JP4337947B2 - 付着物失活処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、付着物失活処理方法に関し、より詳しくは、α−オレフィン低重合体の製造プロセスにおける付着物失活処理方法に関する。
従来、エチレン等のα−オレフィンを原料とし、低重合触媒としてクロム系触媒を用いて、1−ヘキセンを主体とするα−オレフィン低重合体を、高収率及び高選択率に得られる製造方法が報告されている(特許文献1参照)。
特開平08−239419号公報
ところで、上記の方法によっても相当量のポリマーの副生が避けられず、連続反応方式で製造する場合、この副生ポリマーが低重合反応器または装置類へ付着し、連続安定運転を阻害する為、場合によっては、これらの機器を定期的に開放して、ポリマーを系外に排出する必要が生ずる。
一方、低重合触媒は、通常、反応系から排出された反応液中に添加される触媒失活剤により失活する。
しかし、連続反応方式の場合、酸素、水分等の失活物質の混入が厳密に排除されている為、反応器及び反応熱を除去する熱交換器の内部に活性触媒の付着物、或いは、活性触媒を取り込んだポリマー付着物等が長期間の連続運転によって蓄積される場合がある。
このような失活しないままで蓄積され、装置内に付着した低重合触媒の成分等は、装置を開缶すると、空気中の酸素等と激しく反応し、発火する怖れがある。
本発明は、上述したα−オレフィンの低重合体の製造方法における安全性の課題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、α−オレフィン低重合体の製造プロセスにおいて、反応器内等の付着物を失活させる処理方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を達成するに至った。
即ち、本発明によれば、反応器に供給された溶媒中で触媒の存在下、α−オレフィンの低重合体を連続反応方式で製造する際に、反応器の内部及び/又は反応器内の反応熱を除熱するための熱交換器の内部に蓄積した付着物を処理する付着物失活処理方法であって、反応器及び/又は熱交換器の運転を停止した後に、反応器及び/又は熱交換器の内部に蓄積した付着物と電子供与性化合物(但し、製造時、反応器内に存在する触媒を除く)とを接触させることを特徴とする付着物失活処理方法が提供される。
ここで、本発明が適用される付着物失活処理方法において使用する電子供与性化合物は、化学式中に下記一般式で表される官能基または活性メチレン基を有する化合物であることが好ましい。
Figure 0004337947
(但し、式中、Xはヘテロ原子であり、Hは水素を表す。)
また、電子供与性化合物は、水、アルコール類、フェノール類、カルボン酸類、アミン類、アンモニア及びアセチルアセトンから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
さらに、電子供与性化合物は、炭化水素化合物に溶解されていることが好ましい。
次に、本発明が適用される付着物失活処理方法において使用する触媒としては、クロム化合物(a)と、窒素含有化合物(b)と、アルミニウム含有化合物(c)と、の組み合わせから構成されることが好ましい。
また、本発明においては、触媒として、少なくとも、クロム化合物(a)と、窒素含有化合物(b)と、アルミニウム含有化合物(c)及びハロゲン含有化合物(d)と、の組み合わせから構成されるものを使用することもできる。
ここで、本発明においては、α−オレフィンが、エチレンであることが好ましい。
本発明によれば、α−オレフィン低重合体の製造プロセスにおける付着物が失活する。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
(α−オレフィン)
本実施の形態が適用されるα−オレフィン低重合体の製造方法において、原料として使用するα−オレフィンとしては、例えば、炭素数2〜炭素数30の置換又は非置換のα−オレフィンが挙げられる。このようなα−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。特に、原料のα−オレフィンとしてはエチレンが好適であり、エチレンを原料とした場合、エチレンの三量体である1−ヘキセンが高収率かつ高選択率で得られる。また、エチレンを原料として用いる場合、原料中にエチレン以外の不純物成分を含んでいても構わない。具体的な成分としては、メタン、エタン、アセチレン、二酸化炭素等が挙げられる。これらの成分は、原料のエチレンに対して0.1mol%以下であることが好ましい。
触媒
次に、触媒について説明する。本実施の形態において使用する触媒としては、クロム系触媒が挙げられる。クロム系触媒としては、少なくとも、クロム化合物(a)、アミン、アミド及びイミドより成る群から選ばれる1種以上の窒素含有化合物(b)、アルミニウム含有化合物(c)との組み合わせから構成される触媒が挙げられる。
さらに、本実施の形態において使用するクロム系触媒には、必要に応じて、第4成分としてハロゲン含有化合物(d)が含まれる。これらの触媒成分は、触媒活性向上の為、触媒前調整をしてもよい。この触媒前調整には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル類等の電子供与性溶媒を用いる事もあるが、これらの触媒を失活させない触媒前調整溶媒はクロム系触媒に含むものとする。
以下、各成分について説明する。
(クロム化合物(a))
本実施の形態で使用するクロム化合物(a)は、一般式、CrXnで表される1種以上の化合物が挙げられる。ここで、一般式中、Xは、任意の有機基又は無機基もしくは陰性原子、nは1から6の整数を表し、2以上が好ましい。nが2以上の場合、Xは同一又は相互に異なっていても良い。
有機基としては、炭素数1〜炭素数30の炭化水素基、カルボニル基、アルコキシ基、カルボキシル基、β−ジケトナート基、β−ケトカルボキシル基、β−ケトエステル基、アミド基等が例示される。
また、無機基としては、硝酸基、硫酸基等のクロム塩形成基が挙げられる。また、陰性原子としては、酸素、ハロゲン等が挙げられる。ここで、ハロゲン含有クロム化合物は、後述するハロゲン含有化合物(d)には含まれない。
クロム(Cr)の価数は0価乃至6価である。好ましいクロム化合物(a)としては、クロム(Cr)のカルボン酸塩が挙げられる。クロムのカルボン酸塩の具体例としては、例えば、クロム(II)アセテート、クロム(III)アセテート、クロム(III)−n−オクタノエート、クロム(III)−2−エチルヘキサノエート、クロム(III)ベンゾエート、クロム(III)ナフテネート等が挙げられる。これらの中でも、クロム(III)−2−エチルヘキサノエートが特に好ましい。
(窒素含有化合物(b))
本実施の形態で使用する窒素含有化合物(b)は、アミン、アミド及びイミドから成る群から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。アミンとしては、1級アミン化合物、2級アミン化合物、又はこれらの混合物が挙げられる。アミドとしては、1級アミン化合物又は2級アミン化合物から誘導される金属アミド化合物又はこれらの混合物、酸アミド化合物が挙げられる。イミドとしては、1,2−シクロヘキサンジカルボキシミド、スクシンイミド、フタルイミド、マレイミド等及びこれらの金属塩が挙げられる。
本実施の形態で使用する好ましい窒素含有化合物(b)としては、2級アミン化合物が挙げられる。2級アミン化合物の具体例としては、例えば、ピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、2−メチル−5−エチルピロール、2,5−ジメチル−3−エチルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジクロロピロール、2,3,4,5−テトラクロロピロール、2−アセチルピロール等のピロール、又はこれらの誘導体が挙げられる。誘導体としては、例えば、金属ピロライド誘導体が挙げられ、具体例としては、例えば、ジエチルアルミニウムピロライド、エチルアルミニウムジピロライド、アルミニウムトリピロライド、ナトリウムピロライド、リチウムピロライド、カリウムピロライド、ジエチルアルミニウム(2,5−ジメチルピロライド)、エチルアルミニウムビス(2,5−ジメチルピロライド)、アルミニウムトリス(2,5−ジメチルピロライド)、ナトリウム(2,5−ジメチルピロライド)、リチウム(2,5−ジメチルピロライド)、カリウム(2,5−ジメチルピロライド)等が挙げられる。これらの中でも、特に、2,5−ジメチルピロール、ジエチルアルミニウム(2,5−ジメチルピロライド)が好ましい。(ここで、アルミニウムピロライド類は、アルミニウム含有化合物(c)には含まれない。また、ハロゲンを含有するピロール化合物(b)は、ハロゲン含有化合物(d)には含まれない。)
(アルミニウム含有化合物(c))
本実施の形態で使用するアルミニウム含有化合物(c)は、トリアルキルアルミニウム化合物、アルコキシアルキルアルミニウム化合物、水素化アルキルアルミニウム化合物などの1種以上の化合物が挙げられる。例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムヒドリド等が挙げられる。中でも特に、トリエチルアルミニウムが好ましい。
(ハロゲン含有化合物(d))
本実施の形態で使用するクロム系触媒には、必要に応じて第4成分としてハロゲン含有化合物(d)が含まれる。ハロゲン含有化合物(d)としては、例えば、ハロゲン化アルキルアルミニウム化合物、3個以上のハロゲン原子を有する炭素数2以上の直鎖状ハロ炭化水素、3個以上のハロゲン原子を有する炭素数3以上の環状ハロ炭化水素の1種以上の化合物が挙げられる。(ハロゲン化アルキルアルミニウム化合物は、アルミニウム含有化合物(c)には、含まない。)例えば、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、四塩化炭素、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,2,3−トリクロロシクロプロパン、1,2,3,4,5,6−ヘキサクロロシクロヘキサン、1,4−ビス(トリクロロメチル)−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン等が挙げられる。
本実施の形態において、α−オレフィンの低重合反応は、クロム化合物(a)とアルミニウム含有化合物(c)とが予め接触しない、又は、予め、接触が1分以内になる態様でα−オレフィンとクロム系触媒とを接触させて行われることが好ましい。このような接触態様により、選択的にエチレンの三量化反応を行わせ、原料のエチレンから1−ヘキセンを高収率で得ることができる。
上記の連続反応形式における接触態様は、例えば、具体的には、下記(1)〜(9)が挙げられる。
(1)触媒成分(a)、(b)及び(d)の混合物、触媒成分(c)をそれぞれ同時に反応器に導入する方法。
(2)触媒成分(b)〜(d)の混合物、触媒成分(a)をそれぞれ同時に反応器に供給する方法。
(3)触媒成分(a)及び(b)の混合物、触媒成分(c)及び(d)の混合物をそれぞれ同時に反応器に供給する方法。
(4)触媒成分(a)及び(d)の混合物、触媒成分(b)及び(c)の混合物をそれぞれ同時に反応器に供給する方法。
(5)触媒成分(a)及び(b)の混合物、触媒成分(c)、触媒成分(d)をそれぞれ同時に反応器に供給する方法。
(6)触媒成分(c)及び(d)の混合物、触媒成分(a)、触媒成分(b)をそれぞれ同時に反応器に供給する方法。
(7)触媒成分(a)及び(d)の混合物、触媒成分(b)、触媒成分(c)をそれぞれ同時に反応器に供給する方法。
(8)触媒成分(b)及び(c)の混合物、触媒成分(a)、触媒成分(d)をそれぞれ同時に反応器に供給する方法。
(9)各触媒成分(a)〜(d)をそれぞれ同時かつ独立に反応器に供給する方法。
上述した各触媒成分は、通常、反応に使用される溶媒に溶解して反応器に供給される。
また、反応器内での触媒濃度むらをなくす為に、上述の(1)〜(9)における触媒成分又は混合物は、溶媒供給配管(後述する第2供給配管13)に供給し、スタティックミキサー等で予備混合されたクロム系触媒溶液を反応器に供給する事もできる。
ここで、「クロム化合物(a)とアルミニウム含有化合物(c)とが予め接触しない態様」とは、反応の開始時に限定されず、その後の、追加的なα−オレフィン及び触媒成分の反応器への供給においても、このような態様が維持されることを意味する。
また、バッチ反応形式についても同様の態様を利用するのが望ましい。
本実施の形態で使用するクロム系触媒の各構成成分の比率は、通常、クロム化合物(a)1モルに対し、窒素含有化合物(b)1モル〜50モル、好ましくは1モル〜30モルであり、アルミニウム含有化合物(c)1モル〜200モル、好ましくは10モル〜150モルである。又はハロゲン含有化合物(d)を含む場合は、クロム化合物(a)1モルに対し、ハロゲン含有化合物(d)は1モル〜50モル、好ましくは1モル〜30モルである。
本実施の形態において、クロム系触媒の使用量は特に限定されないが、通常、後述する溶媒1リットル当たり、クロム化合物(a)のクロム原子当たり1.0×10−7モル〜0.5モル、好ましくは5.0×10−7モル〜0.2モル、更に好ましくは1.0×10−6モル〜0.05モルとなる量である。
このようなクロム系触媒を用いることにより、例えば、エチレンを原料とした場合、選択率90%以上でエチレンの三量体であるヘキセンを得ることができる。さらに、この場合、ヘキセンに占める1−ヘキセンの比率を99%以上にすることができる。
(溶媒)
本実施の形態が適用されるα−オレフィン低重合体の製造方法では、α−オレフィンの反応を溶媒中で行うことができる。
このような溶媒としては特に限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、3−メチルペンタン、ヘキサン、へプタン、2−メチルヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、デカリン等の炭素数1〜炭素数20の鎖状飽和炭化水素又は脂環式飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素等が使用される。また、α−オレフィン低重合体を溶媒として用いてもよい。これらは、単独で使用する他、混合溶媒として使用することもできる。
特に、溶媒としては、炭素数4〜炭素数10の鎖状飽和炭化水素又は脂環式飽和炭化水素が好ましい。これらの溶媒を使用することにより、ポリエチレン等の副生ポリマーを抑制することができ、更に、脂環式飽和炭化水素を使用した場合は、高い触媒活性が得られる傾向がある。
(α−オレフィン低重合体の製造方法)
本発明におけるα−オレフィン低重合体とは、モノマーであるα−オレフィンが数個結合したオリゴマーのことであるが、具体的には、モノマーであるα−オレフィンが2個〜10個結合した重合体である。
ここでは、α−オレフィンとしてエチレンを用い、α−オレフィン低重合体としてエチレンの三量体である1−ヘキセンの製造を例に挙げ、α−オレフィン低重合体の製造方法について説明する。
図1は、本実施の形態における、α−オレフィン低重合体の製造フロー例を説明する図である。図1に示す、エチレンを原料とする1−ヘキセンの製造フロー例には、エチレンをクロム系触媒存在下で低重合させる反応器10と、反応液を循環させて反応熱を除去する熱交換器16と、反応器10から抜き出された反応液から未反応エチレンガスを分離する脱ガス槽20と、脱ガス槽20から抜き出された反応液中のエチレンを溜出させるエチレン分離塔30と、エチレン分離塔30から抜き出された反応液中の高沸点物質(以下、HB(ハイボイラー)と記すことがある。)を分離する高沸分離塔40と、高沸分離塔40の塔頂から抜き出された反応液を蒸留し、1−ヘキセンを溜出させるヘキセン分離塔50とが示されている。
また、脱ガス槽20及びコンデンサー16aにおいて分離された未反応エチレンを、循環配管21を介して反応器10に循環させる圧縮機17が設けられている。
図1において、反応器10としては、例えば、撹拌機10a、バッフル、ジャケット等が付設された従来周知の形式のものが挙げられる。撹拌機10aとしては、パドル、ファウドラー、プロぺラ、タービン等の形式の撹拌翼が、平板、円筒、ヘアピンコイル等のバッフルとの組み合わせで用いられる。ここで、反応器10に撹拌機10a、バッフル、ジャケットは、付設されていなくてもよい。
図1に示すように、エチレン供給配管12aから圧縮機17及び第1供給配管12を介して、反応器10にエチレンが連続的に供給される。ここで、圧縮機17が、例えば、2段圧縮方式の場合、1段目に循環配管31を接続し、2段目に循環配管21を接続することにより、電気代の低減が可能である。他方、触媒供給配管13aを介して、第2供給配管13からクロム化合物(a)及び窒素含有化合物(b)が供給され、第3供給配管14からアルミニウム含有化合物(c)が供給され、第4供給配管15からハロゲン含有化合物(d)が供給される。また、第2供給配管13からは、エチレンの低重合反応に使用する溶媒が反応器10に供給される。
本実施の形態では、反応器10における反応温度としては、通常、0℃〜250℃、好ましくは50℃〜200℃、更に好ましくは80℃〜170℃である。
また、反応圧力としては、通常、常圧〜250kgf/cm、好ましくは、5kgf/cm〜150kgf/cm、さらに好ましくは10kgf/cm〜100kgf/cmの範囲である。
さらに、エチレンの三量化反応は、反応液中のエチレンに対する1−ヘキセンのモル比((反応液中の1−ヘキセン)/(反応液中のエチレン))が0.05〜1.5、特に0.10〜1.0となるように行うのが好ましい。即ち、連続反応の場合には、反応液中のエチレンと1−ヘキセンとのモル比が上記の範囲になるように、触媒濃度、反応圧力その他の条件を調節することが好ましい。また、回分反応の場合には、モル比が、上記の範囲にある時点において、エチレンの三量化反応を中止させることが好ましい。
このような条件でエチレンの三量化反応を行うことにより、1−ヘキセンよりも沸点の高い成分の副生が抑制されて、1−ヘキセンの選択率が更に高められる傾向がある。
次に、反応器10の底から、配管11を介して連続的に抜き出された反応液は、失活剤供給配管11aから供給された失活剤により、エチレンの三量化反応が停止され、脱ガス槽20に供給される。脱ガス槽20では、上部から未反応エチレンが脱ガスされ、循環配管21、コンデンサー16a、圧縮機17及び第1供給配管12を介して、反応器10に循環供給される。また、脱ガス槽20の槽底から、未反応エチレンが脱ガスされた反応液が抜き出される。
脱ガス槽20の運転条件は、通常、温度0℃〜250℃、好ましくは、50℃〜200℃であり、圧力は常圧〜150kgf/cm、好ましくは、常圧〜90kgf/cmである。
続いて、脱ガス槽20において未反応エチレンが脱ガスされた反応液は、脱ガス槽20の槽底から抜き出され、配管22によりエチレン分離塔30に供給される。エチレン分離塔30では蒸留により塔頂部からエチレンが溜出され、循環配管31及び第1供給配管12を介して反応器10に循環供給される。また、塔底部からエチレンが除去された反応液が抜き出される。
エチレン分離塔30の運転条件は、通常、塔頂部圧力は常圧〜30kgf/cm、好ましくは、常圧〜20kgf/cm、また、還流比(R/D)は、通常、0〜500、好ましくは、0.1〜100である。
次に、エチレン分離塔30においてエチレンを溜出した反応液は、エチレン分離塔30の塔底部から抜き出され、配管32により高沸分離塔40に供給される。高沸分離塔40では、塔底部から配管42により高沸点成分(HB:ハイボイラー)が抜き出される。また、塔頂部から配管41により、高沸点成分が分離された溜出物が抜き出される。
高沸分離塔40の運転条件は、通常、塔頂部圧力0.1kgf/cm〜10kgf/cm、好ましくは、0.5kgf/cm〜5kgf/cm、また、還流比(R/D)は、通常、0〜100、好ましくは、0.1〜20である。
続いて、高沸分離塔40の塔頂部から、溜出物として抜き出された反応液は、配管41によりヘキセン分離塔50に供給される。ヘキセン分離塔50では、塔頂部から蒸留による1−ヘキセンが、配管51により溜出される。また、ヘキセン分離塔50の塔底部からヘプタンが抜き出され、溶媒循環配管52を介して溶媒ドラム60に貯留され、さらに、ポンプ13bにより第2供給配管13を介して、反応溶媒として反応器10に循環供給される。
ヘキセン分離塔50の運転条件は、通常、塔頂部圧力0.1kgf/cm〜10kgf/cm、好ましくは、0.5kgf/cm〜5kgf/cm、また、還流比(R/D)は、通常、0〜100、好ましくは0.1〜20である。
(反応器及び熱交換器の付着物失活処理方法)
次に、反応器10内及び熱交換器16内の付着物の失活処理方法について説明する。
本実施の形態において、反応器10に供給されたヘプタン溶媒中で、クロム系触媒の存在下、反応器10での製造終了後、反応器10内及び熱交換器16内の付着物と電子供与性化合物とを接触させ、付着物を失活処理する。
本実施の形態において、付着物を失活処理するとは、付着物が空気に暴露された場合にも、付着物が発熱しないように、又は自然発火しないように、予め処理をすることを意味する。さらに、そのような状態(空気に暴露されても発熱しない、又は自然発火しない)になった付着物を反応系から除去することも含まれる。
ここで、反応器及び/又は除熱用の熱交換器が複数ある場合を例に挙げて説明する。例えば、反応器及び/又は除熱用の熱交換器が2系列ある場合、一方の系列をα−オレフィン低重合体の製造用系列として運転し、他方の系列を、運転中の製造用系列が機器トラブル等で緊急停止した際に、非常用としていつでも運転できるように、運転停止状態で待機させておく。そして、運転中に一方の系列に付着物が蓄積した際、待機中の他方の系列に切り替え、一方の系列の機器を停止させて製造用系列から切り離し、停止した機器に付着した付着物の失活処理をすることができる。
本実施の形態では、反応器10及び/又は熱交換器16に付着した付着物と電子供与性化合物とを接触させる時期は、運転を停止した後又は運転中のいずれの時期を選択することが可能である。運転中の場合、反応器10及び/又は熱交換器16に電子供与性化合物を投入して、付着物を失活させてもよい。
また、本発明では、反応系内を開放する前に、付着物と電子供与性化合物とを接触させるのが好ましい。反応系を開放して、機器の補修や点検をする際に、予め反応系内で付着物を失活処理しておくことにより、反応系内を開放した際の、付着物の発熱や自然発火によるトラブルを未然に防ぐことができる。
反応器10内及び熱交換器16内の付着物としては、例えば、クロム系触媒の成分化合物、エチレンの低重合反応の際に副生するポリエチレン、クロム系触媒の成分化合物を取り込んだポリエチレン等が挙げられる。特に、クロム系触媒の成分であるアルキルアルミニウム等のアルミニウム含有化合物(c)は、失活処理が行われないと、空気中の酸素と激しく反応して発火する怖れがある。
ここで、本実施の形態で使用する電子供与性化合物としては、特に限定されないが、例えば、化学式中に下記一般式で表される官能基または活性メチレン基を1つ以上、有する化合物が挙げられる。
Figure 0004337947
(但し、式中、Xはヘテロ原子であり、Hは水素を表す。)
上述した化学式におけるヘテロ原子(X)としては、例えば、酸素、窒素、硫黄、リン等が挙げられる。
尚、本実施の形態で使用する電子供与性化合物には、エチレンの三量化反応が行われている際に、反応器10内に存在するクロム系触媒の成分は含まれない。
例えば、クロム系触媒の成分中、窒素含有化合物(b)として用いられることがあるピロール類は、エチレンの三量化反応が行われている反応器10内では、通常、過剰のアルキルアルミニウム等により活性水素が引き抜かれ、ピロライドの形態で存在する。
この場合、活性水素を有しないピロライド類は、付着物の失活に効果を示さず、従って、本実施の形態で使用する電子供与性化合物からは除かれる。但し、活性水素が存在するピロール類は、付着物の失活に効果を示すため、本実施の形態で使用する電子供与性化合物に該当する。
電子供与性化合物の具体例としては、例えば、水、アルコール類、フェノール類、カルボン酸類、アミン類、アンモニア、アセチルアセトン等が挙げられる。特に、反応器及び/又は熱交換器の開缶時の安全性向上の為には、危険物ではない水を用いることが好ましい。また、水を電子供与性化合物として用いる場合は、水蒸気にして反応系へ供給してもよい。
さらに、具体的な化合物は以下のように例示される。即ち、アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール等の1価のアルコール(イソプロパノール、2−エチルヘキサノール等の分岐アルコールも含む)、ベンジルアルコール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ブロパンジオールが挙げられる。
フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、ヒドロキノン等が挙げられる。カルボン酸類としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、安息香酸、フェニル酢酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、サリチル酸等が挙げられる。
アミン類としては、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、アニリン、ナフチルアミン等の1級アミン;ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ビス(トリメチルシリル)アミン、モルホリン、イミダゾール、インドリン、インドール、ピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、2−メチル−5−エチルピロール、2,5−ジメチル−3−エチルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジクロロピロール、2,3,4,5−テトラクロロピロール、2−アセチルピロール、ピラゾール、ピロリジン等の2級アミン;エチレンジアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
ここで、本実施の形態において、電子供与性化合物は、所定の炭化水素化合物に溶解された溶液状態で使用されることが好ましい。このような炭化水素化合物としては、電子供与性化合物を溶解するものであれば特に限定されない。例えば、ブタン、ペンタン、3−メチルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2−メチルヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、デカリン等の炭素数1〜炭素数20の鎖状または脂環式の飽和炭化水素化合物:ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素化合物等が挙げられる。これらは、単独で使用する他、混合溶媒として使用することができる。
電子供与性化合物が、所定の炭化水素化合物に溶解された溶液状態の場合、溶液中の電子供与性化合物の濃度は、特に限定されないが、通常、0.0001重量%〜50重量%、好ましくは、0.001重量%〜5重量%である。
本実施の形態において、反応器10での製造終了後、反応器10内及び熱交換器16内の付着物と電子供与性化合物とを接触させる方法は、付着物が失活する方法であれば特に限定されない。
例えば、前述した電子供与性化合物を含む炭化水素化合物の溶液を反応器10内に供給し、撹拌器10aを撹拌することにより反応器10内の付着物と電子供与性化合物とを接触させる方法が採用される。
さらに、反応器10の底から炭化水素化合物の溶液を抜き出し、配管11、ポンプ10b、フィルター10c、配管11b、配管11cを介して炭化水素化合物の溶液を循環させることにより、熱交換器16内の付着物と電子供与性化合物とを接触させることができる。
本実施の形態において、付着物を系外へ排出する前に、電子供与性化合物を含む炭化水素化合物の溶液を反応器10内に供給する場合の温度は、特に限定されないが、通常、0℃〜200℃、好ましくは、20℃〜150℃の範囲で行われる。
また、配管11、11b等を介して炭化水素化合物の溶液を循環させる場合は、熱交換器16のチューブ内線速が、特に限定されないが、通常、0.001m/s〜10m/s、好ましくは、0.01m/s〜5m/sである。
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(参考例1)
図1に示すように、反応器10と、熱交換器16と、脱ガス槽20と、エチレン分離塔30と、高沸分離塔40と、ヘキセン分離塔50と、循環溶媒を貯蔵する溶媒ドラム60とを有したプロセスにおいて、エチレンの連続低重合反応を行なう。
第1供給配管12からは、エチレン供給配管12aから新たに供給されるエチレンと共に、脱ガス槽20及びエチレン分離塔30から分離される未反応エチレンを圧縮機17により反応器10に連続供給する。また、第2供給配管13から、ヘキセン分離塔50にて分離された回収n−ヘプタン溶媒を、溶媒ドラム60(2kgf/cm窒素シール)を経由し、流量40L/Hrで反応器10に連続供給する。
次に、触媒供給配管13aから、クロム(III)2−エチルヘキサノエート(a)と2,5−ジメチルピロール(b)とを含有するn−ヘプタン溶液を、流量0.1L/Hrで供給し、第2供給配管13を介して反応器10に連続供給する。また、トリエチルアルミニウム(c)のn−ヘプタン溶液を、流量0.03L/Hrで、第3供給配管14から反応器10に連続供給する。さらに、ヘキサクロロエタン(d)のn−ヘプタン溶液を、流量0.02L/Hrで、第4供給配管15から反応器10に連続供給する。
触媒各成分の溶液は、2kgf/cmに窒素シールされたタンク(図示せず)から供給される。
尚、触媒は、各成分のモル比が、(a):(b):(c):(d)=1:6:120:2となるように反応器10に連続供給する。反応条件は、120℃×51kgf/cmである。
反応器10から連続的に抜き出された反応液は、失活剤供給配管11aから、金属可溶化剤として2−エチルヘキサノールが流量0.005L/Hrで添加された後、順次、脱ガス槽20、エチレン分離塔30、高沸分離塔40、ヘキセン分離塔50にて処理される。
このプロセスにおいて、720h運転後、反応器10内壁面及び熱交換器16のチューブ内壁面に付着していた付着物を窒素雰囲気下で採取する。
(実施例1)
150℃の乾燥器中で乾燥した500mlのオートクレーブを熱時に組み立て、真空窒素置換した。このオートクレーブには、破裂板を備えた触媒フィード管を取り付けた。2,5−ジメチルピロール23.7mg(0.249mmol)、トリエチルアルミニウム569mg(4.98mmol)、ヘキサクロロエタン19.7mg(0.0831mmol)を含むノルマルヘプタン溶液200mlをオートクレーブに仕込んだ。触媒フィード管には、クロム(III)−2−エチルヘキサノエート20.0mg(0.0415mmol)を含むノルマルヘプタン溶液1mlを仕込んだ。オートクレーブを80℃に加熱し、エチレンを触媒フィード管に導入した。
エチレン圧により破裂板が破裂した後、エチレン、クロム(III)−2−エチルヘキサノエートがオートクレーブに導入され、エチレンの低重合が開始した。オートクレーブ内の圧力が35kgf/cmになるまで、エチレンを導入し、圧力を35kgf/cmに、反応温度を80℃に維持して低重合反応を行った。1時間後、反応温度80℃を維持しながら、オートクレーブからエチレンを排出し、オートクレーブ内の圧力が常圧になった時点で、反応を停止させた。その後、80℃の反応液を抜きだし、オートクレーブ内に残存した付着物を窒素で乾燥させた。
次に、処理剤として水を300ml添加し、室温で30分間撹拌した。その後、固液分離し、更に得られた付着物を窒素気流下で一晩乾燥し、処理剤を除去した。
そして、処理後の付着物を0.01g採取し、窒素雰囲気下を保ったまま測定セルに仕込み、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定を実施した。セルの雰囲気を窒素から空気に置換後、10℃/minで昇温し、発熱開始温度を求めた。結果を表1に示す。
(実施例2〜実施例4)
表1に示す処理剤に変えた以外は、実施例1と同様の操作を行なった。発熱開始温度の結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、付着物を、処理剤で処理を行わずに、DSC測定した。発熱開始温度の結果を表1に示す。
Figure 0004337947
表1に示す結果から、処理剤に電子供与性化合物を含む場合(実施例1〜実施例4)は、発熱開始温度が高く、空気中での安定性が向上していることが分かる。
一方、電子供与性化合物を含む処理剤で処理しない場合(比較例1)は、発熱開始温度が低く、危険であることが分かる。即ち、参考例1で取得する付着物と、実施例で得られる付着物は、同じ組成の付着物であるので、参考例1で取得する付着物にも実施例と同様の効果が期待できる。
従って、参考例1に示すように、クロム系触媒の存在下、エチレンの低重合体である1−ヘキセンを連続反応方式で製造した後、反応器10内及び熱交換器16内に電子供与性化合物又は電子供与性化合物を含む溶液を供給することにより、反応器10内及び熱交換器16内の付着物を失活させることができるのは明らかである。更に、反応器10及び/又は熱交換器16を、補修及び/又は点検するために開放して反応系外の空気にさらされても、付着物が発火することなく、安全に補修及び/又は点検を行うことができる。
本実施の形態におけるα−オレフィン低重合体の製造フロー例を説明する図である。
符号の説明
10…反応器、10a…撹拌機、10b,13b…ポンプ、10c…フィルター、11,11b,11c,22,32,41,42,51…配管、11a…失活剤供給配管、12…第1供給配管、12a…エチレン供給配管、13…第2供給配管、13a…触媒供給配管、14…第3供給配管、15…第4供給配管、16…熱交換器、16a…コンデンサー、17…圧縮機、20…脱ガス槽、21,31…循環配管、30…エチレン分離塔、40…高沸分離塔、50…ヘキセン分離塔、52…溶媒循環配管、60…溶媒ドラム

Claims (7)

  1. 反応器に供給された溶媒中で触媒の存在下、α−オレフィンの低重合体を連続反応方式で製造する際に、前記反応器の内部及び/又は当該反応器内の反応熱を除熱するための熱交換器の内部に蓄積した付着物を処理する付着物失活処理方法であって、
    反応器及び/又は熱交換器の運転を停止した後に、当該反応器及び/又は当該熱交換器の内部に蓄積した付着物と電子供与性化合物(但し、製造時、当該反応器内に存在する触媒を除く)とを接触させることを特徴とする付着物失活処理方法。
  2. 前記電子供与性化合物は、化学式中に下記一般式で表される官能基または活性メチレン基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の付着物失活処理方法。
    Figure 0004337947
    (但し、式中、Xはヘテロ原子であり、Hは水素を表す。)
  3. 前記電子供与性化合物は、水、アルコール類、フェノール類、カルボン酸類、アミン類、アンモニア及びアセチルアセトンから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の付着物失活処理方法。
  4. 前記電子供与性化合物は、炭化水素化合物に溶解されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の付着物失活処理方法。
  5. 前記触媒は、クロム化合物(a)と、窒素含有化合物(b)と、アルミニウム含有化合物(c)と、の組み合わせから構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の付着物失活処理方法。
  6. 前記触媒は、少なくとも、クロム化合物(a)と、窒素含有化合物(b)と、アルミニウム含有化合物(c)及びハロゲン含有化合物(d)と、の組み合わせから構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の付着物失活処理方法。
  7. 前記α−オレフィンが、エチレンであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の付着物失活処理方法。
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