JP3840381B2 - 自走式破砕機の油圧駆動装置及び自走式破砕機の操作盤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自走式破砕機の油圧駆動装置に関し、さらに詳しくは、回転歯の間に被破砕物を噛み込ませ被破砕物を噛み切るように細くせん断するせん断式の破砕装置を備えた自走式破砕機の油圧駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、いわゆるリサイクル法の施行(平成3年10月)といった廃棄物再利用促進の背景の下、自走式破砕機の活躍の場が拡がりつつある。この自走式破砕機は、走行手段により自走可能であるとともに、ホッパで受け入れた被破砕物(コンクリート塊、アスファルト塊、岩石、建設廃材、産業廃棄物等)を破砕装置で破砕し、その破砕物をコンベアで排出するものである。
【0003】
このとき、破砕装置としてはいくつかの種類が既に提唱されているが、建設廃材、家電品、プラスチック廃材、古タイヤなどを破砕するのに特に好適なものとして、せん断式破砕装置(いわゆるシュレッダを含む2軸せん断機等)が提唱されている。
【0004】
このせん断式破砕装置では、ほぼ平行に配置された複数の回転軸のそれぞれに回転歯を固定し、それら回転歯の間に被破砕物を噛み込ませ、これによって被破砕物を噛み切るように細くせん断する。このため、例えば石油のポリタンクのように角部が丸みを帯びた形状でなかなか回転歯中に噛み込みにくいようなものを破砕するときには、確実な噛み込み促進を図るために回転歯の回転速度はなるべく遅いほうが好ましい。また、被破砕物の材質が布、プラスチック等比較的軽いものである場合には、回転歯の回転速度が速いと破砕片の飛散が生じやすいという憾みがあり、この場合も回転歯の回転速度は遅いほうが好ましい。逆に、例えば冷蔵庫・洗濯機等の家電品のように比較的鋭い角部があり回転歯中に噛み込みやすく、また金属製等材質が重く飛散しにくいものの場合には、破砕効率の点からは回転歯の回転速度は速い方が好ましい。
【0005】
ここで、上記のようにせん断式の破砕装置でなく、複数個の衝撃刃を設けたロータを回転させこの衝撃刃からの打撃及び容器内壁に設けた反発板との衝突を用いて被破砕物を衝撃的に破砕するいわゆるインパクトクラッシャや、スイングジョーを固定ジョーに対して揺動運動させそれらの間で被破砕物を挟み付けるようにして破砕を行うジョークラッシャを対象とするものであるが、被破砕物の材質・種類等に応じ操作者が回転歯の回転速度を適宜設定可能とするものとして、従来、例えば特開平8−257425号公報に記載のものがある。この従来技術は、油圧源からの圧油により破砕装置を駆動する破砕装置用油圧モータを備えた自走式破砕機の油圧駆動装置において、前記破砕装置用油圧モータの回転数を設定する回転速度設定器と、前記油圧ポンプから前記破砕装置用油圧モータへ供給される圧油を制御する電磁比例弁からなる破砕装置用コントロールバルブと、前記の回転速度設定器での設定に応じ前記破砕装置用コントロールバルブの開度を制御する指令値を出力する制御器とを備えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、操作者が回転速度設定器において所定の破砕装置用油圧モータの回転速度(例えば高速、中速、低速の3段階のうちの1つ)を選択すると、この信号が制御器に入力され、制御器は、上記選択に対応した流量の圧油(例えば高速では大流量、中速では中流量、低速では小流量)を破砕装置用油圧モータへ供給するように破砕装置用コントロールバルブの開度を制御し、これによって上記選択に応じた速度で破砕装置用油圧モータを回転させるものである。
【0007】
そこで、前述したせん断式の破砕装置における被破砕物の種類・形状等に応じたモータ回転速度の適正化という観点から、上記従来技術をせん断方式の破砕装置を備えた自走式破砕機の油圧駆動装置に適用することが考えられる。
【0008】
しかしながら、この場合、以下のような課題がある。
【0009】
すなわち、上記従来技術では、油圧源からの圧油の流量を破砕装置用コントロールバルブの開度の大小のみによって制御するようになっているため、破砕装置用油圧モータの低速回転時には破砕装置用コントロールバルブの開度を強制的に小さく絞ることにより破砕装置用油圧モータへの供給流量を小さくしている。したがって、この場合にはコントロールバルブにおいて絞りによる大きな圧力損失が生じるため、エネルギ損失が大きくなり、エネルギ効率が低下する。また、通常、油圧源としてはエンジン駆動の油圧ポンプを用いるが、上記の大きなエネルギ損失の分、油圧ポンプの駆動のために不必要に大きな馬力が必要となり、この意味でもエネルギ効率が低下する。
【0010】
本発明は、上記の事柄に基づいてなされたものであり、その目的は、エネルギ効率の低下を防止しつつ、操作者による破砕装置用油圧モータの回転速度設定を行える自走式破砕機の油圧駆動装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも1つの可変容量型の油圧ポンプから吐出される圧油によりせん断式破砕装置を駆動する可変容量型の破砕装置用油圧モータを備えた自走式破砕機の油圧駆動装置において、前記破砕装置用油圧モータの回転数を設定する設定手段と、この設定手段の設定に応じて、前記油圧ポンプの容量と前記破砕装置用油圧モータの容量とを互いに関連づけて制御するモータ・ポンプ容量制御手段とを有し、前記設定手段は、高回転数モード、中回転数モード、低回転数モードの3つのモードを備えており、前記モータ・ポンプ容量制御手段は、前記設定手段で前記高回転数モードが設定されたときは、前記油圧ポンプの容量を大きくかつ前記破砕装置用油圧モータの容量を小さくし、前記設定手段で前記中回転数モードが設定されたときは、前記油圧ポンプの容量を大きくかつ前記破砕装置用油圧モータの容量を大きくし、前記設定手段で前記低回転数モードが設定されたときは、前記油圧ポンプの容量を小さくかつ前記破砕装置用油圧モータの容量を大きくするものとする。
【0016】
本発明においては、モータ・ポンプ容量制御手段によって、例えば前記破砕装置用油圧モータの回転数を設定する設定手段の設定に応じて、油圧ポンプの容量と破砕装置用油圧モータの容量とを互いに関連づけて制御する。これにより、例えば、設定手段で高回転数モードが設定されたときは、破砕装置用油圧モータの容量を小さくし同一圧油流量に対する油圧モータの回転動作を増速するとともに併せて油圧ポンプの容量を大きくすることで破砕装置用油圧モータへの供給流量を大きくし、これによって破砕装置用油圧モータの回転数を大きくすることができる。また、設定手段で低回転数モードが設定されたときは、破砕装置用油圧モータの容量を大きくすることで同一圧油流量に対する油圧モータの回転動作を減速するとともに油圧ポンプの容量を小さくすることで破砕装置用油圧モータへの供給流量を小さくし、これによって破砕装置用油圧モータの回転数を小さくすることができる。更に、設定手段で中回転数モードが設定されたときは、破砕装置用油圧モータの容量を大きくすることで同一圧油流量に対する油圧モータの回転動作を減速するとともに油圧ポンプの容量を大きくすることで破砕装置用油圧モータへの供給流量を多くし、これによって破砕装置用油圧モータの回転数を高回転数モードと低回転数モードとの中間の速度にすることができる。このようにして、通常油圧ポンプから破砕装置用油圧モータへの圧油を制御するために設けられる破砕装置用コントロールバルブの開度に関係なく、破砕装置用油圧モータの回転速度を制御することができるので、上記破砕装置用コントロールバルブの開度のみによって破砕装置用油圧モータの回転速度制御を行う従来構造のように、絞りによる大きな圧力損失が発生するのを防止でき、エネルギ効率の低下を防止できる。
【0018】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記油圧ポンプから前記破砕装置用油圧モータへ供給される圧油を制御する破砕装置用コントロールバルブを備える。
【0019】
(3)上記(1)において、また好ましくは、前記モータ容量制御手段又はモータ・ポンプ容量制御手段は、前記破砕装置用油圧モータの傾転角を調整する油圧駆動のモータ用レギュレータと、このモータ用レギュレータを駆動するパイロット圧を制御するモータ用パイロット圧制御手段とを備える。
【0020】
(4)上記(1)において、また好ましくは、前記ポンプ容量制御手段又はモータ・ポンプ容量制御手段は、前記油圧ポンプの傾転角を調整する油圧駆動のポンプ用レギュレータと、このポンプ用レギュレータを駆動するパイロット圧を制御するポンプ用パイロット圧制御手段とを備える。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を用いて説明する。
【0027】
図1は、本発明の適用対象である自走式破砕機の全体構造を表す側面図であり、図2は、図1に示した自走式破砕機の上面図である。
【0028】
これら図1及び図2において、自走式破砕機は、例えば油圧ショベルのバケット等の作業具により被破砕物(例えば、建設廃材、家電品、プラスチック廃材、古タイヤ等)が投入され、その被破砕物を受け入れるホッパ1、及びホッパ1に受け入れた被破砕物をせん断し所定の大きさに破砕し下方へ排出するせん断式の破砕装置(この例では2軸シュレッダ)2を搭載した破砕機本体3と、この破砕機本体3の下方に設けられた走行体4と、前記の破砕装置2で破砕され下方へ排出された破砕物を受け入れて自走式破砕機の後方側(図1及び図2中右側)に運搬し搬出するコンベア5と、このコンベア5の上方に設けられコンベア5上を搬送中の破砕物に含まれる磁性物(鉄筋等)を磁気的に吸引除去する磁選機6とを有する。
【0029】
前記の走行体4は、本体フレーム7と、走行手段としての左・右無限軌道履帯8とを備えている。本体フレーム7は、例えば略長方形の枠体によって形成され、前記破砕装置2、前記ホッパ1、及びパワーユニット20(後述)等を載置する破砕機取付け部7Aと、この破砕機取付け部7Aと前記の左・右無限軌道履帯8とを接続するトラックフレーム部7Bとから構成される。また無限軌道履帯8は、駆動輪9aと従動輪(アイドラ)9bとの間に掛け渡されており、駆動輪9a側に設けられた左・右走行用油圧モータ10によって駆動力が与えられることにより自走式破砕機を走行させるようになっている。
【0030】
前記の破砕装置2は、図1及び図2に示すように、本体フレーム破砕機取付け部7Aの長手方向前方側(図1及び図2中左側)端部に搭載されており、前記ホッパ1は、破砕装置2のさらに上部に配置されている。
【0031】
この破砕装置2は、2軸せん断機(いわゆるシュレッダ)であり、スペーサ2aを介しカッタ(回転歯)2bを櫛歯状に所定間隔で取り付けた2つの回転軸(図示せず)を、互いに略平行でかつカッタ2bが交互に噛み合うように配置している。そして、それら回転軸を互いに逆方向へ回転させることにより、ホッパ1より供給された被破砕物をカッタ2b,2bの間に噛み込ませて細片状に噛み切るようにせん断し、所定の大きさに破砕するようになっている。このとき、前記回転軸への駆動力は、本体フレーム破砕機取付け部7A上の破砕装置2より後方側(すなわち本体フレーム破砕機取付け部7Aの長手方向中間部)に設けた駆動装置11内の可変容量型の破砕装置用油圧モータ12から与えられる。
【0032】
前記のコンベア5は、フレーム13に支持されコンベア用油圧モータ14で駆動される駆動輪15と、従動輪(アイドラ、図示せず)と、これら駆動輪15及び従動輪の間に巻回して設けられたコンベアベルト16とを備えており、コンベアベルト16を循環駆動することによって前記破砕装置2からコンベアベルト16上に落下してきた破砕物を運搬し、搬送側(図1及び図2中右側)端部から排出するようになっている。
【0033】
前記の磁選機6は、前記のコンベアベルト16の上方にこのコンベアベルト16と略直交するように配置された磁選機ベルト17を、磁選機用油圧モータ18によって磁力発生手段(図示せず)まわりに駆動することにより、磁力発生手段からの磁力を磁選機ベルト17越しに作用させて磁性物を磁選機ベルト17に吸着させた後コンベアベルト16と略直交する方向に搬送し、コンベア5の前記フレーム13に設けたシュート13aを介しコンベアベルト16の側方に落下させるようになっている。
【0034】
前記の本体フレーム破砕機取付け部7Aの長手方向後方側(図1、図2中右側)端部の上部には、パワーユニット積載部材19を介し、パワーユニット20が搭載されている。
【0035】
このパワーユニット20は、前記の左・右走行用油圧モータ10、クラッシャ用油圧モータ12、コンベア用油圧モータ14、及び磁選機用油圧モータ18等の油圧アクチュエータへ圧油を吐出する油圧ポンプ22(図示せず、後述の図3参照)と、この油圧ポンプを駆動する原動機としてのエンジン23(同)と、前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータへ供給される圧油の流れをそれぞれ制御する複数のコントロールバルブ24等(同)を備えた制御弁装置(図示せず)などを内蔵している。
【0036】
また、パワーユニット20の前方側(図1及び図2中左側)には、操作者が搭乗する運転席21が設けられており、操作者がこの運転席21に立つことにより、破砕作業中において破砕装置2による破砕状況をある程度監視することができるようになっている。
【0037】
ここで、上記破砕装置2、コンベア5、磁選機6、及び走行体4は、この自走式破砕機に備えられる油圧駆動装置によって駆動される被駆動部材を構成している。図3は、本発明の自走式破砕機の油圧駆動装置の一実施の形態のうち、前記破砕装置用油圧モータ12に係わる要部構成を表す油圧回路図である。
【0038】
この図3において、油圧駆動装置は、上記エンジン23と、このエンジン23によって駆動される可変容量型の上記油圧ポンプ22と、同様にエンジン23によって駆動される固定容量型のパイロットポンプ29と、油圧ポンプ22から吐出される圧油が供給される前記破砕装置用油圧モータ12と、油圧ポンプ22から前記破砕装置用油圧モータ12に供給される圧油の流れ(方向及び流量)を制御する破砕装置用コントロールバルブ24と、破砕機本体3(例えば前記の運転席16内)に設けられ、破砕装置2、コンベア5、及び磁選機6等の始動・停止を操作者が指示入力して操作するための操作盤25と、パイロットポンプ29で発生したパイロット圧に基づく制御圧力(詳細は後述)が導かれ、油圧ポンプ22の吐出流量(ポンプ容量)を調整するレギュレータ37,38とを有している。
【0039】
破砕装置用油圧モータ12は、前述のように破砕装置2動作用の駆動力を発生するものであり、斜板12aの傾転角が変化することにより容量(1回転当たりの必要流量)が変化可能な可変容量型のモータとなっている。この斜板12aの傾転角は、油圧駆動のシリンダ装置26によって駆動調整される。すなわち、シリンダ装置26は、斜板12aに連結されたロッド部26aと、ロッド部26aを図3中右側方向に付勢するばね部材26bと、ボトム側油室26cとを備えており、後述の容量調整用パイロットライン41を介しボトム側油室26cに圧油が導入されるとばね部材26bの付勢力に抗して斜板12aの傾転角を小さく(すなわちモータ容量を小さく)し、ボトム側油室26cに圧油が導入されなくなるとばね部材26bの付勢力によって斜板12aの傾転角を大きく(すなわちモータ容量を大きく)するようになっている。
【0040】
このとき、上記容量調整用パイロットライン41には、前記パイロットポンプ29で発生された圧力を用いて電磁切換弁40で生成されたパイロット圧により操作される。この電磁切換弁40は、ソレノイド駆動部40aを備えた電磁切換弁である。ソレノイド駆動部40aには、コントローラ32からの制御信号(駆動信号)Smで駆動されるソレノイドがそれぞれ設けられており、電磁切換弁40はその制御信号Smの入力に応じて切り換えられるようになっている。すなわち、コントローラ32から電磁切換弁40のソレノイド駆動部40aに制御信号Smが出力されると、電磁切換弁40が図3中右側の連通位置40Aに切り換えられる。これにより、パイロットポンプ29からの圧油がその吐出管路33及び連通位置40Aを経て電磁切換弁40下流側の上記容量調整用パイロットライン41へと導かれ、これらを介し、傾転制御用パイロット圧としてシリンダ装置26のボトム側油室26cへと導かれる。コントローラ32から電磁切換弁40の駆動部40aへ制御信号Smが出力されない場合は、電磁切換弁40はばね40bの付勢力で図3に示す遮断位置40Bに復帰し、容量調整用パイロットライン41内の圧力はタンク管路39を介しタンク36の圧力(タンク圧)と等しくなるようになっている。
【0041】
以上の結果、コントローラ32から制御信号Smが出力された場合には、破砕装置用油圧モータ12の斜板12aの傾転角が減少して油圧モータ12の容量が減少し、コントローラ32から制御信号Smが出力ない場合には、破砕装置用油圧モータ12の斜板12aの傾転角が増大して油圧モータ12の容量が増大するようになっている。
【0042】
図4は、上記のような傾転角制御の結果実現される、破砕装置用油圧モータ12の出力トルク特性の一例を表したものである。横軸に油圧ポンプ22のポンプ吐出圧Pをとり、縦軸には破砕装置用油圧モータ12の出力トルクTをとり、上述の傾転角が小さくなった場合と、大きくなった場合とを比較して示している。
【0043】
この図4において、破砕装置用油圧モータ12の出力トルクTは供給圧油の圧力(この場合、ポンプ吐出圧Pに等しい)とモータ容量との積で表されることから、モータ傾転角が大、小いずれの場合も右上がり直線で表される特性となる。そして、モータ傾転角が大きい場合のほうが、モータ傾転かくが小さい場合よりも傾きの大きい直線となり、同一の吐出圧Pではより大きい出力トルクTを得ることができる。
【0044】
図3に戻り、破砕装置用コントロールバルブ24は3位置切換弁であり、油圧ポンプ22の吐出管路27に設けられて油圧ポンプ22から破砕装置用油圧モータ12へ供給される圧油を制御するようになっている。このとき、破砕装置用コントロールバルブ24の下流側には、破砕装置用油圧モータ12を正転駆動させるときに圧油を供給するための正転側圧油供給管路28aと、破砕装置用油圧モータ12を逆転駆動させるときに圧油を供給するための逆転側圧油供給管路28bとが接続され、それぞれ正転駆動時及び逆転駆動時に油圧ポンプ22からの圧油を破砕装置用油圧モータ12へと導くようになっている。
【0045】
このコントロールバルブ24は、両端にパイロット駆動部24a,24bを備え、パイロット圧を用いて操作されるセンターバイパス型のパイロット操作弁であり、前記パイロットポンプ29で発生された圧力を用いて電磁切換弁30,31で生成されたパイロット圧により操作される。これら電磁切換弁30,31は、それぞれソレノイド駆動部30a,31aを備えた電磁切換弁である。ソレノイド駆動部30a,31aには、コントローラ32からの制御信号Sa(破砕装置用油圧モータ12の正転方向への駆動に対応),Sb(破砕装置用油圧モータ12の逆転方向への駆動に対応)で駆動されるソレノイドがそれぞれ設けられており、電磁切換弁30,31はそれら正転制御信号Sa又は逆転制御信号Sbの入力に応じて切り換えられるようになっている。
【0046】
すなわち、コントローラ32から電磁切換弁30のソレノイド駆動部30aに正転制御信号Saが出力されると、電磁切換弁30が図3中右側の連通位置30Aに切り換えられる。これにより、パイロットポンプ29からの圧油がその吐出管路33及び連通位置30Aを経て電磁切換弁30下流側の正転用パイロットライン34aへと導かれ、これらを介し、正転用パイロット圧としてコントロールバルブ24のパイロット駆動部24aへと導かれる。コントローラ32から電磁切換弁30の駆動部30aへ制御信号Saが出力されない場合は、電磁切換弁30はばね30bの付勢力で図3に示す遮断位置30Bに復帰し、正転用パイロットライン34a内の圧力はタンク管路39を介しタンク36の圧力(タンク圧)と等しくなるようになっている。
【0047】
また、コントローラ32から電磁切換弁31のソレノイド駆動部31aに逆転制御信号Sbが出力されると、電磁切換弁31が図3中右側の連通位置31Aに切り換えられる。これにより、上記同様、パイロットポンプ29からの圧油が電磁切換弁31下流側の逆転用パイロットライン34bへと導かれ、逆転用パイロット圧としてコントロールバルブ24のパイロット駆動部24bへと導かれる。コントローラ32から電磁切換弁31の駆動部31aへ制御信号Sbが出力されない場合は、電磁切換弁31はばね31bの付勢力で図3に示す遮断位置31Bに復帰し、逆転用パイロットライン34b内の圧力はタンク管路39を介しタンク36の圧力(タンク圧)と等しくなるようになっている。
【0048】
以上により、コントローラ32から正転制御信号Saが出力され逆転制御信号Sbが出力されない場合には、コントロールバルブ24は図3中上側の切換位置24Aに切り換えられ、油圧ポンプ22からの圧油が吐出管路27、コントロールバルブ切換位置24A、及び正転側圧油供給管路28aを介して破砕装置用油圧モータ12に供給され、破砕装置用油圧モータ12が正転方向(順方向)に駆動される。このときの戻り油は、逆転側圧油供給管路28bからコントロールバルブ切換位置24A、タンク管路35を介しタンク36へ導入される。
【0049】
また、コントローラ32から逆転制御信号Sbが出力され正転制御信号Saが出力されない場合には、コントロールバルブ24は図3中下側の切換位置24Bに切り換えられ、油圧ポンプ22からの圧油が吐出管路27、コントロールバルブ切換位置24B、及び逆転側圧油供給管路28bを介して破砕装置用油圧モータ12に供給され、破砕装置用油圧モータ12が逆転方向(逆方向)に駆動される。このときの戻り油は、正転側圧油供給管路28aからコントロールバルブ切換位置24B、タンク管路35を介しタンク36へ導入される。
【0050】
さらに、コントローラ32から電磁切換弁30,31の駆動部30a,31aへの制御信号Sa,Sbがいずれも出力されない場合は、コントロールバルブ24がばね24c,24dの付勢力で図3中に示す中立位置24Cに復帰し、油圧ポンプ22の吐出油はタンク管路35を介しタンク36へ戻る。すなわち、正転側圧油供給管路28a及び逆転側圧油供給管路28bのいずれにも圧油は供給されなくなるため、破砕装置用油圧モータ12は停止する。
【0051】
前記のレギュレータ37,38は、入力トルク制限制御用のレギュレータ37と、モータ回転数制御用のレギュレータ38とから構成されている。
【0052】
これらレギュレータ37,38は、それぞれピストン37A,38Aを備えており、ピストン37A,38Aが図3中右方に移動すると、油圧ポンプ22の吐出流量が減少するように油圧ポンプ22の斜板22aの傾転角(すなわちポンプ容量又は押しのけ容積)を変え、ピストン37A,38Aが図3中左方に移動すると、油圧ポンプ22の容量(1回転当たりの吐出流量)が増大するように斜板22aの傾転角を変えるようになっている。
【0053】
入力トルク制限制御用のレギュレータ37のボトム側油室37aには、油圧ポンプ22の吐出管路27から分岐したパイロット管路42が接続され、これによってボトム側油室37aに油圧ポンプ22の吐出圧Pが導かれるようになっている。これにより、油圧ポンプ22吐出圧Pが高いときはピストン37Aが図3中右方に移動して油圧ポンプ22の吐出流量を減少させ、吐出圧Pが低いときはピストン37Aが図3中左方に移動して吐出流量を増大させるように動作する。この結果、吐出圧Pが上昇するに従って吐出流量の最大値が小さく制限され、油圧ポンプ22の入力馬力(入力トルク)がエンジン23の出力馬力(出力トルク)以下になるように油圧ポンプ22の斜板22aの傾転角が制御されるようになっている(公知の入力トルク制限制御又は馬力制御)。
【0054】
一方、モータ回転数制御用のレギュレータ38のボトム側油室38aには、前記パイロットポンプ29で発生された圧力を用いて電磁切換弁43で生成されたパイロット圧(制御圧力)がポンプ容量調整用パイロットライン44により導入され、ピストン38Aがこのパイロット圧により駆動される。すなわち、前記の電磁切換弁43は、ソレノイド駆動部43aを備えた電磁切換弁であり、ソレノイド駆動部43aには、コントローラ32からの制御信号Srで駆動されるソレノイドが設けられ、電磁切換弁43はその制御信号Srの入力に応じて切り換えられるようになっている。コントローラ32から電磁切換弁43のソレノイド駆動部43aに制御信号Srが出力されると、電磁切換弁43が図3中右側の連通位置43Aに切り換えられる。これにより、パイロットポンプ29からの圧油がその吐出管路33及び連通位置43Aを経て電磁切換弁43下流側のポンプ容量調整用パイロットライン43へと導かれ、これらを介し、ポンプ傾転制御用パイロット圧としてレギュレータ38のボトム側油室38aへと導かれる。コントローラ32から電磁切換弁43の駆動部43aへ制御信号Srが出力されない場合は、電磁切換弁43はばね43bの付勢力で図3に示す遮断位置43Bに復帰し、ポンプ容量調整用パイロットライン43内の圧力はタンク管路39を介しタンク36の圧力(タンク圧)と等しくなるようになっている。
【0055】
以上の結果、コントローラ32から制御信号Srが出力された場合には、油圧ポンプ22の斜板22aの傾転角が減少して油圧ポンプ22のポンプ容量(吐出容量)が減少し、コントローラ32から制御信号Srが出力ない場合には、油圧ポンプ22の斜板22aの傾転角が増大して油圧ポンプ22のポンプ容量が増大するようになっている。
【0056】
なお、油圧ポンプ22及びパイロットポンプ29の前記吐出管路27,33から分岐した管路45,46には、リリーフ弁47,48がそれぞれ設けられており、油圧ポンプ22及びパイロットポンプ29の吐出圧の最大値をそれぞれ制限するリリーフ圧の値を、それぞれに備えられたばね47a,48aの付勢力で設定するようになっている。
【0057】
また、この油圧駆動装置には、特に図示を行わないが、前記コンベア用油圧モータ14、磁選機用油圧モータ18、及び左・右走行用油圧モータ10へ前記油圧ポンプ22(あるいは図示しないもう他の油圧ポンプでもよい)からそれら油圧モータ14,18,10への圧油の流れ(方向及び流量)を制御するコンベア用コントロールバルブ、磁選機用コントロールバルブ、及び左・右走行用コントロールバルブ(図示せず)が備えられている。
【0058】
コンベア用コントロールバルブ及び磁選機用コントロールバルブはそれぞれ電磁切換弁であり、コントローラ32からそれら電磁切換弁に制御信号を出力することにより、それらが連通位置に切り換えられて油圧ポンプ22からそれらコンベア用油圧モータ14及び磁選機用油圧モータ18へ圧油が供給されて駆動され、コンベア5及び磁選機6が動作するようになっている。
【0059】
左・右走行用コントロールバルブは、前記の運転席21に設けられた操作レバー49によって手動切換可能な切換弁であり、その操作レバー49の操作に応動して前記油圧ポンプ22(あるいは他の油圧ポンプ)から左・右走行用油圧モータ10への圧油の流れを制御し、これによって左・右無限軌道履帯8を駆動し走行体4を走行させるようになっている。
【0060】
なお、詳細な説明は省略するが、この油圧駆動装置では、公知のインターロック機構によって破砕用油圧モータ12への圧油供給と左・右走行用油圧モータ10への圧油供給とが同時には行えないようになっており、これによって、破砕装置2による破砕動作と走行体4の走行動作とが同時に行えないようになっている(後述の動作切替ダイヤル25i参照)。
【0061】
図5は、操作盤25の詳細構造を表す正面図である。この図5において、操作盤25には、破砕装置2を正転方向に起動させるための正転起動スイッチ25aと、破砕装置2を停止させるための停止スイッチ25bと、破砕装置2を逆転方向に起動させるための逆転起動スイッチ25cと、コンベア5を起動するための起動スイッチ25dと、コンベア5を停止させるための停止スイッチ25eと、磁選機6を起動するための起動スイッチ25fと、磁選機6を停止させるための停止スイッチ25gと、破砕装置2の回転数(回転速度)を低速モード、中速モード、高速モードの3つから選択するシュレッダモードダイヤル25hと、前述のインターロック機構の動作に関し、破砕装置2による破砕動作を可能とする破砕モードと走行体4の走行動作を可能とする走行モードのいずれか一方を選択する動作切替ダイヤル25iとが備えられている。
【0062】
操作者が上記操作盤25の各スイッチ25a〜g及びダイヤル25h,iの操作を行うと、その操作信号が前記のコントローラ32に入力される。コントローラ32は、それら操作信号に基づき、前述した電磁切換弁30,31,41,43等へ前述の制御信号Sa,Sb,Sm,Sr等を生成し、出力するようになっている。
【0063】
ここで、本実施の形態の要部は、操作者による上記操作盤25のシュレッダモードダイヤル25hの選択入力に応じて、油圧ポンプ22及び破砕装置用油圧モータ12の傾転角を制御することにある。図6は、この機能に関するコントローラ32の制御内容を表すフローチャートである。
【0064】
図6において、まずステップ10で、シュレッダモードダイヤル25hで低速モード、中速モード、高速モードのいずれが選択されたかを判定する。
【0065】
高速モードが選択されている場合は、ステップ20Aに移り、電磁切換弁40のソレノイド駆動部40aへの制御信号SmをONにする(出力する)ことにより、シリンダ装置26のロッド部26aを介して破砕装置用油圧モータ12の傾転角(容量)を小さくする。その後、ステップ30Aに移り、電磁切換弁43のソレノイド駆動部43aへの制御信号SrをOFFにする(出力しない状態とする)ことにより、モータ回転数制御用のレギュレータ38のピストン38aを介して油圧ポンプ22の傾転角(容量)を大きくし、このフローを終了する。
【0066】
また、ステップ10で低速モードが選択されている場合は、ステップ20Bに移り、電磁切換弁40への制御信号SmをOFFにする(出力しない状態とする)ことにより、破砕装置用油圧モータ12の傾転角(容量)を大きくする。その後、ステップ30Bに移り、電磁切換弁43への制御信号SrをONにする(出力する)ことにより、油圧ポンプ22の傾転角(容量)を小さくし、このフローを終了する。
【0067】
さらに、ステップ10で中速モードが選択されている場合は、ステップ20Cに移り、電磁切換弁40への制御信号SmをOFFにして破砕装置用油圧モータ12の傾転角(容量)を大きくした後、ステップ30Cて、電磁切換弁43への制御信号SrをOFFにすることにより、油圧ポンプ22の傾転角(容量)を大きくし、このフローを終了する。
【0068】
なお、上記において、操作盤25のシュレッダモードダイヤル25hが、特許請求の範囲各項記載の破砕装置用油圧モータの回転数を設定する設定手段を構成するとともに、破砕装置を駆動する可変容量型の破砕装置用油圧モータの容量を操作設定するモータ容量操作手段、破砕装置を駆動する破砕装置用油圧モータへ圧油を供給する可変容量型の油圧ポンプの容量を操作設定するポンプ容量操作手段、破砕装置を駆動する可変容量型の破砕装置用油圧モータの容量及び破砕装置用油圧モータへ圧油を供給する可変容量型の油圧ポンプの容量を操作設定するモータ・ポンプ容量操作手段をも構成する。
【0069】
また、コントローラ32、電磁切換弁40、容量調整用パイロットライン41、及びシリンダ装置26が、設定手段の設定に応じて前記破砕装置用油圧モータの容量を制御するモータ容量制御手段を構成し、コントローラ32、電磁切換弁43、ポンプ容量調整用パイロットライン44、及びモータ回転数制御用のレギュレータ38が、設定手段の設定に応じて前記油圧ポンプの容量を制御するポンプ容量制御手段を構成する。さらに、コントローラ32、電磁切換弁40、容量調整用パイロットライン41、シリンダ装置26、電磁切換弁43、ポンプ容量調整用パイロットライン44、及びモータ回転数制御用のレギュレータ38は、設定手段の設定に応じて、前記油圧ポンプの容量と前記破砕装置用油圧モータの容量とを互いに関連づけて制御するモータ・ポンプ容量制御手段をも構成する。
【0070】
またこのとき、上記のうち、シリンダ装置26は、破砕装置用油圧モータの傾転角を調整する油圧駆動のモータ用レギュレータを構成し、コントローラ32、電磁切換弁40、及び容量調整用パイロットライン41は、モータ用レギュレータを駆動するパイロット圧を制御するモータ用パイロット圧制御手段を構成する。またモータ回転数制御用のレギュレータ38は、油圧ポンプの傾転角を調整する油圧駆動のポンプ用レギュレータを構成し、コントローラ32、電磁切換弁43、及びポンプ容量調整用パイロットライン44は、ポンプ用レギュレータを駆動するパイロット圧を制御するポンプ用パイロット圧制御手段を構成する。
【0071】
次に、本実施の形態の動作及び作用を以下に説明する。
【0072】
上記構成の自走式破砕機において、破砕作業時には、操作者は、操作盤25の動作切替ダイヤル25iで「破砕」を選択して走行動作を不可能にした後、磁選機起動スイッチ25f及びコンベア起動スイッチ25dを押す。これにより、磁選機用油圧モータ18及びコンベア用油圧モータ14が駆動される。またこのとき、シュレッダモードダイヤル25hで「低速」「中速」「高速」のいずれかを選択した後シュレッダ正転起動スイッチ25aを押す。これにより、破砕装置用油圧モータ12が正転方向に駆動される。以上により、磁選機6、コンベア5、破砕装置2が順次起動する。
【0073】
そして、例えば油圧ショベルのバケットでホッパ1に被破砕物を投入すると、ホッパ1で受け入れられた被破砕物は破砕装置2へと導かれ、破砕装置2で所定の大きさに破砕される。破砕された破砕物は、破砕装置2下部の空間からコンベア5上に落下して運搬され、大きさがほぼ揃えられて、最終的に自走式破砕機の後部(図1中右端部)から搬出される。
【0074】
このとき、図6を用いて前述したように、本実施の形態では、シュレッダモードダイヤル25hで「低速」「中速」「高速」のどれを選択したかに応じて、破砕装置2のカッタ2bの回転速度を変化させることができる。以下、この速度モード別にその作用を説明する。
【0075】
(1)高速モード
シュレッダモードダイヤル25hで「高速」を選択した場合、図6を用いて前述したように、油圧ポンプ22を大傾転とすることで同一ポンプ回転で大流量の圧油を供給する一方、破砕装置用油圧モータ12を小傾転とすることで同一流量でのモータ回転を増速する。
【0076】
このときの破砕装置用油圧モータ12の出力トルク特性を図7中実線で示す。横軸には破砕装置用油圧モータ12の回転数Nをとり、縦軸には破砕装置用油圧モータ12の出力トルクTをとって表している。上記のような制御の結果、高速モードを選択した場合、この図7中実線の特性線に示すように破砕装置用油圧モータ12をトルクTの最大値を比較的小さくしつつ高速(大きな回転数N)で回転させることができる。したがって、比較的破砕し易い破砕物を効率よく破砕することができ、また、高速のため被破砕物の量も多く処理できる。
【0077】
(2)低速モード
シュレッダモードダイヤル25hで「低速」を選択した場合、図6を用いて前述したように、油圧ポンプ22を小傾転とすることで小流量の圧油を供給する一方、破砕装置用油圧モータ12を大傾転とすることで同一流量でのモータ回転を減速する。
【0078】
このときの破砕装置用油圧モータ12の出力トルク特性は、図7中の破線で表される。この特性線に示すように、上記のような制御の結果、低速モードを選択した場合には、破砕装置用油圧モータ12をトルクTの最大値を比較的大きくしつつ低速(小さな回転数N)で回転させることができる。したがって、比較的破砕し難い破砕物を効率よく破砕することができる。また、低速のため被破砕物の飛散量も少なくでき、被破砕物の噛込性を向上することができる。
【0079】
(3)中速モード
シュレッダモードダイヤル25hで「中速」を選択した場合、図6を用いて前述したように、油圧ポンプ22を大傾転とすることで大流量の圧油を供給しつつ破砕装置用油圧モータ12も大傾転とすることで同一流量でのモータ回転を減速することができる。
【0080】
このときの破砕装置用油圧モータ12の出力トルク特性は、図7中の一点鎖線で表される。この特性線に示すように、上記のような制御の結果、中速モードを選択した場合には、破砕装置用油圧モータ12を、上記低速モード時とほぼ同等のトルクTの最大値を確保しつつ、上記高速モードと低速モードとの中間の速度(回転数)で回転させることができる。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態によれば、操作者がシュレッダモードダイヤル25hで「低速」「中速」「高速」のどれを選択したかに応じて破砕用油圧モータ12の傾転角(モータ容量)及び油圧ポンプ22の傾転角(ポンプ容量)を変化させることにより、破砕装置2のカッタ2bの回転速度を任意に変化させることができる。
【0082】
このとき、油圧ポンプ22から破砕装置用油圧モータ12への圧油を制御する破砕装置用コントロールバルブ24の開度に関係なく、破砕装置用油圧モータ12の回転速度を制御することができる。これにより、破砕装置用コントロールバルブの開度のみによって破砕装置用油圧モータの回転速度制御を行う従来構造のように、絞りによる大きな圧力損失が発生するのを防止できるので、エネルギ効率の低下を防止できる。
【0083】
なお、上記本発明の一実施の形態においては、操作者がシュレッダモードダイヤル25hで「低速」「中速」「高速」のどれを選択したかに応じて、電磁切換弁40,43を連通位置40A,43Aと遮断位置40B,43Bのいずれか一方に選択的に切り換え、これによって破砕装置用油圧モータ12及び油圧ポンプ22の傾転角(容量)を小容量と大容量のいずれか一方に選択的に制御したが、これに限られない。すなわち、それら弁40,43に電磁比例弁を用いることにより、コントローラ32からそれらに対する制御信号Sm,Srを多段階あるいは無段階に変化させることで、より細やかに破砕装置用油圧モータ12及び油圧ポンプ22の傾転角(容量)を変化させることも可能である。
【0087】
また、本発明は、図3に示したようなタイプの油圧回路のみに適用が限られるものではなく、例えば、ホイールローダに関し特公平8−9308号公報に開示のようないわゆる閉回路タイプの油圧回路にも適用でき、この場合も同様の効果が得られる。
【0088】
【発明の効果】
本発明によれば、モータ・ポンプ容量制御手段によって、例えば前記破砕装置用油圧モータの回転数を設定する設定手段の設定に応じて、油圧ポンプの容量と破砕装置用油圧モータの容量とを互いに関連づけて制御する。したがって、破砕装置用コントロールバルブの開度に関係なく、破砕装置用油圧モータの回転速度を制御することができる。したがって、絞りによる大きな圧力損失が発生するのを防止でき、エネルギ効率の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の自走式破砕機の油圧駆動装置の適用対象である自走式破砕機の全体構造を表す側面図である。
【図2】 本発明の自走式破砕機の油圧駆動装置の適用対象である自走式破砕機の全体構造を表す上面図である。
【図3】 本発明の自走式破砕機の油圧駆動装置の一実施の形態のうち、破砕装置用油圧モータに係わる要部構成を表す油圧回路図である。
【図4】 本発明の自走式破砕機の油圧駆動装置の一実施の形態において、傾転角制御の結果実現される破砕装置用油圧モータの出力トルク特性の一例を表した図である。
【図5】 本発明の自走式破砕機の油圧駆動装置の一実施の形態に備えられた操作盤の詳細構造を表す正面図である。
【図6】 本発明の自走式破砕機の油圧駆動装置の一実施の形態に備えられたコントローラの制御内容を表すフローチャートである。
【図7】 本発明の自走式破砕機の油圧駆動装置の一実施の形態において、シュレッダモードダイヤルで「高速」を選択した場合の破砕装置用油圧モータの出力トルク特性を示した図である。
【符号の説明】
24 破砕装置用コントロールバルブ
25 操作盤
25h シュレッダモードダイヤル(設定手段、モータ容量操作手段、ポンプ 容量操作手段、モータ・ポンプ容量操作手段)
26 シリンダ装置(モータ用レギュレータ、モータ容量制御手段、モータ ・ポンプ容量制御手段)
32 コントローラ(モータ用パイロット圧制御手段、ポンプ用パイロット 圧制御手段、モータ容量制御手段、ポンプ容量制御手段、モータ・ポ ンプ容量制御手段)
38 レギュレータ(ポンプ用レギュレータ、ポンプ容量制御手段、モータ ・ポンプ容量制御手段)
40 電磁切換弁(モータ用パイロット圧制御手段、モータ容量制御手段、 モータ・ポンプ容量制御手段)
41 容量調整用パイロットライン(モータ用パイロット圧制御手段、モー タ容量制御手段、モータ・ポンプ容量制御手段)
43 電磁切換弁(ポンプ用パイロット圧制御手段、ポンプ容量制御手段、 モータ・ポンプ容量制御手段)
44 ポンプ容量調整用パイロットライン(ポンプ用パイロット圧制御手段 、ポンプ容量制御手段、モータ・ポンプ容量制御手段)
Claims (4)
- 少なくとも1つの可変容量型の油圧ポンプから吐出される圧油によりせん断式破砕装置を駆動する可変容量型の破砕装置用油圧モータを備えた自走式破砕機の油圧駆動装置において、
前記破砕装置用油圧モータの回転数を設定する設定手段と、
この設定手段の設定に応じて、前記油圧ポンプの容量と前記破砕装置用油圧モータの容量とを互いに関連づけて制御するモータ・ポンプ容量制御手段とを有し、
前記設定手段は、高回転数モード、中回転数モード、低回転数モードの3つのモードを備えており、
前記モータ・ポンプ容量制御手段は、前記設定手段で前記高回転数モードが設定されたときは、前記油圧ポンプの容量を大きくかつ前記破砕装置用油圧モータの容量を小さくし、前記設定手段で前記中回転数モードが設定されたときは、前記油圧ポンプの容量を大きくかつ前記破砕装置用油圧モータの容量を大きくし、前記設定手段で前記低回転数モードが設定されたときは、前記油圧ポンプの容量を小さくかつ前記破砕装置用油圧モータの容量を大きくすることを特徴とする自走式破砕機の油圧駆動装置。 - 請求項1記載の自走式破砕機の油圧駆動装置において、前記油圧ポンプから前記破砕装置用油圧モータへ供給される圧油を制御する破砕装置用コントロールバルブを備えることを特徴とする自走式破砕機の油圧駆動装置。
- 請求項1記載の自走式破砕機の油圧駆動装置において、前記モータ・ポンプ容量制御手段は、前記破砕装置用油圧モータの傾転角を調整する油圧駆動のモータ用レギュレータと、このモータ用レギュレータを駆動するパイロット圧を制御するモータ用パイロット圧制御手段とを備えることを特徴とする自走式破砕機の油圧駆動装置。
- 請求項1記載の自走式破砕機の油圧駆動装置において、前記モータ・ポンプ容量制御手段は、前記油圧ポンプの傾転角を調整する油圧駆動のポンプ用レギュレータと、このポンプ用レギュレータを駆動するパイロット圧を制御するポンプ用パイロット圧制御手段とを備えることを特徴とする自走式破砕機の油圧駆動装置。
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