JP6173514B1 - フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱間圧延工程で生じた酸化スケールを除去し、かつ、美麗な表面のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】熱間圧延後のフェライト系ステンレス鋼板の表面に形成されたスケールをメカニカルデスケールする工程と、メカニカルデスケール後のフェライト系ステンレス鋼板の表面を酸洗処理する第1酸洗処理工程と、第1酸洗処理工程後のフェライト系ステンレス鋼板の表面をブラシ研削する工程と、ブラシ研削後のフェライト系ステンレス鋼板の表面を、塩化第2鉄を含有する酸洗溶液を用いて酸洗処理する第2酸洗処理工程と、を備える、フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、フェライト系ステンレス鋼板の製造方法に関する。
ステンレス鋼の熱間圧延鋼板(ホットコイル)の表面には、Fe、Cr、Mn、Siなどの酸化物からなる酸化スケールが生成している。熱間圧延後には、焼鈍・酸洗ラインにて熱延板焼鈍及びスケール除去のためのデスケールが行われる。デスケール工程では、スケールブレーカーやショットブラストなどのメカニカルデスケーリングの後、硫酸、塩酸、硝弗酸などの酸液への浸漬及びブラシによる研削によるデスケールが一般的に行われている。
例えば、特許文献1には、熱間圧延ステンレス鋼板の脱スケール方法として、鋼板表面を適度に粗らしスケールを割るためのメカニカルデスケールを行った後に、割れたスケールを剥離しやすくするための局部腐食を伴わない酸による予備酸洗工程、スケールを除き所要の表面性状を得るためのブラシによる研削工程、及び、表面に残る切粉を除き不動態化するための弱い作用の酸による本酸洗工程を含む方法が記載されている。
特許文献2には、熱間圧延後の鋼材の酸化スケール除去として、酸化スケールを研削して除去する研削ブラシと、研削後に硝塩酸溶液で酸洗し、酸化スケールを除去する方法が記載されている。
特許文献3には、ステンレス鋼帯の製造方法として、ステンレス熱延焼鈍鋼帯の表面にショットブラスト処理を施し、酸洗処理によって脱スケールを行う方法が記載されている。
特開昭53−108830号公報 特開平10−324985号公報 特開2014−172077号公報
しかしながら、従来の酸化スケールの除去処理では、酸化スケールが十分に除去できない、あるいは、表面が平滑にデスケールできないため最終製品の表面品質が劣るといった問題があった。
例えば、特許文献1においては、本酸洗工程において弱い作用の酸を用いている。このため、Cr含有率が高いフェライト系ステンレス鋼板の場合には、メカニカルデスケールによって生じたステンレス鋼板表面におけるバリを十分に溶解させることができない。このため、特許文献1に記載の酸化スケール除去方法では、フェライト系ステンレス鋼板表面に対し、平滑にデスケールできないという問題があった。
また、酸化スケールの除去において、例えば、熱間圧延鋼板の表面をショット処理後に砥粒入りブラシなどで研削する方法がある。図1は、酸化スケール除去におけるフェライト系ステンレス鋼板の表面形態の変化を示す模式図であり、図1(a)〜図1(d)においてはそれぞれの図の右側に断面形状も示している。例えば、熱間圧延鋼板の表面は、ショットブラストにより、厚み方向側に窪んだショット痕Aが形成されている(図1(a)参照)。この熱間圧延鋼板の表面に砥粒入りブラシなどで研削処理を行うと、ショット痕Aの周囲にはバリBが発生する(図1(b)参照)。このバリは、中間圧延後にも残存し(図1(c)参照)、仕上げ圧延後の最終製品においてはカサブタ状の欠陥C(厚み方向側への切り込み)として残存する(図1(d)参照)。なお、図1(a)〜図1(d)における縦線は、圧延でのロール目を示している。
一方、熱延板のデスケール工程にて発生するショット痕A周囲のバリBを次工程以降で、研磨ベルトなどによる機械研磨で除去することも可能である。しかし、研磨後の表面には研磨目Dが残存する(図1(e)参照)。この研磨目から中間の冷間圧延時に微細な割れEが発生し(図1(f)参照)、仕上げ圧延後の最終製品においてスクラッチ状の欠陥Fとして残存する(図1(g)参照)。なお、図1(e)における縦線は研磨目を示しており、図1(f)、図1(g)における縦線は圧延でのロール目を示している。
以上のように、ショット痕周囲のバリや研磨目が最終製品の表面欠陥となり、美麗な表面のステンレス鋼板が得られないという問題があった。
本発明は、上述した課題を解決し、熱間圧延工程において生じた酸化スケールを除去し、かつ、美麗な表面のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、熱間圧延工程で生じた酸化スケールを除去し、かつ、ショット痕周囲のバリが生成しない、最終製品の表面が美麗なフェライト系ステンレス鋼板を提供することができる、フェライト系ステンレス鋼板の製造方法を見出した。また、本方法によると、熱延板焼鈍酸洗工程後にショット痕周囲のバリが無く表面の機械研磨を行う必要が無いため、研磨目起因の微細な割れやスクラッチ状欠陥も発生しない採取製品の表面が美麗なフェライト系ステンレス鋼板を提供することが可能である。
すなわち、酸化スケールが生じたフェライト系ステンレス鋼板の表面にメカニカルデスケールを行い、次いで第1酸洗処理及びブラシによる研削を行い、第2酸洗処理を行うという工程を複合的に組み合わせることによる酸化スケールの除去方法を見出した。
本発明は、以下の(1)〜(8)のフェライト系ステンレス鋼の製造方法を提供する。
(1)熱間圧延後のフェライト系ステンレス鋼板の表面に形成されたスケールをメカニカルデスケールする工程と、メカニカルデスケール後のフェライト系ステンレス鋼板の表面を酸洗処理する第1酸洗処理工程及び第1酸洗処理工程後のフェライト系ステンレス鋼板の表面をブラシにより研削する工程と、研削後のフェライト系ステンレス鋼板の表面を、塩化第2鉄を含有する酸洗溶液を用いて酸洗処理する第2酸洗処理工程と、を備える、フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
(2)第2酸洗処理工程における酸洗溶液中の塩化第2鉄の濃度が、200〜500g/Lである、(1)記載のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
(3)第2酸洗処理工程におけるフェライト系ステンレス鋼板の酸洗溶液への浸漬時間が1.5〜6分である、(1)又は(2)記載のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
(4)第2酸洗処理工程における酸洗溶液中の塩化第1鉄の濃度が、300g/L以下である、(1)〜(3)のいずれか記載のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
(5)第2酸洗処理工程後に、硝酸およびフッ酸を含む混酸による酸洗処理を行う、(1)〜(4)のいずれか記載のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
(6)第1酸洗処理工程の酸洗処理に用いる酸洗溶液が塩化第2鉄を含有する、(1)〜(5)のいずれか記載のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
(7)第2酸洗処理工程後にブラシによる研削を行わない、(1)〜(6)のいずれか記載のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
(8)フェライト系ステンレス鋼板のCr含有量が17質量%以上である、(1)〜(7)のいずれか記載のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
本発明によれば、熱間圧延工程後に生じた酸化スケールを除去し、かつ、美麗な表面のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法を提供することができる。
酸化スケール除去におけるフェライト系ステンレス鋼板の表面形態の変化を示す模式図である。 本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法の一例のプロセスフローである。 本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板の製造装置の一例を示す図である。 第2酸洗処理における塩化第2鉄濃度とメタル溶解量との関係を示す図である。 塩化第1鉄濃度と、メタル溶解量との関係を示す図である。 塩化第1鉄濃度と、塩化第2鉄含有溶液への浸漬時間、メタル溶解量との関係を示す図である。 デスケール後のフェライト系ステンレス鋼板の表面形態の観察結果の模式図である。
以下に本発明を実施するための形態について説明する。なお、本発明は当該実施形態によって限定的に解釈されるものではない。
本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法は、熱間圧延後のフェライト系ステンレス鋼板の表面に形成されたスケールをメカニカルデスケールする工程と、メカニカルデスケール後のフェライト系ステンレス鋼板の表面を酸洗処理する第1酸洗処理工程及び第1酸洗処理工程後のフェライト系ステンレス鋼板の表面をブラシにより研削する工程と、研削後のフェライト系ステンレス鋼板の表面を、塩化第2鉄を含有する酸洗溶液を用いて酸洗処理する第2酸洗処理工程と、を備える、フェライト系ステンレス鋼板の製造方法である。
図2は、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法の一例のプロセスフローである。図2には、プロセスフローとして、ステップ1〜ステップ11の工程が記載されている。また、図3は、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板の製造装置の一例を示す図である。図3には、酸化スケール除去装置が記載されている。以下、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法について、図2及び図3を用いて説明する。
(スケールブレーカー処理)
熱間圧延においては、フェライト系ステンレス鋼板21の表面に酸化スケールが生成する。このため、本実施形態においては、鋼板にメカニカルデスケールを施す。メカニカルデスケールとしては、スケールブレーカー処理又はショットブラスト処理を行うことが好ましく、スケールブレーカー処理後にショットブラスト処理を行うことがより好ましい。図2、図3においては、スケールブレーカー部1においてスケールブレーカー処理が行われる(ステップ1)。
スケールブレーカー部1においては、搬送ローラー7により、フェライト系ステンレス鋼板21の曲げ曲げ戻し加工が行われる。これにより、フェライト系ステンレス鋼板21の表面のスケールに亀裂が入り、クラックが生じる。亀裂が入ったスケールは、酸の浸透が容易になり、スケール/メタル界面のメタルを溶解するため、次のステップ3以降の工程によって、除去されやすくなる。
(ショットブラスト処理)
ステップ1においてスケールブレーカー処理されたフェライト系ステンレス鋼板21は、ショットブラスト部2において、ショットブラスト処理される(ステップ2)。具体的には、ショットブラスト部2における投射装置8によって、フェライト系ステンレス鋼板21の表面に投射材が投射され、ステップ1で亀裂が入った酸化スケールにさらなる衝撃が加えられ、スケールの亀裂の進展及びスケールの剥離が促進され、酸の浸透が容易になり、酸洗工程でデスケールし易くなる。
ショットブラスト処理における、投射材の平均粒径は、0.1〜1.2mm、投射速度は30〜100m/s、投射量は30〜200Kg/mであることが好ましい。ショットブラスト処理における投射材の平均粒径、投射速度、投射量が、上記範囲にあることによって、ステンレス鋼板表面の酸化スケールが除去されやすくなる傾向にある。投射材の材質は、鉄、アルミナ、SiC、セラミックスなどの硬質粒子が望ましく、いずれを使用してもよい。
(第1酸洗処理工程)
ショットブラスト処理されたフェライト系ステンレス鋼板21は、第1酸洗槽3で第1酸洗処理が行われる(ステップ3)。当該第1酸洗処理によって、フェライト系ステンレス鋼板21の表面上に存在する酸化スケールの少なくとも一部が除去される。
前記第1酸洗処理工程の酸洗処理に用いる酸洗溶液(第1酸洗槽3中の酸洗溶液9)は、酸化スケールを除去できる溶液であれば特に限定されず、硫酸でも硝酸でもよく、硝酸とフッ酸とを含む混酸を用いてもよい。好ましくは、塩化第2鉄を含有する酸洗溶液である。第1酸洗処理工程で用いる酸洗溶液が、塩化第2鉄を含有することによって、酸化スケールとメタルの界面においてメタルを溶かすことにより、フェライト系ステンレス鋼板21の表面上に存在する酸化スケールを効率的に除去することができる。
(ブラシ研削工程)
第1酸洗処理工程において酸洗処理されたフェライト系ステンレス鋼板21は、ブラシ研削部4において、ブラシ研削処理が行われる(ステップ4)。ブラシ研削処理を行うことによって、フェライト系ステンレス鋼板21の表面上に残存する酸化スケールを除去することができる。
ブラシ研削部4において用いられるブラシ10は、砥粒ブラシ又はダイヤモンドブラシを用いることが好ましい。砥粒ブラシ又はダイヤモンドブラシを用いることによって、フェライト系ステンレス鋼板21の表面上に存在する酸化スケールをより効率的に除去することが可能となる。
(第2酸洗処理工程)
ステップ4のブラシ研削工程により、フェライト系ステンレス鋼板21の表面上の酸化スケールの大部分が除去される。しかし、ブラシ研削工程によって、フェライト系ステンレス鋼板21の表面のショット痕の周囲にバリが発生してしまう。このため、ブラシ研削処理されたフェライト系ステンレス鋼板21は、第2酸洗槽5で第2酸洗処理が行われる(ステップ5)。当該第2酸洗処理によって、フェライト系ステンレス鋼板21の表面上に生じたバリが溶解し、平滑な表面のフェライト系ステンレス鋼板21が得られる。
第2酸洗槽5内に収容されている酸洗溶液11は、塩化第2鉄を含有している。塩化第2鉄を含有する酸洗溶液11を第2酸洗処理工程において用いることによって、フェライト系ステンレス鋼板21の表面上に生じたバリを溶解することが可能となる。
以下に、第2酸洗槽中における酸濃度について説明する。
(塩化第二鉄溶液濃度)
図4に塩化第二鉄溶液濃度と19Crステンレス鋼のメタル溶解量の関係を示す。図4は、19Crステンレス鋼の冷延板サンプルを常温の塩化第二鉄溶液中へと浸漬し、単位時間・単位面積当たりの重量変化を求めたものである。図4に示す通り、メタル溶解量は塩化第二鉄濃度が300g/L付近で極大値を示しているのがわかる。塩化第二鉄濃度が高すぎても低すぎてもメタル溶解量は減少するため、本実施形態においてはバリの溶解を効果的に行うことを目的として、塩化第二鉄の濃度範囲を「200〜500g/L」と定めた。
(塩化第二鉄溶液中の塩化第一鉄濃度)
塩化第二鉄溶液中には、酸洗で溶け出したFe3+イオンがFe2+へと還元され、塩化第二鉄溶液中に塩化第一鉄が存在する。よって、塩化第二鉄溶液中の塩化第一鉄濃度がメタル溶解量に及ぼす影響はきわめて重要となる。図6に塩化第二鉄溶液中の塩化第一鉄濃度がメタル溶解量に及ぼす影響を示す。図5は、19Crステンレス鋼の冷延板サンプルを常温の塩化第二鉄溶液中(300g/L)へと浸漬し、単位時間・単位面積当たりの重量変化を求めたものである。図5に示す通り、塩化第一鉄濃度が増えるに従いメタル溶解量が減少しているのが確認できる。塩化第一鉄濃度が高くなりすぎるとメタル溶解量は減少するため、本発明においてはバリの溶解を効果的に行うことを目的として、塩化第一鉄濃度の範囲を「300g/L以下」と定めた。
(第2酸洗処理工程の酸洗溶液への浸漬時間)
溶液中の塩化第二鉄濃度及び塩化第一鉄濃度は前述したとおりであるが、スケールの除去とバリの溶解を行う観点からは長時間酸洗することが好ましい。しかし、長時間の酸洗は過酸洗となり、表面に微細な凹凸や粗大なピットが生じることとなり、最終製品で美麗な表面が得られないことが判明した。そこで、19Crステンレス鋼熱延板を焼鈍、メカニカルデスケール、第一酸洗処理およびブラシ研削までを行ったデスケール途中のサンプルを作成し、バリの溶解の確認実験を行った。図6にフェライト系ステンレス鋼のメタル溶解量に及ぼす酸洗溶液中への浸漬時間の影響を示す。図6は、デスケール途中のバリのあるサンプルを常温の塩化第二鉄溶液中(300g/L)へと浸漬し、単位面積当たりの重量変化を求めたものである。重量変化とバリの溶解の関係を確認したところ、メタル溶解量が0.5g/cm相当でバリの溶解が可能であることがわかった。酸洗溶液中の塩化第一鉄濃度が300g/Lの際のバリの溶解に必要な浸漬時間は1.5分なので、浸漬時間の下限を「1.5分」と定めた。また、長時間の浸漬を行い、メタル溶解量が2g/cmを超えると、表面の微細な凹凸や粗大なピットが発生することが判明した。酸洗溶液中の塩化第一鉄濃度が0g/Lの際の表面の微細な凹凸や粗大なピットが発生する浸漬時間は6分を超える時間であるため、浸漬時間の上限を「6分」と定めた。
また、Cr含有量が低いフェライト系ステンレス鋼板においては、酸洗時のメタル溶解量が高く、通常の酸洗方法でもバリの溶解が可能なケースがある。Cr含有量が高くなるほどメタル溶解量が減少し、Cr含有量が17質量%以上だと通常の酸洗方法ではバリの溶解が困難となる。Cr含有量が17質量%以上の場合は、本発明による第二酸洗条件にてバリを溶解することが可能となる。よって、本発明を適用する鋼種のCr濃度を17質量%以上と規定した。
(混酸酸洗処理工程)
ステップ5の第2酸洗処理工程後には、硝酸とフッ酸を含む混酸による酸洗処理工程を行うことが好ましい(ステップ6)。第2酸洗処理工程後に混酸槽6にフェライト系ステンレス鋼板21を浸漬させる酸洗処理を行うことによって、残存するスケールの除去と表面の不働態化が促進され、表面平滑性により優れたフェライト系ステンレス鋼板21を得ることが可能となる。
混酸溶液におけるフッ酸の濃度は、3〜50g/Lであることが好ましい。混酸溶液のフッ酸濃度が当該範囲であることによって、酸化スケールの除去性能が向上する傾向にある。
混酸溶液における硝酸の濃度は、30〜150g/Lであることが好ましい。混酸溶液の硝酸濃度が当該範囲であることによって、酸化スケールの除去性能が向上する傾向にある。
また、混酸溶液中のFeイオン量は、60g/L以下に管理していれば酸洗処理として問題は無い。
本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法においては、第2酸洗処理工程後に砥粒入りブラシやダイヤモンドブラシなどで研削を行わない。第2酸洗処理工程後にブラシ研削を行うと、バリが再発生し、表面平滑性に優れたフェライト系ステンレス鋼板21を得られない。一方、表面を研削せずバリが発生しないナイロンブラシでの表面のブラッシングは、表面に付着するスケールやスマット等の除去効果があるため行うことが好ましい。
(表面欠陥)
本実施形態において、表面欠陥の判定を行う場合には、熱間圧延板をデスケールした後の表面における、バリ、エッチピット、スケール残によって評価を行うことができる。
バリの評価は、デスケール後の表面に残存するショット痕を10個以上電子顕微鏡にて観察し判定する。
バリのあるショット痕の数:0個・・・・A判定
バリのあるショット痕の数:1〜3個・・・B判定
バリのあるショット痕の数:4〜6個・・・・C判定
バリのあるショット痕の数:7個以上・・・D判定
上記判定方法で、AおよびB判定の場合に、最終製品において表面欠陥が抑制されたと判定する。また、本実施形態においては、過酸洗により巨大なエッチピットが発生するケースもあるが、20μm以上の大きさのエッチピット(腐食孔)が形成された場合、表面の酸洗ムラも大きく、エッチピット起因の表面欠陥も発生することから、最終製品において美麗な表面とならなかったものと判定する。スケール残については、電子顕微鏡にて反射電子組成像などの観察にて確認する。
図7にデスケール後の表面形態の観察結果の模式図を一例として示す。図7(a)はバリがない最適なデスケールが行われたものである。図7(b)はデスケール後にバリBが残存したものである。図7(c)は過酸洗状態になり巨大なエッチピットGが発生したものである。図7(d)はデスケール後にスケールが残存したもの(スケール残H)である。
以下に本発明の実施例を記載する。なお、本発明は当該実施例によって限定的に解釈されるものではない。
表1に示す化学組成のステンレス鋼を電気炉、転炉、真空脱ガス工程にて溶製し、連続鋳造してスラブを得た。次いで、連続鋳造スラブを通常の方法で熱間圧延し熱間圧延鋼板を製造した。この熱間圧延鋼板を出発材料として、焼鈍酸洗ラインにてデスケールを行った。
熱間圧延鋼板の焼鈍酸洗ラインでのデスケールは、まず、1000〜1100℃×均熱時間0secの焼鈍を行い、次いで、曲げ曲げ戻し加工によるスケールブレーカー処理を実施し、さらにショットブラスト処理を実施した。投射材は鉄球を用い、平均粒径は0.3mm、投射速度は40〜80m/sec、投射量は30〜200kg/mとした。
次いで、塩化第二鉄溶液からなる第1酸洗槽に0.5〜3分浸漬させ、第1酸洗処理を行った。第1酸洗槽中の酸洗溶液における塩化第2鉄の含有量は300g/L、塩化第一鉄100g/Lであり、液温は25℃であった。
次に、ブラシ研削処理によるデスケールを行った。ブラシとしてはダイヤモンドブラシを用いた。
第2酸洗処理は表2に示す条件で行った。第二酸洗後は、硝酸とフッ酸を含む混酸槽に1〜3分間浸漬させ、混酸による酸洗処理を行った。混酸溶液におけるフッ酸の濃度は6g/Lであり、硝酸の濃度は60g/Lであった。また、Feイオン濃度は60g/L以下であった。
上述の測定方法により、デスケール後の表面品質を評価した。評価結果を表2に示す。
表2に示すとおり、試験体No.1〜5においては、ショット痕周囲のバリの評価結果がB以上であり、エッチピットは存在せず、スケール残りも確認されなかった。また、最終製品で美麗な表面のステンレス鋼板が得られた。
また、試験体No.6〜10として、第2酸洗処理を表3に示す条件にした以外は、試験体No.1〜5と同様にして、デスケールを行った。
表3の試験体No.6及び7は、例えば上記試験体No.1及び2よりもバリ判定が劣り、第2酸洗処理工程における酸洗溶液中の塩化第2鉄濃度は200〜500g/Lが好ましいことが示唆された。試験体No.8は、例えば上記試験体No.4よりもバリ判定が劣り、第2酸洗処理工程における酸洗溶液中の塩化第1鉄の濃度は300g/L以下が好ましいことが示唆された。試験体No.9は、例えば上記試験体No.2よりもバリ判定が劣り、試験体No.10は、例えば上記試験体No.1よりもエッチピット判定が劣り、第2酸洗処理工程における酸洗溶液中の浸漬時間は1.5〜6分が好ましいことが示唆された。
また、第2酸洗処理工程後のブラシによる影響を評価するために、表4の条件で行った以外は上記試験体No.1〜5と同様にして、試験体No.6、7についてデスケールを行った。デスケール後の表面品質を評価した。評価結果を表4に示す。
表4に示すとおり、ナイロンブラシでブラッシングした試験体No.11については、ショット痕周囲のバリの評価結果がAであり、エッチピットは存在せず、スケール残りも確認されなかった。また、最終製品で美麗な表面のステンレス鋼板が得られた。一方、砥粒入りブラシによる研削を行った試験体No.12は、バリ判定がDとなった。
1・・・スケールブレーカー部
2・・・ショットブラスト部
3・・・第1酸洗処理部
4・・・ブラシ研削部
5・・・第2酸洗処理部
6・・・混酸による酸洗処理部。
7・・・搬送ローラー
8・・・投射装置
9・・・酸洗溶液
10・・ブラシ
11・・酸洗溶液
12・・混酸溶液
21・・フェライト系ステンレス鋼板

Claims (4)

  1. 熱間圧延後のフェライト系ステンレス鋼板の表面に形成されたスケールをメカニカルデスケールする工程と、前記メカニカルデスケール後の前記フェライト系ステンレス鋼板の前記表面を酸洗処理する第1酸洗処理工程と、第1酸洗処理工程後のフェライト系ステンレス鋼板の表面をブラシにより研削する工程と、前記研削後の前記フェライト系ステンレス鋼板の前記表面を、塩化第2鉄を含有する酸洗溶液を用いて酸洗処理する第2酸洗処理工程と、を備え、
    前記第2酸洗処理工程における前記酸洗溶液中の前記塩化第2鉄の濃度が、250〜450g/Lであり、
    前記第2酸洗処理工程における前記酸洗溶液中の塩化第1鉄の濃度が、200〜250g/Lであり、
    前記第2酸洗処理工程における前記フェライト系ステンレス鋼板の前記酸洗溶液への浸漬時間が1.5〜3分であり、
    前記フェライト系ステンレス鋼板のCr含有量が17質量%以上である、
    フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  2. 前記第2酸洗処理工程後に、硝酸およびフッ酸を含む混酸による酸洗処理を行う、請求項1記載のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  3. 前記第1酸洗処理工程の酸洗処理に用いる酸洗溶液が塩化第2鉄を含有する、請求項1または2記載のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  4. 前記第2酸洗処理工程後にブラシによる研削を行わない、請求項1〜のいずれか一項記載のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
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