JP4316034B2 - ステンレス鋼板の表面処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステンレス鋼板、より詳しくはオーステナイト系およびフェライト系などのステンレス鋼の冷延鋼板および熱延鋼板の表面に生成付着している酸化スケールとヘゲ疵や粒界溝などの表面欠陥を表面性状を損なうことなく、高能率に低コストで除去することが可能なステンレス鋼板の表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステンレス鋼の冷延鋼板や熱延鋼板の表面に生成付着している酸化スケールの脱スケール処理には、ブラスト処理、ブラシ研削処理および砥石研削処理などによる機械的な脱スケール方法と、硫酸水溶液や硝弗酸水溶液を用いた酸洗による化学的な脱スケール方法があることはよく知られている。そして、いずれの方法も、通常は酸化スケールを完全に除去することのみに主眼がおかれている。
【0003】
一方、ステンレス鋼板には、その表面に製造過程で生じたヘゲ疵や粒界溝などの表面欠陥が存在していることが多い。しかし、酸化スケールの完全な除去のみを主眼とする従来の脱スケール方法では、酸化スケールの除去と同時に表面欠陥を確実に除去することは難しい。これは、上記の表面欠陥、なかでもヘゲ疵の多くが、酸化スケールを除去しないと発見できないためである。
【0004】
また、従来から脱スケール処理に用いられている濃度の硝弗酸水溶液(1リットル当たり、硝酸50〜100g、ふっ化水素酸10〜30g)は、Cr濃度の低いステンレス鋼ほど溶解速度が大きい。このため、熱延鋼板や焼鈍処理後の鋼板表面、特に鋼板がオーステナイト系ステンレス鋼の場合には、酸化スケール直下および結晶粒界近傍のCr濃度が欠乏している部分が選択的に浸食され、いわゆる粒界溝と称される表面欠陥が生じて冷延鋼板表面の光沢を低下させるので、高光沢が要求される場合にはバフ研磨仕上げが必要になる。
【0005】
したがって、ステンレス鋼板の表面欠陥の除去には、脱スケール処理後にコイルグラインダーなどの研削手段を用いて除去する方法や、バフ研磨仕上げが採られていた。しかし、これらの方法は、能率が低く生産性の低下を招き、非常にコスト高につくという問題があった。
【0006】
なお、ステンレス鋼板表面の酸化スケールの酸洗による高能率な脱スケール方法としては、特開平6−65765号公報や特公昭58−19749号公報および同59−11671号公報に示される方法がある。
【0007】
すなわち、特開平6−65765号公報に示される方法は、1リットル当たり、50〜400gの硝酸、50〜400gのふっ化水素酸および0.5〜50gの塩酸を含む混酸水溶液のみを用いる方法である。
【0008】
また、特公昭58−19749号公報および同59−11671号公報に示される方法は、鋼板幅方向の酸化スケールの分布状態をスケール検出装置で連続的に検出し、その検出結果に基づて鋼板の幅方向に分割配置された複数の電解電極の電流量やスプレー装置からの酸液の噴流量や噴射圧力を制御する方法である。
【0009】
しかし、前者の公報に示される方法では、塩酸の濃度調整で酸洗速度を制御することが可能であるとしているが、脱スケールと同時に表面欠陥を除去する場合、なかでも材料ロスを避けるために脱スケール後の鋼板表面に存在している表面欠陥を表面検査装置を用いて検出し、その検出結果に基づいて酸洗量を制御する場合には適さない。
【0010】
その理由は、製造現場の酸洗槽は大容量であり、その酸洗槽内での濃度調整には長時間かかるために処理能率が悪いのみならず、用いられる混酸の酸洗速度が高いために孔食が多発し、表面欠陥除去後の鋼板の表面性状が著しく悪くなるためである。
【0011】
また、後者の2件の公報に示される方法は、いずれの公報にも用いる酸液の種類についての記述はないものの、その酸液は前記の硫酸水溶液や硝弗酸水溶液を用いる脱スケールのみを目的とした方法であり、脱スケールとヘゲ疵などの表面欠陥を同じ処理ライン内で高能率かつ低コストに除去する方法については示されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、脱スケール処理後のステンレス鋼板の表面に存在しているヘゲ疵や粒界溝などの表面欠陥を、多大な手入工数が必要でコスト高につくコイルグラインダーによる研削やバフ研磨仕上げなどの手段によるのでなく、酸洗処理によって高能率かつ低コストに除去することが可能で、しかも表面性状に優れた製品が得られるステンレス鋼板の表面処理方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、後述の知見に基づいて完成されたもので、その要旨は次のステンレス鋼板の表面処理方法にある。
【0014】
焼鈍処理を施したステンレス鋼板の表面処理方法であって、機械的または/および化学的な脱スケール手段を用いて鋼板表面の酸化スケールを面積率で70%以上除去した後、1リットル当たり、硝酸20〜500g、塩酸50〜100g、およびふっ化水素酸1〜40gを含む混酸水溶液を用い、脱スケール処理後の鋼板表面に存在している表面欠陥を除去する酸洗処理を施すステンレス鋼板の表面処理方法。
【0015】
上記の本発明の方法においては、脱スケール処理後に施す酸洗処理に際しては、脱スケール処理後の鋼板表面に存在している表面欠陥を表面検査装置を用いて検出し、その検出結果に基づいて混酸水溶液による酸洗量を制御するのが好ましい。
【0016】
本発明者らは、上記の課題を達成するために鋭意実験研究を行った結果、次のことを知見した。
【0017】
ステンレス鋼板のヘゲ疵や粒界溝などの表面欠陥は、従来から用いられている酸液よりも母材の溶解能力が大きくい酸液、すなわち、1リットル当たり、硝酸(HNO3 )20〜500g、塩酸(HCl)50〜300g、およびふっ化水素酸(HF)1〜50gを含む混酸水溶液を用いることで、表面欠陥除去後の鋼板の表面性状を悪化させることなく、高能率に除去できる。この時、鋼板表面の酸化スケールは、面積率で70%以上除去されていれば十分である。
【0018】
上記の混酸水溶液は、第1行程の脱スケール処理に用いることができるが、この場合には脱スケールに要する酸の消費量が著しく増加し、かえってコスト高につく。しかし、ステンレス鋼板表面の酸化スケールが面積率で70%以上除去された鋼板の表面欠陥の除去に用いる場合には、脱スケールに要する酸の消費量が少なくてすむ。
【0019】
酸化スケールの除去手段は、機械的な脱スケール方法と化学的な脱スケール方法のいずれでもあってもよく、さらには両者の複合処理であってもよい。
【0020】
なお、上記の混酸を酸化スケールの酸洗除去に用いた場合に、その消費量が著しく増加する理由は次のように推定される。すなわち、ステンレス鋼板の酸洗による脱スケール処理では、Cr酸化物を主成分とする酸化スケールが酸に溶解しにくいために、母材と酸化スケールの界面に生じたCr欠乏層部分が酸で溶解されて酸化スケールが母材から剥離することによって除去されると考えられている。この時、上記の本発明で用いる混酸のように、塩酸の濃度が高く、母材の溶解速度が極めて速い酸を用いた場合には、酸による溶解がCr欠乏層のみに留まらず、母材の溶解が進むためと推定される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の方法において、その処理条件を上記のように定めた理由について説明する。
【0022】
本発明においては、第1工程で、ステンレス鋼板の表面に生成付着している酸化スケールを、通常の機械的または/および化学的な方法を用いて面積率で70%以上除去する。これは、前述したように、上記組成の混酸を用いて脱スケール処理すると多量の混酸が必要になり、かえってコスト高につくためである。
【0023】
ここで、脱スケールの面積率が70%未満であると、後述する第2行程での酸液の消費量が著しくなる。また、第2行程の酸洗処理に際し、脱スケール処理後の鋼板表面に存在している表面欠陥を表面検査装置を用いて検出する場合の検出精度が著しく低下する。このため、本発明では、第1行程での脱スケール面積率を70%以上と定めた。なお、望ましい脱スケール面積率は90%以上である。
【0024】
上記第1工程の脱スケール方法は、前述したように、機械的な脱スケール方法または化学的な脱スケール方法のいずれでもあってもよく、さらには両者の複合処理であってもよい。
【0025】
化学的な脱スケール方法は、従来、一般に使用されている、1リットル当たり、硝酸50〜100gおよびふっ化水素酸10〜30gを含む硝弗酸水溶液による酸洗処理で十分である。また、1リットル当たり、硫酸100〜300gの硫酸水溶液による酸洗処理や、前述した特開平6−65765号公報に示される濃度の硝酸、ふっ化水素酸および塩酸を含む混酸水溶液による酸洗処理であってもよい。
【0026】
酸洗方法は、浸漬法またはスプレー法のいずれであってもよいが、浸漬法を用いる場合には槽内の酸液を積極的に撹拌流動させる液流動法を採用して脱スケール速度を高めるのが好ましい。
【0027】
また、機械的な脱スケール方法は、これも従来、一般に使用されているブラスト処理やブラシ研削処理、および砥石研削処理などで十分である。
【0028】
次に、第2工程の表面欠陥の除去に用いる混酸の組成を上記のように定めたのは、次の理由による。
【0029】
ヘゲ疵や粒界溝などの表面欠陥を高能率に除去するためには、ステンレス鋼板母材の溶解速度が速い酸液、具体的には母材の溶解減量が20g/m2 ・min以上の酸液を用いる必要がある。しかし、硝酸の濃度が20g/リットル未満、塩酸の濃度が50g/リットル未満、ふっ化水素酸の濃度が1g/リットル未満では、上記の必要な溶解速度が確保できず処理効率が低下する。
【0030】
一方、硝酸の濃度を500g/リットル超、塩酸の濃度を300g/リットル超、ふっ化水素酸の濃度を50g/リットル超にしても、その効果は変わらず、蒸発による消費量が多くなるだけコスト上昇を招く。
【0031】
以上のことは、焼鈍処理後にその表面の酸化スケールが完全に除去された板厚3.5mmのSUS304製熱延鋼板から採取した幅50mm、長さ100mmの試験片を対象に行った実験結果を示す図1〜図3から明らかである。
【0032】
すなわち、図1〜図3は、1リットル当たり、硝酸100g、塩酸100g、ふっ化水素酸20gの組成で、液温が60℃の基準酸液を用い、この基準酸液中のいずれか1つの酸の濃度を種々変えた酸液で上記の試験片を酸洗処理した場合における母材の溶解減量を示し、図1は硝酸のみの濃度、図2は塩酸のみの濃度、図3はふっ化水素酸のみの濃度、を変化させた場合を示している。
【0033】
図1〜図3に明らかなように、硝酸の濃度が20g/リットル未満、塩酸の濃度が50g/リットル未満、ふっ化水素酸の濃度が1g/リットル未満では、いずれの場合も所望の溶解速度が確保できないことがわかる。また、硝酸の濃度を500g/リットル超、塩酸の濃度を300g/リットル超、ふっ化水素酸の濃度を50g/リットル超では、いずれの場合も効果が飽和し、蒸発量が多くなることがわかる。
【0034】
なお、塩酸については、その濃度が50g/リットル未満であると、後述する実施例からわかるように、結晶粒内に孔食が発生しやすくなり、表面欠陥除去後の鋼板の表面性状が悪化するようになる。
【0035】
したがって、本発明においては、1リットル当たり、硝酸20〜500g塩酸、50〜300g、およびふっ化水素酸1〜50gを含む混酸水溶液を用いることにした。
【0036】
この混酸水溶液による表面欠陥の酸洗除去方法は、浸漬法またはスプレー法のいずれであってもよく、その効果は何ら変わらない。
【0037】
なお、混酸水溶液の液温は、特に規定する必要はないが、40〜70℃とするのが好ましい。これは、40℃未満の液温では反応が遅く、表面欠陥が残存しやすくなり、逆に70℃超では酸の蒸発量が多くなるほか有害なNOX ガスの環境中への放出量が増加するためである。
【0038】
その際、検査手段に光学的手段により撮影された画像を処理対称とする画像処理法あるいは欠陥の深さが検出可能な超音波法や渦流法などを用いた公知の表面検査装置によって酸化スケール除去後の鋼板表面に存在しているヘゲ疵や粒界溝などの表面欠陥とその深さを検出し、その検出結果に基づいて酸洗量を制御するのが好ましく、この場合には酸の消費量をより効果的に抑制することができる。
【0039】
酸洗量の制御は、酸洗方法が浸漬法の場合には、鋼板を酸洗槽に浸漬させるための浸漬ロールの上下位置を変えたりライン速度を変えたりして浸漬時間を変化させるなどすればよい。また、酸洗方法がスプレー法の場合には、スプレー装置からの混酸水溶液の噴流量や噴射圧力を変化させるなどすればよい。
【0040】
【実施例】
《実施例1》
表1に示す組成を有する8種類の酸液と、板厚3.5mmのSUS304製の熱延コイルを準備した。
【0041】
【表1】
Figure 0004316034
【0042】
上記の熱延コイルは、焼鈍行程と酸洗行程を備えた実機設備を用い、焼鈍処理を施す一方、表1中の符号Aの酸液を用いて脱スケール処理を施し、その表面の酸化スケールを完全(脱スケール率100%)に除去した。
【0043】
脱スケール処理後の熱延コイルは、これを展開して表面観察を行い、表面欠陥が存在する部分から100mm角の試料を採取した。採取した試料は、超音波探傷装置を用いて表面欠陥の深さを測定して5種類(6±0.5μm、7±0.5μm、8±0.5μm、9±0.5μm、10±0.5μm)に分類し、各グループから4枚、合計20枚1組の表面欠陥酸洗除去用の試料組を9組準備した。
【0044】
準備した各試料組は、表1に示す9種類の酸液のうちのいずれか1種を用い、液温60℃、酸洗時間60秒の条件で酸洗処理し、次いで、表面粗さがJIS B 0601に規定されるRaで0.15μm、外径300mmのロールを備えた冷間圧延機により圧下率50%の冷間圧延を施して冷延鋼板試料とした。
【0045】
そして、得られた冷延鋼板試料の表面を目視観察し、表面欠陥の残存している試料個数(疵の残存個数)と孔食の発生による表面光沢劣化の有無を調べ、その結果を、表1に併せて示した。
【0046】
表1から明らかなように、本発明で規定する範囲内の組成を有する酸液(符号B〜F)を用いた場合には、すべての冷延鋼板試料に表面欠陥は残存しておらず、冷間圧延前の酸洗処理で完全に除去されていた。
【0047】
これに対し、組成が本発明で規定する範囲から外れる酸液(符号AおよびG〜I)を用いた場合には、5〜18個の冷延鋼板試料に表面欠陥が残存しており、冷間圧延前の酸洗処理で完全に除去されていなかった。また、塩酸の濃度が低い符号Gの酸液を用いた場合には、結晶粒内の孔食が発生して表面光沢の劣化が認められた。
【0048】
《実施例2》
実施例1で準備したのと同じ熱延コイルを準備し、焼鈍行程と酸洗行程を備えた実機設備の焼鈍行程のみを用いて焼鈍処理した後熱延コイルから100mm角の試料を採取した。
【0049】
そして、採取した試料表面の酸化スケールを、表1中の符号AとBの酸液(液温60℃)を用いて面積率で70%酸洗除去し、使用後の酸洗液中の鉄量を測定することにより、酸液の消費量比較を行った。
【0050】
その結果、使用後の符号Aの酸液中の鉄量を100とした場合、符号Aの酸液中の鉄量は163と多かった。これは、本発明の第2工程(表面欠陥の酸洗除去工程)で用いる酸液で脱スケール処理を行うと、従来から酸洗脱スケール処理に用いられている酸液(符号A)に比べ、その消費量が1.5以上になってコスト上昇を招くことを意味している。
【0051】
《実施例3》
実施例2で用いたのと同じ酸化スケール付きの試料を準備し、表1中の符号Aの酸液(液温60℃)を用いて種々の面積率(50〜100%)の脱スケール処理を施した後、その表面を超音波探傷して深さが7±0.5μmの表面欠陥が検出された試料を抽出し、表面欠陥酸洗除去用の試料を得た。
【0052】
また、第1工程の脱スケール処理をブラシ研削で行い、上記と同様に、面積率で70%の脱スケール処理を施した以外は上記と同様の表面欠陥酸洗除去用の試料も得た。
【0053】
得られた面欠陥酸洗除去用の各試料は、表1中の符号Bの酸液(液温60℃)を用い、酸洗時間を種々(20〜60秒)変えて酸洗処理した後、実施例1の場合と同様の冷間圧延を施して冷延鋼板試料とした。
【0054】
その際、得られた冷延鋼板試料の表面を目視観察し、表面欠陥が観察されなくなった場合における使用後の酸液(符号B)中の鉄量を測定することにより、その消費量の比較を行った。その結果を、酸洗方法および脱スケール率(面積率)と併せて表2示した。なお、表2中に示す鉄溶出率は、試番3の鉄溶出量を100とし、これに対する比率である。
【0055】
【表2】
Figure 0004316034
【0056】
表2から明らかなように、第1工程での脱スケール率が本発明で規定する70%以上の場合(試番3〜10)の鉄溶出率は98〜109であった。これに対して、第1工程での脱スケール率が本発明で規定する範囲を外れる70%未満の場合(試番1と2)の鉄溶出率は143〜153と高かった。
【0057】
これは、第1工程での脱スケール率が面積率で70%未満の場合には、第2工程で用いる酸液が本発明で規定する組成を有する酸液であっても、面積率で70%以上の脱スケールが施されたものを処理する場合に比べ、その消費量が1.4倍以上になってコスト上昇を招くことを意味している。
【0058】
《実施例4》
実施例1で準備したのと同じ熱延コイルを準備した。また、焼鈍行程と3つの槽からなる酸洗行程を備え、酸洗工程の第1の槽には表1中の符号4の酸液(液温60℃)、第2と第3の槽には表1中の符号Bの酸液(液温60℃)を満たした実機設備を準備した。
【0059】
そして、準備した熱延コイルに焼鈍工程で焼鈍処理をした後、酸洗工程の第1の槽で第1工程の脱スケール処理を施すとともに、第2と第3の槽で第2工程の表面欠陥の酸洗除去処理を施す製造実験を行った。
【0060】
この時、酸洗工程の第1の槽の出側に超音波探傷装置を配置して表面欠陥の深さを検出し、その検出結果に基づいて第2の槽のみの浸漬ロールまたは第2と第3の両方の槽の浸漬ロールの上下位置を調整して浸漬時間を変化(20〜48秒)させて表面欠陥の完全除去を行った。また、比較のために、最も深い表面欠陥を想定し、第2の槽と第3の槽における浸漬時間を一定(48秒)に設定して表面欠陥を完全除去することも行った。
【0061】
なお、ライン速度は、酸洗工程の第1の槽での脱スケール処理の脱スケール率が面積率で70%以上の90%になる一定の速度に設定した。
【0062】
その結果、表面欠陥の深さが最も深い場合における浸漬時間48秒一定で表面欠陥の完全除去を行う場合に比べ、表面欠陥の深さに応じて浸漬時間を変化させた場合には、第2工程で用いた酸液の消費量が26%も少なくて済んだ。
【0063】
【発明の効果】
本発明の方法では、ステンレス鋼板の表面に存在しているヘゲ疵や粒界溝などの表面欠陥の除去手段に、低能率でコスト高につくコイルグラインダーなどによる研削手段やバフ研磨に代えて、非常に高能率な酸洗手段を採用したので、生産性が向上し、コスト低減が図れる。
【0064】
また、表面欠陥の酸洗除去に際し、表面検査装置を用いて表面欠陥を検出し、その検出結果に基づいて酸洗除去量を制御する場合には、酸洗液の使用量を抑制することができので、さらなるコスト低減が図れる。
【0065】
第1工程の脱スケール処理に酸洗手段を採用する場合には、同一の酸洗ラインで脱スケールと表面欠陥とを除去することができるので、生産性が大幅に向上し、より一層のコスト低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】硝酸濃度と母材の溶解減量(酸洗速度)との関係を示す図である。
【図2】塩酸濃度と母材の溶解減量(酸洗速度)との関係を示す図である。
【図3】ふっ化水素酸濃度と母材の溶解減量(酸洗速度)との関係を示す図である。

Claims (2)

  1. 焼鈍処理を施したステンレス鋼板の表面処理方法であって、機械的または/および化学的な脱スケール手段を用いて鋼板表面の酸化スケールを面積率で70%以上除去した後、1リットル当たり、硝酸20〜500g、塩酸50〜100g、およびふっ化水素酸1〜40gを含む混酸水溶液を用い、脱スケール処理後の鋼板表面に存在している表面欠陥を除去する酸洗処理を施すことを特徴とするステンレス鋼板の表面処理方法。
  2. 上記の混酸水溶液による酸洗処理に際し、脱スケール処理後の鋼板表面に存在している表面欠陥を表面検査装置を用いて検出し、その検出結果に基づいて混酸水溶液による酸洗量を制御することを特徴とする請求項1に記載のステンレス鋼板の表面処理方法。
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