JP4338878B2 - 自走式木材破砕機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、枝材、枝木材等を作業現場で所定の大きさに破砕する自走式木材破砕機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、森林で伐採された木材を枝払いするときに発生する剪定枝材・間伐材や、造成・緑地維持管理等で発生する枝木材、あるいは木造家屋に使用された廃木材は、通常、最終的に産業廃棄物として処理される。木材破砕機は、廃棄物処理過程における廃棄物の減容を図ったり、粉砕した後の粉砕物を発酵処理し有機肥料として再利用することを目的に、それら枝材、枝木材等を、運搬する前にその作業現場で所定の大きさに破砕(粉砕)するものである。
【0003】
このような木材破砕機において、破砕機を移動可能として機動性を持たせた自走式木材破砕機が従来提唱されており、例えば、特開2000−24539号公報に記載のものがある。
【0004】
この自走式木材破砕機では、本体フレームと、この本体フレームに設けた走行手段と、前記本体フレームに設けられ、被破砕木材を破砕する破砕装置と、前記破砕装置の上部に設けられ、被破砕木材をほぼ鉛直上方から受け入れて貯留する回転式貯留手段(回転式タブ)と、前記破砕装置で破砕された木材破砕物を排出する排出コンベアとを備えている。このとき、前記破砕装置は、破砕ロータと、破砕ロータを正転方向・逆転方向に回転させる駆動手段と、前記破砕ロータに設けられその刃面を前記破砕ロータの正転方向回転に対応するように配設した破砕ビットとを備えている。
【0005】
そして、破砕装置上部に設けた前記回転式貯留手段に対し例えば大型重機によって上方位置から被破砕木材を順次投入し、前記回転式貯留手段に多数の被破砕木材を略直立状に保持させた状態で回転式貯留手段を回転させ、これによってその内部の多数の被破砕木材を順次破砕装置に導入してその下端部より破砕ロータに噛み込み、破砕ビットで破砕する。破砕された木材破砕物は、破砕装置下部の空間から破砕装置下方の排出コンベア上に落下し、この排出コンベアで運搬され、最終的に自走式木材破砕機の端部から排出されるようになっている。
【0006】
ここで、上記の動作中に、破砕装置の破砕能力を上回る大きさ又は量の被破砕木材あるいは破砕不可能な異物が投入されると、破砕装置の破砕ロータにその被破砕木材等が詰まってしまい、破砕ロータの停止や破損を招く可能性がある。
これに対応して、上記従来技術では、前記破砕ロータの回転数を検出し、この検出回転数が所定値より低下したときには破砕装置の過負荷状態と判断して、駆動手段によって破砕ロータの回転方向を反転して逆転方向に回転させるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、破砕ロータの過負荷状態時には破砕ロータを反転して逆転方向に回転させることにより、破砕ロータに生じている被破砕木材等の詰まりを速やかに除去し、ロータの停止や破損を防止するものである。
【0008】
しかしながら、上記従来技術には、以下のような課題が存在する。
すなわち、破砕ビットは刃面を破砕ロータの正転方向回転に対応するように配設されており、上記逆転方向回転時は単に破砕ロータを逆転方向に回転させるだけで被破砕木材の破砕は行わないため、その間は破砕作業を行わない非作業時間となる。したがって、稼働時間内においてその逆転方向回転が発生する都度その非作業時間がロスタイムとなり、稼働時間のうちの実作業時間の比率を低減させ、その結果、稼働効率の低下を招く。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、破砕ロータがいずれの回転方向の場合でも破砕作業を可能とし、稼働効率を向上できる自走式木材破砕機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、本体フレームと、この本体フレームに設けた走行手段と、前記本体フレームに設けられ、破砕ロータとこの破砕ロータの外周面に設けた複数の破砕ビットを有する破砕装置と、前記破砕装置における前記破砕ロータの外周側に配置した篩い部材と、被破砕木材を把持し前記破砕装置へと導入する把持導入手段と、ほぼ水平方向から導入された被破砕木材を前記把持導入手段へ導く木材案内手段と、前記破砕装置で破砕された木材破砕物を排出する排出コンベアとを備えた自走式木材破砕機において、前記破砕装置は、前記破砕ロータの外周面上において、前記破砕ロータの軸方向及び周方向に間隔をもって設けた複数の固定具と、刃面が前記破砕ロータの正回転方向に対応するように、前記各固定具の一方側に設けた第1の破砕ビットと、刃面が前記破砕ロータの逆回転方向に対応するように、前記各固定具の他方側に設けた第2の破砕ビットと、前記破砕ロータの軸に連結され、前記破砕ロータを前記一方向及び前記他方向のいずれにも回転可能な駆動手段とを備えている。例えば自走式木材破砕機の破砕ロータを正転方向に回転させて被破砕木材を破砕する動作中に、破砕装置の破砕能力を上回る大きさ又は量の被破砕木材あるいは破砕不可能な異物が投入されると、破砕装置の破砕ロータにその被破砕木材等が詰まってしまう場合がある。このような場合、通常、手動操作あるいは自動的に破砕ロータを逆転方向に反転させ、その詰まりを解きほぐすことによって元の状態に復帰させる。
【0010】
ここで、本発明は、破砕ロータにおいて、第1破砕ビットの刃面を一方向回転に対応するように配設するとともに、第2破砕ビットの刃面を他方向回転に対応するように配設する。これにより、例えば破砕ロータが正転方向に回転するときには、第1破砕ビットで被破砕木材の破砕を行うことができ、破砕ロータが逆転方向に回転するときには、第2破砕ビットで被破砕木材の破砕を行うことができる。このように破砕ロータがいずれの方向に回転している場合でも、第1破砕ビット及び第2破砕ビットのいずれか一方を用いて常時破砕作業を行うことができる。
【0011】
したがって、正転方向回転の時にのみ破砕作業を行い逆転方向回転のときには破砕作業を行えない従来構造と異なり、稼働時間内における非作業時間を大幅に低減でき、稼働時間のうちの実作業時間を大幅に増大できる(ほぼ100%近くにできる)ので、稼働効率を向上できる。
【0014】
(2)上記(1)において、さらに好ましくは、手動操作で前記駆動手段を前記一方向又は前記他方向に駆動可能な操作手段を更に備える。
【0015】
これにより、操作者の任意により破砕ロータの回転方向を自在に変えることができる。
【0016】
(3)上記(1)又は(2)において、また好ましくは、前記破砕装置の過負荷状態を検出する過負荷検出手段と、その過負荷状態が検出されたときには前記駆動手段の回転方向を反転させる駆動制御手段とを更に備える。
【0017】
これにより、破砕ロータの過負荷状態時には破砕ロータをそのときの回転方向から反転して回転させることにより、破砕ロータに生じている被破砕木材等の詰まりを速やかに除去し、ロータの停止や破損を防止することができる。
【0018】
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかにおいて、前記破砕装置は、前記破砕ロータの外周面上において、前記破砕ロータの軸方向及び周方向に間隔をもって略V字状形状になすように設けた複数の固定具と、前記各固定具における前記破砕ロータの回転方向の一方側に設けた第1の破砕ビットと、前記各固定具における前記破砕ロータの回転方向の他方側に設けた第2の破砕ビットとを備えている。
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、また好ましくは、前記第1破砕ビットと前記第2破砕ビットとは、互いに形状が同一でかつ大きさが異なる。
【0019】
ビット形状が同一でも、大きさを変えることで木材破砕物の大きさ(粒度)を変えることができる。これにより、第1破砕ビットと第2破砕ビットとの大きさを異ならせることで、第1破砕ビットの使用時の粒度と第2破砕ビットの使用時の粒度とを変えることができる。
【0020】
したがって、通常の破砕作業時に上記(1)の効果が得られるのに加え、他の使用法として、例えば操作手段を手動操作して前記駆動手段を前記一方向又は前記他方向に駆動することで、第1破砕ビットと第2破砕ビットとを最終的に得たい粒度分布に応じて(つまり用途に応じて)使い分けることが可能となる。すなわち、粒度の異なる2つの木材破砕物を1つの自走式木材破砕機でビット交換なしで生産することができる。
【0021】
(6)上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、また好ましくは、前記第1破砕ビットと前記第2破砕ビットとは、互いに形状が異なる。
【0022】
破砕ビットは、その破砕対象とする被破砕木材の種類(例えば硬さ)に合わせて種々の形状のものがある。
【0023】
したがって、通常の破砕作業時に上記(1)の効果が得られるのに加え、他の使用法として、第1破砕ビットと第2破砕ビットの形状を異ならせ、例えば操作手段を手動操作して前記駆動手段を前記一方向に駆動して第1破砕ビットで相対的に硬い被破砕木材の破砕を行い、あるいは駆動手段を前記他方向に駆動して第2破砕ビットで相対的に軟らかい被破砕木材の破砕を行うことができる。この場合には、相対的に硬い被破砕木材及び相対的に軟らかい被破砕木材それぞれに最も適した破砕ビットで破砕を行うことができる。すなわち、相対的に硬い被破砕木材も相対的に軟らかい被破砕木材も1つの自走式木材破砕機でビット交換なしに破砕することができる。
(7)上記(6)において、さらに好ましくは、前記第1破砕ビットは、相対的に硬い被破砕木材を破砕する硬材用ビットであり、前記第2破砕ビットは、相対的に軟らかい被破砕木材を破砕する軟材用ビットである。
【0024】
一般に、比較的硬い被破砕木材に対しては破砕ビットを下から上向き(通常、正転方向)に衝突させて破砕するほうが破砕効率がよく、比較的軟らかい被破砕木材に対しては破砕ビットを上から下向き(通常、逆転方向)に衝突させて破砕するほうが破砕効率がよい。これに応じて、本発明では、第1破砕ビットとして硬材用ビットを用い、破砕ロータの正転方向回転時において相対的に硬い被破砕木材に対し例えば上向きに衝突して破砕を行い、第2破砕ビットとして軟材用ビットを用い、破砕ロータの逆転方向回転時において相対的に軟らかい被破砕木材に対し例えば下向きに衝突して破砕を行う。これにより、上記(7)で説明したように相対的に硬い被破砕木材も相対的に軟らかい被破砕木材も1つの自走式木材破砕機で破砕を行う場合に、比較的硬い被破砕木材、比較的軟らかい被破砕木材それぞれに対しさらに破砕効率を向上できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を用いて説明する。
【0027】
図1は、本発明の自走式木材破砕機の一実施の形態の全体構造を表す側面図であり、図2は、図1に示した自走式木材破砕機の上面図であり、図3は、図1中に示す構造のうち本体フレーム(後述)及び走行装置(後述)を図1中A方向からみた正面図であり、図4は、図1中B部の拡大透視側面図である。
【0028】
これら図1〜図4において、この自走式木材破砕機は、例えば適宜の作業具あるいは手作業により被破砕物(例えば、森林で伐採された木材を枝払いするときに発生する剪定枝材・間伐材や、造成・緑地維持管理等で発生する枝木材、あるいは木造家屋に使用された廃木材、以下適宜、被破砕木材という)が投入され、その被破砕木材を略水平方向から受け入れるホッパ1、このホッパ1内に設けられホッパ1で受け入れた被破砕木材を搬送する案内コンベア2、及びこの案内コンベア2で搬送された被破砕木材を所定の大きさに破砕し下方へ排出する破砕装置(この例ではいわゆるインパクトクラッシャ)3、及び前記案内コンベア2で略水平方向から導入された前記被破砕木材を把持し前記破砕装置3へと導入する導入用ローラ装置4を搭載した破砕機本体5と、この破砕機本体5の下方に設けられた走行体6と、前記の破砕装置3で破砕され下方へ排出された木材破砕物を受け入れて自走式木材破砕機の後方側(図1及び図2中右側)に運搬し搬出する排出コンベア7と、この排出コンベア7上を運搬中の前記木材破砕物に含まれる磁性物を磁気的に吸引除去する磁選機8とを有する。
【0029】
前記の走行体6は、本体フレーム9と、その下部に設けられた走行装置10とを備えている。本体フレーム9は、例えば略長方形の枠体によって形成され前記破砕装置3、前記ホッパ1、及び後述のパワーユニット16等を載置する破砕機取付け部9Aと、この破砕機取付け部9Aの下部に設けられたトラックフレーム部9B(図3も参照)とから構成される。前記走行装置10は、前記トラックフレーム部9Bに回転自在に支持された駆動輪10a及びアイドラ10bと、これらの間に掛け渡された無限軌道履帯10Aとを備えており、駆動輪10a側に設けられた左・右走行用油圧モータ201L,201R(後述の図6も参照)によって駆動力が与えられることにより自走式木材破砕機を走行させるようになっている。
【0030】
前記のホッパ1は、前記本体フレーム破砕機取付け部9Aの前方側端部に、その破砕機取付け部9Aと一体的に(=基本的に着脱自在でなく)略水平方向に搭載されている。このとき、ホッパ1は、幅方向両側の側壁1a,1a(図2参照)を備えると共に、前記前方側端部に開口部1bを備えており、このような構造により、前述したような被破砕木材を略水平方向から受け入れることが可能となっている。
【0031】
前記の案内コンベア2は、上記ホッパ1内に一体的に略水平方向に延設されており、駆動輪(スプロケット)2aと、従動輪2bと、これら駆動輪2a及び従動輪2bの間に巻回して複数列(この例では4列)設けられ、それぞれピン結合された2列のチェーンを結合してなるチェーンベルト2c(図2参照)とを備えている。そして、駆動輪2aの右側(図2中上側)でかつ後述のローラ駆動用油圧モータ203の下方に配置された案内コンベア用油圧モータ202(図2中では図示せず、後述の図7参照)の駆動力によって駆動輪2aを回転駆動して各チェーンベルト2cを同時に駆動し、これによってホッパ開口部1bに投入されチェーンベルト2c上に載置された被破砕木材を前記本体フレーム破砕機取付け部9Aの後方側(図1及び図2中右側)へと略水平方向に搬送し、前記導入用ローラ装置4に導くようになっている。
【0032】
前記の導入用ローラ装置4は、図4に示すように、ローラ11と、このローラ11の略水平方向の回転軸11aの両端部を軸受部12Aaを介し回転可能に支持する左右一対のブラケット12Aと、水平方向に延設され前記一対のブラケット12Aを連結する連結ビーム12Bとを有している。
【0033】
前記ローラ11は、前記回転軸11aに固定されたローラ本体11bと、このローラ本体11bの外周部に全周にわたって所定間隔で設けられた鋸歯状の把持部11cとを備えている。このローラ11の右側(図2中上側)にはローラ駆動用油圧モータ203(図2及び後述の図7参照)が設けられており、その駆動力が図示しない伝達機構を介し回転軸11aに与えられることによりローラ11が図4中矢印ア方向に回転駆動される。これによって、ローラ11は、前記案内コンベア2によって前方側(図1及び図2中左側)から略水平方向に導入された被破砕木材の上部を押さえ込むように把持しつつ、後方側(図1及び図2中右側)へと導出し、前記破砕装置3へと導入するようになっている。
【0034】
前記ブラケット12Aは、前記軸受部12Aaを下部に備え前記連結ビーム12Bの下部に固定された軸受支持部12Abと、前記本体フレーム破砕機取付け部9Aに固定した支持架台12Cにピン12Acを介して回転可能に接続された回転支持部12Adとを備えている。このとき、軸受支持部12Abの上部に位置する連結ビーム12Bの両端部には、ブラケット12Baがそれぞれ設けられており、これらブラケット12Baはピン204cを介してローラリフト/プレス用油圧シリンダ204のロッド204a側に接続されている。また、ローラリフト/プレス用油圧シリンダ204のボトム204b側は、ピン204dを介し前記支持架台12Cに接続されている。これにより、ローラリフト/プレス用油圧シリンダ204の伸縮に応じて前記ブラケット12Aが前記ピン12Acを中心として回動可能(図4中2点鎖線参照)であり、これによって、前記ローラ11による被破砕木材の押さえ込み圧力(あるいは案内コンベアチェーンベルト2cとローラ11との間の間隙寸法)を適宜調整可能となっている。
【0035】
前記の破砕装置3は、図1に示すように、前記本体フレーム破砕機取付け部9Aの前後方向ほぼ中央部上に搭載されている。この破砕装置3は、いわゆるインパクトクラッシャであり、刃物としてのビット(打撃板)3a,3b及びそれらビット3a,3bを固定する固定具3cを外周部に取り付けたロータ3dを高速回転させることにより、ホッパ1内の案内コンベア2より供給された被破砕木材に対し、前記ビット3a,3bからの打撃及びロータ3dの外周側に固定された反発板(アンビル)3eとの衝突を用いて打撃力を加え、所定の大きさに破砕するようになっている。
図5は、前記のビット3a,3bの前記ロータ3dへの取り付け位置を表す図4中C1−C2面から見た展開外面図である。図5中右端の数字はC1位置からのロータ3d上における周方向位置を角度(0°〜360°)で表したものである。この図5に示すように、ロータ3dの外周面上において、ビット3a,3b及び固定具3cは、軸方向(図5中左右方向)及び周方向(図5中上下方向)に所定間隔をおいて略V字形状をなすように合計24個ずつ(ビット3a−1〜3a−24、ビット3b−1〜3b−24、及び固定具3c−1〜3c−24)が配設されている。このとき、本実施の形態の最も大きな特徴として、図4及び図5に示すように、ビット3a−1〜3a−24はその刃面がロータ3dの正転方向(図4及び図5中矢印イ方向)回転に対応するような向きに配置されており、ビット3b−1〜3b−24はその刃面がロータ3dの逆転方向(図4及び図5中矢印ウ方向)回転に対応するような向きに配置されている。但し、これらビット3a−1〜3a−24とビット3b−1〜3b−24は同一形状・同一大きさであり、その取付方向だけが互いに反対向きとなっているものである。すなわち、各固定具3c−1〜3c−24の一方側にビット3a−1〜3a−24が、他方側にビット3b−1〜3b−24が配置されている。なお、以上のビット配置に対応して、前記アンビル3eは、ロータ3dの正転方向(図4及び図5中矢印イ方向)回転に対応するアンビル3e1と、ロータ3dの逆転方向(図4及び図5中矢印ウ方向)回転に対応するアンビル3e2との2つが設けられている。
【0036】
図1〜図4に戻り、前記ロータ3dは、その回転軸(図示せず)が本体フレーム破砕機取付け部9A上に取り付けた支持架台12D上の軸受機構12Eによって回転自在に支持されており、回転軸の右側(図2中上側)に設けた破砕用油圧モータ205(図2及び後述の図6参照)からの駆動力が図示しない伝達機構を介し与えられることにより、回転するようになっている。
【0037】
また、ロータ3dの外周側には、支持部材13aにより支持された略部分円筒面形状の篩い部材(グレート)13bが配置されており、前記ロータ3dで破砕されていく木材破砕物の破片が、その篩いの目よりも小さくなると、篩い部材13bを通過して下方へ排出される。排出された木材破砕物は、ロータ3dの下方に設けたシュート14(図1及び図3参照)を通過して排出コンベア7上に導入されるようになっている。
【0038】
なお、図1及び図2に示されように、上記破砕装置3及び導入用ローラ装置4の上部にはカバー18が設けられており、案内コンベア2の駆動輪2aを駆動する案内コンベア用油圧モータ202、導入用ローラ装置4のローラ11を駆動するローラ駆動用油圧モータ203、破砕装置3のロータ3cを駆動する破砕用油圧モータ205を、そのカバー18下方内においてすべて自走式木材破砕機の右側に集中して配置している(但し案内コンベア用油圧モータ202はローラ駆動用油圧モータ203の下方にあるため図示されていない)。なお、図4に示すように、前記ローラリフト/プレス用油圧シリンダ204もカバー18内に配置されている。
前記の排出コンベア7は、排出側(後方側、図1及び図2中右側)部分が、パワーユニット16(後述)から突出して設けたアーム部材7aに、支持部材7b,7cを介し吊り下げ支持されている。また、排出反対側(前方側、図1及び図2中左側)部分は、本体フレーム破砕機取付け部9Aよりも下方に位置し、支持部材7dを介し本体フレーム破砕機取付け部9Aから吊り下げられるように支持されている。この結果、排出コンベア7は、本体フレーム9の下方からパワーユニット16の下方を通って、本体フレーム9の自走式木材破砕機後方側外方へ、上り傾斜で配置されている。
【0039】
またこの排出コンベア7は、フレーム7eと、このフレーム7eに支持され排出コンベア用油圧モータ206(図2及び後述の図7参照)で駆動される駆動輪7fと従動輪7gとの間に巻回して設けられたコンベアベルト7hと、このコンベアベルト7hの両側面及び搬送面をそれぞれ支持するガイドローラ7i及びローラ7jを備えており、排出コンベア用油圧モータ206の駆動力でによってコンベアベルト7hを駆動し、これによって破砕装置3から前記シュート14を介しコンベアベルト7h上に落下してきた木材破砕物を後方側(図1及び図2中右側)へ運搬するようになっている。
【0040】
前記の磁選機8は、支持部材8aを介し前記アーム部材7aより吊り下げ支持されており、前記コンベアベルト7hの上方にこのコンベアベルト7hと略直交するように配置された磁選機ベルト8b(図1参照)を、磁選機用油圧モータ207(図1、図2及び後述の図7参照)によって磁力発生手段(図示せず)まわりに駆動することにより、磁力発生手段からの磁力を磁選機ベルト8b越しに作用させてコンベアベルト7h上の磁性物を磁選機ベルト8bに吸着させた後、コンベアベルト7hと略直交する方向に運搬してシュート8cを介しコンベアベルト7hの側方に落下させ排出するようになっている。
前記の本体フレーム破砕機取付け部9Aの後方側(図1、図2中右側)端部の上部には、パワーユニット積載部材15を介して動力体としてのパワーユニット16が搭載されている(図1参照)。また、パワーユニット16の前方側(図1及び図2中左側)には操作者が搭乗する区画である運転席16Aが設けられている。
【0041】
ここで、上記案内コンベア2、破砕装置3、導入用ローラ装置4、排出コンベア7、磁選機8、及び走行装置10は、この自走式木材破砕機に備えられる油圧駆動装置によって駆動される被駆動部材を構成している。図6、図7、及び図8は、その油圧駆動装置の概略構成を表す油圧回路図である。
【0042】
これら図6〜図8において、この油圧駆動装置は、上記の自走式木材破砕機に設けられるものであり、上記エンジン17と、このエンジン17によって駆動される可変容量型の第1油圧ポンプ19及び第2油圧ポンプ20と、同様にエンジン17によって駆動される固定容量型のパイロットポンプ21と、第1及び第2油圧ポンプ19,20から吐出される圧油がそれぞれ供給される前記油圧アクアチュエータ(油圧モータ201L,201R,202,203,205,206,207及び油圧シリンダ204)と、第1及び第2油圧ポンプ19,20からそれら油圧アクチュエータ201L,201R,202,203,204,205,206,207に供給される圧油の流れ(方向及び流量、若しくは流量のみ)を制御する8つのコントロールバルブ24,25,26,27,28,29,30,31と、前記の運転席16Aに設けられ(図1参照)、左・右走行用コントロールバルブ27,28(後述)をそれぞれ切り換え操作するための左・右走行用操作レバー32a,33aと、第1及び第2油圧ポンプ19,20の吐出流量を調整するポンプ制御手段、例えばレギュレータ装置34,35と、破砕機本体5(例えば前記の運転席16A内)に設けられ、案内コンベア2、破砕装置3、導入用ローラ装置4、排出コンベア7、磁選機8の始動・停止あるいは昇降等を操作者が指示入力して操作するための操作盤36とを有している。
【0043】
8つの油圧アクチュエータ201L,201R,202〜207は、前述のように、左・右無限軌道履帯10Aへの駆動力を発生する上記左・右走行用油圧モータ201L,201Rと、案内コンベア2動作用の駆動力を発生する上記案内コンベア用油圧モータ202と、導入用ローラ装置4のローラ11回転用及び昇降用の駆動力をそれぞれ発生するローラ駆動用油圧モータ203及びローラリフト/プレス用油圧シリンダ204と、破砕装置3動作用の駆動力を発生する上記破砕用油圧モータ205と、排出コンベア7動作用の駆動力を発生する上記排出コンベア用油圧モータ206と、及び磁選機8動作用の駆動力を発生する上記磁選機用油圧モータ207とから構成されている。
【0044】
コントロールバルブ24〜31は、2位置切換弁又は3位置切換弁であり、案内コンベア用油圧モータ202に接続された案内コンベア用コントロールバルブ24と、ローラ駆動用油圧モータ203に接続されたローラ駆動用コントロールバルブ25と、破砕用油圧モータ205に接続された破砕用コントロールバルブ26と、左走行用油圧モータ201Lに接続された左走行用コントロールバルブ27と、右走行用油圧モータ201Rに接続された右走行用コントロールバルブ28と、ローラリフト/プレス用油圧シリンダ204に接続されたローラリフト/プレス用コントロールバルブ29と、排出コンベア用油圧モータ206に接続されたコンベア用コントロールバルブ30と、磁選機用油圧モータ207に接続された磁選機用コントロールバルブ31とから構成されている。
【0045】
このとき、第1及び第2油圧ポンプ19,20のうち、第1油圧ポンプ19は、左走行用コントロールバルブ27及び破砕用コントロールバルブ26を介して左走行用油圧モータ201L及び破砕用油圧モータ205へ供給するための圧油を吐出するようになっている。これらコントロールバルブ27,26はいずれも、対応する油圧モータ201L,205への圧油の方向及び流量を制御可能な3位置切換弁となっており、第1油圧ポンプ19の吐出管路37に接続されたセンタバイパスライン22aを備えた第1弁グループ22において、上流側から、左走行用コントロールバルブ27、破砕用コントロールバルブ26の順序で配置されている。なお、センタバイパスライン22aの最下流側には、ポンプコントロールバルブ38(詳細は後述)が設けられている。
【0046】
一方、第2油圧ポンプ20は、右走行用コントロールバルブ28、ローラリフト/プレス用コントロールバルブ29、排出コンベア用コントロールバルブ30、磁選機用コントロールバルブ31、案内コンベア用コントロールバルブ24、ローラ駆動用コントロールバルブ25を介し、右走行用油圧モータ201R、ローラリフト/プレス用油圧シリンダ204、排出コンベア用油圧モータ206、磁選機用油圧モータ207、案内コンベア用油圧モータ202、及びローラ駆動用油圧モータ203へ供給するための圧油を吐出するようになっている。これらのうち右走行用コントロールバルブ28、ローラリフト/プレス用コントロールバルブ29、案内コンベア用コントロールバルブ24、及びローラ駆動用コントロールバルブ25は対応する右走行用油圧モータ201R、ローラリフト/プレス用油圧シリンダ204、案内コンベア用油圧モータ202、及びローラ駆動用油圧モータ203への圧油の流れを制御可能な3位置切換弁となっており、残りの排出コンベア用コントロールバルブ30及び磁選機用コントロールバルブ31は対応する排出コンベア用油圧モータ206及び磁選機用油圧モータ207への圧油の流量を制御可能な2位置切換弁となっており、第2油圧ポンプ20の吐出管路39に接続されたセンタバイパスライン23a及びこれの下流側にさらに接続されたセンタライン23bを備えた上記第2弁グループ23において、上流側から、右走行用コントロールバルブ28、ローラリフト/プレス用コントロールバルブ29、磁選機用コントロールバルブ31、排出コンベア用コントロールバルブ30、ローラ駆動用コントロールバルブ25、及び案内コンベア用コントロールバルブ24の順序で配置されている。なお、センタライン23bは、最下流側の案内コンベア用コントロールバルブ24の下流側で閉止されている。
【0047】
上記コントロールバルブ24〜31のうち、左・右走行用コントロールバルブ27,28はそれぞれ、パイロットポンプ21で発生されたパイロット圧を用いて操作されるセンタバイパス型のパイロット操作弁である。これら左・右走行用コントロールバルブ27,28は、パイロットポンプ21で発生され前述の操作レバー32a,33aを備えた操作レバー装置32,33で所定圧力に減圧されたパイロット圧により操作される。
【0048】
すなわち、操作レバー装置32,33は、操作レバー32a及び33aとその操作量に応じたパイロット圧を出力する一対の減圧弁32b,32b及び33b,33bとを備えている。操作レバー装置32の操作レバー32aを図6中a方向(又はその反対方向、以下対応関係同じ)に操作すると、パイロット圧がパイロット管路40(又は41)を介して左走行用コントロールバルブ27の駆動部27a(又は27b)に導かれ、これによって左走行用コントロールバルブ27が図6中上側の切換位置27A(又は下側の切換位置27B)に切り換えられ、第1油圧ポンプ19からの圧油が吐出管路37、センタバイパスライン22a、及び左走行用コントロールバルブ27の切換位置27A(又は下側の切換位置27B)を介して左走行用油圧モータ201Lに供給され、左走行用油圧モータ201Lが正転方向(又は逆転方向)に駆動される。
【0049】
なお、操作レバー32aを図6に示す中立位置にすると、左走行用コントロールバルブ27はばね27c,27dの付勢力で図6に示す中立位置に復帰し、左走行用油圧モータ201Lは停止する。
【0050】
同様に、操作レバー装置33の操作レバー33aを図6中b方向(又はその反対方向)に操作すると、パイロット圧がパイロット管路42(又は43)を介し右走行用コントロールバルブ28の駆動部28a(又は28b)に導かれて図6中上側の切換位置28A(又は下側の切換位置28B)に切り換えられ、右走行用油圧モータ201Rが正転方向(又は逆転方向)に駆動されるようになっている。操作レバー33aを中立位置にするとばね28c,28dの付勢力で右走行用コントロールバルブ28は中立位置に復帰し右走行用油圧モータ201Rは停止する。
【0051】
ここで、パイロットポンプ21からのパイロット圧を操作レバー装置32,33に導くパイロット導入管路44a,44bには、コントローラ45からの駆動信号St(後述)で切り換えられるソレノイド制御弁46が設けられている。このソレノイド制御弁46は、ソレノイド46aに入力される駆動信号StがONになると図8中左側の連通位置46Aに切り換えられ、パイロットポンプ21からのパイロット圧を導入管路44a,44bを介し操作レバー装置32,33に導き、操作レバー32a,33aによる左・右走行用コントロールバルブ27,28の上記操作を可能とする。
【0052】
一方、駆動信号StがOFFになると、ソレノイド制御弁46はばね46bの復元力で図8中右側の遮断位置46Bに復帰し、導入管路44aと導入管路44bとを遮断すると共に導入管路44bをタンク47へのタンクライン47aに連通させ、この導入管路44b内の圧力をタンク圧とし、操作レバー装置32,33による左・右走行用コントロールバルブ27,28の上記操作を不可能とするようになっている。
【0053】
また、前記破砕用コントロールバルブ26は、両端にソレノイド駆動部26a,26bを備えたセンタバイパス型の電磁比例弁である。ソレノイド駆動部26a,26bには、コントローラ45(図8参照)からの駆動信号Scrで駆動されるソレノイドがそれぞれ設けられており、破砕用コントロールバルブ26はその駆動信号Scrの入力に応じて切り換えられるようになっている。
【0054】
すなわち、駆動信号Scrが破砕装置3の正転(又は逆転、以下、対応関係同じ)に対応する信号、例えばソレノイド駆動部26a及び26bへの駆動信号ScrがそれぞれON及びOFF(又はソレノイド駆動部26a及び26bへの駆動信号ScrがそれぞれOFF及びON)になると、破砕用コントロールバルブ26が図6中上側の切換位置26A(又は下側の切換位置26B)に切り換えられる。これにより、第1油圧ポンプ19からの圧油が吐出管路37、センタバイパスライン22a、破砕用コントロールバルブ26の切換位置26A(又は下側の切換位置26B)、及び供給管路72a(又は72b)を介して破砕用油圧モータ205に供給され、破砕用油圧モータ205が正転方向(又は逆転方向)に駆動されて破砕装置3のロータ3dが前記矢イで表される正転方向(又は矢印ウで表される逆転方向)に回転する。
【0055】
駆動信号Scrが破砕装置3の停止に対応する信号、例えばソレノイド駆動部26a及び26bへの駆動信号ScrがともにOFFになると、コントロールバルブ26がばね26c,26dの付勢力で図6に示す中立位置に復帰し、破砕用油圧モータ205が停止し、破砕装置3のロータ3dも停止する。
【0056】
ここで、前記ポンプコントロールバルブ38は、流量を圧力に変換する機能を備えるものであり、前記のセンタバイパスライン22aとタンクライン47bとを絞り部分38aaを介して接続・遮断可能なピストン38aと、このピストン38aの両端部を付勢するばね38b,38cと、前記のパイロットポンプ21の吐出管路79にパイロット導入管路83a(後述)、及びパイロット導入管路83c(後述)を介して上流側が接続されてパイロット圧が導かれ、下流側がタンクライン47cに接続され、かつ前記のばね38bによってリリーフ圧が可変に設定される可変リリーフ弁38dとを備えている。
【0057】
このような構成により、ポンプコントロールバルブ38は以下のように機能する。すなわち、上述したように左走行用コントロールバルブ27及び破砕用コントロールバルブ26はセンタバイパス型の弁となっており、センタバイパスライン22aを流れる流量は、各コントロールバルブ27,26の操作量(すなわちスプールの切換ストローク量)により変化する。各コントロールバルブ27,26の中立時、すなわち第1油圧ポンプ19へ要求する各コントロールバルブ27,26の要求流量(言い換えれば左走行用油圧モータ201L及び破砕用油圧モータ205の要求流量)が少ない場合には、第1油圧ポンプ19から吐出される圧油のうちほとんどが余剰流量としてセンタバイパスライン22aを介してポンプコントロールバルブ38に導入され、比較的大きな流量の圧油がピストン38aの絞り部分38aaを介してタンクライン47bへ導出される。これにより、ピストン38aは図6中右側に移動するので、ばね38bによるリリーフ弁38dの設定リリーフ圧が低くなり、管路83cから分岐して設けられ後述のネガティブ傾転制御用の第1サーボ弁95へ至る管路81に、比較的低い制御圧力(ネガコン圧)Pc1を発生する。
【0058】
逆に、各コントロールバルブ27,26が操作されて開状態となった場合、すなわち第1油圧ポンプ19へ要求する要求流量が多い場合には、センタバイパスライン22aに流れる前記余剰流量は、油圧モータ201L,205側へ流れる流量分だけ減じられるため、ピストン絞り部分38aaを介しタンクライン47bへ導出される圧油流量は比較的小さくなり、ピストン38aは図6中左側に移動してリリーフ弁38dの設定リリーフ圧が高くなるので、管路81の制御圧力Pc1は高くなる。
【0059】
本実施の形態では、後述するように、この制御圧力(ネガコン圧)Pc1の変動に基づき、第1油圧ポンプ19の斜軸19Aの傾転角を制御するようになっている(詳細は後述)。
【0060】
なお、第1及び第2油圧ポンプ19,20の吐出管路37,39から分岐した管路87,88には、リリーフ弁89及びリリーフ弁90がそれぞれ設けられており、第1及び第2油圧ポンプ19,20の吐出圧P1,P2の最大値を制限するためのリリーフ圧の値を、それぞれに備えられたばね89a,90aの付勢力で設定するようになっている。
またパイロット油圧ポンプ21の吐出管路79から分岐した管路80からさらに分岐した管路75には、リリーフ弁75Aがそれぞれ設けられており、パイロット油圧ポンプ21の吐出圧の最大値を制限するためのリリーフ圧の値をばね75Aaの付勢力で設定するようになっている。
【0061】
また、前記ローラリフト/プレス用コントロールバルブ29は、ソレノイド駆動部29a1,29a2を備えたセンタバイパス型の電磁比例弁である。ソレノイド駆動部29a1,29a2には、コントローラ45からの駆動信号Slpで駆動されるソレノイドが設けられており、ローラリフト/プレス用コントロールバルブ29はその駆動信号Slpの入力に応じて切り換えられるようになっている。すなわち、駆動信号Slpがローラリフト/プレス用油圧シリンダ204の伸長(又は縮短、以下対応関係同じ)に対応する信号、例えばソレノイド駆動部29a1,29a2への駆動信号SlpがそれぞれON及びOFF(又はOFF及びON)になると、ローラリフト/プレス用コントロールバルブ29が図7中上側の切換位置29A(又は図7中下側の切換位置29B)に切り換えられる。
これにより、吐出管路39、センタバイパスライン23a、及びセンタライン23bを介し導かれた第2油圧ポンプ20からの圧油は、切換位置29A(又は29B)に備えられた絞り手段29Aa(又は29Ba)から、これに接続する管路50、この管路50に設けられた圧力制御弁51(詳細は後述)、切換位置29A(又は29B)に備えられたポート29Ab(又は29Bb)、及びこのポート29Ab(又は29Bb)に接続する供給管路52a(又は52b)を経て、ローラリフト/プレス用油圧シリンダ204に供給され、この油圧シリンダ204が伸長(又は縮短)方向に駆動される。駆動信号Slpがローラリフト/プレス用油圧シリンダ204の停止に対応する信号、例えばソレノイド駆動部29a1,29a2への駆動信号SlpがともにOFFになると、ローラリフト/プレス用コントロールバルブ29はばね29b1,29b2の付勢力で図7に示す遮断位置に復帰し、ローラリフト/プレス用油圧シリンダ204はその位置で伸長又は縮短方向の駆動を停止する。
【0062】
また、前記磁選機用コントロールバルブ31は、ソレノイド駆動部31aを備えた電磁切換弁である。ソレノイド駆動部31aには、コントローラ45からの駆動信号Smで駆動されるソレノイドが設けられており、磁選機用コントロールバルブ31はその駆動信号Smの入力に応じて切り換えられるようになっている。すなわち、駆動信号Smが磁選機8を動作させるON信号になると、磁選機用コントロールバルブ31が図7中上側の切換位置31Aに切り換えられる。
これにより、吐出管路39、センタバイパスライン23a、及びセンタライン23bを介し導かれた第2油圧ポンプ20からの圧油は、切換位置31Aに備えられた絞り手段31Aaから、これに接続する管路56、この管路56に設けられた圧力制御弁57(詳細は後述)、切換位置31Aに備えられたポート31Ab、及びこのポート31Abに接続する供給管路58aを経て、磁選機用油圧モータ207に供給され、この油圧モータ207が駆動される。駆動信号Smが磁選機8の停止に対応するOFF信号になると、磁選機用コントロールバルブ31はばね31bの付勢力で図7に示す遮断位置に復帰し、磁選機用油圧モータ207は停止する。
【0063】
さらに、前記排出コンベア用コントロールバルブ30は、上記磁選機用コントロールバルブ31同様、そのソレノイド駆動部30aにコントローラ45からの駆動信号Scomで駆動されるソレノイドが設けられる。駆動信号Scomが排出コンベア7を動作させるON信号になると、排出コンベア用コントロールバルブ30は図7中上側の連通位置30Aに切り換えられ、センタライン23bからの圧油が、切換位置30Aの絞り手段30Aaから、管路53、圧力制御弁54(詳細は後述)、切換位置30Aのポート30Ab、及びこのポート30Abに接続する供給管路55を介し排出コンベア用油圧モータ206に供給されて駆動される。駆動信号Scomが排出コンベア7の停止に対応するOFF信号になると、排出コンベア用コントロールバルブ30はばね30bの付勢力で図7に示す遮断位置に復帰し、排出コンベア用油圧モータ206は停止する。
【0064】
また、前記ローラ駆動用コントロールバルブ25はセンタバイパス型の電磁比例弁であり、上記ローラリフト/プレス用コントロールバルブ29同様、そのソレノイド駆動部25a1,25a2にコントローラ45からの駆動信号Srで駆動されるソレノイドが設けられる。駆動信号Srがローラ駆動用油圧モータ203の正転方向回転(又は逆転方向回転、以下対応関係同じ)に対応する信号、例えばソレノイド駆動部25a1,25a2への駆動信号SrがそれぞれON及びOFF(又はOFF及びON)になると、図7中上側の切換位置25A(又は図7中下側の切換位置25B)に切り換えられ、センタライン23bからの圧油が、切換位置25A(又は25B)の絞り手段25Aa(又は25Ba)から、管路66、圧力制御弁67(詳細は後述)、切換位置25A(又は25B)のポート25Ab(又は25Bb)、及びこのポート25Ab(又は25Bb)に接続する供給管路62a(又は62b)を介しローラ駆動用油圧モータ203に供給されて駆動される。駆動信号Slpがローラ駆動用油圧モータ203の停止に対応する信号、例えばソレノイド駆動部25a1,25a2への駆動信号SrがともにOFFになると、ローラ駆動用コントロールバルブ25はばね25b1,25b2の付勢力で図7に示す遮断位置に復帰し、ローラ駆動用油圧モータ203は駆動を停止する。
【0065】
さらに、前記案内コンベア用コントロールバルブ24も、上記ローラ駆動用コントロールバルブ同様センタバイパス型の電磁比例弁であり、そのソレノイド駆動部24a1,24a2にコントローラ45からの駆動信号Sgで駆動されるソレノイドが設けられ、例えばソレノイド駆動部24a1,24a2への駆動信号SgがそれぞれON及びOFF(又はOFF及びON)になると、図7中上側の切換位置24A(又は図7中下側の切換位置24B)に切り換えられ、センタライン23bからの圧油が、切換位置24A(又は24B)の絞り手段24Aa(又は24Ba)から、管路63、圧力制御弁64(詳細は後述)、ポート24Ab(又は24Ab)、及び供給管路70a(又は70b)を介し案内コンベア用油圧モータ202に供給されて駆動される。例えばソレノイド駆動部24a1,24a2への駆動信号SgがともにOFFになると、ばね24b1,24b2の付勢力で図7に示す遮断位置に復帰し、案内コンベア用油圧モータ202は駆動を停止する。
【0066】
なお、上記したローラリフト/プレス用油圧シリンダ204、排出コンベア用油圧モータ206、磁選機用油圧モータ207、ローラ駆動用油圧モータ203、及び案内コンベア用油圧モータ202への圧油の供給に関し、回路保護等の観点から、供給管路52a,55a,58a,62a,70aとタンクライン47bとの間を接続する管路59,60,61,68,69に、それぞれリリーフ弁59a,60a,61a,68a,69aが設けられている。
ここで、前述した管路50,53,56,63,66に設けた圧力制御弁51,54,57,64,67に係わる機能について説明する。
【0067】
案内コンベア用コントロールバルブ24の切換位置24A(又は24B)の前記ポート24Ab(又は24Bb)、ローラ駆動用コントロールバルブ25の切換位置25A(又は25B)の前記ポート25Ab(又は25Bb)、排出コンベア用コントロールバルブ30の切換位置30Aの前記ポート30Ab、磁選機用コントロールバルブ31の切換位置31Aのポート31Ab、及びローラリフト/プレス用コントロールバルブ29の切換位置29A(又は29B)のポート29Ab(又は29Bb)には、それぞれ、対応する案内コンベア用油圧モータ202、ローラ駆動用油圧モータ203、排出コンベア用油圧モータ206、磁選機用油圧モータ207、及びローラリフト/プレス用油圧シリンダ204の負荷圧力をそれぞれ検出するための負荷検出ポート24Ac(又は24Bc),25Ac(又は25Bc),30Ac,31Ac,29Ac(又は29Ac)がそれぞれ連通されている。このとき、負荷検出ポート24Ac(又は24Bc)は負荷検出管路65aに接続しており、負荷検出ポート25Ac(又は25Bc)は負荷検出管路65bに接続しており、負荷検出ポート30Acは負荷検出管路65cに接続しており、負荷検出ポート31Acは負荷検出管路65dに接続しており、負荷検出ポート29Ac(又は29Bc)は負荷検出管路65eに接続している。
【0068】
ここで、案内コンベア用油圧モータ202の負荷圧力が導かれる前記負荷検出管路65aと、ローラ駆動用油圧モータ203の負荷圧力が導かれる前記負荷検出管路65bとは、さらにシャトル弁65fを介して負荷検出管路65gに接続され、シャトル弁65fを介して選択された高圧側の負荷圧力はこの負荷検出管路65gに導かれるようになっている。またこの負荷検出管路65gと、排出コンベア用油圧モータ206の負荷圧力が導かれる前記負荷検出管路65cとは、シャトル弁65hを介して負荷検出管路65iに接続され、シャトル弁65hで選択された高圧側の負荷圧力が負荷検出管路65iに導かれるようになっている。さらにこの負荷検出管路65iと、磁選機用油圧モータ207の負荷圧力が導かれる前記負荷検出管路65dとは、シャトル弁65jを介して負荷検出管路65kに接続され、シャトル弁65jで選択された高圧側の負荷圧力が負荷検出管路65kに導かれるようになっている。そして、この負荷検出管路65kと、ローラリフト/プレス用油圧シリンダ204の負荷圧力が導かれる前記負荷検出管路65eとは、シャトル弁65mを介して最大負荷検出管路65nに接続され、シャトル弁65mで選択された高圧側の負荷圧力が最大負荷圧力として最大負荷検出管路65nに導かれるようになっている。
【0069】
そして、この最大負荷検出管路65nに導かれた最大負荷圧力は、最大負荷検出管路65nに接続する管路71a〜71hを介して、対応する前記圧力制御弁51,57,54,67,64の一方側にそれぞれ伝達される。このとき、圧力制御弁51,57,54,67,64の他方側には前記の管路50,56,53,66,63内の圧力、すなわち絞り手段29Aa(又は29Ba),31Aa,30Aa,25Aa(又は25Ba),24Aa(又は24Ba)の下流側圧力が導かれている。
【0070】
以上により、圧力制御弁51,57,54,67,64は、コントロールバルブ29,31,30,25,24の絞り手段29Aa(又は29Ba),31Aa,30Aa,25Aa(又は25Ba),24Aa(又は24Ba)の下流側圧力と、ローラリフト/プレス用油圧シリンダ204、磁選機用油圧モータ207、排出コンベア用油圧モータ206、ローラ駆動用油圧モータ203、及び案内コンベア用油圧モータ202のうちの最大負荷圧力との差圧に応答して作動し、各油圧モータ204,207,206,203,202の負荷圧力の変化にかかわらず、前記の差圧を一定値に保持するようになっている。すなわち、絞り手段29Aa(又は29Ba),31Aa,30Aa,25Aa(又は25Ba),24Aa(又は24Ba)の下流側圧力を、前記の最大負荷圧力よりもばね51a,57a,54a,67a,64aによる設定圧分だけ高くするようになっている。
【0071】
一方、第2油圧ポンプ20の吐出管路39に接続したセンタバイパスライン23a及びセンタライン23bから分岐したブリードオフ管路76には、ばね77aを備えたリリーフ弁(アンロード弁)77が設けられている。このリリーフ弁77の一方側には、前記最大負荷検出管路65n、これに接続する管路78を介し最大負荷圧力が導かれており、またリリーフ弁77の他方側にはポート77bを介しブリードオフ管路76内の圧力が導かれている。これにより、リリーフ弁77は、管路76及びセンタライン23b内の圧力を、前記の最大負荷圧力よりもばね77aによる設定圧分だけ高くするようになっている。すなわち、リリーフ弁77は、管路76及びセンタライン23b内の圧力が、最大負荷圧が導かれる管路78内の圧力にばね77aのばね力分が加算された圧力になったときに、管路76の圧油をポンプコントロールバルブ82を介してタンク47へと導き、これによってローラリフト/プレス用コントロールバルブ29、磁選機用コントロールバルブ31、排出コンベア用コントロールバルブ30、ローラ駆動用コントロールバルブ25、及び案内コンベア用コントロールバルブ24からの流量が一定になるように制御する。
【0072】
またこのときばね77aで設定されるリリーフ圧は、前述したリリーフ弁89及びリリーフ弁90の設定リリーフ圧よりも小さい値に設定されている。
【0073】
そして、ブリードオフ管路76のリリーフ弁77より下流側には、前記のポンプコントロールバルブ38と同様の流量−圧力変換機能をもつポンプコントロールバルブ82が設けられており、タンクライン47dに接続されるタンクライン47eとを絞り部分82aaを介して接続・遮断可能なピストン82aと、このピストン82aの両端部を付勢するばね82b,82cと、前記のパイロットポンプ21の吐出管路79にパイロット導入管路83a(後述)、及びパイロット導入管路83b(後述)を介して上流側が接続されてパイロット圧が導かれ、下流側が上記タンクライン47eに接続され、かつ前記のばね82bによってリリーフ圧が可変に設定される可変リリーフ弁82dとを備えている。
【0074】
このような構成により、破砕作業時において、ポンプコントロールバルブ82は以下のように機能する。すなわち、上述したようにセンタライン23bの最下流側端は閉止されており、また破砕作業時には後述のように右走行用コントロールバルブ28は操作されないため、センタライン23bを流れる圧油の圧力は、ローラリフト/プレス用コントロールバルブ29、磁選機用コントロールバルブ31、排出コンベア用コントロールバルブ30、ローラ駆動用コントロールバルブ25、及び案内コンベア用コントロールバルブ24の操作量(すなわちスプールの切換ストローク量)により変化する。各コントロールバルブ29,31,30,25,24の中立時、すなわち第2油圧ポンプ20へ要求する各コントロールバルブ29,31,30,25,24の要求流量(言い換えれば各油圧モータ204,207,206,203,202の要求流量)が少ない場合には、第2油圧ポンプ20から吐出される圧油はほとんど供給管路52a(又は52b),58a,55a,62a(又は62b),70a(又は70b)に導入されないため、余剰流量としてリリーフ弁77から下流側へ導出され、ポンプコントロールバルブ82に導入される。これにより、比較的大きな流量の圧油がピストン82aの絞り部分82aaを介してタンクライン47eへ導出されるので、ピストン82aは図7中右側に移動してばね82bによるリリーフ弁82dの設定リリーフ圧が低くなり、管路83から分岐して設けられ後述のロードセンシング傾転制御用の第1サーボ弁96へ至る管路84に、比較的低い制御圧力(ロードセンシング圧)Pc2を発生する。
【0075】
逆に、各コントロールバルブが操作されて開状態となった場合、すなわち第2油圧ポンプ20への要求流量が多い場合には、ブリードオフ管路76に流れる前記余剰流量が油圧モータ204,207,206,203,202側へ流れる流量分だけ減じられるため、ピストン絞り部分82aaを介しタンクライン47eへ導出される圧油流量は比較的小さくなり、ピストン82aは図6中左側に移動してリリーフ弁82dの設定リリーフ圧が高くなるので、管路84のロードセンシング圧Pc2は高くなる。本実施の形態では、後述するように、このロードセンシング圧Pc2の変動に基づき、第2油圧ポンプ20の斜軸20Aの傾転角を制御するようになっている(詳細は後述)。
【0076】
以上説明した、圧力制御弁51,57,54,67,64による絞り手段29Aa(又は29Ba),31Aa,30Aa,25Aa(又は25Ba),24Aa(又は24Ba)の下流側圧力と最大負荷圧力との間の制御、及びリリーフ弁77によるブリードオフ管路76内の圧力と最大負荷圧力との間の制御により、絞り手段29Aa(又は29Ba),31Aa,30Aa,25Aa(又は25Ba),24Aa(又は24Ba)の前後差圧を一定とする圧力補償機能を果たすこととなる。これにより、各油圧モータ204,207,206,203,202の負荷圧力の変化にかかわらず、コントロールバルブ29,31,30,25,24の開度に応じた流量の圧油を対応する油圧モータに供給できるようになっている。
そして、この圧力補償機能と、ポンプコントロールバルブ82からのロードセンシング圧Pc2の出力に基づく後述の油圧ポンプ20の斜軸20Aの傾転角制御とにより、結果として、第2油圧ポンプ20の吐出圧と絞り手段29Aa,30Aa,31Aaの下流側圧力との差が一定に保持されるようになっている(詳細は後述)。
【0077】
また、最大負荷圧が導かれる管路78とタンクライン47eとの間にはリリーフ弁85が設けられ、管路78内の最大圧力をばね85aの設定圧以下に制限し、回路保護を図るようになっている。すなわち、このリリーフ弁85と前記リリーフ弁77とでシステムリリーフ弁を構成しており、管路78内の圧力が、ばね85aで設定された圧力より大きくなると、リリーフ弁85の作用により管路78内の圧力がタンク圧に下がり、これによって前述のリリーフ弁77が作動しリリーフ状態となるようになっている。
【0078】
なお、上記のような配置において、第1弁グループ22の破砕用コントロールバルブ26及び左走行用コントロールバルブ27と、第2弁グループの右走行用コントロールバルブ28と、ポンプコントロールバルブ38と、リリーフ弁89,90とは、高圧側系統としてまとめられ、メインバルブユニット91に一体的に組み込まれている。一方、第2弁グループ23のローラリフト/プレス用コントロールバルブ29、磁選機用コントロールバルブ31、排出コンベア用コントロールバルブ30、ローラ駆動用コントロールバルブ25、及び案内コンベア用コントロールバルブ24と、リリーフ弁77と、ポンプコントロールバルブ82と、リリーフ弁85とは、低圧側系統としてまとめられ、サブバルブユニット92に一体的に組み込まれている。メインバルブユニット91のセンタバイパスライン23aの下流側のキャリオーバポート91aは、センタライン23bに連通するサブバルブユニット92のポンプポート92aに接続されている。
【0079】
レギュレータ装置34,35は、傾転アクチュエータ93,94と、第1サーボ弁95,96と第2サーボ弁97,98とを備え、これらのサーボ弁95〜98によりパイロットポンプ21や第1及び第2油圧ポンプ19,20から傾転アクチュエータ93,94に作用する圧油の圧力を制御し、第1及び第2油圧ポンプ19,20の斜軸19A,20Aの傾転(すなわち押しのけ容積)を制御するようになっている。
傾転アクチュエータ93,94は、両端に大径の受圧部93a,94a及び小径の受圧部93b,94bを有する作動ピストン93c,94cと、受圧部93a,93b及び94a,94bがそれぞれ位置する受圧室93d,93e及び94d,94eとを有する。そして、両受圧室93d,93e及び94d,94eの圧力が互いに等しいときは、作動ピストン93c,94cは受圧面積の差によって図8中右方向に移動し、これによって斜軸19A,20Aの傾転は大きくなり、ポンプ吐出流量QP1,QP2が増大する。また、大径側の受圧室93d,94dの圧力が低下すると、作動ピストン93c,94cは図8中左方向に移動し、これによって斜軸19A,20Aの傾転が小さくなりポンプ吐出流量QP1,QP2が減少するようになっている。なお、大径側の受圧室93d,94dは第1及び第2サーボ弁95〜98を介して、パイロットポンプ21の吐出管路79に連通する管路99に接続されており、小径側の受圧室93e,94eは直接管路99に接続されている。
【0080】
第1サーボ弁95,96のうち、レギュレータ装置34の第1サーボ弁95は前述したようにポンプコントロールバルブ38からの制御圧力(ネガコン圧)Pc1により駆動されるネガティブ傾転制御用のサーボ弁であり、レギュレータ装置35の第1サーボ弁96は、前述したようにポンプコントロールバルブ82からの制御圧力(ロードセンシング圧)Pc2により駆動されるロードセンシング制御用のサーボ弁であり、これらは互いに同等の構造となっている。
【0081】
すなわち、制御圧力PC1,PC2が高いときは弁体95a,96aが図8中右方向に移動し、パイロットポンプ21からのパイロット圧PPを減圧せずに傾転アクチュエータ93,94の受圧室93d,94dに伝達し、これによって斜軸19A,20Aの傾転が大きくなって第1及び第2油圧ポンプ19,20の吐出流量QP1,QP2を増大させる。そして制御圧力PC1,PC2が低下するにしたがって弁体95a,96aがばね95b,96bの力で図8中左方向に移動し、パイロットポンプ21からのパイロット圧PPを減圧して受圧室93d,94dに伝達し、第1及び第2油圧ポンプ19,20の吐出流量QP1,QP2を減少させるようになっている。
以上により、レギュレータ装置34の第1サーボ弁95では、前述したポンプコントロールバルブ38の機能と併せてコントロールバルブ26,27の要求流量に応じた吐出流量QP1が得られるよう、具体的にはセンタバイパスライン22aから流入しポンプコントロールバルブ38を通過する流量が最小となるように第1油圧ポンプ19の斜軸19Aの傾転(吐出流量)を制御する、いわゆるネガティブコントロールが実現される。
また、レギュレータ装置35の第1サーボ弁96では、前述したポンプコントロールバルブ82の機能と併せ、コントロールバルブ24,25,29,30,31の要求流量に応じた吐出流量QP2が得られるよう、具体的には第2油圧ポンプ20の吐出圧P2と絞り手段24Aa(又は24Ba),25Aa(又は25Ba),29Aa(又は29Ba),30Aa,31Aaの下流側圧力との差が一定に保持されるように第2油圧ポンプ20の斜軸20Aの傾転(吐出流量)を制御するいわゆるロードセンシング制御が実現される。
【0082】
一方、第2サーボ弁97,98は、いずれも入力トルク制限制御用のサーボ弁で、互いに同一の構造となっている。すなわち、第2サーボ弁97,98は、第1及び第2油圧ポンプ19,20の吐出圧P1,P2により作動する弁であり、それら吐出圧P1,P2が、第1及び第2油圧ポンプ19,20の吐出管路37,39から分岐して設けられた吐出圧検出管路100a〜c,101a〜cを介し、操作駆動部97aの受圧室97b,97c及び操作駆動部98aの受圧室98b,98cにそれぞれ導かれるようになっている。
【0083】
すなわち、第1及び第2油圧ポンプ19,20の吐出圧力の和P1+P2によって操作駆動部97a,98aに作用する力がばね97d,98dで設定されるばね力によって弁体97e,98eに作用する力より小さいときは、弁体97e,98eは図8中右方向に移動し、パイロットポンプ21から第1サーボ弁95,96を介し導かれたパイロット圧PPを減圧せずに傾転アクチュエータ93,94の受圧室93d,94dに伝達し、これによって第1及び第2油圧ポンプ19,20の斜軸19A,20Aの傾転を大きくして吐出流量を大きくする。
そして、第1及び第2油圧ポンプ19,20の吐出圧力の和P1+P2による力がばね97d,98dのばね力設定値による力よりも大きくなるにしたがって弁体97e,98eが図8中左方向に移動し、パイロットポンプ21から第1サーボ弁95,96を介し導かれたパイロット圧PPを減圧して受圧室93d,94dに伝達し、これによって第1及び第2油圧ポンプ19,20の吐出流量を減少させるようになっている。
【0084】
以上により、第1及び第2油圧ポンプ19,20の吐出圧力P1,P2が上昇するに従って第1及び第2油圧ポンプ19,20の吐出流量Q1,Q2の最大値Q1max,Q2maxが小さく制限され、第1及び第2油圧ポンプ19,20の入力トルクの合計をエンジン17の出力トルク以下に制限するように第1及び第2油圧ポンプ19,20の斜軸19A,20Aの傾転が制御されるいわゆる入力トルク制限制御(馬力制御)が実現される。このとき、さらに詳細には、第1油圧ポンプ19の吐出圧P1と第2油圧ポンプ20の吐出圧P2との和に応じて、第1及び第2油圧ポンプ19,20の入力トルクの合計をエンジン17の出力トルク以下に制限するいわゆる全馬力制御が実現される。
【0085】
本実施の形態では、第1油圧ポンプ19及び第2油圧ポンプ20の両方がほぼ同一の特性に制御される。すなわち、レギュレータ装置34の第2サーボ弁97において第1油圧ポンプ19を制御するときにおける第1及び第2油圧ポンプ19,20の吐出圧の和P1+P2と第1油圧ポンプ19の吐出流量Q1の最大値Q1maxとの関係と、レギュレータ装置35の第2サーボ弁98において第2油圧ポンプ20を制御するときにおける第1及び第2油圧ポンプ19,20の吐出圧の和P1+P2と第2油圧ポンプ20の吐出流量Q2の最大値Q2maxとの関係とが、互いに略同一の関係(例えば10%程度の幅で)となるように、かつ、第1及び第2油圧ポンプ19,20の吐出流量Q1,Q2の最大値Q1max,Q2maxを互いに略同じ値(例えば10%程度の幅で)で制限するようになっている。
【0086】
図6〜図8に戻り、前記の操作盤36には、破砕装置3を正転方向(正転方向)に起動させるためのクラッシャ正転起動スイッチ36aと、破砕装置3を逆転方向(逆転方向)に起動するためのクラッシャ逆転起動スイッチ36bと、破砕装置3を停止させるためのクラッシャ停止スイッチ36cと、破砕装置3の動作速度を調整するためのクラッシャスピードダイヤル36dと、案内コンベア2を正転方向に起動させるための案内コンベア正転起動スイッチ36eと、案内コンベア2を逆転方向に起動するための案内コンベア逆転起動スイッチ36fと、案内コンベア2を停止させるための案内コンベア停止スイッチ36gと、案内コンベア3の動作速度を調整するための案内コンベアスピードダイヤル36hと、導入用ローラ装置4のローラ11を正転方向に起動させるための導入用ローラ正転起動スイッチ36iと、ローラ11を逆転方向に起動するための導入用ローラ逆転起動スイッチ36jと、ローラ11を停止させるための導入用ローラ停止スイッチ36kと、ローラ11の動作速度を調整するための導入用ローラスピードダイヤル36mと、ローラ11を下降させ押圧力を増大させるための導入用ローラ下降スイッチ36nと、ローラ11を上昇させ押圧力を減少させるための導入用ローラ上昇スイッチ36oと、ローラ11の上昇・下降を停止させるための導入用ローラ昇降停止スイッチ36pと、排出コンベア7を起動させるための排出コンベア起動スイッチ36qと、排出コンベア7を停止させるための排出コンベア停止スイッチ36rと、磁選機8を起動させるための磁選機起動スイッチ36sと、磁選機8を停止させるための磁選機停止スイッチ36tと、走行操作を行う走行モード及び破砕作業を行う破砕モードのいずれか一方を選択するためのモード選択スイッチ36uとを備えている。
【0087】
操作者が上記操作盤36の各種スイッチ及びダイヤルの操作を行うと、その操作信号が前記のコントローラ45に入力される。コントローラ45は、操作盤36からの操作信号に基づき、前述した案内コンベア用コントロールバルブ24、ローラ駆動用コントロールバルブ25、破砕用コントロールバルブ26、ローラリフト/プレス用コントロールバルブ29、排出コンベア用コントロールバルブ30、磁選機用コントロールバルブ31、及びソレノイド制御弁46のソレノイド駆動部24a1,24a2、ソレノイド駆動部25a1,25a2、ソレノイド駆動部26a,26b、ソレノイド駆動部29a1,29a2、ソレノイド駆動部30a、ソレノイド駆動部31a、及びソレノイド46aへの前記の駆動信号Sg,Sr,Scr,Slp,Scom,Sm,Stを生成し、対応するソレノイドにそれらを出力するようになっている。
すなわち、操作盤36のモード選択スイッチ36uで「走行モード」が選択された場合には、ソレノイド制御弁46の駆動信号StをONにしてソレノイド制御弁46を図8中左側の連通位置に切り換え、操作レバー32a,33aによる走行用コントロールバルブ27,28の操作を可能とする。操作盤36のモード選択スイッチ36uで「破砕モード」が選択された場合には、ソレノイド制御弁46の駆動信号StをOFFにして図8中右側の遮断位置に復帰させ、操作レバー32a,33aによる走行用コントロールバルブ27,28の操作を不可能とする。言い換えれば、モード選択スイッチ36u及びソレノイド制御弁46は、走行作業あるいは破砕作業のいずれか一方を選択的に可能とする機能(いわゆるインターロック機能)を果たしている。
また、操作盤36のクラッシャ正転起動スイッチ36a(又はクラッシャ逆転起動スイッチ36b、以下、対応関係同じ)が押された場合、破砕用コントロールバルブ26のソレノイド駆動部26a(又はソレノイド駆動部26b)への駆動信号ScrをONにするとともにソレノイド駆動部26b(又はソレノイド駆動部26a)への駆動信号ScrをOFFにし、破砕用コントロールバルブ26を図6中上側の切換位置26A(又は下側の切換位置26B)に切り換え、第1油圧ポンプ19からの圧油を破砕用油圧モータ205に供給して駆動し、破砕装置3を正転方向(又は逆転方向)に起動する。なおこのとき、クラッシャスピードダイヤル36dの操作量に応じて前記駆動信号Scrの信号電流値が設定され、これによってその操作量に応じた速度で破砕装置3が動作する。
その後、クラッシャ停止スイッチ36cが押された場合、破砕用コントロールバルブ26のソレノイド駆動部26a及びソレノイド駆動部26bの駆動信号ScrをともにOFFにして図6に示す中立位置に復帰させ、破砕用油圧モータ205を停止し、破砕装置3を停止させる。
【0088】
同様に、操作盤36の案内コンベア正転起動スイッチ36e(又は案内コンベア逆転起動スイッチ36f)が押された場合、案内コンベア用コントロールバルブソレノイド駆動部24a1(又はソレノイド駆動部24a2)への駆動信号SgをONにするとともにソレノイド駆動部24a2(又はソレノイド駆動部24a1)への駆動信号SgをOFFにし、案内コンベア用コントロールバルブ24を切換位置24A(又は24B)に切り換え案内コンベア用油圧モータ202に供給して駆動し、案内コンベア2を正転方向(又は逆転方向)に起動する。このとき、案内コンベアスピードダイヤル36hの操作量に応じ駆動信号Sgの信号電流値が設定され、これに応じた速度で案内コンベア2が動作する。案内コンベア停止スイッチ36gが押されると、ソレノイド駆動部24a1,24a2の駆動信号SgをともにOFFにして図7に示す中立位置に復帰させ、案内コンベア2を停止させる。
【0089】
また同様に、導入用ローラ正転起動スイッチ36i(又は導入用ローラ逆転起動スイッチ36j)が押された場合、ローラ駆動用コントロールバルブソレノイド駆動部25a1(又は25a2)の駆動信号SrをONにするとともにソレノイド駆動部25a2(又は25a1)への駆動信号SrをOFFにし、ローラ駆動用コントロールバルブ25を切換位置25A(又は25B)に切り換え導入用ローラ装置4のローラ11を正転方向(又は逆転方向)に起動する。このとき、導入用ローラスピードダイヤル36mの操作量に応じた速度でローラ11が動作する。導入用ローラ停止スイッチ36kが押されると、ソレノイド駆動部25a1,25a2の駆動信号SrをともにOFFにして図7に示す中立位置に復帰させ、ローラ11を停止させる。
【0090】
さらに同様に、導入用ローラ下降スイッチ36n(又は導入用ローラ上昇スイッチ36o)が押された場合、ローラリフト/プレス用コントロールバルブソレノイド駆動部29a1(又は29a2)の駆動信号SlpをONにするとともにソレノイド駆動部29a2(又は29a1)への駆動信号SlpをOFFにし、ローラリフト/プレス用コントロールバルブ29を切換位置29A(又は29B)に切り換え導入用ローラ装置4のローラ11を下降(又は上昇)させる。導入用ローラ昇降停止スイッチ36pが押されると、ソレノイド駆動部29a1,29a2の駆動信号SlpをともにOFFにして図7に示す中立位置に復帰させ、ローラ11をそのときの高さ位置で停止させる。
また、操作盤36の排出コンベア起動スイッチ36qが押された場合、排出コンベア用コントロールバルブ30のソレノイド駆動部30aへの駆動信号ScomをONにして図7中上側の切換位置30Aに切り換え、第2油圧ポンプ20からの圧油を排出コンベア用油圧モータ206に供給して駆動し、排出コンベア7を起動する。その後、操作盤36の排出コンベア停止スイッチ36rが押されると、排出コンベア用コントロールバルブ30のソレノイド駆動部30aへの駆動信号ScomをOFFにして図7に示す中立位置に復帰させ、排出コンベア用油圧モータ206を停止し、排出コンベア7を停止させる。
同様に、磁選機起動スイッチ36sが押された場合、磁選機用コントロールバルブソレノイド駆動部31aへの駆動信号SmをONにして切換位置31Aに切り換え、磁選機8を起動する。その後、磁選機停止スイッチ36tが押されるとソレノイド駆動部31aへの駆動信号SmをOFFにして中立位置に復帰させ、磁選機8を停止させる。
【0091】
なお、以上説明した第1及び第2油圧ポンプ19,20と、パイロット油圧ポンプ21と、エンジン17と、コントロールバルブ24〜31を備えた制御弁装置(図示せず)とは、いずれも前記パワーユニット16に内蔵されている。
【0092】
すなわち、パワーユニット16の自走式木材破砕機後方側(図2中右側)の領域には、図2には現れていないが、前記第1及び第2油圧ポンプ19,20と、パイロット油圧ポンプ21と、前記エンジン17(その上部カバー17aのみ図2に図示)と、このエンジン17の冷却水を冷却するラジエータを備えた熱交換器装置とが、自走式木材破砕機の幅方向(図2中上下方向、前記本体フレーム9の短手方向)に並設されている。
一方、パワーユニット16の自走式木材破砕機前方側(図2中左側)の領域には、前記エンジン17の燃料タンク(その給油口102のみを図2に図示)と、前記動力としての圧油(作動油)を貯留する作動油タンク(その給油口103のみを図2に図示)と、前記制御弁装置と、運転席16Aとが、この順序で自走式木材破砕機幅方向右側(図2中上側)から左側(図2中下側)へ向かって並設されている。
【0093】
なお、以上のパワーユニット16の各機器は、パワーユニット16の基礎下部構造をなすパワーユニットフレーム16a(図1参照)上に配置されており、このパワーユニットフレーム16aが、前記パワーユニット積載部材15(図1参照)を介し、前記本体フレーム破砕機取付け部9Aの後端部の上部に搭載されている。
【0094】
以上において、ロータ3dの図4及び図5中矢印イ方向への回転が、各請求項記載の破砕ロータの一方向回転に相当し、ロータ3dの図4及び図5中矢印ウ方向への回転が、破砕ロータの他方向回転に相当し、ビット3aが、刃面を破砕ロータの一方向回転に対応するように配設した第1破砕ビットを構成し、ビット3bが、刃面を破砕ロータの他方向回転に対応するように配設した第2破砕ビットを構成する。
【0095】
また、導入用ローラ装置4が、被破砕木材を把持し破砕装置へと導入する把持導入手段を構成し、案内コンベア2が、ほぼ水平方向から導入された被破砕木材を把持導入手段へ導く木材案内手段を構成し、無限軌道履帯10Aが、本体フレームに設けた走行手段を構成する。
また、破砕用油圧モータ205が、破砕ロータを一方向及び他方向のいずれにも回転可能な駆動手段を構成し、操作盤36のクラッシャ正転起動スイッチ36a及びクラッシャ逆転起動スイッチ36bが、手動動作で駆動手段を一方向又は他方向に駆動可能な操作手段を構成する。
【0096】
次に、本実施の形態の動作を以下に説明する。
【0097】
(I)自力走行時
例えば稼働現場内において自走式木材破砕機を平地走行させる場合、あるいは稼動現場に向かうためにトレーラーに積載するためにトレーラー荷台上へ向かって自走する場合、又は稼働現場に到着後トレーラー荷台から下りるために自走する場合等の自力走行時には、操作者は、操作盤36のモード選択スイッチ36uで「走行モード」を選択し、運転席16Aに搭乗して操作レバー32a,33aを前方に操作する。これにより、左・右走行用コントロールバルブ27,28が図6中上方の切換位置27A,28Aに切り換えられ、第1及び第2油圧ポンプ19,20からセンタバイパスライン22a,23aを介し導かれた圧油が左・右走行用油圧モータ201L,201Rに供給され、これらが正転方向に駆動され、破砕機の両側の無限軌道履帯10Aが正転方向に駆動されて走行体6が前方へ走行する。
(II)破砕作業時
上記構成の自走式木材破砕機において、破砕作業時には、操作者は、操作盤36のモード選択スイッチ36uで「破砕モード」を選択して走行操作を不可能にした後、クラッシャ速度設定ダイヤル36d、案内コンベアスピードダイヤル36h、導入用ローラスピードダイヤル36mを所望の設定速度となる位置までまわして速度設定を行う。その後、磁選機起動スイッチ36s、排出コンベア起動スイッチ36q、クラッシャ正転起動スイッチ36aを順次押すとともに、導入用ローラ下降スイッチ36nを適宜操作し、さらに導入用ローラ正転起動スイッチ36i、案内コンベア正転起動スイッチ36eを順次押す。
【0098】
上記の操作により、コントローラ45から磁選機用コントロールバルブ31のソレノイド駆動部31aへの駆動信号SmがONになって磁選機用コントロールバルブ31が図7中上側の切換位置31Aに切り換えられ、またコントローラ45から排出コンベア用コントロールバルブ30のソレノイド駆動部30aへの駆動信号ScomがONになって排出コンベア用コントロールバルブ30が図7中上側の切換位置30Aに切り換えられ、さらにコントローラ45から破砕用コントロールバルブ26のソレノイド駆動部26aへの駆動信号ScrがONになるとともにソレノイド駆動部26bへの駆動信号ScrがOFFになり、破砕用コントロールバルブ26が図6中上側の切換位置26Aに切り換えられる。
また、コントローラ45からローラリフト/プレス用コントロールバルブ29のソレノイド駆動部29a1への駆動信号SlpがONになるとともにソレノイド駆動部29a2への駆動信号SlpがOFFになり、ローラリフト/プレス用コントロールバルブ29が図7中上側の切換位置29Aに切り換えられ、さらにコントローラ45からローラ駆動用コントロールバルブ25のソレノイド駆動部25a1への駆動信号SrがONになるとともにソレノイド駆動部25a2への駆動信号SrがOFFになり、ローラ駆動用コントロールバルブ25が図7中上側の切換位置25Aに切り換えられ、さらにコントローラ45から案内コンベア用コントロールバルブ24のソレノイド駆動部24a1への駆動信号SgがONになるとともにソレノイド駆動部24a2への駆動信号SgがOFFになり、案内コンベア用コントロールバルブ24が図7中上側の切換位置24Aに切り換えられる。
【0099】
これにより、第2油圧ポンプ20からの圧油がメインバルブユニット91のセンタバイパスライン23a及びキャリオーバポート91aを介し、サブバルブユニット92のポンプポート92a及びセンタライン23bへ導入され、さらに磁選機用油圧モータ207、排出コンベア用油圧モータ206、ローラリフト/プレス用油圧シリンダ204、ローラ駆動用油圧モータ203、及び案内コンベア用油圧モータ202に供給され、磁選機8、排出コンベア7、導入用ローラ装置4、及び案内コンベア2が起動されるとともに、導入用ローラ装置4のローラ11が、導入用ローラ下降スイッチ36nの操作時間(あるいは操作量)に応じて下降する。一方、第1油圧ポンプ19からの圧油が供給管路72aを介し破砕用油圧モータ205に供給されて破砕装置3のロータ3dが正転方向に起動される。
【0100】
その後、例えば適宜の作業具あるいは手作業(人力)によりホッパ1の開口部1bに略水平方向から被破砕木材を投入すると、ホッパ1で受け入れられた被破砕木材は案内コンベア2のチェーンベルト2c上に載置されて略水平方向に自走式木材破砕機後方(図1、図2中右方)に搬送される。このように後方へと搬送されてきた被破砕木材は、案内コンベア2の後端(図1、図2中右側端)付近まで来ると、その上部を導入用ローラ装置4のローラ把持部11cで押さえつけられることにより把持され、ローラ11の回転と共に少なくとも一部分が把持された状態のまま破砕装置3へと送り込まれる。破砕装置3では、その被破砕木材にロータ3dのビット3a,3bで打撃を加えて所定の大きさに破砕(粉砕)し、破砕された木材破砕物は、篩い部材13bを通過してシュート14を介し排出コンベア7のベルト7h上に落下して運搬され、最終的に自走式木材破砕機の後部(図1中右端部)から排出(搬出)される。
【0101】
このとき、ホッパ1に投入された被破砕木材に破砕装置3の破砕能力を上回る大きさ又は量の被破砕木材あるいは破砕不可能な異物が投入されると、破砕装置3のロータ3d近傍にその被破砕木材等が詰まってしまう場合がある。このような場合(目測、あるいはロータ3d及び破砕用油圧モータ205の停止によって詰まり状態を検知する。あるいは後述の過負荷検出時にパトライト等の表示手段に警告表示させても良い)には、操作者は、操作盤36のクラッシャ停止スイッチ36cを押してロータ3dを停止させた後直ちにクラッシャ逆転起動スイッチ36bを押す。これにより、コントローラ45から破砕用コントロールバルブ26のソレノイド駆動部26bへの駆動信号ScrがONになるとともにソレノイド駆動部26aへの駆動信号ScrがOFFになり、破砕用コントロールバルブ26が図6中下側の切換位置26Bに切り換えられ、第1油圧ポンプ19からの圧油が供給管路72bを介し破砕用油圧モータ205に供給されて破砕装置3のロータ3dが逆転方向に起動される。
【0102】
このとき、本実施の形態においては、ロータ3dには、刃面が正転方向回転に対応するように配設されたビット3a−1〜3a−24のみならず、刃面が上記逆転方向回転に対応するように配設されたビット3b−1〜3b−24が設けられている。これにより、上記のようにロータ3dが逆転方向に回転するときにも、ビット3b−1〜3b−24で被破砕木材の破砕を行うことができる。これにより、ロータ3dが正転方向及び逆転方向のいずれの方向に回転している場合でも、ビット3a−1〜3a−24及びビット3b−1〜3b−24のいずれか一方を用いて常時破砕作業を行うことができる。
したがって、正転方向回転の時にのみ破砕作業を行い逆転方向回転のときには破砕作業を行えない従来構造と異なり、稼働時間内における非作業時間を大幅に低減でき、稼働時間のうちの実作業時間を大幅に増大できる(ほぼ100%近くにできる)ので、稼働効率を向上できる。
【0103】
また、ロータ3dの反転時にビット3b−1〜3b−24によって詰まった被破砕木材の破砕(解きほぐし)を行えることになり、より詰まりがほぐれて除去されやすくなる。これにより、正常運転への復帰が容易かつ確実となるという効果もある。
【0104】
さらに、ロータ3dの正転方向回転による破砕作業によってビット3a−1〜3a−24が摩耗した場合でも、ロータ3dを逆転方向回転させることで残りのビット3b−1〜3b−24で引き続き破砕作業を継続することができる。したがって、メンテナンス間隔を長くすることができ、これによっても稼働効率を向上することができる。
【0105】
なお、上記本発明の一実施の形態においては、ロータ3d周辺に被破砕木材の詰まりが生じた場合に手動操作によってロータ3dを反転させたが、これに限られず、自動反転させても良い。そのような変形例を図9及び前出の図6を用いて説明する。
【0106】
すなわち、本変形例においては、図6中2点鎖線で示すように、前記破砕用油圧モータ205への供給管路72a,72b内の負荷圧力PL,PRを検出する圧力センサ73a,73bを設け、その検出圧力PL,PRをコントローラ45に入力して破砕装置3の過負荷状態を判定し、過負荷状態となったときにはロータ3dの回転方向を反転して逆転方向に回転させるものである。
【0107】
図9は、そのコントローラ45による制御内容を表す制御フローである。
図9において、前述した操作盤36のクラッシャ正転起動スイッチ36aが押されると、コントローラ45はこのフローを開始する。まずステップ10で、破砕装置3が過負荷状態かどうかを識別するためのフラグ、過負荷状態の継続時間をカウントするための計算子T、及び逆転動作の継続時間をカウントするための計算子T′をそれぞれ0にクリアする。
【0108】
次にステップ20で、破砕装置3の停止が指示されたかどうかを判定する。具体的には、前述の操作盤36のクラッシャ停止スイッチ36cが押されたかどうかを判定する。停止スイッチ36cが押されていれば、この判定が満たされ、後述のステップ130に移って直ちに破砕装置3を停止する。停止スイッチ36cが押されていなければこの判定が満たされず、ステップ30へ移る。
【0109】
ステップ30では、フラグが前記した破砕装置3の過負荷状態を示す1であるかどうかを判定する。過負荷状態であればフラグが1となっており(後述する)判定が満たされるため、後述のステップ110に移って直ちに破砕装置3のロータ3dを逆転方向へと起動する(後述)。過負荷状態でなければフラグは0であるため、この判定が満たされず、ステップ40へ移る。
【0110】
ステップ40では、破砕装置3のロータ3dを正転方向へ駆動する。すなわち、前記破砕用コントロールバルブ26のソレノイド駆動部26aへの駆動信号ScrをONにするとともに、ソレノイド駆動部26bへの駆動信号ScrをOFFにし、破砕用コントロールバルブ26を切換位置26Aに切り換え、これによって第1油圧ポンプ19からの圧油を供給管路72aを介し破砕用油圧モータ205に供給して破砕装置3を正転方向に駆動する。
【0111】
その後、ステップ50に移り、圧油供給管路72aに設けた前記圧力センサ73aの検出信号P1を入力し、P1が予め定められた所定のしきい値P10(=破砕装置3の停止や破損を防止できるように適宜設定記憶させておく)より大きいかどうかを判定する。P1≦P10であれば判定が満たされず破砕装置3は高負荷状態ではないとみなされ、ステップ60で前記時間計算子T=0にクリアした後ステップ20へ戻る。P1>P10であれば判定が満たされて破砕装置3の高負荷状態とみなされ、ステップ70で前記時間計算子Tに1を加えた後、ステップ80へと移る。
【0112】
ステップ80では、Tが予め定められた所定のしきい値T1(=過渡的・一時的な高負荷状態であるか継続的な過負荷状態であるかを判定するために適宜設定記憶させておく)より大きいかどうかを判定する。T≦T1であれば判定が満たされずステップ20へ戻って上記ステップ20〜80を繰り返す。この繰り返している間に高負荷状態でなくなりP1≦P10となればステップ50からステップ60に移って前記時間計算子Tは再びクリアされるが、繰り返している間高負荷状態であるP1>P10が継続してついにT>T1となったら、ステップ80の判定が満たされて破砕装置3は過負荷状態であるとみなされ、ステップ90へと移る。
【0113】
ステップ90では、時間計算子T=0にクリアする。その後、ステップ100で前記フラグを過負荷状態であることを示す1にし、ステップ110へと移る。
【0114】
ステップ110では、破砕装置3のロータ3dを逆転方向へ駆動する。すなわち、前記破砕用コントロールバルブ26のソレノイド駆動部26bへの駆動信号ScrをONにするとともに、ソレノイド駆動部26aへの駆動信号ScrをOFFにし、破砕用コントロールバルブ26を切換位置26Bに切り換える。これによって第1油圧ポンプ19からの圧油を圧油供給管路72bを介し破砕用油圧モータ205に供給して破砕装置3のロータ3dを逆転方向に駆動する。なおこのとき、このフローのステップとして明確に示すのを省略するが、案内コンベア用コントロールバルブ24及びローラ駆動用コントロールバルブ25を中立位置にして案内コンベア用油圧モータ202及びローラ駆動用油圧モータ203の押込力を解放するか、案内コンベア用油圧モータ202及びローラ駆動用油圧モータ203を破砕装置3のロータ3dの逆転駆動と同期させて逆転駆動するか、あるいはローラリフト/プレス用油圧シリンダ204を縮短して202,203の押込力を解放する制御を併せて行う。
【0115】
その後、ステップ120に移り、圧油供給管路72bに設けた前記圧力センサ73bの検出信号P2を入力し、P2が予め定められた所定のしきい値P20(=破砕装置3の停止や破損を防止できるように適宜設定記憶させておく)より大きいかどうかを判定する。P2>P20であれば判定が満たされ、これ以上の動作は破砕装置3の破損等を招く可能性がある好ましくない状態であるとみなされ、ステップに移って破砕装置3のロータ3dを停止させる。すなわち、破砕用油圧コントロールバルブ26のソレノイド駆動部26a及びソレノイド駆動部26bの駆動信号ScrをともにOFFにして図6に示す中立位置に復帰させる。
【0116】
ステップ120においてP2≦P20であれば判定が満たされず破砕装置3が破損する可能性のある好ましくない状態ではないとみなされ、ステップ140で前記時間計算子T′に1を加えた後、ステップ150へと移る。
【0117】
ステップ150では、T′が予め定められた所定のしきい値T2(=詰まった被破砕木材・異物がロータ3d近傍から脱出するのに十分なように適宜設定記憶させておく)より大きいかどうかを判定する。T′≦T2であれば判定が満たされずステップ20へ戻って上記ステップ20〜150を繰り返す。但しこのときフラグが過負荷状態を示す1となっていることから、ステップ20→ステップ30→ステップ110→ステップ120〜150を繰り返すこととなる。この繰り返している間にP2>P20となればステップ120からステップ130に移って直ちに破砕装置3のロータ3dが停止されるが、繰り返している間P2≦P20が継続してついにT′>T2となったら、ステップ150の判定が満たされて破砕装置3のロータ3dは十分な時間だけ逆転をしたとみなされ、ステップ160へと移る。
【0118】
ステップ160では、前記時間計算子T′=0にクリアする。その後、ステップ170に移ってフラグを過負荷状態でない0にクリアし、ステップ20へ戻る。その後は、同様の手順を繰り返す。
【0119】
なお、上記において、圧力センサ73aと、コントローラ45の行う上記ステップ50及びステップ80が、破砕装置の過負荷状態を検出する過負荷検出手段を構成し、コントローラ45の行う上記ステップ110が、過負荷状態が検出されたときには駆動手段の回転方向を反転させる駆動制御手段を構成する。
【0120】
次に、本変形例における動作及び作用を以下に説明する。
既に、前述したような自走式木材破砕機の破砕作業中、ホッパ1に投入した被破砕木材に破砕装置3の破砕能力を上回る大きさ又は量の被破砕木材あるいは破砕不可能な異物が投入されると、破砕用油圧モータ205の負荷が大きくなり、供給管路72aの圧力を検出する圧力センサ73aの検出信号P1が前記P10よりも大きくなる。これにより図9のフローのステップ50の判定が満たされてステップ70→ステップ80へと進み、この状態が所定の時間継続するとステップ80の判定が満たされてステップ90、ステップ100を経てステップ110においてコントローラ45から破砕用コントロールバルブソレノイド駆動部26a,26bへの駆動信号ScrがそれぞれOFF,ONになり、第1油圧ポンプ19からの圧油が供給管路72bを介して破砕用油圧モータ205に供給され、破砕装置3のロータ3dが逆転方向に起動される。これにより、破砕装置3のロータ3d回りにいったん詰まった被破砕木材等を導入側(ローラ11側)へ押し出すことができる。
【0121】
このとき、本変形例においては、上記本発明の一実施の形態において説明したように、ロータ3dが逆転方向に回転するときにも、ビット3b−1〜3b−24で被破砕木材の破砕を行うことができる。これにより、稼働時間内における非作業時間を大幅に低減でき、稼働時間のうちの実作業時間を大幅に増大できる(ほぼ100%近くにできる)ので、稼働効率を向上できる。
【0122】
一方、投入された異物等が破砕不可能な異物であった場合等ではそれがロータ3d周囲に引っかかる等によってこの逆転動作時にも破砕用油圧モータ205の負荷が大きくなるため、供給管路72bの圧力を検出する圧力センサ73bの検出信号P2が前記P20よりも大きくなり、ステップ130で破砕装置3のロータ3dは停止する。
【0123】
投入された異物等が破砕不可能ではないがたまたま破砕能力を上回る大きさ又は量の被破砕物であった場合等では、上記逆転動作によってその投入被破砕物がほぐされてより破砕されやすくなるので、逆転動作時には破砕用油圧モータ205の負荷は大きくならない。これによりステップ120の判定が満たされてステップ140→ステップ150へと進み、この状態が所定の時間継続するとステップ50の判定が満たされてステップ160、ステップ170、ステップ20、ステップ30を経てステップ40において再び破砕用油圧モータ205の正転駆動が行われる。
【0124】
このようにして、正転動作や、正転→逆転→正転という動作を繰り返しながら、破砕作業を行っていき、破砕作業が終了したら、操作者が操作盤36のクラッシャ停止スイッチ36cを押すことにより、ステップ20からステップ130へ移って破砕装置3が停止する。
以上説明したように、本変形例によっても、上記本発明の一実施の形態と同様、稼動効率の向上効果を得る。またこれに加え、ロータ3dの過負荷状態時にはロータ3dを自動的に反転し逆方向回転させることにより、ロータ3dに生じている被破砕木材等の詰まりを速やかに除去し、ロータ3dの停止や破損をさらに確実に防止できる。
【0125】
なお、上記変形例における圧力センサ73a,73bに代えて、ロータ3dあるいは破砕用油圧モータ205の回転数を検出する回転数センサを設け、その検出信号に基づき過負荷状態を判定しても良い。この場合も同様の効果を得る。
【0126】
また、以上においては、図4及び図5に示すように、ロータ3dの外周部に設けるビット3a,3bを互いに同一形状(刃先が略扁平な形状)で大きさも同一としたが、これに限られず、大きさや形状(種類)を異ならせても良い。以下、そのような変形例を説明する。
【0127】
▲1▼同一形状で大きさを変えた場合
図10は、この変形例におけるロータ3d及び導入用ローラ装置4近傍の拡大透視側面図を側面図であり、図11は、ビット3a,3bのロータ3dへの取り付け位置を表す図10中D1−D2面から見た展開外面図であり、それぞれ、上記本発明の一実施の形態の図4及び図5に相当する図である。上記本発明の一実施の形態と同等の部分には同一の符号を付す。
【0128】
これら図10及び図11において、本変形例では刃面がロータ3dの逆転方向(図4及び図5中矢印ウ方向)回転に対応するような向きに配置されたビット3b−1〜3b−24のほうが、刃面がロータ3dの正転方向(図4及び図5中矢印イ方向)回転に対応するような向きに配置されたビット3a−1〜3a−24のよりも大きさが小さくなっている(但し形状は同一)。
【0129】
本変形例においても、上記本発明の一実施の形態同様、ロータ3dが逆転方向に回転するときにも、ビット3b−1〜3b−24で被破砕木材の破砕を行うことができるので、稼働時間内における非作業時間を大幅に低減でき、稼働時間のうちの実作業時間を大幅に増大できる。
【0130】
またこれに加え、以下のような効果もある。
【0131】
すなわち、一般に、破砕ビットのビット形状が同一でも、大きさを変えることで木材破砕物の大きさ(粒度)を変えることができ、ビットの大きさが小さいほど木材破砕物の粒度が小さくなる。
【0132】
したがって、本変形例においては、ビット3b−1〜3b−24で破砕したときのほうが、ビット3a−1〜3a−24で破砕したときよりも破砕物の粒度を小さくすることができる。これにより、本変形例では、上記通常の破砕作業以外の他の使用法として、例えば比較的大きい粒度の木材破砕物を得たい場合にはロータ3dを正転方向に回転させるとともに、比較的小さい粒度の木材破砕物を得たい場合にはロータ3dを逆転方向に回転させることで、ビット3b−1〜3b−24及びビット3a−1〜3a−24を最終的に得たい粒度分布に応じて(つまり用途に応じて)使い分けることが可能となる。すなわち、粒度の異なる2つの木材破砕物を1つの自走式木材破砕機でビット交換なしで生産することができる。
【0133】
▲2▼異なる形状(種類)のビットを用いた場合
図12は、この変形例におけるロータ3d及び導入用ローラ装置4近傍の拡大透視側面図を側面図であり、図13は、ビット3a,3bのロータ3dへの取り付け位置を表す図12中E1−E2面から見た展開外面図であり、それぞれ、上記本発明の一実施の形態の図4及び図5に相当する図である。上記本発明の一実施の形態と同等の部分には同一の符号を付す。
【0134】
これら図12及び図13において、本変形例では刃面がロータ3dの逆転方向(図4及び図5中矢印ウ方向)回転に対応するような向きに配置されたビット3b−1〜3b−24を先端が尖った形状のいわゆるコニカルビットと称されるものとしている。
【0135】
本変形例においても、上記本発明の一実施の形態同様、ロータ3dが逆転方向に回転するときにも、ビット3b−1〜3b−24で被破砕木材の破砕を行うことができるので、稼働時間内における非作業時間を大幅に低減でき、稼働時間のうちの実作業時間を大幅に増大できる。
【0136】
またこれに加え、以下のような効果もある。
【0137】
すなわち、一般に、破砕ビットは、その破砕対象とする被破砕木材の種類(例えば硬さ)に合わせて種々の形状のものがある。上記本発明の一実施の形態や上記大きさのみを変えた変形例においてビット3a−1〜3a−24及びビット3b−1〜3b−24で使用した刃先が略扁平な形状のビットは、丸太や水分を含む流木等、比較的硬い被破砕木材の破砕に好適であるが、例えばつる、草等を含む比較的軟らかい被破砕木材の破砕に用いると摩耗が激しくなる等の不都合がある。このような軟らかい被破砕木材には、先端が尖った形状のコニカルビットが好適であり、またその場合にきめの細かい粒度を得ることができる。
【0138】
したがって、本変形例においては、ビット3b−1〜3b−24が比較的軟らかい被破砕木材の破砕に好適であり、ビット3a−1〜3a−24が比較的硬い被破砕木材の破砕に好適となる。これにより、本変形例では、上記通常の破砕作業以外の他の使用法として、例えば比較的硬い被破砕木材を破砕する場合にはロータ3dを正転方向に回転させるとともに、比較的軟らかい被破砕木材を破砕する場合にはロータ3dを逆転方向に回転させることで、ビット3b−1〜3b−24及びビット3a−1〜3a−24を被破砕木材の硬さに応じて(つまり用途に応じて)使い分けることが可能となる。すなわち、硬さの異なる2つの被破砕木材を1つの自走式木材破砕機でビット交換なしで破砕することができる。
【0139】
また、一般に、比較的硬い被破砕木材に対しては破砕ビットを下から上向きに(ロータ3dの正転方向回転に対応)衝突させて破砕するほうが破砕効率がよく、比較的軟らかい被破砕木材に対しては破砕ビットを上から下向きに(ロータ3dの逆転方向回転に対応)衝突させて破砕するほうが破砕効率がよい。これに応じて、本変形例では、硬材用ビットとしてビット3a−1〜3a−24を配設し、ロータ3dの正転方向回転時において比較的硬い被破砕木材に対し上向きに衝突して破砕を行うようにし(図12の矢印イ参照)、軟材用ビットとしてビット3b−1〜3b−24を配設し、ロータ3dの逆転方向回転時において比較的に軟らかい被破砕木材に対し下向きに衝突して破砕を行う(図12の矢印ウ参照)。これにより、比較的硬い被破砕木材、比較的軟らかい被破砕木材それぞれに対しさらに破砕効率を向上できる。
【0140】
なお、以上においては、導入用ローラ装置4において回転軸11aを略水平方向に配置した1つのローラ11を設けたが、これに限られず、回転軸を略鉛直方向に配置した2つのローラを設け、これらローラ間に被破砕木材を狭持して破砕装置3に導入するようにしてもよい。あるいはこれらを組み合わせ、例えば略鉛直方向2つ及び略水平方向1つの合計3つのローラを設けることも考えられる。すなわち、少なくとも1つの回転駆動されるローラがあれば足りる。
また、以上においては、破砕装置としてロータ3dの外周部にビット3a,3bを取り付けたいわゆるインパクトクラッシャを備えた破砕機を例にとって説明したが、これに限られず、他の破砕装置、例えば、平行に配置された軸にカッタを備え、互いに逆回転させることにより被破砕木材をせん断する破砕装置(いわゆるシュレッダを含む2軸せん断機等)や、被破砕木材をチップ状にするいわゆる木材チッパーを備えた破砕機にも適用可能である。これらの場合にも、同様の効果を得る。
【0141】
【発明の効果】
本発明によれば、破砕ロータに、第1破砕ビットの刃面を一方向回転に対応するように配設するとともに、第2破砕ビットの刃面を他方向回転に対応するように配設するので、破砕ロータがいずれの方向に回転している場合でも、第1破砕ビット及び第2破砕ビットのいずれか一方を用いて常時破砕作業を行うことができる。したがって、稼働時間内における非作業時間を大幅に低減できるので、稼働効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自走式木材破砕機の一実施の形態の全体構造を表す側面図である。
【図2】図1に示した自走式木材破砕機の上面図である。
【図3】図1中に示す構造のうち本体フレーム及び走行装置を図1中A方向からみた正面図である。
【図4】図1中B部の拡大透視側面図である。
【図5】ビットのロータへの取り付け位置を表す図4中C1−C2面から見た展開外面図である。
【図6】図1に示した自走式木材破砕機に備えられた油圧駆動装置の概略構成を表す油圧回路図である。
【図7】図1に示した自走式木材破砕機に備えられた油圧駆動装置の概略構成を表す油圧回路図である。
【図8】図1に示した自走式木材破砕機に備えられた油圧駆動装置の概略構成を表す油圧回路図である。
【図9】ロータに被破砕木材の詰まりが生じた場合に自動反転させる本発明の自走式木材破砕機の変形例に備えられたコントローラによる制御内容を表す制御フローである。
【図10】ロータに同一形状で大きさの異なるビットを設けた本発明の自走式木材破砕機の変形例における、ロータ及び導入用ローラ装置近傍の拡大透視側面図である。
【図11】ビットのロータへの取り付け位置を表す図10中D1−D2面から見た展開外面図である。
【図12】ロータに異なる形状(種類)のビットを用いた本発明の自走式木材破砕機の変形例における、ロータ及び導入用ローラ装置近傍の拡大透視側面図である。
【図13】ビットのロータへの取り付け位置を表す図12中E1−E2面から見た展開外面図である。
【符号の説明】
2 案内コンベア(木材案内手段)
3 破砕装置
3a ビット(硬材用ビット、第1破砕ビット)
3b ビット(軟材用ビット、第2破砕ビット)
3d ロータ(破砕ロータ)
4 導入用ローラ装置(把持導入手段)
7 排出コンベア
9 本体フレーム
10A 無限軌道履帯(走行手段)
36 操作盤
36a クラッシャ正転起動スイッチ(操作手段)
36b クラッシャ逆転起動スイッチ(操作手段)
45 コントローラ(過負荷検出手段、駆動制御手段)
73a 圧力センサ(過負荷検出手段)
205 破砕用油圧モータ(駆動手段)
Claims (7)
- 本体フレームと、この本体フレームに設けた走行手段と、前記本体フレームに設けられ、破砕ロータとこの破砕ロータの外周面に設けた複数の破砕ビットを有する破砕装置と、前記破砕装置における前記破砕ロータの外周側に配置した篩い部材と、被破砕木材を把持し前記破砕装置へと導入する把持導入手段と、ほぼ水平方向から導入された被破砕木材を前記把持導入手段へ導く木材案内手段と、前記破砕装置で破砕された木材破砕物を排出する排出コンベアとを備えた自走式木材破砕機において、
前記破砕装置は、前記破砕ロータの外周面上において、前記破砕ロータの軸方向及び周方向に間隔をもって設けた複数の固定具と、
刃面が前記破砕ロータの正回転方向に対応するように、前記各固定具の一方側に設けた第1の破砕ビットと、
刃面が前記破砕ロータの逆回転方向に対応するように、前記各固定具の他方側に設けた第2の破砕ビットと、
前記破砕ロータの軸に連結され、前記破砕ロータを前記一方向及び前記他方向のいずれにも回転可能な駆動手段とを備えている
ことを特徴とする自走式木材破砕機。 - 請求項1に記載の自走式木材破砕機において、
手動操作で前記駆動手段を前記一方向又は前記他方向に駆動可能な操作手段を更に備えることを特徴とする自走式木材破砕機。 - 請求項1又は2に記載の自走式木材破砕機において、
前記破砕装置の過負荷状態を検出する過負荷検出手段と、その過負荷状態が検出されたときには前記駆動手段の回転方向を反転させる駆動制御手段とを更に備えることを特徴とする自走式木材破砕機。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自走式木材破砕機において、
前記破砕装置は、前記破砕ロータの外周面上において、前記破砕ロータの軸方向及び周方向に間隔をもって略V字状形状をなすように設けた複数の固定具と、
前記各固定具における前記破砕ロータの回転方向の一方側に設けた第1の破砕ビットと、
前記各固定具における前記破砕ロータの回転方向の他方側に設けた第2の破砕ビットとを備えた
ことを特徴とする自走式木材破砕機。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自走式木材破砕機において、
前記第1破砕ビットと前記第2破砕ビットとは、互いに形状が同一でかつ大きさが異なることを特徴とする自走式木材破砕機。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自走式木材破砕機において、
前記第1破砕ビットと前記第2破砕ビットとは、互いに形状が異なることを特徴とする自走式木材破砕機。 - 請求項6に記載の自走式木材破砕機において、
前記第1破砕ビットは、相対的に硬い被破砕木材を破砕する硬材用ビットであり、前記第2破砕ビットは、相対的に軟らかい被破砕木材を破砕する軟材用ビットであることを特徴とする自走式木材破砕機。
Priority Applications (1)
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