JP4327987B2 - ズーム光学系 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真用カメラ特にレンズシャッターカメラに用いられるズーム光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、レンズシャッターカメラは、ズームレンズを用いるものが一般的であり、特に変倍比が3を超えるレンズ系の要望が高くなっている。一方小型で安価なレンズ系の要望が高くなっている。
【0003】
レンズシャッターカメラ用ズームレンズとして、様々なタイプのレンズ系が知られているが、特に変倍比3以上のレンズ系の場合、正、正、負の屈折力配分の3群ズームレンズが多く知られている。この3群ズームレンズは、例えば物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群と正の屈折力の第2レンズ群と負の屈折力の第3レンズ群よりなり、広角端から望遠端へのズーミングの際に、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔が増大し第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が減少するように各レンズ群を物体側へ繰り出すようにしたレンズ系である。
【0004】
上記のようなズームレンズの従来例として、特開平11−183801号、特開平11−119098号、特開平11−52232号、特開平9−179025号、特開平9−120028号、特開平9−90225号、特開平8−262325号の各公報に記載されているズームレンズが知られている。これら従来例は、焦点距離の変化に対して望遠端での全長が長く複雑で大きな鏡枠が必要になる。
【0005】
また特開平9−33813号公報に記載されているズームレンズは、望遠比が大でありカメラを小型にすることは難しい。
【0006】
更に特開平8−152559号公報に記載されたズームレンズは、空気間隔等の要求精度が高く製作が難しい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、全長が短く特に焦点距離の変化に対して望遠端における全長が短く、光学性能が良好であり、ズーミングの際の結像性能の劣化が少ないズーム光学系を提供するものである。特に変倍比が3.8を超える高変倍のズーム光学系を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のズーム光学系(第1の構成の光学系)は、例えば図1に示すように物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と正の屈折力の第2レンズ群G2と負の屈折力の第3レンズ群G3とよりなり、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が増大し第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が減少するように各レンズ群G1、G2、G3を物体側へ繰り出すもので、下記条件(1)、(2)、(3)、(4)を満足することを特徴とする。
【0009】
(1) fT/fW>3.8
(2) 0<[S(fTa)−S(fW)]/(fTa−fW)<0.2
(3) 0.8<L(fTa)/(fTa−fW)<1.05
(4) 0<H(G1)/fTa<0.023
ただしfT,fWは夫々望遠端および広角端における全系の焦点距離、fTaは広角端の焦点距離の3.8倍を超える焦点距離領域の任意の焦点距離、S(W)は広角端における最も物体側の面から最も像側の面までの距離、S(fTa)は焦点距離がfTaにおける最も物体側の面から最も像側の面までの距離、L(fTa)は焦点距離fTaにおける最も物体側の面から像面までの距離、H(G1)は最も物体側の面から第1レンズ群G1の前側主点までの距離である。
【0010】
本発明のズーム光学系は、高変倍率にするために上記のような正の第1レンズ群G1と正の第2レンズ群G2と負の第3レンズ群G3にて構成し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が増大し第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が減少するようにレンズ群G1、G2、G3のいずれも物体側に繰り出すことにより広角端から望遠端への変倍を行なうようにした。
【0011】
また本発明のズーム光学系は、次に述べる理由により前記条件(1)、(2)、(3)、(4)を満足するようにした。
【0012】
条件(1)は本発明のズーム光学系のズーム比を示すものであって、この条件(1)の下限の3.8を超えると目的とする高変倍ズーム光学系になし得ない。
【0013】
また、この条件(1)を満足しないと、条件(2)、(3)の分母(fTa−fW)の値が小になり、これら条件を満足するようなレンズ構成にするのが困難になる。
【0014】
条件(2)は、光学系の第1面(最も物体側の面)から最終面(最も像側の面)までの距離のズーミング時焦点距離をfWから(fTaまで変化させた時)の変化量と全系の焦点距離のズーミング時焦点距離をfWから(fTaまで変化させた時)の変化量との比で、下限の0を超えると光軸方向のレンズ面の位置ずれに対するバックフォーカス位置の補正感度が大になり結像性能が劣化しやすくなる。また上限の0.2を超えると各レンズ群のパワーが弱くなり、全長を短くしようとすると変倍比を確保することが困難になる。また、レンズ系の一部を光軸方向へ移動させてフォーカシングを行なう場合、移動レンズ群の移動量が大になり、フォーカシング可能な至近距離を小にすることができない。
【0015】
この条件(2)において、上限を0.07に代えて下記条件(2−1)を満足するようにすればより望ましい。
(2−1) 0<[S(fTa)−S(fW)]/(fTa−fW)<0.07
【0016】
条件(3)は、望遠時(焦点距離fTaの時)の光学系の全長と全系の焦点距離の変化量(広角端から焦点距離fTaまでの焦点距離の変量)との比を定めたもので、この条件(3)の下限の0.8を超えると球面収差、コマ収差、軸上色収差のズーミング時の変動が大になる等の性能劣化が著しい。また、上限の1.05を超えると望遠比[L(fTa)/fTa]が増大し、光学系の全長を短くすることが出来ない。
【0017】
上記条件(3)において、その上限値を1.04、下限値を0.9とし下記条件(3−1)を満足するようにすればより望ましい。
(3−1) 0.9<L(fTa)/(fTa−fW)<1.04
【0018】
条件(4)は第1レンズ群G1の最も物体側の面から前側主点位置までの距離[H(G1)]と望遠時の全系の焦点距離(fTa)との比を規定したものである。条件(4)の下限の0を超えると望遠比L(fTa)/fTaの増大をまねき、光学系の全長を短くしてコンパクトにすることが出来ない。上限の0.023を超えると諸収差特に歪曲収差が補正過剰になる。
【0019】
この条件(4)において、下限値を0.01、上限値を0.02にして下記条件(4−1)を満足するようにすればより望ましい。
(4−1) 0.01<H(G1)/fTa<0.02
【0020】
本発明のズーム光学系の他の第2の構成は物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と正の屈折力の第2レンズ群G2と負の屈折力の第3レンズ群G3とよりなり、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が増大し第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が減少するように各レンズ群を物体側へ繰り出す光学系で、正の屈折力の第1レンズ群G1が物体側より順に物体側に凹面を向けた負のメニスカス単レンズと像側より強い曲率の面を物体側に向けた正の単レンズの2枚のレンズにて構成され、負の第3レンズ群G3が物体側より順に、両凹負レンズと、像側より強い曲率の凸面を物体側に向けた正レンズと、像側より強い曲率の凹面を物体側に向けた負レンズとを有し、下記条件(2A)、(3A)を満足するものである。
(2A) 0<[S(fT)−S(fW)]/(fT−fW)<0.2
(3A) 0.8<L(fT)/(fT−fW)<1.05
ただし、fW,fTは夫々広角端および望遠端におけるズーム光学系全系の焦点距離、S(fW)は広角端における最も物体側の面から最も像側の面までの距離、S(fT)は望遠端における最も物体側の面から最も像側の面までの距離、L(fT)は望遠端における光学系の全長である。
【0021】
この第2の構成は、3群ズーム光学系で各レンズ群のパワー配分並びにズーミングの際のレンズ群の移動は、前述の構成のズーム光学系と実質上同じである。即ち、この第2の構成のズーム光学系は、物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と正の屈折力の第2レンズ群G2と負の屈折力の第3レンズ群G3とよりなり、広角端から望遠端へのズーミングの際に第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が増大し第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が減少するように移動する光学系である。
【0022】
上記の通りの構成にすることにより、この第2の構成のズーム光学系も、第1の構成と同様、高倍変化の光学系を実現し得るようにした。
【0023】
また、本発明の第2の構成のズーム光学系は、第1レンズ群G1を物体側より順に、物体側に凹面を向けた負のメニスカス単レンズと、像側よりも強い曲率の面を物体側に向けた正の単レンズの2枚のレンズにて構成して、レンズ系の全長を短縮し、かつ諸収差特に像面湾曲、非点収差を良好に補正し得るようにした。
【0024】
また、第3レンズ群を物体側より順に、両凹負レンズと、像側より強い曲率の凸面を物体側に向けた正レンズと、像側より強い曲率の凹面を物体側に向けた負レンズとを有する構成にして、諸収差特に像面湾曲、非点収差を良好に補正し得るようにした。
【0025】
また、この第2の構成のズーム光学系は、前記条件(2A)、(3A)を満足することを特徴とする。
【0026】
この条件は、第1面から最終面までの距離の望遠端と広角端との間の変化量と広角端から望遠端への焦点距離の変化量との比を規定するもので、この条件(2A)の下限を超えると光軸方向のレンズ面の位置のずれに対するバックフォーカス位置の補正感度が大になり、結像性能が劣化しやすくなる。
【0027】
この条件(2A)の上限を超えると各レンズ群のパワーが弱くなり全長を短くしようとすると変倍比を大にすることが困難になる。また一部のレンズ群を移動させてフォーカシングを行なう場合、レンズ群の移動量が大になり、フォーカシング可能な至近距離を小にできない。
【0028】
また、条件(3A)は望遠端における光学系の全長と広角端から望遠端への焦点距離の変化量との比を規定するもので、その下限の0.8を超えると球面収差、コマ収差、軸上色収差のズーミング時の変動が大になる。また上限の1.05を超えると望遠比が増大し光学系の全長を短くすることが困難になる。
【0029】
この第2の構成の光学系は、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3とを前述のような構成にすることにより条件(1)を規定することなしに高変倍比でコンパクトな構成の光学系になし得る。特に条件(2)、(3)の代りに条件(2A)、(3A)を満足するようにして、諸収差等の光学性能の優れた光学系になし得、条件(4)を満足することなしに高変倍比でコンパクトであってしかも諸収差が良好に補正された良好な光学性能のズーム光学系を実現し得る。
【0030】
本発明の第3の構成のズーム光学系は、物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群と正の屈折力の第2レンズ群と負の屈折力の第3レンズ群とよりなり、広角端から望遠端への変倍に際し第1レンズ群と第2レンズ群の間隔を増大し第2レンズ群と第3レンズ群の間隔を減少するように各レンズ群を物体側へ繰り出す光学系で、負の屈折力の第3レンズ群が物体側より順に、両凹レンズと像側より強い曲率の凸面を物体側に向けた正レンズと、像側より強い曲率の凹面を物体側に向けた負レンズを有し、フォーカシング時に少なくとも第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が変化する光学系で、下記条件(10)を満足するズーム光学系である。
(10) (β3T)2 /[F(T)×0.03]<60
ただしβ3Tは第3レンズ群の望遠端における倍率、F(T)は望遠端におけるFナンバーである。
【0031】
この第3の構成のズーム光学系は、変倍比を高くするためにレンズ群のパワー配分並びにズーミングの際の可動レンズ群の移動方式は、前述の第1、第2の構成の光学系と同様である。即ち、第3の構成のズーム光学系は、物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と正の屈折力の第2レンズ群G2と負の屈折力の第3レンズ群G3とよりなり、広角端から望遠端へのズーミングの際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔を増大させまた第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔を減少させるように各レンズ群を物体側へ移動させるようにした。
【0032】
そして、この第3の構成の光学系は、前記負の屈折力の第3レンズ群G3が物体側より順に、両凹レンズと像側より強い曲率の凸面を物体側に向けた正レンズと、像側より強い曲率の凹面を物体側に向けた負レンズとを有する構成にすることによって諸収差特に像面湾曲、非点収差が良好に補正されるようにした。
【0033】
本発明のズーム光学系のように、物体側より順に、正の第1レンズ群G1、正の第2レンズ群G2、負の第3レンズ群G3にて構成したレンズ系は、特に望遠側において第1レンズ群G1の偏芯誤差により光学系の性能が低下する。そのため前記第3の構成の光学系は、フォーカシング時に少なくとも第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔を変化させるようにして、第1レンズ群G1のフォーカシング時における移動量を少なくしあるいは固定させて第1レンズ群G1の偏芯誤差を小さく抑えるようにした。
【0034】
また、条件(10)は、第3レンズ群G3の望遠端における倍率β3Tの2乗と焦点深度との比を規定したものである。この条件の上限の60を超えるとフォーカシングの際の第2レンズ群と第3レンズ群との間隔の変化の精度が厳しくなる。
【0035】
更に本発明の第4の構成のズーム光学系は、物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と正の屈折力の第2レンズ群G2と負の屈折力の第3レンズ群G3とよりなり、広角端から望遠端への変倍の際に第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が増大し第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が減少するように各レンズ群を物体側へ繰り出す光学系で、フォーカシングの際に少なくとも第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が変化し、下記条件(1)、(4)、(5)、(6)を満足するズーム光学系。
(1) fT/fW>3.8
(4) 0<H(G1)/fTa<0.023
(5) 15<(β3T)2 −(β3T)2 ×(β2T)2 <27
(6) 0.3<f1/fTa<0.5
ただし、fW,fTは夫々広角端および望遠端における全系の焦点距離、fTaは広角端の焦点距離の3.8倍を超える焦点距離領域の任意の焦点距離、H(G1)は第1面から第1レンズ群の前側主点までの距離、f1は第1レンズ群の焦点距離、β2T,β3Tは夫々第2レンズ群および第3レンズ群の望遠端における倍率である。
【0036】
この第4の構成の光学系も高変倍比のズーム光学系を達成するために、第1〜第3の構成と同様に、物体側より順に、正の第1レンズ群G1と正の第2レンズ群G2と負の第3レンズ群G3とにて構成し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が減少するように各レンズ群G1、G2、G3を繰り出すことによって広角端から望遠端へのズーミングを行なうものである。
【0037】
また、この第4の構成は、少なくとも第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔を変化させてフォーカシングを行なうようにしたもので、これによりフォーカシングの際に、第1レンズ群G1の移動を少なくし又は固定として、第1レンズ群G1の偏芯誤差による光学系の性能の低下を抑えるようにした。
【0038】
また本発明の第4の構成のズーム光学系は、上記条件(1)、(4)、(5)、(6)を満足するものである。
【0039】
条件(1)は光学系のズーム比を規定するもので、条件(1)の下限を超えると高変倍比のズーム光学系になし得ない。
【0040】
条件(4)は第1レンズ群G1の第1面(最も物体側の面)から前側主点位置までの距離H(1G)と望遠側領域での焦点距離fTaとの比を規定するものである。この条件(4)の下限の0を超えると望遠比が増大し光学系の全長が大になって光学系をコンパクトになし得ない。また上限の0.023を超えると諸収差特に歪曲収差が補正過剰になる。
【0041】
条件(5)は、第2レンズ群G2が光軸方向に移動した時の像面位置の補正感度を示すもので、下限の15を超えるとフォーカシング時の第2レンズ群G2の移動量が大になり、最近接撮影距離を小さくする上で障害になる。また上限の27を超えると像面位置の補正感度が高くなりすぎて第2レンズ群G2の停止精度が厳しくなる。
【0042】
条件(6)は第1レンズ群G1の焦点距離f1と広角端の焦点距離の3.8倍を超える焦点距離域の任意の焦点距離fTaとの比を示すもので、条件(6)の下限の0.3を超えると第1レンズ群G1の屈折力が強くなり、レンズ偏芯時の性能劣化が大になる。また上限の0.5を超えると、第1レンズ群G1の屈折力が弱くなり、光学系の全長が長くなる。
【0043】
本発明のズーム光学系の前記第1の構成において、正の屈折力の第1レンズ群G1を物体側から順に、物体側に凹面を向けた負のメニスカス単レンズと像側よりも物体側の面が強い曲率で物体側に凸面を向けた正の単レンズとにて構成し、第3レンズ群G3を物体側より順に、両凹負レンズと、像側より物体側が曲率が強く物体側に凸面を向けた正レンズと、像側よりも物体側の面が曲率が強く物体側に凹面を向けた負レンズとより構成することが好ましい。
【0044】
前記本発明のズーム光学系において、第1レンズ群G1を前述のような物体側より順に物体側に凹面を向けた負のメニスカス単レンズと像側よりも物体側の面が強い曲率を有する正の単レンズの2枚のレンズにて構成することにより、この第1レンズ群G1の主点位置を光学系の全長を短縮しかつ諸収差特に歪曲収差を良好に補正し得る位置に設定することが容易になる。
【0045】
また前記の第1、第4の構成の本発明のズーム光学系において、第3レンズ群G3を物体側より順に、両凹レンズと、像側より物体側が強い曲率の凸面を物体側に向けた正レンズと、像側より物体側が強い曲率の凹面を物体側に向けた負レンズとを有する構成にするようにすれば諸収差特に像面湾曲、非点収差を良好に補正し得るので望ましい。
【0046】
また、前記第2、第3の構成の光学系において、下記条件(4A)を満足することが望ましい。
(4A) 0<H(G1)/fT<0.028
【0047】
この条件(4A)は第1レンズ群G1の第1面からこのレンズ群G1の前側主点位置までの距離H(G1)と望遠端の全系の焦点距離との比を規定するものである。条件(4A)の下限を超えると望遠端における光学系の望遠比つまり望遠端における全長L(T)と望遠端における全系の焦点距離fTとの比L(T)/fTが大になり光学系の全長を小さくできなくなる。また上限を超えると諸収差特に歪曲収差が補正過剰になる。
【0048】
また、前記第1、第2、第3の構成において、下記条件(5)を満足することが望ましい。
(5) 15<(β3T)2 −(β3T)2 ×(β2T)2 <27
ただし、β2T、β3Tは夫々第2レンズ群、第3レンズ群の望遠端における倍率である。
【0049】
上記条件(5)は前述のように、第2レンズ群G2が光軸方向に移動した時の像面位置の補正感度を示すもので、下限の15を超えるとフォーカシング時の第2レンズ群G2の移動量が大になり、最近接撮影距離を小さくする上で障害になる。また上限の27を超えると像面位置の補正感度が高くなりすぎて第2レンズ群G2の停止精度が厳しくなる。
【0050】
また、前記第1、第2、第3、第4の構成の光学系において、下記条件(6)を満足することが望ましい。
(6) 0.3<f1/fT<0.5
ただし、f1は第1レンズ群G1の焦点距離である。
【0051】
この条件(6)は、第1レンズ群G1の焦点距離f1と望遠端における全系の焦点距離fTとの比を規定するものである。
【0052】
条件(6)の下限の0.3を超えると、第1レンズ群の屈折力が強くなり、レンズが偏芯したときの光学系の性能劣化が著しくなる。また上限の0.5を超えると第1レンズ群G1の屈折力が弱くなり光学系の全長が長くなる。
【0053】
前記第1、第2、第3、第4の構成の光学系において、第2レンズ群G2が少なくとも、負レンズと正レンズを接合した負の屈折力の接合レンズと負レンズと正レンズとを接合した正の屈折力の接合レンズとを有する構成にすれば、軸上色収差と軸外色収差とを効果的に補正し得る。
【0054】
第1、第2、第3、第4の構成の光学系において、第3レンズ群G3中に球面レンズの凹面に樹脂を薄く塗布することによって非球面を形成した非球面レンズを含むようにし、この非球面レンズが下記条件(7)を満足することが望ましい。
(7) 0.2<[(1/Rb−1/Ra)/(N1−N2)]Y<0.9
ただし、Raは光軸から高さYにおける非球面の局所的曲率半径つまり非球面上の光軸から高さYの点における法線が光軸と交わるまでの距離、Rbは非球面の光軸上の曲率半径、N1、N2は夫々非球面の物体側および像側の屈折率である。
【0055】
条件(7)を満足することにより塗布する樹脂の厚さを大きく変化させることなしに良好な結像性能を得ることが可能な非球面を容易に形成し得る。
【0056】
この非球面レンズにおいて、塗布する樹脂の厚さが大きく変化すると、温度と湿度の変化により性能が劣化する。また製作時における樹脂を凝固させる際の容易さの点でも好ましくない。
【0057】
条件(7)の下限を超えると、非球面による効果が失われ好ましくない。また、条件(7)の上限を超えると光学系全体の収差のバランスをとれなくなり好ましくない。
【0058】
上記条件(7)の代りに下記条件(7−1)を満足するようにすることが更に望ましい。
(7−1) −0.1<(1/Rb−1/Ra)/(N1−N2)<0.4
【0059】
また、前記第1、第2、第3、第4の構成の光学系において、第1レンズ群G1の最も像側に配置された正レンズのアッベ数νd (1R)が下記条件(8)を満足することが望ましい。
(8) νd (1R)>81
【0060】
本発明のような全長の短いズーム光学系の場合、第1レンズ群G1に含まれる正レンズには低分散ガラスを用いることが望ましい。つまり第1レンズ群G1の正レンズに条件(8)を満足するガラスを用いることにより、軸上色収差と倍率の色収差を共に小さくすることが可能になる。
【0061】
前述のように、本発明のズーム光学系(第1〜第4の構成)において、第3レンズ群G3中に非球面レンズを含むようにすることが望ましい。その場合、レンズ面に薄膜を設けこの膜の面を非球面にすることが考えられる。
【0062】
このような複合レンズの樹脂膜は、湿度変化により像面位置が変化するため、この像面位置の変化を小さく抑える必要がある。
【0063】
このように、複合レンズの湿度変化による像面位置の変化を小さくするためには、次の条件(9)を満足することが望ましい。
(9) K<0.01
ただし、Kは樹脂の吸水率で、乾燥時の重量がM1である試験片を23±2℃の純水中に23±1時間浸漬し、この時の重量がM2である時K=(M2−M1)/M1にて与えられる。
【0064】
従来の複合レンズにて用いられる樹脂膜はK=0.013であるがこの樹脂膜を用いた複合レンズの場合、湿度変化による像面位置の変化は十分満足の得られる程度のものではなく、K<0.01であることが望ましい。
【0065】
更にK<0.005であれば一層望ましい。
【0066】
前記本発明のズーム光学系(第1〜第4の構成のズーム光学系)において、明るさ絞りSを第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間に配置すれば、第1レンズ群G1のレンズ外径を小さくすることが可能である。特に第1レンズ群中に特殊低分散ガラスのような高価なガラスを使用する場合、コストを低く抑えられるため有効である。
【0067】
また、本発明のズーム光学系にいて、明るさ絞りSを第2レンズ群G2中に配置すれば光学系中のほぼ中央に明るさ絞りSが設定されることになり、性能のバランスが良くなり特に無限遠から至近距離物体へのフォーカシングの際の像面湾曲の変動を抑えることができる。
【0068】
また、本発明のズーム光学系において、明るさ絞りSを第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に配置すれば、第3レンズ群G3のレンズ外径を小さくすることができる。この場合、第3レンズ群G3の重量を小さくでき、第3レンズ群G3を移動させて無限遠から至近距離の物体へのフォーカシングの際、駆動系の消費電力を小さくできる。
【0069】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図示する各実施例のズーム光学系について説明する。
【0070】
本発明の光学系の実施例は、図1乃至図12に示す通りで下記のデータを有する。
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
ただしr1 ,r2 ,・・・ はレンズ各面の曲率半径、d1 ,d2 ,・・・ は各レンズの肉厚およびレンズ間隔、n1 ,n2 ,・・・ は各レンズの屈折率、ν1 ,ν2 ,・・・ は各レンズのアッベ数である。尚データ中のr1 ,r2 ,・・・、d1 ,d2 ,・・・等の長さの単位はmmである。
【0082】
実施例1は、図1に示す通りの構成で、正の第1レンズ群G1と正の第2レンズ群G2と負の第3レンズ群G3とからなる。
【0083】
この光学系の第1レンズ群G1は物体側に凹面を向けた負のメニスカス単レンズ(r1 〜r2 )と物体側の面が像側より強い曲率の正の単レンズ(r3 〜r4 )からなる。
【0084】
第2レンズ群G2は負レンズと正レンズの接合レンズ(r6 〜r8 )と正レンズ(r9 〜r10)と負レンズと正レンズの接合レンズ(r11〜r13)とにて構成されている。
【0085】
また第3レンズ群G3は、両凹負レンズ(r15〜r16)と物体側が像側より強い曲率の凸面の正レンズ(r17〜r18)と物体側に像側より曲率の強い凹面を向けた負レンズ(r19〜r20)とよりなる。
【0086】
この実施例1は第3レンズ群G3の最も物体側の両凹レンズがその物体側の面に非球面r14を有する樹脂膜を設けた複合レンズである。
【0087】
また明るさ絞りSは第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に配置されている。
【0088】
この実施例1は条件(1)、(2)、(2A)、(3)、(3A)、(4)〜(8)を満足する。
【0089】
実施例2乃至実施例5は夫々図2乃至図5に示すように物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と正の屈折力の第2レンズ群G2と負の屈折力の第3レンズ群G3とよりなる。
【0090】
これら実施例2乃至5のズーム光学系は、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3がいずれも実施例1と同様の構成である。
【0091】
また明るさ絞りSも同様に第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間に配置されている。
【0092】
また、実施例1と同様に第3レンズ群G3の最も物体側のレンズが非球面複合レンズである。
【0093】
この実施例2乃至5は、条件(1)、(2)、(2A)、(3)、(3A)、(4)〜(8)を満足する。尚実施例3、4、5は条件(9)も満足する。
【0094】
実施例6は、図6に示す構成のズーム光学系で物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と正の屈折力の第2レンズ群G2と負の屈折力の第3レンズ群G3とよりなる。
【0095】
この実施例6は、第2レンズ群G2が負レンズと正レンズとを接合した接合レンズ二つからなる点と、明るさ絞りSが第2レンズ群G2中に配置されているつまり物体側の接合レンズ(r5 〜r7 )と像側の接合レンズ(r9 〜r11)との間に配置されている点とで実施例1〜5の光学系と相違する。
【0096】
またこの実施例6の光学系は、条件(1)、(2)、(2A)、(3)、(3A)、(4)〜(8)を満足する。
【0097】
本発明の実施例7のズーム光学系は、図8に示す通りの構成であり、物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と正の屈折力の第2レンズ群G2と負の屈折力の第3レンズ群G3とよりなり、実施例6と類似する構成、つまり第1、第2、第3レンズ群G1、G2、G3は夫々い実施例6と類似し、また第3レンズ群G3の物体側のレンズが非球面複合レンズで、明るさ絞りSは第2レンズ群G2中に配置されている。
【0098】
この実施例7は、条件(1)、(2)、(2A)、(3)、(3A)、(4)〜(8)を満足する。
【0099】
本発明の実施例8は、図8に示す通りで、正の屈折力の第1レンズ群G1と正の屈折力の第2レンズ群G2と負の屈折力の第3レンズ群G3とよりなる。
【0100】
また第1レンズ群G1は他の実施例1〜7と同じ構成であるが、第2レンズ群G2は負レンズと正レンズの接合レンズ二つ(r5 〜r7 とr8 〜r10)と正レンズ(r11〜r12)とからなり、第3レンズ群G3は物体側が凹面の正のメニスカスレンズ(r15〜r16)と像側より物体側が曲率が強い凹レンズ(r17〜r18)である。
【0101】
また、第3レンズ群G3の物体側の正のメニスカスレンズが、その凹面r15に樹脂膜を設けた非球面複合レンズで、面r14が非球面である。
【0102】
更に明るさ絞りSは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間に配置されている。
【0103】
この実施例8のズーム光学系は、条件(1)、(2)、(2A)、(3)、(3A)、(4)〜(8)を満足する。
【0104】
実施例9は、図9に示すように物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と正の屈折力の第2レンズ群G2と負の屈折力の第3レンズ群G3とよりなる。
【0105】
また第1レンズ群G1と第2レンズ群G2は、実施例8と類似する構成であるが、第3レンズ群G3は実施例1等と類似の構成である。
【0106】
この実施例9は、第3レンズ群G3の最も物体側の両凹レンズ(r15〜r16)がその物体側の面r15に非球面r14を有する樹脂膜を設けた非球面複合レンズであり、また明るさ絞りSは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間に配置されている。
【0107】
この実施例9の光学系は、条件(1)、(2)、(2A)、(3)、(3A)、(4)〜(8)を満足する。
【0108】
実施例10は、図10に示す通り、物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と正の屈折力の第2レンズ群G2と負の屈折力の第3レンズ群G3よりなる。
【0109】
この実施例10の第1、第2、第3レンズ群G1、G2、G3等は、実施例8と同様の構成であり、第3レンズ群G3の物体側のレンズ(r15〜r16)がその物体側の凹面r15に非球面r14を有する樹脂膜を形成した非球面複合レンズである。
【0110】
この実施例10の光学系は、条件(1)、(2)、(2A)、(3)、(3A)、(4)〜(8)を満足する。
【0111】
実施例11のズーム光学系は、図11に示すように、物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と、正の屈折力の第2レンズ群G2と負の屈折力の第3レンズ群G3とよりなる。
【0112】
この実施例11は、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3とは、実施例1等と同様のレンズ構成であるが、第2レンズ群G2は負レンズと正レンズの接合レンズ二つ(r 6 〜r 8 )および(r 11 〜r 13 )とその像側に配置されたこれら二つの接合レンズの間に正レンズ(r 9 〜r 10 )とよりなる。この実施例11は、第3レンズ群G3の最も物体側の両凹レンズ(r15〜r16)がその物体側の凹面r15に非球面r14を有する樹脂膜を形成した非球面複合レンズである。
【0113】
更に、この実施例11は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間に明るさ絞りSが配置されている。
【0114】
実施例11のズーム光学系は、条件(1)〜条件(10)を満足する。
【0115】
実施例12は、図12に示す構成の光学系で、物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と正の屈折力の第2レンズ群G2と負の屈折力の第3レンズ群G3とよりなる。
【0116】
この実施例12は、第1、第2、第3レンズ群G1、G2、G3のレンズ構成等は、実施例9と類似するが、複合レンズを用いていない点で相違する。
【0117】
実施例12のズーム光学系は、条件(1)、(2)、(2A)、(3)、(3A)、(4)〜(7)を満足する。
上記実施例の断面図(図1〜図12)において、上段は広角端、中段は中間焦点距離、下段は望遠端である。
【0118】
本発明の各実施例のズーム光学系は、無限遠物体から近距離の物体へのフォーカシングを第2レンズ群G2のみを物体側へくり出すかあるいは第3レンズ群のみを像側へ繰り込むことによって行なうことができる。また第2レンズ群G2を物体側へ繰り出すと共に第3レンズ群G3を像側へ繰り込むことによって無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングが可能である。
【0119】
例えば実施例10において、第1レンズ群と第2レンズ群とを物体側へ繰り上げ第3レンズ群を像側へ繰り込んで物体距離80cmにフォーカシングを行なう時の広角端、中間焦点距離、望遠端における第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔および第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔は下記の通りである。
【0120】
ワイド端(f=39.2901 )
第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔 2.94
第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔 16.29
バックフォーカスfB 6.66
中間焦点距離(f=80.9996 )
第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔 11.73
第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔 8.89
バックフォーカスfB 29.29
望遠端(f=164.9051)
第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔 15.54
第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔 4.94
バックフォーカスfB 72.62
【0121】
本発明のズーム光学系の実施例にて用いられる非球面の形状は、光軸方向をx軸、光軸と直角な方向をy軸としたとき、下記の式にて表わされる。
【0122】
上記式において、rは基準球面の曲率半径、k,A2,A4,A6,・・・は非球面係数である。
【0123】
図13、14、15は、夫々本発明の実施例1の広角端、中間焦点距離および望遠端における無限遠物体にフォーカスした時の収差曲線図である。
【0124】
これら図に示すように、この実施例1のズーム光学系は、諸収差が良好に補正されており、またズーミングによる収差変動も少ない。
【0125】
また他の実施例2〜12の各ズーム光学系も実施例1と同様に各収差が良好に補正されており、ズーミング時の収差変動も少ない。
【0126】
図16、図17は本発明のズームレンズをコンパクトカメラの撮影レンズとして35ミリカメラに組込んだ状態を示す図で、図16はその斜視図、図17は断面図である。
【0127】
これら図において、1は第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3よりなる本発明のズーム光学系で実施例1のワイド端の状態を示してある。2はフィルム、3はファインダー用対物レンズ、4は像正立プリズム、5は接眼レンズ、6は絞り、7、8は夫々撮影用光路およびファインダー用光路である。又10はカメラボディーである。
【0128】
このカメラにおいて、撮影用光路とファインダー用光路とはほぼ平行に並ぶように構成され、被写体像はファインダー用対物レンズ3、像正立プリズム4、絞り6、接眼レンズ5にて構成されるファインダーにより観察されると共に本発明のズーム光学系1によりフィルム2上に結像され撮影される。フィルムに変えてCCD等の電子撮像素子を用いてもよい。
【0129】
本発明は、特許請求の範囲に記載するもののほか次の各項に記載する光学系も発明の目的を達成し得る。
【0130】
(1)特許請求の範囲の請求項1に記載する光学系で、正の屈折力の第1レンズ群が、物体側より順に、物体側に凹面を向けた負のメニスカス単レンズと、像側よりも物体側の面が強い曲率の面である正の単レンズとにて構成され、第3レンズ群が、物体側より順に両凹負レンズと、像側よりも強い曲率の凸面を物体側に向けた正レンズと、像側よりも強い曲率の凹面を物体側に向けた負レンズを有することを特徴とするズーム光学系。
【0131】
(2)特許請求の範囲の請求項2に記載する光学系で、下記条件(4A)を満足することを特徴とするズーム光学系。
(4A) 0<H(G1)/fT<0.028
【0132】
(3)特許請求の範囲の請求項1又は2あるいは前記の(1)又は(2)の項に記載する光学系で、下記条件(5)を満足することを特徴とするズーム光学系。
(5) 15<(β3T)2 −(β3T)2 ×(β2T)2 <27
【0133】
(4)特許請求の範囲の請求項1又は2あるいは前記の(1)、(2)又は(3)の項に記載する光学系で、下記条件(6)を満足することを特徴とするズーム光学系。
(6) 0.3<f1/fT<0.5
【0134】
(5)特許請求の範囲の請求項1又は2あるいは前記の(1)、(2)、(3)又は(4)に記載する光学系で、第2レンズ群が全体として負の屈折力を有していて負レンズと正レンズを接合した接合レンズと、全体として正の屈折力を有していて負レンズと正レンズとを接合した接合レンズとを少なくとも有していることを特徴とするズーム光学系。
【0135】
(6)特許請求の範囲の請求項1又は2あるいは前記の(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)に記載する光学系で、第3レンズ群中に球面レンズの凹面に樹脂を薄く塗布することによって非球面を形成するレンズを少なくとも1枚有し、下記条件(7)を満足することを特徴とするズーム光学系。
(7) −0.2<[(1/Rb−1/Ra)/(N1−N2)]Y<0.9
【0136】
(7)特許請求の範囲の請求項1又は2あるいは前記の(1)、(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)に記載する光学系で、第1レンズ群の最も像側の正レンズが下記条件(8)を満足することを特徴とするズーム光学系。
(8) νd (1R)>81
【0137】
【発明の効果】
本発明によれば、望遠端における光学系の全長が短く、結像性能が良好で、ズーミングによる性能の劣化の少ない、変倍比3.8を超える高い変倍比のズーム光学系を実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の構成を示す図
【図2】本発明の実施例2の構成を示す図
【図3】本発明の実施例3の構成を示す図
【図4】本発明の実施例4の構成を示す図
【図5】本発明の実施例5の構成を示す図
【図6】本発明の実施例6の構成を示す図
【図7】本発明の実施例7の構成を示す図
【図8】本発明の実施例8の構成を示す図
【図9】本発明の実施例9の構成を示す図
【図10】本発明の実施例10の構成を示す図
【図11】本発明の実施例11の構成を示す図
【図12】本発明の実施例12の構成を示す図
【図13】本発明の実施例1の広角端における収差曲線図
【図14】本発明の実施例1の中間焦点距離における収差曲線図
【図15】本発明の実施例1の望遠端における収差曲線図
【図16】本発明のズーム光学系を用いたコンパクトカメラの外観を示す図
【図17】本発明のズーム光学系を用いたコンパクトカメラの断面図
Claims (6)
- 物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群と正の屈折力の第2レンズ群と負の屈折力の第3レンズ群とよりなり、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔が増大し第2レンズ群と第3レンズ群との間隔が減少するように各レンズ群を物体側へ繰り出す光学系で、フォーカシングの際に第2レンズ群が移動し、下記条件(1)、(2)、(3)、(4)、(5)を満足するズーム光学系。
(1) fT/fW>3.8
(2) 0<[S(fTa)−S(fW)]/(fTa−fW)<0.2
(3) 0.8<L(fTa)/(fTa−fW)<1.05
(4) 0<H(G1)/fTa<0.023
(5) 15<(β3T) 2 −(β3T) 2 ×(β2T) 2 <27
ただしfW,fTは夫々広角端および望遠端の焦点距離、fTaは広角端の焦点距離の3.8倍を超える焦点距離領域の任意の焦点距離、S(W)は広角端における最も物体側の面から最も像側の面までの距離、S(fTa)は焦点距離がfTaにおける最も物体側の面から最も像側の面までの距離、L(fTa)は焦点距離fTaにおける最も物体側の面から像面までの距離、H(G1)は最も物体側の面から第1レンズ群の前側主点までの距離、β2T,β3Tは夫々第2レンズ群および第3レンズ群の望遠端における倍率である。 - 前記正の屈折力の第1レンズ群が、物体側より順に、物体側に凹面を向けた負のメニスカス単レンズと、像側よりも物体側の面が強い曲率の面である正の単レンズとにて構成され、第3レンズ群が、物体側より順に両凹負レンズと、像側よりも強い曲率の凸面を物体側に向けた正レンズと、像側よりも強い曲率の凹面を物体側に向けた負レンズを有することを特徴とする請求項1のズーム光学系。
- 下記条件(6)を満足することを特徴とする請求項1又は2のズーム光学系。
(6) 0.3<f1/fT<0.5
ただし、f1は第1レンズ群の焦点距離、fTは望遠端における全系の焦点距離である。 - 前記第2レンズ群が全体として負の屈折力を有していて負レンズと正レンズを接合した接合レンズと、全体として正の屈折力を有していて負レンズと正レンズとを接合した接合レンズとを少なくとも有していることを特徴とする請求項1、2又は3のズーム光学系。
- 前記第3レンズ群中に球面レンズの凹面に樹脂を薄く塗布することによって非球面を形成するレンズを少なくとも1枚有し、下記条件(7)を満足することを特徴とする請求項1、2、3又は4のズーム光学系。
(7) −0.2<[(1/Rb−1/Ra)/(N1−N2)]Y<0.9
ただし、Raは光軸から高さYにおける非球面の局所的曲率半径つまり非球面上の光軸から高さYの点における法線が光軸と交わるまでの距離、Rbは非球面の光軸上の曲率半径、N1、N2は夫々非球面の物体側および像側の屈折率である。 - 前記第1レンズ群の最も像側の正レンズが下記条件(8)を満足することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5のズーム光学系。
(8) νd (1R)>81
ただし、νd (1R)は第1レンズ群の最も像側に配置された正レンズのアッベ数である。
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