JP5938934B2 - α−オレフィン低重合体製造用機器の洗浄方法 - Google Patents

α−オレフィン低重合体製造用機器の洗浄方法 Download PDF

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本発明は、α−オレフィン低重合体製造用機器の洗浄方法に関して、より詳細には原料エチレンを三量化して得られる1−ヘキセンの製造用機器の洗浄方法に関するものである。
α−オレフィン低重合体は、オレフィン系重合体のモノマーの原料として、また各種高分子のコモノマーとして、さらには可塑剤や界面活性剤、潤滑油などの原料として広く用いられている有用な物質である。中でも、エチレンを原料として低重合反応により得ることができる1−ヘキセンは、直鎖状低密度ポリエチレンの原料として有用であることが知られている。通常、α−オレフィンの低重合体は、触媒、中でも均一系触媒を用いて、溶媒の存在下で原料α−オレフィンを低重合反応させる方法で製造される。また、従来より、α−オレフィン低重合体を製造する際に、ポリエチレンなどのポリマー副生物が発生し反応器の内壁にそのポリマーが付着することが知られており、反応器の内壁からポリマーを洗浄除去する方法が検討されてきた。
例えば、特許文献1には、反応器内壁に付着したポリエチレン副生物や触媒残渣を取り除くために、高温で反応溶媒にアルコールを混ぜたものを反応器内の付着固形物と接触させて、固形物を取り除く方法が記載されている。また、特許文献2には、反応器を開放することなく、少なくとも75℃の温度の高温の溶媒を、反応器に供給して、反応器内壁に付着した固体を溶解して、反応器から排出して除去する方法が記載されている。
国際公開第01/47838号パンフレット 特表2009−504808号 公報
特許文献1、2に記載の反応器の洗浄方法は、反応終了後に溶媒を反応器に供給して固形物を除去するが、ともに高温の溶媒を使うことで、反応器内の固形物を十分に除去できると記載されているが、反応器内に原料のα−オレフィンの加圧下で洗浄を行う際、高温の溶媒であっても、十分に副生物を除去できないことが判明した。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、α−オレフィン低重合体製造用機器に付着した固形物を効率よく除去できる洗浄方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、反応器系内の気相部にα-オ
レフィンの加圧状態で溶媒を反応器に供給すると、気相部のα−オレフィンが溶媒に溶解してしまうので、副生固形物を溶解させるのに十分な溶解度が得られないことがわかった。そこで、反応器内の圧力を反応時よりも下げた状態で溶媒を供給することで、洗浄時の溶媒が固形副生物に対して良溶媒に近づくことを見出し、固形副生物を十分に溶解除去できることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[]に存する。
[1] 触媒を用いて溶媒存在下で原料α−オレフィンを低重合反応させ目的生成物であるα−オレフィン低重合体を得る反応器から構成されるα−オレフィン低重合体製造用機器を洗浄する方法であって
該反応器が、エチレン分離塔、高沸分離塔、及び、溶媒を反応器に循環供給するための溶媒循環配管を備えた連続反応プロセスに組み込まれたものであり、
該α−オレフィンがエチレンであり、該α−オレフィン低重合体が1−ヘキセンであり、
該低重合反応を停止させた後に、該反応器を開放することなく反応器に該溶媒を供給し
て、低重合反応時の原料α-オレフィンの分圧の1〜45%の圧力の原料α-オレフィンの雰囲気下で、該α−オレフィン低重合体製造用機器の内壁に付着した固形物を該溶媒に溶解して該内壁から取り除くことを特徴とするα−オレフィン低重合体製造用機器の洗浄方法。[2] 低重合反応時の原料α-オレフィンの分圧の4〜45%の圧力の原料α-オレフィ
ンの雰囲気下で前記α−オレフィン低重合体製造用機器の内壁に付着した固形物を前記溶媒に溶解して該内壁から取り除くことを特徴とする[1]に記載のα−オレフィン低重合体製造用機器の洗浄方法。
α−オレフィン低重合体の製造プロセスフローの1例を表す概略図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。
(α−オレフィン)
本発明において、原料α−オレフィンとして使用されるものとしては、例えば、炭素数2〜炭素数30の置換又は非置換のα−オレフィンが挙げられる。このようなα−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。中でも、エチレンが好適であり、エチレンを原料とした場合、エチレンの三量体である1−ヘキセンが高収率かつ高選択率で得ることができる。また、エチレンを原料として用いる場合、原料中にエチレン以外の不純物成分を含んでいても構わない。具体的な成分としては、メタン、エタン、アセチレン、二酸化炭素等が挙げられる。これらの成分は、原料のエチレンに対して0.1mol%以下であることが好ましい。
(α−オレフィン低重合体)
本発明におけるα−オレフィン低重合体とは、モノマーであるα−オレフィンが数個結合したオリゴマーを意味する。具体的には、モノマーであるα−オレフィンが2個〜10個結合した重合体のことである。
(触媒)
本発明の触媒とは、α−オレフィンを低重合反応させ、α−オレフィン低重合体を生成できる触媒であれば、特に限定されない。通常は、均一系触媒が好適に使用される。均一系触媒の中でも、少なくとも触媒成分として、遷移金属含有化合物、アルミニウム含有化合物及び窒素含有化合物を含む触媒を使用することが好ましい。以下、本発明の触媒の代表的な実施態様として、これらの触媒成分について詳述する。
(遷移金属含有化合物)
本発明の好適な触媒において用いられる遷移金属含有化合物として、その金属としては、遷移金属であれば特に限定されないが、中でも、周期表第4〜6族の遷移金属が好ましく用いられる。具体的に、好ましくは、クロム、チタン、ジルコニウム、バナジウム及びハフニウムからなる群より選ばれる1種類以上の金属であり、更に好ましくは、クロム又はチタンであり、最も好ましくは、クロムである。
遷移金属含有化合物としては、具体的には、一般式MeZで表される1種以上の化合物が挙げられる。
ここで、一般式中、Meは遷移金属元素、Zは任意の有機基又は無機基もしくは陰性原子、nは1から6の整数を表し、2以上が好ましい。nが2以上の場合、Zは同一又は相互に異なっていても良い。有機基としては、置換基を有していても良い炭素数1〜30の炭化水素基であればよく、具体的には、カルボニル基、アルコキシ基、カルボキシル基、β−ジケトナート基、β−ケトカルボキシル基、β−ケトエステル基、アミド基等が挙げられる。また、無機基としては、硝酸基、硫酸基等の金属塩形成基が挙げられる。また、陰性原子としては、酸素、ハロゲン等が挙げられる。なお、ハロゲンが含まれる遷移金属含有化合物は、後述するハロゲン含有化合物には含まれない。
遷移金属がクロムである遷移金属含有化合物(以下、クロム含有化合物と呼ぶことがある)の場合、具体例としては、クロム(IV)−tert−ブトキシド、クロム(III)ア
セチルアセトナート、クロム(III)トリフルオロアセチルアセトナート、クロム(III)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、クロム(III)(2,2,6,6−テトラメチル
−3,5−ヘプタンジオナート)、Cr(PhCOCHCOPh)(但し、ここでPhはフェニル基を示す。)、クロム(II)アセテート、クロム(III)アセテート、クロム
(III)2−エチルヘキサノエート、クロム(III)ベンゾエート、クロム(III)ナフテ
ネート、クロム(III)ヘプタノエート、Cr(CHCOCHCOOCH、塩化
第一クロム、塩化第二クロム、臭化第一クロム、臭化第二クロム、ヨウ化第一クロム、ヨウ化第二クロム、フッ化第一クロム、フッ化第二クロム等が挙げられる。
遷移金属がチタンである遷移金属含有化合物(以下、チタン含有化合物と呼ぶことがある)の場合、具体例としては、TiCl4 ,TiBr4 ,TiI4 ,TiBrCl3 ,TiBr2 Cl2 ,Ti(OC2 5 4 ,Ti(OC2 5 2 Cl2 ,Ti(O−n−C3 74 ,Ti(O−n−C3 7 2 Cl2 ,Ti(O−iso−C3 7 4
Ti(O−iso−C3 7 2 Cl2 ,Ti(O−n−C4 9 4 ,Ti(O−n−C4 9 2 Cl2 ,Ti(O−iso−C4 9 4 ,Ti(O−iso−C4 9 2 Cl2 ,Ti(O−tert−C4 9 4 ,Ti(O−tert−C4 9 2 Cl2 ,TiCl(thf)(左記化学式中、thfはテトラヒドロフランを表す)、Ti((CH3 2 N)4 ,Ti((C2 5 2 N)4 ,Ti((n−C3 7 2 N)4 ,Ti((iso−C3 7 2 N)4 ,Ti((n−C4 9 2 N)4 ,Ti((tert−C4 9 2 N)4 ,Ti(OSO3 CH3 4 ,Ti(OSO3 2 5 4 ,Ti(OSO33 7 4 ,Ti(OSO3 4 9 4 ,TiCp2 Cl2 ,T
iCp2 ClBr,Ti(OCOC2 5 4 ,Ti(OCOC2 5 2 Cl2 ,Ti(OCOC3 7 4 ,Ti(OCOC3 7 2 Cl2 ,Ti(OCOC3 7 4 ,Ti(OCOC3 7 2 Cl2 ,Ti(OCOC4 9 4 ,Ti(OCOC4 9 2 Cl2などが挙げられる。
遷移金属がジルコニウムである遷移金属含有化合物(以下、ジルコニウム含有化合物と呼ぶことがある)の場合、具体例としては、ZrCl4 ,ZrBr4 ,ZrI4 ,ZrBrCl3 ,ZrBr2 Cl2 ,Zr(OC2 5 4 ,Zr(OC2 5 2 Cl2 ,Zr(O−n−C3 7 4 ,Zr(O−n−C3 7 2 Cl2 ,Zr(O−iso−C3 7 4 ,Zr(O−iso−C3 7 2 Cl2 ,Zr(O−n−C4 9 4 ,Zr(O−n−C4 9 2 Cl2 ,Zr(O−iso−C4 9 4 ,Zr(O−iso−C4 9 2 Cl2 ,Zr(O−tert−C4 9 4 ,Zr(O−tert−C4 9 2 Cl2 ,Zr((CH3 2 N)4 ,Zr((C2 5 2 N)4,Zr((n
−C3 7 2 N)4 ,Zr((iso−C3 7 2 N)4 ,Zr((n−C4 9 2 N)4 ,Zr((tert−C4 9 2 N)4 ,Zr(OSO3 CH3 4 ,Zr(OSO3 2 5 4 ,Zr(OSO3 3 74 ,Zr(OSO3 4 9 4 ,Z
rCp2 Cl2 ,ZrCp2 ClBr,Zr(OCOC2 5 4 ,Zr(OCOC2 5 2 Cl2 ,Zr(OCOC3 7 4 ,Zr(OCOC3 7 2 Cl2 ,Zr(O
COC3 74 ,Zr(OCOC3 7 2 Cl2 ,Zr(OCOC4 9 4 ,Zr
(OCOC4 9 2 Cl2 ,ZrCl2 (HCOCFCOF)2,ZrCl2 (CH3
COCFCOCH3 2 などが挙げられる。
遷移金属がハフニウムである遷移金属含有化合物(以下、ハフニウム含有化合物と呼ぶことがある)の場合、具体例としては、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−イソプロピル−4H−アズレニル)}ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}〕ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(3−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−{2−メチル−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピル−4H−アズレニル)}ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−アントラセニル)−4H−アズレニル}〕ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(2−アントラセニル)−4H−アズレニル}〕ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(9−フェナンスリル)−4H−アズレニル}〕ハフニウムジクロリド、ジメチルメチレンビス[1−{2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル}]ハフニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−{2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル}]ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4―(3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル−4H−アズレニル)}ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレ2ン[1−{2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル}][1−{2−メチル−4−(4−ビフェニリル)インデニル}]ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレン{1−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル}〕ハフニウムジクロリド等が挙げられる。
これらの遷移金属含有化合物の中でも、クロム含有化合物が好ましく、クロム含有化合物の中でも、特に好ましくは、クロム(III)2−エチルヘキサノエートである。
(アルミニウム含有化合物)
本発明の好適な触媒において用いられるアルミニウム含有化合物としては、トリアルキルアルミニウム化合物、アルコキシアルキルアルミニウム化合物、又は水素化アルキルアルミニウム化合物等などが挙げられる。トリアルキルアルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが挙げられる。アルコキシアルミニウム化合物の具体的な例としては、ジエチルアルミニウムエトキシドが挙げられる。水素化アルキルアルミニウム化合物の具体的な例としては、ジエチルアルミニウムヒドリドが挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアルミニウム化合物が好ましく、トリエチルアルミニウムが更に好ましい。これらの化合物は、単一の化合物を使用しても、複数の化合物を混合して用いても良い。
(窒素含有化合物)
本発明の好適な触媒において用いられる窒素含有化合物としては、アミン、アミド又はイミド等が挙げられる。アミン類としては、例えばピロール化合物が挙げられ、具体例としては、ピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、2−メチル−5−エチルピロール、2,5−ジメチル−3−エチルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジクロロピロール、2,3,4,5−テトラクロロピロール、2−アセチルピロール、2−メチル−4−イソプロピルピロール、2,5−ジエチルピロール、2,5−ジベンジルピロール、2,5−ジイソプロピルピロール、2つのピロール環が置換基を介して結合したジピロール等のピロール又はこれらの誘導体が挙げられる。誘導体としては、例えば、金属ピロライド誘導体が挙げられ、具体例としては、例えば、ジエチルアルミニウムピロライド、エチルアルミニウムジピロライド、アルミニウムトリピロライド、ジエチルアルミニウム(2,5−ジメチルピロライド)、エチルアルミニウムビス(2,5−ジメチルピロライド)、アルミニウムトリス(2,5−ジメチルピロライド)等のアルミニウムピロライド類、ナトリウムピロライド、ナトリウム(2,5−ジメチルピロライド)等のナトリウムピロライド類、リチウムピロライド、リチウム(2,5−ジメチルピロライド)等のリチウムピロライド類、カリウムピロライド、カリウム(2,5−ジメチルピロライド)等のカリウムピロライド類が挙げられる。なお、アルミニウムピロライド類は、上述のアルミニウム含有化合物には含まれない。また、ハロゲンを含有するピロール化合物は、上述のハロゲン含有化合物には含まれない。
アミド類としては、例えば、アセトアミド、N−メチルヘキサンアミド、スクシンアミド、マレアミド、N−メチルベンズアミド、イミダゾール−2−カルボキソアミド、ジ−2−テノイルアミン、β−ラクタム、δ−ラクタム、ε−カプロラクタム又はこれらと周期表の1、2若しくは13族の金属との塩が挙げられる。
イミド類としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド、スクシンイミド、フタルイミド、マレイミド、2,4,6−ピペリジントリオン、ペルヒドロアゼシン−2,10−ジオン又はこれらと周期律表の1、2若しくは13族の金属との塩が挙げられる。スルホンアミド類およびスルホンイミド類としては、例えば、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルホンアミド、N−メチルトリフルオロメチルスルホンアミド、又はこれらと周期律表の1〜2若しくは13族の金属との塩が挙げられる。これらの化合物は単一の化合物で使用しても、複数の化合物で使用しても良い。
本発明では、これらの中でも、アミン類が好ましく、中でも、ピロール化合物がより好ましく、特に好ましくは2,5−ジメチルピロール又はジエチルアルミニウム(2,5−ジメチルピロライド)である。
また、本発明で均一系触媒を使用する場合、上述の遷移金属含有化合物、アルミニウム含有化合物及び窒素含有化合物の3つの成分に加えて、更にハロゲン含有化合物を含むことがより好ましい。ハロゲン含有化合物としては、ハロゲン化アルキルアルミニウム化合物、ベンジルクロリド骨格含有化合物、3個以上のハロゲン原子を有する炭素数2以上の直鎖状ハロゲン化炭化水素、3個以上のハロゲン原子を有する炭素数3以上の環状ハロゲン化炭化水素の1種以上の化合物が挙げられる(ハロゲン化アルキルアルミニウム化合物は、アルミニウム含有化合物には含まない)。例えば、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ベンジルクロリド、(1−クロロエチル)ベンゼン、2−メチルベンジルクロリド、3−メチルベンジルクロリド、4−メチルベンジルクロリド、4−エチルベンジルクロリド、4−イソプロピルベンジルクロリド、4−tert−ブチルベンジルクロリド、4−ビニルベンジルクロリド、α−エチル−4−メチルベンジルクロリド、α,α´−ジクロロ−o−キシレン、α,α´−ジクロロ−m−キシレン、α,α´−ジクロロ−p−キシレン、2,4−ジメチルベンジルクロリド、2,5−ジメチルベンジルクロリド、2,6−ジメチルベンジルクロリド、3,4−ジメチルベンジ
ルクロリド、2,3,5,6−テトラメチルベンジルクロリド、1−(クロロメチル)ナフタレン、1−(クロロメチル)−2−メチルナフタレン、1,4−ビス−クロロメチル−2,3−ジメチルナフタレン、1,8−ビス−クロロメチル−2,3,4,5,6,7−ヘキサメチルナフタレン、9−(クロロメチル)アントラセン、9,10−ビス(クロロメチル)アントラセン、7−(クロロメチル)ベンズアントラセン、7−クロロメチル−12−メチルベンズアントラセン、四塩化炭素、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,2,3−トリクロロシクロプロパン、1,2,3,4,5,6−ヘキサクロロシクロヘキサン、1,4−ビス(トリクロロメチル)−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン等が挙げられる。
本発明において、低重合反応に用いられる触媒が、上述の遷移金属含有化合物、アルミニウム含有化合物及び窒素含有化合物を含む3成分の触媒又はハロゲン含有化合物を更に含む4成分の触媒である場合、遷移金属含有化合物とアルミニウム含有化合物とが予め接触しない、又は予めの接触時間が短い態様で、原料α−オレフィンと触媒とを接触させるのが好ましい。このような接触態様により、選択的に原料α−オレフィンの低重合反応を行うことができ、原料α−オレフィンの低重合体を高収率で得ることができる。なお、本発明において、「遷移金属含有化合物と、アルミニウム含有化合物とが予め接触しない、又は予めの接触時間が短い態様」とは、反応の開始時だけでなく、その後原料α−オレフィン及び各触媒成分を反応器へ追加供給する際においても上記の態様が維持されることを意味する。
遷移金属含有化合物とアルミニウム化合物とが予め接触する態様で触媒を使用した場合にα−オレフィンの低重合反応の活性が低くなる理由は、未だ詳らかではないが、次の様に推定される。
例えば、遷移金属含有化合物とアルミニウム含有化合物とを接触させた場合、遷移金属含有化合物に配位している配位子とアルキルアルミニウム化合物中のアルキル基との間で配位子交換反応が進行し、不安定になると考えられる。そのため、アルキル−遷移金属含有化合物の分解還元反応が優先して進行し、その結果、α−オレフィンの低重合反応に不適当なメタル化が起こり、α−オレフィンの低重合反応の活性が低下する。
そのため、触媒が、上記の4成分、即ち遷移金属含有化合物(a)、窒素含有化合物(b)、アルミニウム含有化合物(c)及びハロゲン含有化合物(d)の場合は、各成分の接触の態様は、通常、(1)触媒成分(b)、(c)及び(d)を含む溶液中に触媒成分(a)を導入する方法、(2)触媒成分(a)、(b)及び(d)を含む溶液中に触媒成分(c)を導入する方法、(3)触媒成分(a)及び(d)を含む溶液中に触媒成分(b)及び(c)を導入する方法、(4)触媒成分(c)及び(d)を含む溶液中に触媒成分(a)及び(b)を導入する方法、(5)触媒成分(a)及び(b)を含む溶液中に触媒成分(c)及び(d)を導入する方法、(6)触媒成分(b)及び(c)を含む溶液中に触媒成分(a)及び(d)を導入する方法、(7)触媒成分(c)を含む溶液中に触媒成分(a)、(b)及び(d)を導入する方法、(8)触媒成分(a)を含む溶液中に触媒成分(b)〜(d)を導入する方法、(9)各触媒成分(a)〜(d)をそれぞれ同時かつ独立に反応器に導入する方法などによって行われる。そして、上記の各溶液は、通常、反応に使用される溶媒を使用して調製される。
(溶媒)
本発明で用いられる溶媒としては、特に限定されないが、飽和炭化水素が好適に使用され、好ましくは、例えば、ブタン、ペンタン、3−メチルペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、2−メチルヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、デカリン等の炭素数1〜20の鎖状飽和炭化水素又は炭
素数1〜20の脂環式飽和炭化水素である。また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素やα−オレフィン低重合体を溶媒として用いてもよい。これらは、単独で使用する他、混合溶媒として使用することもできる。
これらの溶媒の中でも、ポリエチレン等の副生ポリマーの生成あるいは析出を抑制できるという点、更に、高い触媒活性が得られる傾向にあるという観点から、炭素数4〜炭素数10の鎖状飽和炭化水素又は脂環式飽和炭化水素を用いるのが好ましく、具体的には、n−ヘプタン又はシクロヘキサンが好ましく、最も好ましくは、n−ヘプタンである。
(低重合反応条件)
本発明において、触媒として均一系触媒を使用し、且つ上述の遷移金属含有化合物、アルミニウム含有化合物及び窒素含有化合物を含む3成分の触媒又はハロゲン含有化合物を更に含む4成分の触媒である場合、各構成成分の比率は、通常、遷移金属含有化合物1モルに対し、アルミニウム含有化合物は1モル〜200モル、好ましくは10モル〜150モルであり、窒素含有化合物は、1モル〜50モル、好ましくは1モル〜30モルである。また、ハロゲン含有化合物を含む場合は、1モル〜60モル、好ましくは、3モル〜40モルである。
本発明において、触媒の使用量は特に限定されないが、上述の遷移金属含有化合物、アルミニウム含有化合物及び窒素含有化合物を含む3成分の触媒又はハロゲン含有化合物を更に含む4成分の触媒である場合、通常、溶媒1リットルあたり、遷移金属含有化合物の遷移金属1原子あたり1.0×10−9モル〜0.5モル、好ましくは5.0×10−9モル〜0.2モル、更に好ましくは1.0×10−8モル〜0.05モルとなる量である。
本発明において、低重合反応の反応温度としては、特に限定されないが、通常、0〜250℃であり、好ましくは50〜200℃、更に好ましくは80〜170℃である。
また、反応圧力としては、特に限定されないが、通常は常圧〜25MPaであり、好ましくは、0.5〜15MPa、さらに好ましくは、1〜10MPaの範囲である。原料α−オレフィンの分圧としては、特に限定されないが、通常は常圧〜23MPaであり、好ましくは、0.4〜14MPa、さらに好ましくは、0.9〜9.3MPaの範囲である。本発明における低重合反応時の原料α−オレフィンの分圧とは、ある一定の長期間で定常運転の際の低重合反応における原料α−オレフィンの圧力のことであり、本発明の洗浄方法を行う前に一時的に所定の原料の圧力より低い圧力で行われる低重合反応時の原料α−オレフィンの分圧は、本発明における低重合反応時の原料α−オレフィンの分圧には該当しない。
また、反応器内での滞留時間は、特に限定されないが、通常は1分〜10時間、好ましくは3分〜3時間、更に好ましくは5分〜40分の範囲である。
反応形式は、回分式、半回分式または連続式のいずれであってもよい。
(α−オレフィン低重合体の製造方法)
次に、α−オレフィンとしてエチレンを用い、α−オレフィン低重合体としてエチレンの三量体である1−ヘキセンへの低重合を例に挙げ、α−オレフィン低重合体の製造方法について説明する。
図1は、α−オレフィン低重合体の製造フロー例を説明する図である。
図1に示すエチレンを原料とする1−ヘキセンの製造フロー例には、エチレンを触媒存在下で低重合させる完全混合撹拌型の反応器10と、反応器10から抜き出された反応液から未反応エチレンガスを分離する脱ガス槽20と、脱ガス槽20から抜き出された反応
液中のエチレンを溜出させるエチレン分離塔30と、エチレン分離塔30から抜き出された反応液中の高沸点物質を分離する高沸分離塔40と、高沸分離塔40の塔頂から抜き出された反応液を蒸留し、1−ヘキセンを溜出させるヘキセン分離塔50とが示されている。また、脱ガス槽20及びコンデンサー16において分離された未反応エチレンを循環配管21を介して反応器10に循環させる圧縮機17が設けられている。
図1おいて、反応器10としては、例えば、撹拌機10a、バッフル、ジャケット等が付設された従来周知の形式のものが挙げられる。撹拌機10aとしては、パドル、ファウドラー、プロぺラ、タービン等の形式の撹拌翼が、平板、円筒、ヘアピンコイル等のバッフルとの組み合わせで用いられる。
図1に示すように、エチレン供給配管12aから圧縮機17及び第1供給配管12を介して、反応器10にエチレンが連続的に供給される。ここで、圧縮機17が、例えば、2段圧縮方式の場合、1段目に循環配管31を接続し、2段目に循環配管21を接続することにより、電気代の低減が可能である。また、第2供給配管13からは、エチレンの低重合反応に使用する溶媒が反応器10に供給される。
他方、予め、触媒槽(図示せず)で調製された遷移金属含有化合物及び窒素含有化合物が、触媒供給配管13aを介して第2供給配管13から反応器10に供給され、第3供給配管14からアルミニウム含有化合物が供給され、第4供給配管15からハロゲン含有化合物が供給される。ここで、ハロゲン含有化合物は、供給管を介して第2供給配管13から反応器10に供給してもよい。また、アルミニウム含有化合物も遷移金属含有化合物との接触時間が数分以内で反応器10に供給されるのであれば、供給管を介して第2供給配管13から反応器10に供給してもよい。この方式の際には、第2供給配管13と反応器10の間にスタティックミキサー等を設置すれば、各触媒成分の均一混合液を反応器10に供給できる為、反応器10の撹拌動力が低減される。
本実施の形態では、反応器10における反応温度としては、特に限定されないが、通常は0℃〜250℃、好ましくは50℃〜200℃、更に好ましくは80℃〜170℃である。
また、反応圧力としては、特に限定されないが、通常は常圧〜25MPaであり、好ましくは、0.5〜15MPa、さらに好ましくは、1〜10MPaの範囲である。
さらに、エチレンの三量化反応は、反応液中のエチレンに対する1−ヘキセンのモル比((反応液中の1−ヘキセンのモル濃度)/(反応液中のエチレンのモル濃度))が0.05〜1.5、特に0.10〜1.0となるように行うのが好ましい。即ち、連続反応の場合には、反応液中のエチレンと1−ヘキセンとのモル比が上記の範囲になるように、触媒濃度、反応圧力その他の条件を調節することが好ましい。また、回分反応の場合には、モル比が、上記の範囲にある時点において、エチレンの三量化反応を中止させることが好ましい。
このような条件でエチレンの三量化反応を行うことにより、1−ヘキセンよりも沸点の高い成分の副生が抑制されて、1−ヘキセンの選択率が更に高められる傾向がある。
次に、反応器10の底から配管11を介して連続的に抜き出された反応液は、失活剤供給配管11aから供給された失活剤によりエチレンの三量化反応が停止され、脱ガス槽20に供給される。脱ガス槽20では上部から未反応エチレンが脱ガスされ循環配管21、コンデンサー16、圧縮機17及び第1供給配管12を介して反応器10に循環供給される。また、脱ガス槽20の槽底から未反応エチレンが脱ガスされた反応液が抜き出される。脱ガス槽20の運転条件は、特に限定されないが、通常は温度0℃〜240℃、好ましくは、50℃〜190℃であり、圧力は特に限定されないが、通常は常圧〜14MPa、好ましくは、常圧〜9MPaである。
続いて、脱ガス槽20において未反応エチレンが脱ガスされた反応液は、脱ガス槽20の槽底から抜き出され、配管22によりエチレン分離塔30に供給される。エチレン分離塔30では蒸留により塔頂部からエチレンが溜出され、循環配管31及び第1供給配管12を介して反応器10に循環供給される。また、塔底部からエチレンが除去された反応液が抜き出される。
エチレン分離塔30の運転条件は、通常、塔頂部圧力は特に限定されないが、常圧〜3MPa、好ましくは、常圧〜2MPa、また、還流比(R/D)は、通常、0〜500、好ましくは、0.1〜100である。
次に、エチレン分離塔30においてエチレンを溜出した反応液は、エチレン分離塔30の塔底から抜き出され、配管32により高沸分離塔40に供給される。高沸分離塔40では、塔底から高沸点成分が抜き出される。また、塔頂から配管42により高沸点成分が分離された溜出物が抜き出される。高沸分離塔40の運転条件は、通常、塔頂部圧力は特に限定されないが、通常は0.01MPa〜1MPa、好ましくは、0.05MPa〜0.5MPa、また、還流比(R/D)は、特に限定されないが、通常は0〜100、好ましくは、0.1〜20である。
続いて、高沸分離塔40の塔頂部から溜出物として抜き出された反応液は、配管41によりヘキセン分離塔50に供給される。ヘキセン分離塔50では塔頂部から蒸留による1−ヘキセンが配管51により溜出される。また、ヘキセン分離塔50の塔底部から溶媒循環配管52を介してヘプタンが抜き出され、溶媒ドラム60にバイパスして、さらに、第2供給配管13を介して反応溶媒として反応器10に循環供給される。ヘキセン分離塔50の運転条件は、特に限定されないが、通常は塔頂部圧力0.01MPa〜1MPa、好ましくは、0.05MPa〜0.5MPa、また、還流比(R/D)は、通常、0〜100、好ましくは0.1〜20である。
(α−オレフィン低重合体製造用機器)
本発明におけるα−オレフィン低重合体製造用機器とは、反応器そのものに加え、反応器に付帯する機器や配管を含めた機器のことである。具体的には、α−オレフィン低重合反応中、原料α−オレフィンが気相部に存在し反応器内の機器又は反応器から流出される触媒成分を含む反応液が経由する機器を指す。具体的には、反応器内の攪拌機、反応液抜き出し配管、熱交換器及び反応液を蒸留する分離塔(蒸留塔)などである。
本発明の洗浄方法が適用される装置として、例えば、図1のα−オレフィン低重合体の製造フローでは、具体的には、反応器10、攪拌機10a、配管11、配管22、脱ガス槽20、エチレン分離塔30が挙げられる。
(固形物)
本発明では、α−オレフィンの低重合反応により副生する固形物がα−オレフィン低重合体製造用機器の内壁に付着して存在する場合、それらを溶媒を用いて溶解して除去する。この場合の固形物とは、モノマーであるα−オレフィンが構成単位として20以上含まれるポリマーや反応器に供給された触媒成分の残渣などが含まれる。なお、これらは、α−オレフィンの低重合反応中に、一部反応溶媒に溶解するが、溶解しないものは、機器の内壁に存在したままになる。反応系から除去する使用する溶媒としては、反応時に使用する溶媒と同じ溶媒が好適に使用される。
(洗浄方法)
本発明において、洗浄とは、固形物を溶媒で溶解、または膨潤させて除去することで系内より除去する操作を意味する。また、気相部に付着した固形物は溶媒に溶解させる際に、予め溶媒を直接固形物に噴射して機器の内壁から剥ぎ取った後、溶媒に溶解させてもよ
い。
本発明において、α−オレフィン低重合反応用機器を洗浄する時期は、特に限定されないが、α−オレフィンの低重合反応が行われない状態で洗浄するのが好ましい。その状態とは、新たな触媒成分を反応器に供給しない状態である。具体的に、例えば、α−オレフィンの低重合反応を停止した後に、反応器を開放することなく洗浄することが好ましい。その理由としては、機器開放に伴う様々な作業を省くことができること、また固形物中の触媒残渣が開放により発熱することを抑制できることなどが挙げられる。
また、洗浄対象となるプロセスの気相部には原料α−オレフィンが加圧された状態で洗浄が行われる。この理由としては、プロセス内に溶媒を循環させるのに気相部を加圧状態にしないと溶媒が循環できないこと、また原料α−オレフィン以外の不活性ガスなどの他のガスで加圧しようとすると、他のガスをプロセス内に導入して原料α−オレフィンと入れ替えする際に原料α−オレフィンを系外へパージしなければならず、原料α−オレフィンをそのまま使用すればパージによる原料コストの上昇を抑制でき、かつ切り替えによる操作の軽減ができること、などが挙げられる。
本発明は、α−オレフィン低重合体製造用機器に付着した固形物を溶媒に溶解して取り除くが、その際の原料α−オレフィンの分圧を低重合反応時よりも低い圧力の状態で溶媒に溶解させることを特徴とする。こうすることで、高温の洗浄液(溶媒を含む)を使用して固形物を除去するよりも効率よく固形物を除去することができる。その理由としては、次のようなことが推測される。本発明の洗浄方法で除去する固形物は、主に低重合反応中に溶媒に溶解できず、内壁に付着した固形物である。溶解させるためには、固形物が十分溶解しやすい溶媒を用いることが好ましいが、溶媒中にα−オレフィン等が溶解すると、そのα−オレフィンが貧溶媒として働き、固形物が溶媒に十分に溶解できなくなる。そのため、原料α−オレフィンが溶解しないように気相中のα−オレフィンの分圧を可能な限り低減することで、固形物が溶媒に溶解しやすくなると考える。
なお、洗浄時の圧力としては、原料α−オレフィンがエチレンで、α−オレフィン低重合体が1−ヘキセンの場合であれば、具体的には、好ましくは反応時の原料α−オレフィンの圧力に対して1%〜75%の圧力、さらに好ましくは反応時の原料α−オレフィンの圧力に対して4%〜45%の圧力である。また、洗浄に使用する溶媒の温度としては、洗浄時の原料α−オレフィンの分圧により適宜好適な温度を設定することが可能であるが、70℃〜250℃が好ましく、更に好ましくは80℃〜200℃、特に好ましくは90℃〜170℃である。
洗浄時に使用する溶媒中の原料α−オレフィンの濃度は、溶媒に溶解するα−オレフィンの質量を溶媒量で除して、百分率で表したものを意味する。この濃度として、好ましくは0〜16wt%、さらに好ましくは0〜8wt%である。
<実施例>
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
図1に示す製造フローを用いて、後述の方法にてエチレンの連続低重合反応を行った。その後、所定の条件にて反応器の洗浄を行い、反応器の器壁に付着していた副生ポリマーを排出させた。洗浄効率を把握するため、エチレン分離塔30の塔底よりサンプリングを行い、溶媒中の濃度を測定した。また反応器における溶媒であるn−ヘプタン中のエチレン濃度は、第1供給配管12から反応器10に供給されるエチレン量を第2供給配管13から反応器10に供給されるn−ヘプタン量で除して百分率で表すことで、n−を算出した。
図1の製造フローには、エチレンを触媒存在下で低重合させる完全混合撹拌型の反応器10と、反応器10から抜き出された反応液から未反応エチレンガスを分離する脱ガス槽20と、脱ガス槽20から抜き出された反応液中のエチレンを溜出させるエチレン分離塔30と、エチレン分離塔30から抜き出された反応液中の高沸点物質を分離する高沸分離塔40と、高沸分離塔40の塔頂から抜き出された反応液を蒸留し、1−ヘキセンを溜出させるヘキセン分離塔50とが示されている。また、脱ガス槽20及びコンデンサー16において分離された未反応エチレンを循環配管21を介して反応器10に循環させる圧縮機17が設けられている。
第1供給配管12からは、エチレン供給配管12aから新たに供給されるエチレンと共に、脱ガス槽20及びエチレン分離塔30から分離される未反応エチレンを圧縮機17により反応器10に連続供給する。また、第2供給配管13から、ヘキセン分離塔50にて分離される回収n−ヘプタン溶媒を、溶媒ドラム60(0.2MPa窒素シール)をバイパスさせ、流量25kg/Hrで反応器10に連続供給する。
次に、触媒供給配管13aから、クロム(III)2−エチルヘキサノエート(a)と2,5−ジメチルピロール(b)とを含有するn−ヘプタン溶液を、流量0.04L/Hrで供給し、第2供給配管13を介して反応器10に連続供給する。また、トリエチルアルミニウム(c)のn−ヘプタン溶液を、流量0.04L/Hrで、第3供給配管14から反応器10に連続供給する。さらに、ヘキサクロロエタン(d)のn−ヘプタン溶液を、流量0.02L/Hrで、第4供給配管15から反応器10に連続供給する。
触媒各成分の溶液は、0.2MPaの窒素シールタンク(図示せず)から供給する。
尚、触媒は、各成分のモル比が、(a):(b):(c):(d)=1:25:80:5なるように反応器10に連続供給する。
反応器10から連続的に抜き出される反応液は、失活剤供給配管11aから2−エチルヘキサノールが流量0.007L/Hrで添加され、その後、順次、脱ガス槽20、エチレン分離塔30、高沸分離塔40、ヘキセン分離塔50にて処理される。
反応器の洗浄時は、触媒(a)、(b)、(c)、(d)及び失活剤である2−エチルヘキサノールの触媒供給配管13a、第3供給配管14、第4供給配管15、失活剤供給配管11aからのフィードを停止し、溶媒であるn−ヘプタンを系内で循環させた。また圧力を保持するためにエチレンをエチレン供給配管12aから圧縮機17、第1供給配管12を介して反応器10に供給した。反応器10にてn−ヘプタンに溶解したエチレンは、脱ガス槽20及びエチレン分離塔30においてn−ヘプタンと分離され、循環配管21、31及び圧縮機17、第1供給配管12を介して反応器10に再度供した。
[実施例1]
140℃、7.0MPaGでエチレンの連続低重合反応を30日間行った。その後、触媒(a)、(b)、(c)、(d)のフィードを停止し、溶媒であるn−ヘプタンのみ25kg/Hrを系内で循環させた。温度は140℃、気相部のエチレンの圧力は3.0MPaGで実施した。所定の圧力、温度に設定後、8時間後にエチレン分離塔30のBTMより液のサンプリングを行った。サンプルは採取した液の重量を測定後、ポリマーをろ過した。ろ過したポリマーは減圧乾燥機を用いて、真空下、80℃にて1時間乾燥し、冷却後、重量を測定した。測定したポリマー量を液の重量で除して液中のポリマー濃度を算出した。結果を表−1に示す。
[比較例1]
実施例1において、溶媒循環中の気相部のエチレンの圧力を7.0MPaGにした以外
は、全て同様の方法を行った。結果を表−1に示す。
[実施例2]
実施例1において、エチレンの連続低重合反応時の温度を125℃、溶媒循環中の溶媒の温度を120℃にした以外は、全て同様の方法を行った。結果を表−1に示す。
[比較例2]
実施例2において、溶媒循環中の気相部のエチレンの圧力を7.0MPaGにした以外は、全て同様の方法を行った。結果を表−1に示す。
Figure 0005938934
実施例1、2と比較例1、2の結果より、反応時の気相部のエチレン分圧よりも洗浄時の気相部のエチレンの分圧を下げた時の方が、n−ヘプタン中のポリマー濃度が高いことが分かる。以上のことから、ヘキセン製造用機器を洗浄する際は、反応時のエチレン分圧よりも低いエチレンの圧力下で洗浄することで、ヘキセン製造用機器の内壁に付着した固形物を十分に溶解除去できることが期待される。
10 反応器
10a 撹拌機
11,22,32,41,42,51 配管
11a 失活剤供給配管
12 第1供給配管
12a エチレン供給配管
13 第2供給配管
13a 触媒供給配管
14 第3供給配管
15 第4供給配管
21,31 循環配管
16 コンデンサー
17 圧縮機
20 脱ガス槽
30 エチレン分離塔
40 高沸分離塔
50 ヘキセン分離塔
52 溶媒循環配管
60 溶媒ドラム

Claims (2)

  1. 触媒を用いて溶媒存在下で原料α−オレフィンを低重合反応させ目的生成物であるα−オレフィン低重合体を得る反応器から構成されるα−オレフィン低重合体製造用機器を洗浄する方法であって
    該反応器が、エチレン分離塔、高沸分離塔、及び、溶媒を反応器に循環供給するための溶媒循環配管を備えた連続反応プロセスに組み込まれたものであり、
    該α−オレフィンがエチレンであり、該α−オレフィン低重合体が1−ヘキセンであり、
    該低重合反応を停止させた後に、該反応器を開放することなく反応器に該溶媒を供給して、低重合反応時の原料α-オレフィンの分圧の1〜45%の圧力の原料α-オレフィンの雰囲気下で、該α−オレフィン低重合体製造用機器の内壁に付着した固形物を該溶媒に溶解して該内壁から取り除くことを特徴とするα−オレフィン低重合体製造用機器の洗浄方法。
  2. 低重合反応時の原料α-オレフィンの分圧の4〜45%の圧力の原料α-オレフィンの雰
    囲気下で前記α−オレフィン低重合体製造用機器の内壁に付着した固形物を前記溶媒に溶解して該内壁から取り除くことを特徴とする請求項1に記載のα−オレフィン低重合体製造用機器の洗浄方法。
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