JP3568192B2 - 放熱装置および電源装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉型の筐体に収容される電源装置及びそれに使用される放熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、電源装置に設けられる従来の放熱板60と、回路基板CB10とを示す斜視図である。
【0003】
従来の放熱板60では、脚部HS10a、HS10bが折り曲げられ、この折り曲げられた脚部HS10a、HS10bに透孔HS10hが設けられている。そして、この透孔HS10hと、回路基板CB10に設けられている透孔とに、回路基板CB10の裏側(放熱板60が取付られていない側)からビスを挿通し、ビス止めすることによって、放熱板60を回路基板CB1に固定している。
【0004】
そして、上記固定された放熱板60に発熱素子を密着させ放熱させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来、放熱板60を回路基板CB10に固定するには、ビスを回路基板CB10の裏側から挿入して回さなければならず、放熱板60を回路基板に固定する作業が煩雑であるという問題がある。
【0006】
また、放熱板60が折り曲げ加工によってコーナー60Cを形成しているため、コーナー60Cで熱伝導性が悪くなり、効率よく放熱が行われないので、放熱板60を大きくしなければならないという問題がある。
【0007】
また、脚部HS10a、HS10bを設けているので、脚部HS10a、HS10bの分だけ、放熱板60の取付けスペースが必要となり、回路基板CB10を広くしなければならない。さらに、放熱板60を固定するために透孔HS10hをタップ加工しなければならず、タップ加工をするためには、放熱板60の板厚を増やさなければならない。
【0008】
放熱板60の板厚を増やすことによって、放熱板60の重量が増し、加工も容易でなく、製作コストが増すという問題がある。
【0009】
また、放熱板60のコーナー60C、脚部HS10a、HS10bが板金を折り曲げ加工することによって製作されるので、放熱板60を製作するための加工が煩雑であるという問題があり、加工精度(平面度、直角度)が悪く、発熱素子を取付けた際、発熱素子と放熱板60との接触面積が小さくなり、効率よく放熱が行われないという問題がある。さらに、放熱板60を製作する際の材料取りに無駄が生じるという問題がある。
【0010】
本発明は、第1に回路基板に固定する作業が容易で軽量の放熱装置を提供することを目的とし、第2に電源装置の筐体に密着させ固定する作業が容易である放熱装置および電源装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、回路基板と、嵌着部を具備する放熱板と、上記嵌着部に嵌合されている嵌合部と、上記回路基板に半田付けされている脚部とを具備する金具と、熱伝導性を具備し、密閉型である筐体とを有し、上記放熱板が上記回路基板の端面から突出し、上記筐体の内壁に上記放熱板が密着し、また、上記回路基板の端面から突出している上記放熱板の面の厚みが、上記回路基板の端面から突出していない上記放熱板の面の厚みよりも厚い電源装置である。
【0016】
【発明の実施の形態および実施例】
図1は、本発明の一実施例である電源装置100を示す斜視図である。
【0017】
図2は、電源装置100を、図1におけるX−X’方向から眺めた矢視図である。
【0018】
電源装置100は、回路基板CB1と放熱装置10と筐体BX1とを有し、回路基板CB1と放熱装置10とが筐体BX1に収容されている。
【0019】
放熱装置10は、放熱板HS1と金具MF1、MF2とを有する。放熱板HS1は、特定の溝形状の嵌着部DT1、DT2を有する。金具MF1、MF2は、嵌着部DT1、DT2に嵌合されている嵌合部と、回路基板CB1に半田付けされる脚部とを具備する。放熱板HS1に嵌合された金具MF1、MF2の脚部が、回路基板CB1に半田付けされることによって、放熱装置10が回路基板CB1に固定されている。なお、放熱装置10の詳細な説明は、図3において行う。
【0020】
そして、放熱装置10の放熱板HS1が、回路基板CB1の端面から突出し、筐体BX1の内壁に密着している。なお、ボルトBT1、BT2によって、上記密着が行われる。さらに、放熱板HS1が、回路基板CB1の端面から突出し、筐体BX1の内壁に密着しているので、回路基板CB1の端面と筐体BX1の内壁との間に隙間OPが生じている。また、放熱板HS1には、回路基板CB1上に設けられた発熱素子EL1、EL2、およびEL2とは反対側にEL3が密着している。
【0021】
なお、電源装置100が屋外での使用に耐え得るように、筐体BX1が密閉型の構造となっており、また、筐体BX1は熱伝導性を具備する。
【0022】
次に、電源装置100の組立てについて説明する。
【0023】
まず、放熱装置10、回路基板CB1、発熱素子EL1、EL2、EL3を筐体BX1に組込む動作について説明する。
【0024】
発熱素子EL1、EL2、EL3は、放熱板HS1に密着している。金具MF1、MF2の嵌合部MF1a、MF2aは、放熱板HS1の嵌着部DT1、DT2に嵌合され、金具MF1、MF2の脚部MF1b、MF2bは、回路基板CB1の所定の穴に挿入され、回路基板CB1に半田付けされて、放熱装置10が回路基板CB1に固定される。また、発熱素子EL1、EL2、EL3のリード端子も、回路基板CB1に半田付けされる。
【0025】
このように放熱装置10を回路基板CB1に半田付けすることによって、放熱装置10を回路基板CB1に固定する際、ビスを回路基板CB1の裏側から挿入し回す作業が不要になり、放熱装置10を回路基板CB1に固定する作業が容易になる。
【0026】
そして、回路基板CB1と、放熱装置10と、発熱素子EL1、EL2、EL3とが一体化され、筐体BX1内に組込まれる。この際、筐体BX1と回路基板CB1との間に隙間OPが設けられているので、上記一体化された回路基板CB1等を筐体BX1内に組み込み、放熱板HS1を筐体BX1の内壁に確実に密着させ固定することができる。
【0027】
次に、電源装置100の放熱の動作について説明する。
【0028】
発熱素子EL1、EL2、EL3が使用時に熱を発生し、この発生した熱が放熱板HS1を介して筐体BX1に伝わり、筐体BX1が外気によって冷やされ放熱が行われる。このように放熱がされることによって、密閉型の構造を有する電源装置100の内部に熱がこもることがなくなる。なお上記実施例において、発熱量の多い発熱素子EL1を筐体BX1の近くに配置すれば、放熱が一層効率よくなされる。
【0029】
図3は、電源装置100に固定される放熱装置10の構成を示す斜視図である。
【0030】
放熱板HS1に設けられた嵌着部DT1、DT2の一端に、金具MF1、MF2を嵌合することによって、放熱装置10の脚部が形成される。
【0031】
金具MF1、MF2が、放熱板HS1に設けられた嵌着部DT1、DT2に嵌合される嵌合部MF1a、MF2aと、回路基板CB1に半田付けされる脚部MF1b、MF2bとを有する。そして、ツバMF1d、MF2dによって止まるまで、金具MF1、MF2の嵌合部MF1a、MF2aが、嵌着部DT1、DT2に挿入されると、バネ部MF1c、MF2cによって、嵌着部DT1、DT2と嵌合部MF1a、MF2aとの間に所定の力がかかり、金具MF1、MF2が、放熱板HS1から容易にはぬけなくなり、放熱装置10の脚部MF1b、MF2bが形成される。
【0032】
放熱装置10が脚部MF1b、MF2bを必要とする理由は、第1に、放熱板HS1の材質として、軽量で熱伝導性のよいアルミニウム合金が使用されるが、アルミニウム合金が半田付けしにくい。そこで、回路基板CB1に固定するため、放熱装置10が半田付性の良い脚部MF1b、MF2bを必要とするからである。従って、金具MF1、MF2は半田付性の良い材質であることを要する。第2に、回路基板CB1上の配線パターンと干渉しないように、放熱板HS1を回路基板CB1から浮かせて固定するためである。
【0033】
なお、放熱板HS1のコーナーHS1Cに丸みをつけてもよく、また放熱板HS1のコーナーHS1Cの角度が、直角以外の鋭角または鈍角であってもよい。また、放熱板HS1の形状精度を上げ、かつ簡便に製作するために、アルミニウムを押し出し加工した大面積の板を切断して放熱板HS1としてもよい。この場合には、嵌着部DT1、DT2が溝形状となるが、個々に切断された放熱板を加工して嵌着部を形成する場合には、放熱板の一端に所定の長さの嵌着部が形成されていればよい。
【0034】
そして、アルミニウムを押し出し加工して形成したアルミニウム板を切断して放熱板HS1を形成すれば、折り曲げ加工された部分が存在しないので熱伝導性が良く、形状精度が良く、加工費が削減され、材料の無駄がない安価な放熱装置10を製作することができる。
【0035】
なお、筐体BX1の材質も、軽量で熱伝導性のよいアルミニウム合金が使用される。しかし、放熱板HS1、筐体BX1の材質は、アルミニウム合金に限定されるものではなく、軽量で熱伝導性がよければ、マグネシウム合金等を採用してもよい。また軽量化が特に必要とされなければ、銅合金等を採用してもよい。
【0036】
また、上記実施例では、放熱板HS1の切断面(アルミニウムの押し出し加工材の切断面)を平らにしていたが、回路基板CB1に実装される素子の態様によって、切り欠きを設けてもよい。切り欠きを設けることによって、回路基板CB1の態様に合致した放熱装置を形成することができ、一層の軽量化を図ることができる。
【0037】
なお、上記実施例において、回路基板CB1の端面から突出している放熱板HS1の面の厚み(筐体側の辺HS1Bの厚み)を、回路基板CB1の端面から突出していない放熱板HS1の面の厚み(筐体側の辺HS1Nの厚み)よりも厚くすることによって、放熱に必要な最小板厚で、放熱板HS1を筐体BX1に密着させつつ、隙間OPを確保することができ、さらに放熱装置10を軽量化することができる。
【0038】
図4は、放熱装置10の変形例を示す図である。
【0039】
放熱装置10は、放熱板が「L」字型の断面形状を有している。しかしながら、図4(1)に示す放熱装置20のように、放熱板HS2の形状を平板形状としたり、図4(2)に示す放熱装置30のように、放熱板HS3の形状を「コ」字型の断面を有する形状としたり、その他、T型、H型の断面を有する形状としてもよい。これによって、回路基板CB1の態様に応じた放熱板を形成することができる。
【0040】
図5は、放熱装置10、20、30の放熱板に設けられる嵌着部の変形例を示す図である。
【0041】
上記実施例では、嵌着部の形状を溝状のT字型としている。しかしながら、図5(1)に示す放熱板HS4のように、嵌着部の形状をクサビ型溝形状DT4としたり、図5(2)に示す放熱板HS5のように、嵌着部の形状をキリ孔形状DT5としたり、図5(4)に示す放熱板HS6のように、嵌着部の形状をキリ孔形状であって孔の壁の一部が欠けている形状DT6としてもよい。また、図5(3)に示すように、嵌着部が貫通していなくてもよい。
【0042】
なお、嵌着部の形状を変えた場合、図5(3)に示す金具MF5のように、嵌着部の形状に合わせて金具の形状を変える必要がある。
【0043】
さらに、図5(5)に示すように、嵌着部を設けず、金具MF7を、ボルトBT7を使用して放熱板HS7に固定してもよい。この際、組立工数がかかるが、放熱板HS7に特殊形状の嵌着部を設ける必要がなく、また、金具MF7の形状が簡単なので、金具を容易に製作できる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、放熱板を軽量化でき、放熱板を回路基板に固定する作業が容易であり、また、放熱板を電源装置の筐体に密着させ固定する作業が容易であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】電源装置100を示す斜視図である。
【図2】電源装置100を、図1におけるX−X’方向から眺めた矢視図である。
【図3】電源装置100に固定される放熱装置10の構成を示す斜視図である。
【図4】放熱装置10の変形例を示す図である。
【図5】放熱板に設けられた嵌着部の変形例を示す図である。
【図6】従来の電源装置に設けられる放熱板60、回路基板CB10を示す斜視図である。
【符号の説明】
100…電源装置、
10、20、30…放熱装置、
BX1…筐体、
CB1…回路基板、
DT1、DT2、DT4、DT5、DT6…嵌着部、
EL1、EL2、EL3…発熱素子、
HS1、HS2、HS3、HS4、HS5、HS6、HS7…放熱板、
MF1、MF2、MF5、MF7…金具、
MF1a、MF2a…嵌合部、
MF1b、MF2b…脚部、
OP…隙間。
Claims (2)
- 回路基板と;
嵌着部を具備する放熱板と;
上記嵌着部に嵌合されている嵌合部と、上記回路基板に半田付けされている脚部とを具備する金具と;
熱伝導性を具備し、密閉型である筐体と;
を有し、上記放熱板が上記回路基板の端面から突出し、上記筐体の内壁に上記放熱板が密着し、また、上記回路基板の端面から突出している上記放熱板の面の厚みが、上記回路基板の端面から突出していない上記放熱板の面の厚みよりも厚いことを特徴とする電源装置。 - 請求項1において、
上記放熱板の嵌着部は、その上端から下端まで延びる溝形状であることを特徴とする電源装置。
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