JP5985928B2 - ニッケル冷間圧延帯の製造方法 - Google Patents
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Description
一方、研磨材を用いて研磨処理を施す場合、一定の確率で研磨材の一部が被圧延材の表面に押し込まれることとなる。研磨材はアルミナやジルコニア等の酸に不溶な成分を主成分とするため、被圧延材の表面に押し込まれた研磨材を通常の酸洗によって除去することは困難である。このような場合において、研磨材が表面に押し込まれたまま被圧延材を冷間圧延すると、研磨材が被圧延材よりも硬質であるため、圧延時に破砕される等して、被圧延材の圧延方向に線状の欠陥を生じさせ、問題となっていた。特に、携帯型電子機器の電池に使用される厚さ0.1mm以下のリード材にあっては、接続信頼性を確保するためこのような欠陥が無いことが強く要求されている。そのため、このような欠陥が発生した場合は欠陥部分を切り落としたうえで製品として出荷することとなり、歩留まりが著しく低下してしまう問題があった。
本発明は、研磨材を用いて、純ニッケル、ニッケル基合金又は鉄−ニッケル合金の被圧延材の表面を研磨する、研磨工程と、当該研磨工程の後で、被圧延材に対して、濃度が20°Be以上47°Be以下、温度が40℃以上の塩化第二鉄水溶液を用いて、スプレー圧が0.1MPa以上のスプレー酸洗を行う、スプレー酸洗工程と、当該スプレー酸洗工程の後、被圧延材に対して、冷間圧延及び焼鈍を1回以上行う、圧延工程と、を備え、上記研磨工程の前に、被圧延材の表面にショットブラスト処理を施す、ショットブラスト工程と、被圧延材の表面を酸洗する、酸洗工程と、を備える、純ニッケル、ニッケル基合金又は鉄−ニッケル合金の冷間圧延帯の製造方法である。
本発明が対象とする被圧延材は、軟質で研磨材が押し込まれやすく、塩化第二鉄水溶液に溶けやすい材料からなる。具体的には、純ニッケル、ニッケル基合金又は鉄−ニッケル合金が対象となる。
(研磨工程)
本発明に係る製造方法では、研磨工程において、上記した被圧延材の表面を、研磨材を用いて研磨する。研磨工程により、被圧延材表面の脱スケールや疵除去が可能である。
本発明に係る製造方法では、研磨工程の後、被圧延材に対して、濃度が20°Be以上47°Be以下、温度が40℃以上の塩化第二鉄水溶液を用いて、スプレー圧が0.1MPa以上のスプレー酸洗を行う。
研磨工程、スプレー酸洗工程を経た被圧延材は、冷間圧延及び焼鈍を1回以上繰り返すことによって、所定の厚みの圧延帯とされる。冷間圧延条件や焼鈍条件、さらには繰り返し回数については、目的とする最終製品のスペック等に応じて適宜決定すればよい。例えば、電池のリードとして採用可能な圧延帯を得る場合は、厚み0.2mm以下の箔状となるまで、特に携帯機器用の電池向けの場合は厚み0.1mm以下となるまで、冷間圧延及び焼鈍を繰り返す。
大気焼鈍工程S1は被圧延材の脱水素等を目的とする工程である。例えば温度900℃で均熱時間数分(例えば1〜2分)にて、大気雰囲気下で焼鈍を行うことで、製造中に母材に浸入した水素を取り除くことができる。母材に浸入した水素は、後工程の焼鈍中に母材内部に存在する酸化物系介在物等に集積して水素ガスとなり、いわゆる「膨れ」と称される欠陥となることがある。この欠陥は、電池のリード材等に適用される0.2mm以下の薄材において特に顕著となるため、このような箔状の圧延帯を得る場合に、大気焼鈍工程S1を行うことが好ましい。ただし、脱水素が必要ない場合は大気焼鈍工程S1を省略してもよい。
ショットブラスト工程S2は、後述の酸洗工程S3とともに、被圧延材の表面に生成した酸化スケールを除去するための工程である。ショットブラスト工程S2においては、通常、鉄製の球やグリッド等の投射材を被圧延材の表面に吹き付け、衝突による機械的エネルギーによって脱スケール等を行う。ショットブラスト条件については特に限定されるものではなく、従来公知の条件をそのまま採用することができる。
酸洗工程S3は、被圧延材の表面に生成した酸化スケールを除去するほか、ショットブラスト工程S2により被圧延材の表面に残存する投射材を除去する工程である。酸洗工程S3は、被圧延材と酸溶液とを接触させる工程であり、上記したスプレー酸洗工程のように酸溶液を吹き付けて被圧延材の表面にスプレー打力を与える形態に限られるものではない。例えば、被圧延材を酸溶液へと浸漬する工程、或いは、被圧延材に酸溶液を流しかける工程等、種々の形態を採用することが可能である。
研磨工程S4において、特にコイルグラインダー(CG)によって研磨処理を施す場合は、被圧延材の表面に油分が付着・残存することとなる。この場合は、スプレー酸洗工程S6の前にアルカリ脱脂工程S5を行い、被圧延材の表面の油分を除去することが好ましい。アルカリ脱脂に用いるアルカリ溶液としては、被圧延材の表面性状に悪影響を及ぼさずに油分を除去できるものであれば特に限定されるものではない。
(被圧延材の製造)
純ニッケル材(ニッケル99%以上)を、40Tの電気炉で溶解しVODにて吹酸・脱炭精錬した後、連続鋳造機にて150mm厚のスラブを鋳造した。鋳造したスラブは表面手入れを実施した後で、熱間圧延機によって5mm厚のホットコイルに圧延した。
熱間圧延の際に表面に生成した酸化スケールを除去するために、ショットブラスト処理、硝ふっ酸による酸洗を行い、脱スケール率98%以上となるまで脱スケールを行った。その後、コイルグラインダー(CG)により表面を研磨して表面疵(熱延疵)を除去し、さらに、研磨時に付着した油分をアルカリ脱脂によって除去した。
得られた被圧延材に対して、濃度を15〜50°Be、液温を23〜50℃、スプレー圧力を0.05〜0.5MPaに変化させた塩化第二鉄水溶液によるスプレー酸洗を実施し、被圧延材表面の研磨材を除去し、その後、冷間圧延と焼鈍とを2回ずつ実施した後で、最終的に0.1mm厚となるように仕上冷間圧延及びBA焼鈍を行って最終製品であるニッケル冷間圧延帯を得た。なお、比較例として、スプレー酸洗を行わなかったものについても評価した。
以上のことから、濃度及び温度が所定範囲内である塩化第二鉄水溶液を用いて、スプレー圧が所定値以上であるスプレー酸洗を実施する場合に限り、線状疵の発生を防止できることがわかった。
モネル合金(Fe=1.4%、Mn=1.3%、Si=0.5%、C=0.11%、Ni=66%、Cu=残部)を、実施例1と同様に、40T電気炉で溶解し、VODにて吹酸・脱炭精錬を行った後、連続鋳造機にて150mm厚のスラブを鋳造した。鋳造したスラブは表面手入れを実施した後に、熱間圧延機によって4mm厚のホットコイルに圧延し、被圧延材を得た。熱間圧延の際に表面に生成した酸化スケールを取り除くために、被圧延材に対してショットブラスト処理の後、硝ふっ酸による酸洗を実施した。脱スケール率が98%以上となるまで脱スケールを行い、CGによる表面研磨にて熱延疵の除去を行った後、研磨時に付着した油分をアルカリ脱脂洗浄により除去した。
インバー合金(Ni=35.7%、Fe=残部)を、実施例1と同様に、40T電気炉で溶解し、VODにて吹酸・脱炭精錬を行った後、連続鋳造機にて150mm厚のスラブを鋳造した。鋳造したスラブは均一加熱処理を実施した後で表面手入れを実施し、その後熱間圧延機によって4mm厚のホットコイルに圧延し、被圧延材を得た。熱間圧延の際に表面に生成した酸化スケールを取り除くために、被圧延材に対してショットブラスト処理の後、硝ふっ酸による酸洗を実施した。脱スケール率が98%以上となるまで脱スケールを行い、CGによる表面研磨にて熱延疵の除去を行った後、研磨時に付着した油分をアルカリ脱脂洗浄により除去した。
Claims (3)
- 研磨材を用いて、純ニッケル、ニッケル基合金又は鉄−ニッケル合金の被圧延材の表面を研磨する、研磨工程と、
前記研磨工程の後で、前記被圧延材に対して、濃度が20°Be以上47°Be以下、温度が40℃以上の塩化第二鉄水溶液を用いて、スプレー圧が0.1MPa以上のスプレー酸洗を行う、スプレー酸洗工程と、
前記スプレー酸洗工程の後、前記被圧延材に対して、冷間圧延及び焼鈍を1回以上行う、圧延工程と、
を備え、
前記研磨工程の前に、
前記被圧延材の表面にショットブラスト処理を施す、ショットブラスト工程と、
前記被圧延材の表面を酸洗する、酸洗工程と、
を備える、
純ニッケル、ニッケル基合金又は鉄−ニッケル合金の冷間圧延帯の製造方法。 - コイルグラインダーにより前記研磨工程を行う、請求項1に記載の製造方法。
- 前記研磨材がアルミナ及び/又はジルコニアを含んでなる、請求項1又は2に記載の製造方法。
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