JP2009264534A - 溶接保持器及びその製造方法 - Google Patents

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正範 佐藤
Takanori Terada
貴則 寺田
Makoto Nishikawa
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Abstract

【課題】潤滑不良やころスキューを防止でき、また、従来よりも製造コストを低減できる溶接保持器及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】溶接保持器の構成鋼材1のポケット孔2は、軸方向両端の外径部と、軸方向中央の内径部との間を接続する接続部に形成され、かつ、ころ5のPCD上に位置する周方向案内面2bを有する。周方向案内面2bよりも内径側に内径側ころ止め面2aを有する一方、周方向案内面2bよりも外径側に外径側ころ止め面2cを有する。周方向案内面2bがポケット孔2の周方向中心部の法線面2dと略平行に構成されているので、潤滑油が供給し易く、溶接保持器が径方向に触れても軸受の回転が滑らかであり、また、ころスキューの増加を抑制できる。打ち抜き部と傾斜部を有するパンチを用いて1回の打ち抜き動作により、内径側ころ止め面2a、周方向案内面2b及び外径側ころ止め面2cを有するポケット孔2を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明はころ軸受用の溶接保持器に関する。特に、希薄潤滑、高速回転及び高モーメント荷重の使用条件下で使用されるころ軸受、例えば、遊星歯車装置のころ軸受に適用される溶接保持器に関するものである。
自動車の自動変速装置には通常2〜3組の遊星歯車装置が使用されており、遊星歯車装置は、図6の模式図に示すような構成を有する。すなわち、外歯を有するサンギヤ11と、サンギヤ11と同軸の旋回軸に旋回自在に支持されたキャリア12と、キャリア12に固定された3つのピニオンシャフト13と、各ピニオンシャフト13に回転自在に支持されてサンギヤ11に噛合するピニオンギヤ14と、3つのピニオンギヤ14を取り囲んで各ピニオンギヤ14に噛合する内歯を有すると共にサンギヤ11及びキャリア12と同軸に回転自在に支持されたアウタギヤ15を備える。このような構成を有する遊星歯車装置は、サンギヤ11、キャリア12及びアウタギヤ15の間の回転力の入出力をクラッチ等で制御することにより、減速比の変換と回転方向の切り替えを行っている。
ころ軸受は、前記遊星歯車装置のピニオンシャフト13に対してピニオンギヤ14を回転自在に支持するために使用される。ころ軸受は、内輪と外輪との間に複数の円筒状のころが介在した軸受である。ころ軸受の保持器は、ころを収容するための矩形窓形のポケット孔が周方向に複数形成されたリング状の部材であり、内・外輪間に組み込こまれる。ころは保持器のポケット孔に一つずつ組み込まれて、保持器のポケット孔の周方向端面に案内されつつ内・外輪の転動面を転動する。
遊星歯車装置のころ軸受には溶接保持器が多く用いられている。溶接保持器は、例えば、図7a〜図7dに示すように、帯状鋼材1にプレス成形を施して保持器の基本断面を形成し、ころを収容するポケット孔2をプレスで打ち抜き、所定長さに切断し、リング状に曲げ、両端部を溶接して作製される。図7aはポケット孔2を形成した帯状鋼材1の平面図を示し、図7bは図7a中のB−B線矢視断面図であり、図7cは図7a中のC−C線矢視断面図であり、図7dは溶接後のポケット孔2の周方向断面を示す図である。
従来の溶接保持器は、ポケット孔2が形成された後、リング状に曲げられ、両端部が溶接されるものであるため、ポケット孔2は、図7dに示すように内径側が外径側よりも狭くなったテーパ形状となる。この場合、保持器が径方向に振れたときに周方向ポケット寸法が変化するので、安定した保持器ポケット隙間の確保ができず、潤滑不良やころスキューの増加などの軸受機能上の問題が生じる可能性があった。
そこで、従来、ポケット孔の周方向端面をポケット孔の周方向中心部の法線面と略平行に形成した溶接保持器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この溶接保持器は、ポケット孔の軸方向両端部かつ外径側に、ころの周方向案内面を形成すると共に、軸方向中央部かつ内径側に、ころ止め面を形成している。これら周方向案内面及びころ止め面の両方とも、ポケット孔の周方向中心部の法線面と略平行に形成している。これにより、保持器が径方向に振れたときの周方向ポケット寸法の変化を防止して、ころとの間に安定した隙間を確保して潤滑を容易とし、また、ころのスキューを抑制するようにしている。
ところで、遊星歯車装置に用いられるころ軸受の他の溶接保持器としては、ポケット孔の軸方向両端部、すなわち、ポケット孔相互間に形成される柱部の付け根に周方向案内面を設け、この周方向案内面ところとの間の隙間を、柱部の中央部ところとの間の隙間よりも小さく形成したものがある(例えば、特許文献2参照)。この溶接保持器は、柱部の軸方向両端部の周方向案内面を、ころ止めを兼ねるために、外径側に向かうにつれて柱部の周方向幅が広がるテーパ面に形成している。すなわち、ポケット孔の軸方向両端部の周方向案内面を、外径側に向かうにつれてポケット孔の周方向幅が狭まるテーパ面に形成している。この溶接保持器は、遊星歯車装置の動作により強い遠心力を受けてころと共に相対移動した場合、ころが柱部の付け根に当たるので、柱部の中央部に当たる場合と比較して、柱部の付け根に作用する応力が小さくなる。これにより、柱部の付け根に疲労破壊が生じる不都合を防止している。
特開2000−274439号公報 特開2005−030468号公報
特許文献1の溶接保持器は、ポケット孔の外径側に周方向案内面を形成すると共に、内径側にころ止め面を形成するので、周方向案内面をころのPCD上に位置させると、溶接保持器は、ころの外径側の転動面と内径側の転動面の間において内径側に偏って配置される。したがって、ころと溶接保持器の径方向の相対移動距離が比較的大きく、保持器が径方向に振れたとき、内径側のころ止め面がころに接触し、ころスキューや柱部の損傷が生じる問題がある。
また、特許文献1の溶接保持器は、製造工程において帯状鋼材にポケット孔を形成する際、両端部が溶接されたときにポケット孔の周方向案内面がポケット孔の周方向中央部の法線面と平行となるように、周方向案内面を帯状鋼材の法線方向に対して所定角度傾斜させる必要がある。このポケット孔を形成するには、帯状鋼材にポケット孔の基本形状を形成するために帯状鋼材の法線方向にパンチを打ち抜く第1の打ち抜き工程と、一方の周方向案内面を形成するために傾斜方向にパンチを打ち抜く第2の打ち抜き工程と、他方の周方向案内面を形成するために傾斜方向にパンチを打ち抜く第3の打ち抜き工程が必要となる。このように、3つのパンチ工程が必要であるので工数が嵩み、しかも、パンチを傾斜方向に打ち抜くには治具やパンチの複雑な調整が必要であるので、製造コストが増加する問題がある。
一方、特許文献2の溶接保持器は、外径側のテーパ状の案内面を形成する際、ころを適切に周方向に案内するために厳密な寸法精度が必要となるので、製造コストが増加する問題がある。また、外径側にテーパ状の案内面が存在するので、保持器が径方向に振れたときの周方向ポケット寸法の変化が多きく、潤滑不良やころスキューが増加する問題がある。
そこで、本発明の課題は、潤滑不良やころスキューを防止でき、また、従来よりも製造コストを低減できる溶接保持器及びその製造方法を提供することにある。
請求項1の発明の溶接保持器は、ころ状の転動体を収容するための複数のポケット孔を有するリング状の帯状基材の両端部を溶接した溶接保持器において、前記ポケット孔の軸方向両側部に、前記帯状基材の外径部と内径部との間を接続する接続部に形成され、前記転動体のPCD上に位置すると共に、前記ポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行に形成された周方向案内面を有するものである。
前記構成によれば、転動体の周方向案内面は、帯状基材の接続部に形成され、かつ、転動体のPCD上に位置するので、ポケット孔の径方向の中央部に位置する。これにより、溶接保持器は、転動体の外径側の転動面と内径側の転動面の間において、径方向に偏りが少ない状態で略中央に配置される。したがって、溶接保持器が径方向に振れても、転動体と溶接保持器の径方向の相対移動距離を小さくできるので、内径側又は外径側に形成される例えば転動体止め面に転動体が接触する不都合を防止できる。その結果、転動体スキューや柱部の損傷が生じる問題を防止できる。
また、転動体の周方向案内面が、ポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行に形成されるので、溶接保持器が径方向に振れたときの周方向ポケット寸法の変化を防止することができる。したがって、転動体との間に安定した隙間を確保して潤滑を容易とし、また、転動体スキューを防止できる。
請求項2の発明の溶接保持器は、請求項1に記載の溶接保持器において、前記ポケット孔の軸方向中央部に、前記周方向案内面よりも内径側に位置すると共に、前記ポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行に形成された内径側転動体止め面を有するものである。
前記実施形態によれば、内径側転動体止め面が、ポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行に形成されるので、溶接保持器が径方向に振れたときの周方向ポケット寸法の変化を防止でき、ポケット孔内の潤滑を容易とし、また、転動体スキューを防止できる。
請求項3の発明の溶接保持器は、請求項1に記載の溶接保持器において、前記ポケット孔の前記周方向案内面よりも軸方向両外側に、前記周方向案内面よりも外径側に位置すると共に、前記ポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行に形成された外径側転動体止め面を有するものである。
前記実施形態によれば、外径側転動体止め面が、ポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行に形成されるので、溶接保持器が径方向に振れたときの周方向ポケット寸法の変化を防止でき、ポケット孔内の潤滑を容易とし、また、転動体スキューを防止できる。
請求項4の発明の溶接保持器の製造方法は、ころ状の転動体を収容するための複数のポケット孔の軸方向両側部に、前記帯状基材の外径部と内径部との間を接続する接続部に形成され、前記転動体のPCD上に位置すると共に、前記ポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行に形成された周方向案内面を有する溶接保持器の製造方法において、複数のポケット孔を帯状基材に形成するポケット孔形成工程と、前記帯状基材を所定長さに切断する工程と、前記切断後の帯状基材をリング状に成形する工程と、前記リング状の帯状基材の両端部を溶接する溶接工程とを有し、前記ポケット孔形成工程は、パンチの1回の打ち抜き動作により、ポケット孔を打ち抜くと共に、ポケット孔の周方向案内面に対応する位置に、溶接工程の溶接後の状態でポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行となる傾斜面を形成するものである。
前記構成によれば、ポケット孔を帯状基材に形成するポケット孔形成工程において、パンチを用いた1回の打ち抜き動作により、ポケット孔を打ち抜くと共に傾斜面を形成するので、従来の溶接保持器の製造方法よりも工数を効果的に削減できる。したがって、溶接保持器の製造コストを効果的に削減できる。
請求項5の発明の溶接保持器の製造方法は、請求項4に記載の溶接保持器の製造方法において、前記パンチは、ポケット孔の輪郭に対応して帯状基材の法線方向に延びる打ち抜き部と、ポケット孔の周方向案内面に対応して帯状基材の法線方向と傾斜する傾斜部とを有するものである。
前記構成によれば、打ち抜き部と傾斜部とを有するパンチを用いることにより、1回の打ち抜き動作により、ポケット孔を打ち抜くと共に周方向案内面となる傾斜面を形成できる。
請求項6の発明の溶接保持器の製造方法は、請求項4に記載の溶接保持器の製造方法において、前記ポケット孔形成工程は、パンチの1回の打ち抜き動作により、ポケット孔を打ち抜くと共に、ポケット孔の周方向案内面に対応する位置に、溶接工程の溶接後の状態でポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行となる第1傾斜面を形成し、かつ、ポケット孔の転動体止め面に対応する位置に、溶接工程の溶接後の状態でポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行となる第2の傾斜面を形成するものである。
前記構成によれば、パンチの1回の打ち抜き動作により、ポケット孔を打ち抜くと共に第1及び第2の傾斜面を形成するので、従来の溶接保持器の製造方法よりも工数を効果的に削減できる。したがって、溶接保持器の製造コストを効果的に削減できる。
請求項7の発明の溶接保持器の製造方法は、請求項4に記載の溶接保持器の製造方法において、前記パンチは、ポケット孔の輪郭に対応して帯状基材の法線方向に延びる打ち抜き部と、ポケット孔の周方向案内面に対応して帯状基材の法線方向と傾斜する第1の傾斜部と、ポケット孔の転動体止め面に対応して帯状基材の法線方向と傾斜する第2の傾斜部とを有するものである。
前記構成によれば、打ち抜き部と第1及び第2の傾斜部とを有するパンチを用いることにより、1回の打ち抜き動作により、ポケット孔を打ち抜くと共に、周方向案内面となる第1の傾斜面と、転動体止め面となる第2傾斜面とを形成できる。
本発明によれば、溶接保持器を、転動体の外径側の転動面と内径側の転動面の間において、径方向に偏りが少ない状態で略中央に配置することができるので、溶接保持器が径方向に振れても転動体と溶接保持器の径方向の相対移動距離を小さくでき、転動体スキューや柱部の損傷が生じる問題を防止できる。また、この溶接保持器の製造方法では、パンチを用いた1回の打ち抜き動作により、周方向案内面となる傾斜面を有するポケット孔を形成するので、従来の溶接保持器の製造方法よりも製造コストを削減できる。
以下、本発明の溶接保持器の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の溶接保持器は、例えば図6に示す遊星歯車装置のピニオンシャフト13に対してピニオンギヤ14を回転自在に支持するニードルベアリングに適用されるものである。
この溶接保持器は、図1の周方向断面に示すように、帯状基材としての帯状鋼材1に周方向に所定ピッチで形成された略矩形のポケット孔2を備える。図2は、溶接保持器の軸方向断面である。図1は、図2中のA−A断面である。図3は、溶接保持器のポケット孔2の平面図である。図1は、図3中のA−A断面でもある。図3には、ポケット孔2の幅方向(周方向)の中心線と一致させた周方向断面図を合わせて示している。
図1乃至3に示すように、ポケット孔2は、軸方向の両側部に周方向案内面2bを有し、周方向案内面2bの内径側に、内径側転動体止め面としての内径側ころ止め面2aを有する。また、周方向案内面2bの外径側に、外径側転動体止め面としての外径側ころ止め面2cを有する。内径側ころ止め面2aは、ポケット孔2の軸方向中央部に形成され、外径側ころ止め面2cはポケット孔2の軸方向両端部に夫々形成されている。周方向案内面2bは、内径側ころ止め面2aの軸方向の両外側であって、2つの外径側ころ止め面2cの軸方向の内側に夫々形成されている。この溶接保持器は、図2のように軸方向の中央部が内径側に縮径したいわゆるM型の溶接保持器である。周方向案内面2bは、軸方向両端の外径部と、軸方向中央の内径部との間を接続する接続部に形成され、かつ、ころ5のPCD上に位置している。
また、内径側ころ止め面2a及び外径側ころ止め面2cは、周方向案内面2bよりもポケット孔2の周方向の内側に突出して形成されている。換言すれば、周方向案内面2bの形成位置は、ポケット孔2相互間の柱部において、周方向幅が内径側ころ止め面2a及び外径側ころ止め面2cの形成位置よりも幅狭となっている。
前記周方向案内面2b、内径側ころ止め面2a及び外径側ころ止め面2cは、いずれも、ポケット孔2の周方向中央部における法線2dと略平行に形成されている。
本実施形態の溶接保持器は、図4a〜図4dに示すように、以下の基本製作工程手順に従って製作される。なお、図4a〜図4dではポケット孔2を矩形状に表しているが、実際は、ポケット孔2の軸方向中央部の内径側ころ止め面2aと、ポケット孔2の軸方向両端部の外径側ころ止め面2cは、周方向案内面2bよりもポケット孔2の周方向の内側に突出して形成されている。
(i) 帯状鋼材1にプレス加工を施し、保持器の基本断面形状を成形する(図4a)。
(ii) 帯状鋼材1にプレス加工を施し、保持器のポケット孔2を打ち抜き形成する(図4b)。
(iii) 帯状鋼材1を保持器の周長に合わせて切断する(図4c)。
(iv) 帯状鋼材1をリング状に曲げて帯状鋼材1の両端部を溶接Wする(図4d)。
以下、(i)〜(iv)の各工程について詳しく説明する。
図4aの(i)の工程では、プレス加工によって、帯状鋼材1の幅方向中央部分に保持器のポケット孔2のころ止め部2aとなる段差1aを形成して保持器の基本断面形状を成形する。なお、帯状鋼材1は、例えば、成形性の良好なSPC帯状鋼材が用いられる。
図4bの(ii)の工程では、帯状鋼材1に長さ方向に所定ピッチで略矩形のポケット孔2を打ち抜き形成する。ポケット孔2は、略矩形であるが、詳しくは、図4aの(i)の工程において、帯状鋼材1に形成される段差1aに対応するポケット孔2の内径側ころ止め部2aと、段差1aの幅方向両側に対応するポケット孔2の外径側ころ止め部2cが内側に張り出した形状である。ポケット孔2の中央部の内径側ころ止め部2aは、収容するころをポケット孔内に保持するものである。また、ポケット孔の段部1aの両側の段差部の周方向案内面2bは、収容する転動体を周方向に案内するものである。また、ポケット孔2の両側部の外径側ころ止め部2cは、収容するころをポケット孔2内に保持するものである。
このとき、プレス機は、図5bに示すように1つのパンチを用いて1回で打ち抜く。図5aは、パンチの平面形状を示す図である。
図5aに示すように、パンチ7は、帯状鋼材1の法線方向と略平行に延びる打ち抜き部71と、この打ち抜き部71の帯状鋼材1から遠い側に連なって帯状鋼材1の法線方向と傾斜する傾斜部72とを有する。打ち抜き部71は、帯状鋼材1と平行の断面(横断面)において、ポケット孔2の輪郭と略同一の形状を有する。すなわち、打ち抜き部71の断面は、内径側ころ止め部2aに対応する部分と外径側ころ止め部2cに対応する部分が略同一の幅を有する。周方向案内面2bに対応する部分は、内径側ころ止め部2a及び外径側ころ止め部2cに対応する部分の幅よりも大きい幅を有して幅方向両側に突出している。傾斜部72は、帯状鋼材1から遠ざかるにつれて、内径側ころ止め部2a、周方向案内面2b及び外径側ころ止め部2cに対応するいずれの部分の幅も、同じ割合で拡幅している。これにより、パンチ7の底面視において、幅方向の両側かつ長手方向の中央に、内径側ころ止め部2aを形成する中央傾斜面7aが形成されている。また、パンチ7の底面視において、幅方向の両側かつ中央傾斜面7aの長手方向の両側に、周方向案内面2bを形成する突出傾斜面7bが中央傾斜面7aと段差をなして形成されている。さらに、パンチ7の底面視において、幅方向の両側かつ長手方向の両端部に、外径側ころ止め部2cを形成する端部傾斜面7cが突出傾斜面7bと段差をなして形成されている。
このパンチ7で帯状鋼材1の打ち抜きを行うと、まず、打ち抜き部71が帯状鋼材1を直角に打ち抜く。これにより、内径側ころ止め部2aに対応する部分と外径側ころ止め部2cに対応する部分が略同一の幅を有する一方、周方向案内面2bに対応する部分が内径側ころ止め部2a及び外径側ころ止め部2cに対応する部分の幅よりも大きい幅の孔を形成する。さらにパンチ7が帯状鋼材1に押圧されると、孔の側面部が、パンチ7の中央傾斜面7a、突出傾斜面7b及び端部傾斜面7cに圧迫されて塑性変形し、帯状鋼材1の表面に対して傾斜した内径側ころ止め部2a、周方向案内面2b及び外径側ころ止め部2cが形成される。この後、パンチ7がポケット孔2から引き抜かれて、ポケット孔2が形成される。
図4cの(iii)の工程では、帯状鋼材1は長手方向の両端に溶接代を必要とするため、実際の保持器の周長よりもこの溶接代分だけ長く切断する。また、本実施形態では、溶接部Wはポケット孔2の両側に設定する。
図4dの(iv)の工程では、帯状鋼材1の中央部のころ止め部となる段差1a(図4(i)参照)が内径側に構成されるように、帯状鋼材1を保持器の径に合わせてリング状に曲げ、このリング状に曲げた帯状鋼材1の両端部を溶接する。
このように作成された溶接保持器は、図1に示すように、ポケット孔2の周方向案内面2bが、ポケット孔2の周方向中心部の法線面2dと略平行に構成される。したがって、ころ5を案内する周方向案内面2bは、従来のように内径側の周方向幅が外径側よりも狭まることが無いので、内径側においてもPCD上の周方向幅と等しい周方向幅を有する。したがって、例えば内輪に形成された油供給路等を介して内径側から潤滑油が供給される場合、従来よりもポケット孔2内に潤滑油が供給され易くなる。
また、本実施形態の溶接保持器は、図1に示すように、周方向案内面2bがポケット孔2の周方向中心部の法線面2dと略平行に構成されているので、溶接保持器が径方向に振れた場合にも、ころ5と周方向案内面2bとの隙間が一定に保たれて軸受の回転がスムーズに行われる。
また、高速回転及びモーメント荷重負荷条件下で使用される場合や、取付誤差により、ころ軸が周方向案内面2bに対して傾くころスキューが生じることがあるが、本実施形態の溶接保持器では、周方向案内面2bがポケット孔2の周方向中心部の法線面2dと略平行に構成されているので、保持器が径方向に振れた場合であっても、ころスキュー角が変化せず、ころスキューの増加を抑制でき、軸受回転トルクの変化を低減でき、軸受の回転がより安定となる。
さらに、周方向案内面2bは、外径部と内径部との間を接続する接続部に形成され、かつ、ころ5のPCD上に位置しているので、周方向案内面2bの径方向の中心とPCDとが略一致し、ころ5の外径側の転動面と内径側の転動面の間において径方向に偏り無く溶接保持器が配置されることとなる。したがって、溶接保持器が径方向に振れたときでも、この径方向に振れに起因するころ5と溶接保持器の径方向の相対移動距離は比較的小さく、内径側又は外径側のころ止め面2a,2cがころ5に接触する不都合を防止できる。その結果、ころ5のスキューや柱部の損傷が生じる問題を防止できる。
また、内径側ころ止め面2a及び外径側ころ止め面2cは、周方向案内面2bよりもポケット孔2の周方向の内側に突出して形成されているが、溶接保持器の径方向に振れに起因するころ5と溶接保持器の径方向の相対移動距離が小さいので、内径側ころ止め面2a及び外径側ころ止め面2cがころ5と接触し難くすることができる。
さらに、本実施形態の溶接保持器の製造方法は、打ち抜き部71と傾斜部72とを有するパンチ7を用いた1回の打ち抜き動作により、帯状鋼材1にポケット孔2を形成できる。したがって、パンチの打ち抜き動作を3回行ってポケット孔を形成する従来の製造方法と比較して、大幅に製造工程を削減してコスト削減を図ることができる。
前記実施形態においては、ころ止め面を外径側と内径側の両方に形成したが、ころ止め面は外径側又は内径側のいずれか一方であってもよい。或いは、ころ止め面は、必ずしも設けなくてよい。
本発明の実施形態の溶接保持器の周方向断面である。 溶接保持器の軸方向断面図である。 溶接保持器のポケット孔の平面を周方向断面と合わせて示した図である。 溶接保持器の基本製作工程を示す図である。 溶接保持器の基本製作工程を示す図である。 溶接保持器の基本製作工程を示す図である。 溶接保持器の基本製作工程を示す図である。 帯状鋼材にポケット孔を形成するパンチを示す平面図である。 帯状鋼材をパンチで打ち抜いてポケット孔を形成する様子を示す図である。 遊星歯車装置を示す模式図である。 従来の溶接保持器の製作工程を示す図であって、ポケット孔を形成した帯状鋼材の平面図である。 従来の溶接保持器の製作工程を示す図であって、図7aの帯状鋼材のB―B線矢視断面図である。 従来の溶接保持器の製作工程を示す図であって、図7aの帯状鋼材のC―C線矢視断面図である。 従来の溶接保持器の製作工程を示す図であって、図7aの帯状鋼材をリング状に曲げた状態にしたときのポケット孔の周方向断面図である。
符号の説明
1 帯状鋼材
2 ポケット孔
2a 内径側ころ止め面
2b 周方向案内面
2c 外径側ころ止め面
2d ポケット孔の周方向中央部の法線
5 ころ

Claims (7)

  1. ころ状の転動体を収容するための複数のポケット孔を有するリング状の帯状基材の両端部を溶接した溶接保持器において、
    前記ポケット孔の軸方向両側部に、前記帯状基材の外径部と内径部との間を接続する接続部に形成され、前記転動体のPCD上に位置すると共に、前記ポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行に形成された周方向案内面を有することを特徴とする溶接保持器。
  2. 請求項1に記載の溶接保持器において、
    前記ポケット孔の軸方向中央部に、前記周方向案内面よりも内径側に位置すると共に、前記ポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行に形成された内径側転動体止め面を有することを特徴とする溶接保持器。
  3. 請求項1に記載の溶接保持器において、
    前記ポケット孔の前記周方向案内面よりも軸方向両外側に、前記周方向案内面よりも外径側に位置すると共に、前記ポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行に形成された外径側転動体止め面を有することを特徴とする溶接保持器。
  4. ころ状の転動体を収容するための複数のポケット孔の軸方向両側部に、前記帯状基材の外径部と内径部との間を接続する接続部に形成され、前記転動体のPCD上に位置すると共に、前記ポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行に形成された周方向案内面を有する溶接保持器の製造方法において、
    複数のポケット孔を帯状基材に形成するポケット孔形成工程と、前記帯状基材を所定長さに切断する工程と、前記切断後の帯状基材をリング状に成形する工程と、前記リング状の帯状基材の両端部を溶接する溶接工程とを有し、
    前記ポケット孔形成工程は、パンチの1回の打ち抜き動作により、ポケット孔を打ち抜くと共に、ポケット孔の周方向案内面に対応する位置に、前記溶接工程の溶接後の状態でポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行となる傾斜面を形成することを特徴とする溶接保持器の製造方法。
  5. 請求項4に記載の溶接保持器の製造方法において、
    前記パンチは、ポケット孔の輪郭に対応して帯状基材の法線方向に延びる打ち抜き部と、ポケット孔の周方向案内面に対応して帯状基材の法線方向と傾斜する傾斜部とを有することを特徴とする溶接保持器の製造方法。
  6. 請求項4に記載の溶接保持器の製造方法において、
    前記ポケット孔形成工程は、パンチの1回の打ち抜き動作により、ポケット孔を打ち抜くと共に、ポケット孔の周方向案内面に対応する位置に、前記溶接工程の溶接後の状態でポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行となる第1傾斜面を形成し、かつ、ポケット孔の転動体止め面に対応する位置に、前記溶接工程の溶接後の状態でポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行となる第2の傾斜面を形成することを特徴とする溶接保持器の製造方法。
  7. 請求項4に記載の溶接保持器の製造方法において、
    前記パンチは、ポケット孔の輪郭に対応して帯状基材の法線方向に延びる打ち抜き部と、ポケット孔の周方向案内面に対応して帯状基材の法線方向と傾斜する第1の傾斜部と、ポケット孔の転動体止め面に対応して帯状基材の法線方向と傾斜する第2の傾斜部とを有することを特徴とする溶接保持器の製造方法。
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