に向かって毛先が流れるように植設するため、領域AとCの境目102a、領域AとDの境目102e、領域BとCの境目102b、領域BとDの境目102dでは毛髪が直交して、いずれも毛割れが発生する原因となる。
上記(3)の、束状になった毛髪の間で発生する毛割れについて説明する。
同一の指向性を備えた多くの毛髪がかつらベース上のほぼ同一の地点に植設されている場合、これらの性質が互いに近似しているため、束になってしまうことがある。上述のように、植設した毛髪は、根元の結び目付近がネットなどの基部に固定されてしまうために、動きが制限されて様々な動きに柔軟に対応できない。そのため、植設した毛髪がかたまって束状になり毛髪に癖がついてしまうと、櫛で梳かしてヘアスタイルを整えても、時間が経過すると毛髪がまた幾つかの束状にまとまってしまい、束状の毛髪同士の間で毛割れが発生し易い。
ここで、特許文献1の図8に開示されているように、ネット部材の縦糸及び横糸に複数本の毛髪を植設する方法が考えられる。このように毛髪を植設したかつらによれば、従来のかつら100に比べ毛量が多くなり、植設した毛髪が立ち上がるので、上記(1)の植設した毛髪が立ち上がらないことによる毛髪の根元付近に発生する毛割れを防ぐことができる。
また、特許文献2のFIG.3に開示されているように、互いに90度の指向性をもって植設される2株の毛髪を一組として、毛髪を人工皮膚部材などに領域ごとに設定された指向性に従って、所定の間隔をあけて植設する方法が考えられる。このような植設方法によれば、毛髪がある程度のバラツキを備えて植設され、束になりにくいから、上記(3)の、束状になった毛髪の間で発生する毛割れを防ぐことができる。
特開平9−273016号公報 国際公開第2006/020176号パンフレット
しかしながら、特許文献1の図8に開示されている方法では、植設された毛髪はかつらベースに対し垂直に植えられており、水平方向の指向性がないので、自然な毛髪の流れを再現することができない。また、同一の指向性を備えた毛髪が隙間なくネット網目に植設されているので、毛髪が根元から毛先まで重なってしまい、毛髪がばらけずに束状になってしまう。すなわち、上記(3)の、「束状になった毛髪の間で発生する毛割れ」を防ぐことができない。
また、特許文献2のFIG.3に開示されている方法では、上記(1)の、植設した毛髪が立ち上がらないことによる毛髪の根元付近に発生する毛割れを防ぐことができない。また、互いに90度の指向性をもって植設される2株の毛髪は、これらの形成する角の二分線方向への指向性を強く有するから、図15に示すように領域ごとに一定の指向性を持たせて植設した場合には、上記(2)の、「領域によって毛髪の指向性が異なることによる各領域の境目付近に発生する毛割れ」を防ぐことはできない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、毛割れの生じにくいかつらを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のかつらは、かつらベースに複数の毛髪が植設されて成るかつらであって、それぞれ異なる指向性を備えて植設された4株の毛髪を含む植設パターンが所定の間隔をあけて規則的に配置されていることを特徴とする。
植設パターンに含まれる毛髪の植設された点を結ぶとジグザグ状となる。また、植設パターンは2株ずつ同一の指向性を備えた8株の毛髪を一組とし、このうち隣接する2株の毛髪の植設される点を結ぶ線は、他の6株の毛髪の植設された位置を結ぶジグザグ状の線と平行なずれを有することが望ましい。
かつらベースがネット部材から成る場合、ネット部材の一の網目を形成する辺にそれぞれ異なる指向性を備えて植設される毛髪は2株以下であることが望ましい。
かつらベースの表面は複数の領域に区画され、複数の領域は植設パターンの向きがそれぞれ異なる。複数の領域の境目はジグザグの線を描くことが望ましい。
かつらベース上の領域ごとに植設パターンの向きが異なることを特徴とする。この際、かつらベース上の領域の境目はジグザグの線を描き、ジグザグの線の各頂点の内角は約40°であることが望ましい。
本発明のかつらによれば、植設パターン内の4株の毛髪がそれぞれ異なる指向性を備えて植設されたことにより、同一の植設パターンもしくは他の植設パターンの毛髪同士が互いに少なくとも一ヶ所で交差することで根元付近を相互に支え合うような状態となり、特段に毛量を増やさなくても毛髪が立ちやすくなると共に、毛髪が交差した点より下の部分で弾力的に可動することができるから、毛割れの課題を解決することができる。そのため、植設された毛髪の根元付近が露見することがなくなり、かつらベース部も露見し難い。また、かつらベース全体に毛髪がそれぞれ異なる指向性を備えて植設されるので、従来のかつらとは異なり、多様なスタイルセットが可能となる。また、一の植設パターン内にそれぞれ異なる指向性を備えた4株の毛髪を含むことにより、境目の両側において植設パターンの向きを逆にしても境目の両側における毛髪の指向性が完全に逆にならず、毛割れが生じにくい。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(A)は、第一実施形態のかつらの一部を示す平面図である。かつら1はかつらベースとしてのネット部材2に毛髪Hが植設されて成る。必要に応じてネット部材の表面を人工皮膚で覆ってもよいし、人工皮膚に毛髪3を直接植設してもよい。図1(A)に示すように、ネット部材2を構成する横糸をXとし、縦糸をYとし、これらにより画成される網目のうち1行目の網目の上辺を左端からA,B,C・・・とし、同様に1列目の左辺を上端からa,b,c・・・とする。また、2行目の各網目の上辺は左端からAa,Ba,Ca・・・とし、同様に2列目の左辺を上端からaA,bA,cA・・・とする。3行目及び3列目からも同様に定義する。
各毛髪H1〜8は、天然毛髪もしくは人工毛髪であり、一本又は複数本の毛髪の中央部を二つ折りにした折れ部をネット部材2の横糸Xもしくは縦糸Yに結びつけることにより植設される。その際、毛髪は、ネット部材2に対し略垂直で、かつ結びつけられた糸に対し垂直な面内に収まるような方向性を有するが、これに加え、植設時の力の入れ具合により、ネット部材2に対し水平方向の指向性を備える。このような水平方向の指向性を図面では矢印で表現する。また、植設された毛髪は、ネット部材2に結びつけられた毛髪の結び目一つあたりを1株とする。この1株を構成する毛髪は1本又はこれ以上の例えば2〜4本程度の毛髪で成っていてよい。
本実施形態ではこのような指向性を利用し、所定の領域に植設した8株を1つの植設パターンとし、この植設パターンに従って繰り返し植設する。具体的には、図1(A)に示すように、1株目の毛髪H1は横糸X上のCaの位置に矢印で示すように「前」(紙面上側)方向の指向性を備えて植設され、2株目の毛髪H2は縦糸Y上のbBの位置に矢印で示すように「左」方向の指向性を備えて植設される。そして、3株目の毛髪H3は横糸X上のBbの位置に矢印で示すように「後」(紙面下側)方向の指向性を備えて植設され、4株目の毛髪H4は縦糸Y上のcBの位置に矢印で示す「右」方向の指向性を備えて植設される。ここまでで、四方位の指向性を備えた毛髪が植設されたことになる。更に、5株目の毛髪H5は横糸X上のCcの位置に矢印で示すように「前」方向の指向性を備えて、6株目の毛髪H6は縦糸Y上のdBの位置に矢印で示すように「左」方向の指向性を備えて、7株目の毛髪H7は横糸X上のAdの位置に矢印で示すように「後」方向の指向性を備えて、8株目の毛髪H8は縦糸Y上のeAの位置に矢印で示すように「右」方向の指向性を備えて植設され、5株目から8株目の植設により上述した1株目から4株目と同様に四方位の指向性を備えた毛髪が植設される。このように植設することにより、毛髪の植設された点を結ぶとジグザグ状となる。
図2は、本実施形態の植設パターンに従って毛髪をネット部材2に植設した状態を模式的に示す平面図である。実際には、毛髪はかつらベースに対し垂直の指向性を強く有するが、上述のように水平方向の指向性をも有し、これを矢印で示す。ネット部材2の一目の縦横寸法は1mmであり、毛髪は上述のように所定の位置に植設されている。本実施形態では所定の間隔をあけて前後左右の指向性を備えた状態で毛髪を植設したことにより、交点10a〜10jが生じる。これにより、図3に示すように、複数の毛髪Hが根元付近で相互に支え合うような状態となる。そのため、毛髪が立ち上がると共に、根元付近で弾力的可動範囲20が確保され、毛髪が様々な動きに対応することができるから、毛割れが生じにくい。
ところで、図1(A)に示す7株目の毛髪H7及び8株目の毛髪H8は横糸X上のAdの位置及び縦糸Y上のeAの位置に植設されている。すなわち、図1(C)に示すように、7株目の毛髪H7及び8株目の毛髪H8の植設される点を結ぶ線Z2は、1〜6株目の毛髪の植設された位置を結ぶジグザグ状の線Z1に対し平行方向のずれを有する。これは、各植設パターンは横方向(横糸X方向)に一定の間隔をあけて設けられるところ、図1(B)に示すように7株目の毛髪H7及び8株目の毛髪H8を横糸X上のBdの位置及び縦糸Y上のeBの位置に植設すると、この植設パターンP2と隣接する植設パターンP3との間に毛髪が植設されていない縦糸が生じ、すなわち隙間30が生じてしまうため、この部分のネット部材2が露見してしまう。一方、植設パターンP2と植設パターンP3とを近づけすぎると、毛量が多くなりすぎ、束が生じてしまう。本実施形態では、上述のように7株目の毛髪H7及び8株目の毛髪H8を1〜6株目の毛髪H1〜H6の植設された列から左方向へずらして植設したため、隙間30が生じることなく、毛束が生じることも防止することができるものである。
また、図4に示すように、植設パターンの列方向の間隔を空けて植設すると、ネット2の一の網目を形成する辺に植設される毛髪は一株となり、図1(A)に示す植設パターンに比べ植設される毛髪の間隔が広くなり、領域ごとの植設される株数が減少し、ネット2が露見するので好ましくない。そのため本実施形態では、図1(A)に示すように、ネット部材の一の網目を形成する辺に植設される毛髪を二株とし、列方向の植設間隔を空けずに縦糸Y上a〜eまでの5列内で植設している。なお、変形例として図1(D)に示すように、各株の指向性を左右反転しても同様の結果を得ることができる。
以上の法則に従って植設を行った場合、1から4株目の毛髪の指向性の組み合わせは合計24通りあり、その内から選択することができるが、上記2つの例が特に望ましい。以下、その理由を説明する。
図5は1株目の指向性が「前」である植設パターンを6通り示し、図6は1株目が「後」である植設パターンを6通り示し、図7及び図8では1株目が「左」及び「右」である植設パターンをそれぞれ6通り示している。毛割れを防止するためには図2及び図3に示すように毛髪の根元付近を重ね合わせ相互に支え合う状態にする必要があるので、毛髪の根元付近に生じる交点が多い方が好ましい。
図5の6通りの組み合わせ例の中では、(1)の「前」→「左」→「後」→「右」及び(2)の「前」→「右」→「後」→「左」の植設パターンにおいて根元から5mm以内で20ヶ所の交点が確認されるのに対して、(6)の「前」→「左」→「右」→「後」及び(5)の「前」→「右」→「左」→「後」の植設パターンでは8ヶ所となり、(3)の「前」→「後」→「左」→「右」及び(4)の「前」→「後」→「右」→「左」の植設パターンでは10ヶ所となっている。よって、根元付近における毛髪の交点が最も多い、(1)の「前」→「左」→「後」→「右」及び(2)の「前」→「右」→「後」→「左」の植設パターンが最も好ましいといえる。
また、図6に示す(1)の「後」→「右」→「前」→「左」及び(2)の「後」→「左」→「前」→「右」の植設パターンと、図7に示す(1)の「左」→「後」→「右」→「前」及び(2)の「左」→「前」→「右」→「後」の植設パターンと、図8に示す(1)「右」→「前」→「左」→「後」及び(2)の「右」→「後」→「左」→「前」の植設パターンについても同様に20ヶ所の毛髪の交点が確認された。
このように、毛髪の交点を20ヶ所確認することのできる植設パターンは24通りの中で8通りある。しかし、第三者から最も目に付き易く、かつらの装着が露見し易い前額部及びかつらの周縁部付近の毛髪本数を多くするために、1株目は「前」方向で植設を始めることが好ましい。以下、この点について詳説する。
例えば、図9において(1)に示すように、1mm四方の網目を有するネットを使用する場合、1株目に「前」方向の指向性を備えて植設すると1cm2(10目×10目)の面積には18株の植設ができる。植設される毛髪は2つ折りにして、その中心付近がフィラメントと結着しV字状になるので、1ヶ所で2本の毛髪が植設されることになり、前記のように18株の植設がなされる場合、36本の毛髪が植設されることになる。2株目の「左」方向は15株/cm2(毛髪30本)、3株目の「後」及び4株目の「右」方向は17株/cm2(毛髪34本)となり、1株目を「前」方向から植設することにより、「前」方向の毛髪本数を最も多くすることができることがわかる。
次に、図9において(2)に示すように、1株目を「後」方向から植設し始めた場合、「前」方向は1cm2に30本が植設されることになり、(3)及び(4)に示すように、1株目を「左」及び「右」方向から始めた場合も1cm2に30本が植設されることになるので、1株目を「前」方向から始めた場合と比較すると、大きな差異が生じる。上記のような理由から、24通りの植設パターンの中で、図5(1)の「前」→「左」→「後」→「右」及び図5(2)の「前」→「右」→「後」→「左」の植設パターンが最も好ましいといえる。
本実施形態のかつらを製造する際は、上述した植設パターンに従って毛髪を繰り返し植設していく。本来は、前額部から後頭部まで、かつらの面積に応じた数の植設パターンを設けていくが、便宜上、図10に示すように、8つの植設パターンU1〜U8について説明する。
先ず、前額部から後頭部方向にかけて植設パターンU1〜U4の順序で植設し、次に、側頭部方向の隣接する位置に前額部から後頭部方向にかけて植設パターンU5〜U8の順序で植設する。なお、図10では右側頭部方向のみを示す。同様の植設パターンで隣接する位置に繰り返し植設していき、かつら全体の植設を行う。
上述のように、同じ指向性を有する毛髪が隣接して植設されると、隣接する毛髪が根元から毛先まで重なってしまうことにより、同じ指向性を有する毛髪同士が束状にかたまってばらけず、他の束状の毛髪との間で毛割れが発生してしまう。具体的には、同じ指向性を有する毛髪の間隔がネット部材2の一目分しか離れていない場合、毛髪が束状にかたまりやすくなり、他の束状になった毛髪との間で毛われが生じてしまうので好ましくない。一方、毛髪の間隔が必要以上に広く設けられた場合、具体的には、ネット部材2の三目分以上離れている場合は、毛髪の根元付近が相互に支え合う状態にはならず、毛髪が立ち上がらずに毛われが生じてしまうので、好ましくない。
左右方向の各植設パターンの境目に植設されている株、例えば、植設パターンU1の1株目H11と植設パターンU5の1株目H51との左右方向間隔は、ネット部材2の二目分離れている。これにより、毛髪が束状にかたまってしまうことがなく、中間付近から毛先にかけての部分をばらけさせて毛割れを防止することが可能となる。一方、前後方向の各植設パターンの境目に植設されている株、例えば、植設パターンU1の8株目H18と植設パターンU2の1株目H21との前後方向の間隔は空けられていないので、植設される株数が減少することがなく、ネット2の露見を防止することができ、また、ネット部材2の一目分の間隔であるから、毛髪の根元付近が相互に支え合う状態となり、毛割れを防止することが可能となる。
なお、ネット部材2の一の網目を形成する辺に1株以上の毛髪を植設してもよいし、ネット部材の一の網目を形成する辺に同じ指向性を有する3株以上の毛髪を植設することも可能である。さらに、上記ネット部材の網目を形成する一辺に異なる指向性を有する2株の毛髪を植設することも本発明の範疇である。
かつら周縁部付近の露見を防ぐためには前額部と周囲の毛髪本数を多く植設することが必要である。しかし、前額部から後頭部に向かって第一実施形態の植設パターンで「前」の指向性を備えた毛髪から植設をすると、図1に示す植設本数の少ない横糸X上の部分、すなわちAa、Ab、Acなどが、図11に示す周縁部の最外縁部40a〜40dに相当することがあり、かつらが露見し易くなる。そのため、図11に示すように、かつらの周囲に「前」の指向性を備えた毛髪から植設するために適宜な幅の周縁部41a〜41dを設け、これらの境目に植設方向の切り替えライン42a〜42dを定め、各周縁部の最外縁部40a〜40dからかつらの中心領域43に向かって植設する。なお、本実施形態では露見防止のため8株すなわち1植設パターン以上植設できる幅を確保するべく、2cm程度の周縁部50をかつら周囲に設けている。周縁部41a〜41d以外の部分である中心領域43は、上述の植設パターンで前頭部から後頭部に向かって植設する。なお、図11及び図12において白抜き矢印は上述の植設パターンの方向、すなわち最初に植設する毛髪の指向性の方向を示す。
このような第一実施形態の方法によりかつらを製造する場合、植設方向の切り替えライン42a〜42dを境として毛割れが生ずる可能性がある。これを防止するために考えられたのが、第二実施形態の方法である。すなわち、図12に示すように、領域Aと接する領域となる領域B、C、Dの境目51aをジグザグな線とすることにより、植設した毛髪がそれぞれの領域で互い違いになり、図11に示したように直線により分割される各領域の境目と比較すると、迷彩効果が生じ、毛割れを軽減させることができる。
正方形の網目を有するいわゆる正目のネットに植設した場合、毛髪の指向性はネット網目の辺の数から4方向以内に限定され、領域の境目の両側で毛髪の指向性が真逆もしくは直交となるために毛割れができやすい。そのため、ジグザグな境目を適宜の位置に設ける必要がある。一般的に人は、前額部両側にあるそり込み付近で毛髪の流れが前方向と側面方向に異なって向いている。また、一般的に前額部からの頭部の縦方向長さ2/3の位置で毛髪の流れが頭頂部方向と後頭部方向とに異なって向いている。そこで、切り返し52a及び52b付近を起点として、かつらの外周縁53と略並行になるように、前額部からの頭部の縦方向長さ2/3のライン54までジグザグな線51aを形成し、領域Aを形成する。また、このジグザグな境目51aと前額部からの頭部の縦方向長さ2/3のライン54との交点55a及び55bから外周線53に下ろす垂線に沿ってジグザグな境目51bと51cを形成し、これらの境目により領域B、C、Dが画成される。
ジグザグな境目51a〜51cの好ましい形状について説明する。図13(A)に示すように、ジグザグな線60の中心線61から左右の振幅w1,w2は0.75cmとし、一つ置きの頂点同士の幅w3を1cmとすることで、ジグザグな線60により画成される三角形の頂点θの角度を約40度にすることが好ましい。例えば、図13(C)に示すように、ジグザグの頂点θの角度が40度よりも鋭角、例えば約30度であった場合、ジグザグな線60により画成される三角形の面積が狭くなり、毛量によっては毛髪が三角形の領域に十分に植設できず、不適切な髪の分け目を防ぐ効果が薄くなる。逆に、図13(D)に示すように、角度が大きく、例えば約75度であった場合、図11に示したような直線により分割される各領域の境目に近くなり、迷彩効果が低くなる。
上述のように様々な毛量、ネットにも対応できる角度としてジグザグな線60により画成される三角形の頂点θの角度を40度程度にすることが好ましいが、当該三角形の大きさは必要以上に大きくすべきでない。例えば図13(B)に示すように、頂点から底辺までの幅w4を2.5cmとし、底辺の長さw5を2cmとした場合、角度は約45度となるが、ジグザグを構成する三角形の領域が大きくなり、毛髪を植設する面積が小さいかつらには適応できないおそれがあるために好ましくない。
以上説明したように、本発明のかつらは、毛割れを防ぐものであり、その主旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施することができる。例えば、ネット網目の形状が八角形であれば、毛髪は8方向の指向性を備えて植設することが可能である。植設する毛髪の量、毛髪のカール方向などは様々な要素をバランスよく設定することが必要である。
本発明の第一実施形態に係るかつらの一部を示す平面図である。 図1の状態を模式的に示す平面図である。 図1における毛髪の状態を示す正面図である。 別の実施形態を示す平面図である。 1株目の指向性が「前」である植設パターンを示す図表である。 1株目の指向性が「後」である植設パターンを示す図表である。 1株目の指向性が「左」である植設パターンを示す図表である。 1株目の指向性が「右」である植設パターンを示す図表である。 1株目の指向性と1cm2あたりの毛髪量を示す図表である。 図1における植設パターン間の関係を示す平面図である。 図1のかつらを示す平面図である。 第二実施形態のかつらを示す平面図である。 ジグザグな線を示す平面図である。 従来のかつらの一部を示す平面図である。 従来のかつらを示す平面図である。 (A)は、人間の毛髪、すなわち自毛が生えている頭皮付近の断面図である。(B)は、毛髪が植設された人工皮膚の断面図である。(C)は、毛髪が植設されたネットの断面図である。
符号の説明
1 かつら
2 ネット部材
3 毛髪
10a〜10j 交点
20 弾力的可動範囲
30 隙間
40a〜40d 最外縁部
41a〜41d 周縁部
42a〜42d 切り替えライン
43 中心領域
51a,51b,51c 境目
52a,52b 切り返し
53 外周縁
54 2/3のライン
60 ジグザグな線
H 毛髪
P,U 植設パターン

Claims (7)

  1. かつらベースに複数の毛髪が植設されて成るかつらであって、
    それぞれ異なる指向性を備えて植設された4株の毛髪を含む植設パターンが所定の間隔をあけて規則的に配置されていることを特徴とする、かつら。
  2. 前記植設パターンに含まれる毛髪の植設された点を結ぶとジグザグ状となることを特徴とする、請求項1に記載のかつら。
  3. 前記植設パターンは2株ずつ同一の指向性を備えた8株の毛髪を一組とし、このうち隣接する2株の毛髪の植設される点を結ぶ線は、他の6株の毛髪の植設された位置を結ぶジグザグ状の線と平行なずれを有することを特徴とする、請求項2に記載のかつら。
  4. 前記かつらベースはネット部材から成り、上記ネット部材の一の網目を形成する辺にそれぞれ異なる指向性を備えて植設される毛髪は2株以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のかつら。
  5. 前記かつらベースの表面は複数の領域に区画され、前記複数の領域は植設パターンの向きがそれぞれ異なることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のかつら。
  6. 前記複数の領域の境目はジグザグの線を描くことを特徴とする、請求項5に記載のかつら。
  7. 前記ジグザグの線の各頂点の内角は約40°であることを特徴とする、請求項6に記載のかつら。
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