JP3518968B2 - α−オレフイン低重合体の製造方法 - Google Patents

α−オレフイン低重合体の製造方法

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JP3518968B2
JP3518968B2 JP11021997A JP11021997A JP3518968B2 JP 3518968 B2 JP3518968 B2 JP 3518968B2 JP 11021997 A JP11021997 A JP 11021997A JP 11021997 A JP11021997 A JP 11021997A JP 3518968 B2 JP3518968 B2 JP 3518968B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、α−オレフイン低
重合体の製造方法に関するものであり、詳しくは、特
に、エチレンから1−ヘキセンを主体としたα−オレフ
イン低重合体を高収率かつ高選択率で製造することが出
来る工業的有利なα−オレフイン低重合体の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近時、α−オレフイン低重合体の工業的
有利な製造方法として、数多くの提案がなされている。
例えば、特開平7−118174号、同7−11817
5号、同7−118326号、同7−118327号、
同7−149671号、同7−149673号、同7−
149674号、同7−149675号、同7−149
676号、同7−165815号の各公報には、少なく
とも、クロム化合物(a)、アミン又は金属アミド(窒
素含有化合物)(b)、アルキルアルミニウム化合物
(c)の組み合わせから成るクロム系触媒を使用した各
種の改良発明が提案されている。
【0003】また、特開平8−3216号公報、特開平
8−134131号公報などには、少なくとも、クロム
化合物(a)、アミン又は金属アミド(窒素含有化合
物)(b)、アルキルアルミニウム化合物(c)、ハロ
ゲン含有化合物(d)の組み合わせから成るクロム系触
媒を使用した発明が提案されている。
【0004】そして、上記の各提案においては、クロム
化合物(a)とアルキルアルミニウム化合物(c)とが
予め接触しない態様でα−オレフインとクロム系触媒と
を接触させてα−オレフインの低重合を行うことによ
り、一層高い選択率で目的とするα−オレフイン低重合
体(例えば1−ヘキセン)が得られることが開示されて
いる。
【0005】ところで、上記の何れの方法によっても、
ポリマーの副生は避けられず、特に、α−オレフイン低
重合体の工業的製造方法においては、副生ポリマーを如
何にして分離するかが重要な課題である。本発明者ら
は、先に、特願平7−349702号において、反応液
からα−オレフインの低重合体を蒸留分離し、反応液中
の副生ポリマーを触媒成分と共に濃縮して分離する方法
を提案した。
【0006】更に、本発明者らは、特願平7−3497
02号において、上記の改良方法として、反応器の出口
から生成物蒸留塔の入口までのプロセスラインにおい
て、反応液中に副生ポリマー及び触媒成分を分散状態で
維持する方法を提案した。反応液中に副生ポリマーを分
散状態で維持する方法としては、反応液の温度を副生ポ
リマーが析出しない温度に維持する方法、反応器の気相
中に水素を存在させて副生ポリマーを粒状に改質する方
法が開示され、また、反応液中に触媒成分を分散状態で
維持する方法として、反応液中に特定の添加剤を添加し
て触媒成分を可溶化する方法が開示されている。
【0007】反応液の温度を副生ポリマーが析出しない
温度に維持する方法においては、その温度が高いほど望
ましいが、反応器中の反応温度を高くするとクロム触媒
の性能が低下する問題がある。そこで、反応器の具体的
な条件としては80℃で且つ35Kg/cm2 Gの条件
を採用し、その後に、100℃の温度に昇温する方法が
採用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、斯かる実情
に鑑みなされたものであり、その目的は、クロム触媒の
性能を低下させることなく一層高い反応温度を採用する
ことが出来、従って、反応器中での副生ポリマーの析出
を防止して副生ポリマーと触媒成分とを共に濃縮して分
離する方法にも容易に対応し得る、工業的に有利なα−
オレフイン低重合体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく種々検討を重ねた結果、反応温度を反応
圧力との一定の関係において高めるならば、クロム触媒
の高い性能を維持することが出来ると言う新規な知見を
得た。
【0010】本発明は、上記の知見に基づき完成された
ものであり、その要旨は、低重合反応器中、クロム系触
媒および反応溶媒の存在下、次の(1)及び(2)式を
満足する反応条件でα−オレフインの低重合を行う(但
し、内部オレフィン化合物、非共役ジエン化合物および
非共役トリエン化合物から成る群より選ばれた1種以上
の化合物を反応系に添加する場合を除く)ことを特徴と
するα−オレフイン低重合体の製造方法に存する。
【0011】
【数2】 T≧105℃ ・・・(1) P>0.5T−15 ・・・(2) (Tは反応温度(℃)、Pは反応圧力(kg/cm
2 G)を表す。)
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、クロム系触媒としては、通常、少なく
とも、クロム化合物(a)、窒素含有化合物(b)及び
アルキルアルミニウム化合物(c)の組み合わせから成
る触媒系を使用する。そして、好ましい態様として、ク
ロム化合物(a)、窒素含有化合物(b)、アルキルア
ルミニウム化合物(c)及びハロゲン含有化合物(d)
の組み合わせから成る触媒系を使用する。上記の3成分
系または4成分系のクロム系触媒は、前述の通り公知で
ある。本発明においては、これらの公知のクロム系触媒
を制限なくそのまま使用することが出来る。
【0013】具体的に指摘すれば、上記の3成分系クロ
ム系触媒としては、例えば特開平7−118174号公
報の[0008]〜[0025]に詳記された各成分か
ら成るクロム系触媒を使用することが出来、上記の4成
分系クロム系触媒としては、特開平8−3216号公報
の[0011]〜[0028]、または、特開平8−1
34131号公報の[0009]〜[0041]に詳記
された各成分から成るクロム系触媒を使用することが出
来る。
【0014】上記のクロム化合物(a)としては、代表
的には、クロムのカルボキシル塩が挙げられ、その具体
例としては、クロム(II)アセテート、クロム(III) アセ
テート、クロム(III) −2−エチルヘキサノエート、ク
ロム(III) ベンゾエート、クロム(III) ナフテネート等
が挙げられる。これらの中では、クロム(III) −2−エ
チルヘキサノエートが最も好ましい。
【0015】上記の窒素含有化合物(b)としては、代
表的には、2級アミンが挙げられ、その具体例として
は、ピロール、2,5−ジメチルピロール、3,4−ジ
メチルピロール、3,4−ジクロロピロール、2,3,
4,5−テトラクロロピロール、2−アセチルピロール
が挙げられる。これらの中では、2,5−ジメチルピロ
ールが最も好ましい。
【0016】上記のアルキルアルミニウム化合物(c)
としては、代表的には、トリアルキルアルミニウム化合
物が挙げられ、その具体例としては、トリメチルアルミ
ニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアル
ミニウムが挙げられる。これらの中では、トリエチルア
ルミニウムが最も好ましい。
【0017】上記のハロゲン含有化合物(d)として
は、特に、特開平8−134131号公報に記載され
た、3個以上のハロゲン原子で置換された炭素数2以上
の直鎖状炭化水素類が好適である。そして、その具体例
としては、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,
2,2,−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、
ヘキサクロロエタン等が挙げられる。
【0018】本発明において、原料α−オレフインとし
ては、炭素数が2〜30の置換または非置換のα−オレ
フインが使用される。具体的には、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メ
チル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げ
られる。特に、原料α−オレフインとしてエチレンが好
適であり、エチレンからその三量体である1−ヘキセン
を高収率かつ高選択率で得ることが出来る。
【0019】本発明において、反応溶媒としては、ブタ
ン、ペンタン、3−メチルペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、2−メチルヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、
メチルシクロヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタ
ン、デカリン等の炭素数1〜20の鎖状または脂環式の
飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチル
ベンゼン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素
などが使用される。これらは、単独で使用する他、混合
溶媒として使用することも出来る。
【0020】また、反応溶媒として、反応原料のα−オ
レフインそれ自体または主原料以外のα−オレフインを
使用することも出来る。反応溶媒用としては、炭素数が
4〜30のα−オレフインが使用されるが、常温で液状
のα−オレフインが特に好ましい。
【0021】特に、反応溶媒としては、炭素数が4〜1
0の鎖状飽和炭化水素または脂環式飽和炭化水素が好ま
しい。これらの溶媒を使用することにより、ポリマーの
副生を抑制することが出来、更に、脂環式炭化水素を使
用した場合は、高い触媒活性が得られると言う利点があ
る。
【0022】本発明においては、反応器中、前記のクロ
ム系触媒および反応溶媒の存在下、α−オレフインの低
重合を行う。反応器としては、通常、パイプリアクター
や一段または多段の混合槽が使用される。パイプリアク
ターは、基本的には、直管またはコイル状もしくはU字
型の曲管の一端から反応成分を導入し、他端から反応生
成物を流出させる形式の反応装置である。多段混合槽
は、基本的には、直列形式に配置された複数の混合槽の
第1槽に反応成分を導入し、順次、後続の槽に移動さ
せ、最終槽から反応生成物を流出させる形式の反応装置
である。
【0023】本発明においては、クロム化合物(a)と
アルキルアルミニウム化合物(c)とが予め接触しない
態様でα−オレフインとクロム系触媒とを接触させるの
が好ましい。斯かる特定の接触態様により、選択的に三
量化反応を行わせ、原料エチレンから1−ヘキセンを高
収率で得ることが出来る。上記の特定の接触態様は、例
えば、特開平7−118174号公報の[0029]〜
[0031]、特開平8−3216号公報の[002
9]〜[0032]、特開平8−134131号公報の
[0045]〜[0050]に詳記されているが、その
幾つかの例を挙げれば次の通りである。
【0024】(1)窒素含有化合物およびアルキルアル
ミニウム化合物を含む反応溶媒中にα−オレフイン及び
クロム含有化合物を導入する方法。 (2)窒素含有化合物、アルキルアルミニウム化合物、
ハロゲン含有化合物を含む反応溶媒中にα−オレフイン
を導入する方法。 (3)窒素含有化合物およびアルキルアルミニウム化合
物を含む反応溶媒中にα−オレフイン、クロム含有化合
物およびハロゲン含有化合物を導入する方法。
【0025】しかしながら、本発明においては、上記の
様な接触態様に従って反応器中で触媒調製を行う他、別
途に調製したクロム系触媒を反応器に供給して低重合反
応を行ってもよい。例えば、先ず、α−オレフインの不
存在下、炭化水素および/またはハロゲン化炭化水素溶
媒中、窒素含有化合物(b)(特にはピロール含有化合
物)、アルキルアルミニウム化合物(c)及びハロゲン
含有化合物(d)を接触させ、次いで、得られた触媒調
製用反応液とクロム化合物(a)とを反応させることに
より、優れた性能のクロム触媒を調製することが出来
る。
【0026】本発明において、クロム化合物の使用量
は、溶媒1リットル当たり、通常1.0×10-7 〜0.
5mol、好ましくは1.0×10-6〜0.2mol、
更に好ましくは1.0×10-5〜0.05molの範囲
とされる。一方、アルキルアルミニウム化合物の使用量
は、クロム化合物1mol当たり、通常0.05mol
以上であるが、触媒活性および三量体の選択率の観点か
ら、0.1mol以上とするのがよい。そして、上限
は、通常1.0×104 molである。また、窒素含有
化合物の使用量は、クロム化合物1mol当たり、通常
0.001mol以上であり、好ましくは0.005〜
1000mol、更に好ましくは0.01〜100mo
lの範囲とされる。また、ハロゲン含有化合物の使用量
は、窒素含有化合物の使用量と同一の範囲とされる。
【0027】本発明においては、クロム化合物(a)、
窒素含有化合物(b)、アルキルアルミニウム化合物
(c)及びハロゲン含有化合物(d)のモル比(a):
(b):(c):(d)は1:1〜50:1〜200:
1〜50が好ましく、1:1〜30:10〜150:1
〜30が特に好ましい。斯かる特定条件の結合により、
α−オレフイン低重合体として、例えば、ヘキセンを9
0%以上(全生成量に対する割合)の収率で製造するこ
とが出来、しかも、ヘキセン中の1−ヘキセンの純度を
99%以上に高めることが出来る。
【0028】本発明の最大の特徴は、次の(1)及び
(2)式を満足する反応条件でα−オレフインの低重合
を行う点にある。式中、Tは反応温度(℃)、Pは反応
圧力(kg/cm2 G)を表す。
【0029】
【数3】 T≧105℃ ・・・(1) P>0.5T−15 ・・・(2)
【0030】前記の大部分の公開公報には、反応液中の
副生ポリマーの形状を固液分離の容易な顆粒状にするた
め、反応温度は70℃以下が好ましいと記載されてい
る。そして、特開平8−3216号公報には、一般的な
説明として、0〜250℃の反応温度、常圧ないし25
0kg/cm2 の反応圧力の記載があるが、その実施例
においては、反応温度80℃と反応圧力35kg/cm
2 の条件が採用されている。
【0031】これに対して、本発明においては、少なく
とも105℃の反応温度を採用し、且つ、反応温度が1
10℃の場合は、少なくとも37.5kg/cm2 G以
上の反応圧力を採用する必要がある。斯かる本発明によ
れば、105℃以上、好ましくは120〜150℃の反
応温度を採用したことにより、副生ポリマーは、反応液
中に溶解状態として存在し得る。その結果、副生ポリマ
ーが反応器の壁面に付着する等の問題がなく、しかも、
反応器中での副生ポリマーの析出を防止して副生ポリマ
ーと触媒成分とを共に濃縮して分離する方法にも容易に
対応し得る。また、本発明によれば、反応温度を反応圧
力との一定の関係において高めるため、クロム触媒の性
能が低下せず、高い活性を維持することが出来る。な
お、滞留時間は、通常1分から20時間、好ましくは
0.5〜6時間の範囲とされる。
【0032】本発明において、反応終了後に行う各成分
の分離操作などの後処理は、特に制限されない。例え
ば、反応直後に副生ポリマーの分離除去を固液分離装置
によって行うことも不可能ではない。
【0033】しかしながら、上記の場合は、金属成分の
分離とは別個に副生ポリマー用の固液分離装置が必要と
なるのみならず、反応液中の各成分の蒸留分離の際に受
ける熱履歴によってメタル化した金属成分の分離が極め
て困難となる。すなわち、例えば、加熱蒸発器を利用し
て高沸点成分と金属成分とを分離しようとした場合、金
属成分は、加熱蒸発器の伝熱面に付着して実質的に分離
不可能となる。そして、伝熱面に付着した金属成分は、
加熱蒸発器の運転に支障を来す。
【0034】従って、本発明において、副生ポリマー
は、後述する様に、触媒成分と共に濃縮して分離するの
が好ましい。斯かる分離態様によれば、触媒成分は、副
生ポリマーの可塑性によって極めて容易に分離される。
しかも、副生ポリマー用の固液分離装置を省略でき、プ
ロセスをコンパクト化することが出来る。
【0035】そして、副生ポリマーの可塑性を利用した
副生ポリマーと触媒成分との上記の同時回収プロセスを
効果的に実施するため、反応器の出口から生成物蒸留塔
の入口までのプロセスラインにおいて、反応液の温度を
副生ポリマーが反応液中に溶解状態として存在し得る温
度に維持するのが好ましい。これにより、副生ポリマー
のプロセスライン内(例えば配管や生成物蒸留塔などの
付帯設備)における付着や析出に伴う種々のトラブルを
回避することも出来る。副生ポリマーが反応液中に溶解
状態として存在し得る温度は、上記の反応温度と同一温
度で十分であるが、必要ならば昇温してもよい。
【0036】また、本発明においては、反応器の出口か
ら生成物蒸留塔の入口までのプロセスラインにおいて、
反応液中に触媒成分を分散状態で維持するのが好まし
い。一般的に言えば、触媒成分は、副生ポリマー程にプ
ロセスライン内で付着や析出することが少ないと考えら
れる。
【0037】しかしながら、本発明においては、反応器
の出口から生成物蒸留塔の入口までのプロセスラインに
おける反応液中に反応溶媒に可溶で且つクロムに対して
配位子形成能を有する化合物を添加することにより、反
応液中における触媒成分の分散状態を積極的に維持する
のが好ましい。
【0038】反応溶媒に可溶で且つクロムに対して配位
子形成能を有する化合物(以下、金属可溶化剤と呼ぶ)
としては、通常、−X−H官能基を有する低分子化合物
(但し、Xはヘテロ原子、Hは水素原子を表す)又は活
性メチレン基を有する低分子化合物が使用される。前者
の例としては、アルコール類、フェノール類、カルボン
酸類、1級または2級アミン類、アンモニアが挙げら
れ、後者の例としては、アセチルアセトン等が挙げられ
る。
【0039】上記のアルコール類の具体例としては、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペ
ンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノー
ル、ノナノール、デカノール、ベンジルアルコール、エ
チレングリコール、トリメチレングリコール、プロパン
ジオール等が挙げられ、フェノール類の具体例として
は、フェノール、クレゾール、ヒドロキノン等が挙げら
れ、カルボン酸類の具体例としては、酢酸、プロピオン
酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン
酸、ノナン酸、デカン酸、安息香酸、フェニル酢酸、フ
タル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、サリチル酸な
どが挙げられ、1級または2級アミン類の具体例として
は、触媒の一成分として前述した各アミン類が挙げられ
る。
【0040】金属可溶化剤の使用割合は、極微量から溶
媒量の範囲に亘る広い範囲から選択することが出来る
が、溶媒中の濃度として、通常0.001〜50重量
%、好ましくは0.01〜10重量%の範囲である。ま
た、金属可溶化剤の添加時期は、反応液中の各成分の蒸
留分離前の任意の段階を選択することが出来る。そし
て、蒸留分離工程が複数存在する場合は、金属成分のメ
タル化が最も惹起され易い最終の蒸留工程の直前に添加
してもよいが、反応工程の直後に添加するのが好まし
い。なお、金属可溶化剤に代えてα−オレフインの重合
分野において既に提案されている帯電防止剤を反応液中
に添加する方法も好適に使用し得る。
【0041】本発明の上記の好ましい態様によれれば、
副生ポリマー及び触媒成分の同時回収プロセスに至るま
での間の両者の損失を最大限に防止することが出来る。
【0042】本発明において、低重合応器からの反応液
を脱ガス塔に供給して未反応α−オレフインを回収し、
脱ガス塔からの反応液を生成物蒸留塔に供給し、生成し
たα−オレフイン低重合体を留出液として回収すると共
に、副生ポリマー及び触媒成分を共に濃縮して缶出液と
して回収するのが好ましい。
【0043】従来、工業化されているα−オレフィン低
重合プロセスにおいて、副生ポリマーの分離は、本発明
の上記した好ましい態様と異なり、触媒成分とは別にし
て固液分離装置を使用して行われていた。その場合、副
生ポリマーの分離は、降圧することなく、反応における
圧力を殆ど維持したまま行われている。その理由は、特
に上記の従来法による1−ヘキセンの製造においては、
1−ヘキセンの収率が十分ではなく、15重量%程度以
上の多量の低沸点成分(1−ブテン)の副生を伴い、従
って、反応後に常圧付近まで降圧した場合は、未反応エ
チレンからの1−ブテン(沸点:−6.47℃)の蒸留
分離に必要な冷却負荷が大きくなるからである。
【0044】従って、上記従来法による場合は、反応
後、降圧することなく、副生ポリマーの分離を行った
後、1−ブテンの蒸留分離を行い、その後の単位操作に
おいて漸次降圧せざるを得ない。しかしながら、副生ポ
リマーの分離を加圧状態で実施する方法は、特殊な固液
分離装置を必要とするばかりか、操作性も悪く、時とし
て、固液分離装置が副生ポリマーによって閉塞する等の
多大な不利益がある。
【0045】これに対して、本発明方法で採用する触媒
系によるα−オレフィンの低重合においては、1−ヘキ
セン以外のα−オレフイン低重合体、特に、1−ブテン
の副生が少なく、1−ヘキセンが高収率で得られるた
め、1−ブテンを回収する必要がないばかりか、常圧蒸
留で回収する場合においても、蒸留分離に必要な冷却負
荷を著しく軽減し得る。
【0046】その結果、本発明においては、上記の好ま
しい態様に従い、脱ガス操作を他の単位操作に先行して
行うことが出来、このことにより、上記従来法の煩雑な
工程およびその不利益を回避できるばかりでなく、後続
の単位操作を操作性に優れる常圧付近の温度で操作する
ことが可能になるという利点が得られる。
【0047】本発明においては、脱ガス処理は、通常、
15kg/cm2 G以下まで降圧して行われるが、高圧
容器の取扱上の法規の点からは、第2種高圧容器とされ
る1.9kg/cm2 G以下まで降圧するのが好まし
く、更には、0.2kg/cm2 G以下まで降圧するな
らば、殆ど常圧と同等の操作を行い得るため、一層好ま
しい。
【0048】本発明において、反応液からの副生ポリマ
ー及び触媒成分の濃縮分離は、脱ガスした反応液から低
沸点の全成分を単蒸留的に除去すると同時に行うことも
出来、また、脱ガスした反応液から逐次に各成分を蒸留
分離する際の最後の蒸留分離と同時に行うことも出来
る。
【0049】例えば、α−オレフインがエチレンの場
合、α−オレフイン低重合体として1−ヘキセンが得ら
れるが、この場合は、反応後、脱エチレンを行い、次い
で、反応液から1−ヘキセン及び溶媒を蒸留分離すると
共に触媒成分を副生ポリエチレンと共に濃縮して分離す
る。そして、得られた副生ポリマーと触媒成分を含有す
る濃縮液をそのまま廃棄することが出来る。
【0050】上記の通り、本発明方法で採用する触媒系
においては、1−ブテンの副生が少なく、1−ヘキセン
が高収率で得られるため、脱ガス塔からの反応液を単一
の生成物蒸留塔で処理することにより、1−ヘキセンと
反応溶媒と副生ポリマー及び触媒成分を含む高沸点成分
とに分離することが出来、その結果、最もコンパクト化
された経済性の高いプロセスを実現することが出来る。
【0051】また、本発明の前述した好ましい態様にお
いては、副生ポリマーと触媒成分の各々の少なくとも一
部について同時分離を行うが、好ましくは触媒成分の全
部について、より好ましくは副生ポリマーと触媒成分の
全部について同時分離を行う。そして、何れの場合も、
生成物蒸留塔から回収された副生ポリマー及び触媒成分
を含む缶出液を加熱蒸発器に供給し、高沸点成分を回収
すると共に、副生ポリマー及び触媒成分を更に濃縮して
回収するのが好ましい。
【0052】上記の加熱蒸発器としては、従来公知の各
種のものが使用し得る。例えば、円筒内型の伝熱面に対
して回転する掻き取り羽根などを備えた薄膜式蒸発器、
プレートフィン型加熱器を内蔵した蒸発器などを使用し
得る。プレート・フィン型加熱器を内蔵した蒸発器は、
高密度に配置されたフィンによって高粘度流体を瞬時に
加熱し、その中に含まれている揮発性物質を効率的に除
去することが出来る。
【0053】上記の様な構造の加熱蒸発器としては、例
えば、三井造船(株)製の「ハイビスカスエバポレー
タ」(商品名)等が挙げられる。この様な加熱蒸発器を
使用した場合、内蔵されたプレート・フィン型加熱器で
濃縮された副生ポリマー及び触媒成分は、加熱蒸発器の
下部から副生ポリマーの可塑性によって流れ落ちて来
る。従って、適当に冷却した状態で切断して容易に回収
することが出来る。
【0054】本発明において、特に推奨される加熱蒸発
器は、加熱蒸発器が十分な長さを持った加熱管と減圧保
持可能な捕集缶とを備えたモノチューブ型蒸発器であ
る。斯かる構造の加熱蒸発器としては、例えば、ホソカ
ワミカロン(株)製の「CRUX SYSTEM」(商
品名)等が挙げられる。この様なモノチューブ型蒸発器
は、加熱管で加熱・蒸発させた濃縮液を音速程度の高速
で捕集缶に噴出してその中に含まれる揮発性物質を効率
的に除去する。捕集缶内で濃縮された副生ポリマーと触
媒成分は、捕集室の下部から副生ポリマーの可塑性によ
り流れ落ちて来る。従って、適当に冷却した状態で切断
して容易に回収することが出来る。
【0055】一方、回収されたα−オレフイン低重合体
は、必要に応じて精製される。精製には、通常、蒸留精
製が採用され、目的とする成分を高純度で回収すること
が出来る。本発明においては、特に、エチレンから高純
度の1−ヘキセンを工業的有利に製造することが出来
る。また、本発明の製造方法で得られた1−ヘキセンか
ら、公知の重合触媒を使用した重合反応により、有用な
樹脂であるL−LDPEを製造することが出来る。
【0056】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により更
に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限
り以下の実施例に限定されるものではない。
【0057】実施例1 完全混合槽型反応器、脱ガス槽、2ヶ所の側流(サイド
ストリーム)抜き出し部を備え且つ全段数30段の生成
物蒸留塔、蒸発器から成り、反応器と脱ガス槽との間に
は、脱ガスされたエチレンを反応器に循環する圧縮機を
備えたプロセスに従って、エチレンの連続低重合反応を
行った。なお、完全混合槽型反応器としては、2本の供
給管を備えた20Lのオートクレーブを使用し、蒸発器
としては、8mの長さの加熱管と減圧保持可能な捕集缶
とを備えたモノチューブ型蒸発器「CRUX SYST
EM」(ホソカワミカロン(株)製の商品名)を使用し
た。
【0058】完全混合槽型反応器の一方の供給管からエ
チレンと共にクロム(III) −2−エチルヘキサノエート
(a)のn−ヘプタン溶液とヘキサクロロエタン(d)
のn−ヘプタン溶液とを連続的に供給し、他方の供給管
から2,5−ジメチルピロール(b)のn−ヘプタン溶
液とトリエチルアルミニウム(c)のn−ヘプタン溶液
とを連続的に供給した。(a):(b):(c):
(d)のモル比は1:6:40:4である。反応条件
は、120℃×50kg/cm2 Gとした。
【0059】反応器から連続的に抜き出された反応液
は、120℃の温度を維持したまま脱ガス槽に供給され
た。脱ガスされた反応液は、実質的に上記の温度を維持
したまま生成物蒸留塔に供給され、その塔底液は蒸発器
に供給されて濃縮された。生成物蒸留塔の塔底から第8
段目の側流抜き出し部から溶媒n−ヘプタンを、第26
段目の側流抜き出し部から製品ヘキセンをそれぞれサイ
ドカットとして抜き出して回収し、塔頂からヘキセンよ
りも低沸点の成分を留出させて回収した。
【0060】蒸発器において、蒸発された高沸点成分は
凝縮して回収され、副生ポリエチレンと共に濃縮された
触媒成分は、捕集室の下部から回収された。一方、脱ガ
ス槽にて脱ガスされたエチレンは、圧縮機にて昇圧され
て反応器に循環され、また、生成物蒸留塔から回収され
たn−ヘプタンは、循環パイプを経て反応器に循環され
た。表1に生成物蒸留塔以降の各ユニットの運転条件を
示す。また、表2に上記のプロセスにおけるマスバラン
スを示す。なお、表2中のCr(2EHA)3 はクロム(III) −
2−エチルヘキサノエートを表す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】 ──────────────────────────────────── 反応液 脱ガス液 蒸留塔 蒸発器 蒸発器 塔底液 蒸発成分 濃縮成分 単位:/hr 42.0kg 35.9kg 0.28kg 0.25kg 29.8g Cr(2EHA)3(ppm) 3.0 3.5 134 0.0 0.127wt% 2,5-シ゛メチルヒ゜ロール(ppm) 3.6 4.2 159 177.7 0.0 トリエチルアルミニウム(ppm) 28.4 33.0 1271 0.0 1.20wt% ヘキサクロロエタン(ppm) 7.4 8.6 329 368.4 0.0 ヘフ゜タン(wt%) 64.7 75.8 0.0 0.0 0.0 エチレン(wt%) 14.6 0.0 0.0 0.0 0.0 C6成分(wt%) 20.0 23.4 0.0 0.0 0.0 高沸成分(wt%) 0.60 0.70 89.4 99.9 0.0 ホ゜リエチレン(ppm) 700 820 10.43wt% 0.0 98.7wt% 合計(wt%) 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 C6成分中の1−ヘキセン含有率:99.5重量% 1−ヘキセン/エチレン(モル比)=0.45 触媒効率:614,198 g−1−ヘキセン/g−クロム ────────────────────────────────────
【0063】上記のプロセスにおける蒸発器の運転は、
金属を含む触媒成分が副生ポリエチレンと共に濃縮され
た混合物として回収されるため、ポリエチレンの可塑性
により、捕集室の下部から自重により落下分離し、良好
に行われた。
【0064】実施例2 実施例1において、ハロゲン含有化合物としてテトラク
ロロエタンを使用した以外は、実施例1と同様にしてエ
チレンの連続低重合反応を行った。表3に本実施例のマ
スバランスを示す。蒸発器の運転は、実施例1と同様に
良好であった。
【0065】
【表3】 ──────────────────────────────────── 反応液 脱ガス液 蒸留塔 蒸発器 蒸発器 塔底液 蒸発成分 濃縮成分 単位:/hr 38.5kg 32.9kg 0.26kg 0.23kg 27.3g Cr(2EHA)3(ppm) 3.0 3.5 134 0.0 0.127wt% 2,5-シ゛メチルヒ゜ロール(ppm) 3.6 4.2 159 177.7 0.0 トリエチルアルミニウム(ppm) 28.4 33.0 1272 0.0 1.20wt% テトラクロロエタン(ppm) 5.2 6.1 234 261.2 0.0 ヘフ゜タン(wt%) 66.9 78.4 0.0 0.0 0.0 エチレン(wt%) 14.6 0.0 0.0 0.0 0.0 C6成分(wt%) 17.8 20.8 0.0 0.0 0.0 高沸成分(wt%) 0.60 0.70 89.4 100.0 0.0 ホ゜リエチレン(ppm) 700 820 10.43wt% 0.0 98.7wt% 合計(wt%) 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 C6成分中の1−ヘキセン含有率:99.5重量% 1−ヘキセン/エチレン(モル比)=0.41 触媒効率:546,636 g−1−ヘキセン/g−クロム ────────────────────────────────────
【0066】実施例3 実施例1において、脱ガス槽に金属可溶化剤としてオク
タン酸(2−エチルヘキサン酸)を連続的に添加した以
外は、実施例1と同様にしてエチレンの連続低重合反応
を行った。金属可溶化剤の添加量は、脱ガス槽中の反応
溶媒中の濃度が0.022重量%となる量とした。
【0067】生成物蒸留塔の塔底液をサンプリングし、
析出金属成分の分析を行ったが、析出金属成分は実質的
に存在していなかった。なお、析出金属成分の分析は、
濾紙(5A)でサンプルを濾過し、濾紙面をn−ヘプタ
ン溶液で洗浄した後、10重量%の硝酸水溶液で洗浄
し、硝酸水溶液中の金属成分の濃度を高周波プラズマ発
光分光法で測定する方法によって行った。表4に本実施
例のマスバランスを示す。蒸発器の運転は実施例1と同
様に良好であった。
【0068】
【表4】 ──────────────────────────────────── 反応液 脱ガス液 蒸留塔 蒸発器 蒸発器 塔底液 蒸発成分 濃縮成分 単位:/hr 42.5kg 36.3kg 0.35kg 0.32kg 31.9g Cr(2EHA)3(ppm) 3.0 3.5 363 0.0 0.399wt% 2,5-シ゛メチルヒ゜ロール(ppm) 3.6 4.2 430 473.4 0.0 トリエチルアルミニウム(ppm) 28.4 33.0 3443 0.0 3.79wt% ヘキサクロロエタン(ppm) 7.4 8.6 892 981.4 0.0 ヘフ゜タン(wt%) 62.1 72.7 0.0 0.0 0.0 エチレン(wt%) 14.6 0.0 0.0 0.0 0.0 C6成分(wt%) 22.5 26.3 0.0 0.0 0.0 高沸成分(wt%) 0.75 0.88 90.8 99.9 0.0 ホ゜リエチレン(ppm) 800 936 8.71wt% − 95.8wt% 合計(wt%) 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 C6成分中の1−ヘキセン含有率:99.5重量% 1−ヘキセン/エチレン(モル比)=0.51 触媒効率:690,972 g−1−ヘキセン/g−クロム ────────────────────────────────────
【0069】実施例4 実施例1において、反応温度および圧力を120℃及び
70kg/cm2 Gに変更した以外は、実施例1と同様
にしてエチレンの連続低重合反応を行った。表5に本実
施例のマスバランスを示す。蒸発器の運転は、実施例1
と同様に良好であった。
【0070】
【表5】 ──────────────────────────────────── 反応液 脱ガス液 蒸留塔 蒸発器 蒸発器 塔底液 蒸発成分 濃縮成分 単位:/hr 52.3kg 40.4kg 1.06kg 0.99kg 71.1g Cr(2EHA)3(ppm) 3.0 3.9 44 0.0 0.066wt% 2,5-シ゛メチルヒ゜ロール(ppm) 3.6 4.6 52 56.1 0.0 トリエチルアルミニウム(ppm) 28.4 37.0 419 0.0 0.63wt% ヘキサクロロエタン(ppm) 5.2 6.8 77 82.5 0.0 ヘフ゜タン(wt%) 40.3 52.1 0.0 0.0 0.0 エチレン(wt%) 22.7 0.0 0.0 0.0 0.0 1-ヘキセン(wt%) 35.0 45.3 0.0 0.0 0.0 高沸成分(wt%) 1.90 2.46 93.3 100.0 0.0 ホ゜リエチレン(ppm) 1350 1746 6.63wt% 0.0 99.3wt% 合計(wt%) 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 C6成分中の1−ヘキセン含有率:99.5重量% 1−ヘキセン/エチレン(モル比)=0.51 触媒効率:1,074,846 g−1−ヘキセン/g−クロム ────────────────────────────────────
【0071】実施例5〜8 実施例3において、脱ガス槽に添加する金属可溶化剤と
して、1−ヘキサノール(実施例5)、ヘキシルアミン
(実施例6)、アンモニア(実施例7)、アセチルアセ
トン(実施例8)を使用した以外は、実施例3と同様に
してエチレンの連続低重合反応を行った結果、蒸発器の
運転は実施例3と同様に良好であった。なお、実施例3
と同様にして生成物蒸留塔の塔底液をサンプリングし、
析出金属成分の分析を行ったが、何れの実施例において
も、析出金属成分は実質的に存在していなかった。
【0072】実施例9 窒素雰囲気下室温で、2,5−ジメチルピロール(2
9.59mg,0.311mmol)のトルエン溶液5
mlにヘキサクロロエタン(49.23mg,0.20
8mmol)を加えた。得られた溶液にトリエチルアル
ミニウム(177.8mg,1.55mmol)のトル
エン溶液(1.55ml)を加えて30分間反応させ
た。得られた溶液にクロム(III) 2−エチルヘキサノエ
ート(50mg,0.102mmol)のトルエン溶液
(1ml)を加えて15分間反応させた。その後、トル
エンを減圧下室温で留去した。得られた褐色オイルをシ
クロヘキサン(5ml)で希釈し触媒液(5.2ml)
とした。
【0073】150℃の乾燥器中で乾燥した300ml
のオートクレーブを熱時に組み立てた後、真空窒素置換
した。窒素雰囲気下室温で、シクロヘキサン(125m
l)と前記触媒液(0.68ml)とをオートクレーブ
に仕込んだ。オートクレーブを120℃に加熱し、全圧
が50kg/cm2 Gとなるまでオートクレーブにエチ
レンを導入した。その後、全圧を50kg/cm2 G、
反応温度を120℃に維持した。30分後、オートクレ
ーブにエタノールを圧入して反応を停止した。ガスクロ
マトグラフによる生成物の組成分析の結果などを表6に
示した。
【0074】
【表6】 ─────────────────────────────────── <全生成物量(g)> 43.0g <組成分布(wt%)> C4 0.05 C6 全体 96.8 C6 中の1ヘキセン含量 99.6 C8 0.5 C10-20 2.6 副生ポリエチレン 0.02 <触媒効率> 62,300 g−1−ヘキセン/g−クロム ────────────────────────────────────
【0075】比較例1 実施例1において、反応圧力のみを35kg/cm2
に変更した以外は、実施例1と同様にしてエチレンの連
続低重合反応を行った。その結果、触媒効率は、327,96
2 g−1−ヘキセン/g−クロムであり、実施例1に比
し、約47%低下していた。
【0076】比較例2 実施例9において、反応圧力のみを35kg/cm2
に変更した以外は、実施例9と同様にしてエチレンの連
続低重合反応を行った。その結果、触媒効率は、34,265
g−1−ヘキセン/g−クロムであり、実施例9に比
し、約45%低下していた。
【0077】実施例10 2本の触媒供給管と1本の反応液抜き出し管とを有する
2リットルのオートクレーブを150℃の乾燥器中で乾
燥した後に組み立て、そして、真空窒素置換した。この
オートクレーブに、一方の触媒供給管から、2,5−ジ
メチルピロールを0.067mmol/hr、トリウチ
ルアルミニウムを0.45mmol/hr、ヘキサクロ
ロエタンを0.045mmol/hrの各速度でそれぞ
れn−ヘプタン溶液として連続的に供給し、他方の触媒
供給管から、エチレンと共にクロム(III)2−エチルヘ
キサノエートを0.011mmol/hr(5.4mg
/hr)の速度でn−ヘプタン溶液として連続的に供給
した。オートクレーブへのn−ヘプタンの全供給量は
1.8リットル/hrである。
【0078】そして、オートクレーブの温度を105℃
に保ち、全圧が50kg/cm2 Gとなる様にオートク
レーブ中にエチレンを連続的に供給し、エチレンの低重
合反応を行った。一方、オートクレーブから、内容積が
1リットルとなる様に、反応液抜き出し管を介して反応
液を連続的に抜き出した。そして、抜き出した反応液
は、脱ガス槽に導入し、常圧まで脱ガスした後、液成分
とガス成分とをガスクロマトグラフで分析した。結果を
表7に示す。
【0079】実施例11〜16及び比較例3〜5 実施例10において、オートクレーブへの触媒形成成分
の供給速度または反応条件を表7又は表8に示す通りに
変更した以外は、実施例10と同様に反応を行った。そ
の結果を表7又は表8に示す。なお、これらの表中、ハ
ロゲン化合物種類のAはヘキサクロロエタンを表し、触
媒効率の単位はg−1−ヘキセン/g−クロムである。
【0080】
【表7】 ──────────────────────────────────── 実 施 例 10 11 12 13 14 溶媒流量(L/hr) 1.8 4 1.8 4 1.8 Cr化合物量(mg/hr) 5.4 12 5.4 12 5.4 Cr化合物量(mmol/hr) 0.011 0.025 0.011 0.025 0.011 2,5-DMP 量(mmol/hr) 0.067 0.149 0.067 0.149 0.067 Et3Al 量(mmol/hr) 0.45 1.00 0.45 1.00 0.45ハロケ゛ン 化合物種類 A A A A Aハロケ゛ン 化合物量(mmol/hr) 0.045 0.100 0.045 0.100 0.045 触媒成分モル比(a:b:c:d) 1:6:40:4 1:6:40:4 1:6:40:4 1:6:40:4 1:6:40:4 反応圧力(Kg/cm2G) 50 50 70 70 50 反応温度(℃) 105 105 105 105 120 滞留時間(hr) 0.25 0.12 0.17 0.1 0.28 生成物量(g/hr) 551 838 907 1129 385 反応帯域のCr濃度(ppm) 0.26 0.29 0.19 0.24 0.3 反応帯域のエチレン濃度(ppm) 3.23 3.23 4.62 4.21 2.7 1-ヘキセン/エチレン(モル比) 0.48 0.37 0.38 0.29 0.45 組成分布(wt%) C6 全体 95.9 96.8 95.8 96.5 95.5 C6 中の1-hexen 含量 99.5 99.5 99.6 99.6 99.5 副生PE(wt%) 0.035 0.023 0.064 0.051 0.045 触媒効率( ×105) 9.45 6.47 15.5 8.71 6.60 ────────────────────────────────────
【0081】
【表8】 ──────────────────────────────────── 実施例 比較例 15 16 3 4 5 溶媒流量(L/hr) 1.8 4 1.8 4 4 Cr化合物量(mg/hr) 5.4 12 5.4 12 12 Cr化合物量(mmol/hr) 0.011 0.025 0.011 0.025 0.025 2,5-DMP 量(mmol/hr) 0.067 0.149 0.067 0.149 0.149 Et3Al 量(mmol/hr) 0.45 1.00 0.45 1.00 1.00ハロケ゛ン 化合物種類 A A A A Aハロケ゛ン 化合物量(mmol/hr) 0.045 0.100 0.045 0.100 0.100 触媒成分モル比(a:b:c:d) 1:6:40:4 1:6:40:4 1:6:40:4 1:6:40:4 1:6:40:4 反応圧力(Kg/cm2G) 70 70 50 50 35 反応温度(℃) 120 120 140 140 140 滞留時間(hr) 0.2 0.1 0.3 0.14 0.17 生成物量(g/hr) 653 986 209 387 33 反応帯域のCr濃度(ppm) 0.23 0.26 0.34 0.35 0.42 反応帯域のエチレン濃度(ppm) 3.88 3.88 2.29 2.29 1.55 1-ヘキセン/エチレン(モル比) 0.38 0.29 0.32 0.28 0.04 組成分布(wt%) C6 全体 95.4 96.6 95.1 96.7 94.3 C6 中の1-hexen 含量 99.5 99.5 98.9 99.1 95.1 副生PE(wt%) 0.134 0.03 0.305 0.059 1.03 触媒効率( ×105) 11.2 7.61 3.59 3.06 0.253 ────────────────────────────────────
【0082】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、クロム触
媒の性能を低下させることなく一層高い反応温度を採用
することが出来、従って、反応器中での副生ポリマーの
析出を防止して副生ポリマーと触媒成分とを共に濃縮し
て分離する方法にも容易に対応し得る、工業的に有利な
α−オレフイン低重合体の製造方法が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−268134(JP,A) 特開 平8−183747(JP,A) 特開 平10−7594(JP,A) 特開 平10−7593(JP,A) 特開 平10−71335(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 4/60 - 4/70 C07C 11/107

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低重合反応器中、クロム系触媒および反
    応溶媒の存在下、次の(1)及び(2)式を満足する反
    応条件でα−オレフインの低重合を行う(但し、内部オ
    レフィン化合物、非共役ジエン化合物および非共役トリ
    エン化合物から成る群より選ばれた1種以上の化合物を
    反応系に添加する場合を除く)ことを特徴とするα−オ
    レフイン低重合体の製造方法。 【数1】
  2. 【請求項2】 少なくとも、クロム化合物(a)、窒素
    含有化合物(b)、アルキルアルミニウム化合物(c)
    の組み合わせから成るクロム系触媒を使用する請求項1
    に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも、クロム化合物(a)、窒素
    含有化合物(b)、アルキルアルミニウム化合物
    (c)、ハロゲン含有化合物(d)の組み合わせから成
    るクロム系触媒を使用する請求項1に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 クロム化合物(a)、窒素含有化合物
    (b)、アルキルアルミニウム化合物(c)及びハロゲ
    ン含有化合物(d)のモル比(a):(b):(c):
    (d)は1:1〜50:1〜200:1〜50である請
    求項2又は3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 クロム化合物(a)とアルキルアルミニ
    ウム化合物(c)とが予め接触しない態様でα−オレフ
    インとクロム系触媒とを接触させてα−オレフインの低
    重合を行う請求項2〜4の何れかに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 α−オレフインの不存在下、炭化水素お
    よび/またはハロゲン化炭化水素溶媒中、窒素含有化合
    物(b)、アルキルアルミニウム化合物(c)及びハロ
    ゲン含有化合物(d)を接触させ、次いで、得られた触
    媒調製用反応液とクロム化合物(a)とを反応させるこ
    とによって調製されたクロム系触媒を使用する請求項1
    又は4に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 低重合反応器からの反応液を脱ガス塔に
    供給して未反応α−オレフインを回収し、脱ガス塔から
    の反応液を生成物蒸留塔に供給し、生成したα−オレフ
    イン低重合体を留出液として回収すると共に、副生ポリ
    マー及び触媒成分を共に濃縮して缶出液として回収し、
    その際、低重合反応器の出口から生成物蒸留塔の入口ま
    でのプロセスラインにおいて、反応液の温度を副生ポリ
    マーが反応液中に溶解状態として存在し得る温度に維持
    する請求項1〜6の何れかに記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 単一の生成物蒸留塔により、α−オレフ
    イン低重合体と反応溶媒と副生ポリマー及び触媒成分を
    含む高沸点成分とに分離する請求項7に記載の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 生成物蒸留塔から回収された副生ポリマ
    ー及び触媒成分を含む缶出液を加熱蒸発器に供給し、高
    沸点成分を回収すると共に、副生ポリマー及び触媒成分
    を更に濃縮して回収する請求項7又は8に記載の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 加熱蒸発器が十分な長さを持った加熱
    管と減圧保持可能な捕集缶とを備えたモノチューブ型蒸
    発器である請求項9に記載のα−オレフイン低重合体の
    製造方法。
  11. 【請求項11】α−オレフインがエチレンであり、α−
    オレフイン低重合体が主として1−ヘキセンである請求
    項1〜10の何れかに記載の製造方法。
  12. 【請求項12】単一の生成物蒸留塔により、1−ヘキセ
    ンと反応溶媒と副生ポリマー及び触媒成分を含む高沸点
    成分とに分離する請求項11に記載の製造方法。
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