JP4324748B2 - テトラトリアゼン化合物、および高分子化合物用架橋剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なトリアゼン化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
大規模集積回路(LSI)は、微細加工技術の進歩を反映して、高集積化、多機能化、高性能化をたどっている。その結果、回路抵抗や配線間のコンデンサー容量(以下、それぞれ、「寄生抵抗」、「寄生容量」ということがある)の増大を招来し、消費電力を増加させるだけでなく、遅延時間も増大させるため、デバイスの信号スピードが低下する大きな要因となっている。
そのため、寄生抵抗や寄生容量を下げることが求められており、その解決策の一つとして、配線の周辺を低誘電の層間絶縁膜で被うことにより、寄生容量を下げてデバイスの高速化に対応しようとしている。
また、層間絶縁膜には、実装基板製造時の薄膜形成工程やチップ接続、ピン付けなどの後工程に耐えられる優れた耐熱性を有することが必要である。
以上の耐熱、低誘電の要求を満たすため、ポリイミド、ポリアリーレンエーテル、ポリキノリン、ポリフェニレンなどの芳香族系高分子を用いた開発が多数試みられており、本発明者らもポリフェニレンの製造方法を提案している(例えば、特願平10−29068号明細書、特願平10−29070号明細書、特願平10−273522号明細書)。
しかしながら、上記の芳香族系高分子単体では、半導体製造プロセスにおけるレジスト塗布、剥離時の耐溶剤性や近年のCu配線製造におけるCMPプロセスに耐えうる機械強度を十分に備えていない。
そこで、耐熱、低誘電を損なわずに芳香族系高分子の架橋をする試みがいくつかなされており、そのうちの一つにビストリアゼン化合物による架橋法がある(特表平5−503112号公報、特表平5−503114号公報)。しかしながら、上記の方法では、架橋効率が不十分でCMPプロセスに十分耐えることができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、例えば、芳香族系などの高分子化合物の架橋剤として有用な新規なテトラトリアゼン化合物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記式(1)で表されるテトラトリアゼン化合物(以下「化合物(1)」ともいう)に関する。
【0005】
【化6】
【0006】
(式中、R1 〜R2 は同一または異なり、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基およびアリール基の群から選ばれた少なくとも1種、Xは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルケニル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、およびハロゲン原子の群から選ばれた少なくとも1種、nは0〜4の整数である。)
【0007】
また、本発明は、次の各工程からなる、上記テトラトリアゼン化合物の製造方法に関する。
(イ)式(2)で表されるフルオレン化合物(以下「化合物(2)」ともいう)を塩酸塩化し、式(3)で表されるフルオレン化合物の塩酸塩(以下「化合物(3)」ともいう)とする第1工程。
(ロ)式(3)で表されるフルオレン化合物の塩酸塩をジアゾ化し、式(4)で表されるフルオレン化合物のジアゾジウム塩(以下「化合物(4)」ともいう)とする第2工程。
(ハ)式(4)で表されるフルオレン化合物のジアゾジウム塩をトリアゼン化し、式(1)で表されるテトラトリアゼン化合物とする第3工程。
【0008】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【0009】
〔式中、R1 〜R2 、X、nは、式(1)に同じ。〕
さらに、本発明は、上記テトラトリアゼン化合物を含有する高分子化合物用架橋剤に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
テトラトリアゼン化合物
本発明の新規なテトラトリアゼンは、上記式(1)で表される。
式(1)において、R1 〜R2 は、同一または異なり、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基およびアリール基の群から選ばれた少なくとも1種である。
ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基などが挙げられる。
また、アリール基としては、フェニル基などが挙げられる。
【0011】
一方、式(1)において、Xは、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルケニル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、およびハロゲン原子の群から選ばれた少なくとも1種である。
ここで、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基としては、R1 〜R2 と同様の基が挙げられる。
アルケニル基としては、プロペニル基などが挙げられる。
炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フルオロ基などが挙げられる。
また、式(1)において、nは、0〜4の整数であり、各ベンゼン骨格におけるnの数値は、それぞれ、異なっていてもよい。
【0012】
本発明の上記式(1)で表されるテトラトリアゼン化合物の具体例としては、2,7−(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3−メチル−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3−フェニル−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3−プロペニル−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3−フルオロ−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3,5−ジフルオロ−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3−トリフルオロメチル−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレンなどが挙げられる。
【0013】
本発明の式(1)で表されるテトラトリアゼン化合物は、加熱により4官能のフェニルラジカルを発生することができるため、芳香族系などの高分子化合物の架橋に優れた効果を示すほか、ラジカル重合開始剤、ラジカル捕捉剤や、テトラハロゲン化合物などの合成中間体としても有効である。
【0014】
テトラトリアゼン化合物の製造方法
本発明の式(1)で表されるテトラトリアゼン化合物は、上記のように、(イ)第1工程〜(ハ)第3工程により製造することができる。
(イ)第1工程;
第1工程は、式(2)で表されるフルオレン化合物を塩酸塩化し、式(3)で表されるフルオレン化合物の塩酸塩とする工程である。
ここで、塩酸塩化は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフランなどの溶媒中、塩酸ガスあるいは塩酸水溶液を用いて行なう。この際の塩酸の使用量は、化合物(2)1モルに対し、通常、4.0〜12.0モル、好ましくは4.0〜5.0モルである。
また、この際の反応条件は、温度0〜100℃、好ましくは10〜40℃、反応時間0.5〜300分、好ましくは5〜30分程度である。
この第1工程により、化合物(2)は、塩酸塩化されて、式(3)で表されるフルオレン化合物の塩酸塩〔化合物(3)〕となる。
【0015】
(ロ)第2工程;
第2工程は、フルオレン化合物の塩酸塩〔化合物(3)〕をジアゾ化し、フルオレン化合物のジアゾニウム塩〔化合物(4)〕とする工程である。
ここで、ジアゾ化は、第1工程後、引き続き、亜硝酸ナトリウムなどのジアゾ化剤を用いて、ジアゾ化反応を行なう。
ジアゾ化剤の使用量は、化合物(3)1モルに対し、通常、1〜12モル、好ましくは4〜8モルである。
この際の反応条件は、温度−50〜30℃、好ましくは−10〜15℃、反応時間0.1〜5時間、好ましくは0.5〜2.5時間程度である。
この第2工程により、フルオレン化合物の塩酸塩〔化合物(3)〕は、ジアゾ化されて、フルオレン化合物のジアゾニウム塩〔化合物(4)〕となる。
【0016】
(ハ)第3工程;
第3工程は、フルオレン化合物のジアゾニウム塩〔化合物(4)〕をトリアゼン化し、式(1)で表される本発明のテトラトリアゼン化合物〔化合物(1)〕とする工程である。
ここで、トリアゼン化は、第2工程後、引き続き、R1 R2 NH・HCl〔ここで、R1 ,R2 は、式(1)におけるR1 ,R2 に同じ)で表されるトリアゼン化剤を用いて、トリアゼン化反応を行なう。
上記トリアゼン化剤の具体例としては、ジメチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、ジエチルアミンなどが挙げられる。
トリアゼン化剤の使用量は、化合物(4)1モルに対し、通常、1〜12モル、好ましくは4〜10モルである。
この際の反応条件は、温度−50〜50℃、好ましくは−10〜30℃、反応時間0.5〜60分、好ましくは1〜30分程度である。
この第3工程により、フルオレン化合物のジアゾニウム塩〔化合物(4)〕は、トリアゼン化されて、本発明のテトラトリアゼン化合物〔化合物(1)〕となる。以下に、本発明のテトラトリアゼン化合物の製造方法の具体例を示す。
【0017】
【化11】
【0018】
本発明のテトラトリアゼン化合物は、加熱により4官能のフェニルラジカルを発生するため、芳香族系などの高分子化合物の架橋剤として有用である。
ここで、上記有機高分子化合物としては、ポリイミド、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリキノリン、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾールなどが挙げられる。
この際、高分子化合物の架橋には、例えば、この高分子化合物100重量部に対し、有機溶媒を50〜10,000重量部、好ましくは100〜1,900重量部、本発明のテトラトリアゼン化合物を1〜500重量部、好ましくは10〜200重量部用いて溶液化し、この溶液を基材に、例えば、スピンコートし、乾燥したのち、250〜600℃、好ましくは350〜450℃で焼成することにより実施される。
このようにして得られる架橋された塗膜は、半導体における層間絶縁材料や、電気機器および電子部品の保護膜あるいは電気絶縁膜、プリント基板材料などとして有用である。
【0019】
なお、上記有機溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、クロロホルム、塩化メチレンなどを挙げることができるが、好ましくはシクロヘキサノン、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルアミルケトンである。
【0020】
また、本発明のテトラトリアゼン化合物は、上記のように、加熱により4官能のフェニルラジカルを発生するため、ラジカル重合開始剤、ラジカル捕捉剤、芳香族系有機高分子の架橋剤などに有用である。
さらに、本発明のテトラトリアゼン化合物は、4つのトリアジル基を有するため、テトラハロゲン化合物などの中間体としても有用である。
【0021】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例中の部および%は、重量基準である。また、実施例における各種の評価項目は、次のようにして測定した。
【0022】
重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により、ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)を測定した。
誘電率
得られた膜に対して蒸着法によりアルミニウム電極パターンを形成させ、誘電率測定用サンプルを作成した。このサンプルを周波数100kHzの周波数で、横河・ヒューレットパッカード(株)製、HP16451B電極およびHP4284AプレシジョンLCRメータを用いて、CV法によりこの塗膜の誘電率を測定した。
【0023】
耐熱性
アルミパン中に上記膜形成用組成物を加え、その後、80℃の温度に保持したホットプレートを用いて、膜形成用組成物が加えられたアルミパンを5分間加熱し、有機溶媒を飛散させた。次いで、200℃の温度に保持したホットプレートを用いて、アルミニムパンを5分間加熱し、さらに、400℃の温度に保持したオーブンを用いて窒素下で30分間加熱し、膜形成用組成物を硬化させた。
このようにして得られた膜形成用組成物を、セイコー電子工業(株)製のSSC5200熱重量分析装置(TGA)を用いて、窒素雰囲気中、10℃/分の昇温速度で以て加熱し、当該膜形成用組成物の5%重量減温度を測定した。
【0024】
耐溶剤性
塗膜が形成された基板をシクロヘキサノンに90℃で10分間浸積し、下記式にて残膜率を評価した。
(残膜率)=(浸積後の膜厚)/(浸積前の膜厚)×100(%)
弾性率
得られた膜を、ナノインデンターXP(ナノインスツルメント社製)を用いて、連続剛性測定法により測定した。
【0025】
実施例1(テトラトリアゼン化合物の合成)
2,7−ジアミノ−9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン20gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)250mlに溶かし、36%塩酸水溶液32.1gを加えたのち、i−プロパノール2リットルを用いて再沈殿させ、沈殿物をろ過、乾燥して、2,7−ジアミノ−9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンの塩酸塩を得た。
次に、この塩酸塩を、400mlのテトラヒドロフランおよび2規定の塩酸水溶液250mlの混合液に溶解させ、亜硝酸ナトリウム21.9g/500ml水溶液を0℃以下に保ちながら30分かけて滴下し、そのまま1時間攪拌した。次に、炭酸ナトリウム水溶液をゆっくり加え、pHを6としたのち、ジメチルアミン塩酸塩32.4g、炭酸ナトリウム67.3gおよび氷水750mlの混合液中に注ぎ、10分間激しく攪拌した。次に、塩化メチレン250mlを加え、有機層を水で2回洗浄したのち、硫酸マグネシウムによる乾燥、活性炭による脱色を行い、クロロホルムで再結晶し、2,7−(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス〔4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル〕フルオレンの結晶9gを得た。
なお、このテトラトリアゼン化合物の合成例の反応式は、上記(化11)のとおりである。この化合物の 1H−NMR、IRチャートを、図1,2に示す。
【0026】
合成例1(芳香族系高分子化合物の合成)
アルゴンガス導入管および温度計を備えた内容積500mlの三つ口フラスコに、ヨウ化ナトリウム7.5g、無水塩化ニッケル1.3g、トリフェニルホスフィン15.7g、酢酸により活性化させた亜鉛粉末45.8g、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)フルオレン(以下「FLMs」ともいう)40.5g、ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)エーテル(以下「PEMs」ともいう)6.80gを加え、24時間、真空下で乾燥したのち、三つ口フラスコ内をアルゴンガスで充填した。引き続き、乾燥N,N−ジメチルアセトアミド150mlを添加し、70℃でアルゴン気流下に攪拌したところ、反応液が褐色になった。そのまま、70℃で20時間反応させたのち、反応液を36%塩酸水溶液500mlおよびメタノール200mlの混合液中に注ぎ、沈殿物を回収した。得られた沈殿物をクロロホルム中に溶解させ、2規定塩酸水溶液で抽出を行なったのち、クロロホルム層をメタノールに注ぎ、沈殿を回収、乾燥し、白色粉末の重合体を得た。この重合体の物性を表1に示す。
【0027】
合成例2〜3(芳香族系高分子化合物の合成)
モノマー種、仕込み比を、表1のように変えた以外は、合成例1と同様の方法で合成した。これらの重合体の物性を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
*1)TPMs;ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン
*2)AFMs;2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
【0030】
合成例4(ポリイミドの合成)
撹拌モーター、ディーンスターク管、窒素導入管を取り付けた内容積100mlの3口フラスコに、4,4′−オキシジアニリン(ODA)1.001gをm−クレゾール25mlに溶解させ、続いて撹拌下に、2,2′,3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(i−BPDA)1.471gと数滴のイソキノリンを加えた。窒素雰囲気下で昇温していくと、100℃までにモノマー類は溶解し、均一系となった。さらに、1時間以内に徐々に200℃まで昇温していくと縮合反応によって水が脱離し、重合系の粘度は上昇してきた。さらに、5時間反応を続け、重縮合反応を終結させた。重合系は、放冷後も均一な溶液を維持していた。重合溶液を1リットルのメタノール中に滴下し、ポリマーを沈殿させ、ろ過して回収した。さらに、重合溶媒を完全に除去するため、メタノールでソックスレー抽出を行い、粉末ポリマーを真空乾燥した。ポリマーは、ほぼ定量的な収率で得られた。ポリマーの構造は、赤外吸収スペクトルおよび 1H−NMRスペクトルから、ポリイミドが得られていることを確認した。
【0031】
実施例2〜7、比較例1(芳香族系高分子化合物の架橋)
上記合成例で合成した芳香族系高分子化合物100部に対し、シクロヘキサノン900部、実施例1で得たテトラトリアゼン化合物を、表2に示す量を加えて溶液化し、これを、各シリコンウエハに、それぞれ、乾燥膜厚で、1μmとなるように、スピンコートし、80℃で2分、200℃で2分、ホットプレートで焼成したのち、窒素置換したオーブン中で240℃から320℃に1時間かけて昇温ししたのち、400℃、窒素下で30分焼成した。得られた塗膜の評価結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、芳香族系高分子化合物などの高分子化合物の架橋剤などとして有用な新規なテトラトリアゼン化合物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたテトラトリアゼン化合物の 1H−NMRチャートである。
【図2】実施例1で得られたテトラトリアゼン化合物のIRチャートである。
Claims (3)
- 請求項1記載のテトラトリアゼン化合物を含有する高分子化合物用架橋剤。
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