JP4318095B2 - 深溝付きファスナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートカバーと係合するため発泡樹脂製のシート材の中に成型されるシート用ファスナーに関するものであり、更に具体的に言えば、発泡樹脂製のシート材の深い溝部の内部にシートカバーを確実に保持することができる深い溝を備えたファスナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発泡樹脂製のシート材の深い溝の内部にシートカバーを保持するためのいろいろな方法が先行技術文献に開示されている。
【0003】
発明者GILCREASTの米国特許5171395と米国特許5259905は、成型工程の際に発泡樹脂製シート材にファスナー片を保持する基台を開示している。これらの2件の米国特許は、フック又はループが汚れるのを防ぐためファスナー片のすぐ下において基台を囲む予め形成された発泡壁を使用する方法を開示している。
【0004】
尖った峰部、即ち、尖塔状のプラスチック製の支持体が金型に仮に取り付けられ、この支持体の上に面ファスナー片が載せられる。このようにして、所望の形状の溝を備えたシート材が形成され、この溝の内部には、フックファスナー又はループファスナーが一体的に成型されるのである。外側に相手のループファスナー又はフックファスナーを備えた相手方の尖った支持体がシートカバーに取り付けられる。KENNEDY等の米国特許5005242と米国特許5101539は、このような方法を開示している。
【0005】
次に、TILLNERの米国特許5641552は、シートクッションの中に形成された溝部に設けられた引張ロッドがシートカバーを当該溝部の中に引っ張り込み、そして、シートカバーを当該溝部に碇着する。この引張ロッドは、成型工程の際にシートクッションに成型されのではなく、むしろ、当該シートクッションの成型工程が完了した後に、シートクッションの中に挿入されるのである。
【0006】
次ぎに、BURCHI等の米国特許5762842、米国特許5827546、米国特許5827547及び米国特許5882073は、シートカバーの碇着構造を開示しおり、当該シートカバー碇着構造において、シートカバーに取りつけられたパイプ状の小片がシート材に成型された対応する相手方の溝部にスナップ的に係合する。
【0007】
次ぎに、SOLIE等の米国特許4679851は、シートカバーの碇着手段を開示しており、このシートカバー碇着手段においては、フックファスナー片がシートクッションの中に形成された溝部の底に配されている。フックファスナー片は、シートカバーの下側に設けられたループ材料片と係合する。
【0008】
その他の先行特許は、色々な面ファスナー取付方法を開示しているが、発泡樹脂製シート材料にシートカバーを取り付ける際に使用されるものではない。例えば、HANDLERの米国特許4882338は、ループでカバーされた部材を一定位置に保持するために、挿入されたループでカバーされた部材の周りに捲回されるヒンジ状のフックファスナー装置を開示している。ループでカバーされた部材は、棚状の支持体の一部である。MATESの米国特許3475810は、面ファスナー片によって連結された固定部材を示しており、ここにおいて、面ファスナー片は、互いに対してせん断作用をする関係にある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上に記載した全ての先行技術の方法は、以下に示す顕著な欠陥がある。
【0010】
シート材の溝部の底に配されたフックファスナー片を使用する方法は、しばしば、溝部の中にシートカバーを適切に保持するための十分な剥離強度を持たないことがある。そして、もしフックとループが係合するために十分に広いスペースをシート材の溝の底にとるとすれば、当該溝部を狭くすることはできないのである。他方、殆どの場合において、シート材には狭い溝部を設けることが望まれるのである。
【0011】
シート材を成型する工程の前に面ファスナー片を掛ける尖塔形状の支持体を利用する方法は、多数の部品を必要とするので、構造が不必要に複雑であり、従って、これを実施することが難しく、費用もかかるのである。更に、これらの方法を使用するために現存の金型をこれらの方法に適用することも難しく、費用がかかるのである。
【0012】
BURCHI等の米国特許のパイプ状の小片や溝部のような他のシートカバー碇着エレメントを使用する方法もまた、満足が行かないのである。なぜならば、これらは、係合のために高度な精密性が要求されるからである。もし係合エレメントが発泡樹脂製のシート材やシートカバーの上の精密な位置に配置されない場合には、シートカバーは、過度に弛緩した状態で又は過度に緊張した状態で装着されることになる。
【0013】
従って、デザイン及び構造において非常に簡単であるとともに、シートカバーと発泡樹脂製シート材の溝部との間を確実に連結する深い溝付きのファスナーを提供することは、先行技術に対して顕著な利点を有することが理解される。そこで、本発明の目的は、デザイン及び構造が簡単であり、一体物として低価格で容易に製造することができるファスナーを提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、発泡樹脂製シート材の成型工程の際に容易に使用することができ、精密な位置付けや方向付けを必要としないファスナーを提供することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、シートカバーと深い形状の発泡樹脂製シート材に形成されている深い溝部との間に高い連結強度を可能にするファスナーを提供することである。
【0016】
本発明の更なる目的及び利点は、図面及び発明の詳細な説明の記載を読むことによって容易に理解することができる。
【0018】
【課題を解決するための手段】
そして、上記の目的を達成するために、本発明のファスナーは、第1の物体に成型する際に使用するためのファスナーであって、該ファスナーは、(a)外側面と凹面状に形成された内側溝部とを有する長尺のファスナー本体と、(b)該内側溝部の凹面に配され、そして、該ファスナー本体の長手方向に沿って延び、互いに対向する複数のファスニング突条部と、(c)該内側溝部の対向する側部に配された二つの対向する脚部と、(d)該ファスナーを第1の物体の内部に取り付ける際に使用するため、ファスナー本体の外側面に設けられた少なくとも一つのアンカーエレメントとからなり、複数の突条部は、溝部内で脚部より離れた側と、その突条部より脚部側とに配されており、これによって、該第1の物体は、第2の物体に取付けることが出来るのである。
【0021】
また、これらのファスナーは、該第1の物体を成型する金型に該ファスナーを取り外し自在に取り付けるための手段を更に含むのである。
【0022】
更に、これらのファスナーにおいて、取り外し自在に取り付けるための手段は、該ファスナーに含有された磁性微粒子からなる。
【0023】
更に、該磁性微粒子は、該ファスナーの密封用脚部に含有されている。
【0024】
そして、これらのファスナーにおいて、該第1の物体は、発泡樹脂製シートクッションである。
【0025】
更に、上記ファスナーにおいて、該第2の物体は、シートカバーである。
【0026】
【作用】
上記のように構成されたファスナーにおいては、発泡樹脂製のシート材の深い溝部の中にシートカバーが確実に保持されるのである。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、第1の物体に第2の物体を取り付けるためのファスナーを図面を参照にして説明する。この実施例においては、第1の物体は、発泡樹脂製のシート材即ちシートクッション19であり、第2の物体は、シートカバー20である。図1及び図2に示した長尺のファスナーは、断面が実質的に凹面状になっており、内側溝部11を備えている長尺のファスナー本体10からなっている。内側溝部11の面には、断面が楔状の複数の突条部12a,12b,12c,12dが配されている。突条部12a,12b,12c,12dは、離隔した複数の切込部23を備えており、シートカバーの下側に取り付けられるループ材料その他の材料と係合するためのファスナーエレメントとして機能する。ファスナー本体10の外側、即ち、溝部と反対側の面には、アンカーエレメント13a,13b,13c,13d,13eが配されている。そして、これらのアンカーエレメント13a,13b,13c,13d,13eは、発泡樹脂製のシート材の成型工程が完了した後に、発泡樹脂製のシート材の中に本発明のファスナーを碇着するために供するのである。
【0028】
更に、ファスナー本体10は、二つの対向する脚部14a,14bを備えている。脚部14a,14bは、その本質はフランジのようなものであり、発泡樹脂製シート材の成型工程の間、本発明のファスナーの側部が汚れるのを防ぐべくファスナーの側部を密封するために比較的平坦な底面を有している。発泡樹脂製のシート材を成型する為の磁性を帯びた成型金型に本発明のファスナーを確実に保持するために、脚部14a,14bには、磁性微粒子15が含有されている。
【0029】
図3は、異なった形状の弧状突条部16a,16b,16c,16dを備えた代替的な実施例によるファスナーの断面図である。即ち、この深溝付きファスナーの内面には、切込部を備えた弧状突条部16a,16b,16c,16dが設けられている。この実施例においては、切込部を備えた概ね曲面状の断面を有する弧状突条部16a,16b,16c,16dが内側溝部11の面に配されている。この代替実施例によるファスナーの他の部分は、先行する実施例における対応する部分と同じである。
【0030】
図4及び図5は、発泡シート材の成型金型17に本発明のファスナーを配置した状態を示す図面である。図4において、本発明のファスナーは、成型金型17の平坦部に直接配される。本発明のファスナー自体の形状が、成型された発泡樹脂製シート材に設けられた溝部の全体を構成するのである。一方、図5において、本発明のファスナーは、成型金型17の中に設けられた基台18に配されている。そして、この基台18と本発明のファスナーの形状が、一緒になって、成型工程で成型されるシート材料の中に設けられる溝部を構成することになる。
【0031】
図6は、本発明のファスナーが発泡樹脂製シート材19に成型された後におけるファスナーの状態を示している。シートカバー20の下側には、ループ材料21の長片が配されている。そして、シートカバー20をこのファスナーに押入するにつれて、ループ材料21は、突条部12a,12b,12c,12dと確実に係合するのである。
【0032】
次ぎに、本発明のファスナーを製造するための方法について説明する。図7は、本発明のファスナーを製造するための押出成型方法を示している。この押出成型法において、本発明のファスナーを製造するため、樹脂材料は、押出装置の開口部25を通して押出装置22から押出されるのである。この押出工程によって、ファスナー本体10、内側溝部11、突条部12a,12b,12c,12d、アンカーエレメント13a,13b,13c,13d,13e及び脚部14a,14bが、この単一工程において成型されるのである。しかし、この工程においては、突条部12a,12b,12c,12dは、未だ切込部が形成されないのである。そして、この押出工程と協働して行われる工程を介して、脚部14a,14bの中に磁性微粒子15が導入されるのである。即ち、押出装置22に設けられた別個の押出ノズル又は別個のチャネルを通して脚部14a,14bに磁性微粒子15を含有する樹脂が別個に導入されるのである。
【0033】
突条部12a,12b,12c,12dの切込部23は、色々な方法で形成することができる。例えば、押出工程の後に切断工程において突条部12a,12b,12c,12dを切断することによって、突条部12a,12b,12c,12dに切込部23を形成することもできる。切込部23を形成するための別の方法が図8に示されている。図8においては、ファスナー本体が押出装置の開口部25から押出されるにつれて、開口部25の近傍に配された往復ゲート24が内側溝部11の中に突入後退を繰り返し、これによって、突条部12a,12b,12c,12dに切込部23を形成するのである。この往復ゲート24を使用する方法は、ここに一例として掲げる発明者MURASAKIの米国特許6209177号に更によく説明されている。
【0034】
以上、本発明の詳細な構成をいろいろと説明したが、これらの構成は、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならず、むしろ、これらの構成は、実施態様の一例として掲げたものと解釈すべきである。即ち、本発明については、他にもいろいろな変形例が可能である。以下に幾つか変形例をあげる。
【0035】
例えば、発泡樹脂製シート材の内部にいろいろな形状の溝部を形成するために、ファスナー本体は、いろいろな形状に形成することができる。すなわち、もっと平坦であっても良いし、もっと急角度のカーブであってもよい。実際のところ、ファスナー本体は、曲線状に形成されなくてもよい。その代わりに、ファスナー本体は、内側溝部の底部が内側溝部の壁部に対して”角張って”いてもよいのである。また、ファスナー本体は、V字状に形成してもよい。この場合、内側溝部の底の部分は、V字の頂点を構成するのである。発泡樹脂製シート材に色々な形状の溝を設けるため、ファスナー本体は色々な高さ、色々な幅で形成してもよいのである。
【0036】
上に説明した実施例のように磁性微粒子を含有させるのではなく、これとは別の磁性保持手段を用いることもできるのである。例えば、2−3の例を挙げると、ファスナー本体の脚部に磁性小片又は磁性ワイヤーを取りつけたり、埋め込んだりすることもできる。又、上で示されている磁性微粒子をファスナー本体の別の部分に含有させることもできるのである。
【0037】
本発明のファスナーと発泡性樹脂製シート材の金型の面との間の境界面をさらに確実に密封するため補足的な密封手段を使用することもできる。これによって、シート材の成型工程において内側ファスニングエレメントが汚れるのを更に防ぐことができるのである。本発明のファスナーの端部が汚れるのを防ぐために色々な密封手段を利用することができる。2−3例を挙げると、ファスナー本体の端部を機械的に、又は、加熱して、又は超音波加工をして折り曲げることもできる。また、これと同一の効果を達成するためファスナー本体の端部の上にカバーを配することもできる。
【0038】
また、アンカーエレメントは、ファスナー本体の外側面即ち溝部とは反対側の面の別の位置に配することもできるし、アンカーエレメントを別の形状にすることもできるし、アンカーエレメントを省くこともできるのである。
【0039】
突条部の数を変えることもできるし、突条部を、内側溝部の面の別の位置に配することもできる。一つの例として、内側の溝部の底に更なる突条部を設けることもできるのである。また、単に押出装置の開口部の形状を変えることによって、突条部の高さや形状を変更することもできるのである。さらに、切込部を備えていない突条部も使用することができる。
【0040】
突条部一つ当りの切込部の数や、突条部の単位長さあたりの切込部の数を、図面に示されたのと異なったものにすることもできる。これによって、もちろん、ファスナーの長手寸法に沿った色々なファスニングエレメント”密度”が得られるのである。切込部を形成するために往復ゲートを用いる方法を使用する場合には、当該往復ゲートの往復速度を変えることもできる。これによって、いろいろなファスニングエレメントの密度が得られるのである。
【0041】
以上の通り、本発明のファスナーは、押出工程において一体物として製造することができると示したが、一体物として製造することは本発明にとって必須ではないのである。本発明のファスナーは、これに代えて、別個に製造された部品を組立てることによって製造することもできるのである。
【0042】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0043】
本発明によれば、デザイン及び構造が簡単であり、一体物として低価格で容易に製造することができるシート用ファスナーが提供されたのである。
【0044】
さらに、発泡樹脂製シート材の成型工程の際に容易に使用することができ、精密な位置付けや方向付けを必要としないシート用ファスナーを提供されたである。
【0045】
発泡樹脂製のシート材料の深い溝部の内部にシートカバーを確実に保持する非常に効率的な方法が得られるたのである。すなわち、シートカバーと発泡樹脂製シート材に形成されている深い溝部との間に高い連結強度を可能にするファスナーを提供することができたのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のファスナーの断面図であり、当該ファスナーのファスナー本体が凹面状であること、そして、内側面にファスニングエレメントを有すること、そして、ファスナーの脚部に磁性微粒子が含有されていることを示している。
【図2】本発明のファスナーの斜視図であって、長尺のファスナー本体と、成型金型にファスナーを保持するためと成型工程においてファスナーの内部が汚れるのを防ぐべく密封するための二つの機能を行う脚部とを開示している。
【図3】深い溝付きのファスナーの内面に別の形状のファスニングエレメントを備えた代替的な実施例の断面図である。
【図4】成型金型の中に保持されたファスナーを示す断面図である。
【図5】成型金型に配されたファスナーを示す別の断面図であって、当該成型金型がファスナーを配する基台を備えていることを示している。
【図6】発泡樹脂製シート材の溝に成型されたファスナーの斜視図であって、当該ファスナーが、深い溝部を有するシート材の一定の位置に確実にシートカバーを保持することができるということを示している。
【図7】押出装置から溶融樹脂を押出すことによってファスナーを成型する工程を開示している斜視図である。
【図8】ファスナーの内面に押出成型によって設けられた突条部に切込部を形成するため押出装置の開口部の近傍に配された往復ゲートを使用している状態を示している断面図である。
【符号の説明】
10 ファスナー本体
11 内側溝部
12a,12b,12c,12d 突条部
13a,13b,13c,13d,13e アンカーエレメント
14a,14b 脚部
15 磁性微粒子
16a,16b,16c,16d 弧状突条部
17 成型金型
18 基台
19 発泡樹脂製シート材
20 シートカバー
21 ループ材料
22 押出装置本体
23 切込部
24 往復ゲート
25 押出装置の開口部

Claims (6)

  1. 第1の物体に成型する際に使用するためのファスナーであって、該ファスナーは、
    (a) 外側面と凹面状に形成された内側溝部とを有する長尺のファスナー本体と、
    (b) 該内側溝部の凹面に配され、そして、該ファスナー本体の長手方向に沿って延び、互いに対向する複数のファスニング突条部と
    (c) 該内側溝部の対向する側部に配された二つの対向する脚部と、
    (d) 該ファスナーを第1の物体の内部に取り付ける際に使用するため、ファスナー本体の外側面に設けられた少なくとも一つアンカーエレメントとからなり、
    複数の突条部は、溝部内で脚部より離れた側と、その突条部より脚部側とに配されており、これによって、該第1の物体は、第2の物体に取付けることが出来ることを特徴とする前記ファスナー。
  2. 該ファスナーは、該第1の物体を成型する金型に該ファスナーを取り外し自在に取付けるための手段を更に含むことを特徴とする請求項1に記載されたファスナー。
  3. 取り外し自在に取付けるための手段は、該ファスナーに含有された磁気微粒子からなることを特徴とする請求項2に記載されたファスナー。
  4. 該磁気微粒子は、該ファスナーの密封用脚部に含有されていることを特徴とする請求項3に記載されたファスナー。
  5. 該第1の物体は、発泡樹脂性シートクッションであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載されたファスナー。
  6. 該第2の物体は、シートカバーであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載されたファスナー。
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