以下、本発明の木材破砕機の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の木材破砕機の一実施の形態の全体構造を表す側面図、図2は図1に示した本発明の木材破砕機の一実施の形態の平面図、図3は後述する破砕装置12近傍の側面カバー内部の詳細構造を表す側面図である。なお、以下において、図1中の左・右に対応する方向を木材破砕機の後・前、又は一方・他方とする。
これら図1乃至図3において、1は自力走行を可能にする走行体、2はこの走行体1上に設けられ受け入れた被破砕木材を破砕する破砕機能構成部、3はこの破砕機能構成部2で破砕された破砕物を搬送し機外に排出する排出コンベア、4は搭載した各機器の動力源(エンジン)等を備えた動力装置(パワーユニット)で、本例の木材破砕機は、これら走行体1、破砕機能構成部2、排出コンベア3、動力装置4等によって概略構成されている。
上記走行体1は、トラックフレーム5と、このトラックフレーム5の前後両端部に設けた駆動輪6及び従動輪7と、出力軸を駆動輪6の軸に連結した駆動装置(走行用油圧モータ)8と、駆動輪6及び従動輪7に掛け回した履帯(無限軌道履帯)9とで構成されている。36はトラックフレーム5上に設けた本体フレームで、この本体フレーム36によって、上記破砕機能構成部2や排出コンベア3、動力装置4等が支持されている。
上記破砕機能構成部2は、投入される被破砕木材を受け入れるホッパ10と、このホッパ10内に収容配置された被破砕木材の搬送手段としての送りコンベア11と、この送りコンベア11によって導入された被破砕木材を破砕する破砕装置12(後の図3等参照)と、この破砕装置12の手前で破砕装置12に導入される被破砕木材を送りコンベア11に押し付ける押圧コンベア装置13(後の図3等参照)とを備えている。
図4はホッパ10の後端近傍の詳細構造を表す側面図、図5はこの図4中のV−V矢視断面図、図6は後方から見たホッパ10の正面図で、これらの図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。但し、図4においては、後述する外壁体15を取り外した状態を図示している。
図4乃至図6において、ホッパ10は、有底形状に形成され、本体フレーム36上の破砕ロータ61(後述)の後方側にほぼ水平に設けられており、送りコンベア11の後方側に設けた後壁体14と、幅方向左右両側の外壁体15と、外壁体15の内側で送りコンベア11の幅方向両側に設けられ、外壁体15との間に間隙が確保されるように複数の部材でL字型に構成された側壁体16と、外壁体15及び側壁体16の上部に掛け渡すようにして、上方に向かって拡開形状に設けられた拡開部(あおり部)17と、送りコンベア11の下方側に僅かに間隙を介するように底部全面に設けた底壁体18と、前方側端部の前壁体19(図3参照)とを備えている。上記後壁体14の上端部14aは送りコンベア11の搬送面39(後述の搬送体42の上面。図7参照。)とほぼ同じ高さに設定されており、前壁体19の上端は送りコンベア11の搬送面39よりも僅かに低い程度に設定されている。
またホッパ10は、後壁体14の上方において幅方向両側の側壁体16,16(拡開部17,17)間に横架された支持部材37と、この支持部材37によって吊り下げ支持されたゴム板(可撓性部材)38とを備えている。ゴム板38はその下端部が後壁体14の上端部14aに接するように(又はわずかな隙間を介してもよい)吊り下げられている。これにより、破砕作業中に破砕片が後壁体14の上方に飛来した場合でも、支持部材37及びゴム板38により破砕片を受け止めホッパ10の後方から外部にこぼれるのを防止できるようになっている。
図7は、送りコンベア11の後端部の詳細構造を表す図6中のVII−VII矢視断面図で、この図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。なお、この図7では、上記支持部材37及びゴム板38は図示省略している。
本実施の形態において、ホッパ10の底壁体18は、固定部20と、後端に位置する開閉部21とに分割されている。固定部20は、側壁体16に固定されているのに対し、開閉部21は、後壁体14に固定されている。なお、この図7には図示されていないが、後壁体14の上端部には、ブラケット22を介してピン23が設けられており、後壁体14は、このピン23を支点に側壁体16に対し回動可能に取り付けられている(図6及び後述の図9参照)。これによって、後壁体14に固定された開閉部21が後壁体14とともに回動し、底壁体18の後端部が開閉可能な構成となっている。なお、開閉部21上には、送りコンベア11の後端部の軌跡に僅かな間隙を介して沿うように円弧状に形成した案内部材35が設けられ、投入される被破砕木材が送りコンベア11の後方のスペースに入り込むことを防止している。
24,25は開閉部21を閉状態で保持するためのロック機構で、ロック機構24はL字型の側壁体16の底部の後端部に渡したビーム26の後端面に、ロック機構25はロック機構24よりもやや前方位置における側壁体16の底部上面に、それぞれ設けられている。
図8(a)及び図8(b)は、それぞれ図7と同じ方向から見たロック機構24の詳細図で、これらの図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。なお、詳細な説明は省略するが、ロック機構25の構成もロック機構24と同様である。
図8(a)及び図8(b)において、ロック機構24は、ビーム26に複数のボルト27によって固定された支持板28と、この支持板28に所定の間隔で設けられた2枚のブラケット29と、これらブラケット29に挿通するピン30と、ピン30の外周部にほぼ直角に設けたハンドル31と、このハンドル31を係止するための係止部材32と、後壁体14の下端部に固定されたブラケット33とを備えている。
このように構成することで、図8(a)のように、ピン30が後壁体14側のブラケット33に挿入され、ハンドル31がブラケット29と係止部材32との間に係止されているときには、ピン30を介して後壁体14が側壁体16に対して固定され、底壁体18の開閉部20は閉状態で保持される。一方、ハンドル31がほぼ水平となる位置にピン30を回転させ、ハンドル31を係止部材32の切り欠き部を通してピン30をスライドさせ、図8(b)のようにブラケット33からピン30を抜くことにより、後壁体14と側壁体16との間の拘束が解かれる。本例では、もう一つのロック機構25を設けているので、同じように、ロック機構25側も開閉部20側に設けたブラケットからピンを抜くことにより、開閉部20の拘束が完全に解かれ、開閉部20の開閉が可能となる。開閉部20が開放された状態を、図7と対応させて図9に示した。なお、この図9においては、理解を容易とするため、前記のブラケット22及びピン23を図示している。この状態とすることで、ホッパ10内に木材片が滞留した場合には、メンテナンス時等にそれを容易に排出することができる。
なお、34はピン30の脱落を防止するリテーナで、このリテーナ34は、ブラケット29,29の間に位置するようにピン30の外周部に設けられている。本例においては、図8(a)のロック時、図8(b)のロック解除時に、それぞれ内側、外側のブラケット29に当接する位置にリテーナ34を設けることにより、ピン30のストロークを適当な長さに制限してある。
上記送りコンベア11は、破砕ロータ61(後述)側に設けられたスプロケット状の駆動輪40(図3参照)と、その反対側(木材破砕機後方側、後壁体14側)に設けた従動輪41(図7等参照)と、これら搬送方向両端部に設けた駆動輪40及び従動輪41の間に巻回され、幅方向に複数列(この例では4列、図2参照)列設された搬送体(搬送ベルト、チェーンベルト)42とを備えている。なお、搬送体42については、繁雑防止のため、先の図3、後の図11及び図17中では図示省略してある。
従動輪41は、ホッパ10の側壁体16後部の外壁面に設けた軸受43(図4参照)よって支持され、駆動輪40は、側壁体16の前方側にほぼ同一面上に位置するように設けた破砕装置12の側面カバー45(後述)における外壁面に設けた軸受46(後述、図10参照)によって支持されている。これにより、送りコンベア11は、上記ホッパ10内の下部、すなわちホッパ10の側壁体16の内側からから破砕ロータ61(後述)近傍にかけ、ほぼ水平に延設されホッパ10及び破砕装置12の側面カバー45(後述)内に収納配置されている。
図10は上記破砕装置12付近の側面図、図11はその内部構造を詳細に表す断面図で、これらの図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
図10及び図11において、45はホッパ10の前方に設けた破砕装置12の側面カバー、46はこの側面カバー45の外壁面に設けた送りコンベア11の軸受である。送りコンベア11の駆動輪40の回転軸は、軸受46よりも幅方向外側に設けた駆動装置49(ここでは図示せず。後の説明に用いる図19を参照。以下、適宜送りコンベア用油圧モータ49と記載。)の出力軸にカップリング等を介して連結している。送りコンベア11は、その駆動装置49を回転駆動させることにより、駆動輪40及び従動輪41の間で搬送体42を循環駆動させるようになっている。なお、前述したホッパ10の底壁体18は、図11に示したように(図3も参照)、駆動輪40の下方にまで延在され、その先端部は、側面カバー45内に臨んでいる。
47は駆動輪40の回転軌跡に近接するように曲成され、ホッパ10の底壁体18及び前壁体19に連接した案内部材、48は駆動輪40の回転軌跡よりも若干低位置でかつ駆動輪40との対向端部が極力駆動輪40の回転軌跡に近接するように前壁体19の上部に配置したスクレーパである。これら案内部材47及びスクレーパ48の幅方向端部は、破砕装置12の側面カバー45に固定されている。
前述の押圧コンベア装置13は、破砕ロータ61(後述)の後方側に近接するように、被破砕木材を搬送する送りコンベア11の搬送面(上側の面)39に対向して設けられている。この押圧コンベア装置13は、破砕機側面カバー45に軸受50(図11参照)によってその回動軸51(図3参照)が軸支され、これにより鉛直面内を回動自在に(上下方向に揺動自在に)支持された支持部材52と、この支持部材52に対し回転自在に設けられた押えローラ53とを備えている。
支持部材52は、回動軸51を備えたアーム部54と、このアーム部54の先端側に設けられ、押えローラ53を支持しているブラケット部55とを備えている。アーム部54の下部側の端面は円弧状に湾曲して形成されており、この湾曲部には、後述する破砕室60の一部を構成する湾曲板68が取付けられている。一方、ブラケット部55における押えローラ53の取付け部分は、押えローラ53よりも小径の円弧状に形成されており、押えローラ53の外周面がブラケット部55から突出した構成となっている。押えローラ53の幅方向(図3中の紙面直交方向)の寸法は、送りコンベア11の搬送面39の幅と同等かそれよりも大きく設定されている。
図3、図11において、56,57は押えコンベア装置13の回動動作を制限するストッパで、これらストッパ56,57は、押えローラ53が送りコンベア11の駆動輪40の近接位置まで下がると、ブラケット部55、湾曲板68がそれぞれ当接するように破砕機側面カバー45の内側に配置されている。また、特に図示していないが、押えローラ53は、その胴部内に駆動装置58(ここでは図示せず。後述の図19参照。以下、適宜押えローラ用油圧モータ58と記載。)を内蔵しており、この図示しない駆動装置によって、送りコンベア11の搬送面39に転動する方向に被破砕木材の搬送速度とほぼ同じ周速度で回転し、押え込んだ送りコンベア11上の被破砕木材を送りコンベア11と協動して破砕装置12に導入するようになっている。
前述の破砕装置12は、本体フレーム36の長手方向ほぼ中央部上に搭載されており、図3及び図11に示すように、破砕室60内で高速回転する破砕ロータ61と、この破砕ロータ61の回転方向(正転方向、図3及び図11中時計回り方向)に対向するように配置した第1アンビル62及び第2アンビル63とを備えている。詳細は後述するが、第1及び第2アンビル62,63は、例えば過度な衝撃が加わった場合等には、破砕ロータ61の正転方向に倣う方向に退避するように回動可能な構成となっている(図11等参照)。
破砕ロータ61は、例えば破砕装置12の側面カバー45(又は本体フレーム36上に別途設けた図示しない支持部材)等に設けた軸受(図示せず)によって回転自在に軸支されており、その外周部には、複数の支持部材64と、これら支持部材64にそれぞれ取り付けられた破砕ビット(衝突板、或いは破砕刃等)65とが設けられている。破砕ビット65は、破砕ロータ61が正転方向に回転する際にその刃面が支持部材64に先行するように配置されている。また、各破砕ビット65は、ボルト66等によって支持部材64に固定され、摩耗した場合にも容易に交換可能な構成となっている。なお、図10において、67は破砕ロータ61を回転駆動させる駆動装置(以下、適宜破砕装置用油圧モータ67と記載。)で、この駆動装置67は、特に図示していないが、破砕装置12の側面カバー45に対してボルト等によって固定されており、その出力軸は、カップリングを介して破砕ロータ61の回転軸に連結されている。
前述した破砕室60は、破砕ロータ61に対し、それぞれ上方側に設けた前述の湾曲板68や、前方側及び下方側にそれぞれ設けられ、破砕木材(木材チップ)の粒度を設定する口径で開口した多数の孔を有する第1スクリーン69及び第2スクリーン70等によって概ね画定され、その後方側は被破砕木材導入部として解放されている。湾曲板68は、前述したように押えコンベア装置13のアーム部54の湾曲部に取付けられており、押えコンベア装置13の上下の揺動動作に伴って可動する構成となっている。この湾曲板68と同様、第1及び第2スクリーン69,70は、破砕作業時、破砕ビット65との間にそれぞれ所定の間隙を介して破砕ロータ61の回転軌跡にほぼ沿うように円弧状に形成され、それぞれが可動するようになっている(詳細は後述)。
図12及び図13は第1アンビル62及び第1スクリーン69付近の構成を抽出しそれらの可動機構の詳細を表す図、図14は図12中のXIV−XIV矢視断面図で、これらの図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
図12乃至図14において、71は第1アンビル62を取付けたアームで、このアーム71は、幅方向(図14中の左右方向)に一対設けられ、2本の回動軸72,73及びビーム74によって連結されており、例えば破砕機側面カバー45(図10参照)の外壁面に設けた軸受75によって一方の回動軸72が支持されることにより、回動軸72を支点に回動可能な構成となっている。なお、回動軸72,73の向きは、それぞれ破砕ロータ61の回転軸とほぼ平行である。
アーム71は、その前端部が破砕機側面カバー45に固定した支持部材76にシアピン77を介して連結されることにより、破砕作業時(例えば図3の状態のとき)、その第1アンビル62が、上記湾曲板68の周方向(破砕ロータ61の周方向)一方側(図12中の下側)でかつ湾曲板68の内壁面よりも径方向(破砕ロータ61の径方向)内側に突出するような姿勢で固定、保持されている。したがって、第1アンビル62に、シアピン77の許容を超えた衝撃荷重がかかった場合等は、シアピン77が破断してアーム71の拘束が解かれ、アーム71が破砕室60から退避するようになっており、各部の損傷が防止される。
このとき、アーム71の回動動作は、例えば回動軸72の回転を検出するセンサにより検出され、このセンサによってアーム71の回動が検出されると、図示しないコントローラによって破砕ロータ61の駆動装置67を停止させる指令信号が出力されるようになっている。
なお、78は例えば破砕機側面カバー45(又は本体フレーム36上に別途設けた図示しない支持部材)に対して固定されたストッパで、このストッパ78は、アーム71と他の構成部材との干渉を防止するため、第1アンビル62の退避方向へのアーム71の回動範囲を制限している。
80は第1スクリーン69を外周側からアーム71に押し付けて保持する枠型のスクリーン支持部材(バナナプレート)で、このスクリーン支持部材80は、その周方向(破砕ロータ61の周方向)一方側(図12では下側)端部が先の回動軸73を介してアーム71に連結されている。また、スクリーン支持部材80の周方向他方側端部は、油圧シリンダ81を介して先のビーム74に連結されている。油圧シリンダ81の両端は、それぞれスクリーン支持部材80、ビーム74にピンを介して回動可能に連結されており、この油圧シリンダ81の伸縮動作に伴ってスクリーン支持部材80がアーム71に対して回動する。つまり、油圧シリンダ81を縮めることにより、スクリーン支持部材80が第1スクリーン69から離間し、第1スクリーン69を容易に交換できる構成となっている。先の図10及び図11において、82は第1スクリーン69の交換作業に配慮して破砕機側面カバー45に設けた第1スクリーン69の引き出し、挿入用の開口部で、特に図示していないが、この開口部82には、例えばボルト着脱式のカバー等が取付けられる。
図14において、85はスクリーン支持部材80のロック機構で、このロック機構85は、アーム71と固定関係にあるブラケット86と、このブラケット86にボトム側端部が固定され幅方向(図14中左右方向)に設けたロックシリンダ87と、このロックシリンダ87のロッド側端部及びスクリーン支持部材80にそれぞれ固定され互いに係合するテーパ部を有するテーパブロック88,89と、ロックシリンダ87の伸縮動作に伴うテーパブロック88のスライド動作をガイドするガイド部材90とを備えている。
アーム71と固定関係にあるテーパブロック88は、スクリーン支持部材80及びアーム71の間に第1スクリーン69が狭持されているとき、径方向(破砕ロータ61の径方向)外側からスクリーン支持部材80に設けたテーパブロック89に係合する。すなわち、第1スクリーン69が挟持されているときに、ロックシリンダ87を伸長させ、テーパブロック88,89を係合させることにより、スクリーン支持部材80の回動動作は拘束され、第1スクリーン69は破砕作業持の破砕室60を確定する位置(図3の位置)で強固に固定、保持される。前述のように油圧シリンダ81の縮退によりスクリーン支持部材80を回動させ第1スクリーン69を交換する場合、まずロックシリンダ87を縮退させ、テーパブロック88,89の係合を解いた上で行う。このロック解除時の状態を図14に対応させて図15に示した。なお、本実施の形態では、ロック機構85を第1スクリーン69の幅方向(図14中左右方向)両側に設けているが、片側のみで足りる場合にはどちらかを省略してもよい。
図3、図10乃至図11に戻り、91は第2アンビル63を取付けた枠型のアームで、このアーム91は、例えば破砕機側面カバー45(図10参照)の外壁面(又は本体フレーム36上に別途設けた図示しない支持部材)に設けた軸受92によってその回動軸(図示せず)が支持され、その回動軸を支点に回動可能な構成となっている。該回動軸の向きは、破砕ロータ61の回転軸とほぼ平行である。
アーム91は、その前端部が破砕機側面カバー45に固定した支持部材93にシアピン94を介して連結されることにより、破砕作業時(例えば図3の状態のとき)、第2アンビル63が、第1スクリーン69の周方向(破砕ロータ61の周方向)一方側(図3中下側)でかつ第1スクリーン69の内壁面よりも径方向(破砕ロータの径方向)内側に突出するような姿勢で固定、保持されている。したがって、第2アンビル63に、シアピン94の許容を超えた衝撃荷重がかかった場合等は、シアピン94が破断してアーム91の拘束が解かれ、アーム91が破砕室60から退避するようになっており、各部の損傷が防止される。
このとき、アーム91の回動動作は、例えばその回動軸の回転を検出するセンサにより検出され、このセンサによってアーム91の回動が検出されると、図示しないコントローラによって破砕ロータ61の駆動装置67を停止させる指令信号が出力されるようになっている。
なお、95は例えば破砕機側面カバー45(又は本体フレーム36上に別途設けた図示しない支持部材)に対して固定されたストッパで、このストッパ95は、アーム91と他の構成部材との干渉を防止するため、第2アンビル63の退避方向へのアーム91の回動範囲を制限している。
図16(a)乃至図16(c)は、前述した第2スクリーン70付近の構成を抽出しその可動機構の詳細を表す図で、この図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
図16において、97は第2スクリーン70の押え板で、この押え板97は、その外周部が第2スクリーン70の内壁面との湾曲とほぼ一致するように形成されており、破砕作業時(図16(a)の状態のとき)、例えば破砕機側面カバー45(又は本体フレーム36上に別途設けた図示しない支持部材)の内壁面に対し、外周部に第2スクリーン70の内壁面が当接するようにボルト等によって固定されている。98は第2スクリーン70を外周側から押え板97に押し付けて保持する枠型のスクリーン支持部材(バナナプレート)である。このスクリーン支持部材98は、その周方向(破砕ロータ61の周方向)一方側(図16では左側)端部に設けた回動軸99が破砕機側面カバー45(又は本体フレーム36上に別途設けた図示しない支持部材)に固定した軸受100によって支持され、上下方向に回動する構成となっている。
スクリーン支持部材98の周方向他方側端部は、油圧シリンダ101を介し、破砕機側面カバー45の外壁面にボルト等で固定した支持部材102に連結されている。油圧シリンダ101の両端は、それぞれスクリーン支持部材98、支持部材102にピンを介して回動可能に連結されており、この油圧シリンダ101の伸縮動作に伴ってスクリーン支持部材98が回動軸99を支点に回動する。これにより、油圧シリンダ101を伸長することにより、スクリーン支持部材98が押え板97から離間し、スクリーン支持部材98上に載置された第2スクリーン70を容易に交換できる構成となっている。なお、先の図10及び図11において、103は第2スクリーン70の交換作業に配慮して破砕機側面カバー45に設けた第2スクリーン70の引き出し、挿入用の切り欠き部で、図示していないが、この切り欠き部103には、例えばボルト着脱式のカバー等が取付けられる。
また、105はスクリーン支持部材98のロック機構で、このロック機構105は、破砕機側面カバー45の外壁面に固定されたブラケット106と、このブラケット106にボトム側端部が固定され前後方向(図16中左右方向)に設けたロックシリンダ107と、このロックシリンダ107のロッド側端部及びスクリーン支持部材98にそれぞれ固定され互いに係合するテーパ部を有するテーパブロック108,109と、破砕機側面カバー45の外壁面にボルト等で固定され、ロックシリンダ107の伸縮動作に伴うテーパブロック108のスライド動作をガイドするガイド部材110とを備えている。
テーパブロック108は、スクリーン支持部材98及び押え板97の間に第2スクリーン70が狭持されているとき、径方向(破砕ロータ61の径方向)外側からスクリーン支持部材98に設けたテーパブロック109に係合する。これにより、第2スクリーン70が挟持されているとき、ロックシリンダ107を伸長させ、テーパブロック108,109を係合させることで、スクリーン支持部材98の回動動作は拘束され、第2スクリーン70は破砕作業持の破砕室60を確定する位置(図16(a)の位置)で強固に固定、保持される。したがって、図16(c)のように油圧シリンダ101の伸長によりスクリーン支持部材98を回動させ第1スクリーン69を交換する場合は、まず、図16(b)に示すように、ロックシリンダ107を縮退させ、テーパブロック108,109の係合を解いた上で行う。このロック解除時の破砕装置12周辺の状態を図17に示した。なお、ロック機構105は、第2スクリーン70の幅方向(例えば図16(a)中紙面直交方向)両側に設けることが好ましいが、片側のみで足りる場合にはどちらかを省略してもよい。
図1及び図2に戻り、前記の排出コンベア3は、排出側(前方側、図1及び図2中右側)部分が、動力装置4から突出して設けた支持部材112によって吊り下げ支持されている。また、その反対側(後方側、図1及び図2中左側)部分は、支持部材113を介して本体フレーム36から吊り下げ支持されている。これにより、排出コンベア3は、破砕装置61の下方から動力装置4の下方を通され、木材破砕機前方側外方へ上り傾斜で配置されている。114はこの排出コンベア3のフレーム、115はこのフレーム114の長手方向両端に設けた駆動輪(図示せず)と従動輪(図示せず)との間に巻回したコンベアベルト(図示せず)を覆うように設けたコンベアカバーである。116は駆動輪115を回転駆動させる駆動装置(以下、適宜排出コンベア用油圧モータ116と記載。)で、この駆動装置116を回転駆動させることにより、駆動輪及び従動輪の間でコンベアベルトを循環駆動させるようになっている。
また、上記の動力装置4は、本体フレーム36の長手方向他方側(図1及び図2中右側)端部上に、支持部材117を介して搭載されている。この動力装置4の後方側でかつ幅方向一方側(図2中下側)の区画には、運転席118が設けられている。119はこの運転席118に設けた走行操作用の操作レバー、120はその他の操作や設定、モニタリング等を行うための操作盤である。操作盤120は、本例では地上から操作者が操作し易いよう機体の側部に設けられているが、運転席118に設けても構わない。
上記操作盤120には、操作盤120の操作部からの操作信号や各部に設けたセンサ類からの検出信号を入力し、これら入力信号に応じ、各油圧アクチュエータへの圧油の流れを制御する電磁弁への指令信号や操作盤120への表示信号等を出力したり、稼動データ等を管理したりする制御装置121(次の図18参照)が内蔵されている。
図18は、上記制御装置121の概略構成を表すブロック図である。
この図18において、122は信号の入力部であるA/D変換器で、このA/D変換器122を介して、各所に設けたセンサ類からの検出信号や操作盤120の操作部からの操作信号が入力されディジタル信号化される。123は所定の制御手順のプログラムや制御に必要な定数を格納するリードオンリーメモリー(ROM)、124は時間計測を行うタイマ、125はROM123に格納したプログラム等に従い、対応の電磁弁等への指令信号や操作盤120の表示部への表示信号を演算する中央演算処理装置(CPU)である。126はCPU125の演算結果や演算途中の数値を一時的に記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)、127はCPU125で演算された指令信号をアナログ信号に変換し、対応機器に出力するD/A変換器である。
なお、特に図示していないが、制御装置121には、その他、メモリ等も備えられており、このメモリに各所のセンサ類からの検出信号、又はそれを基に演算された稼動データ等が記憶される。この記憶データは、操作盤120の操作部での所定の操作に応じて表示部や外部機器に出力することも可能である。
ここで、上記走行体1、排出コンベア3、送りコンベア11、破砕装置12、押えローラ53、破砕機能構成部に設けた油圧シリンダ81,101、ロックシリンダ87,107等の各油圧アクチュエータ等は、この木材破砕機に備えられた油圧駆動装置によって駆動される被駆動部材を構成している。
図19は、本発明の木材破砕機の一実施の形態に備えられた油圧駆動装置の全体構成を表す油圧回路図であり、この図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
図19において、130,131はエンジン(図示せず)によって駆動される可変容量型の第1及び第2油圧ポンプ、132は左右走行用油圧モータ8L,8R及び破砕装置用油圧モータ67に供給される第1及び第2油圧ポンプ130,131からの圧油の流れを制御する第1制御弁装置(詳細は後述)である。
133,134は図示しないエンジンにより駆動される固定容量型の第3油圧ポンプ及びパイロットポンプ、135は上記以外の補機の油圧アクチュエータ(ここでは、送りコンベア用油圧モータ49、押えローラ用油圧モータ58、排出コンベア用油圧モータ116、第2スクリーン用油圧シリンダ101を例示している)に供給される第3油圧ポンプ133からの圧油の流れを制御する第2制御弁装置(詳細は後述)である。136は操作弁装置、137L,137Rはそれぞれ運転席118に設けた左・右走行用操作レバー119L,119Rを備えた左・右走行用操作レバー装置、138,139は第1及び第2油圧ポンプ130,131の吐出流量及びトルクをそれぞれ調整するレギュレータ装置である。なお、本例においては、繁雑防止のため、前述した各油圧シリンダ81,87,107を図示省略してあるが、その油圧回路については、第2スクリーン用油圧シリンダ101の態様と同様である。
上記第1制御弁装置132は、破砕装置用油圧モータ67に接続された第1及び第2破砕装置用コントロールバルブ140,141と、左走行用油圧モータ8Lに接続された左走行用コントロールバルブ142と、右走行用油圧モータ8Rに接続された右走行用コントロールバルブ143とを備えている。
第1及び第2破砕装置用コントロールバルブ140,141及び左・右走行用コントロールバルブ142,143は、破砕装置用油圧モータ67及び左・右走行用油圧モータ8L,8Rへの圧油の方向及び流量をそれぞれ制御可能な3位置切換弁である。このうち、第1破砕装置用コントロールバルブ140及び左走行用コントロールバルブ142は、第1油圧ポンプ130の吐出管路144に接続されたセンターバイパスライン145において、上流側から左走行用コントロールバルブ142、第1破砕装置用コントロールバルブ140の順序で配置されている。センターバイパスライン145の最下流側には、ポンプコントロールバルブ146が設けられている。一方、第2破砕装置用コントロールバルブ141及び右走行用コントロールバルブ143は、第2油圧ポンプ131の吐出管路147に接続されたセンターバイパスライン148において、上流側から、右走行用コントロールバルブ143、第2破砕装置用コントロールバルブ141の順序で配置されている。センターバイパスライン148の最下流側には、ポンプコントロールバルブ149が設けられている。
上記左・右走行用コントロールバルブ142,143は、それぞれセンターバイパス型のパイロット操作弁であり、パイロットポンプ134で発生され左・右操作レバー装置137L,137Rで所定圧力に減圧されたパイロット圧により操作されるようになっている。操作レバー装置137L,137Rは、操作レバー119L,119Rと、その操作量に応じたパイロット圧を出力する一対の減圧弁150a,150b及び151a,151bとをそれぞれ備えており、操作レバー119L,119Rの操作量に応じたパイロット圧がパイロット管路(図示せず)を介して左・右走行用コントロールバルブ142,143に導かれ、これによって左・右走行用コントロールバルブ142,143が切り換えられて左・右走行用油圧モータ8L,8Rが駆動されるようになっている。
第1及び第2破砕装置用コントロールバルブ140,141は、パイロットポンプ134で発生され操作弁装置136内の破砕装置正転用ソレノイド制御弁152及び破砕装置逆転用ソレノイド制御弁153で所定圧力に減圧されたパイロット圧により操作される。前述した制御装置121から正転用駆動信号が入力されると、破砕装置正転用ソレノイド制御弁152が連通位置に切り換えられると共に破砕装置逆転用ソレノイド制御弁153が遮断位置(図19に示す位置)となり、パイロットポンプ134からのパイロット圧が導入管路(図示せず)を介し第1及び第2破砕装置用コントロールバルブ140,141に導かれ、第1及び第2破砕装置用コントロールバルブ140,141が正転用切換位置に切り換えられる。これにより、破砕装置用油圧モータ67が正転方向に駆動される。それに対し、制御装置121から逆転用駆動信号が入力されると、破砕装置逆転用ソレノイド制御弁153が連通位置に切り換えられると共に破砕装置正転用ソレノイド制御弁152が遮断位置(図19に示す位置)となり、第1及び第2破砕装置用コントロールバルブ140,141が逆転用切換位置に切り換えられて破砕装置用油圧モータ67が逆転方向に駆動される。
ここで、前述した操作弁装置136には、パイロットポンプ134から操作レバー装置137L,137Rへのパイロット元圧を遮断するソレノイド制御弁154が設けられている。このソレノイド制御弁154は、制御装置121から入力される走行ロック信号がONになると遮断位置に切り換えられ、パイロットポンプ134からのパイロット元圧を遮断して、操作レバー装置137L,137Rによる左・右走行用コントロールバルブ142,143の上記操作を無効とする。それに対し、制御装置121から入力される走行ロック信号がOFFになると連通位置(図19に示す位置)に切り換えられ、操作レバー119L,119Rによる左・右走行用コントロールバルブ142,143の上記操作を有効とする。したがって、破砕作業中に走行ロック信号がONとするプログラムを格納しておくことにより、破砕作業中の操作レバー119L,119Rの操作による左・右走行用油圧モータ8L,8Rの駆動が防止され、安全な破砕作業が可能となる。
ポンプコントロールバルブ146,149は、流量を圧力に変換する機能を備えるものであり、それぞれセンターバイパスライン145,148からポンプコントロールバルブ146,149へ流入する圧油の量をレギュレータ装置138,139にフィードバックする働きをする。
つまり、第1破砕装置用コントロールバルブ140及び左走行用コントロールバルブ142がともに中立位置にあるとき、第1油圧ポンプ130に要求される要求流量が少なくなるため、第1油圧ポンプ130から吐出される圧油のうちほとんどが余剰流量としてセンターバイパスライン145を介してポンプコントロールバルブ146に導入され、ポンプコントロールバルブ146のリリーフ弁146aの設定リリーフ圧が低くなる。これによって、管路155を介してレギュレータ装置138に導かれるパイロット圧が比較的低くなり、レギュレータ装置138によって、第1油圧ポンプ130の傾転が小さくされその吐出流量が減少する。
一方、コントロールバルブ140,142が開状態にあるとき、第1油圧ポンプ130に要求される要求流量が多くなり、センターバイパスライン145を流れる圧油は油圧モータ8L,67側へ流れる流量分だけ減じられるため余剰流量は比較的小さくなる。これにより、リリーフ弁146aの設定リリーフ圧が高くなって、管路155を介してレギュレータ装置138に導かれるパイロット圧が比較的高くなり、レギュレータ装置138によって第1油圧ポンプ130の傾転が大きくされその吐出流量が増大する。
同様に、第2破砕装置用コントロールバルブ141及び右走行用コントロールバルブ143がともに中立位置にあるとき、ポンプコントロールバルブ149のリリーフ弁149aの設定リリーフ圧が低くなり、管路156を介してレギュレータ装置139に導かれるパイロット圧が比較的低くなるので、レギュレータ装置139によって、第2油圧ポンプ131の傾転が小さくされその吐出流量が減少する。そして、コントロールバルブ141,143が開状態にあるとき、リリーフ弁149aの設定リリーフ圧が高くなって、管路156を介してレギュレータ装置139に導かれるパイロット圧が比較的高くなる。これにより、レギュレータ装置139によって第2油圧ポンプ131の傾転が大きくされその吐出流量が増大する。
このような回路構成により、第1及び第2破砕装置用コントロールバルブ140,141及び左・右走行用コントロールバルブ142,143の要求流量に応じた吐出流量が得られるよう、第1及び第2油圧ポンプ130,131の吐出流量を制御する、いわゆるネガティブコントロールがなされる。
ここで、前述した操作弁装置136には、パイロットポンプ134からポンプコントロールバルブ146,149へのパイロット元圧を遮断するソレノイド制御弁157が設けられている。このソレノイド制御弁157は、制御装置121からの入力信号がONになると連通位置に切り換えられ、パイロットポンプ134からのパイロット元圧をポンプコントロールバルブ146,149に導き、上記ネガティブコントロールを有効化する。それに対し、制御装置121からの入力信号がOFFになると遮断位置(図19に示す位置)に切り換えられ、ポンプコントロールバルブ146,149へのパイロット元圧を遮断し、上記ネガティブコントロールを無効化する。この場合、レギュレータ装置138に作用するパイロット圧はタンク圧となり、第1油圧ポンプ130の吐出流量は最小値となる。
また、操作弁装置136には、ポンプコントロールバルブ146と第1油圧ポンプ130のレギュレータ装置138との間の管路を連通・遮断するソレノイド制御弁158、及びパイロットポンプ134からレギュレータ装置138へパイロット元圧を導く管路を連通・遮断するソレノイド制御弁159が設けられている。これらソレノイド制御弁158,159は、制御装置121からの入力信号がONになると、それぞれが遮断位置、連通位置に切り換えられる。これにより、ソレノイド制御弁158によってポンプコントロールバルブ146及びレギュレータ装置138間が遮断され、ソレノイド制御弁159によってパイロットポンプ134及びレギュレータ装置138間が連通され、パイロットポンプ134からのパイロット圧が、ソレノイド制御弁159及びソレノイド制御弁158を介してレギュレータ装置138に直接導かれ、第1油圧ポンプ130の吐出流量は最大値となる。それに対し、制御装置121からの入力信号がOFFになると、それぞれが連通位置、遮断位置(図19に示す状態)に切り換えられる。これにより、ポンプコントロールバルブ146からのパイロット圧がレギュレータ装置138に導かれ、上記のネガティブコントロールが有効化される。
このような回路構成により、破砕装置用油圧モータ67や左・右走行用油圧モータ8L,8Rの作動状態に関わらず、第1油圧ポンプ130の吐出流量を強制的に増減させることも可能となっている。
第2制御弁装置135は、送りコンベア用油圧モータ49に接続された送りコンベア用切換弁160と、押えローラ用油圧モータ58に接続された押えローラ用切換弁161と、排出コンベア用油圧モータ116に接続された排出コンベア用切換弁162と、第2スクリーン用油圧シリンダ101に接続された第2スクリーン用切換弁163とを備えている。前述したように、図19では、その他、油圧シリンダ81,87,107等に対応する油圧回路部を図示省略している。
切換弁160〜163は、制御装置121からの指令信号に応じ、対応する油圧アクチュエータ49,58,116,101への圧油の流れを制御可能な2位置切換弁又は3位置切換弁で適宜構成され、第3油圧ポンプ133から圧油を供給されるようになっている。これら切換弁160〜163は、第3油圧ポンプ133の吐出管路164に接続されたセンターバイパスライン165において、上流側から、送りコンベア用切換弁160、押えローラ用切換弁161、排出コンベア用切換弁162、第2スクリーン用切換弁163の順序で配置されている。なお、このセンターバイパスライン165の最下流側には、圧力補償弁166が設けられており、センターバイパスライン165の最大圧が制限されている。
切換弁160〜163は、作業者が例えば操作盤120に設けた図示しない切換スイッチ(又は遠隔操作スイッチ(リモコン)でもよい)を操作すると、制御装置121からの操作に対応した指令信号がONになり、操作に応じた方の連通位置に切り換えられる。これにより、対応の油圧モータが操作に応じた方向から切り換え供給され、それぞれ圧力補償弁167を介した所定圧力以上の圧油により駆動する。すなわち、例えば作業者が送りコンベア11の正転/逆転切換スイッチ(図示せず)を正転に切換え、駆動ボタン(図示せず)を押すと、制御装置121からの正転駆動に対応した指令信号がONになり、送りコンベア用切換弁160が正転位置に切換えられ、これにより第3油圧ポンプ133からの圧油が送りコンベア用油圧モータ49に導入されて送りコンベア用油圧モータ49が正転方向に駆動し、送りコンベア11が正転方向に駆動される。本実施形態では、送りコンベア用切換弁160の他に、押えローラ用切換弁161及び第2スクリーン用切換弁163についても3位置切換弁としているため、上記と同様の操作により、押えローラ用油圧モータ58及び第2スクリーン用油圧シリンダ101に対し双方向から圧油が供給され、押えローラ53を正転及び逆転方向に駆動、又は第2スクリーン用の油圧シリンダ101を伸縮方向に駆動可能である。
なお、排出コンベア用切換弁162については2位置切換弁としているため、排出コンベア用油圧モータ116に対し単一方向から圧油が供給され、排出コンベア用油圧モータ116は単一方向に駆動するようになっている。但しこれに限らず、排出コンベア用切換弁162を3位置切換弁とし排出コンベア用油圧モータ116を正転及び逆転方向に駆動可能に構成してもよい。
一方、作業者が例えば操作盤120に設けた図示しない停止ボタン(又は遠隔操作ボタン(リモコン)でもよい)を押すことにより、制御装置121からの指令信号がOFFになると、切換弁160〜163が遮断位置(図19に示す位置)に切り換えられ、対応する油圧モータは停止する。
次に、上記構成の本実施の形態に係る木材破砕機の動作及び作用を説明する。
例えば油圧ショベルのグラップル等、適宜の作業具によりホッパ10内に被破砕木材を投入すると、被破砕木材は、ホッパ10の拡開部17にガイドされて送りコンベア11の搬送体42上に載置され、ホッパ10の側壁体16によって案内されつつ循環駆動する搬送体42によって木材破砕機前方側に向かってほぼ水平方向に搬送される。
送りコンベア11上の被破砕木材は、押圧コンベア装置13付近まで搬送されると、押圧コンベア装置13の押えローラ53の下部に入り込み押圧コンベア装置13を押し上げる。これにより、送りコンベア11上の被破砕木材は、押圧コンベア装置13の自重の作用により送りコンベア11との間に押圧把持された状態で、破砕室60へと導入される。これにより、破砕時には、被破砕木材は、押えローラ54と送りコンベア11とに挟持された部分を支点に片持ち梁状に破砕室60内に突出し、この突出部分が、回転する破砕ロータ61の破砕ビット65が衝突することで比較的大雑把に1次破砕される。1次破砕された被破砕木材の木材片は、破砕ロータ61の外周側の破砕室60内の空間を破砕ロータ61の回転方向に周回し、第1及び第2アンビル62,63に順次衝突し、その衝撃力によってさらに細かく2次破砕される。
以上のようにして破砕された破砕途中の木材片のうち第1及び第2スクリーン69,70に多数設けた孔よりも大きなものは継続して破砕室60内を周回し、破砕ビット65や第1及び第2アンビル69,70に再度衝突することにより、さらに破砕されていく。このようにして、第1及び第2スクリーン69,70の孔を通過する粒度にまで粉砕されると、破砕木材(木材チップ)が第1又は第2スクリーン69,70の孔を通過して、破砕装置12から排出される。
破砕装置12から排出された破砕木材(木材チップ)は、シュート(図示せず)を介し循環駆動する排出コンベア3のコンベアベルト115上に落下し、前方側(図1及び図2中右側)へと搬送され、リサイクル品として排出される。
以上のようにして行われる破砕作業において、ホッパ10に例えば破砕困難な堅い木材や金属等の異物が投入されてしまう場合がある。このような場合、破砕装置12への被破砕木材の搬送を停止してホッパ10からその木材や異物を取り出す必要がある。
このとき、前述した従来技術では、ホッパ10の後壁体14が送りコンベア11の搬送面39よりも高さを有する構造であるため、送りコンベア11を逆転方向に駆動させてホッパ10の後方から破砕困難な木材や異物を排出しようとしても、後壁体14により阻まれてしまいホッパ10から排出することができなかった。このため、作業者がホッパ10内に入って手作業で木材や異物を取り出さねばならず、取り出し作業に手間を要していた。
これに対し、本実施形態では、送りコンベア11の搬送体42の搬送面39とホッパ10の後壁体14の上端部14aとをほぼ同じ高さに構成する。これにより、上記したようにホッパ10に破砕困難な堅い木材や金属等の異物が投入された場合に、送りコンベア10を逆転方向に駆動させることによってホッパ10の後方からそれら堅い木材や異物を排出することが可能である。なおこのとき、後壁体14の上部に支持部材37により吊り下げられたゴム板38は、搬送コンベア11によって後方側に搬送されてきた木材や異物に押されて弾性的に変形する(後方に折れ曲がる)ため、これら木材や異物の排出の妨げとはならない。したがって、作業者がホッパ10内に入って手作業で木材や異物を取り出す必要があった上記従来技術に比べ、破砕困難な木材や異物をホッパ10から容易に取り出すことができる。その結果、異物取り出しのために破砕作業を中断する時間を短くすることができるので、破砕物の生産効率を向上することができる。
また、例えば後壁体14の上端部14aが送りコンベア11の搬送面39より低い構造の場合には、搬送体42に引っかかり送りコンベア11の下側に回りこんで送りコンベア11とホッパ底壁体18との隙間を後方に向かって運ばれ、ホッパ10の後方において案内部材35によって巻き上げられた木材片等が、後壁体14を乗り越えてホッパ10の後方に漏れ出し周囲を散らかしてしまう恐れがあるが、本実施形態のように送りコンベア11の搬送面39と後壁体14の上端部14aとをほぼ同じ高さにすることにより、上記のように搬送体42に引っかかってホッパ10後方に運ばれた木材片等が後壁体14を越えて漏れ出すのを防止することができる。
さらに本実施形態によれば、後壁体14の上方にゴム板38をその下端部が後壁体14の上端部と接するように(わずかな隙間を介してもよい)支持部材37により吊り下げ支持する。これにより、通常の破砕作業時には、破砕装置12側から飛来する破砕片等をゴム板38により受け止め、ホッパ10の後方から外部に漏れ出すのを防止することができる。一方、上述したように堅い木材や異物が送りコンベア11により後方に搬送された場合には、それら木材や異物により押されることでゴム板38が可撓的に変形し(後方側に撓って折れ曲がり)、それら木材や異物が後壁体14上を介してホッパ後方に排出されることを妨げない。このようにして、本実施形態によれば、ゴム板38により異物排出時の妨げにならないようにしつつ通常の破砕作業中には破砕片等の漏れを防止することができる。
なお、以上において、被破砕木材の押圧導入手段として、前述した押えコンベア装置13を採用したが、これに限られず、例えば、駆動ローラ及び従動ローラの間に無端状の部材(ベルトやチェーン等)を巻き回したものを用いてもよい。また、その押圧時の動作も、回動動作でなく上下動する構成として構わない。さらに有底状のホッパ10を用いたが、無底状のものに代えてもよい。これらの場合も同様の効果を得る。
また、破砕装置として破砕ロータ61の外周部に刃物(破砕ビット65)を取り付けたいわゆるインパクトクラッシャを備えた木材破砕機を例にとって説明したが、これに限られず、他の破砕装置、例えば、平行に配置された軸にカッタを備え、互いに逆回転させることにより被破砕物をせん断する破砕装置(いわゆるシュレッダを含む2軸せん断機等)や、ロール状の回転体(ロータ)に破砕用の刃物を取り付けたものを一対としてそれら一対を互いに逆方向へ回転させ、それら回転体の間に被破砕物を挟み込んで破砕を行う回転式の破砕装置(いわゆるロールクラッシャを含む6軸破砕機等)や、被破砕物をチップ状にするいわゆる木材チッパーを備えた木材破砕機にも適用可能である。これらの場合も、上記と同様の効果を得る。
さらに、本発明を自力走行可能な木材破砕機に適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、牽引して走行可能な移動式木材破砕機、若しくは例えばクレーン等により吊り上げて運搬可能な可搬式木材破砕機、さらにはプラント等において固定機械として配置される定置式木材破砕機に適用してもよいことは言うまでもなく、これらの場合も上記と同様の効果を得る。