JP6216744B2 - カツラベースおよびカツラ - Google Patents

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Description

本発明は、擬毛(人工毛または天然毛)を植えることでカツラを構成するカツラベース、およびこれを用いて構成されるカツラに関する。
網目を有するネット部材をカツラベースとし、当該網目を構成する糸材に擬毛を植えて構成されるカツラは、従来から多数知られている(例えば、特許文献1〜3)。
特開平9−273016号 特開平9−324317号 特開2014−77208号
本発明は、上のような従来技術を前提として、植えられた擬毛のボリューム感(ふんわり感)をさらに高めることを目的としている。
本発明のカツラベースにおいては、「多角形の第1網目パターンを有する第1ネット部材」と「多角形の第2網目パターンを有する第2ネット部材」とを重ねることで、複合網目パターンが形成されている。この複合網目パターンは、相対的に異なる大きさ(開口面積)の網目を含んでいる。
本発明においていう「複合網目パターン」の意味は、次の通りである。2枚のネット部材が存在して、それぞれが有する網目を「第1網目パターン」および「第2網目パターン」とする。このとき、当該2枚のネット部材を重ねることで表れる網目パターンを「複合網目パターン」とする。「複合網目パターン」は、単一の各ネット部材中には存在せず、両ネット部材を重ねることで初めて表れる網目パターンである。
本発明の「複合網目パターン」には、相対的に異なる大きさの網目が含まれる。
「第1網目パターン」と「第2網目パターン」は、実質的に同じものであっても、異なるものであってもよい。「第1網目パターン」と「第2網目パターン」が実質的に同じものである場合には、2つのネット部材を適宜ズラして重ねることで、相対的に異なる大きさの網目を含む「複合網目パターン」を形成する。
上記構成を有する本発明のカツラベースでは、相対的に小さい網目を構成する糸材に対して擬毛を植えると、当該領域では各擬毛の距離が小さいので、擬毛同士が根本付近から互いに支え合い、その結果、各擬毛は根本から強く立ち上がる。
一方、相対的に大きい網目を構成する糸材に対して擬毛を植えると、当該領域では各擬毛の距離が大きいので、擬毛は全体的にふわっとした印象が強くなる。しかも、当該領域の周辺には、擬毛が根本から強く立ち上がる網目が存在するので、当該ふわっとした印象の擬毛が倒れることが防止され、ふんわり感を持続することができる。
このように本発明では、「複合網目パターン」に相対的に大きさの異なる網目が含まれているために、「各擬毛間の間隔が比較的狭く、擬毛が根本から強く立ち上がる領域」と「各擬毛間の距離が比較的大きく、ふわっとした印象が強い領域」が混在し、全体としてふんわりとしたボリューム感の高いカツラを実現することができる。しかも、ふんわり感の強い擬毛も、根本から強く立ち上がる周辺の擬毛に支えられることで、倒れることが防止され、ふんわり感を長く維持することが可能となる。
また、本発明のカツラベースでは、2枚のネット部材を重ね合わせることで上記「複合網目パターン」を形成しているが故に、1枚1枚のネット部材については、網目パターンは、単純な多角形とすれば足りる。
したがって、複雑な網目パターンを有する1枚のネット部材を作る必要が無く、製造工程(網み工程)を簡単化できる。また、各ネット部材において、網目を構成する糸材の径を細くすることが可能であるため、「擬毛の脱落が生じにくい」、「糸材を擬毛で隠し易いので迷彩効果が高まる」というメリットがある。これらについては、実施形態において詳しく説明する。
本発明の第1実施形態に係るカツラベースを示す説明図。 本発明の第1実施形態に係るカツラベースを示す説明図。 本発明の第2実施形態に係るカツラベースを示す説明図。 本発明の第3実施形態に係るカツラベースを示す説明図。 本発明の第4実施形態に係るカツラベースを示す説明図。
本発明の実施形態を、添付の図面を参照して以下に説明する。図1は、第1実施形態に係るカツラベース10の構造を示す説明図である。
図1(a)に示したように、カツラベース10は、中央の網目領域20と、その周辺を固定する外周部30とで構成される。図2(b)に示すように、網目領域20に擬毛(人工毛または天然毛)を植えることでカツラが構成される。
網目領域20は、第1ネット部材21と第2ネット部材22を重ねて構成されている。図示の例では、両ネット部材21、22は、実質的に同一の6角形の網目を多数備えている。図1(b)に示したように、両ネット部材21、22は、互いにズラして配置されることで「複合網目パターン」を形成している。
《複合網目パターン》
本発明においていう「複合網目パターン」について説明する。第1ネット部材21が有する網目を「第1網目パターン」とし、第2ネット部材22が有する網目を「第2網目パターン」とする。
図1の例では、「第1網目パターン」と「第2網目パターン」は、共に6角形で、大きさが等しい。そして、第1ネット部材21と第2ネット部材22が互いにズラして配置されることで、図1(b)に表れる「複合網目パターン」を形成している。
このように、「複合網目パターン」とは、重ね合わされる2枚のネット部材に関して、個々のネット部材が単独で有する網目パターンではなく、重ね合わされたときに初めて表れる複合的な網目パターンのことを意味する。
なお、後述するように、「第1網目パターン」と「第2網目パターン」は異なるパターンであってもよい。「第1網目パターン」と「第2網目パターン」が、図1の例のように、互いに等しい形状である場合には、「複合網目パターン」を形成するため両ネット部材21、22の位置を互いにズラす必要があるが、「第1網目パターン」と「第2網目パターン」が異なる場合には、2つのネット部材を単に重ねるだけで「複合網目パターン」が形成される。
本発明においては、「複合網目パターン」は、相対的に大きさの異なる網目を含んでいる。これについて、図2を参照して説明する。図2(a)は、図1(b)に示した網目領域20を再度示している。
図から分かるように、「複合網目パターン」には、菱形の網目20aと、六角形の網目20bが含まれていて、両者を比較すると、相対的に網目20aが網目20bよりも小さい(開口面積が小さい)。逆に言うと、このように網目の大きさに相対的な大小が生じることとなるように、2枚のネット部材21、22をズラして配置する。
「複合網目パターン」として表れる各網目の具体的形状は、どのような形状であっても
よい。
《複合網目パターンが異なる大きさの網目を有することによる効果》
図2(b)では、説明を明瞭にするため、網目領域20に植えられる擬毛を一部分だけ図示している。また、図では各網目の内部から擬毛が出ているように描いているが、実際には、各擬毛は網目を構成する糸材に対して植えられる。
図2(b)に模式的に示したように、相対的に小さい網目20aを構成する糸材に対して擬毛を植えると、当該領域では各擬毛の距離が小さいので、擬毛同士が根本付近から互いに支え合い、その結果、各擬毛は根本から強く立ち上がる。
一方、相対的に大きい網目20bを構成する糸材に対して擬毛を植えると、当該領域では各擬毛の距離が大きいので、擬毛は全体的にふわっとした印象が強くなる。しかも、当該領域の周辺には、擬毛が根本から強く立ち上がる網目20aが存在するので、当該ふわっとした印象の擬毛が倒れることが防止され、ふんわり感を持続することができる。
このように本発明では、「複合網目パターン」に相対的に大きさの異なる網目が含まれているために、「各擬毛間の間隔が比較的狭く、擬毛が根本から強く立ち上がる領域」と「各擬毛間の距離が比較的大きく、ふわっとした印象が強い領域」が混在し、全体としてふんわりとしたボリューム感の高いカツラを実現することができる。しかも、ふんわり感の強い擬毛も、根本から強く立ち上がる周辺の擬毛に支えられることで、倒れることが防止され、ふんわり感を長く維持することが可能となる。
《2枚のネット部材21、22を用いることのメリット》
なお、相対的に大きさの異なる網目を含む網目パターンは、2枚のネット部材21、22を重ねるのではなく、1枚のネット部材で実現することも理論的には可能である。しかし、本発明では2枚のネット部材21、22を重ねてそれを実現している。それによるメリットは、次の通りである。
(1)1枚のネット部材で異なる大きさの網目を含むように構成することは、当該ネット部材の編み工程が複雑となるので、好ましくない。
それに対して、本発明のように2枚のネット部材21、22を使用すれば、各ネット部材は単純な形状の網目を有していれば足りるので、製造が簡単になる。
(2)1枚のネット部材で異なる大きさの網目を含むように構成しようとすると、当該ネット部材の編み工程が複雑となり、一般的に、網目を構成する糸材同士が複雑に行き来して、最終的に網目を構成する各糸材の径が大きくなる傾向がある。そして、糸材の径が大きくなると、そこに植えられる擬毛の結び目が緩み易くなる(擬毛が脱落し易くなる)という欠点がある。
それに対して本発明では、1枚1枚のネット部材の網目形状は単純であり、糸材の径を細くすることが簡単であり、したがって、擬毛の脱落が生じ難い。
また、一般的傾向として、カツラベースを構成する糸材が太くなる程、そこに植えた擬毛で当該糸材を隠蔽することが難しくなる。本発明では、上記の通り、糸材の径を細くすることが簡単であり、よって、糸材の隠蔽が簡単となる(カツラの迷彩効果が高い)。
なお、重ねて使用される2枚のネット部材21、22について、各ネット部材の網目を構成する糸材同士の交点は、擬毛や糸材等で縛る等して連結固定することが好ましい。
すなわち、図2(c)に詳しく示したように、第1ネット部材21の網目を構成する糸材21aと、第2ネット部材22の網目を構成する糸材22aとの交点Gにおいて、両糸材を、植えられる擬毛(あるいは、他の適当な糸材等)で結んで固定する。このような固定は必ずしも必要ではないが、固定することによって、2枚のネット部材21、22の一体性を高めることができる。
なお、図2(c)ではすべての交点について上記固定を行っているが、連結固定する交点Gの数は任意である。
《他の実施形態》
本発明において、第1ネット部材21、第2ネット部材22の具体的な形態は、図1、2に示したものに限定されない。図3〜図5には、上記と同様の効果が得られる第2、第3、第4の実施形態を示している。
いずれの実施形態においても、「多角形の第1網目パターンを有する第1ネット部材」と「多角形の第2網目パターンを有する第2ネット部材」が重ねられて、「複合網目パターン」が形成されており、当該「複合網目パターン」には、相対的に異なる大きさの網目が含まれている。
なお、図3〜図5は、いずれも2つのネット部材の重なり態様を説明するものであり、実際のカツラベースを構成する際には、図1(a)に示したように、外周部30を設けて頭部にフィットする形状とされる。
第1実施形態(図1、2)では、2つのネット部材21、22が有する網目は互いに等しいものであった。一方、第2〜第4実施形態(図3〜5)で、2つのネット部材の網目は互いに異なっている。
このように、本発明では、一方のネット部材の「第1網目パターン」と他方のネット部材の「第2網目パターン」は、互いに同じであっても、異なっていてもよく、両ネット部材を重ねた結果として表れる「複合網目パターン」が、相対的に異なる大きさの網目を含んでいれば足りる。
各網目の具体的形状も特定のものには限定されず、例えば、6角形、4角形、3角形、その他、任意の形状を採用することが可能である。
10 カツラベース
20 網目領域
21 第1ネット部材
22 第2ネット部材
30 外周部

Claims (3)

  1. 多角形の第1網目パターンを有する第1ネット部材(21)と、多角形の第2網目パターンを有する第2ネット部材(22)とを重ねることで、複合網目パターンが形成されており、
    上記第1ネット部材(21)の外縁より内側の網目及び上記第2ネット部材(22)の外縁より内側の網目により、上記複合網目パターンが形成され、
    上記複合網目パターンは、相対的に異なる大きさの網目を含んでおり、
    上記複合網目パターンがカツラベース全体に形成されている、カツラベース。
  2. 上記第1網目パターンを構成する糸材(21a)と、上記第2網目パターンを構成する糸材(22a)とが、互いの交点の少なくとも1箇所において連結固定されている、請求項1に記載のカツラベース。
  3. 請求項1または2に記載のカツラベースに擬毛を植えてなる、カツラ。
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