JP4317610B2 - ヒートパイプ取り付け構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品およびその他発熱体の冷却を目的としたヒートシンクに関して、熱伝導性に優れたヒートパイプを受熱プレートに取り付ける構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の受熱プレートにヒートパイプを取り付ける構造は、特開平9−260558号公報に記載のように、受熱プレートに切り欠きを有する筒形状のヒートパイプ挿入部にヒートパイプの片端を挿入し、受熱プレートを平坦に成形することで受熱プレートにヒートパイプを固定していた。
【0003】
また、特開平4−369390号公報に記載のように、ヒートパイプ取り付け構造として、ねじ穴を有する金属プレートに金属板状の押えバンドをヒートパイプに巻き付けて、その押えバンドをねじを使用して金属プレートに固定していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の方法では以下ような問題があった。
まず、前者の技術では、受熱プレートに設けた挿入部にヒートパイプの片端を挿入することで固定するために、ヒートパイプを用いて受熱プレートの熱を伝達させることができるのは、主に受熱プレートの一方向だけであり、受熱プレートに対して対照的に両方向に熱を伝達させたい時は、2本のヒートパイプが必要となる。また、ヒートパイプを挿入するための切り欠き部分で、熱伝達効果を犠牲にしていた。
【0005】
後者の技術では、ねじでヒートパイプを金属プレートに固定しているため、長時間使用しているうちに、振動や熱によって固定ねじが緩んでしまいヒートパイプと金属プレートの密着面積が減少し、ヒートパイプと金属プレートの熱伝達効率が減少する問題があった。
【0006】
本発明の目的は、ヒートパイプ使用下において、ヒートパイプと金属プレートの密着性の減少を防止し、簡単にヒートパイプを取り付ける構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明のヒートパイプの取り付け構造は、発熱体に装着される受熱プレートにヒートパイプを取り付ける溝を設け、ヒートパイプを溝に設置し、ヒートパイプ上部から埋め込み部材を用いてヒートパイプを受熱プレートに固定することを特徴とする。
【0008】
また、ヒートパイプの取り付け構造として、受熱プレートの溝部のヒートパイプが接触する部分の形状と埋め込み部材のヒートパイプが接触する部分の形状が、ヒートパイプをほぼ密着して覆う形状であることを特徴とする。
【0009】
また、ヒートパイプの取り付け構造として、埋め込み部材を圧入することを特徴とする。
【0010】
また、ヒートパイプの取り付け構造として、埋め込み部材の材料が、受熱プレートの材料より熱膨張率の高い材料を用いていることを特徴とする。
【0011】
また、ヒートパイプ取り付け構造として、溝を有する受熱プレートの溝が形成しない面に、溝を軸とした曲げに対する剛性を強化する梁状の補強構造を有することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図1から図7を用いて説明する。
図1はヒートパイプ3取り付け前の斜視図を、図2はヒートパイプ3取り付け後の斜視図を示す。
図1に示すように、溝2を切削等で形成した受熱プレート1に、ヒートパイプ3と埋め込み部材4とを設置し、ヒートパイプ3の上部より埋め込み部材4を溝2に挿入してヒートパイプ3を、図2に示すように受熱プレート1に固定する。受熱プレート1及び埋め込み部材4は、アルミニウムや銅などの高熱伝導性の材料を使用して作られている。
【0013】
図3は受熱プレート1と埋め込む部材4の部分拡大断面図を示す。また、図4(a)は断面が円形のヒートパイプ3aを埋め込み部材4aで受熱プレート1aに固定した場合の部分拡大断面図、(b)は断面が方形のヒートパイプ3bを埋め込み部材4bで受熱プレート1bに固定した場合の部分拡大断面図、(c)が溝2と埋め込み部材4に突き当て面7を設けた(a)の変形した場合の部分拡大断面図を示す。
【0014】
図3では、一般的なヒートパイプの断面は円形のため、受熱プレート1の溝2の形状をU字とし、このU字形状の溝2の底面部6を円弧状とし、一方、埋め込み部材4の接触部8を円弧状に設定した。この結果、ヒートパイプ全周を密着させてほぼ覆い、接触面積を上げ熱伝導性を向上させることができる。
また、図3に示すような形状では溝2の上部5と、埋め込み部材4とのはめあいが、JIS B 0401相当のしまりばめの寸法公差を有するものとする。溝2の公差をH7とし、埋め込み部材4の公差をp6とし、しまりばめで圧入して半固定的に組み付ける。なお、圧入する寸法は材料や使用条件によって異なる。
【0015】
以上、ヒートパイプ3の断面が円形の場合、ヒートパイプ3と受熱プレート1と埋め込み部材4とを固定または圧入した部分拡大断面図を図4(a)に示したが、ヒートパイプ3の断面が方形であれば、図4(b)に示すように、溝2も方形とした方が良い。また、埋め込み部材4の加工性を良くし、埋め込み部材4の位置決めを容易にするために、図4(c)に示すように突き当て面7を、埋め込み部材4と溝2に設けることもできる。図4(c)は、断面が円形の場合を示しているが、図4(b)およびその他の形状でも突き当て面7が有効なことは言うまでもない。
また、比較的柔軟なヒートパイプを用いれば、ヒートパイプ自体を、直接圧入等の手段で溝2に押し込み、方形等の溝に合わせて形状を変化させることもできる。さらに細かい間隙を埋めて密着性を上げるには、熱伝導性接着剤や熱伝導性ゴム等を使用しても良い。
上述した変形例は、以下に示す内容でも同様に考えられることである。
【0016】
別の実施例として、埋め込み部材4の材料が受熱プレート1及びヒートパイプ3の材料よりも熱膨張係数が大きい材料を用いて作られており、発熱体に取り付ける部分の受熱プレート1に熱が伝熱して埋め込み部材4にも伝熱した際、埋め込み部材4が受熱プレート1よりも膨張して、ヒートパイプ3を受熱プレート1に対して、より強固に固定することによって熱伝達性が向上する。また、発熱体が高発熱になるほど上記傾向は向上する。
【0017】
図5に、上述した図2に梁状の補強構造を設けた受熱プレートを示す。
受熱プレート1は、溝2を有することで溝の長手方向を軸とした時の曲げ応力に対する剛性を強化するために梁状の補強構造10を有する。また、この補強構造10は、受熱プレート1を発熱体に設置する際の位置決め効果も有する。この梁状の補強構造は受熱プレートと材料が異なっても良いし、同じでも良い。また、一体型でも別体型でも良い。なお、材料および寸法は、使用温度環境、膨張係数、受熱プレートの寸法等から決定する。
【0018】
図6に別の実施例を示す。
受熱プレート1の代わりに平行平板フィン9を用いて、平行平板フィン9に図3のU字形状の溝2を形成し、ヒートパイプ3を設置して、ヒートパイプ3を埋め込み部材4を平行平板フィン9のU字形状溝に圧入して固定する。受熱プレート1の代わりに平行平板フィン9を用いることによって、受熱プレート1のヒートシンクの効果を向上させることができる。平行平板フィン9のU字形状の溝2の底面部6の形状、埋め込み部材4の形状及び材料、平行平板フィン9の補強構造10は、上記実施例と同様である。また、その組み合わせは自由に選んで組み合わせることができる。また、平行平板フィン9の形状にとらわれることなくU字形状の溝2が形成できる形状であれば、平行平板フィン9に限らず、受熱プレート1は種々多様な形状に適用できる。
【0019】
図7にさらに別の実施例を示す。
受熱プレート1に取り付けるヒートパイプ3は、図7に示すようにヒートパイプ3の両端にプレートフィン11などをあらかじめ取り付けられたヒートパイプ3を使用する。受熱プレート1に設けられたU字形状の溝2に図7に示す両端にプレートフィン11をあらかじめ取り付けられたヒートパイプ3を設置し埋め込み部材4によって固定する。また、ヒートパイプ3は、図7に示す両端にプレートフィン11があらかじめ取り付けられたヒートパイプ3に限らず受熱プレート1に固定した時に接する長さ分直線形状を確保されてあれば、ヒートパイプ3の形状、長さにとらわれることなく種々多様なヒートパイプ3を取り付けても良い。平行平板フィン9のU字形状の溝2の底面部6の形状、埋め込み部材4の形状及び材料、平行平板フィン9の補強構造10は、上記実施例と同様である。
【0020】
以上、本発明のいくつかの実施例を説明したが、取り付けるヒートパイプ3及びヒートパイプ3を取り付ける受熱プレート1は、上記実施例で説明のものに限らず、種々多様なものに適用することが可能である。
【0021】
【発明の効果】
上記構成により、ヒートパイプを受熱プレートに取付ける場合、ヒートパイプの形状にとらわれることなく、簡単に取りつけることを可能にし、ヒートパイプと受熱プレートの密着性が向上し、ヒートパイプが受熱プレート1から外れることがないようにすることができる。また、上記のような取り付け方法をを採用することで、放熱フィン型ヒートシンクとヒートパイプを組み合わせて熱特性の非常に良いヒートシンクを構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のヒートパイプ取り付け前の斜視図を示す。
【図2】本発明の一実施例のヒートパイプ取り付け後の斜視図を示す。
【図3】本発明の一実施例におけるU字形状の溝部と埋め込み部材の部分断面図を示す。
【図4】本発明の一実施例における固定後の部分断面図を示す。
【図5】本発明の一実施例における梁状の補強構造を有する受熱プレートの図を示す。
【図6】本発明の一実施例におけるヒートシンクの斜視図を示す。
【図7】本発明の一実施例におけるヒートパイプの斜視図を示す。
【符号の説明】
1,1a,1b,1c…受熱プレート、2…溝、
3,3a,3b,3c…ヒートパイプ、
4,4a,4b,4c…埋め込み部材、
5…切り欠き、6…溝の上部、7…突き当て面、
8…接触部、 9…平行平板フィン、
10,10a,10b…梁状の補強構造、
11…プレートフィン。

Claims (3)

  1. 発熱体に装着される受熱プレートにヒートパイプを取り付けるための溝を設け、上記ヒートパイプを上記溝に取り付け、埋め込み部材で上記ヒートパイプを上記受熱プレートに固定するヒートパイプ取り付け構造であって、
    上記受熱プレートと上記ヒートパイプと上記埋め込み部材とが固定された該ヒートパイプの軸方向と垂直な断面が、上記ヒートパイプを上記埋め込み部材と上記受熱プレートとで密着して覆っており、
    上記受熱プレートに上記埋め込み部材を圧入して上記ヒートパイプを固定することを特徴とするヒートパイプの取り付け構造。
  2. 前記埋め込み部材の熱膨張係数が前記受熱プレートの熱膨張係数より大きいことを特徴とする請求項1に記載のヒートパイプ取り付け構造。
  3. 前記受熱プレートの前記溝が形成されていない面に、上記溝を軸とする曲げに対して剛性を強化するために梁状の補強構造を1つ以上有することを特徴とする請求項1もしくは請求項2のいずれかに記載のヒートパイプ取り付け構造。
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