JP2008088994A - スラストころ軸受用保持器の製造方法 - Google Patents

スラストころ軸受用保持器の製造方法 Download PDF

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真司 大石
Naoki Shibamoto
直樹 柴本
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Abstract

【課題】剛性を維持しつつ軸方向の厚み寸法を削減するとともに、潤滑性に優れたスラストころ軸受用保持器の製造方法を提供する。
【解決手段】スラストころ軸受用保持器の製造方法は、出発材料としての金属板から打ち抜き加工によってスラストころ軸受用保持器の外形形状を形成する工程(S11)と、打ち抜き加工によって厚み方向に貫通する前記ポケットを形成する工程(S12)と、コイニング加工によって柱部の壁面に凹部を形成すると同時に、凹部の形成によって生じた余肉によって前記ころ止め部を形成する工程(S13)とを含む。
【選択図】図1

Description

この発明は、オートマチックトランスミッションやコンプレッサ等に使用されるスラストころ軸受用保持器の製造方法に関するものである。
自動車のオートマチックトランスミッションやコンプレッサ等に使用されるスラストころ軸受は、例えば、特開平9−79269号公報(特許文献1)に記載されている。図14を参照して、同公報に記載されているスラストころ軸受101は、針状ころ102(図14では図示省略)と、内周環状部103、外周環状部104、および内周環状部103と外周環状部104との間に放射状に配置される複数の柱部105を有し、隣接する柱部105の間に針状ころ102を収容するポケット106が形成されている保持器107とを備える。
上記構成のスラストころ軸受101は、ころ102と軌道面とが線接触するので、軸受投影面積が小さいわりに高負荷容量と高剛性が得られるという利点がある。
なお、上記構成の保持器107は、生産性および経済性に優れている合成樹脂を射出成型して製造する樹脂製保持器である。また、図15を参照して、柱部105には、一方側の壁面に柱部105の厚みを減じる肉盗み部108と、ポケット106に対面する壁面に針状ころ102の脱落を防止するころ止め部109とが形成されている。
上記公報に記載されているスラストころ軸受101は、保持器107のころ止め部109に隣接する位置に肉盗み部108を設けることにより、ころ止め部109の弾性変形能を高めることができる。その結果、射出成型の型抜き時の抵抗を低減することができると記載されている。
特開平9−79269号公報
近年、オートマチックトランスミッションやコンプレッサ等のコンパクト化が進んでおり、それに伴って、これらの機器に使用されるスラストころ軸受101の軸方向の厚み寸法削減の要望が強くなっている。
ここで、スラストころ軸受101の軸方向の厚み寸法を減じるためには、保持器107の板厚を薄くしなければならない。しかし、合成樹脂で形成されている保持器107は、剛性確保の観点から厚み寸法の削減には限界がある。これは、特に大径のスラストころ軸受101に顕著である。
また、近年では、自動車の低エミッション化に伴って、オートマチックトランスミッションやコンプレッサ等の駆動部分の潤滑油量も削減されている。その結果、希薄潤滑下で使用可能なスラストころ軸受が求められている。
そこで、この発明の目的は、剛性を維持しつつ軸方向の厚み寸法を削減するとともに、潤滑性に優れたスラストころ軸受用保持器の製造方法を提供することである。
この発明に係るスラストころ軸受用保持器の製造方法は、内周環状部と、外周環状部と、内周環状部と外周環状部との間に厚み方向に貫通する複数のポケットを形成するように放射状に配置される複数の柱部と、柱部の厚み方向一方側および他方側のうちの少なくとも一方の壁面に潤滑油を保持する凹部と、凹部と柱部の厚み方向の同一壁面側でかつ同一円周上に配置されており、柱部からポケットに向かって突出するころ止め部とを備える、金属製のスラストころ軸受用保持器の製造方法である。具体的には、出発材料としての金属板から打ち抜き加工によってスラストころ軸受用保持器の外形形状を形成する工程と、打ち抜き加工によって厚み方向に貫通するポケットを形成する工程と、コイニング加工によって柱部の壁面に凹部を形成すると同時に、凹部の形成によって生じた余肉によってころ止め部を形成する工程とを含む。
上記のように、凹部の形成と同時に、凹部の形成によって生じた余肉を用いてころ止め部を形成することにより、スラストころ軸受用保持器の製造工数を削減することができる。これにより、より低廉なスラストころ軸受用保持器を得ることができる。
なお、上記の方法で製造したスラストころ軸受は、保持器の壁面に潤滑油を保持する凹部を設けたので、保油性が向上する。なお、本明細書中「保油性」とは、外部から供給される潤滑油が軸受内部に留まる性質を指すものとする。すなわち、上記構成のスラスト軸受においては、外部から供給された潤滑油が保持器に設けられた油だまりとしての凹部内に留まる。そして、凹部から徐々に流出する潤滑油がころの転動面を潤滑するので、希薄潤滑下でも潤滑性に優れたスラストころ軸受を得ることができる。
ここで、十分な量の潤滑油が供給される環境で使用されるスラストころ軸受には、高い通油性が求められる。すなわち、潤滑油の流入および排出をスムーズにすることにより、軸受内部の塵埃や摩耗粉を除去したり、潤滑油による攪拌抵抗の増大を防止したりすることが重要である。
一方、希薄潤滑下で使用されるスラストころ軸受には、軸受内部に常に潤滑油を保持し、ころの転動面に潤滑油を常時供給できる状態にしておくことが重要になる。つまり、この発明に係るスラストころ軸受は、希薄潤滑環境下での使用に適しているといえる。
また、上記構成のスラストころ軸受に採用される保持器は、鋼等の金属材料で形成された金属製保持器である。これにより、厚み寸法を削減しても保持器に必要な剛性を維持することができる。つまり、この発明に係るスラストころ軸受は、オートマチックトランスミッションやコンプレッサ等のコンパクト化が進む機器での使用に適しているといえる。
一実施形態として、上記の各工程は、順送プレスによって行われる。
他の実施形態として、上記の各工程は、トランスファプレスによって行われる。
さらに他の実施形態として、上記の各工程は、単能プレスによって行われる。
この発明によれば、1工程で凹部ところ止め部とを同時に形成することができるので、製造工数を削減したスラストころ軸受用保持器の製造方法を得ることができる。
また、上記の工程を経て製造されるスラストころ軸受用保持器は、保油性が高く、厚み寸法を削減しても剛性を維持することができるので、希薄潤滑下で、かつコンパクト化が進む機器での使用に適している。
図5〜図9を参照して、この発明の一実施形態に係るスラストころ軸受用保持器の製造方法によって製造されたスラストころ軸受用保持器13、およびスラストころ軸受用保持器13を含むスラストころ軸受11を説明する。なお、図5はスラストころ軸受11の表面図、図6はスラストころ軸受11の裏面図、図7は図5のVII−VIIにおける断面図、図8は図6のVIII−VIIIにおける断面図、図9は図5のP部の拡大図である。
この発明の一実施形態に係るスラストころ軸受11は、複数のころ12と、複数のころ12を保持するスラストころ軸受用保持器13(以下、「保持器13」という)とを備えるケージ&ローラタイプの軸受である。
図5および図6を参照して、保持器13は、内周環状部14と、内周環状部14の径方向外側に位置する外周環状部15と、内周環状部14および外周環状部15の間に放射状に配置される柱部16とを有する。また、各柱部16の表面(「厚み方向一方側の壁面」を指す)および裏面(「厚み方向他方側の壁面」を指す)には、それぞれ凹部17a,17b,17c(以下、総称して「凹部17」という)が設けられている。さらに、隣接する柱部16の間には、ころ12を転動自在に保持する複数のポケット18が形成されている。
図5を参照して、保持器13の表面の凹部17a,17bは、各柱部16の2箇所に径方向の位置をずらして設けられている。具体的には、径方向内側に設けられた内周側凹部17aと、径方向外側に設けられた外周凹部17bとを含む。そして、複数の内周側凹部17aおよび外周側凹部17bは、それぞれスラストころ軸受11の回転軸心を中心とする円c,cの円周上に位置する。また、この実施形態においては、凹部17は矩形形状である。
一方、図6を参照して、保持器13の裏面の凹部17cは、各柱部16の径方向中央部に設けられている(「中央凹部17c」という)。また、複数の中央凹部17cは、スラストころ軸受11の回転軸心を中心とする円cの円周上に位置する。
ポケット18は、保持器13の厚み方向に貫通する矩形形状の貫通孔である。そして、長手方向を保持器13の径方向に向けて放射状に配置されている。また、図7および図8を参照して、ポケット18には、ころ12の転動面に対面する壁面から突出する複数のころ止め部19が設けられている。
具体的には、保持器13の厚み方向一方側(表面側)に偏在する第1および第2ころ止め部19a,19b(図7では第1ころ止め部19aのみ図示)と、他方側(裏面側)に偏在する第3ころ止め部19cとを含む。これらのころ止め部19は、ポケット18に収容されたころ12が、それぞれ保持器13の厚み方向一方側および他方側に脱落するのを防止する。
また、各ころ止め部19のころ12と対面する壁面は、角部がころ12を攻撃するのを防止するためにテーパ形状となっている。さらに、保持器13の厚み方向一方側のころ止め部19a,19bと他方側のころ止め部19cとの間の壁面は、ころ12の回転を案内する案内面18aとして機能する。
次に、図9を参照して、内周側凹部17a、外周側凹部17b、および中央凹部17cは、それぞれ径方向のずれた位置に設けられている。同様に、第1ころ止め部19a、第2ころ止め部19b、および第3ころ止め部19cも、それぞれ径方向のずれた位置に設けられている。
また、内周側凹部17aおよび外周側凹部17bと、第1および第2ころ止め部19a,19bとは、保持器13の同一壁面側(表面側)に設けられている。一方、中央凹部17cと第3ころ止め部19cとは、保持器13の同一壁面側(裏面側)に設けられている。
さらに、各ポケット18に設けられた第1ころ止め部19aは円cの円周上に、第2ころ止め部19bは円cの円周上に、第3ころ止め部19cは円cの円周上にそれぞれ配置されている。つまり、内周側凹部17aと第1ころ止め部19a、外周側凹部17bと第2ころ止め部19b、および中央凹部17cと第3ころ止め部19bとは、それぞれ保持器13の厚み方向の同一壁面側でかつ同一円周上に位置する。
上記構成の保持器13は、鋼等の金属材料によって形成される金属製保持器である。また、内周環状部14、外周環状部15、および柱部16の板厚はほぼ均一である。また、ころ止め部19は、保持器13の表面および裏面からは突出していない。したがって、保持器13は全体としてフラットな形状となっている。このような保持器13を製造する方法としては、例えば、1枚の鋼板をプレス加工して上記の構成を得る。具体的には、打ち抜き加工によって保持器13の外形形状を形成すると共に、ポケット18を打ち抜く。
また、上記のように、凹部17ところ止め部19とを保持器13の厚み方向の同一壁面側で、かつ同一円周上に設けた場合には、コイニング加工によって凹部17を形成すると同時に、このとき生じた余肉によって各凹部17に隣接するころ止め部19を形成することができる。
一方、ころ12は、転動面12aを有する円筒形状の転動体である。ころ12は、軸受回転時に自転運動、およびスラストころ軸受11の回転軸心を中心として公転運動する。その際、転動面12aは、軌道面(図示省略)およびポケット18の内壁面(ころ止め部19を含む)に接触する。
したがって、転動面12aと軌道面との間、および転動面12aとポケット18の内壁面との間にそれぞれ潤滑油を供給する必要がある。なお、ケージ&ローラタイプの軸受の場合、軌道面はスラストころ軸受11を組み込む機器側に設けられる。
上記構成のスラストころ軸受11は、外部から供給された潤滑油が保持器13に設けられた油だまりとしての凹部17内に留まる。そして、凹部17から徐々に流出する潤滑油がころ12の転動面を潤滑する。つまり、保持器13に凹部17を設けたことによってスラストころ軸受11の保油性が向上する。その結果、希薄潤滑下でも潤滑性に優れたスラストころ軸受11を得ることができる。
なお、凹部17は底壁を有する不貫通凹部である。また、周囲が側壁で囲まれており、隣接するポケット18に連通する溝とも異なる。このような構成とすることにより、通油性ではなく保油性が向上する。
また、各柱部16に複数の凹部17a,17b,17cを設けたことにより、1箇所の場合と比較して、スラストころ軸受11の保油性がさらに向上する。また、複数の凹部17a,17b,17cを保持器13の径方向にずれた位置に設けることにより、ころ12の転動面に潤滑油を均等に供給することができる。
また、保持器13の厚み方向一方側に設けられる第1および第2ころ止め部19a,19bと、他方側に設けられる第3ころ止め部19cとを保持器13の径方向にずれた位置に設けることにより、ころ12を適切に保持することができる。
さらに、上記構成のスラストころ軸受11に採用される保持器13は金属製保持器である。これにより、厚み寸法を削減しても保持器13に必要な剛性を維持することができる。つまり、このスラストころ軸受11は、オートマチックトランスミッションやコンプレッサ等のコンパクト化が進む機器での使用に適しているといえる。
なお、上記の実施形態においては、各柱部16の表面側に2箇所、裏面側に1箇所の凹部17を設けた例を示したが、これに限ることなく、それぞれ任意の個数の凹部を設けることができる。
また、上記の実施形態においては、凹部17を各柱部16の厚み方向の壁面に設けた例を示したが、スラストころ軸受11の保油性を向上する観点からは、任意の位置、すなわち内周環状部14や外周環状部15に凹部を設けてもよい。しかし、潤滑油をころ12の転動面12aに適切に供給する観点からは、転動面12aに隣接する柱部16に設けるのが望ましい。
また、上記の実施形態における凹部17は矩形形状である例を示したが、これに限ることなく、任意の形状とすることができる。例えば、図10に示すスラストころ軸受用保持器23は、円形状の凹部27a,27bを有する。図11に示すスラストころ軸受用保持器33は、円周方向に延びる長円形状の凹部37a,37bを有する。図12に示すスラストころ軸受用保持器43は、径方向に延びる長円形状の凹部47を有する。なお、図50および図51において、凹部27a,27bおよび凹部37a,37bは、それぞれ径方向のずれた位置に配置されている。
上記の各実施形態におけるスラストころ軸受用保持器13,23,33において、柱部16,26,36の幅寸法は、径方向内側から径方向外側に向かって大きくなっている。そのため、外周側凹部17b,27b,37bの面積は、内周側凹部17a,27a,37aと比較して大きくなっている。
一方、軸受内部の潤滑油は、軸受回転時の遠心力によって径方向外側に偏在する。そのため、内周側凹部17a,27a,37aの保油量を増加して、スラストころ軸受用保持器13,23,33の内周側の保油性を向上するのが望ましい。
そこで、例えば、内周側凹部17a,27a,37aの深さを外周側凹部17b,27b,37bより深くする等して保油量を増加すれば、ころの転動面全域にさらに均等に潤滑油を供給することができる。
なお、上記構成のスラストころ軸受用保持器23,33,43の基本構成は保持器13と共通するので、詳しい説明は省略する。
また、上記の実施形態においては、厚み寸法を削減する観点からころ12と保持器13とで構成されるケージ&ローラタイプのスラストころ軸受11の例を説明したが、これに限ることなく、この発明は軌道輪をさらに有するスラストころ軸受にも適用することができる。
図13を参照して、この発明の他の実施形態に係るスラストころ軸受51を説明する。なお、ころ52および保持器53の構成はスラストころ軸受11と共通するので、共通点の説明は省略し、相違点を中心に説明する。
スラストころ軸受51は、複数のころ52と、保持器53と、保持器53の厚み方向一方側および他方側に配置される第1および第2軌道輪54,55とを備える。第1および第2軌動輪54,55は、中央に穴54a,55aが形成された円板状の部材である。第1軌動輪54は、その内縁部に軸方向に突出する内周鍔部54bを有する。第2軌動輪55は、その外縁部に軸方向に突出する外周鍔部55bを有する。
上記構成のスラストころ軸受52は、ケージ&ローラタイプのスラストころ軸受11と比較して厚み寸法は大きくなる。しかし、スラストころ軸受11は、ころ12と接触する軌道面を機器側に設けなければならないので、研磨工程等の作業工数が増大する。一方、スラストころ軸受51は、軌動輪54,55を設けたことで機器側の研磨工程を省略することができる。また、軌動輪54,55の軌道面は、容易に極めて平滑な面を得ることができるので、希薄潤滑下でもころ52がスムーズに回転することができる。
また、金属製保持器の他の例としては、鋼板を厚み方向に折り曲げて断面形状を略W型としたW型保持器がある。W型保持器は、保持器の厚み寸法に対して鋼板の板厚を薄くしなければならないので、保持器の剛性を維持しつつ厚み寸法を削減するのは困難である。したがって、この発明には、円環形状の平板に凹部17およびポケット18等を形成した平型のスラストころ軸受用保持器13が適しているといえる。
また、この発明は、ころとして針状ころ、棒状ころ、または円筒ころを有するあらゆる形式のスラストころ軸受に適用することができる。ただし、厚み寸法を削減する観点からは、スラスト針状ころ軸受であることが望ましい。
さらに、この発明に係るスラストころ軸受は、オートマチックトランスミッションやコンプレッサの他、あらゆる機器に使用することができる。
次に、図1〜図4を参照して、この発明の一実施形態に係るスラストころ軸受用保持器13の製造方法を説明する。なお、図1はスラストころ軸受用保持器の主な製造工程を示すフロー図、図2はポケット18を形成した状態を示す図、図3および図4は凹部17およびころ止め部19を形成する前後の状態を示す図である。また、上記に示したスラストころ軸受用保持器13の変形例についても同様の方法で製造することができるので、説明は省略する。
まず、図1を参照して、第1の工程は、出発材料としての鋼板から保持器13の外形形状を形成する(S11)。具体的には、内周環状部14の内縁部、および外周環状部15の外縁部に沿って打ち抜き加工し、図5および図6に示すような円環状部材を得る。
次に、第2の工程は、先の工程で得られた円環状部材の壁面に厚み方向に貫通する複数のポケット18を形成する(S12)。なお、この工程は、打ち抜き加工によって行う。このとき、ポケット18は、一つずつ加工してもよいが、全てのポケット18を同時に加工することにより、加工時間を短縮できると共に加工精度を向上することができる。なお、図2を参照して、この工程で形成されるポケット18の壁面にはころ止め部19は形成されておらず、ポケット18の両壁面は平坦な状態である。また、この工程は先の工程(S11)と同時に行ってもよい。
次に、第3の工程は、柱部16の厚み方向の壁面に凹部17を形成すると同時に、柱部16からポケット18に向かって突出するころ止め部19を形成する(S13)。この工程は、コイニング加工によって行う。図3および図4を参照して、内周側凹部17aおよび第1ころ止め部19aを形成する方法を説明する。
まず、図3を参照して、胴体部分の幅をt、先端部分の幅をtより小さいt(t>t)に設定した固定冶具62を載置台61上に固定しておく。この固定冶具62の胴体部分の幅tは、ポケット18の短手方向の幅寸法とほぼ同一である。また、胴体部分と先端部分との幅寸法の差(t−t)は、第1ころ止め部19aのポケット壁面からの突出量と一致する。さらに、胴体部分と先端部分との境界は、第1ころ止め部19aのころ12と対面する壁面に対応するテーパ形状となっている。
次に、先の工程で得られたポケット18が固定冶具62に嵌まり込むように、スラストころ軸受用保持器13を載置台61上に載置する。このとき、固定冶具62に先端部分とポケット18の壁面との間には、第1ころ止め部19aに対応する隙間64が設けられている。
次に、図4を参照して、上下方向に往復する移動冶具63によってスラストころ軸受用保持器13にコイニング加工(圧印加工)を施す。移動冶具63は、先端が内周側凹部17aに対応する形状となっているので、この工程で内周側凹部17aが形成される。ここで、内周側凹部17aを形成したことによって生じた余肉の一部は、この内周側凹部17aに隣接するポケット18の隙間64に移動する。これにより、内周側凹部17aの形成と同時に第1ころ止め部19aが形成される。
なお、図4では、内周側凹部17aおよび第1ころ止め部19aのみを形成する方法を説明したが、外周側凹部17bおよび第2ころ止め部19bも同様の方法で形成することができる。また、中央凹部17cおよび第3ころ止め部19cは、固定冶具62と移動冶具63の上下を逆にすれば、同様の方法で形成することができる。さらに、この工程は、全ての柱部16および全てのポケット18を同時に加工することにより、加工時間を短縮できると共に加工精度を向上することができる。
次に、第4の工程は、保持器に必要とされる機械的性質を得るために、スラストころ軸受用保持器13に熱処理を施す(S14)。具体的には、浸炭焼入れおよび焼戻し、またはこれらに代えて、浸炭窒化処理等を施して完成品を得る。
なお、上記の第1の工程から第4の工程は、この発明に係るスラストころ軸受用保持器の製造方法の一例であって、各工程をさらに細分化してもよいし、必要な工程をさらに追加することもできる。また、加工工程の順番も任意に入れ替えることができるものとする。
また、上記の各工程は、それぞれ別々の工程として単能プレスで行ってもよいが、順送プレス、または、トランスファプレスによって行うこととしてもよい。これにより、各工程を連続的に行うことができる。さらに、上記の各工程の全部または一部に相当する加工部を有するスラストころ軸受用保持器13の製造装置を使用することにより、生産性を高めることができ、結果としてスラストころ軸受11の製品価格を抑えることができる。
なお、本明細書中で「順送プレス」とは、プレス内に複数の加工工程を持ち、材料をプレス入口のフィーダにより各工程を移動させることによって、材料を連続的に加工する方法を指すものとする。また、本明細書中で「トランスファプレス」とは、複数の加工工程を必要とする場合に、各工程を行うステージを必要数分設け、搬送装置によって工程品を移動させながら、各ステージで加工を行う方法を指すものとする。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明は、オートマチックトランスミッションやコンプレッサ等に使用されるスラストころ軸受に有利に利用される。
この発明の一実施形態に係るスラストころ軸受用保持器の製造工程の一部を示すフロー図である。 スラストころ軸受用保持器にポケットを形成した直後の状態を示す図である。 スラストころ軸受用保持器に凹部およびころ止め部を形成する直前の状態を示す図である。 スラストころ軸受用保持器に凹部およびころ止め部を形成した直後の状態を示す図である。 この発明の一実施形態に係るスラストころ軸受の表面図である。 この発明の一実施形態に係るスラストころ軸受の表面図である。 図5のVII−VIIにおける断面図である。 図6のVIII−VIIIにおける断面図である。 図5のP部の拡大図である。 この発明に係るスラストころ軸受用保持器の他の形態を示す図である。 この発明に係るスラストころ軸受用保持器の他の形態を示す図である。 この発明に係るスラストころ軸受用保持器の他の形態を示す図である。 この発明の他の実施形態に係るスラストころ軸受を示す図である。 従来のスラストころ軸受の正面図である。 図14のスラストころ軸受のポケットを含む断面図である。
符号の説明
11,21,31,41,51,101 スラストころ軸受、12,52,102 ころ、12a 転動面、13,23,33,43,53,107 保持器、14,103 内周環状部、15,104 外周環状部、16,26,36105 柱部、17,17a,17b,17c,27a,27b,37a,37b,47 凹部、18,106 ポケット、18a 案内面、19,19a,19b,19c,109 ころ止め部、54,55 軌道輪、54a,55a 穴、54b,55b 鍔部、61 載置台、62 固定冶具、63 移動冶具、64 隙間、108 肉盗み部。

Claims (4)

  1. 内周環状部と、外周環状部と、前記内周環状部と前記外周環状部との間に厚み方向に貫通する複数のポケットを形成するように放射状に配置される複数の柱部と、前記柱部の厚み方向一方側および他方側のうちの少なくとも一方の壁面に潤滑油を保持する凹部と、前記凹部と前記柱部の厚み方向の同一壁面側でかつ同一円周上に配置されており、前記柱部から前記ポケットに向かって突出するころ止め部とを備える、金属製のスラストころ軸受用保持器の製造方法であって、
    出発材料としての金属板から打ち抜き加工によって前記スラストころ軸受用保持器の外形形状を形成する工程と、
    打ち抜き加工によって厚み方向に貫通する前記ポケットを形成する工程と、
    コイニング加工によって前記柱部の壁面に凹部を形成すると同時に、前記凹部の形成によって生じた余肉によって前記ころ止め部を形成する工程とを含む、スラストころ軸受用保持器の製造方法。
  2. 前記工程は、順送プレスによって行われる、請求項1に記載のスラストころ軸受用保持器の製造方法。
  3. 前記工程は、トランスファプレスによって行われる、請求項1に記載のスラストころ軸受用保持器の製造方法。
  4. 前記工程は、単能プレスによって行われる、請求項1に記載のスラストころ軸受用保持器の製造方法。
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JP2011106588A (ja) * 2009-11-18 2011-06-02 Ntn Corp 保持器の製造方法、保持器、および保持器製造装置
JP2012219893A (ja) * 2011-04-07 2012-11-12 Ntn Corp スラスト軸受用保持器及びスラスト軸受

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