以下、本発明の木材破砕機の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の木材破砕機の一実施の形態である自走式木材破砕機の全体構造を表す側面図、図2は図1に示した自走式木材破砕機の上面図、図3は後述する破砕装置12近傍の側面カバー内部の詳細構造を表す側面図である。なお、以下において、図1中の左・右に対応する方向を木材破砕機の後・前、又は一方・他方とする。
これら図1乃至図3において、1は自力走行を可能にする走行体(走行手段)、2はこの走行体1上に設けられ受け入れた被破砕木材を破砕する破砕機能構成部、3はこの破砕機能構成部2で破砕された破砕物を搬送し機外に排出する排出コンベア、4は搭載した各機器の動力源(エンジン)等を備えた動力装置(パワーユニット)で、本例の自走式木材破砕機は、これら走行体1、破砕機能構成部2、排出コンベア3、動力装置4等によって概略構成されている。
上記走行体1は、トラックフレーム5と、このトラックフレーム5の前後両端部に設けた駆動輪6及び従動輪7と、出力軸を駆動輪6の軸に連結した駆動装置(走行用油圧モータ)8と、駆動輪6及び従動輪7に掛け回した履帯(無限軌道履帯)9とで構成されている。また、36は上記トラックフレーム5上に設けた本体フレームで、この本体フレーム36によって、上記破砕機能構成部2や排出コンベア3、動力装置4等が支持されている。
上記破砕機能構成部2は、投入される被破砕木材を受け入れるホッパ10と、このホッパ10内に収容配置された被破砕木材の搬送手段としての送りコンベア11と、この送りコンベア11によって導入された被破砕木材を破砕する破砕装置12(図3参照)と、この破砕装置12の手前で破砕装置12に導入される被破砕木材を送りコンベア11に押し付ける押圧コンベア装置13(図3参照)とを備えている。
図4はホッパ10の後端近傍の詳細構造を表す側面図、図5はこの図4中のV−V矢視断面図、図6は後方から見たホッパ10の正面図で、これらの図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。但し、図4においては、後述する外壁体15を取り外した状態を図示している。
図4乃至図6において、ホッパ10は、有底状に形成され、本体フレーム36上の破砕ロータ61(後述)の後方側にほぼ水平に設けられており、送りコンベア11の後方側に設けた後壁体14と、幅方向左右両側の外壁体15と、外壁体15の内側で送りコンベア11の幅方向両側に設けられ、外壁体15との間に間隙が確保されるように複数の部材でL字型に構成された側壁体16と、外壁体15及び側壁体16の上部に掛け渡すようにして、上方に向かって拡開形状に設けられた拡開部(あおり部)17と、送りコンベア11の下方側に僅かに間隙を介するように底部全面に設けた底壁体18と、前方側端部に設けた前壁体19(前述の図3参照)とを備えている。後壁体14の上端は送りコンベア11の搬送面と同等かそれよりも僅かに高い程度、前壁体19の上端は送りコンベア11の搬送面よりも僅かに低い程度に、それぞれ設定されている。
図7は、送りコンベア11の後端部の詳細構造を表す図6中のVII−VII矢視断面図で、この図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
本実施の形態において、ホッパ10の後壁体14は、後端に位置する後壁部20と、この後壁部20の下端部に略直角に設けられた底壁部21とにより一体的に構成されており、側方側から見て略L字型形状をしている。上記底壁部21は後壁部20の下端から略水平に送りコンベア11の従動輪41(後述)の下方位置まで延設され、ビーム37を挟んで底壁体18と略同一平面上に設けられており、底壁体18と共にホッパ10の底部を構成する。後壁部20の上端部には、ブラケット22を介してピン23が設けられており、後壁部20は、このピン23を支点に側壁体16に対し回動可能に取り付けられている。これによって、後壁部20と底壁部21とが一体となって(すなわち後壁体14が)回動し、ホッパ10の後端部が開閉可能となっている。なお、底壁部21上には、送りコンベア11の後端部の軌跡に僅かな間隙を介して沿うように円弧状に形成した案内部材35が設けられ、投入される被破砕木材が送りコンベア11の後方のスペースに入り込むことを抑制している。
24,25は後壁体14を閉状態で保持するためのロック機構(第2のロック機構)であり、ロック機構24はL字型の側壁体16の底部の後端部に渡したビーム26の後端面に、ロック機構25はロック機構24よりもやや前方位置における側壁体16の底部上面に、ホッパ10の側方側からアクセス可能な位置にそれぞれ設けられている。
図8(a)及び図8(b)は、それぞれ図6と同じ方向から見たロック機構24の詳細図で、これらの図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。なお、詳細な説明は省略するが、ロック機構25の構成もロック機構24と同様である。また、ロック機構24,25は自走式木材破砕機の車体幅方向(図2中上下方向)両側にそれぞれ同様に設けられており、図8(a)及び図8(b)はその片側について図示したものである。
図8(a)及び図8(b)において、ロック機構24は、ビーム26に複数のボルト27によって固定された支持板28と、この支持板28に所定の間隔で設けられた2枚のブラケット29と、これらブラケット29に挿通するピン30と、ピン30の外周部にほぼ直角に設けたハンドル31と、このハンドル31を係止するための係止部材32と、後壁体14の下端部に固定されたブラケット33とを備えている。
このように構成することで、図8(a)のように、ピン30が後壁体14側のブラケット33に挿入され、ハンドル31がブラケット29と係止部材32との間に係止されているときには、ピン30を介して後壁体14が側壁体16に対して固定され、後壁体14は閉状態で保持される。一方、ハンドル31がほぼ水平となる位置にピン30を回転させ、ハンドル31を係止部材32の切り欠き部を通してピン30をスライドさせ、図8(b)に示すようにブラケット33からピン30を抜くことにより、後壁体14と側壁体16との間の拘束が解かれる。さらに、もう一つのロック機構25を設けているので、同じように、ロック機構25側も後壁体14側に設けたブラケットからピンを抜く。本例では、ロック機構24,25を自走式木材破砕機の幅方向のもう一方側にも設けているので、同様にしてそちら側のロック機構24,25についても解除する。これにより、後壁体14の拘束が完全に解かれ、後壁体14の開閉が可能となる。
後壁体14が開放された状態を、図7と対応させて図9に示す。この図9に示すように、後壁体14を側壁体16に対して回動させ後壁体14を開放した状態で、ロック機構24のピン30を再び図8(a)に示す位置に戻して後壁体14の底壁部21に設けられた開口21aに挿し込むことにより、後壁体14は開放状態で保持される(すなわち、ロック機構24は後壁体14を開放状態で保持するためのロック機構(第1のロック機構)でもある)。これにより、後壁体14を開放してホッパ10内の清掃作業を行う際の作業性及び作業者の安全性を向上できるようになっている。
なお、34はピン30の脱落を防止するスナップリングで、このスナップリング34は、ブラケット29,29の間に位置するようにピン30の外周部に設けられている。本例においては、図8(a)のロック時、図8(b)のロック解除時に、それぞれ内側、外側のブラケット29に当接する位置にスナップリング34を設けることにより、ピン30のストロークを適当な長さに制限してある。
また、後壁体14の底壁部21の前方側(底壁体18側)は閉じた状態のときにビーム37に覆い被さるような形状となっており(すなわち底壁部21とビーム37との当接部がいわゆるラビリンス構造となっており)、後壁体14が閉じた状態のときにホッパ10内の木材片が外部に漏れないように図られている。
ホッパ10の底面を構成する底壁体18は、その中央部分のほぼ全面を占める中央開閉扉(底壁体)125と、底壁体18の前方側において送りコンベア11の駆動輪40(後述)の下方に位置する前方開閉扉(開閉扉)126と、これら中央開閉扉125と前方開閉扉126との間に位置する固定部127とにより概略構成される。まず、中央開閉扉125について説明する。
図10は中央開閉扉125の構造を示す図2中X-X矢視断面図であり、図11はこの中央開閉扉125の支持部を下方向から見た図10中XI-XI矢視図である。これらの図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
これら図10及び図11において、128,128は中央開閉扉125の下面に、その前後方向(図10中左右方向)略中央部における車体幅方向(図11中上下方向)の両端にそれぞれ固定された一対のブラケット、129,129は本体フレーム36を構成し車体幅方向に配設されたビームのうち最も後方側に配置されたビーム130の上記ブラケット128に対応する車体幅方向位置にそれぞれ設けられた一対のブラケット、131,131は上記ブラケット128,128にロッド側先端がそれぞれ連結され、ブラケット129,129にボトム側先端がそれぞれ連結された一対の油圧シリンダ、132は中央開閉扉125の前方側端面に前方側に突出するように設けられた複数(本実施形態では4つ)のブラケット、133はホッパ10の底部を構成し車体幅方向に配設されたビーム134の上記ブラケット132に対応した車体幅方向位置に後方側(中央開閉扉125側)に突出するようにそれぞれ設けられたブラケット、135は上記対応するブラケット132とブラケット133とに挿通され、それらを回動可能に連結するピンである。このような構造によって、中央開閉扉125はピン135を支点としてビーム134に対して回動することにより、ホッパ10の底部が開閉可能となっている。
底壁体18の中央開閉扉125が開放された状態を、図10と対応させて図12に示す。この図12に示すように、油圧シリンダ131が縮短すると、中央開閉扉125がピン135を支点として反時計回りに回動し、開放状態となる。一方、油圧シリンダ131が伸長すると、中央開閉扉125がピン135を支点として時計回りに回動し、閉状態となる。このとき、中央開閉扉125は、その車体幅方向両側における前後方向2箇所(すなわち計4箇所。図1参照。)にホッパ10の側方側からアクセス可能な位置に設けられたロック機構(第2のロック機構)136により閉じた状態に保持される。図13はこのロック機構136の構造を示す図であり、図13(a)はロック時、図13(b)はロック解除時を示している。
この図13に示すように、ロック機構136は、中央開閉扉125側に設けた2つの突出部137,137と、ホッパ10の底部を構成するビームに固定されたブラケット143と、このブラケット143に挿通される楔体144とで構成されている。そして、図13(a)に示すようにブラケット143に挿通した楔体144により突出部137を上側(ホッパ10側)に押さえつけることにより、中央開閉扉125の回動動作を防止して閉状態に保持する(前述の図4、図7及び図9も参照)。一方、図13(b)に示すように楔体144をブラケット143から引き抜くことにより、中央開閉扉125はロックが解除されて回動することが可能となる。
上記油圧シリンダ131の伸縮駆動は、作業者の手動操作によって行われる。図14はこの操作を行う操作盤の盤面図である。
操作盤138は、破砕装置12の側方に設けられた側面カバー45(後述の図24参照)に設けられている。この操作盤138には、上から順に緊急停止ボタン139及び3つの切替スイッチ140,141,142が設けられている。最下段に設けられた切替スイッチ142は、ホッパ底壁体18の中央開閉扉125の開閉操作を行うための切替スイッチ(操作手段)であり、作業者がこの切替スイッチ142を開位置(図14中反時計回り方向に回した位置)に切り替えると、油圧シリンダ131が伸長して中央開閉扉125が下降し、ホッパ10の底部が開放状態となる。一方、切替スイッチ142を閉位置(図14中時計回り方向に回した位置)に切り替えると、油圧シリンダ131が縮短して中央開閉扉125が上昇し、ホッパ10の底部が閉状態となる。なお、切替スイッチ142を中立位置(図14に示す位置)にしたときには油圧シリンダ131の駆動は停止し、中央開閉扉125はその時点の位置でシリンダ力によって保持される。このようにして操作盤138から操作を行うことにより、作業者は車体側方側から実際に中央開閉扉125の動作を見つつ、油圧シリンダ131を伸縮操作させて中央開閉扉125の開閉操作を行うことができる。したがって、作業者による中央開閉扉125の開閉状況の視認性を向上できるようになっている。
なお、切替スイッチ141は破砕ロータ61(後述)の周囲に設けられた第1スクリーン69(後述)及び第2スクリーン70(後述)恐れぞれ破砕ロータ61に向かって(すなわち径方向内側に向かって)押し付け保持するスクリーン支持部材(バナナプレート)80,98(後述)を、破砕ロータ61から離間又は接近動作させるための切替スイッチである(図3参照)。すなわち、第1スクリーン69及び第2スクリーン70を交換する際には、この切替スイッチ141を離間位置(図14中反時計回り方向に回した位置)に切り替えることにより、スクリーン支持部材80を動作させる油圧シリンダ81(後述)が縮短すると共にスクリーン支持部材98を動作させる油圧シリンダ101(後述)が伸長し、スクリーン支持部材80,98が共に破砕ロータ61から離間して、第1及び第2スクリーン69,70が共に交換可能となる。交換終了後には、切替スイッチ141を接近位置(図14中時計回り方向に回した位置)に切り替えることにより、油圧シリンダ81が伸長すると共に油圧シリンダ101が縮短してスクリーン支持部材80,98が共に破砕ロータ61に接近し、第1及び第2スクリーン69,70を破砕ロータ61に向かって(径方向内側に向かって)押し付け固定する。なお、この切替スイッチ141についても、中立位置(図14に示す位置)にしたときにはスクリーン支持部材80,98が停止するようになっている。
また、切替スイッチ140は、上記スクリーン支持部材80,98の動作のロック・アンロックを切り替えるスイッチであり、この切替スイッチ140をアンロック位置(図14中反時計回り方向に回した位置)に切り替えて初めて、上記切替スイッチ141によるスクリーン支持部材80,98の操作が可能となる。一方、スクリーン支持部材80,98が共に破砕ロータ61に接近した状態のときに、切替スイッチ140をロック位置(図14中時計回り方向に回した位置)に切り替えると、スクリーン支持部材80,98は共に第1及び第2スクリーン69,70を破砕ロータ61に向かって(径方向内側に向かって)押し付けた状態でその動作を拘束され、固定される(詳細は後述)。
本実施形態では、中央開閉扉125の開閉状態を検出し、開放状態のときには走行体1による走行が不能となるようになっている。この点について、図15乃至図17を用いて以下に説明する。なお、図15は中央開閉扉125の開閉状態を検出するリミットスイッチの構造を表す側面図、図16はそのリミットスイッチを下方向から見た平面図であり、図17は中央開閉扉125が開放した状態を図15と対応させて示した側面図である。
これら図15乃至図17において、145はスイッチレバー146を有するリミットスイッチ(検出手段)であり、取付部材147を介してホッパ10の底部を構成するビーム148に固定されている。一方、中央開閉扉125の下面にはリミットスイッチ145のスイッチレバー146に対応する位置にストライカ149が設けられており、図15及び図17に示すように、中央開閉扉125が閉じたときにはそのストライカ149がスイッチレバー146を上方に持ち上げ、中央開閉扉125が開放したときにはスイッチレバー146を下方に押し下げて略水平にする。このスイッチレバー146の位置により、リミットスイッチ145は中央開閉扉125の開閉状態を検出し、この検出信号を信号ライン150を介して図示しないコントローラに出力する。コントローラは、図面を用いた詳細な説明は省略するが、リミットスイッチ145から中央開閉扉125の開放状態の検出信号を入力された場合には、前記エンジンにより駆動される油圧ポンプから吐出され走行体1の駆動装置8に導入される圧油を制御するコントロールバルブの駆動を制御し(具体的には、コントロールバルブを駆動するためのパイロット圧をそのコントロールバルブに導く管路に設けた走行ロックソレノイド弁を閉とし)、駆動装置8への圧油の流入を停止する。このようにして、中央開閉扉125が開放状態のときには自走式木材破砕機の走行が不能となる。これにより、底壁体18の中央開閉扉125を開放した状態で走行し、開閉扉125が地面に接触して破損するといった事態を防止することができるようになっている。
なお、以上述べた底壁体18の中央開閉扉125の後方側(後壁体14側)は、前述した後壁体14と同様に、閉じた状態のときにビーム37に覆い被さるような形状となっており(すなわち中央開閉扉125とビーム37との当接部がいわゆるラビリンス構造となっており)、中央開閉扉125が閉じた際にホッパ10内の木材片が外部に漏れないように図られている(図12等参照)。
次に、底壁体18の前方側における送りコンベア11の駆動輪40の下方に位置する前方開閉扉126について説明する。図18は前述の図10における送りコンベア11の前方部分を拡大した拡大図であり、図19は図18中XIX-XIX矢視上面図、図20は図19中矢印A方向から見た前方開閉扉の正面図である。なお、これらの図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
これら図18乃至図20において、前方開閉扉126は、プレート部153と、このプレート部153の前方端側(図18中右端側)において車体幅方向両側に突出するように設けた支持軸154とを備えており、両端の支持軸154,154が前記破砕装置12の側方に設けられた側面カバー45(後述)によって回動可能に支持されている。上記支持軸154のうち、一方側(両側でもよい)の支持軸154には継手155を介して略L字型の操作レバー156が着脱可能に接続されている。これにより、作業者は操作レバー156を用いて車体側方から前方開閉扉126の開閉操作を行うことができ、また自走式木材破砕機の移動時等、前方開閉扉126の開閉操作を行う時以外には操作レバー156を外しておくことにより、操作レバー156の接触・破損等を防止することができるようになっている。
前方開閉扉126の車体幅方向両側には、この前方開閉扉126を閉状態で保持するためのロック機構(第2のロック機構)157が本体フレーム36の上部におけるホッパ10の側方側からアクセス可能な位置にそれぞれ設けられている。このロック機構157は前述したロック機構24,25とほぼ同様の構成である。すなわち、ロック機構157は、本体フレーム36上に固定された支持板158と、この支持板158上に設けられた1枚のブラケット159と、このブラケット159に挿通するピン160と、ピン160の外周部にほぼ直角に設けたハンドル161と、このハンドル161を係止するための係止部材162とを有しており、また前方開閉扉126のプレート部153の車体幅方向両端側には上記ピン160に対応する位置に挿通用の切り欠き部163(図18参照)が設けられている。
このような構成により、図19及び図20のように、ピン160が前方開閉扉126のプレート部153の切り欠き部163に挿入され、ハンドル161がブラケット159と係止部材162との間に係止されているときには、ピン160を介して前方開閉扉126が側面カバー45に対して固定され、前方開閉扉126は閉状態で保持される。一方、ハンドル161がほぼ上方となる位置にピン160を回転させ、ハンドル161を係止部材162の切り欠き部を通してピン160をスライドさせ、プレート部153の切り欠き部163からピン160を抜くことにより、前方開閉扉126と側面カバー45との間の拘束が解かれる。同様にして、車体幅方向のもう一方側に設けたロック機構157についても解除することにより、前方開閉扉126の拘束が完全に解かれ、前方開閉扉126の開閉が可能となる。図21及び図22に、このロック機構157を解除した状態を示す。そして、これら図21及び図22に示すように、作業者が操作レバー156を後方側(図21中下側)に倒すように操作することにより、前方開閉扉126は支持軸154を支点に回動し、開放されるようになっている。
なお、前方開閉扉126のプレート部153は図19及び図22に示すように後方側の両角部が取れた形状となっている。これは、図23に示すように、開放時に、破砕装置12の下方に設けられたシュート164に干渉しないようにするためである。これにより、前方開閉扉126をシュート164に接触させずにスムーズに開閉することができるようになっている。
送りコンベア11は、破砕ロータ61(後述)側に設けられたスプロケット状の駆動輪40(図3参照)と、その反対側(木材破砕機後方側、後壁体14側)に設けた従動輪41(図7等参照)と、これら搬送方向両端部に設けた駆動輪40及び従動輪41の間に巻回され、幅方向に複数列(この例では4列、図2参照)列設された搬送体(搬送ベルト、チェーンベルト)42とを備えている。なお、搬送体42については、繁雑防止のため、先の図3、後の図24及び図31中では図示省略してある。
従動輪41は、ホッパ10の側壁体16後部の外壁面に設けた軸受43(図4参照)によって支持され、駆動輪40は、側壁体16の前方側にほぼ同一面上に位置するように設けた破砕装置12の側面カバー45における外壁面に設けた軸受46(後述の図24参照)によって支持されている。これにより、送りコンベア11は、上記ホッパ10内の下部、すなわちホッパ10の側壁体16の内側からから破砕ロータ61(後述)近傍にかけ、ほぼ水平に延設されホッパ10及び破砕装置12の側面カバー45内に収納配置されている。
図24は上記破砕装置12付近の側面図、図25はその内部構造を詳細に表す断面図で、これらの図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
これら図24及び図25において、45はホッパ10の前方に設けた破砕装置12の前記側面カバー、46はこの側面カバー45の外壁面に設けた送りコンベア11の軸受である。送りコンベア11の駆動輪40の回転軸は、軸受46よりも幅方向外側に設けた駆動装置(送りコンベア用油圧モータ、図示せず)の出力軸にカップリング等を介して連結している。送りコンベア11は、その図示しない駆動装置を回転駆動させることにより、駆動輪40及び従動輪41の間で搬送体42を循環駆動させるようになっている。
47は駆動輪40の回転軌跡に近接するように曲成され、ホッパ10の底壁体18及び前壁体19に連接した案内部材、48は駆動輪40の回転軌跡よりも若干低位置でかつ駆動輪40との対向端部が極力駆動輪40の回転軌跡に近接するように前壁体19の上部に配置したスクレーパである。これら案内部材47及びスクレーパ48の幅方向端部は、破砕装置12の側面カバー45に固定されている。
前述の押圧コンベア装置13は、破砕ロータ61(後述)の後方側に近接するように、被破砕木材を搬送する送りコンベア11の搬送面(上側の面)に対向して設けられている。この押圧コンベア装置13は、破砕機側面カバー45に軸受50(図25参照)によってその回動軸51(図3参照)が軸支され、これにより鉛直面内を回動自在に(上下方向に揺動自在に)支持された支持部材52と、この支持部材52に対し回転自在に設けられた押えローラ53とを備えている。
支持部材52は、回動軸51を備えたアーム部54と、このアーム部54の先端側に設けられ、押えローラ53を支持しているブラケット部55とを備えている。アーム部54の下部側の端面は円弧状に湾曲して形成されており、この湾曲部には、後述する破砕室60の一部を構成する湾曲板68が取付けられている。一方、ブラケット部55における押えローラ53の取付け部分は、押えローラ53よりも小径の円弧状に形成されており、押えローラ53の外周面がブラケット部55から突出した構成となっている。押えローラ53の幅方向(図3中の紙面直交方向)の寸法は、送りコンベア11の搬送面の幅と同等かそれよりも大きく設定されている。
図3及び図25において、56,57は押えコンベア装置13の回動動作を制限するストッパで、これらストッパ56,57は、押えローラ53が送りコンベア11の駆動輪40の近接位置まで下がると、ブラケット部55、湾曲板68がそれぞれ当接するように破砕機側面カバー45の内側に配置されている。また、特に図示していないが、押えローラ53は、その胴部内に駆動装置(押えローラ用油圧モータ)を内蔵しており、この図示しない駆動装置によって、送りコンベア11の搬送面に転動する方向に被破砕木材の搬送速度とほぼ同じ周速度で回転し、押え込んだ送りコンベア11上の被破砕木材を送りコンベア11と協動して破砕装置12に導入するようになっている。
前述の破砕装置12は、本体フレーム36の長手方向ほぼ中央部上に搭載されており、図3及び図25に示すように、破砕室60内で高速回転する破砕ロータ61と、この破砕ロータ61の回転方向(正転方向、図3中時計回り方向)に対向するように配置した第1アンビル62及び第2アンビル63とを備えている。詳細は後述するが、第1及び第2アンビル62,63は、例えば過度な衝撃が加わった場合等には、破砕ロータ61の正転方向に倣う方向に退避するように回動可能な構成となっている(図25等参照)。
破砕ロータ61は、例えば破砕装置12の側面カバー45(又は本体フレーム36上に別途設けた図示しない支持部材)等に設けた軸受(図示せず)によって回転自在に軸支されており、その外周部には、複数の支持部材64と、これら支持部材64にそれぞれ取り付けられた破砕ビット(衝突板、或いは破砕刃等)65とが設けられている。破砕ビット65は、破砕ロータ61が正転方向に回転する際にその刃面が支持部材64に先行するように配置されている。また、各破砕ビット65は、ボルト66等によって支持部材64に固定され、摩耗した場合にも容易に交換可能な構成となっている。なお、図24において、67は破砕ロータ61を回転駆動させる駆動装置(破砕ロータ用油圧モータ)で、この駆動装置67は、特に図示していないが、破砕装置12の側面カバー45に対してボルト等によって固定されており、その出力軸は、Vベルト等を介して破砕ロータ61の回転軸に連結されている。
前述した破砕室60は、破砕ロータ61に対し、それぞれ上方側に設けた前述の湾曲板68や、前方側及び下方側にそれぞれ設けられ、破砕木材(木材チップ)の粒度を設定する口径で開口した多数の孔を有する第1スクリーン69及び第2スクリーン70等によって概ね画定され、その後方側は被破砕木材導入部として解放されている。湾曲板68は、前述したように押えコンベア装置13のアーム部54の湾曲部に取付けられており、押えコンベア装置13の上下の揺動動作に伴って可動する構成となっている。この湾曲板68と同様、第1及び第2スクリーン69,70は、破砕作業時、破砕ビット65との間にそれぞれ所定の間隙を介して破砕ロータ61の回転軌跡にほぼ沿うように円弧状に形成され、それぞれが可動するようになっている(詳細は後述)。
図26及び図27は第1アンビル62及び第1スクリーン69付近の構成を抽出しそれらの可動機構の詳細を表す図、図28は図26中のXXVIII−XXVIII矢視断面図で、これらの図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
図26乃至図28において、71は第1アンビル62を取付けたアームで、このアーム71は、幅方向(図28中の左右方向)に一対設けられ、2本の回動軸72,73及びビーム74によって連結されており、例えば破砕機側面カバー45(図24参照)の外壁面に設けた軸受75によって一方の回動軸72が支持されることにより、回動軸72を支点に回動可能な構成となっている。なお、回動軸72,73の向きは、それぞれ破砕ロータ61の回転軸とほぼ平行である。
アーム71は、その前端部が破砕機側面カバー45に固定した支持部材76にシアピン77を介して連結されることにより、破砕作業時(例えば図3の状態のとき)、その第1アンビル62が、上記湾曲板68の周方向(破砕ロータ61の周方向)一方側(図26中の下側)でかつ湾曲板68の内壁面よりも径方向(破砕ロータ61の径方向)内側に突出するような姿勢で固定、保持されている。したがって、第1アンビル62に、シアピン77の許容を超えた衝撃荷重がかかった場合等は、シアピン77が破断してアーム71の拘束が解かれ、アーム71が破砕室60から退避するようになっており、各部の損傷が防止される。
このとき、アーム71の回動動作は、例えば回動軸72の回転を検出するセンサにより検出され、このセンサによってアーム71の回動が検出されると、図示しないコントローラによって破砕ロータ61の駆動装置67を停止させる指令信号が出力されるようになっている。
なお、78は例えば破砕機側面カバー45(又は本体フレーム36上に別途設けた図示しない支持部材)に対して固定されたストッパで、このストッパ78は、アーム71と他の構成部材との干渉を防止するため、第1アンビル62の退避方向へのアーム71の回動範囲を制限している。
80は第1スクリーン69を外周側からアーム71に押し付けて保持する枠型のスクリーン支持部材(バナナプレート)で、このスクリーン支持部材80は、その周方向(破砕ロータ61の周方向)一方側(図26では下側)端部が先の回動軸73を介してアーム71に連結されている。また、スクリーン支持部材80の周方向他方側端部は、油圧シリンダ81を介して先のビーム74に連結されている。油圧シリンダ81の両端は、それぞれスクリーン支持部材80、ビーム74にピンを介して回動可能に連結されており、この油圧シリンダ81の伸縮動作に伴ってスクリーン支持部材80がアーム71に対して回動する。つまり、油圧シリンダ81を縮めることにより、スクリーン支持部材80が第1スクリーン69から離間し、第1スクリーン69を容易に交換できる構成となっている。なお、前述したように、この油圧シリンダ81の伸縮操作は破砕機側面カバー45に設けた操作盤138の切替スイッチ141により行われる。図24及び図25において、82は第1スクリーン69の交換作業に配慮して破砕機側面カバー45に設けた第1スクリーン69の引き出し、挿入用の開口部で、特に図示していないが、この開口部82には、例えばボルト着脱式のカバー等が取付けられる。
図28において、85はスクリーン支持部材80のロック機構で、このロック機構85は、アーム71と固定関係にあるブラケット86と、このブラケット86にボトム側端部が固定され幅方向(図28中左右方向)に設けたロックシリンダ87と、このロックシリンダ87のロッド側端部及びスクリーン支持部材80にそれぞれ固定され互いに係合するテーパ部を有するテーパブロック88,89と、ロックシリンダ87の伸縮動作に伴うテーパブロック88のスライド動作をガイドするガイド部材90とを備えている。
アーム71と固定関係にあるテーパブロック88は、スクリーン支持部材80及びアーム71の間に第1スクリーン69が狭持されているとき、径方向(破砕ロータ61の径方向)外側からスクリーン支持部材80に設けたテーパブロック89に係合する。すなわち、第1スクリーン69が挟持されているときに、ロックシリンダ87を伸長させ、テーパブロック88,89を係合させることにより、スクリーン支持部材80の回動動作は拘束され、第1スクリーン69は破砕作業持の破砕室60を確定する位置(図3の位置)で強固に固定、保持される。なお、このロックシリンダ87の伸縮操作は前述した破砕機側面カバー45に設けた操作盤138の切替スイッチ140により行われる。したがって、前述のように油圧シリンダ81の縮短によりスクリーン支持部材80を回動させ第1スクリーン69を交換する場合、まず切替スイッチ140をアンロック位置としてロックシリンダ87を縮短させ、テーパブロック88,89の係合を解いた上で行う。このロック解除時の状態を図28に対応させて図29に示す。なお、本実施の形態では、ロック機構85を第1スクリーン69の幅方向(図28中左右方向)両側に設けているが、片側のみで足りる場合にはどちらかを省略しても良い。
図3、図24及び図25に戻り、91は第2アンビル63を取付けた枠型のアームで、このアーム91は、例えば破砕機側面カバー45(図24参照)の外壁面(又は本体フレーム36上に別途設けた図示しない支持部材)に設けた軸受92によってその回動軸(図示せず)が支持され、その回動軸を支点に回動可能な構成となっている。該回動軸の向きは、破砕ロータ61の回転軸とほぼ平行である。
アーム91は、その前端部が破砕機側面カバー45に固定した支持部材93にシアピン94を介して連結されることにより、破砕作業時(例えば図3の状態のとき)、第2アンビル63が、第1スクリーン69の周方向(破砕ロータ61の周方向)一方側(図3中下側)でかつ第1スクリーン69の内壁面よりも径方向(破砕ロータの径方向)内側に突出するような姿勢で固定、保持されている。したがって、第2アンビル63に、シアピン94の許容を超えた衝撃荷重がかかった場合等は、シアピン94が破断してアーム91の拘束が解かれ、アーム91が破砕室60から退避するようになっており、各部の損傷が防止される。
このとき、アーム91の回動動作は、例えばその回動軸の回転を検出するセンサにより検出され、このセンサによってアーム91の回動が検出されると、図示しないコントローラによって破砕ロータ61の駆動装置67を停止させる指令信号が出力されるようになっている。
なお、95は例えば破砕機側面カバー45(又は本体フレーム36上に別途設けた図示しない支持部材)に対して固定されたストッパで、このストッパ95は、アーム91と他の構成部材との干渉を防止するため、第2アンビル63の退避方向へのアーム91の回動範囲を制限している。
図30(a)乃至図30(c)は、前述した第2スクリーン70付近の構成を抽出しその可動機構の詳細を表す図で、この図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
図30において、97は第2スクリーン70の押え板で、この押え板97は、その外周部が第2スクリーン70の内壁面との湾曲とほぼ一致するように形成されており、破砕作業時(図30(a)の状態のとき)、例えば破砕機側面カバー45(又は本体フレーム36上に別途設けた図示しない支持部材)の内壁面に対し、外周部に第2スクリーン70の内壁面が当接するようにボルト等によって固定されている。98は第2スクリーン70を外周側から押え板97に押し付けて保持する枠型のスクリーン支持部材(バナナプレート)である。このスクリーン支持部材98は、その周方向(破砕ロータ61の周方向)一方側(図30では左側)端部に設けた回動軸99が破砕機側面カバー45(又は本体フレーム36上に別途設けた図示しない支持部材)に固定した軸受100によって支持され、上下方向に回動する構成となっている。
スクリーン支持部材98の周方向他方側端部は、油圧シリンダ101を介し、破砕機側面カバー45の外壁面にボルト等で固定した支持部材102に連結されている。油圧シリンダ101の両端は、それぞれスクリーン支持部材98、支持部材102にピンを介して回動可能に連結されており、この油圧シリンダ101の伸縮動作に伴ってスクリーン支持部材98が回動軸99を支点に回動する。これにより、油圧シリンダ101を伸長することにより、スクリーン支持部材98が押さえ板97から離間し、第2スクリーン70を容易に交換できる構成となっている。なお、前述したように、この油圧シリンダ101の伸縮操作は破砕機側面カバー45に設けた操作盤138の切替スイッチ141により、油圧シリンダ81の伸縮操作と共に行われる。図24及び図25において、103は第2スクリーン70の交換作業に配慮して破砕機側面カバー45に設けた第2スクリーン70の引き出し、挿入用の切り欠き部で、図示していないが、この切り欠き部103には、例えばボルト着脱式のカバー等が取付けられる。
また、105はスクリーン支持部材98のロック機構で、このロック機構105は、破砕機側面カバー45の外壁面に固定されたブラケット106と、このブラケット106にボトム側端部が固定され前後方向(図30中左右方向)に設けたロックシリンダ107と、このロックシリンダ107のロッド側端部及びスクリーン支持部材98にそれぞれ固定され互いに係合するテーパ部を有するテーパブロック108,109と、破砕機側面カバー45の外壁面にボルト等で固定され、ロックシリンダ107の伸縮動作に伴うテーパブロック108のスライド動作をガイドするガイド部材110とを備えている。
テーパブロック108は、スクリーン支持部材98及び押え板97の間に第2スクリーン70が狭持されているとき、径方向(破砕ロータ61の径方向)外側からスクリーン支持部材98に設けたテーパブロック109に係合する。これにより、第2スクリーン70が挟持されているとき、ロックシリンダ107を伸長させ、テーパブロック108,109を係合させることで、スクリーン支持部材98の回動動作は拘束され、第2スクリーン70は破砕作業持の破砕室60を確定する位置(図30(a)の位置)で強固に固定、保持される。なお、このロックシリンダ107の伸縮操作は、前述した破砕機側面カバー45に設けた操作盤138の切替スイッチ140により、ロックシリンダ87の伸縮操作と共に行われる。したがって、図30(c)のように油圧シリンダ101の伸長によりスクリーン支持部材98を回動させ第2スクリーン70を交換する場合は、まず切替スイッチ140をアンロック位置として、図30(b)に示すようにロックシリンダ107を縮短させ(このとき、ロックシリンダ87についても同時に縮短する)、テーパブロック108,109の係合を解いた上で行う。このロック解除時の破砕装置12周辺の状態を図31に示す。なお、ロック機構105は、第2スクリーン70の幅方向(例えば図30(a)中紙面直交方向)両側に設けることが好ましいが、片側のみで足りる場合にはどちらかを省略しても良い。
図1及び図2に戻り、排出コンベア3は、排出側(前方側、図1及び図2中右側)部分が、動力装置4から突出して設けた支持部材112によって吊り下げ支持されている。また、その反対側(後方側、図1及び図2中左側)部分は、ブラケット129に設けた支持部材113を介して本体フレーム36から吊り下げ支持されている。これにより、排出コンベア3は、破砕装置12の下方から動力装置4の下方を通され、自走式木材破砕機前方側外方へ上り傾斜で配置されている。114はこの排出コンベア3のフレーム、115はこのフレーム114の長手方向両端に設けた駆動輪(図示せず)と従動輪(図示せず)との間に巻回したコンベアベルト(図示せず)上に設けたコンベアカバーである。116は駆動輪を回転駆動させる駆動装置(排出コンベア用油圧モータ)で、この駆動装置116を回転駆動させることにより、駆動輪及び従動輪の間でコンベアベルトを循環駆動させるようになっている。
また、上記の動力装置4は、本体フレーム36の長手方向他方側(図1及び図2中右側)端部上に、支持部材117を介して搭載されている。この動力装置4の後方側でかつ幅方向一方側(図2中下側)の区画には、運転席118が設けられている。119はこの運転席118に設けた走行操作用の操作レバー、120はその他の操作や設定、モニタリング等を行うための操作盤である。操作盤120は、本例では地上から作業者が操作し易いよう機体の側部に設けられているが、運転席118に設けても構わない。
次に、上記構成の本実施の形態に係る木材破砕機の動作及び作用を順次説明する。
例えば油圧ショベルのグラップル等、適宜の作業具によりホッパ10内に被破砕木材を投入すると、被破砕木材は、ホッパ10の拡開部17にガイドされて送りコンベア11の搬送体42上に載置され、ホッパ10の側壁体16によって案内されつつ循環駆動する搬送体42によって木材破砕機前方側に向かってほぼ水平方向に搬送される。
送りコンベア11上の被破砕木材は、押圧コンベア装置13付近まで搬送されると、押圧コンベア装置13の押えローラ53の下部に入り込み押圧コンベア装置13を押し上げる。これにより、送りコンベア11上の被破砕木材は、押圧コンベア装置13の自重の作用により送りコンベア11との間に押圧把持された状態で、破砕室60へと導入される。これにより、破砕時には、被破砕木材は、押えローラ54と送りコンベア11とに挟持された部分を支点に片持ち梁状に破砕室60内に突出し、この突出部分が、回転する破砕ロータ61の破砕ビット65が衝突することで比較的大雑把に1次破砕される。1次破砕された被破砕木材の木材片は、破砕ロータ61の外周側の破砕室60内の空間を破砕ロータ61の回転方向に周回し、第1及び第2アンビル62,63に順次衝突し、その衝撃力によってさらに細かく2次破砕される。
以上のようにして破砕された破砕途中の木材片のうち第1及び第2スクリーン69,70に多数設けた孔よりも大きなものは継続して破砕室60内を周回し、破砕ビット65や第1及び第2アンビル62,63に再度衝突することにより、さらに破砕されていく。このようにして、第1及び第2スクリーン69,70の孔を通過する粒度にまで粉砕されると、破砕木材(木材チップ)が第1又は第2スクリーン69,70の孔を通過して、破砕装置12から排出される。
破砕装置12から排出された破砕木材(木材チップ)は、シュート164を介し循環駆動する排出コンベア3のコンベアベルト上に落下し、前方側(図1及び図2中右側)へと搬送され、リサイクル品として排出される。
ここで、前述したように、送りコンベア11の前端部には、ホッパ10の前壁体19上に設けたスクレーパ48が近接配置されている。これにより、ホッパ10の前壁体19と送りコンベア11との間隙部分への入口を極力狭め、このスクレーパ48によって送りコンベア11により搬送されてくる被破砕木材が前壁体19との間隙部分に導入されることを防止し、被破砕木材が効率的に破砕室60に導入されるようになっている。
しかしながら、送りコンベア11の駆動輪40及び搬送体42は回転体であるため、駆動輪40及び搬送体42と静止体であるスクレーパ48との間には、最小限の間隙を確保する必要がある。その結果、破砕作業中、送りコンベア11により破砕装置12に向かって搬送される被破砕木材の一部の木材片が搬送体42に引っ掛かると、その引っ掛かった木材片が、スクレーパ48との間隙を通過し、破砕室60に導入されずにそのまま送りコンベア11の駆動輪40を折り返して送りコンベア11の下側に回り込んでしまう場合がある。
本実施の形態においては、こうして送りコンベア11の下側に回り込んだ木材片が落下して地面に飛散することがないよう、有底状のホッパ10内に送りコンベア11を収容配置し、送りコンベア11の下方にホッパ10の底壁体18が配置されるようにしている。そして、送りコンベア11の下側に回り込んだ一部の木材片は、搬送体42に引っ掛かったままホッパ10の底壁体18により後方へと案内され、後端部にて案内部材35に案内されて送りコンベア11の搬送面上に復帰し、再度破砕装置12へと導入される。これにより、本来破砕処理されるべき被破砕木材の一部が破砕装置12に導入されることなく落下、飛散することを防止することができ、破砕効率を向上させることができる。
しかし、それでもなお搬送体42に引っ掛かったまま送りコンベア11の下側に回り込んでしまった木材片が搬送体42から離脱すると、それら離脱した木材片がホッパ10内に滞留する可能性がある。
そこで本実施の形態においては、底壁体18の前方開閉扉126を開放する。これにより、送りコンベア11の下側に回り込んだ木材片を、回り込んだ直後の位置である駆動輪40の下方から排出し、木材片が搬送体42に引っ掛けられてホッパ後方へと運ばれるのを抑制することができる。また、この前方開閉扉126から下方に排出した木材片は、シュート164によって排出コンベア3のコンベアベルト上に導かれ、機外に排出される。これにより、例えば、破砕粒度を気にせず、粗破砕を行っている場合に、そのニーズに対応することが可能である。さらに本実施形態によれば、操作レバー156を車体側方側に突出するように設けるので、作業者はシュート164や排出コンベア3といった機器で込み合う前方開閉扉126の下方に潜りこむことなく前方開閉扉126の開閉操作を容易に行うことができる。これにより、操作性を向上することができる。
また本実施の形態においては、後壁体14を開放することが可能である。これにより、送りコンベア11の下側に回り込み、搬送体42に引っ掛かったままホッパ10の後方へと運ばれホッパ10内の後方に滞留した木材片を、効率よく排出することができる。このとき、後壁体14を開放した状態で保持するロック機構24を設けるので、作業者は開放した後壁体14が自重により閉じることを案じることなく、木材片の排出作業に集中することができる。したがって、作業性及び作業者の安全性をも向上することができる。さらに本実施形態によれば、前述したように後壁体14を側面視略L字型形状とし、上端部を回動支点として開閉する構造とすることにより、開閉動作中における後壁体14の重心位置の移動距離を短くすることができ、これにより、後壁体14の開閉操作に必要な作業者の労力を低減することができる。
一方、以上のように前方開閉扉126及び後壁体14を開放しても、破砕現場によっては被破砕木材が湿気を多く有することもあり、そのような場合には送りコンベア11の下側へ回り込んだ木材片等が底壁体18全体に付着すると共にその後乾燥して固着したり、また、破砕現場が寒冷地であり周囲温度が低い場合等、送りコンベア11の下側へ回りこんだ木材片等が底壁体18全体に付着した状態で凍結して固着したりする場合も考えられ、そのような場合には前方開閉扉126及び後壁体14によりホッパ10の前方及び後方を開放するだけでは木材片を排出できないことも考えられる。しかしながら、本実施形態によれば、底壁体18の中央部分のほぼ全面を占める中央開閉扉125を開放することにより、そのような底壁体18全体に固着した木材片等についても確実に取り除くことができる。このように、本実施の形態によれば、底壁体18の前方開閉扉126と中央開閉扉125、及び後壁体14を開放することにより、ホッパ10の底部をほぼ全面に渡って開放することが可能である。したがって、破砕作業中における木材片の地上へのこぼれを防止できると共に、ホッパ10内に滞留する木材片を確実に除去することができる。
なお、以上は、被破砕木材の押圧導入手段として、前述した押えコンベア装置13を採用したが、これに限られず、例えば、駆動ローラ及び従動ローラの間に無端状の部材(ベルトやチェーン等)を巻き回したものを用いてもよい。また、その押圧時の動作も、回動動作でなく上下動する構成として構わない。この場合も同様の効果を得る。
また、破砕装置として破砕ロータ61の外周部に刃物(破砕ビット65)を取り付けたいわゆるインパクトクラッシャを備えた木材破砕機を例にとって説明したが、これに限られず、他の破砕装置、例えば、平行に配置された軸にカッタを備え、互いに逆回転させることにより被破砕物をせん断する破砕装置(いわゆるシュレッダを含む2軸せん断機等)や、ロール状の回転体(ロータ)に破砕用の刃物を取り付けたものを一対としてそれら一対を互いに逆方向へ回転させ、それら回転体の間に被破砕物を挟み込んで破砕を行う回転式の破砕装置(いわゆるロールクラッシャを含む6軸破砕機等)や、被破砕物をチップ状にするいわゆる木材チッパーを備えた木材破砕機にも適用可能である。これらの場合も、上記と同様の効果を得る。
さらに、本発明を自力走行可能な木材破砕機に適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、牽引して走行可能な移動式木材破砕機、若しくは例えばクレーン等により吊り上げて運搬可能な可搬式木材破砕機、さらにはプラント等において固定機械として配置される定置式木材破砕機に適用しても良いことは言うまでもなく、これらの場合も上記と同様の効果を得る。