JP4328076B2 - スラスト軸受及びその製造方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的には、スラスト軸受に関し、特に、針状ころ付きスラスト軸受に使用されるスラストレースに関する。
【０００２】
【従来の技術】
針状ころ付きスラスト軸受は、伝動装置、及び構成部品間の軸線方向荷重を支持する同様の装置に一般に使用される。例えば、このようなスラスト軸受は、ステーターを位置決め且つ支持するために自動トルクコンバーターに使用される。このような針状ころ付きスラスト軸受の例は、図１乃至図４に図示されている。図１は、軸受ケージ１４内に保持され、且つ軸受ケージ１４の案内に使用される内側リップ２０及び外側リップ２２をそれぞれ含む内側スラストレース１６及び外側スラストレース１８のレースウェイと転がり接触する針状ころ１２を有するスラスト軸受１０を図示している。
【０００３】
図２及び図３は、軸受ケージ２８内に保持され、且つ軸受ケージ２８の案内に使用される内側リップ３４及び外側リップ３６を含む内側スラストレース３０及び外側スラストレース３２のレースウェイと転がり接触する針状ころ２６を有するスラスト軸受２４を示している。内側及び外側スラストレース３０，３２、及び軸受ケージ２８を一緒にアセンブリーとして保持するために、内側及び外側リップ３４，３６は、軸受ケージ２８の上に半径方向外方に及び半径方向内方にそれぞれ延びる曲げ部分３８，４０を有する。他のスラスト軸受では、図示されていないが、曲げ部分３８，４０の代わりに、内側及び外側リップがスラストレース及び軸受ケージを一緒に保持するように全周３６０°に沿ってカールされる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
このようなスラスト軸受の場合、内側及び外側のスラストレースは、高品質のレースウェイを得るために、軸受品質材料、代表的には、高炭素鋼で作られなければならず、針状ころのための良好な摩耗面にして仕上げられなければならず、且つ針状ころによる高荷重を支えるのに十分厚くなければならない。材料の限られた延性のために、曲がり部分４０、又は同様なカール部分の形成は難しく、スラストレースを破壊する恐れがある。さらに、軸受品質材料はスラスト軸受を高価にする。図４は、Ｌ形のバンド４２が、これらの問題点のいくつかを解消するために、機能が図１の外側スラストレース１８と同様である外側スラストレース４４の上に設けられることを図示している。
【０００５】
上述のことは、現在の装置及び方法に存在するものとして知られた欠点を説明している。かくして、上に記載した１つ又は２つ以上の欠点を解消することに向けられた代替物を提供することが有利であることは明らかである。したがって、以下により十分に開示される特徴を含む適当な代替物を提供する。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明の１つの側面では、このことは、針状ころ付きスラスト軸受を提供することによて成し遂げられる。第１レース構成部品が第１材料で作られ、軸線を中心とする平らな、円形レースウェイ部分と、軸線方向に延びたリップ部分と、を含む。第１レース構成要素の平らなレースウェイ部分と転がり接触するための複数の針状ころが軸線に関して半径方向に配置される。軸受ケージは、針状ころを保持し、且つ軸受ケージの案内のための、第１構成部品のリップ部分と係合可能である。第２レース構成部品が第２材料で作られ、且つ第１レース構成部品のレースウェイ部分と接触する平らな部分と、平らな部分から軸線方向及び半径方向に、第１レース構成部品のリップ部分を越えて延びるリップ部分と、を含み、第２レース構成部品は、第１レース構成部品、第２レース構成部品、及び軸受ケージを一緒にアセンブリーとして保持するように軸受ケージによって係合される。
【０００７】
本発明の他の側面では、このことは、スラスト軸受を製造する方法を提供することによって成し遂げられる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
上述の及び他の側面は、添付図面の図に関連して考慮されるとき、本発明の以下の詳細な説明から明らかであろう。
今、図面を参照すると、図５は本発明によるスラスト軸受５０を図示し、針状ころ５２が軸受ケージ５４内に保持され、第１レース構成部品５８の平らなレースウェイ部分５６と転がり接触している。第１レース構成部品は、平滑な摩耗面に仕上られた、例えば、高炭素鋼のような、高品質のレースウェイに適した材料で作られている。平らなレースウェイ部分５６は、軸線６０を中心とする円形である。軸受ケージ５４は、軸受ケージ５４の案内に使用される第１レース構成部品５８の、軸線方向に延びたリップ部分６２と係合可能である。
【０００９】
第２レース構成部品６４が、第１レース構成部品５８のレースウェイ部分５６と接触している平らな部分６６を含み、且つ平らな部分６６から軸線方向及び半径方向に、第１レース構成部品５８のリップ部分６２を越えて延びるリップ部分６８を含み、第２レース構成部品は、第１構成部品５８、第２レース構成部品６４、及び軸受ケージ５４を一緒にアセンブリーとして保持するように軸受ケージ５４によって係合される。例えば、リップ部分６８は、軸受ケージ５４の外径よりも小さい内径を有する保持部分７０を形成するように半径方向内方に曲げられ、或いは半径方向内方にカールされる。
【００１０】
第２レース構成部品６４は、第１レース構成部品５８の材料と異なる材料で作られる。一般的には、第２レース構成部品６４の材料は、第１レース構成部品５８の材料よりも延性に富むべきである。例えば、一定の表面仕上要求をもつ低炭素鋼が使用される。このような材料はリップ部分６８のより複雑な成形を可能にし、第２レース構成部品６４を破壊する恐れなく、より確実なスナップ嵌めのために軸受ケージ５４との接触をより容易にする。さらに、このような材料は、材料コストを低減しつつ、レースウェイ部分５６を支持し、且つ針状ころ５２下による高荷重を支えるのに十分厚くできる。
【００１１】
本発明のスラスト軸受は、図示されているように、針状ころ５２及び軸受ケージ５４と一緒に保持された第１及び第２レース構成部品５８，６４からなる単一のスラストレースのみを含むのがよい。変形例として、単一のスラストレースは内側スラストレースであってもよく、すなわち、単一のスラストレースは、軸受ケージの半径方向外方の代わりに軸受ケージの半径方向内方に軸線方向に延びたリップを含んでもよい。さらなる変更例として、本発明は内側スラストレースと外側スラストレースの両方を含んでもよく、一方又は両方のスラストレースは、第１及び第２レース構成部品を含み、両方のスラストレースはアセンブリーを提供するように軸受ケージに保持される。
【００１２】
図５は、第１レース構成部品７２及び第２レース構成部品７４を含む内側スラストレースを図示する。第１レース構成部品７２は針状ころ５２との転がり接触のためのレースウェイ部分７６及び軸線方向に延びるリップ部分７８を含み、軸受ケージ５４はリップ部分７８との係合によって案内される。第２レース構成部品７４が、レースウェイ部分７６と接触する平らな部分８０と、軸線方向及び半径方向に延びるリップ部分８２と、を含み、リップ部分８２は、第２レース構成部品７４を軸受ケージ５４にアセンブリーとして保持するように軸受ケージ５４によって係合される。第１レース構成部品７２及び第２レース構成部品７４の材料は、レース構成部品５８，６４に関して上で説明したように選択される。
【００１３】
図６は、図５のリップ部分６８と同様な軸線方向及び半径方向に延びたリップ部分８８を有する第２レース構成部品８６からなる外側スラストレースを備えた本発明のスラスト軸受８４を図示し、リップ部分８８は軸受ケージ５４と係合可能であり、第２レース構成部品８６を軸受ケージ５４に保持する。さらに、第２レース構成部品８６は、第２レース構成部品８６の平らな部分９２から軸線方向に、針状ころ５２から離れる方向に延びる延長部分９０を含む。第２レース構成部品８６は延性材料で作られているので、延長部分９０は種々の用途に適合するように形成され、設置前又は設置後のいずれにしても、要求通りに他の構成部品に溶接され、或いは曲げられるのがよい。
【００１４】
本発明のスラスト軸受のスラストレースは、適宜シートメタルから作られるのがよく、第１レース構成部品及び第２レース構成部品が同じ成形設備及びツールによって同時に曲げられるように、２つの異なる材料のストリップが成形機に供給される。変形例として、第１構成部品ブランク又は第２構成部品ブランクが、第１及び第２レース構成部品が同時に形成されるように異なる材料のストリップで成形機に供給されてもよい。所望ならば、構成部品又は構成部品ブランクを成形前に、一緒に、又は異なる材料のストリップに結合させてもよい。
【００１５】
本発明のスラスト軸受のスラストレースは、組立前、軸線方向に延びるリップ部分を形成するように曲げられる第１及び第２構成部品ブランクを成形することによって形成されてもよい。例えば、保持部分７０のような、第２レース構成部品のリップの次の形成が、第１及び第２レース構成部品を一緒に固定するのに用いられてもよい。所望ならば、構成部品ブランク又はレース構成部品を適当な周知の結合剤で結合させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】従来技術を示す針状ころ付きスラスト軸受の横断面図である。
【図２】従来技術を示す他の針状ころ付きスラスト軸受の部分軸線方向断面図である。
【図３】図２の線３−３によって指示されるような、図２のスラスト軸受の横断面図である。
【図４】従来技術を示すさらなる針状ころ付きスラスト軸受の横断面図である。
【図５】本発明を示す針状ころ付きスラスト軸受の横断面図である。
【図６】本発明の他の実施形態を示す針状ころ付きスラスト軸受の横断面図である。
【符号の説明】
５０，８４ スラスト軸受
５２ 針状ころ
５４ 軸受ケージ
５６，７６ 平らなレースウェイ部分
５８，７２ 第１レース構成部品
６０ 軸線
６２，６８，７８，８２，８８ リップ部分
６４，７４，８６ 第２レース構成部品
６６，８０，９２ レースウェイ部分と接触する平らな部分
７０ 保持部分
９０ 延長部分

Claims (18)

1. 第１材料で作られ、且つ軸線を中心とする平らな、円形レースウェイ部分と、軸線方向に延びたリップ部分と、を含む第１レース構成部品と、
   第１レース構成要素の平らなレースウェイ部分と転がり接触するための、軸線に関して半径方向に配置された複数の針状ころと、
   針状ころを保持する軸受ケージと、を有し、該軸受ケージは、軸受ケージの案内のために、第１構成部品のリップ部分と係合可能であり、
   第２材料で作られ、複数の針状ころを支持するレースウェイ部分のほぼ全体部分に沿って第１レース構成部品のレースウェイ部分と接触している平らな部分を含み、且つ又、平らな部分から軸線方向及び半径方向に、第１レース構成部品のリップ部分を越えて延びるリップ部分と、を含む第２レース構成部品を有し、該第２レース構成部品のリップ部分は、前記軸受ケージの外径よりも小さい内径を有する保持部分を形成するように半径方向内方に曲げられて軸受ケージを軸線方向に保持し、第１レース構成部品、第２レース構成部品、及び、軸受ケージがアセンブリーとして一緒に保持されるように前記第２レース構成部品が軸受ケージによって係合されることを特徴とする針状ころ付きスラスト軸受。
2. 第１レース構成部品の軸線方向に延びるリップ部分は第１レース構成部品のレースウェイ部分の半径方向外方である、請求項１に記載のスラスト軸受。
3. 第１レース構成部品の軸線方向に延びるリップ部分は第１レース構成部品のレースウェイ部分の半径方向内方である、請求項１に記載のスラスト軸受。
4. 前記ころとの転がり接触のための円形レースウェイ部分を含む追加のスラストレースをさらに含み、ころは、第１レース構成部品の円形レースウェイ部分と追加のスラストレースとの間に位置決めされる、請求項１に記載のスラスト軸受。
5. 追加のスラストレースは、異なる材料で作られた２つの構成部品を含み、追加のスラストレースの第１構成部品はレースウェイ部分を構成し、追加のスラストレースの第２構成部品は、複数のころを支持する追加のスラストレースのレースウェイ部分のほぼ全体部分に沿って追加のスラストレースの第１構成部品のレース部分と接触している平らな部分を含む、請求項４に記載のスラスト軸受。
6. 追加のスラストレースは、追加のスラストレース及び軸受ケージを一緒にアセンブリーとして保持するように軸受ケージによって係合される、請求項４に記載のスラスト軸受。
7. 第１レース構成部品は軸受品質の鋼で作られ、第２レース構成部品はより延性に富んだ材料で作られる、請求項１に記載のスラスト軸受。
8. 第１レース構成部品は軸受品質材料で作られ、第２レース構成部品はより容易に溶接される材料で作られる、請求項１に記載のスラスト軸受。
9. 第１レース構成部品は高炭素鋼で作られ、第２レース構成部品は低炭素鋼で作られる、請求項１に記載のスラスト軸受。
10. 第２レース構成部品は、第１レース構成部品、第２レース構成部品、及び軸受ケージがアセンブリーとして一緒に保持されるように、第２レース構成部品のリップ部分の円周に沿う複数の位置で、第１レース構成部品のリップの上に曲げられる、請求項１に記載のスラスト軸受。
11. 第２レース構成部品は、第２レース構成部品の平らな部分から軸線方向に、且つころから離れる方向に延びる延長部分を含む、請求項１に記載のスラスト軸受。
12. 第１及び第２レース構成部品はシートメタルから形成され、第１及び第２材料は互いに異なっている、請求項１に記載のスラスト軸受。
13. 第１構成部品ブランクをシートメタルから切断し、
    異なる材料のシートメタルから作られた第２構成部品ブランクを準備し、
    第１構成部品ブランクを第２構成部品ブランクに対して位置決めし、
    第１構成部品ブランク及び第２構成部品ブランクを、第１構成部品ブランクが、軸線を中心とする平らな円形レースウェイ部分と、軸線方向に延びるリップ部分と、を含む第１レース構成部品を形成するように、第２構成部品ブランクが、第１レース構成部品のレースウェイ部分と接触している平らな部分と、該平らな部分から軸線方向に、第１レース構成部品のリップ部分を越えて延びるリップ部分と、を含む第２レース構成部品を形成するように同時に曲げ、
    針状ころ付き軸受ケージを第１構成部品のレースウェイ部分に対して位置決めし、第２レース構成部品の軸線方向に延びるリップ部分を形成することをさらに含み、リップ部分は第１レース構成部品、第２レース構成部品、及び軸受ケージを一緒にアセンブリーとして保持するように軸受ケージによって係合される、スラスト軸受製造方法。
14. 第１構成部品ブランクをシートメタルから切断し、
    異なる材料のシートメタルから作られた第２構成部品ブランクを準備し、
    第１構成部品ブランクを第２構成部品ブランクに対して位置決めし、
    第１構成部品ブランク及び第２構成部品ブランクを、第１構成部品ブランクが、軸線を中心とする平らな円形レースウェイ部分と、軸線方向に延びるリップ部分と、を含む第１レース構成部品を形成するように、第２構成部品ブランクが、第１レース構成部品のレースウェイ部分と接触している平らな部分と、該平らな部分から軸線方向に、第１レース構成部品のリップ部分を越えて延びるリップ部分と、を含む第２レース構成部品を形成するように同時に曲げ、
    第２レース構成部品の延長部分を形成することをさらに含み、該延長部分は第２レース構成部品の平らな部分から軸線方向に、ころから離れる方向に延びる、スラスト軸受製造方法。
15. 第１構成部品ブランクを第２構成部品ブランクに結合させることをさらに含む、請求項１３又は１４に記載のスラスト軸受製造方法。
16. 第１構成部品ブランクをシートメタルから切断し、
    異なる材料のシートメタルから作られた第２構成部品ブランクを準備し、
    第１構成部品ブランクを第２構成部品ブランクに対して位置決めし、
    第１構成部品ブランク及び第２構成部品ブランクを、第１構成部品ブランクが、軸線を中心とする平らな円形レースウェイ部分と、軸線方向に延びるリップ部分と、を含む第１レース構成部品を形成するように、第２構成部品ブランクが、第１レース構成部品のレースウェイ部分と接触している平らな部分と、該平らな部分から軸線方向に、第１レース構成部品のリップ部分を越えて延びるリップ部分と、を含む第２レース構成部品を形成するように、別々に曲げ、引き続いて、第１及び第２構成部品ブランクを一緒に組立て、
    針状ころ付き軸受ケージを第１構成部品のレースウェイ部分に対して位置決めし、第２レース構成部品の軸線方向に延びるリップ部分を形成することをさらに含み、リップ部分は、第１レース構成部品、第２レース構成部品、及び軸受ケージを一緒にアセンブリーとして保持するように軸受ケージによって係合される、スラスト軸受製造方法。
17. 第２レース構成部品の延長部分を形成することをさらに含み、該延長部分は第２レース構成部品の平らな部分から軸線方向に、ころから離れる方向に延びる、請求項１６に記載のスラスト軸受製造方法。
18. 第１構成部品ブランクを第２構成部品ブランクに結合させることをさらに含む、請求項１６に記載のスラスト軸受製造方法。

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