JP5793899B2 - 1−ヘキセンの製造方法 - Google Patents
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また、特許文献2には、反応系へ循環する溶媒中に目的生成物であるα−オレフィン低重合体よりも沸点が高い副生物や変質した触媒成分が蓄積されないようにヘプタン分離塔が記載されているが、この方法で連続運転すると、触媒活性が次第に低下する問題があった。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下[1]〜[4]を要旨とする。
[1]MeZn(Meはクロム、Zは、置換基を有していても良い炭素数1〜30の炭化水素基、nは2から6の整数を表す)、2,5−ジメチルピロール及びトリアルキルアルミニウムより形成される触媒を用いて、原料エチレンを反応器に連続的に供給し、溶媒の存在下、反応器内で該原料エチレンを三量化反応させ1−ヘキセンを生成し、該1−ヘキセンを含む反応液を該反応器から連続的に抜き出し、該反応液から溶媒を分離し、分離された溶媒を該反応器へ連続的に循環供給するにあたり、定常状態における循環供給する溶媒中の2,5−ジメチルピロールの濃度が5.0wtppm以上200wtppm以下であり、該MeZnに対する2,5−ジメチルピロールのモル比が12〜27である1−ヘキセンの製造方法。
[2] 前記反応液から目的生成物である1−ヘキセンよりも沸点が高い副生物を分離する際に、蒸留塔を用いて蒸留を行い、且つ還流比を1.0以下とすることを特徴とする[1]に記載の1−ヘキセンの製造方法。
[3] 前記触媒が、更にハロゲン含有化合物を含む[1]又は[2]に記載の1−ヘキセンの製造方法。
[4] 前記溶媒が、飽和炭化水素である、[1]〜[3]いずれか1項に記載の1−ヘキセンの製造方法。
(触媒)
本発明で使用する触媒は、α−オレフィンを低重合反応させ、α−オレフィン低重合体を生成できる触媒であれば、特に限定されないが、少なくとも触媒成分として遷移金属含有化合物、窒素含有化合物及びアルミニウム含有化合物の各触媒成分の組み合わせからなる触媒系が使用される。また、これらの3つの触媒成分に加え、ハロゲン含有化合物を更に含有することが好ましい。
本実施の形態が適用されるα−オレフィン低重合体の製造方法において、触媒を構成する成分の一つとして使用する遷移金属含有化合物としては、遷移金属を含む化合物であれば特に限定されないが、中でも、周期表第4〜6族の遷移金属が好ましく用いられる。具体的に、好ましくは、クロム、チタン、ジルコニウム、バナジウム及びハフニウムからな
る群より選ばれる1種類以上の金属であり、更に好ましくは、クロム又はチタンであり、最も好ましくは、クロムである。
セチルアセトナート、クロム(III)トリフルオロアセチルアセトナート、クロム(III)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、クロム(III)(2,2,6,6−テトラメチル
−3,5−ヘプタンジオナート)、Cr(PhCOCHCOPh)3(但し、ここでPhはフェニル基を示す。)、クロム(II)アセテート、クロム(III)アセテート、クロム
(III)2−エチルヘキサノエート、クロム(III)ベンゾエート、クロム(III)ナフテ
ネート、クロム(III)ヘプタノエート、Cr(CH3COCHCOOCH3)3 、塩化第一クロム、塩化第二クロム、臭化第一クロム、臭化第二クロム、ヨウ化第一クロム、ヨウ化第二クロム、フッ化第一クロム、フッ化第二クロム等が挙げられる。
H7)4,Ti(O−n−C3H7)2Cl2,Ti(O−iso−C3H7)4 ,Ti(O−iso−C3H7)2Cl2,Ti(O−n−C4H9)4 ,Ti(O−n−C4H9)2Cl2 ,
Ti(O−iso−C4H9)4 ,Ti(O−iso−C4H9)2Cl2 ,Ti(O−te
rt−C4H9)4 ,Ti(O−tert−C4H9)2Cl2 ,TiCl4(thf)2(
左記化学式中、thfはテトラヒドロフランを表す)、Ti((CH3)2N)4,Ti(
(C2H5)2N)4,Ti((n−C3H7)2N)4,Ti((iso−C3H7)2N)4 ,
Ti((n−C4H9)2N)4 ,Ti((tert−C4H9)2N)4,Ti(OSO3CH3)4 ,Ti(OSO3C2H5)4,Ti(OSO3C3H7)4,Ti(OSO3C4H9)4,
TiCp2Cl2,TiCp2ClBr,Ti(OCOC2H5)4 ,Ti(OCOC2H5)2Cl2 ,Ti(OCOC3H7)4,Ti(OCOC3H7)2Cl2,Ti(OCOC3H7)4
,Ti(OCOC3H7)2Cl2,Ti(OCOC4H9)4,Ti(OCOC4H9)2Cl2などが挙げられる。
Cl3,ZrBr2Cl2 ,Zr(OC2H5)4,Zr(OC2H5)2Cl2,Zr(O−n
−C3H7)4,Zr(O−n−C3H7)2Cl2,Zr(O−iso−C3H7)4,Zr(O−iso−C3H7)2Cl2Zr(O−n−C4H9)4,Zr(O−n−C4H9)2Cl2,
Zr(O−iso−C4H9 )4 ,Zr(O−iso−C4H9)2Cl2 ,Zr(O−tert−C4H9)4 ,Zr(O−tert−C4H9)2Cl2 ,Zr((CH3)2N)4 ,
Zr((C2H5)2N)4,Zr((n−C3H7)2N)4 ,Zr((iso−C3H7)2N)4 ,Zr((n−C4H9)2N)4 ,Zr((tert−C4H9)2N)4 ,Zr(OS
O3CH3)4,Zr(OSO3C2H5)4,Zr(OSO3C3H7)4 ,Zr(OSO3C4H9)4 ,ZrCp2Cl2,ZrCp2ClBr,Zr(OCOC2H5)4 ,Zr(OCOC2H5)2Cl2,Zr(OCOC3H7)4,Zr(OCOC3H7)2Cl2,Zr(OCOC3H7)4,Zr(OCOC3H7)2Cl2,Zr(OCOC4H9)4,Zr(OCOC4H9)2Cl2 ,ZrCl2(HCOCFCOF)2,ZrCl2(CH3COCFCOCH3)2などが挙げられる。
これらの遷移金属含有化合物の中でも、クロム含有化合物が好ましく、クロム含有化合物の中でも、特に好ましくは、クロム(III)2−エチルヘキサノエートである。
本実施の形態で使用するアルミニウム含有化合物は、トリアルキルアルミニウム化合物、アルコキシアルキルアルミニウム化合物、又は水素化アルキルアルミニウム化合物等などが挙げられる。トリアルキルアルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが挙げられる。アルコキシアルミニウム化合物の具体的な例としては、ジエチルアルミニウムエトキシドが挙げられる。水素化アルキルアルミニウム化合物の具体的な例としては、ジエチルアルミニウムヒドリドが挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアルミニウム化合物が好ましく、
トリエチルアルミニウムが更に好ましい。これらの化合物は、単一の化合物を使用しても、複数の化合物を混合して用いても良い。
本実施の形態で使用する窒素含有化合物としては、アミン、アミド又はイミド等が挙げられる。アミン類としては、例えばピロール骨格含有化合物が挙げられ、具体例としては、ピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、2,5−ジエチルピロール,2,5−ジ−n−プロピルピロール,2,5−ジ−n−ブチルピロール,2,5−ジ−n−ペンチルピロール,2,5−ジ−n−ヘキシルピロール、2,5−ジベンジルピロール,2,5−ジイソプロピルピロール、2−メチル−5−エチルピロール、2,5−ジメチル−3−エチルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジクロロピロール、2,3,4,5−テトラクロロピロール、2−アセチルピロール、インドール、2−メチルインドール、2つのピロール環が置換基を介して結合したジピロール等のピロール又はこれらの誘導体が挙げられる。誘導体としては、例えば、金属ピロライド誘導体が挙げられ、具体例としては、例えば、ジエチルアルミニウムピロライド、エチルアルミニウムジピロライド、アルミニウムトリピロライド、ジエチルアルミニウム(2,5−ジメチルピロライド)、エチルアルミニウムビス(2,5−ジメチルピロライド)、アルミニウムトリス(2,5−ジメチルピロライド)、ジエチルアルミニウム(2,5−ジエチルピロライド)、エチルアルミニウムビス(2,5−ジエチルピロライド)、アルミニウムトリス(2,5−ジエチルピロライド)等のアルミニウムピロライド類、ナトリウムピロライド、ナトリウム(2,5−ジメチルピロライド)等のナトリウムピロライド類、リチウムピロライド、リチウム(2,5−ジメチルピロライド)等のリチウムピロライド類、カリウムピロライド、カリウム(2,5−ジメチルピロライド)等のカリウムピロライド類が挙げられる。なお、アルミニウムピロライド類は、上述のアルミニウム含有化合物には含まれない。また、ハロゲンを含有するピロール化合物は、後述のハロゲン含有化合物には含まれない。
イミド類としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド、スクシンイミド、フタルイミド、マレイミド、2,4,6−ピペリジントリオン、ペルヒドロアゼシン−2,10−ジオン又はこれらと周期律表の1、2若しくは13族の金属との塩が挙げられる。スルホンアミド類およびスルホンイミド類としては、例えば、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルホンアミド、N−メチルトリフルオロメチルスルホンアミド、又はこれらと周期律表の1〜2若しくは13族の金属との塩が挙げられる。これらの化合物は単一の化合物で使用しても、複数の化合物で使用しても良い。
(ハロゲン含有化合物)
本実施の形態で使用するクロム系触媒には、必要に応じて第4成分としてハロゲン含有化合物が含まれる。ハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロゲン化アルキルアルミニウム化合物、ベンジルクロリド骨格含有化合物、3個以上のハロゲン原子を有する炭素数2以上の直鎖状ハロゲン炭化水素化合物、3個以上のハロゲン原子を有する炭素数3以上の環状ハロゲン炭化水素化合物等が挙げられる。但し、ハロゲン化アルキルアルミニウム化合物は、前述したアルミニウム含有化合物には含まれない。
ムセスキクロリド、ベンジルクロリド、(1−クロロエチル)ベンゼン、2−メチルベンジルクロリド、3−メチルベンジルクロリド、4−メチルベンジルクロリド、4−エチルベンジルクロリド、4−イソプロピルベンジルクロリド、4−tert−ブチルベンジルクロリド、4−ビニルベンジルクロリド、α−エチル−4−メチルベンジルクロリド、α,α´−ジクロロ−o−キシレン、α,α´−ジクロロ−m−キシレン、α,α´−ジクロロ−p−キシレン、2,4−ジメチルベンジルクロリド、2,5−ジメチルベンジルクロリド、2,6−ジメチルベンジルクロリド、3,4−ジメチルベンジルクロリド、2,3,5,6−テトラメチルベンジルクロリド、1−(クロロメチル)ナフタレン、1−(クロロメチル)−2−メチルナフタレン、1,4−ビス−クロロメチル−2,3−ジメチルナフタレン、1,8−ビス−クロロメチル−2,3,4,5,6,7−ヘキサメチルナフタレン、9−(クロロメチル)アントラセン、9,10−ビス(クロロメチル)アントラセン、7−(クロロメチル)ベンズアントラセン、7−クロロメチル−12−メチルベンズアントラセン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2,−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,2,3−トリクロロシクロプロパン、1,2,3,4,5,6−ヘキサクロロシクロヘキサン,1,4−ビス(トリクロロメチル)−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン等が挙げられる。
本実施の形態が適用されるα−オレフィン低重合体の製造方法において、原料として使用するα−オレフィンとしては、例えば、炭素数2〜炭素数30の置換又は非置換のα−オレフィンが挙げられる。このようなα−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。中でも、原料のα−オレフィンとしてはエチレンが好適であり、エチレンを原料とした場合、エチレンの三量体である1−ヘキセンが高収率かつ高選択率で得ることができるので好ましい。また、エチレンを原料として用いる場合、原料中にエチレン以外の不純物成分を含んでいても構わない。具体的な成分としては、メタン、エタン、アセチレン、二酸化炭素等が挙げられる。これらの成分は、原料のエチレンに対して0.1mol%以下であることが好ましい。
本実施の形態が適用されるα−オレフィン低重合体の製造方法では、α−オレフィンの反応を溶媒中で行うことができる。このような溶媒としては特に限定されないが、飽和炭化水素が好適に使用され、好ましくは、例えば、ブタン、ペンタン、3−メチルペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、2−メチルヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、デカリン等の炭素数1〜20の鎖状飽和炭化水素又は炭素数1〜20脂環式飽和炭化水素である。また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素をα−オレフィン低重合体を溶媒として用いてもよい。これらは、単独で使用する他、混合溶媒として使用することもできる。
本発明において、低重合反応に用いられる触媒は、遷移金属含有化合物とアルミニウム含有化合物とが予め接触しない、又は予めの接触時間が短い態様で、原料α−オレフィンと触媒とを接触させるのが好ましい。このような接触態様により、選択的に原料α−オレ
フィンの低重合反応を行うことができ、原料α−オレフィンの低重合体を高収率で得ることができる。なお、本発明において、「遷移金属含有化合物と、アルミニウム含有化合物とが予め接触しない、又は予めの接触時間が短い態様」とは、反応の開始時だけでなく、その後原料α−オレフィン及び各触媒成分を反応器へ追加供給する際においても上記の態様が維持されることを意味する。しかし、上記の特定の態様は、触媒の調製の際に要求される好ましい態様であり、触媒が調製された後は無関係である。従って、すでに調製された触媒を反応系から回収し再利用する場合は、上記の好ましい態様に関係なく触媒を再利用することができる。
すなわち、遷移金属含有化合物とアルキルアルミニウムとを接触させた場合、遷移金属含有化合物に配位している配位子とアルキルアルミニウム化合物中のアルキル基との間で配位子交換反応が進行し、不安定になると考えられる。そのため、アルキル−遷移金属含有化合物の分解還元反応が優先して進行し、その結果、α−オレフィンの低重合反応に不適当なメタル化が起こり、α−オレフィンの低重合反応の活性が低下する。
本実施の形態で使用する触媒の各構成成分の比率は、通常、遷移金属含有化合物1モルに対し、ハロゲン含有化合物は1モル〜50モル、好ましくは1モル〜30モルである。又は窒素含有化合物やアルミニウム含有化合物を含む場合は、遷移金属含有化合物1モルに対し、窒素含有化合物は、1モル〜100モル、好ましくは1モル〜50モルであり、アルミニウム含有化合物は1モル〜200モル、好ましくは10モル〜150モルである。
このような触媒を用いることにより、例えば、エチレンを原料とした場合、選択率90%以上でエチレンの三量体であるヘキセンを得ることができる。
また、反応圧力としては、通常、常圧〜25MPaであり、好ましくは、0.5〜15
MPa、さらに好ましくは、1.0〜10MPaの範囲である(圧力は、絶対圧力基準)。
反応器内での滞留時間は、通常1分〜10時間、好ましくは3分〜3時間、更に好ましくは5分〜40分の範囲である。
低重合反応の反応形式は、連続式である。即ち、触媒を有する反応器に、原料であるα−オレフィンを供給し、反応器内で生成されるα−オレフィン低重合体を含む反応液を反応器から抜き出す操作が同時に行われる。反応器中には、常時ある一定量の反応液が存在しており、反応液中には、生成物であるα−オレフィン低重合体や溶媒の他に、未反応の原料α−オレフィンや副生成物であるポリマーなどを含む高沸点化合物、そして反応器に供給された触媒成分などが含まれる。
この理由は必ずしも明確では無いが、次のようなことが推測される。即ち、連続運転における定常状態では、循環溶媒中又は循環エチレン中に触媒成分の一つであるハロゲン含有化合物などの分解物が蓄積する。この分解物は、反応器内で遷移金属化合物に配位するので、本来、遷移金属化合物に配位すべき窒素含有化合物の配位が阻害され、触媒活性が低下する傾向になる。そのため、循環溶媒中の窒素含有化合物の濃度を高める事で、反応器内での遷移金属化合物への窒素含有化合物の配位しやすくなり、触媒活性が低下することがないと考えられる。また、窒素含有化合物は、通常、高価であるので、製造コストの観点から溶媒とともに反応器に循環させる事で反応器内の濃度を高める方が好ましい。
(α−オレフィン低重合体の製造方法)
本発明におけるα−オレフィン低重合体とは、α−オレフィンが数個結合したオリゴマーを意味する。具体的には、α−オレフィンが2個〜10個結合した重合体のことである。
図1は、本実施の形態におけるα−オレフィン低重合体の製造フロー例を説明する図である。
図1に示すように、エチレン供給配管12aから圧縮機17及び第1供給配管12を介して、反応器10にエチレンが連続的に供給される。ここで、圧縮機17が、例えば、2段圧縮方式の場合、1段目に循環配管31を接続し、2段目に循環配管21を接続することにより、電気代の低減が可能である。また、第2供給配管13からは、エチレンの低重合反応に使用する溶媒が反応器10に供給される。
さらに、エチレンの三量化反応は、反応液中のエチレンに対する1−ヘキセンのモル比((反応液中の1−ヘキセンのモル濃度)/(反応液中のエチレンのモル濃度))が0.05〜1.5、特に0.10〜1.0となるように行うのが好ましい。即ち、連続反応の場合には、反応液中のエチレンと1−ヘキセンとのモル比が上記の範囲になるように、触媒濃度、反応圧力その他の条件を調節することが好ましい。また、回分反応の場合には、モル比が、上記の範囲にある時点において、エチレンの三量化反応を中止させることが好ましい。
次に、反応器10の底から配管11を介して連続的に抜き出された反応液は、失活剤供給配管11aから供給された失活剤によりエチレンの三量化反応が停止され、脱ガス槽20に供給される。脱ガス槽20では上部から未反応エチレンが脱ガスされ循環配管21、コンデンサー16、圧縮機17及び第1供給配管12を介して反応器10に循環供給される。また、脱ガス槽20の槽底から未反応エチレンが脱ガスされた反応液が抜き出される。脱ガス槽20の運転条件は、通常、温度0℃〜250℃、好ましくは、50℃〜200℃であり、圧力は常圧〜15MPa、好ましくは、常圧〜9MPaである。
次に、エチレン分離塔30においてエチレンを溜出した反応液は、エチレン分離塔30の塔底から抜き出され、配管32により高沸分離塔40に供給される。高沸分離塔40では、塔底から高沸点成分(HB:ハイボイラー)が抜き出される。また、塔頂から配管42により高沸点成分が分離された溜出物が抜き出される。高沸分離塔40の運転条件は、通常、塔頂部圧力0.01MPa〜2.0MPa、好ましくは、0.05MPa〜1.0MPa、また、還流比(R/D)は、通常、0〜2.5、好ましくは、0.1〜1.0である(圧力は、絶対圧力基準)。
(比較例1)
図1において、完全混合攪拌型の反応器10と、脱ガス槽20と、エチレン分離塔30と、高沸分離塔40と、ヘキセン分離塔50と、循環溶媒を貯蔵する溶媒ドラム60とを有し、ヘキセン分離塔50の塔底に接続する溶媒循環配管52の他端を第2供給配管13に接続し、溶媒ドラム60を経由せずに直接反応器10に循環させるプロセスにおいて、原料α−オレフィンにエチレンを用いて、エチレンの連続低重合反応による1−ヘキセンの製造を行った。
31と配管21を用いて抜き出し、圧縮機17を使って反応器10に連続供給した。また、第2供給配管13から、還流比1.1の条件で運転した高沸分離塔40及びヘキセン分離塔50にて分離された回収n−ヘプタン溶媒を、溶媒ドラム60(0.2MPa窒素シール)をバイパスさせ、流量25Kg/Hrで反応器10に連続的に循環供給した。なお。反応器に循環供給されるn−ヘプタン溶媒中の2,5−ジメチルピロール(b)は、3.9wtppmであり、0.0975g/Hr(1.03mmol/Hr)で反応器10に連続供給された。
反応器10に供給された触媒成分(2,5−ジメチルピロール(b)については、循環
溶媒中の2,5−ジメチルピロールも含む)は、各成分のモル比が、(a):(b):(
c):(d)=1:6.9:67:6.2となるように反応器10に連続供給した。反応条件は、反応器内温度が140℃、反応器内圧力は7.0MPaであった。
結果を表−1に示す。ポリエチレン選択率については、エチレン分離塔の塔底液をサンプリングし、室温まで冷却後、ろ過(フィルター径0.2μm)残渣を乾燥して得られるポリエチレンから算出される。C6選択率は循環ヘプタン溶媒とエチレン分離塔30の塔底液をそれぞれガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、型式GC-17AAF)でそれぞれの組成分析を行い、反応器内で生成した各成分の選択率を算出した。
触媒効率は、1時間で供給される触媒成分のクロム原子重量(単位:g)当たりの1時間で生成する生成物重量(単位:g)である。
比較例1において、高沸分離塔40の還流比を0.9、反応器に循環供給されるn−ヘプタン溶媒中の2,5−ジメチルピロール(b)を13.9wtppm、反応器10に供給された触媒成分(2,5−ジメチルピロール(b)については、循環溶媒中の2,5−ジメチルピロールも含む)のモル比を、(a):(b):(c):(d)=1:17:65:6.0とした以外は全て同様の方法で、エチレンの低重合反応を行い、1−ヘキセンを製造した。結果を表−1に示す。
実施例1において、反応器に循環供給されるn−ヘプタン溶媒中の2,5−ジメチルピロール(b)を6.5wtppm、触媒供給配管13aから供給されるクロム(III)2
−エチルヘキサノエート(a)の供給量を0.180mmol/Hr、反応器10に供給された触媒成分(2,5−ジメチルピロール(b)については、循環溶媒中の2,5−ジメチルピロールも含む)のモル比を、(a):(b):(c):(d)=1:12:73:4.5とした以外は全て同様の方法で、エチレンの低重合反応を行い、1−ヘキセンを製造した。結果を表−1に示す。
実施例1において、高沸分離塔40の還流比を0.6、反応器に循環供給されるn−ヘプタン溶媒中の2,5−ジメチルピロール(b)を10.4wtppm、触媒供給配管13aから供給されるクロム(III)2−エチルヘキサノエート(a)の供給量を0.18
1mmol/Hr、反応器10に供給された触媒成分(2,5−ジメチルピロール(b)
については、循環溶媒中の2,5−ジメチルピロールも含む)のモル比を、(a):(b
):(c):(d)=1:18:72:4.4とした以外は全て同様の方法で、エチレンの低重合反応を行い、1−ヘキセンを製造した。結果を表−1に示す。
実施例1において、高沸分離塔40の還流比を0.3、反応器に循環供給されるn−ヘプタン溶媒中の2,5−ジメチルピロール(b)を13.7wtppm、触媒供給配管13aから供給されるクロム(III)2−エチルヘキサノエート(a)の供給量を0.17
6mmol/Hr、反応器10に供給された触媒成分(2,5−ジメチルピロール(b)
については、循環溶媒中の2,5−ジメチルピロールも含む)のモル比を、(a):(b
):(c):(d)=1:24:74:4.6とした以外は全て同様の方法で、エチレンの低重合反応を行い、1−ヘキセンを製造した。結果を表−1に示す。
実施例1において、高沸分離塔40の還流比を0.3、反応器に循環供給されるn−ヘプタン溶媒中の2,5−ジメチルピロール(b)を15.5wtppm、触媒供給配管13aから供給されるクロム(III)2−エチルヘキサノエート(a)の供給量を0.16
8mmol/Hr、反応器10に供給された触媒成分(2,5−ジメチルピロール(b)
については、循環溶媒中の2,5−ジメチルピロールも含む)のモル比を、(a):(b
):(c):(d)=1:27:78:4.7とした以外は全て同様の方法で、エチレンの低重合反応を行い、1−ヘキセンを製造した。結果を表−1に示す。
10…反応器、
10a…撹拌機、
11,22,32,41,42,51…配管、
11a…失活剤供給配管
12…第1供給配管、
12a…エチレン供給配管、
13…第2供給配管、
13a…触媒供給配管、
14…第3供給配管、
15…第4供給配管、
21,31…循環配管、
16…コンデンサー、
17…圧縮機、
20…脱ガス槽、
30…エチレン分離塔、
40…高沸分離塔、
50…ヘキセン分離塔、
52…溶媒循環配管、
60…溶媒ドラム
Claims (4)
- MeZn(Meはクロム、Zは、置換基を有していても良い炭素数1〜30の炭化水素基、nは2から6の整数を表す)、2,5−ジメチルピロール及びトリアルキルアルミニウムより形成される触媒を用いて、原料エチレンを反応器に連続的に供給し、溶媒の存在下、反応器内で該原料エチレンを三量化反応させ1−ヘキセンを生成し、該1−ヘキセンを含む反応液を該反応器から連続的に抜き出し、該反応液から溶媒を分離し、分離された溶媒を該反応器へ連続的に循環供給するにあたり、定常状態における循環供給する溶媒中の2,5−ジメチルピロールの濃度が5.0wtppm以上200wtppm以下であり、該MeZnに対する2,5−ジメチルピロールのモル比が12〜27である1−ヘキセンの製造方法。
- 前記反応液から目的生成物である1−ヘキセンよりも沸点が高い副生物を分離する際に、蒸留塔を用いて蒸留を行い、且つ還流比を1.0以下とすることを特徴とする請求項1に記載の1−ヘキセンの製造方法。
- 前記触媒が、更にハロゲン含有化合物を含む請求項1又は2に記載の1−ヘキセンの製造方法。
- 前記溶媒が、飽和炭化水素である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の1−ヘキセンの製造方法。
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