以下、本発明の木材破砕機の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の木材破砕機の一実施の形態である自走式木材破砕機の全体構造を表す側面図、図2は図1に示した自走式木材破砕機の上面図、図3は後述する破砕装置12近傍の側面カバー19内部の詳細構造を表す側面図である。なお、以下において、図1中の左・右に対応する方向を木材破砕機の後・前、又は一方・他方とする。
これら図1乃至図3において、1は自力走行を可能にする走行体、2はこの走行体1上に設けられ受け入れた被破砕木材を破砕する破砕機能構成部、3はこの破砕機能構成部2で破砕された破砕物を搬送し機外に排出する排出コンベア、4は搭載した各機器の動力源であるエンジン161(後述の図11参照)等を備えた動力装置(パワーユニット)で、本例の自走式木材破砕機は、これら走行体1、破砕機能構成部2、排出コンベア3、動力装置4等によって概略構成されている。
上記走行体1は、トラックフレーム5と、このトラックフレーム5の前後両端部に設けた駆動輪6及び従動輪7と、出力軸を駆動輪6の軸に連結した駆動装置(走行用油圧モータ)8と、駆動輪6及び従動輪7に掛け回した履帯(無限軌道履帯)9とで構成されている。また、30は上記トラックフレーム5上に設けた本体フレームで、この本体フレーム30によって、上記破砕機能構成部2や排出コンベア3、動力装置4等が支持されている。
上記破砕機能構成部2は、投入される被破砕木材を受け入れるホッパ10と、このホッパ10内に収容配置された被破砕木材の搬送手段としての送りコンベア11(図2参照)と、この送りコンベア11によって導入された被破砕木材を破砕する破砕装置12(図3参照)と、この破砕装置12の手前で破砕装置12に導入される被破砕木材を送りコンベア11に押し付ける押圧ローラ装置13(図3参照)とを備えている。
送りコンベア11は、破砕ロータ32(後述)側に設けられたスプロケット状の駆動輪15と、その反対側(木材破砕機後方側)に設けた図示しない従動輪と、これら搬送方向両端部に設けた駆動輪15及び従動輪の間に巻回され、幅方向に複数列(この例では4列、図2参照)列設された搬送体(搬送ベルト、チェーンベルト)16とを備えている。
従動輪は、ホッパ10の側壁体17(図1参照)後部に設けた軸受18(図1参照)によって支持され、駆動輪15は、側壁体17の前方側に設けた破砕装置12の側面カバー19(図3参照)に設けた軸受(図示せず)によって支持されている。これにより、送りコンベア11は、上記ホッパ10内の下部、すなわちホッパ10の側壁体17の内側から破砕ロータ32(後述)近傍にかけ、ほぼ水平に延設されホッパ10及び破砕装置12の側面カバー19内に収納配置されている。
送りコンベア11の駆動輪15の回転軸20は、軸受よりも幅方向外側に設けた駆動装置(送りコンベア用油圧モータ14。後述の図10参照)の出力軸にカップリング等を介して連結している。送りコンベア11は、その図示しない駆動装置を回転駆動させることにより、駆動輪15及び従動輪の間で搬送体16を循環駆動させるようになっている。
前述の押圧ローラ装置13は、破砕ロータ32(後述)の後方側に近接するように、被破砕木材を搬送する送りコンベア11の搬送面に対向して設けられている。この押圧ローラ装置13は、破砕装置12の上方において本体カバー19に設けた軸受21によってその回動軸22が軸支され、これにより鉛直面内を回動自在に(上下方向に揺動自在に)支持された支持部材(アーム)23と、この支持部材23に対し回転自在に設けられた押えローラ24とを備えている。
支持部材23は、回動軸22を備えたアーム部25と、このアーム部25の先端側に設けられ、押えローラ24を支持しているブラケット部26とを備えている。アーム部25の下部側の端面は円弧状に湾曲して形成されており、この湾曲部には、後述する破砕室31の一部を構成する湾曲板27が取付けられている。一方、ブラケット部26における押えローラ24の取付け部分は、押えローラ24よりも小径の円弧状に形成されており、押えローラ24の外周面がブラケット部26から突出した構成となっている。押えローラ24の幅方向(図3中の紙面直交方向)の寸法は、送りコンベア11の搬送面の幅と同等かそれよりも大きく設定されている。
特に図示していないが、押えローラ24は、その胴部内に駆動装置(押えローラ用油圧モータ160。後述の図10参照)を内蔵しており、この図示しない駆動装置によって、送りコンベア11の搬送面に転動する方向に被破砕木材の搬送速度とほぼ同じ周速度で回転し、押え込んだ送りコンベア11上の被破砕木材を送りコンベア11と協動して破砕装置12に導入するようになっている。
28は上記構成の押圧ローラ装置13を上げ下げさせるための油圧シリンダ(アーム駆動手段)で、そのボトム側先端部は破砕機側面カバー19側に固定したブラケット29にピン53を介して回動可能に連結され、そのロッド側先端部はアーム部25の後方側(図3中左側)先端部に設けられたブラケット54にピン82を介して回動可能に連結されている。この油圧シリンダ28により、押圧ローラ装置13を回動軸22を中心に回動させ、送りコンベア11(破砕装置12)に対し上げ下げ(言い換えれば、破砕装置12に対し離間又は近接)させることが可能なようになっている(詳細は後述)。なお、89は上記回動軸22に設けられアーム部25の回動角度を検出する角度センサ(角度検出手段)である。この角度センサ89は、検出したアーム部25の回動角度θを後述のコントローラ84に出力するようになっている。
破砕装置12は、本体フレーム30(図1参照)の長手方向ほぼ中央部上に搭載されており、図3に示すように、破砕室31内で高速回転する破砕ロータ32と、この破砕ロータ32の回転方向(正転方向、図3中時計回り方向)に対向するように配置したアンビル(固定刃)33を備えている。詳細は後述するが、アンビル33は、例えば過度な衝撃が加わった場合等には、破砕ロータ32の正転方向に倣う方向に退避するように回動可能な構成となっている(図6参照)。
破砕ロータ32は、例えば破砕装置12の側面カバー19(又は本体フレーム30上に別途設けた図示しない支持部材)等に設けた軸受(図示せず)によって回転自在に軸支されており、その外周部には、複数の支持部材34と、これら支持部材34にそれぞれ取り付けられた破砕ビット(衝突板、或いは破砕刃等)35とが設けられている。破砕ビット35は、破砕ロータ32が正転方向に回転する際にその刃面が支持部材34に先行するように配置されている。また、各破砕ビット35は、ボルト38等によって支持部材34に固定され、摩耗した場合にも容易に交換可能な構成となっている。なお、破砕ロータ32を回転駆動させる駆動装置(破砕装置用油圧モータ121。後述の図9参照)の出力軸と破砕ロータ32の回転軸とは、Vベルト等を介して連結されている。
前述した破砕室31は、破砕ロータ32に対し、上方側に設けた前述の湾曲板27や、前方側及び下方側にそれぞれ設けられ、破砕木材(木材チップ)の粒度を設定する口径で開口した多数の孔を有する第1スクリーン39及び第2スクリーン40等によって概ね画定され、その後方側は被破砕木材導入部として解放されている。湾曲板27は、前述したように押えコンベア装置13のアーム部25の湾曲部に取付けられており、前記した押えコンベア装置13の上下の回動動作に伴って可動する構成となっている。この湾曲板27と同様、第1及び第2スクリーン39,40は、破砕作業時、破砕ビット35との間にそれぞれ所定の間隙を介して破砕ロータ32の回転軌跡にほぼ沿うように曲面状に形成され、着脱可能(交換可能)に配設される(詳細は後述)。
図4及び図5はアンビル33及び第1スクリーン39付近の構成を抽出しそれらの可動機構の詳細を一部断面で表す側面図で、これらの図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
図4及び図5において、41は幅方向(図4及び図5中の紙面に垂直な方向)に一対設けられたアームで、これらアーム41,41は、回動軸42、支持部材43、スクリーン支持部材44、ガイド部材45、及び連結部材46等よって連結されており、破砕機側面カバー19の外壁面に設けた軸受47によって回動軸42が支持されることにより、回動軸42を支点に回動可能な構成となっている。なお、回動軸42の向きは、破砕ロータ32の回転軸とほぼ平行である。
アーム41は、その前端部が破砕機側面カバー19に固定した支持部材48(図3参照)にシアピン49(図3参照)を介して連結されることにより、破砕作業時(例えば図3の状態のとき)には、アンビル33が破砕ロータ32の破砕ビット35の回転軌跡(図示せず)近傍に配置されるような姿勢で固定、保持されている。そして、アンビル33に、シアピン49の許容を超えた衝撃荷重がかかった場合等は、シアピン49が破断してアーム41の拘束が解かれ、アーム41が回動軸42を支点に回動して破砕室31から退避するようになっており、各部の損傷が防止される。このときの状態を図3に対応させて図6に示す。なお、50は上記支持部材48に対して固定されたストッパであり、この図6に示すように、このストッパ50によりアンビル33の退避方向へのアーム41の回動範囲が制限され、アーム41と他の構成部材との干渉を防止するようになっている。
なお、このときのアーム41の回動動作は図示しないリミットスイッチ等により検出されるようになっており、検出時にはコントローラ84(後述の図11参照)によって破砕ロータ32の駆動装置を停止させる指令信号が出力されるようになっている。
図4及び図5に戻り、アーム41,41間の後方側には上記の支持部材43が設けられており、この支持部材43にアンビル33が保護部材51及び係止部材52を介して図示しないボルトによって交換可能に設けられている。またアーム41,41間の下方側には上記の枠型のスクリーン支持部材(スクリーンホルダ)44が設けられており、このスクリーン支持部材44上に第1スクリーン39が交換可能に載置される。
55は第1スクリーン39に当接する当接部材、56はロッド側端部を当接部材55にピン57を介して回動可能に連結され、ボトム側端部を連結部材46に設けたブラケット58にピン59を介して回動可能に連結された油圧シリンダであり、これら当接部材55及び油圧シリンダ56は幅方向(図4及び図5中の紙面に垂直な方向)に例えば一対設けられている(さらに多数設置してもよい)。当接部材55は、油圧シリンダ56により第1スクリーン39に対して前記のガイド部材45によってガイドされる方向に沿って進退するように移動される。
上記構成により、破砕作業時には、図4に示すように油圧シリンダ56を伸長させて当接部材55を第1スクリーン39とガイド部材45との間に楔状に押し込み、第1スクリーン39を固定する。一方、スクリーン交換時には、図5に示すように油圧シリンダ56を縮短させて当接部材55を第1スクリーン39から離間させる。その結果、第1スクリーン39は破砕ロータ32の軸線方向に引き抜き可能となり、第1スクリーン39を容易に交換できる構成となっている。
このとき、アーム41にはこの第1スクリーン39の交換作業に配慮して第1スクリーン39の引き出し、挿入用の開口部61(図3参照)が形成されており、さらに、破砕機側面カバー19にも同様に第1スクリーン39の交換作業に配慮して設けた開口部62(図3参照)が形成されている。作業者は、これら開口部61,62を介して第1スクリーン39を破砕ロータ32の軸線方向に引き出し、又は挿入できるようになっている。なお、特に図示していないが、破砕機側面カバー19の開口部62には、例えばボルト着脱式のカバー等が取付けられる。
なお、図示しないリミットスイッチ等により当接部材55の位置状態(油圧シリンダ56の伸縮状態)を検出し、離間を検出した際にはコントローラ84(後述の図11参照)によって破砕ロータ32の駆動装置の駆動を許可しない指令信号が出力されるように構成してもよい。
図3に戻り、63は前記の第2スクリーン40を破砕ロータ32の外周側位置に保持する枠型のスクリーン支持部材(スクリーンホルダ)である。このスクリーン支持部材63は、その周方向(破砕ロータ32の周方向)一方側(図3では左側)端部に設けた回動軸64が破砕機側面カバー19(又は本体フレーム30上に別途設けた図示しない支持部材)に固定した軸受65によって支持され、上下方向に回動する構成となっている。
66はボトム側端部を本体カバー19側に固定されたブラケット67にピン68を介して回動可能に連結された油圧シリンダ、69はこの油圧シリンダ66の伸縮動作をスクリーン支持部材63の破砕ロータ32に対する進退動作に変換するリンク機構である。リンク機構69は、油圧シリンダ66のロッド側端部に設けられ、油圧シリンダ66の伸縮方向に沿って移動するスライドリンク70と、一方側端部(図3中上側端部)を上記スクリーン支持部材63の周方向他方側端部(図3中右側端部)に回動可能に連結され、他方側端部(図3中下側端部)をピン71を介してスライドリンク70と回動自在に連結された保持リンク72とを備えている。また、73は上記スライドリンク70の移動方向をガイドすると共に、スライドリンク70が保持リンク72から受ける縦荷重を支持するガイド部材である。
図7は、前述した第1スクリーン39及び第2スクリーン40付近の構成を抽出しその可動機構の詳細を一部断面で表す側面図で、この図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
図7に示すように、破砕作業時には、油圧シリンダ66が伸長してリンク機構69のスライドリンク70と保持リンク72とがほぼ直角に折れ曲がった状態となり、スクリーン支持部材63が破砕ロータ32に最も近づいた位置に位置する状態となる。この状態から油圧シリンダ66が縮短するにつれてスライドリンク70と保持リンク72とが回動して徐々に開き、スクリーン支持部材63が徐々に破砕ロータ32から離間する方向に移動する(下降する)。そして、油圧シリンダ66が最も縮短した状態になると、スライドリンク70と保持リンク72とがほぼ伸びきった状態となり、スクリーン支持部材63が破砕ロータ32から最も遠い位置に位置する状態となる。この状態を図7に対応して図8に示す。これにより、第2スクリーン40は破砕ロータ32の軸線方向に引き抜き可能となり、第2スクリーン40を容易に交換できる構成となっている。
このとき、破砕機側面カバー19には第2スクリーン40の交換作業に配慮して設けた切り欠き部74(図3参照)が形成されている。作業者は、この切り欠き部74を介して第2スクリーン40を破砕ロータ32の軸線方向に引き出し、又は挿入できるようになっている。なお、特に図示していないが、この切り欠き部74には、例えばボルト着脱式のカバー等が取付けられる。
また、図示しないリミットスイッチ等によりスクリーン支持部材63の位置状態(油圧シリンダ66の伸縮状態)を検出し、破砕ロータ32からの離間を検出した際にはコントローラ84(後述の図11参照)によって破砕ロータ32の駆動装置の駆動を許可しない指令信号が出力されるように構成してもよい。
図1及び図2に戻り、排出コンベア3は、排出側(前方側、図1及び図2中右側)部分が、動力装置4から突出して設けた支持部材75によって吊り下げ支持されている。また、その反対側(後方側、図1及び図2中左側)部分は、支持部材76を介して本体フレーム30から吊り下げ支持されている。これにより、排出コンベア3は、破砕装置12の下方から動力装置4の下方を通され、自走式木材破砕機前方側外方へ上り傾斜で配置されている。77はこの排出コンベア3のフレーム、78はこのフレーム77の長手方向両端に設けた駆動輪(図示せず)と従動輪(図示せず)との間に巻回したコンベアベルト(図示せず)上に設けたコンベアカバーである。79は駆動輪を回転駆動させる駆動装置(排出コンベア用油圧モータ)で、この駆動装置79を回転駆動させることにより、駆動輪及び従動輪の間でコンベアベルトを循環駆動させるようになっている。
また、上記の動力装置4は、本体フレーム30の長手方向他方側(図1及び図2中右側)端部上に、支持部材80を介して搭載されている。この動力装置4の後方側でかつ幅方向一方側(図2中下側)の区画には、運転席81が設けられている。36a,37aはこの運転席81に設けた走行操作用の操作レバー、83はその他の操作や設定、モニタリング等を行うための操作盤である(詳細は後述の図12参照)。操作盤83は、本例では地上から作業者が操作し易いよう機体の側部に設けられているが、運転席81に設けても構わない。
ここで、上記走行体1、排出コンベア3、送りコンベア11、破砕装置12、押圧ローラ装置13、及び油圧シリンダ28等は、この自走式木材破砕機に備えられる油圧駆動装置によって駆動される被駆動部材を構成している。図9乃至図11は、本発明の木材破砕機の一実施の形態に備えられる油圧駆動装置の全体構成を表す油圧回路図である。
これら図9乃至図11において、油圧駆動装置は、エンジン161と、このエンジン161によって駆動される可変容量型の第1油圧ポンプ162及び第2油圧ポンプ163と、同様にエンジン161によって駆動される固定容量型のパイロットポンプ164と、第1及び第2油圧ポンプ162,163から吐出される圧油がそれぞれ供給される破砕装置用油圧モータ121、左・右走行用油圧モータ8L,8R、送りコンベア用油圧モータ(搬送手段用油圧モータ)14、排出コンベア用油圧モータ79、押えローラ用油圧モータ160、及び油圧シリンダ28と、第1及び第2油圧ポンプ162,163からこれら油圧モータ121,8L,8R,14,79,160,28に供給される圧油の流れ(方向及び流量、若しくは流量のみ)をそれぞれ制御する6つのコントロールバルブ165,166,167,168,169,170,185と、前記の運転席81に設けられ、左・右走行用コントロールバルブ166,167をそれぞれ切り換え操作するための前記左・右走行用操作レバー36a,37aと、第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出流量をそれぞれ調整する制御手段、例えばレギュレータ装置171,172と、例えば運転席81内に設けられ、破砕装置12、送りコンベア11、排出コンベア3、及び押圧ローラ装置13の始動・停止等を作業者が指示入力して操作するための前記操作盤83とを有している。
上記7つのコントロールバルブ165〜170,185は、2位置切換弁又は3位置切換弁であり、破砕装置用油圧モータ121に接続された破砕装置用コントロールバルブ165と、左走行用油圧モータ8Lに接続された左走行用コントロールバルブ166と、右走行用油圧モータ8Rに接続された右走行用コントロールバルブ167と、送りコンベア用油圧モータ14に接続された送りコンベア用コントロールバルブ168と、排出コンベア用油圧モータ79に接続された排出コンベア用コントロールバルブ169と、押えローラ用油圧モータ160に接続された押えローラ用コントロールバルブ170と、油圧シリンダ28に接続された油圧シリンダ用コントロールバルブ185とから構成されている。
このとき、第1及び第2油圧ポンプ162,163のうち、第1油圧ポンプ162は、左走行用コントロールバルブ166及び破砕装置用コントロールバルブ165を介して左走行用油圧モータ8L及び破砕装置用油圧モータ121へ供給するための圧油を吐出するようになっている。これらコントロールバルブ165,166はいずれも、対応する油圧モータ121,8Lへの圧油の方向及び流量を制御可能な3位置切換弁となっており、第1油圧ポンプ162の吐出管路174に接続されたセンターバイパスライン175において、上流側から、左走行用コントロールバルブ166、破砕装置用コントロールバルブ165の順序で配置されている。なお、センターバイパスライン175の最下流側には、ポンプコントロールバルブ176(詳細は後述)が設けられている。
一方、第2油圧ポンプ163は、右走行用コントロールバルブ167、送りコンベア用コントロールバルブ168、排出コンベア用コントロールバルブ169、押えローラ用コントロールバルブ170、及び油圧シリンダ用コントロールバルブ185を介し、右走行用油圧モータ8R、送りコンベア用油圧モータ14、排出コンベア用油圧モータ79、押えローラ用油圧モータ160、及び油圧シリンダ28へ供給するための圧油を吐出するようになっている。これらのうちコントロールバルブ167,168,170,185は対応する油圧モータ8R,14,160,28への圧油の流れを制御可能な3位置切換弁となっており、その他のコントロールバルブ169は対応する油圧モータ79への圧油の流量を制御可能な2位置切換弁となっており、第2油圧ポンプ163の吐出管路177に接続されたセンターバイパスライン178a及びこれの下流側にさらに接続されたセンターライン178bにおいて、上流側から、右走行用コントロールバルブ167、油圧シリンダ用コントロールバルブ185、押えローラ用コントロールバルブ170、排出コンベア用コントロールバルブ169、及び送りコンベア用コントロールバルブ168の順序で配置されている。なお、センターライン178bは、最下流側の送りコンベア用コントロールバルブ168の下流側で閉止されている。
上記コントロールバルブ165〜170,185のうち、左・右走行用コントロールバルブ166,167はそれぞれ、パイロットポンプ164で発生されたパイロット圧を用いて操作されるセンターバイパス型のパイロット操作弁である。これら左・右走行用コントロールバルブ166,167は、パイロットポンプ164で発生され前述の操作レバー36a,37aを備えた操作レバー装置36,37で所定圧力に減圧されたパイロット圧により操作される。
すなわち、操作レバー装置36,37は、操作レバー36a,37aとその操作量に応じたパイロット圧を出力する一対の減圧弁36b,36b及び37b,37bとを備えている。操作レバー装置36の操作レバー36aを図9中a方向(又はその反対方向、以下対応関係同じ)に操作すると、パイロット圧がパイロット管路179(又はパイロット管路180)を介して左走行用コントロールバルブ166の駆動部166a(又は駆動部166b)に導かれ、これによって左走行用コントロールバルブ166が図9中上側の切換位置166A(又は下側の切換位置166B)に切り換えられ、第1油圧ポンプ162からの圧油が吐出管路174、センターバイパスライン175、及び左走行用コントロールバルブ166の切換位置166A(又は下側の切換位置166B)を介して左走行用油圧モータ8Lに供給され、左走行用油圧モータ8Lが正転方向(又は逆転方向)に駆動される。
なお、操作レバー36aを図9に示す中立位置にすると、左走行用コントロールバルブ166はばね166c,166dの付勢力で図9に示す中立位置に復帰し、左走行用油圧モータ8Lは停止する。
同様に、操作レバー装置37の操作レバー37aを図9中b方向(又はその反対方向)に操作すると、パイロット圧がパイロット管路181(又はパイロット管路182)を介し右走行用コントロールバルブ167の駆動部167a(又は駆動部167b)に導かれて図9中上側の切換位置167A(又は下側の切換位置167B)に切り換えられ、右走行用油圧モータ8Rが正転方向(又は逆転方向)に駆動されるようになっている。操作レバー37aを中立位置にするとばね167c,167dの付勢力で右走行用コントロールバルブ167は中立位置に復帰し右走行用油圧モータ8Rは停止する。
ここで、パイロットポンプ164からのパイロット圧を操作レバー装置36,37に導くパイロット導入管路183a,183bには、コントローラ(制御手段)84からの駆動信号St(後述)で切り換えられるソレノイド制御弁85が設けられている。このソレノイド制御弁85は、ソレノイド85aに入力される駆動信号StがONになると図11中左側の連通位置85Aに切り換えられ、パイロットポンプ164からのパイロット圧を導入管路183a,183bを介し操作レバー装置36,37に導き、操作レバー36a,37aによる左・右走行用コントロールバルブ166,167の上記操作を可能とする。
一方、駆動信号StがOFFになると、ソレノイド制御弁85はばね85bの復元力で図11中右側の遮断位置85Bに復帰し、導入管路183aと導入管路183bとを遮断すると共に導入管路183bをタンク86へのタンクライン86aに連通させ、この導入管路183b内の圧力をタンク圧とし、操作レバー装置36,37による左・右走行用コントロールバルブ166,167の上記操作を不可能とするようになっている。
破砕装置用コントロールバルブ165は、両端にソレノイド駆動部165a,165bを備えたセンターバイパス型の電磁比例弁である。ソレノイド駆動部165a,165bには、コントローラ84からの駆動信号Scrで駆動されるソレノイドがそれぞれ設けられており、破砕装置用コントロールバルブ165はその駆動信号Scrの入力に応じて切り換えられるようになっている。
すなわち、駆動信号Scrが破砕装置12の正転(又は逆転、以下、対応関係同じ)に対応する信号、例えばソレノイド駆動部165a及び165bへの駆動信号ScrがそれぞれON及びOFF(又はソレノイド駆動部165a及び165bへの駆動信号ScrがそれぞれOFF及びON)になると、破砕装置用コントロールバルブ165が図9中上側の切換位置165A(又は下側の切換位置165B)に切り換えられる。これにより、第1油圧ポンプ162からの圧油が吐出管路174、センターバイパスライン175、及び破砕装置用コントロールバルブ165の切換位置165A(又は下側の切換位置165B)を介して破砕装置用油圧モータ121に供給され、破砕装置用油圧モータ121が正転方向(又は逆転方向)に駆動される。
駆動信号Scrが破砕装置12の停止に対応する信号、例えばソレノイド駆動部165a及び165bへの駆動信号ScrがともにOFFになると、コントロールバルブ165がばね165c,165dの付勢力で図9に示す中立位置に復帰し、破砕装置用油圧モータ121は停止する。
ポンプコントロールバルブ176は、流量を圧力に変換する機能を備えるものであり、前記のセンターバイパスライン175とタンクライン86bとを絞り部分176aaを介して接続・遮断可能なピストン176aと、このピストン176aの両端部を付勢するばね176b,176cと、前記のパイロットポンプ164の吐出管路87にパイロット導入管路88a(後述)及びパイロット導入管路88c(同)を介して上流側が接続されてパイロット圧が導かれ、下流側がタンクライン86cに接続され、かつ前記のばね176bによってリリーフ圧が可変に設定される可変リリーフ弁176dとを備えている。
このような構成により、ポンプコントロールバルブ176は以下のように機能する。すなわち、上述したように左走行用コントロールバルブ166及び破砕装置用コントロールバルブ165はセンターバイパス型の弁となっており、センターバイパスライン175を流れる流量は、各コントロールバルブ166,165の操作量(すなわちスプールの切換ストローク量)により変化する。各コントロールバルブ166,165の中立時、すなわち第1油圧ポンプ162へ要求する各コントロールバルブ166,165の要求流量(言い換えれば左走行用油圧モータ8L及び破砕装置用油圧モータ121の要求流量)が少ない場合には、第1油圧ポンプ162から吐出される圧油のうちほとんどが余剰流量としてセンターバイパスライン175を介してポンプコントロールバルブ176に導入され、比較的大きな流量の圧油がピストン176aの絞り部分176aaを介してタンクライン86bへ導出される。これにより、ピストン176aは図9中右側に移動するので、ばね176bによるリリーフ弁176dの設定リリーフ圧が低くなり、管路88cから分岐して設けられ後述のネガティブ傾転制御用の第1サーボ弁131へ至る管路90に、比較的低い制御圧力(ネガコン圧)Pc1を発生する。
逆に、各コントロールバルブ166,165が操作されて開状態となった場合、すなわち第1油圧ポンプ162へ要求する要求流量が多い場合には、センターバイパスライン175に流れる前記余剰流量は、油圧モータ8L,121側へ流れる流量分だけ減じられるため、ピストン絞り部分176aaを介しタンクライン86bへ導出される圧油流量は比較的小さくなり、ピストン176aは図9中左側に移動してリリーフ弁176dの設定リリーフ圧が高くなるので、管路90の制御圧力Pc1は高くなる。
本実施の形態では、後述するように、この制御圧力(ネガコン圧)Pc1の変動に基づき、第1油圧ポンプ162の斜板162Aの傾転角を制御するようになっている(詳細は後述)。
138,139は圧力センサ(圧力検出手段)であり、これら圧力センサ138及び139は、第1油圧ポンプ162の吐出管路174から分岐して設けた導圧管路140と第2油圧ポンプ163の吐出管路177から分岐して設けた導圧管路141とにそれぞれ設けられている(あるいは、図11中2点鎖線にて示すように後述の吐出圧検出管路136b,137c等に設けてもよい)。これらの圧力センサ138,139は、検出した第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出圧P1,P2をコントローラ84にそれぞれ出力するようになっている。
また、第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出管路174,177から分岐した管路91,92には、リリーフ弁93及びリリーフ弁94がそれぞれ設けられており、第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出圧P1,P2の最大値を制限するためのリリーフ圧の値を、それぞれに備えられたばね93a,94aの付勢力で設定するようになっている。
送りコンベア用コントロールバルブ168は、両端にソレノイド駆動部168a,168bを備えたセンターバイパス型の電磁比例弁である。ソレノイド駆動部168a,168bには、コントローラ84からの駆動信号Sfで駆動されるソレノイドがそれぞれ設けられており、送りコンベア用コントロールバルブ168はその駆動信号Sfの入力に応じて切り換えられるようになっている。
すなわち、駆動信号Sfが送りコンベア11の正転(又は逆転、以下、対応関係同じ)に対応する信号、例えばソレノイド駆動部168a及び168bへの駆動信号SfがそれぞれON及びOFF(又はソレノイド駆動部168a及び168bへの駆動信号SfがそれぞれOFF及びON)になると、送りコンベア用コントロールバルブ168が図10中上側の切換位置168A(又は下側の切換位置168B)に切り換えられる。
これにより、吐出管路177、センターバイパスライン178a、及びセンターライン178bを介し導かれた第2油圧ポンプ163からの圧油は、切換位置168A(又は切換位置168B)に備えられた絞り手段168Aa(又は絞り手段168Ba)から、これに接続する管路95、この管路95に設けられた圧力制御弁96(詳細は後述)、切換位置168Aに備えられたポート168Ab(又は切換位置168Bに備えられたポート168Bb)、及びこのポート168Ab(又はポート168Bb)に接続する供給管路を経て、送りコンベア用油圧モータ14に供給され、この油圧モータ14が正転駆動(又は逆転駆動)される。駆動信号Sfが送りコンベア11の停止に対応するOFF信号になると、送りコンベア用コントロールバルブ168はばね168c,168dの付勢力で図10に示す中立位置に復帰し、送りコンベア用油圧モータ14は停止する。
排出コンベア用コントロールバルブ169は、ソレノイド駆動部169aを備えた電磁切換弁である。ソレノイド駆動部169aには、コントローラ84からの駆動信号Sconで駆動されるソレノイドが設けられる。駆動信号Sconが排出コンベア3を動作させるON信号になると、コンベア用コントロールバルブ169は図10中上側の連通位置169Aに切り換えられ、センターライン178bからの圧油が、切換位置169Aの絞り手段169Aaから、管路98、圧力制御弁99(詳細は後述)、切換位置169Aのポート169Ab、及びこのポート169Abに接続する供給管路を介し排出コンベア用油圧モータ79に供給されて駆動される。駆動信号Sconが排出コンベア3の停止に対応するOFF信号になると、排出コンベア用コントロールバルブ169はばね169bの付勢力で図10に示す遮断位置169Bに復帰し、排出コンベア用油圧モータ79は停止する。
押えローラ用コントロールバルブ170は、上記送りコンベア用コントロールバルブ168と同様に、両端にソレノイド駆動部170a,170bを備えたセンターバイパス型の電磁比例弁である。ソレノイド駆動部170a,170bには、コントローラ84からの駆動信号Smで駆動されるソレノイドがそれぞれ設けられており、押えローラ用コントロールバルブ170はその駆動信号Smの入力に応じて切り換えられるようになっている。
すなわち、駆動信号Smが押圧ローラ装置13の正転(又は逆転、以下、対応関係同じ)に対応する信号、例えばソレノイド駆動部170a及び170bへの駆動信号SmがそれぞれON及びOFF(又はソレノイド駆動部170a及び170bへの駆動信号SmがそれぞれOFF及びON)になると、押えローラ用コントロールバルブ170が図10中上側の切換位置170A(又は下側の切換位置170B)に切り換えられる。
これにより、吐出管路177、センターバイパスライン178a、及びセンターライン178bを介し導かれた第2油圧ポンプ163からの圧油は、切換位置170A(又は切換位置170B)に備えられた絞り手段170Aa(又は絞り手段170Ba)から、これに接続する管路101、この管路101に設けられた圧力制御弁102(詳細は後述)、切換位置170Aに備えられたポート170Ab(又は切換位置170Bに備えられたポート170Bb)、及びこのポート170Ab(又はポート170Bb)に接続する供給管路を経て、押えローラ用油圧モータ160に供給され、この油圧モータ160が正転駆動(又は逆転駆動)される。駆動信号Smが押圧ローラ装置13の停止に対応するOFF信号になると、押えローラ用コントロールバルブ170はばね170c,170dの付勢力で図10に示す中立位置に復帰し、押えローラ用油圧モータ160は停止する。
油圧シリンダ用コントロールバルブ185は、両端にソレノイド駆動部185a,185bを備えたセンタークローズド型の電磁比例弁である。ソレノイド駆動部185a,185bには、コントローラ84からの駆動信号Scyで駆動されるソレノイドがそれぞれ設けられており、油圧シリンダ用コントロールバルブ185はその駆動信号Scyの入力に応じて切り換えられるようになっている。
すなわち、駆動信号Scyが押圧ローラ装置13の上げ、すなわち油圧シリンダ28の縮短(又は押圧ローラ装置13の下げ、すなわち油圧シリンダ28の伸長、以下、対応関係同じ)に対応する信号、例えばソレノイド駆動部185a及び185bへの駆動信号ScyがそれぞれON及びOFF(又はソレノイド駆動部185a及び185bへの駆動信号ScyがそれぞれOFF及びON)になると、油圧シリンダ用コントロールバルブ185が図10中上側の切換位置185A(又は下側の切換位置185B)に切り換えられる。
これにより、吐出管路177、センターバイパスライン178a、及びセンターライン178bを介し導かれた第2油圧ポンプ163からの圧油は、切換位置185A(又は切換位置185B)に備えられた絞り手段185Aa(又は絞り手段185Ba)から、これに接続する管路186、この管路186に設けられた圧力制御弁190(詳細は後述)、切換位置185Aに備えられたポート185Ab(又は切換位置185Bに備えられたポート185Bb)、及びこのポート185Ab(又はポート185Bb)に接続する供給管路を経て、油圧シリンダ28のロッド側(又はボトム側)に供給され、この油圧シリンダ28が縮短(又は伸長)される。
一方、駆動信号Scyが油圧シリンダ28の停止に対応するOFF信号になると、油圧シリンダ用コントロールバルブ185はばね185c,185dの付勢力で図10に示す中立位置に復帰し、油圧シリンダ28は停止する。なおこのとき、油圧シリンダ用コントロールバルブ185はセンタークローズド型のバルブであることから、油圧シリンダ28の動作は固定(ロック)される。
なお、油圧シリンダ28の供給配管には、コントローラ84からの駆動信号Slで切り換えられるソレノイド制御弁187が設けられている。このソレノイド制御弁187は、ソレノイド187aに入力される駆動信号SlがONになると図10中上側のフリー位置187Aに切り換えられ、供給管路中の圧力をタンク圧と等しくして油圧シリンダ28の伸縮動作をフリー状態とする。一方、ソレノイド187aに入力される駆動信号SlがOFFになると、バネ187bの付勢力により図10中下側のロック位置187Bに切り換えられ、油圧シリンダ28の伸縮動作をロックする。
通常の破砕作業中においては、ソレノイド制御弁187がフリー位置187Aに切り換えられて油圧シリンダ28はフリー状態となっており、これにより押圧ローラ装置13は自重で押えローラ24を介して被破砕木材を押圧するようになっている。一方、破砕装置12が過負荷状態となったときには、コントローラ84からソレノイド187aに入力される駆動信号SlがOFFになりソレノイド制御弁187がロック位置187Bに切り換えられ、その結果、コントローラ84が油圧シリンダ用コントロールバルブ185を開閉させて油圧シリンダ28を縮短又は伸長駆動するのを可能とする(詳細は後述)。
なお、上記した送りコンベア用油圧モータ14、排出コンベア用油圧モータ79、押えローラ用油圧モータ160、及び油圧シリンダ28への圧油の供給に関し、回路保護等の観点から、それぞれの供給管路とタンクライン86bとの間を接続する管路104,105,106,188に、それぞれリリーフ弁107,108,109,189が設けられている。
ここで、前述した管路95,98,101,186に設けた圧力制御弁96,99,102,190に係わる機能について説明する。
送りコンベア用コントロールバルブ168の切換位置168Aの前記ポート168Ab(又は切換位置168Bのポート168Bb。以下、対応関係同じ)、排出コンベア用コントロールバルブ169の切換位置169Aの前記ポート169Ab、押えローラ用コントロールバルブ170の切換位置170Aのポート170Ab(又は切換位置170Bのポート170Bb。以下、対応関係同じ)、及び油圧シリンダ用コントロールバルブ185の切換位置185Aのポート185Ab(又は切換位置185Bのポート185Bb。以下、対応関係同じ)には、それぞれ、対応する送りコンベア用油圧モータ14、排出コンベア用油圧モータ79、押えローラ用油圧モータ160、及び油圧シリンダ28の負荷圧力をそれぞれ検出するための負荷検出ポート168Ac(又は負荷検出ポート168Bc)、負荷検出ポート169Ac、負荷検出ポート170Ac(又は負荷検出ポート170Bc)、負荷検出ポート185Ac(又は負荷検出ポート185Bc)が連通されている。このとき、負荷検出ポート168Ac(又は負荷検出ポート168Bc)は負荷検出管路110に接続しており、負荷検出ポート169Acは負荷検出管路111に接続しており、負荷検出ポート170Ac(又は負荷検出ポート170Bc)は負荷検出管路112に接続しており、負荷検出ポート185Ac(又は負荷検出ポート185Bc)は負荷検出管路191に接続している。
ここで、送りコンベア用油圧モータ14の負荷圧力が導かれる前記負荷検出管路110と、排出コンベア用油圧モータ79の負荷圧力が導かれる前記負荷検出管路111とは、さらにシャトル弁113を介して負荷検出管路114に接続され、シャトル弁113を介して選択された高圧側の負荷圧力はこの負荷検出管路114に導かれるようになっている。またこの負荷検出管路114と、押えローラ用油圧モータ160の負荷圧力が導かれる前記負荷検出管路112とは、シャトル弁115を介して負荷検出管路116に接続され、シャトル弁115で選択された高圧側の負荷圧力は最大負荷検出管路116に導かれるようになっている。さらにこの負荷検出管路116と、油圧シリンダ28の負荷圧力が導かれる前記負荷検出管路191とは、シャトル弁192を介して最大負荷検出管路193に接続され、シャトル弁192で選択された高圧側の負荷圧力が最大負荷圧力として最大負荷検出管路193に導かれるようになっている。
そして、この最大負荷検出管路193に導かれた最大負荷圧力は、最大負荷検出管路193に接続する管路117,118,119,120,194を介して、対応する前記圧力制御弁96,99,102,190の一方側にそれぞれ伝達される。このとき、圧力制御弁96,99,102,190の他方側には前記の管路95,98,101,186内の圧力、すなわち絞り手段168Aa(又は168Ba),169Aa,170Aa(又は170Ba),185Aa(又は185Ba)の下流側圧力が導かれている。
以上により、圧力制御弁96,99,102,190は、コントロールバルブ168,169,170,185の絞り手段168Aa(又は168Ba),169Aa,170Aa(又は170Ba),185Aa(又は185Ba)の下流側圧力と、送りコンベア用油圧モータ14、排出コンベア用油圧モータ79、押えローラ用油圧モータ160、及び油圧シリンダ28のうちの最大負荷圧力との差圧に応答して作動し、各油圧モータ14,79,160及び油圧シリンダ28の負荷圧力の変化にかかわらず、前記の差圧を一定値に保持するようになっている。すなわち、絞り手段168Aa(又は168Ba),169Aa,170Aa(又は170Ba),185Aa(又は185Ba)の下流側圧力を、前記の最大負荷圧力よりもばね96a,99a,102a,190aによる設定圧分だけ高くするようになっている。
一方、第2油圧ポンプ163の吐出管路177に接続したセンターバイパスライン178a及びセンターライン178bから分岐したブリードオフ管路121には、ばね122aを備えたリリーフ弁(アンロード弁)122が設けられている。このリリーフ弁122の一方側には、最大負荷検出管路193、これに接続する管路123を介し最大負荷圧力が導かれており、またリリーフ弁122の他方側にはポート122bを介しブリードオフ管路121内の圧力が導かれている。これにより、リリーフ弁122は、管路121及びセンターライン178b内の圧力を、前記の最大負荷圧力よりもばね122aによる設定圧分だけ高くするようになっている。すなわち、リリーフ弁122は、管路121及びセンターライン178b内の圧力が、最大負荷圧が導かれる管路123内の圧力にばね122aのばね力分が加算された圧力になったときに、管路121の圧油をポンプコントロールバルブ124を介してタンク86へと導くようになっている。以上の結果、第2油圧ポンプ163の吐出圧が最大負荷圧よりもばね122aによる設定圧分だけ高くなるロードセンシング制御が実現される。
なお、このときばね122aで設定されるリリーフ圧は、前述したリリーフ弁93及びリリーフ弁94の設定リリーフ圧よりも小さい値に設定されている。
そして、ブリードオフ管路121のリリーフ弁122より下流側には、前記のポンプコントロールバルブ176と同様の流量−圧力変換機能をもつポンプコントロールバルブ124が設けられており、タンクライン86dに接続されるタンクライン86eと管路121とを絞り部分124aaを介して接続・遮断可能なピストン124aと、このピストン124aの両端部を付勢するばね124b,124cと、前記のパイロットポンプ164の吐出管路87にパイロット導入管路88a及びパイロット導入管路88bを介して上流側が接続されてパイロット圧が導かれ、下流側が上記タンクライン86eに接続され、かつ前記のばね124bによってリリーフ圧が可変に設定される可変リリーフ弁124dとを備えている。
このような構成により、破砕作業時において、ポンプコントロールバルブ124は以下のように機能する。すなわち、上述したようにセンターライン178bの最下流側端は閉止されており、また破砕作業時には後述のように右走行用コントロールバルブ167は操作されないため、センターライン178bを流れる圧油の圧力は、送りコンベア用コントロールバルブ168、排出コンベア用コントロールバルブ169、押えローラ用コントロールバルブ170、及び油圧シリンダ用コントロールバルブ185の操作量(すなわちスプールの切換ストローク量)により変化する。各コントロールバルブ168,169,170,185の中立時、すなわち第2油圧ポンプ163へ要求する各コントロールバルブ168,169,170,185の要求流量(言い換えれば各油圧モータ14,79,160及び油圧シリンダ28の要求流量)が少ない場合には、第2油圧ポンプ163から吐出される圧油はほとんど供給管路に導入されないため、余剰流量としてリリーフ弁122から下流側へ導出され、ポンプコントロールバルブ124に導入される。これにより、比較的大きな流量の圧油がピストン124aの絞り部分124aaを介してタンクライン86eへ導出されるので、ピストン124aは図10中右側に移動してばね124bによるリリーフ弁124dの設定リリーフ圧が低くなり、パイロット導入管路88bから分岐して設けられ後述のネガティブ傾転制御用の第1サーボ弁132へ至る管路125に、比較的低い制御圧力(ネガコン圧)Pc2を発生する。
逆に、各コントロールバルブが操作されて開状態となった場合、すなわち第2油圧ポンプ163への要求流量が多い場合には、ブリードオフ管路121に流れる前記余剰流量が油圧モータ14,79,160及び油圧シリンダ28側へ流れる流量分だけ減じられるため、ピストン絞り部分124aaを介しタンクライン86eへ導出される圧油流量は比較的小さくなり、ピストン124aは図10中左側に移動してリリーフ弁124dの設定リリーフ圧が高くなるので、管路125の制御圧力Pc2は高くなる。本実施の形態では、後述するように、この制御圧力Pc2の変動に基づき、第2油圧ポンプ163の斜板163Aの傾転角を制御するようになっている(詳細は後述)。
以上説明した、圧力制御弁96,99,102,190による絞り手段168Aa(又は168Ba),169Aa,170Aa(又は170Ba),185Aa(又は185Ba)の下流側圧力と最大負荷圧力との間の制御、及びリリーフ弁122によるブリードオフ管路121内の圧力と最大負荷圧力との間の制御により、絞り手段168Aa(又は168Ba),169Aa,170Aa(又は170Ba),185Aa(又は185Ba)の前後差圧を一定とする圧力補償機能を果たすこととなる。これにより、各油圧モータ14,79,160及び油圧シリンダ28の負荷圧力の変化にかかわらず、コントロールバルブ168,169,170,185の開度に応じた流量の圧油を対応する油圧モータに供給できるようになっている。
そして、この圧力補償機能と、ポンプコントロールバルブ124からの制御圧力Pc2の出力に基づく後述の油圧ポンプ163の斜板163Aの傾転角制御とにより、結果として、第2油圧ポンプ163の吐出圧と絞り手段168Aa(又は168Ba),169Aa,170Aa(又は170Ba),185Aa(又は185Ba)の下流側圧力との差が一定に保持されるようになっている(詳細は後述)。
また、最大負荷圧が導かれる管路123とタンクライン86eとの間にはリリーフ弁126が設けられ、管路123内の最大圧力をばね126aの設定圧以下に制限し、回路保護を図るようになっている。すなわち、このリリーフ弁126と前記リリーフ弁122とでシステムリリーフ弁を構成しており、管路123内の圧力が、ばね126aで設定された圧力より大きくなると、リリーフ弁126の作用により管路123内の圧力がタンク圧に下がり、これによって前述のリリーフ弁122が作動しリリーフ状態となるようになっている。
前記のレギュレータ装置171,172は、傾転アクチュエータ129,130と、第1サーボ弁131,132と第2サーボ弁133,134とを備え、これらのサーボ弁131〜134によりパイロットポンプ164や第1及び第2油圧ポンプ162,163から傾転アクチュエータ129,130に作用する圧油の圧力を制御し、第1及び第2油圧ポンプ162,163の斜板162A,163Aの傾転(すなわち押しのけ容積)を制御するようになっている。
傾転アクチュエータ129,130は、両端に大径の受圧部129a,130a及び小径の受圧部129b,130bを有する作動ピストン129c,130cと、受圧部129a,129b及び130a,130bがそれぞれ位置する受圧室129d,129e及び130d,130eとを有する。そして、両受圧室129d,129e及び130d,130eの圧力が互いに等しいときは、作動ピストン129c,130cは受圧面積の差によって図11中右方向に移動し、これによって斜板162A,163Aの傾転は大きくなり、ポンプ吐出流量がそれぞれ増大する。また、大径側の受圧室129d,130dの圧力が低下すると、作動ピストン129c,130cは図11中左方向に移動し、これによって斜板162A,163Aの傾転が小さくなりポンプ吐出流量がそれぞれ減少するようになっている。なお、大径側の受圧室129d,130dは第1及び第2サーボ弁131〜134を介して、パイロットポンプ164の吐出管路87に連通する管路135に接続されており、小径側の受圧室129e,130eは直接管路135に接続されている。
第1サーボ弁131,132のうち、レギュレータ装置171の第1サーボ弁131は前述したようにポンプコントロールバルブ176からの制御圧力(ネガコン圧)Pc1により駆動されるネガティブ傾転制御用のサーボ弁であり、レギュレータ装置172の第1サーボ弁132は、前述したようにポンプコントロールバルブ124からの制御圧力Pc2により駆動されるネガティブ傾転制御用のサーボ弁であり、これらは互いに同等の構造となっている。
すなわち、制御圧力PC1,PC2が高いときは弁体131a,132aが図11中右方向に移動し、パイロットポンプ164からのパイロット圧PPを減圧せずに傾転アクチュエータ129,130の受圧室129d,130dに伝達し、これによって斜板162A,163Aの傾転が大きくなって第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出流量をそれぞれ増大させる。そして制御圧力PC1,PC2が低下するにしたがって弁体131a,132aがばね131b,132bの力で図11中左方向に移動し、パイロットポンプ164からのパイロット圧PPを減圧して受圧室129d,130dに伝達し、第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出流量をそれぞれ減少させるようになっている。
以上により、レギュレータ装置171の第1サーボ弁131では、前述したポンプコントロールバルブ176の機能と併せてコントロールバルブ165,166の要求流量に応じた吐出流量が得られるよう、具体的にはセンターバイパスライン175から流入しポンプコントロールバルブ176を通過する流量が最小となるように第1油圧ポンプ162の斜板162Aの傾転(吐出流量)を制御する、いわゆるネガティブコントロールが実現される。
また、レギュレータ装置172の第1サーボ弁132では、前述したポンプコントロールバルブ124の機能と併せ、コントロールバルブ167,168,169,170,185の要求流量に応じた吐出流量が得られるよう、具体的にはセンターバイパスライン178aから流入しポンプコントロールバルブ124を通過する流量が最小となるように第2油圧ポンプ163の斜板163Aの傾転(吐出流量)を制御する、いわゆるネガティブコントロールが実現される。
第2サーボ弁133,134は、いずれも入力トルク制限制御用のサーボ弁で、互いに同一の構造となっている。すなわち、第2サーボ弁133,134は、第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出圧P1,P2により作動する弁であり、それら吐出圧P1,P2が、第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出管路174,177から分岐して設けられた吐出圧検出管路136a〜c,137a〜cを介し、操作駆動部133aの受圧室133b,133c及び操作駆動部134aの受圧室134b,134cにそれぞれ導かれるようになっている。
すなわち、第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出圧の和P1+P2によって操作駆動部133a,134aに作用する力がばね133d,134dで設定されるばね力によって弁体133e,134eに作用する力より小さいときは、弁体133e,134eは図11中右方向に移動し、パイロットポンプ164から第1サーボ弁131,132を介し導かれたパイロット圧PPを減圧せずに傾転アクチュエータ129,130の受圧室129d,130dに伝達し、これによって第1及び第2油圧ポンプ162,163の斜板162A,163Aの傾転を大きくして吐出流量を大きくする。
そして、第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出圧の和P1+P2による力がばね133d,134dのばね力設定値による力よりも大きくなるにしたがって弁体133e,134eが図11中左方向に移動し、パイロットポンプ164から第1サーボ弁131,132を介し導かれたパイロット圧PPを減圧して受圧室129d,130dに伝達し、これによって第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出流量を減少させるようになっている。
以上により、第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出圧P1,P2が上昇するに従って第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出流量の最大値が小さく制限され、第1及び第2油圧ポンプ162,163の入力トルクの合計をエンジン161の出力トルク以下に制限するように第1及び第2油圧ポンプ162,163の斜板162A,163Aの傾転が制御されるいわゆる入力トルク制限制御(馬力制御)が実現される。このとき、さらに詳細には、第1油圧ポンプ162の吐出圧P1と第2油圧ポンプ163の吐出圧P2との和に応じて、第1及び第2油圧ポンプ162,163の入力トルクの合計をエンジン161の出力トルク以下に制限するいわゆる全馬力制御が実現されるようになっている。
本実施の形態では、第1油圧ポンプ162及び第2油圧ポンプ163の両方がほぼ同一の特性に制御される。すなわち、レギュレータ装置171の第2サーボ弁133において第1油圧ポンプ162を制御するときにおける第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出圧の和P1+P2と第1油圧ポンプ162の吐出流量の最大値との関係と、レギュレータ装置172の第2サーボ弁134において第2油圧ポンプ163を制御するときにおける第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出圧の和P1+P2と第2油圧ポンプ163の吐出流量の最大値との関係とが、互いに略同一の関係(例えば10%程度の幅で)となるように、かつ、第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出流量の最大値を互いに略同じ値(同)で制限するようになっている。
図12は、前記の操作盤83の詳細構造を表す正面図である。この図12において、83A1,83A2,83A3は、送りコンベア11の正転方向起動、停止、逆転方向起動を行うための始動ボタン、停止ボタン、逆転ボタンであり、83B1,83B2,83B3は、押圧ローラ装置13の正転方向起動、停止、逆転方向起動を行うための始動ボタン、停止ボタン、逆転ボタンであり、83C1,83C2,83C3は、破砕ロータ32の正転方向起動、停止、逆転方向起動を行うための始動ボタン、停止ボタン、逆転ボタンであり、83D1,83D2は、排出コンベア3の起動、停止を行うための始動ボタン、停止ボタンである。
また、83Gはフィーダ(前記送りコンベア11及び押圧ローラ装置13)の動作速度(但し正転方向)を設定可能な速度設定ダイヤルであり、83Jは前記破砕ロータ32の回転速度を設定可能な速度設定ダイヤルであり、83Hは走行操作を行う走行モード及び破砕作業を行う作業モードのいずれか一方を選択するための動作選択スイッチであり、83Iは各種操作をこの操作盤83を用いて行うか図示しない可搬式のスイッチボックス(リモコン)を用いて行うかを選択するための操作選択スイッチである。
また、83Kは破砕装置12の過負荷発生時に押圧ローラ装置13の押えローラ24及び送りコンベア11を逆転駆動するオートフィーダ機能(詳細は後述)を行うかどうかを選択可能なオートフィーダ切換スイッチである。通常の破砕作業時には「ON」の切換位置で使用する。「OFF」の切換位置は、例えば、圧力センサ138,139が作業中に故障して常時過負荷状態の検出信号を出力するような場合、そのままでは破砕作業自体が続行不可能となるため、オートフィーダによる逆転機能そのものを不実施として破砕作業の続行を確保するためのものである。
さらに、83Lは押圧ローラ装置13を上げ下げする油圧シリンダ28のロック/フリーの切り換え等を行うためのシリンダ動作切換スイッチである(詳細は後述)。
作業者が上記操作盤83の各種ボタン、スイッチ、ダイヤルの操作を行うと、その操作信号が前記のコントローラ84に入力される。コントローラ84は、操作盤83からの操作信号に基づき、前述した送りコンベア用コントロールバルブ168、排出コンベア用コントロールバルブ169、押えローラ用コントロールバルブ170、油圧シリンダ用コントロールバルブ185、ソレノイド制御弁85、ソレノイド制御弁187及び破砕装置用コントロールバルブ165への駆動信号Sf,Scon,Sm,Scy,St,Sl,Scrを生成し、対応するコントロールバルブのソレノイドにそれらを出力するようになっている。
すなわち、操作盤83の動作選択スイッチ83Hで「走行モード」が選択された場合には、ソレノイド制御弁85への駆動信号StをONにしてソレノイド制御弁85を図11中左側の連通位置85Aに切り換え、操作レバー36a,37aによる走行用コントロールバルブ166,167の操作を可能とする。操作盤83の動作選択スイッチ83Hで「作業モード」が選択された場合には、ソレノイド制御弁85への駆動信号StをOFFにして図11中右側の遮断位置85Bに復帰させ、操作レバー36a,37aによる走行用コントロールバルブ166,167の操作を不可能とする。
また、操作盤83の破砕ロータ始動スイッチ83C1(又は逆転スイッチ83C3。以下、対応関係同じ)が押された場合、破砕装置用コントロールバルブ165のソレノイド駆動部165a(又はソレノイド駆動部165b)への駆動信号ScrをONにするとともにソレノイド駆動部165b(又はソレノイド駆動部165a)への駆動信号ScrをOFFにし、破砕装置用コントロールバルブ165を図9中上側の切換位置165A(又は下側の切換位置165B)に切り換え、第1油圧ポンプ162からの圧油を破砕装置用油圧モータ121に供給して駆動し、破砕装置12を正転方向(又は逆転方向)に起動する。
その後、破砕ロータ停止スイッチ83C2が押された場合、破砕装置用コントロールバルブ165のソレノイド駆動部165a及びソレノイド駆動部165bへの駆動信号ScrをともにOFFにして図9に示す中立位置に復帰させ、破砕装置用油圧モータ121を停止し、破砕装置12を停止させる。
また、操作盤83の送りコンベア始動スイッチ83A1(又は逆転スイッチ83A3。以下、対応関係同じ)が押された場合、送りコンベア用コントロールバルブ168のソレノイド駆動部168a(又はソレノイド駆動部168b)への駆動信号SfをONにするとともにソレノイド駆動部168b(又はソレノイド駆動部168a)への駆動信号SfをOFFにし、図10中上側の切換位置168A(又は図10中下側の切換位置168B)に切り換え、第2油圧ポンプ163からの圧油を送りコンベア用油圧モータ14に供給して駆動し、送りコンベア11を正転方向(又は逆転方向)に起動する。その後、操作盤83の送りコンベア停止スイッチ83A2が押されると、送りコンベア用コントロールバルブ168のソレノイド駆動部168a及びソレノイド駆動部168bへの駆動信号SfをともにOFFにして図10に示す中立位置に復帰させ、送りコンベア用油圧モータ14を停止し、送りコンベア11を停止させる。
また、排出コンベア始動スイッチ83D1が押された場合、排出コンベア用コントロールバルブ169を図10中上側の切換位置169Aに切り換え、排出コンベア用油圧モータ79を駆動して排出コンベア3を起動し、排出コンベア停止スイッチ83D2が押されると、排出コンベア用コントロールバルブ169を中立位置に復帰させ、排出コンベア3を停止させる。
さらに、押圧ローラ始動スイッチ83B1(又は逆転スイッチ83B3。以下、対応関係同じ)が押された場合、押えローラ用コントロールバルブ170のソレノイド駆動部170a(又はソレノイド駆動部170b)への駆動信号SmをONにするとともにソレノイド駆動部170b(又はソレノイド駆動部170a)への駆動信号SmをOFFにし、図10中上側の切換位置170A(又は図10中下側の切換位置170B)に切り換え、第2油圧ポンプ163からの圧油を押えローラ用油圧モータ160に供給して駆動し、押圧ローラ装置13を正転方向(又は逆転方向)に起動する。その後、押えローラ停止スイッチ83B2が押されると、押えローラ用コントロールバルブ170を中立位置に復帰させ、押圧ローラ装置13を停止させる。
ここで、本実施の形態の最も大きな特徴は、破砕装置12が過負荷状態となったときに、油圧シリンダ28を縮短させて押圧ローラ装置13を持ち上げるようにしたことである。以下、この詳細について説明する。
先の図12において、83Lは油圧シリンダ28のフリー状態又はロック状態の切り換え、及び押圧ローラ装置13の上昇(すなわち油圧シリンダ28の縮短駆動)を行うためのシリンダ動作切換スイッチである。すなわち、このシリンダ動作切換スイッチ83LをFree位置(図12中左側の切換位置)に切り換えると、コントローラ84からソレノイド制御弁187のソレノイド187aに入力される駆動信号SlがONになり、ソレノイド制御弁187が図10中上側のフリー位置187Aに切り換えられ、供給管路中の圧力をタンク圧と等しくして油圧シリンダ28の伸縮動作をフリー状態とする。なお、通常はシリンダ動作切換スイッチ83LをこのFree位置とした状態で破砕作業が行われ、破砕装置12が過負荷状態となった場合にはこのフリー状態から押圧ローラ装置13の上げ制御がコントローラ84によって行われる(詳細は後述)。
一方、切換スイッチ83Lをローラ上げ位置(図12中右側の切換位置)に切り換えると、コントローラ84から油圧シリンダ用コントロールバルブ185のソレノイド駆動部185a及び185bへの駆動信号ScyがそれぞれON及びOFFになり、油圧シリンダ用コントロールバルブ185が図10中上側の切換位置185Aに切り換えられる。これにより、第2油圧ポンプ163からの圧油が油圧シリンダ28のロッド側に供給され、油圧シリンダ28が縮短されて押圧ローラ装置13が持ち上げられる。この切り換え位置は、例えばメンテナンス時等、作業者が必要に応じて押圧ローラ装置13を手動で上げたい場合に用いる。
他方、切換スイッチ83Lをロック位置(図12中中央側の切換位置)に切り換えると、コントローラ84からソレノイド制御弁187のソレノイド187aに入力される駆動信号SlがOFFになり、ソレノイド制御弁187がバネ187bの付勢力により図10中下側のロック位置187Bに切り換えられ、油圧シリンダ28の伸縮動作をロックする。この切換位置は、例えば上記したメンテナンス時に作業者が押圧ローラ装置13を上げ、その状態で保持する場合等に用いられる。
図13は、コントローラ84の機能のうち押圧ローラ装置13の上げ制御に係わる制御内容を表すフローチャートである。なお、コントローラ84は、作業者により操作盤83の送りコンベア始動スイッチ83A1及び押圧ローラ始動スイッチ83B1が押され、送りコンベア11及び押圧ローラ装置13が起動されると共にこの図13に示すフローを開始し、送りコンベア停止スイッチ83A2及び押圧ローラ停止スイッチ83B2が押され、送りコンベア11及び押圧ローラ装置13が停止すると共にこのフローを終了するようになっている。
この図13において、まずステップ10では、送りコンベア11及び押圧ローラ装置13がコントローラ84により逆転及び停止制御されているかどうかを示すフラグを、制御されていない状態を示す0にクリアし、次のステップ20に移る。
ステップ20では、圧力センサ138,139が検出した第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出圧P1,P2をそれぞれ入力し、次のステップ30に移る。
ステップ30では、上記ステップ20で入力した吐出圧P1,P2の平均値(P1+P2)/2を算出し、この値がしきい値P0以上であるかどうかを判定する。なお、このしきい値P0は、前記全馬力制御によって第1油圧ポンプ162の特性が高トルク側へ移動した状態でこの第1油圧ポンプ162の最大吐出流量が減少し始めるときの第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出圧P1及びP2の平均値であり、例えばコントローラ84に予め記憶(又は適宜の外部端末により設定入力してもよい)されているものである。吐出圧P1,P2の平均値がしきい値P0以上の場合には判定が満たされ、次のステップ40に移る。
ステップ40では、前記フラグが送りコンベア11及び押圧ローラ装置13の逆転及び停止制御されていない状態を示す0であるかどうかを判定する。フラグが1であれば判定が満たされず、後述するステップ110に移る。一方、フラグが0であれば判定が満たされ、次のステップ50に移る。
ステップ50では、吐出圧P1,P2の平均値(P1+P2)/2が上記しきい値P0以上となってから時間T1が経過したかどうかを判定する。なお、この時間T1は、吐出圧P1,P2の平均値(P1+P2)/2がしきい値P0以上となった状態がこの時間以上継続した場合には、破砕装置12が過負荷状態であると判定できる基準時間として、例えばコントローラ84に予め記憶(又は適宜の外部端末により設定入力してもよい)されているものである。時間T1が経過していない場合には判定が満たされず、ステップ20に戻る。一方、時間T1が経過した場合には破砕装置12が過負荷状態であるとみなされて判定が満たされ、次のステップ60に移る。
ステップ60では、送りコンベア用コントロールバルブ168に出力する駆動信号Sfを制御して送りコンベア用コントロールバルブ168を切換位置168Bに切換えると共に、押えローラ用コントロールバルブ170に出力する駆動信号Smを制御して押えローラ用コントロールバルブ170を切換位置170Bに切り換える。これにより、送りコンベア11及び押圧ローラ装置13を逆転駆動させ、次のステップ70に移る。
ステップ70では、上記ステップ60で送りコンベア11及び押圧ローラ装置13の逆転駆動を開始してから時間T2が経過したかどうかを判定する。なお、この時間T2は、送りコンベア11及び押圧ローラ装置13の逆転駆動時間として例えばコントローラ84に予め記憶(又は適宜の外部端末により設定入力してもよい)されているものである。時間T2が経過した場合には判定が満たされ、次のステップ80に移る。
ステップ80では、送りコンベア用コントロールバルブ168に出力する駆動信号Sfを制御して送りコンベア用コントロールバルブ168を中立位置に切換えると共に、押えローラ用コントロールバルブ170に出力する駆動信号Smを制御して押えローラ用コントロールバルブ170を中立位置に切り換える。これにより、送りコンベア11及び押圧ローラ装置13を停止させ、次のステップ90に移る。
ステップ90ではフラグを送りコンベア11及び押圧ローラ装置13が逆転及び停止制御されている状態を示す1にして、次のステップ100に移る。
ステップ100では、角度センサ89で検出したアーム部25の回動角度を入力し、現時点(送りコンベア11及び押圧ローラ装置13を停止制御した時点)でのアーム部25の回動角度θsとして、例えばコントローラ84内のメモリ等(又は外部の適宜の記憶手段でもよい)に記憶する。
次のステップ110では、角度センサ89で検出したアーム部25の回動角度θを再度入力し、次のステップ120に移る。
なお、前述したように、先のステップ40で判定が満たされない場合には、次のステップ120に直接移る。
ステップ120では、上記ステップ110で入力した回動角度θが先のステップ100で記憶した回動角度θsに設定角度θoを加えた角度より大きいかどうかを判定する。なお、このθoは、アーム部25(湾曲板27)と破砕装置12との隙間に滞留した被破砕木材を除去するのに十分なアーム部25の回動角度として、例えばコントローラ84に予め記憶(又は適宜の外部端末により設定入力してもよい)されているものである。θ≦θs+θoの場合には判定が満たされず、次のステップ130に移る。
ステップ130では、油圧シリンダ用コントロールバルブ185のソレノイド駆動部185a及び185bへの駆動信号ScyをそれぞれON及びOFFとし、油圧シリンダ用コントロールバルブ185を図10中上側の切換位置185Aに切り換える。これにより、第2油圧ポンプ163からの圧油が油圧シリンダ28のロッド側に供給され、油圧シリンダ28が縮短されて押圧ローラ装置13が持ち上げられる。そして、ステップ20に戻る。
なお、先のステップ120でθ>θs+θoの場合には判定が満たされ、ステップ140に移る。ステップ140では、ソレノイド制御弁187のソレノイド187aへの駆動信号SlをOFFとし、ソレノイド制御弁187を図10中下側のロック位置187Bに切り換える。これにより、油圧シリンダ28の伸縮動作がロックされ、押圧ローラ装置13の回動動作がロックされる。
一方、先のステップ30において、吐出圧P1,P2の平均値(P1+P2)/2がしきい値P0より小さい場合には判定が満たされず、ステップ150に移る。このステップ150では、フラグが送りコンベア11及び押圧ローラ装置13の逆転及び停止制御されている状態を示す1であるかどうかを判定する。フラグが0であれば判定は満たされず、ステップ20に戻る。一方、フラグが1であれば判定が満たされ、次のステップ160に移る。
ステップ160では、吐出圧P1,P2の平均値(P1+P2)/2がしきい値P0を下回ってから時間T3が経過したかどうかを判定する。なお、この時間T3は、吐出圧P1,P2の平均値(P1+P2)/2がしきい値P0を下回った状態がこの時間以上継続した場合には、破砕装置12の過負荷状態が解消されたと判定できる基準時間として、例えばコントローラ84に予め記憶(又は適宜の外部端末により設定入力してもよい)されているものである。時間T3が経過していない場合には判定が満たされず、ステップ20に戻る。一方、時間T3が経過した場合には破砕装置12の過負荷状態が解消されたとみなされて判定が満たされ、次のステップ170に移る。
ステップ170では、ソレノイド制御弁187のソレノイド187aに入力する駆動信号SlをONとし、ソレノイド制御弁187を図10中上側のフリー位置187Aに切り換える。これにより、油圧シリンダ28の供給管路中の圧力がタンク圧と等しくなって油圧シリンダ28の伸縮動作がフリー状態となり、押圧ローラ装置13の回動動作がフリー状態となる。
次のステップ180では、送りコンベア用コントロールバルブ168に出力する駆動信号Sfを制御して送りコンベア用コントロールバルブ168を切換位置168Aに切換えると共に、押えローラ用コントロールバルブ170に出力する駆動信号Smを制御して押えローラ用コントロールバルブ170を切換位置170Aに切り換える。これにより、送りコンベア11及び押圧ローラ装置13を正転駆動に復帰させ、次のステップ190でフラグを0にクリアして、ステップ20に戻る。
図14は、破砕作業時における第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出圧P1,P2の平均値(P1+P2)/2の変化の一例を示すと共に、そのときの送りコンベア11、押圧ローラ装置13の駆動状態及び押圧ローラ装置13の上げ状態を示す図である。
この図14に示すように、例えば被破砕木材の過投入により破砕装置12の負荷が上昇し、第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出圧P1,P2の平均値がしきい値P0以上である状態が時間T1の間継続すると、破砕装置12が過負荷状態であるとみなされて送りコンベア11及び押圧ローラ装置13が時間T2の間逆転駆動する。この逆転駆動が終了するまでの間、油圧シリンダ28の伸縮動作(押圧ローラ装置13の回動動作)はフリー状態である。逆転駆動が終了すると、送りコンベア11及び押圧ローラ装置13を停止する。このとき、油圧シリンダ28を縮短して押圧ローラ装置13を持ち上げ、その状態で油圧シリンダ28の伸縮動作をロックして押圧ローラ装置13を保持する。そして、破砕装置12の負荷が減少して吐出圧P1,P2の平均値が低下し、吐出圧P1,P2の平均値がしきい値P0を下回った状態が時間T3の間継続すると、破砕装置12の過負荷状態が解消されたとみなされて送りコンベア11及び押圧ローラ装置13を正転駆動に復帰すると共に、油圧シリンダ28の伸縮動作(押圧ローラ装置13の回動動作)をフリー状態に復帰する。
次に、上記構成の本発明の木材破砕機の一実施の形態の動作を以下に説明する。
上記構成の自走式木材破砕機において、破砕作業時には、作業者は、まず操作盤83の動作選択スイッチ83Hで「作業モード」を選択して走行操作を不可能とする。そして、排出コンベア始動スイッチ83D1、破砕ロータ始動スイッチ83C1、押圧ローラ始動スイッチ83B1、及び送りコンベア始動スイッチ83A1を順次押す。なおこのとき、オートフィーダ切換スイッチ83Kは「ON」の切換位置、シリンダ動作切換スイッチ83Lは「Free」の切換位置にしておく。
上記の操作により、コントローラ84から排出コンベア用コントロールバルブ169のソレノイド駆動部169aへの駆動信号SconがONになって排出コンベア用コントロールバルブ169が図10中上側の切換位置169Aに切り換えられる。また、コントローラ84から破砕装置用コントロールバルブ165のソレノイド駆動部165aへの駆動信号ScrがONになるとともにソレノイド駆動部165bへの駆動信号ScrがOFFになり、破砕用コントロールバルブ165が図9中上側の切換位置165Aに切り換えられる。さらに、コントローラ84から押えローラ用コントロールバルブ170のソレノイド駆動部170aへの駆動信号SmがONになるとともにソレノイド駆動部170bへの駆動信号SmがOFFになり、押えローラ用コントロールバルブ170が図10中上側の切換位置170Aに切り換えられ、コントローラ84から送りコンベア用コントロールバルブ168のソレノイド駆動部168aへの駆動信号SfがONになるとともにソレノイド駆動部168bへの駆動信号SfがOFFになり、送りコンベア用コントロールバルブ168が図10中上側の切換位置168Aに切り換えられる。
これにより、第2油圧ポンプ163からの圧油がセンターバイパスライン178a及びセンタライン178bへ導入され、さらに押えローラ用油圧モータ160、排出コンベア用油圧モータ79、及び送りコンベア用油圧モータ14に供給され、押圧ローラ装置13、排出コンベア3、及び送りコンベア11が起動される。一方、第1油圧ポンプ162からの圧油が破砕装置用油圧モータ121に供給されて破砕装置12が正転方向に起動される。
この状態で、例えば油圧ショベルのグラップル等、適宜の作業具によりホッパ10内に被破砕木材を投入すると、被破砕木材は送りコンベア11の搬送体16上に載置され、ホッパ10の側壁体17によって案内されつつ循環駆動する搬送体16によって木材破砕機前方側に向かってほぼ水平方向に搬送される。
送りコンベア11上の被破砕木材は、押圧コンベア装置13付近まで搬送されると、押圧コンベア装置13の押えローラ24の下部に入り込み押圧コンベア装置13を押し上げる。これにより、送りコンベア11上の被破砕木材は、押圧コンベア装置13の自重の作用により送りコンベア11との間に押圧把持された状態で、破砕室31内へと導入される。これにより、破砕時には、被破砕木材は、押えローラ24と送りコンベア11とに挟持された部分を支点に片持ち梁状に破砕室31内に突出し、この突出部分が、回転する破砕ロータ32の破砕ビット35が衝突することで比較的大雑把に1次破砕される。1次破砕された被破砕木材の木材片は、破砕ロータ32の外周側の破砕室31内の空間を破砕ロータ32の回転方向に周回し、アンビル33に衝突し、その衝撃力によってさらに細かく2次破砕される。
以上のようにして破砕された破砕途中の木材片のうち第1及び第2スクリーン39,40に多数設けた孔よりも大きなものは継続して破砕室31内を周回し、破砕ビット35やアンビル33に再度衝突することにより、さらに破砕されていく。このようにして、第1及び第2スクリーン39,40の孔を通過する粒度にまで粉砕されると、破砕木材(木材チップ)が第1又は第2スクリーン39,40の孔を通過して、破砕装置12から排出される。
破砕装置12から排出された破砕木材(木材チップ)は、シュート(図示せず)を介し循環駆動する排出コンベア3のコンベアベルト上に落下し、前方側(図1及び図2中右側)へと搬送され、リサイクル品として排出される。
以上のようにして行われる破砕作業において、例えば被破砕木材の投入量が過剰、又は支持部材23のアーム部25と破砕装置12との隙間に木材が滞留する等により破砕装置12が過負荷状態となる場合がある。このとき、圧力センサ138,139により検出された吐出圧P1,P2の平均値(P1+P2)/2がしきい値P0以上となると、図13中のステップ30の判定が満たされる。この過負荷状態が時間T1以上継続すると、ステップ40を経てステップ50の判定が満たされ、ステップ60においてコントローラ84の制御により送りコンベア11及び押えローラ24の逆転駆動が開始される。この逆転駆動開始後時間T2以上経過すると、ステップ70の判定が満たされ、ステップ80においてコントローラ84の制御により送りコンベア11及び押えローラ24の駆動が停止される。
このとき、ステップ90を経てステップ100において、角度センサ89で検出されたアーム部25の回動角度θsが記憶される。そして、コントローラ84の制御により、アーム部25の回動角度θが記憶したθsに設定角度θoを加えた角度より大きくなるまで、油圧シリンダ28が縮短されて押圧ローラ装置13が上げられる。この状態は、図13中ステップ130→ステップ20〜ステップ40→ステップ110〜ステップ130を繰り返している状態である。そして、アーム部25の回動角度θがθs+θoより大きくなると、ステップ120の判定が満たされ、ステップ140においてコントローラ84の制御によって油圧シリンダ28の伸縮動作がロックされ、押圧ローラ装置13が上げた状態で保持される。
このようにして、送りコンベア11及び押圧ローラ装置13を停止することにより破砕装置12への被破砕木材の搬送が停止され、さらに押圧ローラ装置13を上げることにより滞留物が除去されるため、破砕装置12の負荷が減少する。これにより、吐出圧P1,P2の平均値(P1+P2)/2がしきい値P0を下回り、図13中のステップ30の判定が満たされなくなりステップ150に移る。そして、この状態が時間T3以上経過すると、ステップ160の判定が満たされ、ステップ170において、コントローラ84の制御により油圧シリンダ28の伸縮動作がフリー状態となり、押圧ローラ装置13が自重により被破砕木材を押圧する状態に復帰する。そして、ステップ180においてコントローラ84の制御により送りコンベア11及び押圧ローラ装置13が正転駆動に復帰される。
以上のようにして破砕作業が行われる本発明の木材破砕機の一実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態においては、以上説明してきたように、送りコンベア11により略水平方向から破砕室31に導入される被破砕木材を、破砕装置12の上部に設けた回動軸22を中心として回動可能に設けた支持部材23により送りコンベア11の上方に回転自在に支持された押えローラ24で押圧することにより、押えローラ24と送りコンベア11とで協働して被破砕木材を把持し、破砕室31へと押し込み導入する。
このような構造の場合、上記したように、押えローラ24を支持する支持部材23のアーム部25(正確には湾曲板27)と破砕装置12との隙間に木材が入って滞留し、この滞留した木材が押圧ローラ装置13の自重により破砕装置12に押し付けられ、これが原因となって破砕装置12が過負荷状態となる場合がある。このとき、前述した特許文献2記載の従来技術のように、単に送りコンベア11及び押圧ローラ装置13を逆転させるだけでは、アーム部25と破砕装置12との隙間に滞留した木材は除去されないため、破砕装置12の過負荷状態は解消されない恐れがあった。
これに対し、本実施形態においては、圧力センサ138,139で検出した吐出圧P1,P2の平均値(P1+P2)/2としきい値P0を比較することにより破砕装置12の過負荷状態を検出すると、コントローラ84の制御によって油圧シリンダ28を縮短させて、アーム部25を送りコンベア11(破砕装置12)から離間させるように押圧ローラ装置13を持ち上げ、その状態で保持する。このようにしてアーム部25を送りコンベア11(破砕装置12)から離間させることにより、アーム部25と破砕装置12との隙間に滞留した木材を除去する(落下させる)ことができる。その結果、滞留した木材による破砕装置12への押し付けを解消できるので、破砕装置12の過負荷状態を確実に解消することができる。なお、押圧ローラ装置13を持ち上げた際に、滞留した木材を破砕装置12の導入側(送りコンベア11及び押えローラ24側)に落下させることができるので、滞留していた木材を再度破砕室31に導入して破砕することができる。
また本実施形態によれば、押圧ローラ装置13の上げ制御を行っている間は送りコンベア11及び押圧ローラ装置13(押えローラ24)の駆動を停止する。これにより、アーム部25が送りコンベア11(破砕装置12)から離間されている間に被破砕木材が破砕室31内に導入されるのを防止でき、アーム部25と破砕装置12との隙間に滞留した木材を確実に除去できる。さらに、押圧ローラ装置13の上げ制御中においては押えローラ24が送りコンベア11から離間した状態であり、押圧ローラ装置13と送りコンベア11とで被破砕木材を押圧把持することができないことから、この際に送りコンベア11及び押圧ローラ装置13を駆動しても被破砕木材を搬送するという本来の役目を果たすことができないため、押圧ローラ装置13の上げ制御中に送りコンベア11及び押圧ローラ装置13を停止する本実施形態によれば、無駄な動力消費を抑制することができる。
さらに本実施形態によれば、全馬力制御による第1油圧ポンプ162側の馬力増大分を有効に用いて送りコンベア11の逆転及び停止制御を行うことができる。すなわち、本実施形態のように全馬力制御を行う油圧駆動装置の場合、破砕装置用油圧モータ121の負荷圧が上昇すると、エンジン161の馬力配分が変更され、第2油圧ポンプ163側の入力トルクが減少されて第1油圧ポンプ162側の入力トルクが増大される。ここで、破砕装置用油圧モータ121の過負荷状態の検出を、例えば第1油圧ポンプ162の吐出圧のみを検出しこれとしきい値を比較して行うような構造の場合、上記全馬力制御による第1油圧ポンプ162側の増トルク分を活かせないまま送りコンベア11の逆転及び停止制御が行われることになる。これに対し、本実施形態では、圧力センサ138,139で第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出圧をそれぞれ検出し、それらの平均値がしきい値P0以上である場合に送りコンベア11を逆転駆動及び停止させる。これにより、上記全馬力制御による馬力配分の変化に応じた形で第1油圧ポンプ162側の馬力増大分を有効に用いて送りコンベア11の逆転及び停止制御を行うことができる。
次に、本発明の木材破砕機の他の実施形態を説明する。本実施形態は、上記一実施形態のように押圧ローラ装置13を持ち上げた後その状態で保持せずに、押圧ローラ装置13を持ち上げた後上げ下げを繰り返すように制御するものである。
図15は、本実施形態のコントローラ84’(図示せず)の機能のうち、押圧ローラ装置13の上げ制御に係わる制御内容を表すフローチャートである。
この図15において、前述の図13と相違する箇所はステップ200のみである。すなわち、コントローラ84の制御により油圧シリンダ28が縮短されて押圧ローラ装置13が上げられ、アーム部25の回動角度θがθs+θoより大きくなると、ステップ120の判定が満たされ、次のステップ200に移る。このステップ200では、コントローラ84の制御によって油圧シリンダ28の伸縮動作がフリー状態となる。その結果、押圧ローラ装置13はその回動動作がフリーとなって自重によって下がり、アーム角度θがθs+θo以下となるため、次のステップ120においては判定が満たされずにステップ130に移り、コントローラ84の制御により、再びアーム部25の回動角度θがθs+θoより大きくなるまで押圧ローラ装置13が上げられる。そして、アーム部25の回動角度θがθs+θoより大きくなると、再度油圧シリンダ28の伸縮動作がフリー状態となり、押圧ローラ装置13が自重により下がる。このようにして、本実施形態では、図15中ステップ20〜ステップ40→ステップ110〜ステップ130→ステップ20とステップ20〜ステップ40→ステップ110〜ステップ120→ステップ200→ステップ20とが繰り返されつつ、押圧ローラ装置13が上げ下げを繰り返すように制御される。
なお、この図15の他の部分は前述の図13と同様であるので、説明を省略する。また、以上述べたコントローラ84’の制御以外については、本実施形態の構成は前述の一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
以上のような構成である本発明の木材破砕機の他の実施の形態においても、前述の一実施の形態と同様に破砕装置12の過負荷状態を確実に解消することができる。特に、本実施の形態では押圧ローラ装置13を繰り返し上げ下げするので、例えばアーム部25と破砕装置12との隙間に堅固にひっかかっているような滞留物であっても確実に除去することができる。
なお、以上の2つの実施形態では、圧力センサ138,139で第1及び第2油圧ポンプ162,163の吐出圧をそれぞれ検出し、それらの平均値がしきい値P0以上である場合に送りコンベア11を逆転駆動及び停止させるようにしたが、本発明の主要な効果である破砕装置12の過負荷の確実な解消という効果を得る限りにおいては、これに限らない。すなわち、例えば圧力センサ138のみを用いて第1油圧ポンプ162の吐出圧を検出し、これがしきい値を超える場合に送りコンベア11が逆転駆動及び停止するように制御してもよい。またこの場合、圧力センサ138を例えば破砕装置用コントロールバルブ165と破砕装置用油圧モータ121との間の管路に設けてもよい。
また、以上は、被破砕木材の押圧導入手段として、前述した押えコンベア装置13を採用したが、これに限られず、例えば、駆動ローラ及び従動ローラの間に無端状の部材(ベルトやチェーン等)を巻き回したものを用いてもよい。また、その押圧時の動作も、回動動作でなく上下動する構成として構わない。この場合も同様の効果を得る。
さらに、破砕装置として破砕ロータ32の外周部に刃物(破砕ビット35)を取り付けたいわゆるインパクトクラッシャを備えた木材破砕機を例にとって説明したが、これに限られず、他の破砕装置、例えば、平行に配置された軸にカッタを備え、互いに逆回転させることにより被破砕物をせん断する破砕装置(いわゆるシュレッダを含む2軸せん断機等)や、ロール状の回転体(ロータ)に破砕用の刃物を取り付けたものを一対としてそれら一対を互いに逆方向へ回転させ、それら回転体の間に被破砕物を挟み込んで破砕を行う回転式の破砕装置(いわゆるロールクラッシャを含む6軸破砕機等)や、被破砕物をチップ状にするいわゆる木材チッパーを備えた木材破砕機にも適用可能である。これらの場合も、上記と同様の効果を得る。
またさらに、本発明を自力走行可能な木材破砕機に適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、牽引して走行可能な移動式木材破砕機、若しくは例えばクレーン等により吊り上げて運搬可能な可搬式木材破砕機、さらにはプラント等において固定機械として配置される定置式木材破砕機に適用しても良いことは言うまでもなく、これらの場合も上記と同様の効果を得る。