以下、本発明のせん断式破砕機の一実施形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明のせん断式破砕機の一実施形態である自走式破砕機の全体構造を表す側面図、図2はその上面図、図3は背面図である。なお、以下において、図1中の「左・右」に対応する方向を「後・前」又は「一方・他方」とする。
図1乃至図3において、1は走行体で、この走行体1は、走行装置2と、この走行装置2上に設けた本体フレーム3とで構成されている。走行装置2は、トラックフレーム4と、このトラックフレーム4の両端に設けた従動輪5及び駆動輪6と、これら従動輪5及び駆動輪6に掛け回した履帯7と、駆動輪6に連結した駆動装置8(以下、適宜左・右走行用油圧モータ8L,8Rと記載する。後述の図7参照。)とで構成されている。
9は本体フレーム3の長手方向他方側に支持部材10を介して設けた動力装置である。この動力装置9は、エンジン80や、このエンジン80によって駆動される油圧ポンプ81A,81B,82、これら油圧ポンプ81A,81B,82からの圧油を走行装置2等の自走式破砕機を動作させる各機構に切換え供給する複数のコントロールバルブ33,34L,34R,35からなる制御弁装置等を備えている(後述の図7参照)。
11は例えば油圧ショベル等の投入重機により投入されるリサイクル原料としての被破砕物(例えば建設廃材、家電品、プラスチック廃材、古タイヤ等)を受け入れる上方拡径形状のホッパ、12は本体フレーム3の長手方向一方側端部上に設けられ、ホッパ11により受け入れた被破砕物を所定の大きさに破砕し下方へ排出する破砕装置(2軸シュレッダ、詳細は後述)である。13はこの破砕装置12のハウジングで、ホッパ11は、このハウジング13の上部に対し、例えばボルト等により着脱可能に取り付けられている。14は破砕装置12の駆動伝達機構を備えた駆動部で、この駆動部14は、本体フレーム3上の破砕装置12よりも前方側に設けられている。
図4は破砕装置12の詳細構造を表す内部側面図、図5はその上面図、図6はこの図4中VI−VI断面による断面図である。これらの図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
図4及び図6において、15はハウジング13に略水平方向に並設した略正方形断面の2本の回転軸、16は外周部に複数の歯16a(図6参照)を有するカッタ、17は円盤状のスペーサで、これらカッタ16及びスペーサ17を回転軸15に交互に挿通することにより破砕ロータ(回転体)18を構成している。相隣接する破砕ロータ18,18は、互いのカッタ16及びスペーサ17が対向するよう配置されており、図6に示すように、互いのカッタ16,16の回転軌跡が径方向に一部重なり合うようになっている。
19は回転軸15の軸方向他方側に設けたギアで、相隣接する回転軸15,15は、互いのギア19の噛合により、図6中矢印で示したように、互いに反対方向に回転するようになっている。これにより、ホッパ11を介して導入された被破砕物を互いのカッタ16,16間に挟み込んで細片状にせん断し所定の大きさに破砕するようになっている。なお、回転軸15,15のいずれか(両方でも良い)の軸方向他端(図4中右端)は、駆動装置(油圧モータ)83(以下、適宜破砕装置用油圧モータ83と記載する。後述の図7参照。)に連結しており、この駆動装置83から回転軸15,15の駆動力を得るようになっている。また、20a〜20cは回転軸15,15をハウジング13に対して回転自在に支持する軸受である。
21は軸受20aを支持するエンドブラケットで、このエンドブラケット21は、少なくとも4隅がボルト21a(図5参照)等によりハウジング13に締結され、ハウジング13の後方側壁面を構成している。このエンドブラケット21を取り外すと、ハウジング13内にある回転軸15,15の軸方向一方側(図4中左側)端部が露出し、自走式破砕機の後方(図4中左方)に臨むようになっている。22はスペーサ17とほぼ同数設けられたクリーニングフィンガ(固定歯)で、このクリーニングフィンガ22は、図6に示すように、スペーサ17との対向部分が円弧状に形成されており、この円弧状の部分が各スペーサ17に近接するよう配設されている。39はこのクリーニングフィンガ22の押え板で、この押え板39はクリーニングフィンガ22の基底部22aの上下に対向配置され、ハウジング13の幅方向(図6中左右方向)両側の内壁にボルト締結されている。
図1乃至図3に戻り、23は破砕装置12下方に設けたシュート、24はこのシュート23を介し破砕装置12から導かれた破砕物を搬送し機外に排出する排出コンベアである。25,26はこの排出コンベア24をそれぞれ本体フレーム3及び上記動力装置9から吊り下げ支持する支持部材で、排出コンベア24は、このような支持構造により破砕装置12の下方から搬送方向(図1中右方向)に向かって上り傾斜に配設されている。
27は排出コンベア24のコンベアフレーム、28,29はこのコンベアフレーム30の両端に設けた駆動輪及び従動輪、30はこれら駆動輪28及び従動輪29に掛け回した搬送ベルトである。また、31は駆動輪28に直結した駆動装置(図2及び図7参照。以下、適宜コンベア用油圧モータ31と記載する。)で、この駆動装置31により、駆動輪28を回転駆動して搬送ベルト30を循環駆動させるようになっている。なお、32は排出コンベア24のサイドカバーで、このサイドカバー32は、コンベアフレーム27の幅方向(図2中上下方向)両側上部に設けられている。
ここで、上記走行体1、破砕装置12、及び排出コンベア24は、本実施形態の自走式破砕機に備えられる油圧駆動装置によって駆動される被駆動部材を構成している。以下、この油圧駆動装置の詳細構成を図7を用いて説明する。
図7は、本発明のせん断式破砕機の一実施の形態における油圧駆動装置の全体構成を表す油圧回路図である。
この図7において、80はエンジン、81A,81Bはこのエンジン80によって駆動される可変容量型の第1油圧ポンプ及び第2油圧ポンプ、82は同様にエンジン80によって駆動される固定容量型のパイロットポンプ、83,8L,8R,31はそれぞれ第1及び第2油圧ポンプ81A,81Bから吐出される圧油が供給される前記の破砕装置用油圧モータ、左走行用油圧モータ、右走行用油圧モータ、及びコンベア用油圧モータ、33,34L,34R,35はそれぞれ前記第1及び第2油圧ポンプ81A,81Bから前記各油圧モータ83,8L,8R,31に供給される圧油の流れ(方向及び流量)をそれぞれ制御する破砕装置用コントロールバルブ、左走行用コントロールバルブ、右走行用コントロールバルブ、コンベア用コントロールバルブである。また、37は走行ロック用ソレノイド制御弁、41,42は、例えば運転席に設けられ、上記左走行用コントロールバルブ34L及び右走行用コントロールバルブ34Rをそれぞれ切り換え操作するための左・右走行用操作レバー装置、43は例えば運転席内に設けられ、破砕装置12及び排出コンベア24の始動・停止等を操作者が指示入力して操作するための操作盤、44は駆動信号生成部44aを有するコントローラ(制御手段)である。
前記第1および第2油圧ポンプ81A,81B及び前記パイロットポンプ82の吐出管路45A,45B及び46から分岐した管路45Aa,45Ba及び46aには、リリーフ弁47A,47B及び48がそれぞれ設けられており、第1、第2油圧ポンプ81A,81B及びパイロットポンプ82の吐出圧の最大値を制限するためのリリーフ圧の値を、それぞれに備えられたばね47Aa,47Ba及び48aの付勢力で設定するようになっている。
前記左走行用油圧モータ8Lに接続された前記左走行用コントロールバルブ34Lは、前記左走行用油圧モータ8Lへの圧油の方向及び流量を制御可能な油圧パイロット方式の3位置切換弁であり、前記破砕装置用油圧モータ83に接続された前記破砕装置用コントロールバルブ33は、前記破砕装置用油圧モータ83への圧油の方向及び流量を制御可能な3位置電磁切換弁となっている。
これら左走行用コントロールバルブ34L及び破砕装置用コントロールバルブ33には、前記第1油圧ポンプ81Aから吐出された圧油が導入され、この圧油を前記左走行用油圧モータ8L及び前記破砕装置用油圧モータ83へ供給するようになっている。これらコントロールバルブ33,34Lは、前記第1油圧ポンプ81Aの前記吐出管路45Aに接続されたセンターバイパスライン45Abにおいて、上流側から、前記左走行用コントロールバルブ34L、前記破砕装置用コントロールバルブ33の順序で配置されている。
前記左走行用コントロールバルブ34Lは、前記パイロットポンプ82で発生され左走行用操作レバー41a(図2も参照)を備えた前記左走行用操作レバー装置41で所定圧力に減圧されたパイロット圧により操作される。すなわち、前記左走行用操作レバー装置41は、前記左走行用操作レバー41aとその操作量に応じたパイロット圧を出力する一対の減圧弁41b,41bとを備えている。前記左走行用操作レバー装置41の左走行用操作レバー41aを図7中B方向(又はその反対方向、以下かっこ内対応関係同じ)に操作すると、パイロット圧がパイロット管路51a(又は51b)を介して前記左走行用コントロールバルブ34Lの駆動部34La(又は34Lb)に導かれ、これによってこの左走行用コントロールバルブ34Lが図7中上側の切換位置34LA(又は下側の切換位置34LB)に切り換えられ、前記第1油圧ポンプ81Aからの圧油が前記吐出管路45A、前記センターバイパスライン45Ab、前記左走行用コントロールバルブ34Lの切換位置34LA(又は下側の切換位置34LB)、及び前記正転側圧油供給管路49a(又は逆転側圧油供給管路49b)を介して前記左走行用油圧モータ8Lに供給され、この左走行用油圧モータ8Lが正転方向(又は逆転方向)に駆動される。
なお、前記左走行用操作レバー41aを図7に示す中立位置にすると、前記左走行用コントロールバルブ34Lはばね34Lc,34Ldの付勢力で図7に示す中立位置34LCに復帰し、前記左走行用油圧モータ8Lは停止する。
前記走行ロック用ソレノイド制御弁37は、前記パイロットポンプ82の前記吐出管路46に接続されている。この走行ロック用ソレノイド制御弁37は、前記コントローラ44の前記駆動信号生成部44aで生成され(詳細は後述)出力される駆動信号Stにより切り換えられるようになっている。
すなわち、この走行ロック用ソレノイド制御弁37は、ソレノイド37aに入力される前記駆動信号StがONになると図7中左側の連通位置37Aに切り換えられ、前記パイロットポンプ82の吐出管路46から分岐した管路46bを介し導入したパイロット圧を導入管路50を介し前記左・右走行用操作レバー装置41,42に導き、前述した左走行用操作レバー41aによる前記左走行用コントロールバルブ34Lの操作及び後述する右走行用操作レバー42aによる前記右走行用コントロールバルブ34Rの操作を可能とする。一方、駆動信号StがOFFになると、前記走行ロック用ソレノイド制御弁37はばね37bの復元力で図7中右側の遮断位置37Bに復帰し、前記管路46bと前記導入管路50とを遮断すると共に前記導入管路50をタンク51へ接続されたタンクライン52に連通させ、この導入管路50内の圧力をタンク圧とする。この結果、前記左・右走行用操作レバー装置41,42による前記左・右走行用コントロールバルブ34L,34Rの操作を不可能とするようになっている。
前記破砕装置用コントロールバルブ33は、前記コントローラ44の前記駆動信号生成部44aより出力される正転駆動信号Scr1または逆転駆動信号Scr2により切り換えられるようになっている。
すなわち、前記正転駆動信号Scr1のON及び前記逆転駆動信号Scr2のOFFが前記破砕装置用コントロールバルブ33のソレノイド駆動部33a,33bにそれぞれ入力されると、この破砕装置用コントロールバルブ33が図7中上側の切換位置33Aに切り換えられる。これにより、前記第1油圧ポンプ81Aからの圧油が前記吐出管路45A、前記センターバイパスライン45Ab、前記左走行用コントロールバルブ34Lの中立位置34LC、前記破砕装置用コントロールバルブ33の切換位置33A、及び前記正転側圧油供給管路53aを介して前記破砕装置用油圧モータ83に供給され、この破砕装置用油圧モータ83が正転方向に駆動される。
なおこのとき、上記正転側圧油供給管路53aから分岐し設けた導圧管54に、圧力センサ55が接続されている。この圧力センサ55は、破砕装置用油圧モータ83の負荷圧力(供給圧力)を検出し、負荷圧信号Pcrとして前記駆動信号生成部44aに出力するようになっている。
また、前記正転駆動信号Scr1のOFF及び逆転駆動信号Scr2のONが前記破砕装置用コントロールバルブ33の前記ソレノイド駆動部33a,33bにそれぞれ入力されると、前記破砕装置用コントロールバルブ33が図7中下側の切換位置33Bに切り換えられる。これにより、前記第1油圧ポンプ81Aからの圧油がその切換位置33B及び前記逆転側圧油供給管路53bを介して前記破砕装置用油圧モータ83に供給され、この破砕装置用油圧モータ83が逆転方向に駆動される。
なお、前記正転及び逆転駆動信号Scr1,Scr2がともにOFFになると、前記破砕装置用コントロールバルブ33はばね33c,33dの復元力で図7に示す中立位置33Cに復帰して前記第1油圧ポンプ81Aからの圧油は遮断され、前記破砕装置用油圧モータ83は停止する。
前記右走行用コントロールバルブ34Rは、前記左走行用コントロールバルブ34Lと同様に、前記右走行用油圧モータ8Rへの圧油の方向及び流量を制御可能な油圧パイロット方式の3位置切換弁であり、前記コンベア用コントロールバルブ35は、前記コンベア用油圧モータ31への圧油の方向及び流量を制御可能な2位置電磁切換弁となっている。
前記右走行用コントロールバルブ34R及び前記コンベア用コントロールバルブ35は、前記第2油圧ポンプ81Bから吐出された圧油をそれぞれ前記右走行用油圧モータ8R及び前記コンベア用油圧モータ31へ供給するようになっている。
前記右走行用コントロールバルブ34Rは、前記第2油圧ポンプ81Bの前記吐出管路45Bに接続されたセンターバイパスライン45Bbに配置されている。この右走行用コントロールバルブ34Rは、前述した左走行用コントロールバルブ34Lと同様に、前記右走行用操作レバー装置42のパイロット圧により操作され、前記右走行用操作レバー42a(図2も参照)を図7中C方向(又はその反対方向、以下対応関係同じ)に操作すると、パイロット圧がパイロット管路61a(又は61b)を介して前記右走行用コントロールバルブ34Rの駆動部34Ra(又は34Rb)に導かれ、これによって前記右走行用コントロールバルブ34Rが図7中上側の切換位置34RA(又は下側の切換位置34RB)に切り換えられる。これにより、前記第2油圧ポンプ81Bからの圧油がその切換位置34RA(又は下側の切換位置34RB)及び正転側圧油供給管路62a(又は逆転側圧油供給管路62b)を介して前記右走行用油圧モータ8Rに供給され正転方向(又は逆転方向)に駆動される。前記右走行用操作レバー42aを図7に示す中立位置にすると、前記右走行用コントロールバルブ34Rはばね34Rc,34Rdの付勢力で図7に示す中立位置34RCに復帰し、前記右走行用油圧モータ8Rは停止する。
なお、前記右走行用操作レバー装置42へのパイロット圧は、前述した左走行用操作レバー装置41と同様に、前記パイロットポンプ82より前記走行ロック用ソレノイド制御弁37を介して供給される。したがって、前記走行ロック用ソレノイド制御弁37の前記ソレノイド37aに入力される前記駆動信号StがONになると、前記右走行用操作レバー装置42による前記右走行用コントロールバルブ34Rの上記操作が可能となり、前記駆動信号StがOFFになると、前記右走行用操作レバー装置42による前記右走行用コントロールバルブ34Rの上記操作が不可能となる。
前記コンベア用コントロールバルブ35は、ソレノイド駆動部35aを備えた電磁切換弁である。このソレノイド駆動部35aには、前記コントローラ44の前記駆動信号生成部44aからの駆動信号Sconで駆動されるソレノイドが設けられており、前記コンベア用コントロールバルブ35はその駆動信号Sconの入力に応じて切り換えられるようになっている。
すなわち、前記駆動信号Sconが前記排出コンベア24の動作に対応するON信号になると、前記コンベア用コントロールバルブ35が図7中上側の切換位置35Aに切り換えられる。これにより、前記右走行用コントロールバルブ34Rの前記中立位置34RCを介し導かれた前記第2油圧ポンプ81Bからの圧油は、前記切換位置35Aから前記管路57及び前記圧油供給管路57aを経て、前記コンベア用油圧モータ31に供給され、このコンベア用油圧モータ31が駆動される。このときの戻り油は、タンク管路63に接続された排出管路64及びこのタンク管路63を経て前記タンク51へと戻る。前記駆動信号Sconが前記排出コンベア24の停止に対応するOFF信号になると、前記コンベア用コントロールバルブ35はばね35bの付勢力で図7に示す遮断位置35Bに復帰し、前記コンベア用油圧モータ31は停止する。
また、前記コンベア用コントロールバルブ35の前記管路57から分岐した管路57bには、回路保護の観点からリリーフ弁59がそれぞれ設けられており、前記コンベア用油圧モータ31の供給圧の最大値を制限するためのリリーフ圧の値を、備えられたばね59aの付勢力で設定するようになっている。
図8は、本発明のせん断式破砕機の一実施の形態を構成する前記操作盤43の盤面を表した正面図である。
前記操作盤43には、前記破砕装置12をそれぞれ正転駆動・停止・逆転駆動させるためのシュレッダ正転・停止・逆転ボタン66a,66b,66cと、前記排出コンベア24を起動・停止させるためのコンベア起動・停止ボタン67a,67bと、走行操作を行う走行モード及び破砕作業を行う破砕モードのいずれか一方を選択するための操作選択スイッチ69と、燃料計等を含むメータ部70とを備えている。
操作者が上記操作盤43の各種ボタン、スイッチ等の操作を行うと、その操作信号が前記コントローラ44の前記駆動信号生成部44aに入力される。この駆動信号生成部44aは、前記操作盤43からの操作信号に基づき、前述したコンベア用コントロールバルブ35、走行ロック用ソレノイド制御弁37、破砕装置用コントロールバルブ33(ソレノイド駆動部33a,33b)への前記駆動信号Scon,St,Scr1,Scr2を生成し、対応するソレノイドにそれらを出力するようになっている。
すなわち、前記操作盤43の前記操作選択スイッチ69で「走行」が選択された場合には、前記駆動信号生成部44aは前記駆動信号StをONにして前記走行ロック用ソレノイド制御弁37に入力する。これにより、前記走行ロック用ソレノイド制御弁37は図7中左側の連通位置37Aに切り換わり、前記操作レバー41a,42aによる前記走行用コントロールバルブ34L,34Rの操作が可能となる。また、前記操作盤43の前記操作選択スイッチ69で「破砕」が選択された場合には、前記駆動信号生成部44aは前記駆動信号StをOFFにして前記走行ロック用ソレノイド制御弁37に入力し、この走行ロック用ソレノイド制御弁37は図7中右側の遮断位置37Bに復帰する。これにより、前記左・右走行用操作レバー41a,42aによる前記走行用コントロールバルブ34L,34Rの操作が不可能となるようになっている。
また、前記操作盤43の前記シュレッダ正転・停止・逆転ボタン66a,66b,66cのうち前記「正転」ボタン66a(又は「逆転」ボタン66c、以下かっこ内対応関係同じ)が押された場合、前記駆動信号生成部44aは、前記破砕装置用コントロールバルブ33の前記ソレノイド駆動部33aへの前記正転駆動信号Scr1をON(又はOFF)にすると共に、前記破砕装置用コントロールバルブ33の前記ソレノイド駆動部33bへの前記逆転駆動信号Scr2をOFF(又はON)とし、この破砕装置用コントロールバルブ33を図7中上側の切換位置33A(又は下側の切換位置33B)に切り換え、前記第1油圧ポンプ81Aからの圧油を前記破砕装置用油圧モータ83に供給して駆動し、前記破砕装置12を正転方向(又は逆転方向)に起動するようになっている。
その後、前記「停止」ボタン66bが押された場合、前記駆動信号生成部44aは、上記正転・逆転駆動信号Scr1,Scr2をともにOFFにして前記破砕装置用コントロールバルブ33を図7に示す中立位置33Cに復帰させ、前記破砕装置用油圧モータ83を停止し、前記破砕装置12を停止させるようになっている。
また、前記操作盤43の前記コンベア起動・停止ボタン67a,67bの前記「起動」ボタン67aが押された場合、前記駆動信号生成部44aは、前記コンベア用コントロールバルブ35の前記ソレノイド駆動部35aへの前記駆動信号SconをONにして図7中上側の連通位置35Aに切り換え、前記第2油圧ポンプ81Bからの圧油を前記コンベア用油圧モータ31に供給して駆動し、前記排出コンベア24を起動する。その後、前記「停止」ボタン67bが押されると、前記駆動信号生成部44aは、前記コンベア用コントロールバルブ35の前記ソレノイド駆動部35aへの前記駆動信号SconをOFFにして図7に示す遮断位置35Bに復帰させ、前記コンベア用油圧モータ31を停止し、前記排出コンベア24を停止させるようになっている。
前記コントローラ44は、前述したように駆動信号生成部44aを有している。この駆動信号生成部44aは、前記操作盤43からの操作信号に基づき各駆動信号Scon,St,Scr1,Scr2を生成し、対応するソレノイドにそれらを出力するようになっている。
図9は、前記駆動信号生成部44aの制御機能のうち、前記破砕装置12の制御に係わる制御内容を表すフローチャートである。前記駆動信号生成部44aの制御内容をこの図9を用いて以下に説明する。
図9において、前記操作盤43の前記シュレッダ正転ボタン66aが押されると、前記駆動信号生成部44aはこのフローを開始する。まず、ステップ10において、前記破砕装置用油圧モータ83が過負荷状態又は軽負荷状態かどうか識別するためのフラグ、過負荷状態又は軽負荷状態の継続時間をカウントするための時間計算子T、及び逆転動作の継続時間をカウントするための時間計算子T′をそれぞれ0にクリアする。
次にステップ20において、前記破砕装置12の停止が指示されたかどうかを判定する。具体的には、前記操作盤43の前記シュレッダ停止ボタン66bが押されたかどうかを判定する。前記停止ボタン66bが押されていればこの判定が満たされ、ステップ160に移って直ちに前記破砕装置12を停止する。前記停止ボタン66bが押されていなければこの判定が満たされず、ステップ30へ移る。
ステップ30において、フラグが上述した前記破砕用油圧モータ83の過負荷状態又は軽負荷状態を示す1であるかどうかを判定する。過負荷状態又は軽負荷状態であれば、フラグが1となっており(後述する)判定が満たされるため、後述のステップ110に移って直ちに前記破砕装置用油圧モータ83を逆転方向へと駆動する。過負荷状態又は軽負荷状態でなければフラグは0であるためこの判定は満たされず、ステップ40に移る。
ステップ40において、前記破砕装置用油圧モータ83を正転方向へ駆動する。すなわち、前記破砕装置用コントロールバルブ33に出力する前記正転駆動信号Scr1をONとすると共に前記逆転駆動信号Scr2をOFFとし、前記破砕装置用コントロールバルブ33を切換位置33Aに切り換え、前記第1油圧ポンプ81Aからの圧油を正転側圧油供給管路53aを介し前記破砕装置用油圧モータ83に供給して正転方向に駆動する。
その後、ステップ50に移り、前述した正転側圧油供給管路53aに導圧管54を介し設けた圧力センサ55が検出し出力した負荷圧信号Pcrを入力し、逆転させるべき過負荷状態又は軽負荷状態かどうか判断を行うために、この負荷圧信号Pcrが予め定められ前記コントローラ44内の適宜の部分に記憶されていた(あるいは適宜の外部入力手段により設定入力するようにしてもよい)しきい値(第1のしきい値)P11より大きいかどうか、又はしきい値(第2のしきい値)P12より小さいかどうかを判定する。前記負荷圧信号Pcrがしきい値P11以下、且つ前記負荷圧信号Pcrがしきい値P12以上の場合には、判定が満たされず前記破砕装置用油圧モータ83は高負荷又は軽負荷状態ではないとみなされ、ステップ60で前記時間計算子Tが0にクリアされた後ステップ20に戻る。前記破砕装置用油圧モータ83の負荷圧Pcrが前記しきい値P11より大きい場合又は負荷圧Pcrが前記しきい値P12より小さい場合には、判定が満たされて過負荷状態又は軽負荷状態であるとみなされ、ステップ70で前記時間計算子Tに1を加えた後、ステップ80へと移る。
ステップ80では、前記時間計算子Tが後述するしきい値T11より大きいかどうかを判定する。前記時間計算子Tが前記しきい値T11以下の場合、判定が満たされずステップ20へ戻って上記ステップ20〜ステップ50→ステップ70〜ステップ80を繰り返す。この繰り返しのあいだに、前記破砕装置用油圧モータ83が高負荷状態又は軽負荷状態でなくなり前記負荷圧信号Pcrがしきい値P11以下且つしきい値P12以上となれば、ステップ50からステップ60に移って前記時間計算子Tは再び0にクリアされる。一方、繰り返しの間中、前記負荷圧信号Pcrがしきい値P11より高い状態又はしきい値P12より小さい状態が継続し、前記時間計算子Tがしきい値T11より大きくなると、ステップ80の判定が満たされ前記破砕装置用油圧モータ83は継続的な過負荷状態又は軽負荷状態であるとみなされ、ステップ90へと移る。
なお、前記しきい値T11は、前記破砕装置用油圧モータ83の過負荷状態又は軽負荷状態が過渡的・一時的なものか継続的なものかを判断するために、予め定められ記憶された所定の値である(あるいは適宜の外部入力手段により設定入力するようにしてもよい)。
ステップ90では、前記時間計算子Tを0にクリアする。その後、ステップ100で前記フラグを過負荷状態又は軽負荷状態であることを示す1にし、ステップ110へと移る。
ステップ110では、前記破砕装置用油圧モータ83を逆転方向へ駆動する。すなわち、前記破砕装置用コントロールバルブ33に出力する前記正転駆動信号Scr1をOFFとすると共に前記逆転駆動信号Scr2をONとし、この破砕装置用コントロールバルブ33を切換位置33Bに切り換え、前記第1油圧ポンプ81Aからの圧油を逆転側圧油供給管路53bを介し前記破砕装置用油圧モータ83に供給して逆転方向に駆動する。
その後、ステップ120に移り、前記時間計算子T′に1を加えた後、ステップ130へと移る。ステップ130では、前記時間計算子T′が後述するしきい値T12より大きいかどうかを判定する。前記時間計算子T′が前記しきい値T12以下であった場合、判定が満たされず、ステップ20へ戻ってステップ20〜ステップ130を繰り返す。但しこのとき、前記フラグが過負荷状態又は軽負荷状態を示す1となっていることから、ステップ20〜ステップ30→ステップ110〜ステップ130を繰り返すこととなる。この繰り返している間に時間計算子T′がしきい値T12より大きくなったら、ステップ130の判定が満たされて前記破砕装置12は充分な時間だけ逆転したとみなされ、ステップ140へ移る。
ステップ140では、前記時間計算子T′が0にクリアされ、その後ステップ150に移ってフラグを過負荷状態又は軽負荷状態でない0にクリアし、ステップ20に戻る。その後は同様の手順を繰り返す。
なお、上述したしきい値T12は、過負荷状態の場合には例えば前記破砕装置12内のカッタ16,16間に詰まった被破砕物・異物等がこれらカッタ16,16間より脱出するのに充分な時間として、軽負荷状態の場合には破砕装置12の排出側(クリーニングフィンガ22の下方)に堆積した付着物を剥ぎ落とすのに充分な時間として、予め定められ記憶された所定の値である(あるいは適宜の外部入力手段により設定入力するようにしてもよい)。
次に、上記構成の本発明のせん断式破砕機の一実施の形態の動作及び作用を以下に説明する。
上記構成の自走式破砕機において、破砕作業時には、操作者は、操作盤43の操作選択スイッチ69で「破砕」を選択して走行操作を不可能にした後、コンベア起動ボタン67a、及びシュレッダ正転ボタン66aを順次押す。
上記操作により、コントローラ44の駆動信号生成部44aがコンベア用コントロールバルブ35のソレノイド駆動部35aへの駆動信号SconをONとすることにより、コンベア用コントロールバルブ35は図7中上側の連通位置35Aに切り換わる。さらに、駆動信号生成部44aが破砕装置用コントロールバルブ33のソレノイド駆動部33aへの駆動信号Scr1をON、ソレノイド駆動部33bへの駆動信号Scr2をOFFとすることにより、破砕装置用コントロールバルブ33は図7中上側の切換位置33Aに切り換わる。これにより、第2油圧ポンプ81Bからの圧油がコンベア用油圧モータ31に供給され、排出コンベア24が起動する一方、第1油圧ポンプ81Aからの圧油が破砕装置用油圧モータ83に供給され、破砕装置12が正転方向に起動する。
このとき、ホッパ2に被破砕物が投入される前の空運転の状態であり、破砕装置12は軽負荷状態であるので、破砕装置用油圧モータ83の負荷圧Pcrはしきい値P12よりも小さい状態となり、前述した図9のフロー中におけるステップ50の判定が満たされステップ90及びステップ100を介しステップ110に移り、破砕装置用コントロールバルブ33に出力する正転駆動信号Scr1をOFF、逆転駆動信号Scr2をONとし、破砕装置12を逆転駆動する。破砕装置12が逆転駆動を開始すると、図9中におけるステップ20〜ステップ30→ステップ110〜ステップ130を繰り返し、逆転駆動の時間計算子T′がしきい値T12までカウントアップすると、ステップ130の判定が満たされステップ140,150を介しステップ20に戻る。フラグが0にリセットされているため、ステップ30の判定は満たされずステップ40に移る。すなわち、駆動信号生成部44aは、破砕装置用コントロールバルブ33に出力する正転駆動信号Scr1をON、逆転駆動信号Scr2をOFFとし、破砕装置12を正転駆動に復帰させる。そして、再度ステップ50の判定が行われる。このようにして、被破砕物を投入していない空運転状態においては、破砕装置12の逆転駆動及び正転駆動が繰り返し周期的に行われる。
次に、例えば前述したグラップル等を装着した油圧ショベル等でホッパ11に被破砕物を投入すると、その投入された被破砕物が破砕装置12へと導かれ、破砕装置12で所定の大きさに破砕される。
このとき、投入される被破砕物に破砕困難なものが混入されておらずまた比較的投入量も少ない場合、破砕装置用油圧モータ83の負荷圧PcrがP12≦Pcr≦P11となり、図9のフロー中におけるステップ50の判定が満たされず、ステップ20〜ステップ60を繰り返す状態となる。
一方、被破砕物に破砕困難なものが混入していたり、または投入量が過度に多いような場合には、破砕装置用油圧モータ83の負荷圧Pcrはしきい値P11よりも大きくなり、図9中におけるステップ50の判定が満たされステップ90及びステップ100を介しステップ110に移り、破砕装置12を逆転駆動する。破砕装置12が逆転駆動を開始すると、図9中におけるステップ20〜ステップ30→ステップ110〜ステップ130を繰り返し、逆転駆動の時間計算子T′がしきい値T12までカウントアップすると、ステップ130の判定が満たされステップ140,150を介しステップ20に戻る。フラグが0にリセットされているため、ステップ30の判定は満たされずステップ40に移り、駆動信号生成部44aは、破砕装置12を正転駆動に復帰させる。そして、再度ステップ50の判定が行われる。上記逆転駆動により圧力センサ55の負荷圧検出値Pcrが低下している場合には判定が満たされず、ステップ20〜ステップ60を繰り返し、継続して正転駆動される。逆転駆動したにも拘わらず未だ過負荷状態である場合には、再び上記と同様の動作を繰り返す。
以上のようにして被破砕物を破砕し、破砕された破砕物は、破砕装置12下部のシュート23から排出コンベア24上に落下して運搬され、最終的に自走式破砕機の前部(図1中右端部)から排出される。
なお、以上のような流れで行われる破砕作業において、例えばダンプカー上の全ての被破砕物を油圧ショベルでホッパ11に投入し終わり、次のダンプカーを待っている最中等においては、破砕装置12が空運転となる。この場合には、上述した被破砕物投入前の空運転状態と同様に、破砕装置12の逆転駆動と正転駆動とを周期的に繰り返す。
破砕作業が終了したら、上記手順と逆手順に操作すれば足りる。すなわち、シュレッダ停止ボタン66b、コンベア停止ボタン67bを順次押す。これにより、破砕装置用コントロールバルブ33は中立位置33Cに、コンベア用コントロールバルブ35は遮断位置35Bに復帰し、それぞれの圧油供給管路53a,57a内の圧油はタンク管路63を介しタンク51に流入し、タンク51内の圧力と等しくなる。これにより、破砕装置12、排出コンベア24が停止する。
なお、操作者がシュレッダ逆転ボタン66cを押した場合、駆動信号生成部44aは、図9の制御フローと関係なく停止ボタン66bが押されるまで破砕装置12を逆転駆動させる。
以上のように構成した上記本発明のせん断式破砕機の一実施の形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態の破砕装置12のようなせん断式破砕装置で破砕作業を行う場合、破砕された破砕物は破砕装置12の下方に排出されるが、このとき、スペーサ17に対向して配置されたクリーニングフィンガ22により、スペーサ17に付着した破砕物を回転に伴ってホッパ11側に戻ってこないように掻き落としてクリーニングする。このようにして破砕作業を行ううちに、クリーニングフィンガ22で掻き落とした破砕物の一部がクリーニングフィンガ22の下方に付着し、破砕装置12の排出側(破砕装置12とシュート23との間)に徐々に堆積する場合がある。このとき、前述した従来技術のようにタイマを用いて一定時間ごとに破砕装置用油圧モータ83を逆転させた場合、一定時間が経過するとクリーニングが不要な場合であっても破砕装置用油圧モータ83の逆転駆動が行われる。このように破砕作業中に破砕装置用油圧モータ83が逆転すると、破砕作業が中断されるため、クリーニングが不要な場合には破砕効率の低下を招くだけであった。
これに対し、本実施形態においては、圧力センサ55で破砕装置用油圧モータ83の負荷圧力を検出し、この検出値がしきい値P12を下回った場合には、前述したようにコントローラ44により破砕装置用油圧モータ83を周期的に逆転方向に駆動するように制御する。すなわち、負荷圧力が大きい破砕作業中には破砕装置12を逆転させず、破砕作業が終了して破砕装置用油圧モータ83の負荷圧力が小さくなった後に破砕装置12を周期的に逆転させるようにすることができる。これにより、破砕作業を中断することなく破砕装置12を逆転させることができるので、破砕効率の低下を防止しつつ、破砕装置12の排出側に堆積した付着物を除去することができる。
また本実施形態によれば、例えば廃ビニールやカーペット、じゅうたん等の軽負荷の被破砕物を破砕する場合であっても、破砕装置12を周期的に逆転させることができる。すなわち、例えば過負荷の場合のみ破砕装置12を逆転させる構造の場合には、上記軽負荷の被破砕物を破砕する場合には破砕装置12が逆転されることがないため、破砕装置12の排出側に破砕物の一部が堆積した場合であってもクリーニングすることができない。また、破砕装置12の逆転がされないと廃ビニール等がすだれ状につながったまま細くせん断され、切断されない場合があった。これに対し、本実施形態によれば、上記軽負荷の被破砕物を破砕する場合であっても破砕装置12を逆転させてクリーニングすることが可能であり、また逆転により廃ビニール等の軽負荷の被破砕物を切断してその粒度を調整することができる。
さらに本実施形態によれば、破砕装置用油圧モータ83の負荷圧がしきい値P11を上回った場合にも、コントローラ44により破砕装置用油圧モータ83を周期的に逆転方向に駆動するように制御するので、例えば破砕が困難な硬い被破砕物が破砕装置12に投入された場合等に逆転により被破砕物をホッパ11側に排出したり、又は堅固に絡み合って破砕が困難な被破砕物を破砕しやすいようにもみほぐすといったことが可能となる。その結果、カッタ16やスペーサ17、回転軸15等に過負荷が作用して破損、損傷等が生じるのを防止することができる。
なお、以上では本発明を2軸破砕機(いわゆる2軸シュレッダ)に適用した場合を例にとって説明したが、これに限らない。すなわち、他のせん断式破砕機、例えばカッタ及びスペーサを取り付けた1本の回転軸と固定歯とにより破砕を行う1軸破砕機や、例えば6軸破砕機等のさらに多くの回転軸を備えたせん断式破砕装置についても適用可能である。