図1乃至図13に本発明の一実施の形態を示している。図1乃至図3において、この機械式駐車装置1は、搬送台車3が自動車載置用のトレー5を乗せて往復走行する搬送路2と、搬送路2の両側(又は片側)に沿って単列に(又は複列)に配列され、自動車をトレー5に載せて格納する複数の格納区画4とを有し、搬送台車3と各格納区画4との間でトレー移載装置7によりトレー5を受け渡しする形式を採用する地下3階層の格納階層11、12、13と、搬送路2上を縦貫して各格納階層11、12、13間と地上1に設定された入出庫部10(入出庫階)との間に形成された昇降路80に設置され、搬送台車3との間でトレー5を受け渡しする形式のリフト8とを備える。特に、この駐車装置1においては、設置空間の床からリフトの昇降路に必要とされるリフトピットをなくしたり、格納階層の階高を圧縮したりするなど、設置空間の簡素化や省スペース化などに柔軟に対応するため、地下3階層の格納階層11、12、13のうち、中間階層12と、最下階層13が選定されて、最下階層13に、選定された2階層(中間階層12及び最下階層13)に共通の搬送台車3(303)及び搬送路2(203)を備え、共通の搬送台車3(303)にトレー昇降ユニット6を具備する一方、(最下階層13の)上の階層、すなわち中間階層12から搬送台車を無くすとともに、その搬送路に代えて、最下階層13の共通の搬送路2(203)に連通するトレーの昇降空間202が形成され、全3階層の一部に従来の格納階層とは異なる構成の格納階層12、13が組み入れられる。また、リフトの昇降路80は最上階層11の搬送路2(201)、中間階層12のトレーの昇降空間202、及び最下階層の搬送路2(203)の一端を縦貫して各格納階層11、12、13間と地上1階の入出庫部10との間に形成され、この昇降路80上に、共通の搬送台車3(303)のトレー昇降ユニット6の機能に合わせて、トレー係脱装置83付きのリフト8が設置される。
この駐車装置1の各部について見ていくと、図1乃至図3に示すように、最下階層13及び最上階層11には、搬送路203、201上にそれぞれ、搬送台車用の一対の走行レール211が敷設される。これらの走行レール211は、各搬送路203、201一端の昇降路80において分割され、昇降路80外のレールと、昇降路80内のレールとからなり、これら昇降路80外のレールと昇降路80内のレールとの間にリフト8用に一定の間隔を設定された通過部210が形成される。また、特に図示していないが、この一対の走行レール211の一方に沿ってトロリー給電の給電部が設置される。このようにして、各搬送路201、203上に搬送台車301、303が配置される。これらの搬送台車301、303については後段に欄をあらためて詳しく説明する。これに対して、中間階層12のトレーの昇降空間202は、最下階層13及び最上階層11の搬送路203、201と同じ平面積を有し、この昇降空間202上には最下階層13及び最上階層11の搬送路203、201のような一対の走行レール211やこれらの走行レール211を支持する梁などの支持部材が存在せず、吹き抜きにして開放される。また、全3階層には、複数の格納区画4が周知の構成で設けられる。すなわち、最下階層13の場合、(同階層の)共通の搬送路203の(左右)両側に沿って、中間階層12の場合、(同階層の)トレーの昇降空間202の(左右)両側に沿って、最上階層11の場合、(同階層の)搬送路201の(左右)両側に沿って、それぞれ複数の格納区画4が一列に、かつ各階層とも同じレイアウトにして形成され、各格納区画4の(前後)両側に一対の横行レール41が搬送路201、203又はトレーの昇降空間202の延びる方向に対して直角に向けて配設される。なお、各格納階層11、12、13の各格納区画4はすべて、本装置1の収容対象となる自動車のうち、最も大きい自動車を格納可能な同じ大きさに形成されてもよく、また各格納階層11、12、13ごとに異なる大きさの自動車を収容できるように、各格納階層11、12、13ごとに各格納区画4の大きさを変えて形成されてもよい。いずれの場合でも、各格納階層11、12、13の各格納区画4の駐車空間の高さは、収容対象の自動車の中で最も大きい自動車の車高に可及的に近接して設定され、各階層11、12、13の階高は可及的に圧縮される。また、中間階層12の場合、搬送路用の一対の走行レールやその支持部材がないために、他の階層(最上階層11及び最下階層13)に比べると、中間階層12の下部に一対の走行レールやその支持部材が下方の階層側に突き出されることがなく、中間階層の高さ方向を押し広げることがないから、中間階層12の階高はさらに圧縮されて、その結果、全階層の高さがさらに圧縮される。このようにして各格納階層11、12、13に複数の格納区画4が設けられ、各格納区画4に台車形式のトレー5が下面(前後)の各ローラ50(図4参照)を一対の横行レール41上に乗せて横行可能に配置される。なお、これらのトレー5には、後述するトレー移載装置7の係合部材70が係合可能な移載ガイド52が取り付けられる。この移載ガイド52は、トレー移載装置7の係合部材がトレー5の送り方向と直交する方向に係脱可能に、一対のアングル状の部材など一対の挟持部材により形成され、またこの一対の挟持部材は、トレー移載装置7の係合部材70の動作に対応させて、トレー5の送り方向始端側側縁部及び終端側側縁部に対にして並設される必要があり、これら一対の挟持部材はトレー5下面の左右両側でその略中央に、トレー5の左右両側に沿って平行に取り付けられる。なお、その両端は、トレー移載装置7の係合部材70に対する係脱端として、ハの字形に拡開される。また、これらのトレー5には、図8又は図9に示すように、後述するリフト8の、特にトレー支持部材82の構成に対応させて、その下面前後の左右両側にそれぞれ、リフト8のトレー係止部材831の係止突起832に係合可能な係止凹部53を備える。この係止凹部53は、トレー5の下面に設けられたローラ取付部(角パイプ)51の下面に形成される。
このようにして、最下階層13の共通の搬送路203に、既述のとおり、最下階層13及び中間階層12に共通の搬送台車303が配置され、最上階層11の搬送路201に、最上階層11専用の搬送台車301が配置される。最下階層13の共通の搬送台車303は、図4及び図5に示すように、台車31と、台車31に設置され、台車31上でトレー5を昇降するトレー昇降ユニット6、及びこの搬送台車303と(最下階層13及び中間階層12の)各格納区画4との間でトレー5を受け渡しするトレー移載装置7とにより構成される。なお、この場合、台車31は、平面形状が略矩形上に組み立てられた台車フレーム311と、台車フレーム311の(左右)両側に片側4輪ずつ合計8輪構成の車輪310とを有する。また、この搬送台車303はトロリー給電により自走式として構成され、台車フレーム311上に駆動モータ312、制御盤313などが搭載され、台車フレーム311の側面下部から集電子(図示省略)が外方へ突出される。
トレー昇降ユニット6は、図4、図6及び図7に示すように、トレー5を昇降するトレー昇降装置6Lと、トレー昇降装置6Lのトレー5の支持位置を補助的に上げるトレー昇降補助装置6Aとを備え、図3(a)に示すように、(トレー昇降ユニット6)全体が台車31の前後部及び上部に、最下階層13に設定された高さ(最大高さ)の範囲内に、最下階層13の共通の搬送路303に干渉しないように組み立てられる。図4及び図6(又は図7)に示すように、トレー昇降装置6Lは、トレー5を支持するトレー支持部61と、トレー支持部61を昇降駆動するトレー昇降駆動部62とを有する。この場合、トレー支持部61は、図5に示すように、台車フレーム311の平面形状よりも大きい矩形状のフレームからなり、このフレーム上にトレー5をトレー5の各ローラ50を乗せて支持可能な一対の横行レール611が敷設される。トレー昇降駆動部62は、図4及び図6に示すように、台車フレーム311の前後両側にそれぞれ2本ずつ設けられ、台車フレーム311の前後に2本ずつ接合されて鉛直方向に立ち上げられた(トレー昇降補助装置6Aの)昇降案内部63に支持される合計4本の可動支柱621と、これら可動支柱621の上下にそれぞれ軸支され、所定の回転速度を設定された合計8個のスプロケット622と、前側及び後側ごとに2本の各可動支柱621の各上部スプロケット622間、及び各下部スプロケット622間に通されて、各上部スプロケット622、及び各下部スプロケット622を支持する合計4本の支軸623と、前側及び後側の各下部スプロケット622間に通された支軸623に作動連結された合計2台の減速機付きの駆動モータ624と、各可動支柱621ごとに上下スプロケット622間に掛け渡された合計4本の駆動チェーン625とにより構成され、各駆動チェーン625の一端がトレー支持部61の上面(前後の左右両側)に連結され、他端がトレー支持部61の下面(前後の左右両側)に連結されて、トレー支持部61は台車フレーム311上に可動支柱621の高さの範囲内で昇降可能に配置される。この場合、トレー支持部61は台車31上に下降され、台車31上に重合された状態で、このトレー支持部61上の一対の横行レール611が最下階層13の各格納区画4の一対の横行レール41のレベル(高さ)と一致し、これが搬送台車303上のトレー5を乗せる(通常の)位置となり、また各可動支柱621の高さは最下階層13の高さ(最大高さ)よりも低く設定されるから、トレー5は搬送台車303上でトレー5を乗せる位置と各可動支柱621の高さの範囲内で設定されたトレー上昇最大位置との間で支持昇降される。
トレー昇降補助装置6Aは、図4及び図6(又は図7)に示すように、トレー昇降装置6Lを昇降案内する昇降補助案内部63と、トレー昇降装置6Lを昇降駆動する昇降補助駆動部65とを具備する。この場合、昇降補助案内部63は、図6に示すように、台車フレーム311の前後に2本ずつ鉛直方向に向けて取り付けられた合計4本の固定支柱631と、これら固定支柱631の内側面(台車フレーム311の前後方向に向けて対向する面又は左右方向に向けて対向する面)に鉛直方向に向けて設けられた直動ガイド64とにより構成される。なお、直動ガイド64は、図5に示すように、あり溝に対応する断面形状を有する直線形のガイドレールで、この直動ガイド64に、あり溝の係合部を有するブロック構造のスライダ64Sが摺動可能に装着される。直動ガイド64はトレー昇降補助装置6Aの固定支柱631側に取り付けられ、スライダ64Sはトレー昇降装置6Lの可動支柱621側に取り付けられる。したがって、既述のトレー昇降装置6Lの各可動支柱621は、この直動ガイド64を介してトレー昇降補助装置6Aの各固定支柱631に沿って昇降可能に支持される。昇降補助駆動部65は、図6に示すように、トレー昇降装置6Lの各可動支柱621の上下各スプロケット622の内側に、上下各スプロケット622と同軸(支軸623)上に並設され、トレー昇降装置6Lの各スプロケット622と異なる所定の回転速度を設定された合計8個のスプロケット652と、各上下スプロケット652間に巻き掛けられ、トレー昇降装置6Lに連結された駆動チェーン655とにより構成され、トレー昇降装置6Lの駆動源に作動連結される。このようにしてトレー昇降装置6Lの駆動モータ624が回転駆動されることにより、トレー昇降装置6Lのトレー支持部61が昇降され、この昇降動作に連動して、トレー昇降装置6L(本体)が昇降駆動され、トレー昇降装置6L(本体)の上昇分だけトレー昇降装置6Lによるトレーの支持位置がさらに引き上げられることになる。この場合、トレー昇降補助装置6Aによるトレー昇降装置6Lの昇降可能な高さが適宜設定され、トレー昇降装置6L(本体)の上方変位により、トレー昇降装置6Lのトレー上昇最大位置は最下階層13より上の階層、すなわち中間階層12の、少なくとも格納区画4に配置されたトレー5の支持位置まで加算的に上昇される。
トレー移載装置7は、図4及び図5に示すように、一対の係合部材70と、その駆動装置71とを備え、トレー昇降ユニット6のトレー支持部61上の、一対の横行レール611の中間に設置される。一対の係合部材70は、円柱形状のローラからなり、後述する送り駆動装置72の一対のアーム728に取り付けられて、共通の搬送台車303上にトレー5の送り方向と(水平方向の)直交する方向に並列に配置される。
係合部材70の駆動装置71は、各係合部材70が共通の搬送路203の、左右の格納区画4上に配置された各トレー5の移載ガイド52に対して係脱可能な左右の各格納区画4上の各係脱位置と、各係合部材70が共通の搬送台車303上のトレー5の移載ガイド52に対して係脱可能な共通の搬送台車303上の係脱位置との間で、各係合部材70をトレー5の送り方向と平行に、かつ相互に反転方向に直動させる送り駆動装置72と、左右の格納区画4上又は共通の搬送台車303上の各係脱位置で各係合部材70をトレー5の送り方向と直交する方向に直動させる係脱駆動装置73とを備える。
この場合、送り駆動装置72は、一対の第1のスプロケット720と、これら第1のスプロケット720間に巻き掛けられた第1のエンドレスチェーン721と、一方の第1のスプロケット720を回転駆動する回転駆動部722と、第1のエンドレスチェーン721と平行に配置された直動ガイド727と、第1のエンドレスチェーン721と直動ガイド727に組み付けられ、トレー5の移動方向に延びる係合部材取付用の一対のアーム728とを具備する。これら係合部材70と送り駆動装置72の各部材は係脱駆動装置73の構成部品である矩形状のベースプレート730上に組み立てられる。すなわち、ベースプレート730はその長手方向を共通の搬送台車303の幅方向に向けて共通の搬送台車303の前後方向略中央に配置され、その左右両端に各第1のスプロケット720が水平方向に回転可能に軸支される。一方の第1のスプロケット720は駆動側のスプロケットとして回転駆動部722に作動連結される。この回転駆動部722は、駆動側の第1のスプロケット720と同軸上に軸支された第1のスプロケット720よりも小径のスプロケット723(対をなす一方の第2のスプロケット723)とこのスプロケット723の内側で減速機付きの駆動モータ724の回転軸725に軸支されたスプロケット723(対をなす他方の第2のスプロケット723)と、これら第2のスプロケット723間に巻き掛けられた第1のエンドレスチェーン721よりも短い第2のエンドレスチェーン726とを具備する。なお、この回転駆動部722では、減速機付きの駆動モータ724に小型のものが採用され、これがベースプレート730の下面側に取り付けられる。第1のエンドレスチェーン721は、下面側に複数のアタッチメントを付けて複数のコロ(図示省略)が取り付けられ、これらのコロがベースプレート730上の第1のエンドレスチェーン721の周回経路上に敷設されたガイドレール(図示省略)上に転動可能に乗せられている。これによって共通の搬送台車303の幅方向に亘って架け渡された第1のエンドレスチェーン721の垂れ下がりが防止される。直動ガイド727は、一対のレールからなり、各々第1のエンドレスチェーン721の直線経路の外側に平行に配置され、ベースプレート730上に敷設される。一対のアーム728はそれぞれ所定の長さを有し、先端方向に徐々に幅狭の平板からなり、その基端部が取付ブロック728Bを介して第1のエンドレスチェーンの外側に取り付けられる。取付ブロック728Bの下面には直動ガイド727に嵌合可能な凹溝が形成され、この取付ブロック728Bが直動ガイド727上にスライド可能に係合される。このようにして各アーム728は基端部が第1のエンドレスチェーン721(の各直線部分)と各直動ガイド727に組み付けられ、各直動ガイド727の進行方向に延びる各アーム728の先端部に係合部材70であるローラが水平方向に回転可能に軸支される。なお、各係合部材70と各格納区画4上のトレー5の移載ガイド52との係合位置に相当する取付ブロック728Bの各停止位置に、取付ブロック728Bを検出するためのセンサ(不図示)が配置され、送り駆動装置72により各係合部材70がトレー5の移載ガイド52と係脱可能な位置まで直進移動されると、センサにより取付ブロック728Bが検知され、この検知信号により送り駆動装置72が作動を停止されて、係合部材70が所定の係脱位置で停止される。これにより、第1のエンドレスチェーン721が作動中に伸びることがあっても、係合部材70がトレー5の移載ガイド52に係脱可能な位置に確実に移動される。
また、係脱駆動装置73は、ベースプレート730と、ベースプレート730をトレー5の移動方向と直交する方向に案内可能な直動ガイド732と、ベースプレート730を直動ガイド732上で進退駆動する進退駆動装置733とを具備する。ベースプレート730は既述のとおりであり、共通の搬送台車303上に直動ガイド732を介して共通の搬送台車303の前後方向に進退可能に載置される。ここで直動ガイド732は一対のガイドレールからなり、共通の搬送台車303の左右両側の台車フレーム311の内側に沿って支持フレームを介して取り付けられる。一方ベースプレート730の下面にはこれら直動ガイド732に嵌合可能な凹溝又はあり溝を有するスライダ734が取り付けられ、このスライダ734によりベースプレート730は直動ガイド732上にスライド可能に乗せられる。またここで進退駆動装置733にパワーシリンダ735が用いられる。このパワーシリンダ735は共通の搬送台車303の幅方向中央で前側又は後側に設置されて、その先端の伸縮ロッド736がベースプレート730の下面側に固定される。このパワーシリンダ735の駆動により各係合部材70と送り駆動装置72との組み立てユニットを支持するベースプレート730が共通の搬送台車303上でその前後方向所定の位置に向けて進退駆動されるように構成される。
一方、最上階層11の専用の搬送台車301は、図1に示すように、台車31と、台車31に付設され、この搬送台車301と各格納区画4との間でトレー5を受け渡しするトレー移載装置7とにより構成され、共通の搬送台車303と異なり、トレー昇降ユニット6は搭載されていない。なお、ここで台車31及びトレー移載装置7は共通の搬送台車303の台車31と共通であり、この場合、台車31の台車フレーム311上に一対の横行レール611及びトレー移載装置7が図示しない取り付け部材を介して据え付けられる。
リフト8は、図1乃至図3に示すように、昇降路80の周囲(四隅)に、鉛直方向に向けて設置された合計4本の昇降ガイド81と、これらの昇降ガイド81の案内により昇降路80上に昇降可能に配置され、トレー5を支持昇降するトレー支持部材82と、トレー支持部材82を昇降駆動する昇降駆動装置84とを備える。
トレー支持部材82は、図3に示すように、全体の高さが1格納階層の搬送路201若しくは203、又はトレーの昇降空間202に設定された高さよりも少し小さく、幅が搬送路201若しくは203、又はトレー昇降空間202の幅よりも僅かに小さく構成され、(このトレー支持部材82が)複数の格納階層11、12、13の各上下の格納階層11、12間又は12、13間に待機された状態で、上下の各格納階層11、12の搬送路201、及びトレーの昇降空間202、又は上下の各格納階層12、13のトレーの昇降空間202、及び搬送路203を共に開放可能な形状を有する一対の昇降部材821と、これら昇降部材821の上部にそれぞれ、昇降路80の内外に進退可能に設けられ、トレー5に係脱可能なトレー係脱装置83とを具備する。ここで、各昇降部材821は、図3又は図6に示すように、各格納階層11、12、13の搬送路201、203又はトレー昇降空間202の上部及び左右両側の内回りに沿う略門形形状に形成され、その両側に昇降ガイド81に係合可能なガイド部材(ガイドローラ)822が設けられ、一方の昇降部材821は昇降路80の前側又は後側の各昇降ガイド81間に配置可能に、他方の昇降部材821は昇降路80の後側又は前側の各昇降ガイド81間に配置可能に構成される。トレー係脱装置83は、図8及び図9に示すように、各昇降部材821に、トレー5の下面縁部を係止可能なトレー係止部材831と、これらのトレー係止部材831を水平方向に移動案内する直動ガイド833と、これらのトレー係止部材831を進退駆動する係脱駆動部836とを対にして備える。この場合、各トレー係止部材831は、トレー5を支持可能なブロック状部材又はプレート状部材で、その上面先端に係止突起832を備える。なお、係止突起832はトレー5下面の係止凹部53に係合可能に、上方に向けて漸次小径のテーパ状に形成される。またトレー係止部材831の下面には、下部にあり溝形の係合面を有するスライダ834が取り付けられる。各直動ガイド833はあり溝に対応する断面形状を有するレール部材からなり、各昇降部材821の上部上面に取付プレート835を介して各昇降部材821の対向方向に突出して取り付けられる。この直動ガイド833上にトレー係止部材831がスライダ834を係合させて、取り付け配置される。係脱駆動部836はシリンダ836Sが採用され、各昇降部材821の上部下面(直動ガイド833の反対側)に取付プレート837を介して、進退駆動される作動ロッド836Rを各昇降部材821の対向方向とは反対側の外側に向けて取り付けられ、この作動ロッド836Rとトレー支持部材82が連結部材838を介して作動連結される。
リフト8の昇降駆動装置84は、図1に示すように、上部駆動方式が採用され、所定の昇降ガイド81の上部に設置された減速機付きの駆動モータ841と、各昇降ガイド81の上下部に設置され、駆動モータ841により回転駆動される複数のスプロケット842と、これら上下のスプロケット842に巻き掛けられ、トレー支持部材82の昇降部材821に接続された昇降駆動チェーン843など、周知の構成を備える。また、この昇降駆動装置84は図示しない制御盤により制御され、この制御盤の制御により、図6に示すように、リフト8のトレー支持部材82が最下階層13とその直上の階層(中間階層12)との間に待避され、リフト8のトレー支持位置が直上の階層(中間階層12)の、格納区画4に配置されたトレー5の支持位置に達するリフト8の第1待避位置が設定され、この待避位置で、リフト8のトレー支持部材82の形状及び構造により、トレー支持部材82の内側に、共通の搬送台車303が自動車を乗せない空車の状態でリフト8を通り抜け可能な又はリフト8に進入退出可能な開放部820Sが構成される。また、図示を省略するが、リフト8のトレー支持部材82が最下階層13とその直上の階層12との間に待避され、リフト8のトレー支持位置が直上の階層12の、格納区画4に配置されたトレー5の支持位置よりも上方の所定の高さに達するリフト8の第2待避位置が設定され、この待避位置で、リフト8のトレー支持部材82の形状及び構造により、トレー支持部材82の内側に、共通の搬送台車303が自動車を乗せた実車の状態でリフト8を通り抜け可能な又はリフトに進入退出可能な開放部が構成される。
次に、この機械式駐車装置1の動作、特に、入庫の自動車を各格納階層へ移送する入庫の移送形式、及び各格納階層から出庫の自動車を移送する移送形式について、図1乃至図13を選択的に参照しながら説明する。なお、各移送形式において、リフト8、搬送台車3、トレー移載装置7、トレー昇降ユニット6、の各動作はすべて図示されない制御盤の制御に基いて実行される。
まず、入庫の自動車を最下階層13へ移送する場合について説明する。なお、この場合、最上階層11で自動車が出庫される動作も併せて例示する。図1において、地上1階の入出庫部10で待機中のトレー5に入庫の自動車が載せられると、リフト8が駆動され、図10に示すように、リフトの昇降路80上を、トレー支持部材82が(トレー係脱装置83のトレー係止部材831を昇降路80内に突出させた状態で)入庫の自動車を載せたトレー5を乗せて、昇降路80の下方に設定された最下下降位置に向けて下降される。この場合、リフト8の最下下降位置はトレー5の支持位置で見ると、中間階層12の格納区画4の、トレー5の支持位置と同じレベル(リフト8の第1待避位置と同じ)に設定されている。一方、このリフト8に連携して、最下階層13では、共通の搬送路203上を、共通の搬送台車303がトレー5を乗せていない空の状態で、リフトの昇降路80に向けて走行される。また、最上階層11の搬送路201では、最下階層13の共通の搬送台車303に遅れて、最上階層11の搬送台車301が出庫の自動車を載せたトレー5を乗せて、リフトの昇降路80に向けて走行される。
続いて、図11(a)に示すように、リフト8のトレー支持部材82が昇降路80上の最下下降位置として設定された中間階層12のトレー支持位置と同じレベル(リフト8の第1待避位置)に達したところで、リフト8が下降を停止される。略これと同時に、最下階層13の共通の搬送台車303が、リフト8のトレー支持部材82の片側一方の昇降部材821の(内側)開放部820Sを通り抜けて、リフト8(昇降路80)内に進入していく。また、このとき、トレー支持部材82に乗せられたトレー5上の自動車は中間階層12の高さの範囲内に収められているので、中間階層12から最上階層11に何ら突出するものはなく、最上階層11の搬送台車301は昇降路80に進入していくことができる。続いて、図11(b)に示すように、最下階層13の共通の搬送台車303が、リフト8(昇降路80)内に完全に入り、停止される。なお、最上階層11の搬送台車301は昇降路80に進入中である。
続いて、図11(c)に示すように、最下階層13の共通の搬送台車303に搭載されたトレー昇降ユニット6の駆動により、トレー昇降装置6Lのトレー支持部61が上昇され、この動作に連動して(トレー昇降補助装置6Aにより)トレー昇降装置6Lが同時に上昇されながら、トレー支持部61が共通の搬送台車303上の自動車を乗せる位置から上昇される。(共通の搬送台車303側の)トレー支持部61が停止中のリフト8のトレー支持位置に達したところから、トレー5が(共通の搬送台車303側の)トレー支持部61上(の一対の横行レール611)に乗せられる一方、(共通の搬送台車303側の)トレー支持部61の上昇とともに、トレー5下面の各係止凹部53から(リフト8側の)トレー支持部材82の係止突起832から抜け外れていきながら(図9(a)参照)、(共通の搬送台車303側の)トレー支持部61へ受け渡しされる。(共通の搬送台車303側の)トレー支持部61はトレー5の支持位置が中間階層12の、格納区画4のトレー支持位置よりも僅かに上方の所定の高さに達したところで停止される(この停止位置で、トレー5とリフト8のトレー係脱装置83とは完全に切り離される。)。なお、この間に、最上階層11の搬送台車301は下方の階層12、13の動作に何ら干渉することなしに、昇降路80上に完全に入る。
続いて、図12(a)に示すように、リフト8の、トレー係脱装置83のトレー係止部材831が係脱駆動部836により昇降路80から後退され、図12(b)に示すように、トレー係脱装置83の、トレー係止部材831が昇降路80外まで後退されたところで係脱駆動部836が停止され、トレー係止部材831が昇降路80外に待機される。これにより、リフト8のトレー係脱装置83と搬送台車303側のトレー昇降ユニット6が干渉することがなく、昇降路80上に(搬送台車303側の)トレー昇降装置6Lのトレー支持部61の下降経路が開放される。なお、最上階層11の搬送台車301は昇降路80上に待機中である。
続いて、図13(a)に示すように、最下階層13の共通の搬送台車303の、トレー昇降ユニット6の駆動により、トレー昇降装置6Lのトレー支持部61が下降され、この動作に連動して(トレー昇降補助装置6Aにより)トレー昇降装置6Lが同時に下降されながら、トレー支持部61が中間階層12上の停止位置から共通の搬送台車303上の自動車を乗せる位置まで下降される。トレー支持部61が共通の搬送台車303の台車フレーム311に達したところで停止される。なお、最上階層11の搬送台車301は昇降路80上に待機中である。
続いて、図13(b)に示すように、最下階層13の共通の搬送台車303が駆動され、リフト8の、トレー支持部材82の片側一方の昇降部材821の(内側)開放部820Sを通り抜けて、リフト8(昇降路80)から退出されていく。なお、このとき、この共通の搬送台車303とリフト8のトレー支持部材82は相互に干渉することがないので、同時に、リフト8が駆動され、トレー係脱装置83のトレー係止部材831が係脱駆動部836により昇降路80に進入され、図9(a)に示すように、トレー係脱装置83の、トレー係止部材831が昇降路80内に進入されたところで係脱駆動部836が停止され、トレー係止部材831が昇降路80内に突出された状態で、トレー支持部材82が上昇される。このトレー支持部材82が最上階層11に達し、トレー支持部材82の係止突起832が最上階層11の昇降路80で待機中の搬送台車301に乗せられた、出庫の自動車を載せたトレー5の下方から、トレー5下面の各係止凹部53に差し込まれていきながら(図9(a)参照)、この出庫の自動車を載せたトレー5が搬送台車301からリフト8のトレー支持部材82へ受け渡しされる。このままトレー支持部材82は上昇され、トレー5が入出庫部10へ移送され、入出庫部10で自動車が出庫される。また、リフト8から退出された共通の搬送台車303は最下階層13の共通の搬送路203を走行され、格納先の格納区画4に対応する位置に停止される。そして、トレー移載装置7が駆動され、次のトレー移載動作が開始される。
(図1、図4及び図5を参照)このとき、共通の搬送台車303上に乗せられたトレー5は一方の移載ガイド52が共通の搬送台車303上で一方の係合部材70に係合され、他方の移載ガイド52が他方の係合部材70と係合されていない状態になっている。このトレー5を取り出し元又は取り出し元と同じ列の格納区画4に戻し入れる場合は、即時、送り駆動装置72が作動される。回転駆動部722の駆動モータ724の起動によりその回転軸725が正転方向に回転され、この回転が回転駆動部722の第2のスプロケット723、第2のエンドレスチェーン726により伝達されて、駆動側の第1のスプロケット720が正転駆動される。このスプロケット720の回転駆動により、第1のエンドレスチェーン721が同様に正転方向に回転され、このエンドレスチェーン721に取り付けられた一方の係合部材70はトレー5の一方の移載ガイド52と係合している状態で、他方の係合部材70はトレー5の他方の移載ガイド52と係合していない状態で、各直動ガイド727をスライドされて、(共通の搬送台車303から格納区画4へトレー5を送る場合の)トレー5の送り方向に直動案内され、当該格納区画4上へ直進移動される。これにより共通の搬送台車303上のトレー5は各ローラ50が共通の搬送台車303上の(トレー支持部61の)一対の横行レール611から当該区画4上の一対の横行レール41へ移動して、共通の搬送台車303から当該格納区画4へ送られていく。トレー5の移載ガイド52と係合状態の係合部材70がその格納区画4上の係脱位置まで移動されると、これがセンサにより検出されて送り駆動装置72の作動を停止され、その係合部材70が格納区画4上の係脱位置で停止される。そして係脱駆動装置73が作動され、その係合部材70はトレー5の移載ガイド52から離脱される。このようにして共通の搬送台車303からトレー5が取り出し元又は取り出し元と同じ列の格納区画4上に完全に移し替えられる。
なお、このトレー5を取り出し元又は取り出し元と異なる列の格納区画4に戻し入れる場合は、共通の搬送台車303上に乗せられたトレー5の、一方の移載ガイド52と一方の係合部材70との係合状態、他方の移載ガイド52と他方の係合部材70との非係合状態が切り替えられる。この場合、まず係脱駆動装置73が作動される。パワーシリンダ735の駆動によりその伸縮ロッド736が短縮又は伸長され、ベースプレート730が直動ガイド732の案内により共通の搬送台車303の後方又は前方に所定の距離だけ移動されて、一方の係合部材70が一方の移載ガイド52との係合状態から移載ガイド52の前側又は後側の係脱端から離脱されるとともに、他方の係合部材70が他方の移載ガイド52との非係合状態からその後側又は前側の係脱端から進入され、各係合部材70と各移載ガイド52との係合離脱の状態が切り替えられる。ここで係脱駆動装置73は作動を停止され、送り駆動装置72が作動される。回転駆動部722の駆動モータ724の起動によりその回転軸725が逆転方向に回転され、この回転が回転駆動部722の第2のスプロケット723、第2のエンドレスチェーン726により伝達されて、駆動側の第1のスプロケット720が逆転駆動される。このスプロケット720の回転駆動により、第1のエンドレスチェーン721が同様に逆転方向に回転され、このエンドレスチェーン721に取り付けられた一方の係合部材70はトレー5の一方の移載ガイド52と係合していない状態で、他方の係合部材70はトレー5の他方の移載ガイド52と係合している状態で、各直動ガイド727をスライドされて(搬送台車5から反対の格納区画4へトレー5を送る場合の)トレー5の送り方向に直動案内され、反対側の格納区画4上へ直進移動される。これにより搬送台車303上のトレー5は各ローラ50が共通の搬送台車303上の一対の横行レール611から反対側の格納区画4上の一対の横行レール41へ移動して、共通の搬送台車303から反対側の格納区画4へ送られていく。トレー5の移載ガイド52と係合状態の係合部材70がその格納区画4上の係脱位置まで移動されると、これがセンサにより検出されて送り駆動装置72の作動を停止され、その係合部材70が格納区画4上の係脱位置で停止される。再度係脱駆動装置73が作動され、その係合部材70はトレー5の移載ガイド2ら離脱される。このようにして共通の搬送台車303からトレー5が取り出し元の駐車区画4とは反対の格納区画4上に完全に移し替えられる。
入出庫部10で自動車の出庫後の空のトレー5を最下階層13の格納区画4に戻し入れる場合も、リフト8、共通の搬送台車303、トレー移載装置7が同様にして動作され、当該トレー5が同様に移送される。また、最下階層13の格納区画4から自動車を出庫する場合、又は空のトレー5を入出庫部10へ移送する場合、上記動作が逆になる。特に、自動車を出庫する動作では、リフト8が最下階層13と中間階層12との間の、第2待避位置に待避されることにより、トレー支持部材82の内側に開放部が構成され、共通の搬送台車303が自動車を乗せた実車の状態でリフト8を通り抜け又はリフト8に進入退出できるので、出庫の自動車を載せた共通の搬送台車303はリフト8に一気に入り、共通の搬送台車303とリフト8との間の、(自動車を載せた)トレー5の受け渡しに即時に移行することができる。
次いで、入庫の自動車を中間階層12へ移送する場合について説明する。この場合、(図1参照)地上1階の入出庫部10で待機中のトレー5に入庫の自動車が載せられると、このトレー5は、入庫の自動車を最下階層13へ移送する場合と同様にして、リフト8により移送され、最下階層13の共通の搬送台車303に受け渡しされる。共通の搬送台車303はリフト8から退出されると、最下階層13の共通の搬送路203を走行され、中間階層の格納先の格納区画4に対応する位置に停止される。そして、トレー昇降ユニット6が駆動され、次のトレー昇降動作が開始される。
まず、(図6参照)トレー昇降装置6Lの駆動モータ624が回転駆動されて、トレー昇降装置6Lのトレー支持部61が上昇され、この上昇動作に連動して、さらにトレー昇降装置6L(本体)が昇降駆動されて、入庫の自動車を載せたトレー5が共通の搬送台車303上を自動車を乗せる位置から上昇される。(図7参照)トレー昇降装置6Lのトレー支持部61がトレー上昇最大位置まで上昇されると略同時に、トレー昇降補助装置6Aによりトレー昇降装置6Lが最大限上昇され、このトレー昇降装置6L(本体)の上昇分だけトレー昇降装置6Lによるトレー5の支持位置がさらに引き上げられて、トレー昇降装置6Lのトレー上昇最大位置は最下階層13より上の階層、すなわち中間階層12の、格納区画4に配置されたトレー5の支持位置まで加算的に上昇される。そしてトレー5が格納区画4に配置されたトレー5の支持位置まで上昇されたところで、トレー昇降ユニット6の動作が停止され、トレー移載動作が開始される。このトレー移載動作は既に説明したとおりである。
なお、この中間階層12へのトレー5の移送では、トレー5がリフト6により移送され、最下階層13の共通の搬送台車303に受け渡しされた後に、トレー5がトレー昇降ユニット6に支持されたまま、共通の搬送台車303が駆動され、中間階層の格納先の格納区画4に対応する位置まで移動されて、格納先の格納区画4に対応する位置で、トレー移載装置7により、トレー5が共通の搬送台車303から当該格納区画4に移載されるようにしてもよい。この動作は、自動車を載せたトレー5をリフト8に近接する格納区画4に格納するときに好ましい。
また、入出庫部10で自動車の出庫後の空のトレー5を中間階層12の格納区画4に戻し入れる場合も、リフト8、共通の搬送台車303、トレー移載装置7が同様にして動作され、当該トレー5が同様に移送される。また、中間階層12の格納区画4から自動車を出庫する場合、又は空のトレー5を入出庫部10へ移送する場合、上記動作が逆になる。特に、自動車を出庫する動作では、リフト8が最下階層13と中間階層12との間の、第2待避位置に待避されることにより、トレー支持部材82の内側に開放部が構成され、共通の搬送台車303が自動車を乗せた実車の状態でリフト8を通り抜け又はリフト8に進入退出できるので、出庫の自動車を載せた共通の搬送台車303はリフト8に一気に入り、共通の搬送台車303とリフト8との間の、(自動車を載せた)トレー5の受け渡しに即時に移行することができる。
最後に、入庫の自動車を最上階層11へ移送する場合について説明する。この場合、(図1参照)地上1階の入出庫部10で待機中のトレー5に入庫の自動車が載せられると、リフト8が駆動され、リフトの昇降路80上を、トレー支持部材82が(トレー係脱装置83のトレー係止部材831を昇降路80内に突出させた状態で)入庫の自動車を載せたトレー5を乗せて、最上階層11に下降される。最上階層11ではあらかじめ、リフトの昇降路80上に搬送台車301が待機される。リフト8のトレー支持部材82が最上階層11の搬送台車301の前後に対応する両側を通過すると同時に、トレー支持部材82上の自動車を載せたトレー5が搬送台車301に直接受け渡しされ、搬送台車301上の一対の横行レール611に乗せられる。搬送台車301がリフト8のトレー支持部材82の一方の昇降部材821の開放部を通じて退出され、最上階層11の搬送路201を走行される。そして格納先の格納区画4に対応する位置で停止され、トレー移載装置7により、トレー移載動作が開始される。トレー移載動作は既述のとおりである。
なお、入出庫部10で自動車の出庫後の空のトレー5を最上階層11の格納区画4に戻し入れる場合も、リフト8、共通の搬送台車301、トレー移載装置7が同様にして動作され、当該トレー5が同様に移送される。また、最上階層11の格納区画4から自動車を出庫する場合、又は空のトレー5を入出庫部10へ移送する場合、上記動作が逆になる。特に、自動車を出庫する動作では、リフト8が最上階層11と中間階層12との間に待避されることにより、トレー支持部材82の上方が開放され、搬送台車301が自動車を乗せた実車の状態でリフト8を通り抜け又はリフト8に進入退出できるので、出庫の自動車を載せた搬送台車301はリフト8に一気に入り、搬送台車301とリフト8との間の、(自動車を載せた)トレー5の受け渡しに即時に移行することができる。
このように上記実施の形態によれば、最下階層13の搬送台車303にトレー昇降ユニット6を備え、リフト8と最下階層13の共通の搬送台車303との間のトレー5の受け渡しを、最下階層13とその上の中間階層12との間に設定された所定の高さで行うようにしているので、設置空間の床からリフトピットを不要にすることができる。併せて最下階層13の共通の搬送台車303にトレー昇降ユニット6、さらにトレー移載装置7を備える一方、最下階層13の上の中間階層12から搬送台車を無くすとともに、その搬送路に代えて、共通の搬送路203に連通するトレー5の昇降空間202を設け、共通の搬送台車303と最下階層13及び中間階層12の各格納区画4との間でトレー5の搬送、昇降、移載を選択的に行い、最下階層13及び中間階層12のトレー5の移送を共通の搬送台車303に一元化しているので、この場合、中間階層12、1階層分の搬送台車及び搬送路を削減して、中間階層12の階高を圧縮し、その結果、駐車装置1全体の高さを圧縮することができる。
また、共通の搬送台車303にトレー昇降ユニット6が共通の搬送路203に設定された高さよりも下がった所定の高さの範囲内に構成され、一方、リフト8のトレー支持部材82は全体の高さが1格納階層11又は12又は13の搬送路201又は203、又はトレーの昇降空間202に設定された高さよりも小さく構成され、特にトレー支持部材82の昇降部材821が各格納階層11、12間又は12、13間に待機された状態で、上下の格納階層11、12又は12、13の搬送路201、203又はトレーの昇降空間202を共に開放可能な略門形形状を有しているので、リフト8が最下階層13とその直上の中間階層12との間で、リフト8のトレー支持位置が直上の中間階層12の、格納区画4に配置されたトレー5の支持位置に達する位置に待避されることにより、リフト8のトレー支持部材82の内側を通じて、共通の搬送台車303が自動車を乗せない空車の状態でリフト8を通り抜け又はリフトに進入退出することができ、さらにリフト8が最下階層13とその直上の中間階層12との間で、リフト8のトレー支持位置が直上の中間階層12の、格納区画4に配置されたトレー5の支持位置よりも上方の所定の高さに達する位置に待避されることにより、リフト8のトレー支持部材82の内側を通じて、共通の搬送台車303が自動車を乗せた実車の状態でリフト8を通り抜け又はリフト8に進入退出することができ、共通の搬送台車303とリフト8との空トレー5(自動車を載せていないトレー5)又は実トレー5(自動車を載せたトレー5)の受け渡しを円滑に行うことができる。
また、この駐車装置1では、共通の搬送台車303及びこの搬送台車303上のトレー昇降ユニット6、並びにリフト8の特にトレー支持部材82が、各格納階層11、12、13の特に高さ方向の合わせて小さく構成されるので、各格納階層11、12、13の各格納区画4上に設定された駐車空間の高さに、各格納階層11、12、13毎に収容対象となる自動車の車高に可及的に近接する寸法を設定することができ、このように設定することで、駐車設備の階高及び全体の高さを可及的に圧縮することができる。さらに、トレー移載装置7が共通の搬送台車303に、トレー昇降ユニット6により昇降可能に搭載されるので、最下階層13及び中間階層12間でトレー移載装置7を共用することができ、中間階層12をより簡素化することができ、階高の増大要因を取り除くことができる。
なお、上記実施の形態では、地下式、全3階層の格納階層を有する駐車設備を例示して、全3階層から最下階層及び中間階層の2階層を選定し、その最下階層に共通の搬送台車を備え、この搬送台車上にトレー昇降ユニットを最下階層の高さの範囲内に制限して搭載する一方、上の中間階層から搬送台車を無くすとともに、その搬送路に代えて、共通の搬送路に連通し、トレー昇降ユニットにより昇降されるトレーの昇降空間を形成しているが、中間階層及び最上階層の2階層を選定して、同様の構成を採用することもでき、このようにすると、従来のようにリフトピットを設ける必要はあるものの、設置空間の高さの関係などから、駐車設備全体の高さを圧縮調整する必要がある場合に有効である。また、上記実施の形態では、全3階層の格納階層を例示しているが、2階層以上の格納階層を有する駐車設備であれば、同様に適用することができ、同様の作用効果を得ることができる。この場合、4階層以上の格納階層を有していると、上下に隣接する2階層の格納階層が2組以上設定できるので、2組以上の上下2階層の格納階層にそれぞれ、同様の構成を備え、同様の作用効果を奏することができる。また、4階層以上の格納階層を有している場合でも、一部の2階層又は3階層を選定して、同様の構成を備え、同様の作用効果を奏することができる。多数の格納階層を有する大規模な駐車設備の場合には、搬送台車をなくし、搬送路をトレーの昇降空間に変える格納階層を任意に増やすことで、その分だけ階高を圧縮することができ、その結果、駐車設備全体の高さを大幅に短縮することができ、駐車設備の小型化、設置空間の省スペース化を図ることができる。
また、上記実施の形態では、トレー昇降補助手段を、トレー昇降装置6Lの駆動モータ624を利用し、トレー昇降装置6Lに連動してトレー昇降装置6Lを昇降する昇降機構として構成しているが、このトレー昇降補助手段にジャッキやシリンダなどを採用して、トレー昇降装置6Lを、トレー昇降装置6Lの動きとは関係なく、独立して昇降駆動する昇降駆動装置として構成してもよい。さらに、このトレー昇降補助手段を、トレー昇降装置6Lのトレー支持部を利用し、このトレー支持部を略L字形の4本のトレー支持部材により形成したり、また略L字形の4本の支持部材とこれら支持部材に支持される枠状のトレー支持フレームにより構成したりすることで、トレー昇降装置6Lのトレー上昇最大位置を伸長させるようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、各搬送台車301、303に新規なトレー移載装置7を搭載しているが、先端部にローラなどの係合部材を設けたアームを旋回駆動する方式や、コンベア方式などの、従来のトレー移載装置に代えることもできる。
さらに、上記実施の形態では、トレー支持部材82の昇降部材821を略門形に形成しているが、その形状を略逆U字形、又は略逆門形若しくは略U字形、又は略H字形に変えたり、またこれらの昇降部材821を中間部で分割したり、さらに個々独立の複数のトレー支持部材を各別の昇降部材に連結したりしてもよく、トレー支持部材全体の形状を任意に変更することができる。トレー支持部材82がどのような形状であっても、トレー支持部材の上方又は下方又はその両方に各搬送台車301、303の開放部を備えることにより、上記リフト8と同様の作用効果を奏することができる。