JP4322399B2 - 液圧操作装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遮断器の開閉動作を行う駆動源として使用される液圧操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電力需要が増大傾向にある近年、送電系統の大容量化並びに超々高圧化が着々と進んでおり、これに伴って送電系統に採用される遮断器としてはSF6ガス絶縁によるガス遮断器が主流を占めるに至っている。このような遮断器の開閉動作の駆動源には気体や液体等の流体を利用した操作装置が用いられているが、このうち、気体(圧縮空気)を駆動源とした操作装置は、送電系統の大容量化や超々高圧化に伴って駆動力が著しく大きくなるため、空気シリンダや空気タンクなどの設備が大型化し、また、操作時の給排気音も大きいので、消音装置が必要となり、設備が複雑化しやすい。
【0003】
一方、駆動源に液体を使用した操作装置、いわゆる液圧操作装置は、次の利点を有している。すなわち、液体は気体に比べて高圧・大出力化が容易であるため、装置の小型化が容易である。つまり、液体の非圧縮性により応答性に優れており、また操作時の給排気音が無いため操作時の騒音を著しく軽減させることができる。このように液圧操作装置は、大容量化並びに超々高圧化した遮断器に対する駆動源として有望視されており、更なる性能向上が求められている。
【0004】
次に、この様な液圧操作装置の従来例を、図9を参照して以下に説明する。
図9に示すように、遮断器の開閉部1は固定電極2と可動電極3とから構成されており、可動電極3は液圧操作装置4の駆動部5に接続されている。液圧操作装置4の駆動部5は、駆動シリンダ6と、その内部に摺動可能に挿入された駆動ピストン7と、この駆動ピストン7と遮断器側の可動電極3とを連結する駆動ロッド8とから構成されている。
【0005】
駆動シリンダ6内の空間には、駆動ピストン7を可動する隔壁として駆動ロッド8側(可動電極3側)とその反対側に、第1の液室9と第2の液室10とがそれぞれ形成されている。第2の液室10には液圧制御部11が接続されている。液圧制御部11は第2の液室10における作動液(圧力流体)の供給と排出を選択的に行って液室10内の液圧を制御する手段である。この液圧制御部11には作動液の給排を制御する主操作弁部12と、この主操作弁を駆動するための切換弁として構成されるパイロット弁部13が設けられている。この切換弁はソレノイド等で駆動される。なお、この液圧操作部11と第1の液室9との間は流路14によって接続されている。
【0006】
第1の液室9には当液室9に対し高圧液を常時作用させるアキュムレータ15(蓄圧装置)が高圧流路16を介して接続されている。また、駆動ピストン7の動作時に排出された作動液は低圧タンク17へ回収され、液圧ポンプ18により高圧化され再びアキュムレータ15に供給される。
【0007】
主操作弁部12としては特願平10−160155号(特開平11−353983号公報)により提案されているような構造が考えられる。即ち、主操作弁部12は駆動部5の第2の液室10に対して圧力流体の供給と排出を選択的に行う制御ポート19と、アキュムレータ15からの常時高圧液を供給する給液ポート20と、低圧流路21を介して低圧タンク17に連通している排液ポート22を備えている。また、制御ポート19と給液ポート20の間を開閉するための給液弁23と、制御ポート19と排液ポート22との間を開閉するための排液弁24が設けられ、この給液弁23と排液弁24は、同一動作軸上に設けられている。
【0008】
給液弁23の排液弁24と対向する端部にはヘッド部25が形成されており、このヘッド部25が排液弁24に設けられた凹部26内を摺動可能な構成となっている。給液弁23のヘッド部25には摺動抵抗の低減のためガイドリング27が設けられている。
【0009】
更に、給液弁23のヘッド部25と排液弁24の背部には、パイロット弁部13から連通している操作制御ポート28にばね室29が設けられており、このばね室29の内部に、定常時に排液弁24を閉じるためのばね30が収納されている。そして、このばね室29に対して圧液を供給または排出することにより、給液弁23または排液弁24が各々独立して開閉駆動されるように構成されている。
【0010】
また、給液弁23の背部にもばね室31が設けられており、このばね室31の内部に、定常時に給液弁23を閉じるためのばね32が収納されている。そして、このばね室31の圧液が給液弁23の動作の際の妨げにならないように、給液弁23には、シート部33を介してばね室31と制御ポート19とを連通する流路が形成されている。
【0011】
パイロット弁部13は排液弁24の背部に対して圧力流体の供給と排出を選択的に行う操作制御ポート28とアキュムレータ15からの常時高圧液を供給する操作給液ポート35と、低圧流路21を介して低圧タンク17に連通している操作排液ポート36を備えている。また、操作制御ポート28と操作給液ポート35の間、または操作制御ポート28と操作排液ポート36の間を開閉するための切換弁37が設けられている。この切換弁37はバルブブロック38、39により摺動ガイドされ、且つバルブブロック38、39の角部に切換弁37が接することにより、各ポート間の開閉の切換を行うように構成されている。
【0012】
切換弁37に隣接して開路用ソレノイド40及び閉路用ソレノイド41が設けられており、ソレノイドが動作指令を受けて励磁されると、各々の可動片42が動作し、切換弁37が動作するように構成されている。
【0013】
このように構成された液圧操作装置の開閉動作について説明する。
まず、開路動作では、開路用ソレノイド40が励磁されると切換弁37が動作し、パイロット弁部13の操作制御ポート28と操作給液ポート35の間が閉じ、操作制御ポート28と操作排液ポート36の間が開く。すると、閉路状態時に高圧であった主操作弁部12の排液弁24の背部のばね室29の圧液がパイロット弁部13を通って低圧タンク17へ排出されるため、ばね室29の圧力が低下する。これにより高圧である制御ポート19との圧力差で排液弁24が動作し、制御ポート19と排液ポート22が連通するため、駆動シリンダ6の第2の液室10の圧力が低下し、駆動ピストン7が動作し、可動電極3が開路動作を行う。また、排液弁24は動作終了後、前後の圧力がバランスするため、ばね力により移動し、排液ポート22と制御ポート19の間を閉じる。
【0014】
次に、閉路動作では、閉路用ソレノイド41が励磁されると切換弁37が動作し、パイロット弁部13の操作制御ポート28と操作給液ポート35の間が開き、操作制御ポート28と操作排液ポート36の間が閉じる。すると、開路状態時に低圧であった主操作弁部12の排液弁24の背部のばね室19に、圧液がパイロット弁部13を通って供給されるため、ばね室29の圧力が上昇する。この圧液により、給液弁23のヘッド部25が押され、給液弁23が動作し、制御ポート19と給液ポート20が連通するため、駆動シリンダ6の第2の液室10の圧力が上昇し、駆動ピストン7が動作し可動電極3が閉路動作を行う。この時給液弁部23は、ヘッド部25、シール部33と一体の如く動作する。また、給液弁23は動作終了後、前後の圧力がバランスするため、ばね力により移動し、給液ポート20と制御ポート19の間を閉じる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の液圧操作装置においては、主操作弁部12において給液ポート20側と排液ポート22側のシート部44、45を1つのケース46内に同一軸上に設ける必要があり、ケース46に対し、非常に精密な加工を施す必要があった。そのため、コストが高くなり、製造に掛かる時間も長くなるという問題があった。また、排液弁24の背部のばね室29に出入りする作動液の量が多く必要であるため、開閉動作による作動液の消費量が多くなってしまい、応答性が悪くなるとういう問題があった。
【0016】
また、パイロット弁部13では、ソレノイド40、41で切換弁37を駆動する時、ソレノイドに指令が入ってから、切換弁37が動作するまでの時間は、ソレノイドに与えられる電気的な条件で決まってしまい、機械的に変化、調整させることはできなかった。そのため、動作時間を変えたい時は、ソレノイドを変えなければならないという問題があった。
【0017】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、簡単な構造で安定した動作が可能であり、容易に動作時間を調整することができる安価で信頼性の高い優れた液圧操作装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1記載の発明は、高圧化した液体を蓄えるアキュムレータと、このアキュムレータから供給される作動流体によって動作する駆動部と、前記作動流体を制御して前記駆動部の動作を制御する液圧操作部とを備えると共に、前記液圧操作部は、前記作動流体を前記駆動部に供給及び排出を選択的に行う主操作弁部と、電磁コイルによって駆動され、かつ前記主操作弁を駆動する液圧を出力制御する切換弁として構成されるパイロット弁部を備えている液圧操作装置において、前記主操作弁部は円筒状のケース内に当該ケースの内周面を摺動し、当該ケース内に設けられたシート部と開離及び当接することにより、前記駆動部の作動流体を排出するか否かを選択する円筒状の排液弁と、前記排液弁を常に前記シート部と当接する方向に付勢する排液弁用ばねと、前記排液弁のケースのシート部とは反対側開口部の内周面を摺動可能に支持するガイド部と、前記排液弁内には当該排液弁の内周面を摺動し、当該排液弁内に設けられたシート部と開離及び当接することにより、前記駆動部へ作動流体を供給するか否かを選択する給液弁と、前記給液弁を常に前記シート部と当接する方向に付勢する給液弁用ばねと、前記排液弁のケースのシート部側開口部を塞ぐ蓋とを設けたことを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項1によると、排液弁のシート部をケース内に設け、給液弁のシート部を、前記排液弁の内部に設けることにより、ケースに同一軸上に2つのシート部を設けるという、難しい加工を施す必要が無くなり、コストを低減でき、製作に掛かる時間も短縮できる。
【0020】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の液圧操作装置において、前記排液弁と前記ケースとの摺動部の径と前記ケースと排液弁のシート部のシート径により形成される円環部の面積より、前記排液弁と前記ガイド部とにより形成される液室の断面積の方が大きいことを特徴とするものである。
本発明の請求項2によると、排液弁の動作が、排液弁とガイド部とにより形成される液室の液圧により確実に行われるため、動作を安定させることができる。
【0021】
本発明の請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の液圧操作装置において、前記給液弁と前記排液弁とのシート部側の端部を丸棒状に形成し、前記丸棒状端部が前記排液弁の蓋を摺動可能に貫通するように構成されていることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の請求項3によると、給液弁が開いた後も液圧により開いた状態が継続するため、次に排液弁を開く時に給液弁が閉じるまでの間の遅れ時間を設けることができる。これにより構造を大きく変更すること無く、動作時間を変化させることが可能となる。
【0023】
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1または請求項2記載の液圧操作装置において、前記給液弁と前記排液弁とのシート部側の第1の端部を丸棒状に形成し、前記第1の端部が前記排液弁の蓋を摺動可能に貫通するように構成され、また前記給液弁と前記排液弁とのシート部と反対側の第2の端部を丸棒状に形成し、前記第2の端部が前記排液弁のガイドを摺動可能に貫通するように構成されていることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の請求項4によると、排液弁とガイドとにより形成される液室の容積を小さくできるため、弁の動作による作動液の消費量を少なくでき、応答性を向上させることが可能である。
【0025】
本発明の請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の液圧操作装置において、前記排液弁のケースのシート部側開口部に溝を設け、前記排液弁の蓋に段付き部を設け、前記蓋の段付き部と係合するように前記溝に円周方向に少なくとも3つ以上に分割されたリングを挿入し、前記給液弁用ばねを前記蓋と給液弁との間に配置していることを特徴とするものである。
本発明の請求項5によると、安価で少ない部品で簡単な作業で蓋を排液弁に取りつけることができ、コスト低減、組立ての簡素化が可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態である液圧操作装置の断面図、図2は図1の主操作弁部の断面図であり図9に示した従来例と同一部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0033】
図1に示すように、本実施の形態の液圧操作装置においては、液圧制御部61は主操作弁部62とパイロット弁部63よりなり、主操作弁部62は駆動部5の第2の液室10に対して圧力流体の供給と排出を選択的に行う制御ポート64と、アキュムレータ15からの常時高圧液を供給する給液ポート65と、流路21を介して低圧タンク17に連通している排液ポート67とを備えている。また、制御ポート64と給液ポート65の間を開閉するための給液弁51と、制御ポート64と排液ポート67との間を開閉するための円筒形状の排液弁52が設けられている。排液弁52はケース53内を摺動可能になっており、ケース53に設けられたシート部54と開離または当接することで、制御ポート64と排液ポート67の間を開閉するように構成されている。給液弁51は排液弁52内を摺動可能になっており、排液弁52内に設けられたシート部55と開離または当接することで、制御ポート64と給液ポート65の間を開閉するように構成されている。
【0034】
また、排液弁52がケース53とシートするシート部54とは反対側の開口部の内周面を、摺動可能に支持するガイド部56が設けられており、排液弁52とガイド部56により形成される液室57には、パイロット弁部63の操作制御ポート68が連通している。排液弁52のもう一方の開口部には開口部を塞ぎ、制御ポート64と排液ポート67の隔壁となる蓋58が設けられている。
【0035】
更に、給液弁51には常に給液弁51を閉じる方向に付勢する給液弁用ばね59が設けられ、排液弁52には常に排液弁52を閉じる方向に付勢する排液弁用ばね60が設けられている。
【0036】
このように構成された本液圧操作装置の動作について説明する。
まず、主操作弁部62の開路動作では、パイロット弁部63の開路用ソレノイド66の指令信号により、パイロット弁部63の切換弁69が切換動作を行う。このため閉路状態時に高圧であった液室57の圧液が操作制御ポート68からパイロット弁部63、操作排液ポート70、排液ポート67を通って排出されるため、液室57の圧力が低下する。これにより高圧である制御ポート64との圧力差で排液弁52が動作し、制御ポート64と排液ポート67が連通するため、駆動シリンダ6の第2の液室10の圧力が低下し、駆動ピストン7が動作し可動電極3が開路動作を行う。また、排液弁52は動作終了後、前後の圧力がバランスするため、排液弁用ばね60の力により移動し、排液ポート67と制御ポート64の間を閉じる。これにより次の閉路動作時に動作遅れを生じない。
【0037】
次に、閉路動作ではパイロット弁部63の閉路用ソレノイド71の指令信号により、パイロット弁部63の切換弁69が切換動作を行う。このため、開路状態時に低圧であった液室57に、圧液が給液ポート65から操作給液ポート72、パイロット弁部63、操作制御ポート68を通って供給されるため、液室57の圧力が上昇する。これにより低圧である制御ポート64との圧力差で給液弁51が動作し、制御ポート64と給液ポート65が連通するため、駆動シリンダ6の第2の液室10の圧力が上昇し、駆動ピストン7が動作し可動電極3が閉路動作を行う。また、給液弁51は動作終了後、前後の圧力がバランスするため、給液弁用のばね59の力により移動し、給液ポート65と制御ポート64の間を閉じる。これにより次の開路動作時に動作遅れを生じない。また、この時、制御ポート64が高圧になるため排液弁52を開こうとする力が発生するが、排液弁52が動作してしまわないよう、各部の寸法には下記の関係が成り立つようになっている。即ち、液室57の直径をd1、排液弁52の外周摺動部の直径をd2、排液弁52とケース53とのシート部54の直径をd3、排液弁用ばね60の付勢力をf1、液圧をp1とすると
(d12×π×p1/4)+f1>(d22−d32)×π×p1/4
となっている。
【0038】
このような関係により、制御ポート64が高圧になっても排液弁52が動作することはなく、制御ポート64と排液ポート67は閉じられた状態のままである。
本実施の形態によれば、排液弁52のシート部54をケース53内に設け、給液弁51のシート部55を、排液弁52の内部に設けることにより、ケース53に同一軸上に2つのシート部を設けるという、難しい加工を施す必要が無くなり、コストを低減でき、製作に掛かる時間も短縮できる。
【0039】
本発明の第1の実施の形態の変形例として、排液弁52に関する各部の寸法は下記の様な関係が成り立つように構成する。すなわち、
(d12×π×p1/4)>(d22−d32)×π×p1/4
となっている。このような関係により、制御ポート64が高圧になっても排液弁用ばね60の付勢力に係らず、高圧液による液圧のみで排液弁52の誤動作を防ぐことができる。
【0040】
本変形例によれば、各部の寸法を上記のように設定することにより、排液弁52の動作が、排液弁52とガイド部56とにより形成される液室57の液圧により確実に行われるため、動作を安定させることができ、信頼性の高い液圧操作装置を得ることができる。
【0041】
図3は本発明の第2の実施の形態の主操作弁部の断面図である。
図に示すように、本実施の形態では、主操作弁部62の給液弁51の端部に丸棒状の摺動部73を設けている。この摺動部73は排液弁52の蓋58を摺動可能に貫通するように構成されている点が第1の実施の形態と異なる。その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0042】
本実施の形態において、主操作弁部62の閉路動作は第1の実施の形態と同じであるが次の点が異なる。すなわち、閉路動作終了後、給液弁51の前後の液圧が高圧になっても、丸棒状の摺動部73の断面積分だけ給液弁51を開く方向に作用する力が大きいため、給液弁51は移動せず、給液ポート65と制御ポート64は開いたままである。開路動作では、液室57の圧力が低下し排液弁52が開いても、給液弁51が閉じるまでは、駆動部5の第2の液室10の圧力が低下しないため、駆動ピストン7の動作に遅れを生じさせることができる。これは3サイクル遮断などで可動電極3の動作を遅くしたい時などに有効である。この様な構成とすることにより、構造を大きく変更すること無く、開路の動作時間を変化させることが可能となる。
【0043】
図4は本発明の第3の実施の形態の主操作弁部の断面図である。
図に示すように、本実施の形態では、第2の実施の形態の給液弁51の端部の摺動部73(第1の摺動部73)に加え、給液弁51のもう一方の端部にも丸棒状の第2の摺動部74を設けている点が第2の実施の形態と異なる。その他の構成は同一であるので同一部分には同一符号を付して重複説明は省略する。
【0044】
本実施の形態の第2の摺動部74は排液弁52のガイド56を摺動可能に貫通するように構成されているので、排液弁52とガイド56とにより形成される液室57の容積を小さくできるため、弁の動作による作動液の消費量を少なくでき、各弁の応答性を向上させることが可能である。また、第2の摺動部74の径と第1の摺動部73の径の大小関係は、第1の摺動部73の径が第2の摺動部74の径より大きい場合は第2の実施の形態と同様、閉路動作後に給液弁51が開いたままとなり、次の開路動作で駆動ピストン7の動作に遅れを生じさせることができる。逆に第1の摺動部73の径が第2の摺動部74の径以下の場合は、閉路動作後に給液弁51が閉じるので、次の開路動作で動作遅れは生じない。第1の摺動部73と第2の摺動部74の径の大小関係は、上述したように用途によって適宜選択可能である。
【0045】
図5は本発明の第4の実施の形態の主操作弁部の軸方向、すなわち図2のX方向から見た図である。
図2及び図5に示すように、本実施の形態は、排液弁52の排液ポート67側の開口部に溝75が設けられており、蓋58には段付き部76が設けられている。この段付き部76と係合し、少なくとも3つ以上に分割されたリング77が、排液弁52の開口部の溝75に挿入されている。さらに、蓋58と給液弁51の間に給液弁用ばね59が配置されている。
【0046】
本実施の形態は上記のように構成されているので、蓋58を排液弁52に装着する時、蓋58は常に給液弁用ばね59で排液弁52から抜ける方向に押されている。つまり、リング77で蓋58が排液弁52から抜けないように止める構造となっている。この時、リング77が図5(A)に示すように3つ以上に分割されているため、同図(B)に示すように分割されたリングの1つを最后に挿入することで蓋58を排液弁52から抜けないように止めることができる。このように特別な工具を用いずに容易に蓋58を排液弁52に装着できる。また、止め輪などを使用した場合、液圧による軸力に耐えられない恐れが有るが、リングであれば強度を十分に取ることができる。したがって、安価で少ない部品でしかも簡単な作業で蓋を排液弁に取りつけることができ、強度も十分に取れ、コスト低減、組立ての簡素化が可能となる。
【0047】
図6は本発明の第5の実施の形態のパイロット弁部の断面図である。
図1及び図6に示すように、本実施の形態では、液圧制御部61は主操作弁部62と切換弁として構成されるパイロット弁部63から構成されており、パイロット弁部63は排液弁52の背部の液室57に対して圧力流体の供給と排出を選択的に行う操作制御ポート68とアキュムレータ15からの常時高圧液を供給する操作給液ポート72と、低圧流路21を介して低圧タンク17に連通している操作排液ポート70を備えている。また、操作制御ポート68と操作給液ポート72の間、または操作制御ポート68と操作排液ポート70の間を開閉するための切換弁69が設けられている。この切換弁69はバルブブロック78、79により摺動ガイドされ、且つバルブブロック78、79の角部に切換弁69が接することにより、各ポート間の開閉の切換を行うように構成されている。
【0048】
切換弁69に隣接して開路用ソレノイド66及び閉路用ソレノイド71が設けられており、ソレノイドが動作指令を受けて励磁されると、各々の可動片80が動作し、切換弁69が動作するように構成されている。また、各々の可動片80には可動片80を非励磁状態の方向へ付勢するようばね81が設けられている。ソレノイドの端部には非励磁状態の可動片80の位置を決めるためのストッパー82が設けられており、ストッパー82の位置を任意に固定できるようになっている。図6ではストッパー82にはねじが設けられており、ナット83により位置が固定される。
【0049】
このように構成された本実施の形態によると、ばね81により可動片80が押されているため、非励磁状態では可動片80と切換弁69の間には隙間ができ、しかも、その隙間はストッパー82により任意の距離に調整が可能である。指令信号により動作する時、この隙間の距離が可動片80の空走距離となり、隙間の距離の大小が可動片の運動エネルギの大小となり、切換弁69に可動片80が当たる時の衝突のエネルギの大小となる。よって、可動片80と切換弁69の隙間をストッパー82で調整することにより、切換弁69を動作させるエネルギを変える事ができるため、動作時間を容易に変更可能となり、容易に最適な動作時間を得ることができる。
【0050】
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、例えば、比較的駆動エネルギが小さい液圧装置の場合、液圧制御部に主操作弁部を設けず、駆動部を直接切換弁部で制御することもあるが、その場合にも適用は可能である。また、開路用または閉路用のどちらか一方のみに適用することも可能である。
【0051】
図7は本発明の第6の実施の形態のパイロット弁部の断面図である。
図に示すように、本実施の形態は、第5の実施の形態のストッパーを以下のように構成している。即ち、任意の位置に固定可能な貫通穴を持ったストッパーガイド84がソレノイド端部に設けられ、ストッパーガイド84と係合する段付き部85を持ったストッパーピン86が、ストッパーガイド84の穴内を摺動可能に設けられている。図ではストッパーガイド84にはねじ部が設けられており、ナット87により位置が固定される。
このように構成された本実施の形態によると、ストッパーピン86を押すという簡単な手動操作で切換弁69を動作させることができる。
【0052】
図8は本発明の第7の実施の形態のパイロット弁部の断面図である。
図に示すように、本実施の形態は、第6の実施の形態において、パイロット弁部63が以下のように構成されている。即ち、パイロット弁部63には操作制御ポート68と操作給液ポート72の間または、操作制御ポート68と操作排液ポート70の間を開閉するための切換弁69が設けられている。この切換弁69はバルブブロック78、79により摺動ガイドされ、且つバルブブロック78、79の角部に切換弁69が接することにより、各ポート間の開閉の切換を行うようになっている。
【0053】
切換弁69に隣接して開路用ソレノイド66及び閉路用ソレノイド71が設けられており、ソレノイドが動作指令を受けて励磁されると、各々の可動片80a、80bが動作し、切換弁69が動作するように構成されている。切換弁69と開路用ソレノイド68の可動片80aの間にはばね88が配置され、切換弁69の端部には所定の長さを持ったばねガイド部69aが設けられている。また、可動片80aとばね88の間にはばね88を保持する支え89が配置されている。また、支え89には所定の長さを持ったばねガイド部90が設けられている。
【0054】
このように構成された本実施の形態によると、動作時にまず可動片80aがばね88を縮めてから切換弁69を押すようになる。そのため、ばね88に蓄えられたエネルギと開路用ソレノイド66の励磁力とで切換弁69を動作させる事ができるので、安定した動作が得られると共に、ばねを縮める距離を変えるかまたはばねの強さを変えることにより、容易に動作時間を変化させることが可能となる。
なお、本発明は、本実施の形態に限定されるものではなく、閉路用に適用したり、開路、閉路両方に適用することも可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1記載の発明によると、主操作弁部のケースの同一軸上に2つのシート部を設けるという、難しい加工を施す必要が無くなり、コストを低減でき、製作に掛かる時間も短縮できる。
【0056】
請求項2記載の発明によると、排液弁の動作が、排液弁とガイド部とにより形成される液室の液圧により確実に行われるため、動作を安定させることができる。
請求項3記載の発明によると、給液弁が開いた後も液圧により開いた状態が継続するため、次に排液弁を開く時に給液弁が閉じるまでの間の遅れ時間を設けることができる。これにより構造を大きく変更すること無く、動作時間を変化させることが可能となる。
【0057】
請求項4記載の発明によると、排液弁とガイドとにより形成される液室の容積を小さくできるため、弁の動作による作動液の消費量を少なくでき、応答性を向上させることが可能である。
請求項5記載の発明によると、安価で少ない部品で簡単な作業で蓋を排液弁に取りつけることができ、コスト低減、組立ての簡素化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である液圧操作装置の断面図。
【図2】図1の液圧操作装置の主操作弁部の断面図。
【図3】本発明の第2の実施の形態である液圧操作装置の主操作弁部の断面図。
【図4】本発明の第3の実施の形態である液圧操作装置の主操作弁部の断面図。
【図5】本発明の第4の実施の形態である液圧操作装置の主操作弁部の軸方向から見た図であり、同図(A)は分割リング挿入前の図、同図(B)は分割リング挿入後の図。
【図6】本発明の第5の実施の形態である液圧操作装置のパイロット弁部の断面図。
【図7】本発明の第6の実施の形態である液圧操作装置のパイロット弁部の断面図。
【図8】本発明の第7の実施の形態による液圧操作装置のパイロット弁部の断面図。
【図9】従来の液圧操作装置の断面図。
【符号の説明】
1…開閉部、2…固定電極、3…可動電極、4…液圧操作装置、5…駆動部、6…駆動シリンダ、7…駆動ピストン、8…駆動ロッド、9…第1の液室、10…第2の液室、11…液圧制御部、12…主操作弁部、13…パイロット弁部、14…流路、15…アキュムレータ、16…高圧流路、17…低圧タンク、18…液圧ポンプ、19…制御ポート、20…給液ポート、21…低圧流路、22…排液ポート、23…給液弁、24…排液弁、25…ヘッド部、26…凹部、27…ガイドリング、28…操作制御ポート、29…ばね室、30…ばね、31…ばね室、32…ばね、33…シート部、34…流路、35…操作給液ポート、36…操作排液ポート、37…切換弁、38,39…バルブブロック、40…開路用ソレノイド、41…閉路用ソレノイド、42…可動片、44…給液ポート側シート部、45…排液ポート側シート部、46…ケース、51…給液弁、52…排液弁、53…ケース、54…シート部、55…シート部、56…ガイド部、57…液室、58…蓋、59…ばね、60…ばね、61…液圧制御部、62…主操作弁部、63…パイロット弁部、64…制御ポート、65…給液ポート、66…開路用ソレノイド、67…排液ポート、68…操作制御ポート、69…切換弁、69a…ガイド部、70…操作排液ポート、71…閉路用ソレノイド、72…操作給液ポート、73…摺動部(第1の摺動部)、74…第2の摺動部、75…溝、76…段付き部、77…リング、78,79…バルブブロック、80,80a,80b…可動片、81…ばね、82…ストッパー、83…ナット、84…ストッパーガイド、85…段付き部、86…ストッパーピン、87…ナット、88…ばね、89…支え、90…ガイド部。
Claims (5)
- 高圧化した液体を蓄えるアキュムレータと、このアキュムレータから供給される作動流体によって動作する駆動部と、前記作動流体を制御して前記駆動部の動作を制御する液圧操作部とを備えると共に、前記液圧操作部は、前記作動流体を前記駆動部に供給及び排出を選択的に行う主操作弁部と、電磁コイルによって駆動され、かつ前記主操作弁を駆動する液圧を出力制御する切換弁として構成されるパイロット弁部を備えている液圧操作装置において、前記主操作弁部は円筒状のケース内に当該ケースの内周面を摺動し、当該ケース内に設けられたシート部と開離及び当接することにより、前記駆動部の作動流体を排出するか否かを選択する円筒状の排液弁と、前記排液弁を常に前記シート部と当接する方向に付勢する排液弁用ばねと、前記排液弁のケースのシート部とは反対側開口部の内周面を摺動可能に支持するガイド部と、前記排液弁内には当該排液弁の内周面を摺動し、当該排液弁内に設けられたシート部と開離及び当接することにより、前記駆動部へ作動流体を供給するか否かを選択する給液弁と、前記給液弁を常に前記シート部と当接する方向に付勢する給液弁用ばねと、前記排液弁のケースのシート部側開口部を塞ぐ蓋とを設けたことを特徴とする液圧操作装置。
- 前記排液弁と前記ケースとの摺動部の径と前記ケースと排液弁のシート部のシート径により形成される円環部の面積より、前記排液弁と前記ガイド部とにより形成される液室の断面積の方が大きいことを特徴とする請求項1記載の液圧操作装置。
- 前記給液弁と前記排液弁とのシート部側の端部を丸棒状に形成し、前記丸棒状端部が前記排液弁の蓋を摺動可能に貫通するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の液圧操作装置。
- 前記給液弁と前記排液弁とのシート部側の第1の端部を丸棒状に形成し、前記第1の端部が前記排液弁の蓋を摺動可能に貫通するように構成され、また前記給液弁と前記排液弁とのシート部と反対側の第2の端部を丸棒状に形成し、前記第2の端部が前記排液弁のガイドを摺動可能に貫通するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の液圧操作装置。
- 前記排液弁のケースのシート部側開口部に溝を設け、前記排液弁の蓋に段付き部を設け、前記蓋の段付き部と係合するように前記溝に円周方向に少なくとも3つ以上に分割されたリングを挿入し、前記給液弁用ばねを前記蓋と前記給液弁との間に配置していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の液圧操作装置。
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