JP4334543B2 - 温度調節機能を持つ布帛 - Google Patents
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- D01F8/04—Conjugated, i.e. bi- or multicomponent, artificial filaments or the like; Manufacture thereof from synthetic polymers
Description
【0001】
本発明は、温度調節機能を持つ布帛に関するものである。例えば、肌着、裏地、セーター、シャツ、背広、パンティストッキング、靴下、帽子、マフラー、作業服、スキー・スケートウエア、ダイビングスーツ、釣り・登山等のウエア、トレーニングウエア等のスポーツ衣料品、シーツ、中綿等の寝具品、その他、手袋、靴内材、ヘルメット内材、車両内装材、室内用内装材、合成皮革基布等の製品、または保温・保冷が要求される食品包装材等の分野に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
従来、温度変化が著しい環境で着用する防寒着、スポーツ衣料品等では、綿、ダウン、フェザー等の保温材料を用いて体温の低下を防ぐ方法が知られている。しかし、このような方法は衣料品の重量が増加したり、嵩高になってしまうという問題があるため、布地の一部にアルミニウム等の金属蒸着膜を形成し、保温材料とすることが具体化されている。さらに近年では、吸水すると発熱する材料を布地に付着させたスポーツ衣料品等が利用されている。
しかし、このような材料は、確かに保温材料とはなるが、温度調節機能を有していない。そこで、体温付近に融点を有する物質をマイクロカプセルに封入し、このマイクロカプセルを基材に付着させたり、繊維中にマイクロカプセルを混入した布地を用いた衣料品に関する技術が提案されている。(特許文献1、2、3)
このような布地によれば、体温付近に融点を有する物質の融解熱、凝固熱によって衣料品内部の温度変化を遅らせることができるため、衣類に温度調節機能を付与することができる。
しかしながら、マイクロカプセルを布地に付着させる方法は、布地等の基材上にドット状に付着せざるを得ず、温度調節機能を十分に発揮できないという問題がある。また、加工時に接着剤を使用するため、衣類の柔らかさ等を確保しにくいとともに、重量が大きくなり、透湿性が損なわれるという問題がある。(特許文献4)
さらに、マイクロカプセルを繊維に配合する方法は、カプセルの粒子径、配合量に基づく温度調節機能と、繊維強度とのバランスを保つことが難しく、実用的なものを製造することが困難である。
近年では、潜熱蓄熱剤の相転移による吸発熱を利用して温度調節を図る複合繊維も報告されている。しかし、この方法は芯鞘型複合繊維の芯部がポリエーテルポリオール及びその誘導体からなるポリオール類そのものであるため、特別な紡糸設備が必要であることに加え、繊維の強度を保つことが難しい。また、織編や染色の工程で芯部の潜熱蓄熱剤が表面に染み出してくるなど、製品としての価値を成さないものである。(特許文献5)また、繊維形成性熱可塑性重合体に潜熱蓄熱剤を練り込み、これを芯鞘型複合繊維の芯部に用いる方法が報告されている。しかし、この方法で潜熱蓄熱剤として用いられているパラフィン系炭化水素(パラフィンワックス)は融点が30℃以下、即ち人間の皮膚表面温度以下であるので、この繊維で作られた衣料を身に付けた時点で相転移してしまい、温度調節の機能を果たさない。(特許文献6、7)
【0003】
先行文献一覧
【特許文献1】
特開昭58−55699号公報
【特許文献2】
特開平1−85374号公報
【特許文献3】
特開平2−182980号公報
【特許文献4】
特開2002−201571号公報
【特許文献5】
特開平6−200417号公報
【特許文献6】
特開平8−311716号公報
【特許文献7】
特開2002−317329号公報
【発明の開示】
【0004】
本発明の目的は、繊維の強度、柔らかさ、軽量性、透湿性、加工のしやすさ、洗濯耐久性など製品の扱いやすさを保持しながらも、実用に適する優れた温度調節機能を有する布帛を提供することにある。
本発明は、融点が30℃〜50℃の、アクリル酸もしくはメタクリル酸およびそれらの誘導体のエステルとワックスとの重合体(以下、「温調成分」と記す)0.2wt%〜40wt%、および熱可塑性重合体60wt%〜99.8wt%で、示差走査熱量測定法(DSC)による融解熱量が1J/g〜90J/gであることを特徴とする樹脂組成物からなる芯部が、繊維形成性重合体からなる鞘部で包み込まれた芯鞘構造で、DSCによる融解熱量が0.5J/g〜60J/g、凝固熱量が0.1J/g〜20J/gである複合繊維で作られた布帛であることを特徴とし、これにより前記目標を達成する。
また、融点が30℃〜50℃の温調成分が繊維形成性重合体の中心部付近に分散され、DSCによる融解熱量が0.5J/g〜60J/g、凝固熱量が0.1J/g〜20J/gである繊維で作られた布帛であることを特徴とし、これにより前記目標を達成する。
本発明によって得られる布帛は、優れた温度調節機能を有しているので、環境温度の変化による衣服内の急激な温度変化が少なく、快適性をもたらす効果が非常に高い。また、繊維の強度、柔らかさ、軽量性、透湿性、洗濯耐久性にも優れており、かつ、布帛に温度調節機能を持たせるためのコーティング処理が必要ないため、加工のし易さや製品の取り扱い易さも従来どおり保持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は、融点が30℃〜50℃の温調成分0.2wt%〜40wt%、および熱可塑性重合体60wt%〜99.8wt%で、示差走査熱量測定法(DSC)による融解熱量が1J/g〜90J/gである温度調節機能を持つ繊維からなることを特徴とする。
また、融点が30℃〜50℃の温調成分が繊維形成性重合体の中心部付近に分散され、DSCによる融解熱量が0.5J/g〜60J/g、凝固熱量が0.1J/g〜20J/gである繊維を用いた布帛であることを特徴とする。
【0006】
熱可塑性重合体に混合、または繊維形成性重合体の中心部付近に分散される温調成分に用いられるアクリル酸としては、ポリエイコシルアクリレート、ポリノナデシルアクリレート、ポリヘプタデシルアクリレート、ポリパルミチルアクリレート、ポリペンタデシルアクリレート、ポリステアリルアクリレート、ポリラウリルアクリレート、ポリミリスチルアクリレート等、またはこれらのアクリル酸の誘導体である。同じくメタクリル酸としては、ポリドコシルメタクリレート、ポリヘンエイコシルメタクリレート、ポリミリスチルメタクリレート、ポリペンタデシルメタクリレート、ポリパルミチルメタクリレート、ポリヘプタデシルメタクリレート、ポリノナデシルメタクリレート、ポリエイコシルメタクリレート、ポリヘステアリルメタクリレート、ポリ(パルミチル/ステアリル)メタクリレート等、またはこれらのメタクリル酸のエステルである。これらアクリル酸もしくはメタクリル酸およびそれらの誘導体のエステルは、単独で用いても、または2つ以上を組み合わせて用いても良い。
熱可塑性重合体に混合する上記温調成分は、0.2wt%未満では温度調節機能を十分に確保できず、40wt%を超えると、繊維強度、紡糸性が低下する。好ましくは1.0wt%〜40wt%、より好ましくは5wt%〜30wt%とするのがよい。
【0007】
温調成分を混合する熱可塑性重合体は、溶融紡糸可能な繊維形成性重合体であればよく、かかる重合体の具体例としてはナイロン6やナイロン66等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、全芳香族ポリエステル等の芳香族ポリエステル、ポリ乳酸やポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、又はこれらを主成分とする重合体、更にはポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の耐熱性熱可塑性重合体も挙げられるが、より好ましくはポリプロピレン、ナイロン6、ポリエチレンテレフタレートおよびポリ乳酸である。
【0008】
複合繊維の鞘部を構成する繊維形成性重合体は、溶融紡糸可能な繊維形成性重合体であればよく、このような重合体の具体例としてはナイロン6やナイロン66等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、全芳香族ポリエステル等の芳香族ポリエステル、ポリ乳酸やポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、又はこれらを主成分とする重合体、更にはポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の耐熱性熱可塑性重合体も挙げられるが、より好ましくは、ナイロン6、ポリエチレンテレフタレートおよびポリ乳酸である。
【0009】
前記複合繊維は、通常のコンジュゲート型複合紡糸装置を用いることにより、容易に製造することができる。通常の速度500m/分〜1500m/分程度で紡糸し、ついで延伸熱処理する方法、またスピンドロー法、高速紡糸法により製造することが可能である。
また、温調成分を繊維形成性重合体の中心部付近に分散させた繊維は、紡糸時に芯部用押出機として静止型混練装置(スタティックミキサー)を具備したコンジュゲート型複合紡糸装置を用いることにより、容易に製造することができる。通常の速度500m/分〜1500m/分程度で紡糸し、ついで延伸熱処理する方法、またスピンドロー法、高速紡糸法により製造することが可能である。
【0010】
繊維の断面形状は円形、または多角形、多葉形などの非円形など問わないが、温調成分を混合した熱可塑性重合体からなる芯部を、繊維形成性重合体からなる鞘部で包み込んだ芯鞘構造を特徴とする。または、温調成分が、繊維形成性重合体の中心部付近に分散されていることを特徴とする。これによって、芯部または中心部付近の温調成分は、ギアポンプで設定された量が繊維中に保持される。
上記繊維形成性重合体には、少量の他の任意の重合体や酸化防止剤、制電剤、顔料、艶消し剤、抗菌剤、不活性微粒子その他の添加剤が含有されても良い。
さらに、前述した温度調節機能を持つ繊維は、繊維径方向断面の芯部の面積割合が8%〜60%であるのが好ましい。芯部の面積割合が8%以上であれば、十分な温度調節機能を確保することができる。また、芯部の面積割合が60%以下であれば、繊維強度を確保することができる。特に、ポリプロピレンのような染色性の悪い樹脂からなる樹脂組成物を芯部に用いる場合、繊維全体の染色性を考慮して、芯部の面積割合は20%〜50%であることが好ましい。
【0011】
そして、前述した温調成分の融点は、30℃〜50℃であることが必要である。融点が30℃未満だと、相転移温度が人体の皮膚表面温度以下となり、身に付けた時点で相転移をしてしまうので温度調節が機能せず、50℃を超えると、相転移温度が日常の生活温度以上となり、同様に温度調節が機能しない。より好ましくは、32℃〜40℃である。
また、前述した温調成分と熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物の、温調成分の融点付近における融解熱量は、1J/g〜90J/gであることが必要である。融解熱量を1J/g未満とすると温度調節機能の低下を招き、90J/gを超えると、紡糸した際の繊維物性が低下する。好ましくは、2J/g〜50J/g、より好ましくは10J/g〜40J/gである。
この樹脂組成物を芯部に配した温度調節機能を持つ繊維の融解熱量は、温調成分の融点付近において、0.5J/g〜60J/g、さらには1.0J/g〜30J/gであることが好ましい。また、この複合繊維の凝固熱量は、温調成分の凝固点付近において、0.1J/g〜20J/g、さらには0.5J/g〜10J/gであることが好ましい。
【0012】
本発明の布帛を形成する温度調節機能を持つ繊維の単糸繊度は特に規定しないが、1dtex〜20dtexが好ましい。単糸繊度が1dtex以上であれば、繊維化は容易であるし、20dtex以下であれば衣類の柔らかさ等を確保できるからである。
また、本発明の布帛を形成する繊維の形態はマルチフィラメント、モノフィラメント、ステープルなどを問わない。フィラメントは仮撚り加工、エアー混繊、コアスパンヤーンなどの意匠糸、カバーリング糸であっても構わないし、ステープルは紡績糸として繊維化しても構わない。
本発明の布帛は、編物、織物の形態は規定しない。編組織は緯編、経編を問わないし、それぞれの変化組織でも構わない。織組織も、平織(プレーン)、綾織(ツィル)、朱子織(サテン)等、またはそれぞれの変化組織、さらにはドビーやジャカードなどでも構わない。また、レースや不織布、フェルトとして利用することも可能である。
上記布帛の形態において、目付け、ゲージなどは特に規定しない。また、上記複合繊維を100%で用いても良いし、他の繊維と交編、交織して用いても良い。さらには、天然繊維と混紡して用いても構わない。使用割合も特に規定しないが、20%〜100%が好ましい。
このような温度調節機能を持つ布帛を、肌着、セーター、シャツ、パンティストッキング等の衣料品、スキー、スケートウエア、ダイビングスーツ等のスポーツ衣料品、シーツ、中綿等の寝具品、食品包装材等の材料とすることにより、これらの製品に温度調節機能を持たせることができる。
【実施例】
【0013】
以下、実施例及び具体例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
−融解熱量および凝固熱量の測定方法−
示差走査熱量計(DSC−7:パーキンエルマージャパン社製)にて、試料10mg、昇温および降温速度5℃/分で測定し、温調成分の融点の±5℃の範囲においてそれぞれの熱量を求めた。
【0014】
[実施例1〜6]
融点が34℃であるメタクリル酸エステルとパラフィンとの重合体を混合したポリプロピレン、ナイロン6、ポリエチレンテレフタレート、およびポリ乳酸をそれぞれ芯部に、ナイロン6、ポリエチレンテレフタレートおよびポリ乳酸をそれぞれ鞘部に配した複合繊維を紡出した。組み合わせを表1に示す。これらの複合繊維における芯部の面積割合は40%であった。次に、それぞれの複合繊維を丸編み機にかけて、温度調節機能を持つ繊維100%の鹿の子組織の編地とし、肌着を縫製した。これらの肌着の融解熱量および凝固熱量を合わせて表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
〔比較例1〜3〕
実施例1〜3に対してメタクリル酸エステルとパラフィンとの重合体を含まないポリプロピレンを芯部に、ナイロン6、ポリエチレンテレフタレートおよびポリ乳酸をそれぞれ鞘部に配した複合繊維を紡出した。組み合わせと評価結果を合わせて表1に示した。
【0017】
[実施例7〜9]
融点が34℃であるメタクリル酸とパラフィンとの重合体をナイロン6、ポリエチレンテレフタレート、およびポリ乳酸それぞれの中心部付近に分散させた複合繊維を紡出した。組み合わせを表2に示す。これらの複合繊維に含まれるメタクリル酸とパラフィンとの重合体は20%であった。次に、それぞれの複合繊維を丸編み機にかけて、温度調節機能を持つ繊維100%の鹿の子組織の編地とし、肌着を縫製した。これらの肌着の融解熱量および凝固熱量を合わせて表2に示す。
【0018】
【表2】
【0019】
〔比較例4〜6〕
実施例7〜8に対してナイロン6、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸がそれぞれ100%の場合の評価結果を表2に合わせて示した。
【0020】
[実施例10〜12]
融点が34℃であるメタクリル酸エステルとパラフィンとの重合体を混合したポリプロ
ピレンを芯部、ナイロン6、ポリエチレンテレフタレートおよびポリ乳酸をそれぞれ鞘部に配した複合繊維を紡出した。組み合わせを表3に示す。これらの複合繊維における芯部の面積割合は40%であった。次に、それぞれの複合繊維と綿とを丸編み機にかけて、温度調節機能を持つ繊維50%および綿50%の鹿の子組織の編地とし、肌着を縫製した。これらの肌着の融解熱量および凝固熱量を合わせて表3に示す。
【0021】
【表3】
【0022】
〔比較例7〜10〕
実施例10〜12に対して、メタクリル酸エステルとパラフィンとの重合体を含まないポリプロピレンを芯部に、ナイロン6を鞘部に配した複合繊維、およびナイロン6、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸のそれぞれと綿を50%用いた場合の評価結果を表3に合わせて示した。
【0023】
−基本性能評価−
前述した実施例1〜実施例9の肌着において、繊維の強度、柔らかさ、透湿性についての評価を行なった。結果を表4に示す。
〔比較例11〕
ナイロン6繊維を丸編み機にかけて、ナイロン6が100%の鹿の子組織の編地を作製した。次に、この編地にメタクリル酸エステルとパラフィンとの重合体を封入したマイクロカプセルを透湿性ウレタン樹脂組成物で接着させ、温度調節機能を持つ布帛を得た。
【0024】
【表4】
【0025】
表中の物性評価は下記の通りに行った。
<透湿度>JIS L−1099(A−1)に従って測定した。
<柔らかさ評価>手のひら全体で布地を握り込み、柔らかい、やや柔らかい、やや硬い、硬い の4段階で判定した。
また、前述した実施例1〜実施例9および比較例11の肌着において、融解熱量の洗濯耐久性評価を行なった。結果を表5に示す。
【0026】
【表5】
【0027】
表中の物性評価は下記の通りに行った。
<洗濯耐久性評価>JIS L−0217 103法に従って測定した。
実施例1〜実施例9の温度調節機能を持った肌着は、十分な強度を保持しながらも透湿性や柔らかさを損なうことがなく、洗濯による融解熱量の低下も見られないことがわかる。しかし比較例11で示した、布帛表面にマイクロカプセルを接着させた構造では、手触りが硬く、かつ透湿性が低いだけでなく、洗濯による融解熱量の著しい低下が認められた。
前述した実施例1〜実施例12、比較例1〜比較例10について、以下のような評価を行なった。
【0028】
−温度調節性能評価−
実施例1〜実施例12および比較例1〜比較例10で作製した肌着を10cm四方の大きさに切り、熱電対型温度計を包んだ。10℃に設定された恒温槽で熱電対型温度計が10℃になるまで静置し、その後、40℃に設定された恒温槽に試験体を移動して熱電対型温度計が40℃に到達するまでの時間を測定した。
同様に、40℃に設定された恒温槽で熱電対型温度計が40℃になるまで静置し、その後、10℃に設定された恒温槽に試験体を移動して熱電対型温度計が10℃に到達するまでの時間を測定した。
また、実施例1〜実施例12および比較例1〜比較例10で作製した肌着を用いて実着用試験を行なった。評価方法は、23℃、40%RHに保たれた部屋で10分間椅子に座って安静にした後、35℃、70%RHに調整された部屋へ入り、10分間椅子に座って安静にする。その直後、10℃、20%RHに調整された部屋へ入り、10分間椅子に座って安静にしてもらい、衣服内の温度変化に伴う着用感の快/不快を非常に快適、快適、やや快適、やや不快、不快、非常に不快の6段階で判定した。
熱電対型温度計による評価および実着用試験の結果を下記表6に示す。
【0029】
【表6】
【0030】
実施例1〜実施例12は、40℃に設定された恒温槽中で熱電対型温度計が40℃に到達するまでに7〜16分かかるのに対し、比較例1〜比較例10では3〜5分ほどで40℃に達してしまう。また、実施例1〜実施例12は、10℃に設定された恒温槽中で熱電対型温度計が10℃に到達するまでに12〜25分かかるのに対し、比較例1〜比較例10では2.5〜4.5分ほどで10℃に達してしまう。よって、実施例1〜実施例12に係る肌着は、比較例1〜比較例8にはない温度調節機能を備えていることがわかる。
また、実着用試験結果からも、実施例1〜実施例12の肌着は、比較例1〜比較例10の肌着に比べて快適な着用感をもたらすことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の温度調節機能をもつ布帛は、優れた温度調節機能を有しているので、環境温度の変化による衣服内の急激な温度変化が少なく、快適性をもたらす効果が非常に高い。しかも、繊維の強度、柔らかさ、軽量性、透湿性、洗濯耐久性にも優れているので、取り扱いが容易である。よって、インナーウェア、アウターウェア、レッグ製品、スポーツウェアなどの衣料品はもちろん、寝具や車両内装材などの生活資材に幅広く利用することが可能である。
Claims (9)
- 融点が30℃〜50℃の、アクリル酸もしくはその誘導体のエステル、あるいはメタク
リル酸もしくはその誘導体のエステルとワックスとの重合体(以下「温調成分」と記す)
0.2wt%〜40wt%、および熱可塑性重合体60wt%〜99.8wt%で、示差
走査熱量測定法(DSC)による融解熱量が1J/g〜90J/gである樹脂組成物から
なる芯部が、繊維形成性重合体からなる鞘部で包み込まれた芯鞘構造で、DSCによる温
調成分の融解熱量が0.5J/g〜60J/g、凝固熱量が0.1J/g〜20J/gで
ある複合繊維を用いたことを特徴とする布帛。 - 融点が30℃〜50℃の温調成分が、繊維形成性重合体の中心部付近に分散され、DSCによる温調成分の融解熱量が0.5J/g〜60J/g、凝固熱量が0.1J/g〜20J/gである繊維を用いたことを特徴とする布帛。
- 前記熱可塑性重合体がポリプロピレンである請求項1に記載の布帛。
- 前記熱可塑性重合体がポリアミドである請求項1に記載の布帛。
- 前記熱可塑性重合体がポリエステルである請求項1に記載の布帛。
- 前記熱可塑性重合体がポリ乳酸である請求項1に記載の布帛。
- 前記繊維形成性重合体がポリアミドである請求項1または請求項2に記載の布帛。
- 前記繊維形成性重合体がポリエステルである請求項1または請求項2に記載の布帛。
- 前記繊維形成性重合体がポリ乳酸である請求項1または請求項2に記載の布帛。
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