JP2003261602A - α−オレフイン低重合体の製造方法 - Google Patents
α−オレフイン低重合体の製造方法Info
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Abstract
液の高い維持温度を採用することが出来、従って、副生
ポリマーの析出を防止して副生ポリマーと触媒成分とを
共に濃縮して分離する方法に容易に対応し得る、工業的
に有利なα−オレフイン低重合体の製造方法を提供す
る。 【解決手段】低重合反応器中において、触媒および反応
溶媒の存在下、α−オレフインの低重合を行うα−オレ
フィン低重合体の製造方法において、副生ポリマーの存
在するプロセスライン内の反応液の温度を、副生ポリマ
ーの付着・析出が発生しない温度ないしは目的物の異性
化反応が惹起しない温度範囲に維持する。
Description
重合体の製造方法に関するものであり、詳しくは、特
に、エチレンから1−ヘキセンを主体としたα−オレフ
イン低重合体を高収率かつ高選択率で製造することが出
来る工業的有利なα−オレフイン低重合体の製造方法に
関するものである。
有利な製造方法として、数多くの提案がなされている。
すなわち、少なくとも、クロム化合物(a)、アミン又
は金属アミド(窒素含有化合物)(b)、アルキルアル
ミニウム化合物(c)の組み合わせから成るクロム系触
媒を使用した各種の改良発明が提案されている(例えば
特許文献1〜10参照)。また、少なくとも、クロム化
合物(a)、アミン又は金属アミド(窒素含有化合物)
(b)、アルキルアルミニウム化合物(c)、ハロゲン
含有化合物(d)の組み合わせから成るクロム系触媒を
使用した発明も提案されている(例えば特許文献11及
び12参照)。
化合物(a)とアルキルアルミニウム化合物(c)とが
予め接触しない態様でα−オレフインとクロム系触媒と
を接触させてα−オレフインの低重合を行うことによ
り、一層高い選択率で目的とするα−オレフイン低重合
体(例えば1−ヘキセン)が得られることが開示されて
いる。
ポリマーの副生は避けられず、特に、α−オレフイン低
重合体の工業的製造方法においては、副生ポリマーを如
何にして分離するかが重要な課題である。本発明者ら
は、先に、特願平7−349702号において、反応液
からα−オレフインの低重合体を蒸留分離し、反応液中
の副生ポリマーを触媒成分と共に濃縮して分離する方法
を提案した。
02号において、上記の改良方法として、反応器の出口
から生成物蒸留塔の入口までのプロセスラインにおい
て、反応液中に副生ポリマー及び触媒成分を分散状態で
維持する方法を提案した。反応液中に副生ポリマーを分
散状態で維持する方法としては、反応液の温度を副生ポ
リマーが析出しない温度に維持する方法、反応器の気相
中に水素を存在させて副生ポリマーを粒状に改質する方
法が開示され、また、反応液中に触媒成分を分散状態で
維持する方法として、反応液中に特定の添加剤を添加し
て触媒成分を可溶化する方法が開示されている。
温度に維持する方法においては、その温度が高いほど望
ましいが、温度が高くなるに従い、目的生成物の異性化
反応起こり、生成物蒸留塔から回収される目的のα−オ
レフイン低重合体の収率が低下すると言う問題がある。
上記の異性化反応は、α−オレフインの三量化反応とは
異なり、例えば、目的生成物が1−ヘキセンの場合は、
1−ヘキセンが他のヘキセンに異性化し、ヘキセン中の
1−ヘキセンの含有量が低下する反応である。そして、
本発明者らの知見によれば、上記の異性化反応は、反応
液からα−オレフインが分離されるに従ってクロム系触
媒に発現される三量化反応以外の反応活性によって惹起
され、原料のα−オレフインが存在する反応器中では殆
ど問題とならない。
な場合に惹起され易い。すなわち、1−ヘキセンの工業
的製造においては、その規模に従い、回分方式、半回分
方式または連続方式が適宜採用されるが、回分方式の場
合は、一旦、反応液を貯蔵し、生成物蒸留塔における処
理を纏めて行うのが効率的である場合がある。また、生
成物の抜き出しを反応器の気相から行い、副生ポリマー
の反応器内の蓄積防止のため、少量の反応液を連続的に
又は非連続的に反応器から抜き出すことも考えられる
が、この場合も、一旦、反応液を貯蔵し、生成物蒸留塔
における処理を纏めて行うのが効率的である場合があ
る。この様な場合、反応液は高い温度において長期間維
持する必要があり、その結果、異性化反応が惹起され易
い。
応液を脱ガス塔に供給して未反応α−オレフインを回収
する場合、回収された未反応α−オレフインの加圧反応
系への循環を経済的に行うため、並列に配置された複数
基の脱ガス塔で漸次に降圧しして脱ガス処理を行う場合
がある。この様な場合においても、反応液は高い温度に
おいて長期間維持され、その結果、異性化反応が惹起さ
れ易い。
鑑みなされたものであり、その目的は、生成物の異性化
反応を惹起させることなく反応液の高い維持温度を採用
することが出来、従って、副生ポリマーの析出を防止し
て副生ポリマーと触媒成分とを共に濃縮して分離する方
法に容易に対応し得る、工業的に有利なα−オレフイン
低重合体の製造方法を提供することにある。
は、低重合反応器中において、触媒および反応溶媒の存
在下、α−オレフインの低重合を行うα−オレフィン低
重合体の製造方法において、副生ポリマーの存在するプ
ロセスライン内の反応液の温度を、副生ポリマーの付着
・析出が発生しない温度ないしは目的物の異性化反応が
惹起しない温度範囲に維持することを特徴とするα−オ
レフィン低重合体の製造方法に存する。
本発明において、触媒としてはクロム系触媒が好適に使
用される。クロム系触媒としては、通常、少なくとも、
クロム化合物(a)、窒素含有化合物(b)及びアルキ
ルアルミニウム化合物(c)の組み合わせから成る触媒
系を使用する。そして、好ましい態様として、クロム化
合物(a)、窒素含有化合物(b)、アルキルアルミニ
ウム化合物(c)及びハロゲン含有化合物(d)の組み
合わせから成る触媒系を使用する。上記の3成分系また
は4成分系のクロム系触媒は、前述の通り公知である。
本発明においては、これらの公知のクロム系触媒を制限
なくそのまま使用することが出来る。
ム系触媒としては、例えば特開平7−118174号公
報の[0008]〜[0025]に詳記された各成分から成
るクロム系触媒を使用することが出来、上記の4成分系
クロム系触媒としては、特開平8−3216号公報の
[0011]〜[0028]、または、特開平8−1341
31号公報の[0009]〜[0041]に詳記された各成
分から成るクロム系触媒を使用することが出来る。
的には、クロムのカルボキシル塩が挙げられ、その具体
例としては、クロム(II)アセテート、クロム(III)アセ
テート、クロム(III)−2−エチルヘキサノエート、ク
ロム(III)ベンゾエート、クロム(III)ナフテネート等が
挙げられる。これらの中では、クロム(III)−2−エチ
ルヘキサノエートが最も好ましい。
表的には、2級アミンが挙げられ、その具体例として
は、ピロール、2,5−ジメチルピロール、3,4−ジ
メチルピロール、3,4−ジクロロピロール、2,3,
4,5−テトラクロロピロール、2−アセチルピロール
が挙げられる。これらの中では、2,5−ジメチルピロ
ールが最も好ましい。
としては、代表的には、トリアルキルアルミニウム化合
物が挙げられ、その具体例としては、トリメチルアルミ
ニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアル
ミニウムが挙げられる。これらの中では、トリエチルア
ルミニウムが最も好ましい。
は、特に、特開8−134131号公報に記載された、
3個以上のハロゲン原子で置換された炭素数2以上の直
鎖状炭化水素類が好適である。そして、その具体例とし
ては、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,
2,−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキ
サクロロエタン等が挙げられる。
ては、炭素数が2〜30の置換または非置換のα−オレ
フインが使用される。具体的には、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メ
チル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げ
られる。特に、原料α−オレフインとしてエチレンが好
適であり、エチレンからその三量体である1−ヘキセン
を高収率かつ高選択率で得ることが出来る。
ン、ペンタン、3−メチルペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、2−メチルヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、
メチルシクロヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタ
ン、デカリン等の炭素数1〜20の鎖状または脂環式の
飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチル
ベンゼン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素
などが使用される。これらは、単独で使用する他、混合
溶媒として使用することも出来る。
レフインそれ自体または主原料以外のα−オレフインを
使用することも出来る。反応溶媒用としては、炭素数が
4〜30のα−オレフインが使用されるが、常温で液状
のα−オレフインが特に好ましい。
0の鎖状飽和炭化水素または脂環式飽和炭化水素が好ま
しい。これらの溶媒を使用することにより、ポリマーの
副生を抑制することが出来、更に、脂環式炭化水素を使
用した場合は、高い触媒活性が得られると言う利点があ
る。
のクロム系触媒および反応溶媒の存在下、α−オレフイ
ンの低重合を行う。反応器としては、通常、パイプリア
クターや一段または多段の混合槽が使用される。パイプ
リアクターは、基本的には、直管またはコイル状もしく
はU字型の曲管の一端から反応成分を導入し、他端から
反応生成物を流出させる形式の反応装置である。多段混
合槽は、基本的には、直列形式に配置された複数の混合
槽の第1槽に反応成分を導入し、順次、後続の槽に移動
させ、最終槽から反応生成物を流出させる形式の反応装
置である。
アルキルアルミニウム化合物(c)とが予め接触しない
態様でα−オレフインとクロム系触媒とを接触させるの
が好ましい。斯かる特定の接触態様により、選択的に三
量化反応を行わせ、原料エチレンから1−ヘキセンを高
収率で得ることが出来る。上記の特定の接触態様は、例
えば、特開平7−118174号公報の[0029]〜
[0031]、特開平8−3216号公報の[0029]〜
[0032]、特開平8−134131号公報の[004
5]〜[0050]に詳記されているが、その幾つかの例
を挙げれば次の通りである。
ミニウム化合物を含む反応溶媒中にα−オレフイン及び
クロム含有化合物を導入する方法。 (2)窒素含有化合物、アルキルアルミニウム化合物、
ハロゲン含有化合物を含む反応溶媒中にα−オレフイン
を導入する方法。 (3)窒素含有化合物およびアルキルアルミニウム化合
物を含む反応溶媒中にα−オレフイン、クロム含有化合
物およびハロゲン含有化合物を導入する方法。
様な接触態様に従って反応器中で触媒調製を行う他、別
途に調製したクロム系触媒を反応器に供給して低重合反
応を行ってもよい。例えば、先ず、α−オレフインの不
存在下、炭化水素および/またはハロゲン化炭化水素溶
媒中、窒素含有化合物(b)(特にはピロール含有化合
物)、アルキルアルミニウム化合物(c)及びハロゲン
含有化合物(d)を接触させ、次いで、得られた触媒調
製用反応液とクロム化合物(a)とを反応させることに
より、優れた性能のクロム触媒を調製することが出来
る。
は、溶媒1リットル当たり、通常1.0×10-7〜0.
5mol、好ましくは1.0×10-6〜0.2mol、
更に好ましくは1.0×10-5〜0.05molの範囲
とされる。一方、アルキルアルミニウム化合物の使用量
は、クロム化合物1mol当たり、通常50mmol以
上であるが、触媒活性および三量体の選択率の観点か
ら、0.1mol以上とするのがよい。そして、上限
は、通常1.0×104molである。また、窒素含有
化合物の使用量は、クロム化合物1mol当たり、通常
0.001mol以上であり、好ましくは0.005〜
1000mol、更に好ましくは0.01〜100mo
lの範囲とされる。また、ハロゲン含有化合物の使用量
は、窒素含有化合物の使用量と同一の範囲とされる。
窒素含有化合物(b)、アルキルアルミニウム化合物
(c)及びハロゲン含有化合物(d)のモル比(a):
(b):(c):(d)は1:1〜50:1〜200:
1〜50が好ましく、1:1〜30:10〜150:1
〜30が特に好ましい。斯かる特定条件の結合により、
α−オレフイン低重合体として、例えば、ヘキセンを9
0%以上(全生成量に対する割合)の収率で製造するこ
とが出来、しかも、ヘキセン中の1−ヘキセンの純度を
99%以上に高めることが出来る。
は常圧から250kg/cm2、反応時間は、1分から
20時間、好ましくは0.5〜6時間の範囲から選択す
ることが出来る。しかしながら、反応時間については、
反応器内においても副生ポリマーが析出しない様にする
のが望ましいとの観点から、100℃以上とするのが好
ましく、120℃以上とするのが特に好ましい。そし
て、反応圧力については、採用する反応温度との関係に
おいて選択するのが好ましい。
件は、反応器内において副生ポリマーが溶解して析出す
ることがなく且つ高温におけるクロム系触媒の性能低下
を防止し得るために好ましい。式中、Tは反応温度
(℃)、Pは反応圧力(kg/cm2G)を表す。
の一部または全部を脱ガス塔に供給して未反応α−オレ
フインを回収する。すなわち、本発明の好ましい態様に
おいては、脱ガス操作を他の単位操作に先行して行う。
従来、工業化されているα−オレフィン低重合プロセス
において、副生ポリマーの分離は、本発明の場合と異な
り、触媒成分とは別にして固液分離装置を使用して行わ
れている。その場合、副生ポリマーの分離は、降圧する
ことなく、反応における圧力を殆ど維持したまま行われ
ている。その理由は、特に上記の従来法による1−ヘキ
センの製造においては、1−ヘキセンの収率が十分では
なく、15重量%程度以上の多量の低沸点成分(1−ブ
テン)の副生を伴い、従って、反応後に常圧付近まで降
圧した場合は、未反応エチレンからの1−ブテン(沸
点:−6.47℃)の蒸留分離に必要な冷却負荷が大き
くなるからである。
後、降圧することなく、副生ポリマーの分離を行った
後、1−ブテンの蒸留分離を行い、その後の単位操作に
おいて漸次降圧せざるを得ない。しかしながら、副生ポ
リマーの分離を加圧状態で実施する方法は、特殊な固液
分離装置を必要とするばかりか、操作性も悪く、時とし
て、固液分離装置が副生ポリマーによって閉塞する等の
多大な不利益がある。
ム触媒系によるα−オレフィンの低重合においては、1
−ヘキセン以外のα−オレフイン低重合体、特に、1−
ブテンの副生が少なく、1−ヘキセンが高収率で得られ
るため、1−ブテンを回収する必要がないばかりか、常
圧蒸留で回収する場合においても、蒸留分離に必要な冷
却負荷を著しく軽減し得る。その結果、本発明において
は、脱ガス操作を他の単位操作に先行して行うことが出
来るのであるが、このことにより、上記従来法の煩雑な
工程およびその不利益を回避できるばかりでなく、後続
の単位操作を操作性に優れる常圧付近の温度で操作する
ことが可能になるという利点が得られるのである。
15kg/cm2G以下まで降圧して行われるが、高圧
容器の取扱上の法規の点からは、第2種高圧容器とされ
る1.9kg/cm2G以下まで降圧するのが好まし
く、更には、0.2kg/cm2G以下まで降圧するな
らば、殆ど常圧と同等の操作を行い得るため、一層好ま
しい。
反応液を生成物蒸留塔に供給し、生成したα−オレフイ
ン低重合体を留出液として回収する。
レフイン低重合体の製造方法において、副生ポリマーの
存在するプロセスライン内の反応液の温度を、副生ポリ
マーの付着・析出が発生しない温度ないしは目的物の異
性化反応が惹起しない温度範囲に維持する点にある。副
生ポリマーの存在するプロセスラインは、上記の製造方
法で言えば、典型的には反応器の出口から生成物蒸留塔
の入口までを指す。そして、本発明においては、反応液
の温度を100〜150℃の範囲に維持するのが好まし
い。しかも、脱ガス塔に供給されてから生成物蒸留塔に
供給されるまでの反応液の滞留時間を1時間以内とする
のガ好ましい。なお、本発明において、上記のプロセス
ラインとは、回分反応などにおいて使用される反応液の
貯蔵タンクをも包含し、脱ガス塔と生成物蒸留塔の間に
おいてこれらに必ずしも連結されている必要はない。
ば100℃未満の場合)は、プロセスライン内(例えば
配管などの付帯設備)における副生ポリマーの付着や析
出に伴う種々のトラブルが発生し、余りに高い場合(例
えば150℃を超える場合)は、目的生成物の異性化反
応が惹起し、生成物蒸留塔から回収される目的のα−オ
レフイン低重合体の収率が低下する。そして、脱ガス塔
に供給されてから生成物蒸留塔に供給されるまでの反応
液の滞留時間が1時間以内に調節される場合は、異性化
反応の抑制が一層効果的となる。
回分反応方式などの様に、一旦、反応液を貯蔵し、生成
物蒸留塔における処理を纏めて行う場合に重要となる。
上記の滞留時間は、反応液の維持温度が高い程に短くす
るのが好ましいが、何れの場合に30分以下とするのが
特に好ましい。
の分離は、例えば、反応直後に固液分離装置によって行
うことも不可能ではない。しかしながら、上記の場合
は、金属成分の分離とは別個に副生ポリマー用の固液分
離装置が必要となるのみならず、反応液中の各成分の蒸
留分離の際に受ける熱履歴によってメタル化した金属成
分の分離が極めて困難となる。すなわち、例えば、加熱
蒸発器を利用して高沸点成分と金属成分とを分離しよう
とした場合、金属成分は、加熱蒸発器の伝熱面に付着し
て実質的に分離不可能となる。そして、伝熱面に付着し
た金属成分は、加熱蒸発器の運転に支障を来す。
分離は、後述する様に、触媒成分と共に濃縮して分離す
るのが好ましい。斯かる分離態様によれば、触媒成分
は、副生ポリマーの可塑性によって極めて容易に分離さ
れる。しかも、副生ポリマー用の固液分離装置を省略で
き、プロセスをコンパクト化することが出来る。
ら生成物蒸留塔の入口までのプロセスラインにおいて、
反応液中に触媒成分を分散状態で維持するのが好まし
い。一般的に言えば、触媒成分は、副生ポリマー程にプ
ロセスライン内で付着や析出することが少ないと考えら
れる。
の出口から生成物蒸留塔の入口までのプロセスラインに
おける反応液中に反応溶媒に可溶で且つクロムに対して
配位子形成能を有する化合物を添加することにより、反
応液中における触媒成分の分散状態を積極的に維持する
のが好ましい。しかも、上記の化合物は、反応液中にお
いてα−オレフインの濃度が低下するに従ってクロム系
触媒に発現される三量化反応以外の反応活性を失活させ
る効果があるため、本発明が目的とする異性化反応抑制
に対しても使用価値がある。
子形成能を有する化合物(以下、金属可溶化剤と呼ぶ)
としては、通常、−X−H官能基を有する低分子化合物
(但し、Xはヘテロ原子、Hは水素原子を表す)又は活
性メチレン基を有する低分子化合物が使用される。前者
の例としては、アルコール類、フェノール類、カルボン
酸類、1級または2級アミン類、アンモニアが挙げら
れ、後者の例としては、アセチルアセトン等が挙げられ
る。
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペ
ンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノー
ル、ノナノール、デカノール、ベンジルアルコール、エ
チレングリコール、トリメチレングリコール、プロパン
ジオール等が挙げられ、フェノール類の具体例として
は、フェノール、クレゾール、ヒドロキノン等が挙げら
れ、カルボン酸類の具体例としては、酢酸、プロピオン
酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン
酸、ノナン酸、デカン酸、安息香酸、フェニル酢酸、フ
タル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、サリチル酸な
どが挙げられ、1級または2級アミン類の具体例として
は、触媒の一成分として前述した各アミン類が挙げられ
る。
媒量の範囲に亘る広い範囲から選択することが出来る
が、溶媒中の濃度として、通常0.001〜50重量
%、好ましくは0.01〜10重量%の範囲である。ま
た、金属可溶化剤の添加時期は、反応液中の各成分の蒸
留分離前の任意の段階を選択することが出来る。そし
て、蒸留分離工程が複数存在する場合は、金属成分のメ
タル化が最も惹起され易い最終の蒸留工程の直前に添加
してもよいが、反応工程の直後に添加するのが好まし
い。なお、金属可溶化剤に代えてα−オレフインの重合
分野において既に提案されている帯電防止剤を反応液中
に添加する方法も好適に使用し得る。
副生ポリマー及び触媒成分の同時回収プロセスに至るま
での間の両者の損失を最大限に防止することが出来る。
ー及び触媒成分の濃縮分離は、脱ガスした反応液から低
沸点の全成分を単蒸留的に除去すると同時に行うことも
出来、また、脱ガスした反応液から逐次に各成分を蒸留
分離する際の最後の蒸留分離と同時に行うことも出来
る。
合、α−オレフイン低重合体として1−ヘキセンが得ら
れるが、この場合は、反応後、脱エチレンを行い、次い
で、反応液から1−ヘキセン及び溶媒を蒸留分離すると
共に触媒成分を副生ポリエチレンと共に濃縮して分離す
る。そして、得られた副生ポリマーと触媒成分を含有す
る濃縮液をそのまま廃棄することが出来る。
においては、1−ブテンの副生が少なく、1−ヘキセン
が高収率で得られるため、脱ガス塔からの反応液を単一
の生成物蒸留塔で処理することにより、1−ヘキセンと
反応溶媒と副生ポリマー及び触媒成分を含む高沸点成分
とに分離することが出来、その結果、最もコンパクト化
された経済性の高いプロセスを実現することが出来る。
いては、副生ポリマーと触媒成分の各々の少なくとも一
部について同時分離を行うが、好ましくは触媒成分の全
部について、より好ましくは副生ポリマーと触媒成分の
全部について同時分離を行う。そして、何れの場合も、
生成物蒸留塔から回収された副生ポリマー及び触媒成分
を含む缶出液を加熱蒸発器に供給し、高沸点成分を回収
すると共に、副生ポリマー及び触媒成分を更に濃縮して
回収するのが好ましい。
種のものが使用し得る。例えば、円筒内型の伝熱面に対
して回転する掻き取り羽根などを備えた薄膜式蒸発器、
プレートフィン型加熱器を内蔵した蒸発器などを使用し
得る。プレート・フィン型加熱器を内蔵した蒸発器は、
高密度に配置されたフィンによって高粘度流体を瞬時に
加熱し、その中に含まれている揮発性物質を効率的に除
去することが出来る。
えば、三井造船(株)製の「ハイビスカスエバポレー
タ」(商品名)等が挙げられる。この様な加熱蒸発器を
使用した場合、内蔵されたプレート・フィン型加熱器で
濃縮された副生ポリマー及び触媒成分は、加熱蒸発器の
下部から副生ポリマーの可塑性によって流れ落ちて来
る。従って、適当に冷却した状態で切断して容易に回収
することが出来る。
器は、加熱蒸発器が十分な長さを持った加熱管と減圧保
持可能な捕集缶とを備えたモノチューブ型蒸発器であ
る。斯かる構造の加熱蒸発器としては、例えば、ホソカ
ワミカロン(株)製の「CRUX SYSTEM」(商
品名)等が挙げられる。この様なモノチューブ型蒸発器
は、加熱管で加熱・蒸発させた濃縮液を音速程度の高速
で捕集缶に噴出してその中に含まれる揮発性物質を効率
的に除去する。捕集缶内で濃縮された副生ポリマーと触
媒成分は、捕集室の下部から副生ポリマーの可塑性によ
り流れ落ちて来る。従って、適当に冷却した状態で切断
して容易に回収することが出来る。
は、必要に応じて精製される。精製には、通常、蒸留精
製が採用され、目的とする成分を高純度で回収すること
が出来る。本発明においては、特に、エチレンから高純
度の1−ヘキセンを工業的有利に製造することが出来
る。また、本発明の製造方法で得られた1−ヘキセンか
ら、公知の重合触媒を使用した重合反応により、有用な
樹脂であるL−LDPEを製造することが出来る。
に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限
り以下の実施例に限定されるものではない。
ストリーム)抜き出し部を備え且つ全段数30段の生成
物蒸留塔、蒸発器から成り、反応器と脱ガス塔との間に
は、脱ガスされたエチレンを反応器に循環する圧縮機を
備えたプロセスに従って、エチレンの連続低重合反応を
行った。なお、完全混合槽型反応器としては、2本の供
給管を備えた20Lのオートクレーブを使用し、蒸発器
としては、8mの長さの加熱管と減圧保持可能な捕集缶
とを備えたモノチューブ型蒸発器「CRUX SYST
EM」(ホソカワミカロン(株)製の商品名)を使用し
た。
チレンと共にクロム(III)−2−エチルヘキサノエート
(a)のn−ヘプタン溶液とヘキサクロロエタン(d)
のn−ヘプタン溶液とを連続的に供給し、他方の供給管
から2,5−ジメチルピロール(b)のn−ヘプタン溶
液とトリエチルアルミニウム(c)のn−ヘプタン溶液
とを連続的に供給した。(a):(b):(c):
(d)のモル比は1:6:40:4である。反応条件
は、120℃×50kg/cm2Gとした。
は、120℃の温度を維持したまま脱ガス塔に供給され
た。脱ガスされた反応液は、実質的に上記の温度を維持
したまま生成物蒸留塔に供給され、その塔底液は蒸発器
に供給されて濃縮された。生成物蒸留塔の塔底から第8
段目の側流抜き出し部から溶媒n−ヘプタンを、第26
段目の側流抜き出し部から製品ヘキセンをそれぞれサイ
ドカットとして抜き出して回収し、塔頂からヘキセンよ
りも低沸点の成分を留出させて回収した。脱ガス塔に供
給されてから生成物蒸留塔に供給されるまでの反応液の
滞留時間は15分とした。
凝縮して回収され、副生ポリエチレンと共に濃縮された
触媒成分は、捕集室の下部から回収された。一方、脱ガ
ス塔にて脱ガスされたエチレンは、圧縮機にて昇圧され
て反応器に循環され、また、生成物蒸留塔から回収され
たn−ヘプタンは、循環パイプを経て反応器に循環され
た。表1に生成物蒸留塔以降の各ユニットの運転条件を
示す。また、表2に上記のプロセスにおけるマスバラン
スを示す。なお、表2中のCr(2EHA)3はクロム(III)−2
−エチルヘキサノエートを表す。
金属を含む触媒成分が副生ポリエチレンと共に濃縮され
た混合物として回収されるため、ポリエチレンの可塑性
により、捕集室の下部から自重により落下分離し、良好
に行われた。
器および脱ガス塔出口)の組成分析の結果を別途に行っ
た反応液の熱安定試験後の組成分析の結果と共に表3に
示す。熱安定試験は、脱ガス塔から回収された120℃
の反応液の一部を所定時間滞留させることによって行っ
た。
ロロエタンを使用した以外は、実施例1と同様にしてエ
チレンの連続低重合反応を行った。表4に本実施例のマ
スバランスを示す。蒸発器の運転は、実施例1と同様に
良好であった。また、実施例1と同様に行った反応液の
熱安定試験後の組成分析の結果を表5に示す。
タン酸(2−エチルヘキサン酸)を連続的に添加した以
外は、実施例1と同様にしてエチレンの連続低重合反応
を行った。金属可溶化剤の添加量は、脱ガス槽中の反応
溶媒中の濃度が0.022重量%となる量とした。
析出金属成分の分析を行ったが、析出金属成分は実質的
に存在していなかった。なお、析出金属成分の分析は、
濾紙(5A)でサンプルを濾過し、濾紙面をn−ヘプタ
ン溶液で洗浄した後、10重量%の硝酸水溶液で洗浄
し、硝酸水溶液中の金属成分の濃度を高周波プラズマ発
光分光法で測定する方法によって行った。表6に本実施
例のマスバランスを示す。蒸発器の運転は実施例1と同
様に良好であった。また、実施例1と同様に行った反応
液の熱安定試験後の組成分析の結果を表7に示す。
70kg/cm2Gに変更した以外は、実施例1と同様
にしてエチレンの連続低重合反応を行った。表8に本実
施例のマスバランスを示す。蒸発器の運転は、実施例1
と同様に良好であった。また、実施例1と同様に行った
反応液の熱安定試験後の組成分析の結果を表9に示す。
して、1−ヘキサノール(実施例5)、ヘキシルアミン
(実施例6)、アンモニア(実施例7)、アセチルアセ
トン(実施例8)を使用した以外は、実施例3と同様に
してエチレンの連続低重合反応を行った結果、蒸発器の
運転は実施例3と同様に良好であった。なお、実施例3
と同様にして生成物蒸留塔の塔底液をサンプリングし、
析出金属成分の分析を行ったが、何れの実施例において
も、析出金属成分は実質的に存在していなかった。
異性化反応を惹起させることなく反応液の高い維持温度
を採用することが出来、従って、副生ポリマーの析出を
防止して副生ポリマーと触媒成分とを共に濃縮して分離
する方法に容易に対応し得る、工業的に有利なα−オレ
フイン低重合体の製造方法が提供される。
Claims (7)
- 【請求項1】 低重合反応器中において、触媒および反
応溶媒の存在下、α−オレフインの低重合を行うα−オ
レフィン低重合体の製造方法において、副生ポリマーの
存在するプロセスライン内の反応液の温度を、副生ポリ
マーの付着・析出が発生しない温度ないしは目的物の異
性化反応が惹起しない温度範囲に維持することを特徴と
するα−オレフィン低重合体の製造方法。 - 【請求項2】 副生ポリマーの存在するプロセスライン
内の反応液の温度を100〜150℃の範囲に維持する
請求項1に記載の製造方法。 - 【請求項3】 触媒がクロム系触媒である請求項1又は
2に記載の製造方法。 - 【請求項4】 プロセスラインにおける反応液中に反応
溶媒に可溶で且つクロムに対して配位子形成能を有する
化合物を添加する請求項3に記載の製造方法。 - 【請求項5】 反応溶媒に可溶で且つクロムに対して配
位子形成能を有する化合物が、アルコール類、カルボン
酸類または1級もしくは2級アミン類である請求項4に
記載の製造方法。 - 【請求項6】 反応器内の反応条件が以下の式(1)及
び(2)を満足する請求項1〜5の何れかに記載の製造
方法。 【数1】T≧100℃ ・・・(1) P>0.5T−15 ・・・(2) (式中、Tは反応温度(℃)、Pは反応圧力(kg/c
m2G)を表す。) - 【請求項7】 反応液から1−ヘキセン及び溶媒を蒸留
分離すると共に触媒成分を副生ポリエチレンと共に濃縮
して分離する請求項1〜6の何れかに記載の製造方法。
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KR20170131416A (ko) | 2015-03-25 | 2017-11-29 | 미쯔비시 케미컬 주식회사 | α-올레핀 저중합체의 제조 방법 |
CN115028506A (zh) * | 2022-05-26 | 2022-09-09 | 万华化学集团股份有限公司 | 一种乙烯低聚生产α-烯烃的系统和工艺 |
-
2003
- 2003-04-07 JP JP2003103098A patent/JP3904530B2/ja not_active Expired - Lifetime
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