JP2996245B2 - 酸化スケ―ル層付きマルテンサイト系ステンレス鋼材およびその製造方法 - Google Patents

酸化スケ―ル層付きマルテンサイト系ステンレス鋼材およびその製造方法

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JP2996245B2
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    • C21D8/00Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
    • C21D8/10Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of tubular bodies
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    • C21D6/00Heat treatment of ferrous alloys
    • C21D6/002Heat treatment of ferrous alloys containing Cr
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/18Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油井やガス井(以下、
単に「油井」と総称する)およびそのパイプラインまた
は化学プラントの構成部材として好適な、9〜16重量
%のCrを含有するマルテンサイト系ステンレス鋼材
(例えば、鋼管や鍛造品および棒鋼や鋼板など)に関
し、より詳しくは表面性状と耐食性に優れた酸化スケー
ル層付きマルテンサイト系ステンレス鋼材とその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】油井環境で用いられる鋼材には、油井管
およびラインパイプと称される継目無鋼管や溶接鋼管が
ある。このうち、継目無鋼管は、通常、次の熱間圧延製
管法によって製造される。
【0003】素材のビレットを1100〜1300℃程
度に加熱した後、傾斜ロール式の穿孔圧延機(マンネス
マン・ピアサー)を用いて穿孔圧延して中空素管を製造
し、その中空素管を延伸圧延する。この延伸圧延に用い
る延伸圧延機としては、種々の圧延機があり、なかでも
寸法精度および生産性に優れているマンドレルミル(マ
ンネスマン−マンドレルミル方式)が広く利用されてい
る。
【0004】上記のマンドレルミルでは、表面に熱間圧
延用の潤滑剤を塗布したマンドレルバーを中空素管内に
挿入した状態で延伸圧延する。延伸圧延時の中空素管の
温度は、一般に、ミルの入側で1050〜1200℃程
度、ミルの出側で800〜1000℃程度とされる。
【0005】マンドレルミルで圧延された管は、一般
に、仕上げ圧延用素管と呼ばれる。この仕上げ圧延用素
管は、必要に応じて再加熱炉によって850〜1100
℃程度に再加熱された後、ストレッチレデューサーやサ
イザーなどの仕上げ圧延機により、仕上げ温度800〜
1000℃程度で所定の製品サイズに仕上げられる。
【0006】なお、継目無鋼管は、ユジーン・セジュル
ネ法に代表される熱間押出製管法やエルハルト・プッシ
ュベンチ法に代表される熱間押抜製管法で製造される場
合もある。その際、熱間押出製管法による押出製管後の
継目無鋼管は、潤滑剤(通常、ガラス系潤滑剤)を除去
した後、下工程に供される。また、熱間押抜製管法によ
る押抜後の継目無鋼管は、偏肉矯正のための内面と外面
の少なくとも一方を切削加工した後、下工程に供され
る。
【0007】一方、溶接鋼管は、帯鋼や厚板を素材と
し、ERW(電縫溶接)製管法、TIG溶接製管法、レ
ーザ溶接製管法、UO−SAW(UOプレス成形→サブ
マージ・アーク溶接)製管法などによって所定の製品サ
イズに仕上げられた後、下工程に供される。
【0008】上記のようにして、所定の製品サイズに仕
上げられた継目無鋼管および溶接鋼管は、下工程の精整
工程に送られ、通常、所定の強度を得るための熱処理が
施される。すなわち、9〜16重量%のCrを含有する
マルテンサイト系ステンレス鋼からなる鋼管(以下、単
に「マルテンサイト系ステンレス鋼管」という)の場合
には、900℃以上に再加熱して焼入れし、次いで60
0〜750℃で焼戻す熱処理が施される。
【0009】その後、熱処理が施されたマルテンサイト
系ステンレス鋼管は、通常、酸洗やショットブラストな
どによるデスケール工程、ロータリーストレートナーな
どの曲がり矯正圧延機による矯正圧延工程、目視や超音
波探傷法などによる非破壊の検査工程を経た後、そのま
まの状態または内外表面に防錆油が塗布されて出荷され
る。
【0010】ここで、熱処理後のマルテンサイト系ステ
ンレス鋼管に、酸洗やショットブラストなどによるデス
ケール処理が施されるのは、それ以前の工程で1300
〜600℃の加熱を受け、その内外表面に不可避的に形
成された酸化スケール(以下、単に「スケール」とい
う)を除去する必要があるためである。
【0011】すなわち、内外表面に形成されたスケール
が、矯正圧延工程中や検査工程中(一時保管中を含む)
または出荷後の輸送中に部分的に剥離すると、鋼管表面
が凹凸状になって製品の見栄えが悪くなるほか、非破壊
検査時の検査精度低下するだけでなく、著しい場合には
非破壊検査それ自体が不可能になる場合がある。また、
防錆油を塗布する場合には、不均一塗布の原因になる。
【0012】さらに、出荷後の輸送中におけるスケール
剥離は、その剥離部分に錆が発生するだけでなく、製品
が油井管やラインパイプとして使用された場合には、ス
ケールの剥離部分に孔食が発生する原因となる。
【0013】しかし、酸洗やショットブラストによる脱
スケール処理には、多大な工数と費用がかかり、生産性
低下と製品の製造コスト上昇、さらには酸洗液やショッ
ト粒の多量使用による環境悪化の原因になっている。こ
のため、近年、デスケール処理の簡略化にとどまらず、
デスケール処理自体を省略したスケール付き出荷が検討
されるようになってきた。
【0014】ところが、現状の方法で製造される熱処理
終了時点のマルテンサイト系ステンレス鋼管の表面に
は、内側のスケール層と外側のスケール層の2層で構成
されたスケール層で、その全厚が外表面で70μm程
度、内面で50μm程度と厚く、密着性に劣るスケール
層が生成し、デスケール処理を省略することができない
という問題があった。
【0015】ここで、内側のスケール層は、約35体積
%程度がFeCr24で、残りのほとんどがFe34
たはFeOを主成分とする酸化物層である。また、外側
のスケール層は、内側のスケール層の主成分がFeCr
24とFe34の場合、約80体積%程度がFe34
FeCr24とFeOの場合、約60体積%程度がFe
O、約25%程度がFe34で、残りのほとんどがFe
23であって、最表面がFe23層の酸化物層である。
【0016】なお、スケール中には、上記の酸化物の他
に、例えば、Fe2SiO4やFeO・Mn23系のスピ
ネル型酸化物などが微量含まれ場合もある。
【0017】また、スケール付きの製品は、油井管やラ
インパイプとして使用された場合、その油井環境中での
耐食性の検討が今までなされておらず、長期間使用での
腐食メカニズムと耐食性(耐炭酸ガス腐食性および硫化
水素を含む場合の耐局部腐食性と耐硫化物応力割れ性)
が不明なために、デスケール処理を省略することができ
ないという問題もあった。
【0018】なお、上記のように、内面のスケール厚さ
が外面のそれよりも薄くなるのは、外面に接する雰囲気
ガス(空気)に比べて内面に接する雰囲気ガス(空気)
の置換が緩慢なためである。
【0019】ところで、ステンレス鋼のスケール制御方
法としては、板材の焼入れ処理前に表面のスケールを除
去する方法がある(特開昭57−19329号公報参
照)。しかし、この方法は、処理時間の長い酸洗、また
は連続ライン外での研削によってデスケールを行う方法
であるので、連続的に配置された工程内にデスケール処
理を組み込むことが困難である。したがって、短時間の
うちに素材を、各工程を通過させて製造する継目無鋼管
の製造方法への適用は事実上不可能である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、表面
の酸化スケール層が製造中の精整工程や出荷後の輸送中
に部分的に剥離して脱落し、そこから錆が発生すること
がないだけでなく、製品が油井管やラインパイプとして
使用された場合にも優れた耐食性を示す酸化スケール層
付きのマルテンサイト系ステンレス鋼材とその製造方法
を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)の酸化スケール層付きマルテンサイト系ステンレ
ス鋼材および下記(2)の酸化スケール層付きマルテン
サイト系ステンレス鋼材の製造方法にある。
【0022】なお、以下の説明では、「酸化スケール」
を単に「スケール」、「内側のスケール層」を単に「内
層スケール」、「外側のスケール層」を単に「外層スケ
ール」と記す。
【0023】(1)本発明の鋼材は、重量%で、C:
0.5%以下、Si:1%以下、Mn:2%以下および
Cr:9〜16%を含むマルテンサイト系ステンレス鋼
の母材と、その表面に形成されたスケール層とからな
り、スケール層が、FeCr24とFe34を主成分と
する内層スケールと、Fe34を主成分とし、最表面に
Fe23層を備える外層スケール、またはFeCr24
とFeOを主成分とする内層スケールと、FeOとFe
34を主成分とし、最表面にFe23層を備える外層ス
ケールの2層で構成され、その全厚が50μm以下で、
かつ外層スケールの厚さが15μm以下である。
【0024】上記(1)の鋼材のスケール層の全厚は、
30μm以下が望ましい。また、外層スケールを構成す
る最表面のFe23層の厚さは5μm以下であることが
望ましく、ゼロでもよい。
【0025】母材のマルテンサイト系ステンレス鋼のM
n含有量は、1.5%以下であることが望ましい。
【0026】上記のスケール層付きマルテンサイト系ス
テンレス鋼材は、内面と外面のいずれか一方または両方
にスケール層を有する継目無鋼管または溶接鋼管であっ
てもよい。さらに、これらの鋼管は、スケール層の表面
に、防錆油の皮膜を有するのが望ましい。
【0027】(2)上記のスケール層付きマルテンサイ
ト系ステンレス鋼材は、次の方法によって製造するのが
よい。
【0028】重量%で、C:0.5%以下、Si:1%
以下、Mn:2%以下およびCr:9〜16%を含むマ
ルテンサイト系ステンレス鋼からなる母材を再加熱焼入
れし、次いでデスケール処理により表面に形成されてい
る2層の構成からなるスケール層のうちの少なくとも外
層スケールを除去した後、600〜750℃の温度範囲
に20〜100分間加熱保持する条件で焼戻す。
【0029】また、重量%で、C:0.5%以下、S
i:1%以下、Mn:2%以下およびCr:9〜16%
を含むマルテンサイト系ステンレス鋼を熱間加工により
製品の形状に仕上げ、再加熱焼入れすることなく、60
0〜750℃の温度範囲に20〜100分間加熱保持す
る条件で焼戻す方法で製造することもできる。この後者
の方法の場合、熱間加工の仕上げを、900℃以上で終
了するのがよい。
【0030】上記のいずれの方法においても、焼戻し
後、機械的デスケーリング手段により外層スケールの表
面に存在するFe23層を除去し、その層厚をゼロまた
は5μm以下にするのがよい。
【0031】さらに、上記のいずれの方法においても、
母材のマルテンサイト系ステンレス鋼のMn含有量は、
1.5%以下であることが望ましい。
【0032】これらの製造方法のうち、前者の方法は、
母材が熱間圧延製管法、熱間押出製管法、熱間押抜製管
法または溶接製管法のうちのいずれかにより製造される
継目無鋼管または溶接鋼管の製造に好適である。また、
後者の方法は、母材が熱間圧延製管法により製造される
継目無鋼管の製造に好適である。
【0033】本発明者らは、上記の課題を解決するため
に、熱間圧延製管法により継目無鋼管を製造する場合を
対象に、その製造工程中におけるマルテンサイト系ステ
ンレス鋼管表面の酸化挙動、スケール厚さと密着性、耐
発錆性および油井環境中での耐食性の関係および製造条
件とスケール厚さとの関係について研究し、その結果得
られた次の知見を基に上記の発明を完成させた。
【0034】現状の方法で製造されるCr含有量が9〜
16重量%のマルテンサイト系ステンレス鋼管の内外表
面には、前述のように、2層からるスケール層が形成さ
れており、スケール層の全厚は外表面で70μm程度、
内表面で50μm程度と厚い。これらのスケール層は、
主に焼入れのための焼入れ炉による再加熱時に生成す
る。なお、外層スケールの厚さは全厚の1/2以上とか
なり厚い。
【0035】この厚い2層からなるスケール層のうち、
内層スケールは緻密で密着性に優れいる。しかし、外層
スケールは極めてポーラスで、しかも微細な割れ(マイ
クロクラック)が多く、密着性に劣る。通常、スケール
層の脱落は、主としてこの外層スケールの部分な剥離脱
落である。
【0036】しかし、その全厚が50μm以下、望まし
くは30μm以下で、かつ外層スケールの厚さが15μ
m以下の場合には、外層スケールがポーラスではある
が、微細な割れ(マイクロクラック)が著しく減少す
る。その結果、スケール層はほとんど剥離脱落を起こさ
なくなることに加えて、耐発錆性が向上する。したがっ
て、製造終了時点から使用開始までの期間が約3ケ月以
下程度と短い場合には、防錆油を塗布しない場合でも、
錆の発生を防止することが可能である。
【0037】全厚が50μm以下、かつ外層スケール厚
さが15μm以下のスケール層は、母材を再加熱焼入れ
した後、その表面に形成された2層からなるスケール層
のうちの少なくとも外層スケールを除去し、次いで60
0〜750℃の温度範囲に20〜100分間加熱保持す
る焼戻しを施すことにより、形成させることが可能であ
る。
【0038】また、全厚が30μm以下、かつ外層スケ
ール厚さが15μm以下のスケール層は、熱間仕上げ圧
延後、焼入れのための再加熱を行うことなく放冷焼入れ
し、次いで600〜750℃の温度範囲に20〜100
分間加熱保持する焼戻しすることにより、形成させるこ
とが可能である。
【0039】さらに、その表面に、全厚が50μm以
下、望ましくは30μm以下で、かつ外層スケール厚さ
が15μm以下のスケール層が備えるマルテンサイト系
ステンレス鋼管は、油井管やラインパイプとして使用可
能である。この場合、スケール層が腐食しても、腐食生
成物は炭酸ガス環境下では無害であり、母材の腐食速度
も遅く、耐炭酸ガス腐食性に何らの悪影響も及ぼさな
い。
【0040】ところが、硫化水素を含む炭酸ガス環境下
では、局部腐食が発生しやすく、耐食性(耐局部腐食性
と耐硫化物応力割れ性)が十分でない。そこで、その原
因の究明に努めた結果、以下のことが判明した。
【0041】上記の局部腐食は、スケール層の最表面に
Fe23層が存在する場合に限って発生し、そのピット
底には応力集中による割れ、すなわち硫化物応力割れ
(Sulfide Stress Cracking:SSC)が発生しており、
その部分のスケール層には母材の鋼表面に達するマイク
ロクラックが確認された。
【0042】これは、母材の表面とスケール層との間
で、スケール層の表面がカソード、母材の表面がアノー
ドとなるマクロセルが形成され、母材の表面で金属の溶
出反応が起こることに起因している。また、マクロセル
は、スケール層の最表面にFe23層が存在する場合に
のみ形成されることが判明した。
【0043】そこで、マクロセルの形成に及ぼすFe2
3の影響を詳細に調査した結果、硫化水素を含む炭酸
ガス環境下ではアノードサイトで生じる金属の溶出反応
の対反応であるスケール表面におけるカソード反応が、
Fe23の還元反応であることが判明した。
【0044】さらに、スケール層の最表面に存在するF
23層の厚さの影響を調査した結果、局部腐食の度合
いが変化し、Fe23層が厚ければ厚いほど局部腐食が
顕著であった。これは、アノード反応である金属の溶出
反応では、その反応量に対応したカソードでの還元反応
が必要で、カソードサイトにおけるFe23量が多けれ
ばそれだけアノード反応(金属の溶出反応)も進むため
である。
【0045】一般的には、硫化水素を含む炭酸ガス環境
下では、母材の表面で一部にアノードサイトが形成され
ると、それに対応するカソード反応は水素イオンの還元
による水素発生反応であることが知られている。
【0046】しかし、上記のように、母材の表面にスケ
ール層が存在する場合のカソード反応は、スケール層の
最表面に存在するFe23のFe34への還元反応であ
る。
【0047】さらに、マクロセル形成後の腐食電流は、
時間とともに次第に減少するが、その挙動がスケール層
の最表面に存在するFe23層の厚さと相関があり、F
23 の全量が還元されてFe34になるとカソード
反応が進行しなくなって金属の溶出も停止し、腐食電流
は検出されなくなる。
【0048】このように、スケール層中の母材の表面に
達するマイクロクラック発生部分で局部腐食が発生した
場合、クラックが十分に成長しない段階で停止するか否
かは、スケール層の最表面に存在するFe23層の厚さ
に支配される。このFe23層の厚さが5μm以下であ
れば実用上問題のないレベルにまで局部腐食の発生が抑
制され、しかもそのピット底での応力集中によるSSC
も抑制されることを知見した。
【0049】
【発明の実施の形態】次に、本発明を上記のように限定
した理由について説明する。なお、合金元素の含有率の
「%」は、「重量%」を表示するものとする。
【0050】《母材鋼の化学組成》本発明は、マルテン
サイト系ステンレス鋼材の提供が目的であるが、その母
材鋼は、少なくとも、下記の量のC、Si、Mnおよび
Crを含むマルテンサイト系ステンレス鋼とする。その
理由は、次のとおりである。
【0051】C:Cは、その含有量が0.5%を超える
と、焼き割れが生じることがある。したがって、C含有
量は0.5%以下とした。なお、Cは、強度の安定化の
ためにはできるだけ少ない方がよく、好ましくは0.3
5%以下、より好ましくは0.25%以下とするのがよ
い。 Si:Siは、溶鋼の脱酸を目的に添加する。そのため
には0.1%以上含有させるのがよい。ただし、Alな
どにより充分脱酸される場合には、無添加でもよい。一
方、その含有量が1%を超えると、δフェライトが析出
して熱間加工性が低下するほか、機械的性質に悪影響を
及ぼすようになる。したがって、Si含有量は1%以下
とした。
【0052】なお、Siは、スケールの生成を抑制する
とともに、その密着性を高める作用があり、その効果は
0.35%以上で顕著になる。このため、スケール層の
全厚をより薄くしたり、密着性を高めたい場合には、
0.35%以上を含有させるのがよい。
【0053】Mn:Mnは、鋼中に不可避的に含まれる
SをMnSとして固定し、鋼の熱間加工性を向上させる
のに有効であり、その効果は0.1%以上で顕著にな
る。しかし、その含有量が2%を超えると靭性が著しく
低下するだけでなく、鋼の表面が酸化された場合にFe
O・Mn23系のスピネル型酸化物が形成される。この
FeO・Mn23系のスピネル型酸化物は、内層スケー
ルを脆化させ、スケールが剥離脱落しやすくなる。した
がって、Mn含有量は2%以下とした。
【0054】なお、FeO・Mn23系のスピネル型酸
化物が形成されるのほぼ確実に阻止し、剥離脱落しにく
い内層スケールを形成させるためには、Mn含有量を
1.5%以下、より好ましくは1%以下とするのがよ
い。
【0055】Cr:Crは、本発明で対象とするのマル
テンサイト系ステンレス鋼を特徴付ける最も主要な元素
であるが、その含有量が9%未満では要求される耐食
性、具体的には耐炭酸ガス腐食性および耐硫化物応力割
れ性が確保できない。逆に、16%を超えるとδフェラ
イト相の生成を招いて耐食性が低下するばかりでなく、
熱間加工性も劣化するために生産性が低下する。また、
熱処理(焼入れ焼戻し)による母材の機械的性質の制御
が困難になるほか、材料コストも高くなり経済性も悪
い。このため、Cr含有量は9〜16%とした。
【0056】本発明の母材鋼は、上記の化学組成を有す
るマルテンサイト系ステンレス鋼であれば十分である
が、上記の4成分以外に、下記の成分のうちのいずれか
1種または2種以上を含むものであってもよい。
【0057】Ni:Niは、機械的性質を向上させるの
に有効な元素である。このため、その効果を得たい場合
には添加することができる。しかし、その含有量が0.
01%未満では上記の効果が得られない。逆に、その含
有量が7%を超えると、残留オーステナイト量が増大す
るだけでなく、組織全体がオーステナイト組織になり、
本発明で必要なマルテンサイト組織が得られなくなる。
したがって、添加する場合のNi含有量は、0.01〜
7%とするのがよい。
【0058】Mo:Moは、耐食性を向上させるのに有
効な元素である。このため、その効果を得たい場合には
添加することができる。しかし、その含有量が0.5%
未満では上記の効果が得られない。逆に、その含有量が
7%を超えると、δフェライトが多量に析出して熱間加
工性が劣化する。したがって、添加する場合のMo含有
量は、0.5〜7%とするのがよい。
【0059】Ti:Tiは、強度と溶接部の組織を安定
化させるのに有効な元素である。このため、その効果を
得たい場合には添加することができる。しかし、その含
有量が0.005%未満では上記の効果が得られない。
逆に、その含有量が0.2%を超えると、TiNiなど
の金属間化合物が多量に析出し、熱間加工性が劣化す
る。したがって、添加する場合のTi含有量は、0.0
05〜0.2%とするのがよい。
【0060】Zr:Zrは、上記のTiと同様に、強度
と溶接部の組織を安定化させるのに有効な元素である。
このため、その効果を得たい場合には添加することがで
きる。しかし、その含有量が0.01%未満では上記の
効果が得られない。逆に、その含有量が0.3を超える
と、機械的性質が劣化する。したがって、添加する場合
のZr含有量は、0.01〜0.2%とするのがよい。
【0061】Nb:Nbは、組織を微細化するのに有効
な元素である。このため、その効果を得たい場合には添
加することができる。しかし、その含有量が0.005
%未満では上記の効果が得られない。逆に、その含有量
が0.1%を超えると、機械的性質が劣化する。したが
って、添加する場合のNb含有量は、0.005〜0.
1%とするのがよい。
【0062】Al:Alは、溶鋼の脱酸と金属組織の微
細化に有効な元素である。このため、その効果を得たい
場合には添加することができる。しかし、その含有量が
0.001%未満では上記の効果が得られない。逆に、
その含有量が0.1%を超えると、非金属介在物が増加
し、耐食性が劣化する。したがって、添加する場合のA
l含有量は、0.001〜0.1%とするのがよい。な
お、本発明にいうAlとは、sol.Al(酸可溶A
l)のことである。
【0063】《スケール層の構造とその厚さ》本発明の
マルテンサイト系ステンレス鋼材は、その表面(鋼材が
鋼管の場合は内面と外面のすくなくとも一方)に、スケ
ール層が形成されている状態ものである。そのスケール
層は2層であり、前述のように、内層スケールは、約3
5体積%程度がFeCr24で、残りのほとんどがFe
34またはFeOを主成分とする酸化物層を意味する。
また、外層スケールは、内層スケールの主成分がFeC
24とFe34の場合、約80体積%程度がFe
34、FeCr24とFeOの場合、約60体積%程度
がFeO、約25%程度がFe34で、残りのほとんど
がFe23であって、最表面がFe23層の酸化物層を
意味する。
【0064】そして、その全厚が50μm以下、好まし
くは30μm以下、かつ外層スケール厚さが15μm以
下でなければならない。
【0065】これは、全厚が50μm以下、好ましくは
30μm以下でも、外層スケールの厚さが15μm超に
なると、外層スケールに微細な割れ(マイクロクラッ
ク)が発生しやすく、耐発錆性が低下するだけでなく、
密着性が著しく低下し、外層スケールが部分的に剥離脱
落するようになるためである。
【0066】ここで、硫化水素を含む炭酸ガス環境下に
おけるSSCの発生を防ぐためには、外層スケールの最
表面に存在するFe23層の厚さを5μm以下にするの
が好ましい。その理由は、前述したように、スケール層
が付着したままの材料の局部腐食のカソード反応が、外
層スケールの最表面に存在するFe23層のFe34
の還元反応であるからである。すなわち、スケール層と
母材の間でマクロセルが形成された後の腐食電流は、時
間とともに次第に減少するが、その挙動が外層スケール
の最表面に存在するFe23層の厚さと相関があり、F
23の全量がFe34に還元されるまでカソード反
応、すなわち金属の溶出反応が進むからである。ただ
し、Fe23層の厚さが5μm以下であれば実用上問題
のないレベルで腐食反応が停止する。なお、Fe23
の厚さの下限は、上記の理由から特に規定する必要はな
いが、ゼロであることが最も望ましい。
【0067】なお、前述したように、スケール層中に
は、上記の酸化物の他に、例えば、Fe2SiO4やFe
O・Mn23系のスピネル型酸化物などが微量含まれる
が、鋼の化学組成が上記の範囲内の場合には何ら差し支
えない。
【0068】《製造方法》以下、本発明のスケール層付
きマルテンサイト系ステンレス鋼材の製造方法につい
て、鋼材が継目無鋼管で、この継目無鋼管を熱間圧延製
管法を用いて製造する場合を例にとって説明する。
【0069】先ず、熱間圧延製管法は、製品の継目無鋼
管に要求される寸法精度が大幅な機械切削加工を必要と
しない程度であればどのような方式でもよい。穿孔圧延
に傾斜ロール式の穿孔圧延機(マンネスマン・ピアサ
ー)を用いる前述のマンネスマン−マンドレルミル方式
の他に、マンネスマン−プラグミル方式、マンネスマン
−アッセルミル方式、マンネスマン−ディシャーミル方
式およびマンネスマン−ピルガーミル方式、さらには穿
孔圧延にプレスピアシングミルを用いるプレスピアシン
グ−マンドレルミル方式、プレスピアシング−プラグミ
ル方式などを挙げることができる。
【0070】しかし、通常は、寸法精度と生産性が最も
優れている、マンネスマン−マンドレルミル方式が多く
採用されている。本発明のスケール層付きマルテンサイ
ト系ステンレス継目無鋼管(以下、単に継目無鋼管とい
う)は、このマンネスマン−マンドレルミル方式により
製造するのがよい。
【0071】この製造方法の場合、前述した化学組成の
マテンサイト系ステンレス鋼からなり、連続鋳造法など
によって製造された素材のビレットを、1100〜13
00℃に加熱した後、マンネスマン・ピアサーにより穿
孔圧延して中空素管とし、さらにマンドレルミルにより
延伸圧延して温度が800〜1000℃の仕上げ圧延用
素管とする。
【0072】その後、上記の仕上げ圧延用素管を、必要
により再加熱炉に装入して850〜1000℃に再加熱
した後、ストレッチレデューサーまたはサイザーにより
所定のサイズの継目無鋼管に仕上げる。
【0073】さらに、上記のようにして所定のサイズに
仕上げた継目無鋼管を、焼入れ炉に装入して再加熱焼入
れする。次いで、その表面に形成された2層からなるス
ケール層のうち、少なくとも外層スケールを除去した
後、焼戻し炉に装入し、600℃〜750℃の温度範囲
に20〜100分間加熱保持する条件で焼戻す。これら
の処理によって、要求される機械的性質を備え、外面に
外層スケール厚さが15μm以下で、全厚が50μm以
下の2層からなるスケール層を有し、内面に外層スケー
ル厚さが15μm以下で、全厚が30μm以下の2層か
らなるスケール層を有する本発明のスケール層付き継目
無鋼管が得られる。
【0074】また、所定のサイズに仕上げた継目無鋼管
を、仕上げ圧延後、焼入れ炉に装入することなく直接焼
戻し炉に装入し、600℃〜750℃の温度範囲に20
〜100分間加熱保持する条件で焼戻すようにしてもよ
い。この場合には、要求される機械的性質を備え、内外
面ともに外層スケール厚さが15μm以下で、全厚が3
0μm以下の2層からなるスケール層を有する本発明の
スケール層付きの継目無鋼管が得られる。
【0075】ここで、焼戻し温度を600〜750℃、
保持時間を20〜100分としたのは次の理由による。
すなわち、焼戻し温度が750℃超および保持時間が1
00分超になると、上記のうちの前者の方法の場合に
は、外面のスケール層の全厚が50μm超、外層スケー
ルの厚さが15μm超、内面のスケール層の全厚が30
μm超、外層スケールの厚さが15μm超になる。ま
た、後者の方法の場合には、内外面のスケール層の全厚
が30μm超、外層スケールの厚さが15μm超にな
る。その結果、外層スケールが極めてポーラスで、しか
も多くの微細な割れを含むようになり、簡単に剥離する
ようになる。また、温度が600℃未満および保持時間
が20分未満では、要求される機械的性質が安定して得
られない。
【0076】なお、上記前者の方法における焼入れ炉で
の再加熱温度、および後者の方法におけるストレッチレ
デューサーでの仕上げ温度は、いずれも900℃以上と
するのが好ましい。これは、本発明で規定する前述の化
学組成を有するマテンサイト系ステンレス鋼は、焼入れ
性が良好なため、900℃未満の温度からでも焼きが入
り、その場合には強度が低いので、高グレード品のよう
な強度を確保するには900℃以上から焼入れする必要
があるからである。
【0077】また、上記前者と後者の方法における焼戻
し処理は、水蒸気濃度が12体積%未満である雰囲気中
で行うのが好ましい。これは、水蒸気濃度が12体積%
以上の雰囲気中では、外層スケールがいっそうポーラス
になり、より剥離しやすくなるからである。
【0078】ところで、上記のような処理をする場合、
前者の方法では、外面に全厚が50μm以下、外層スケ
ールの厚さが15μm以下、内面に全厚が30μm以
下、外層スケールの厚さが15μm以下、後者の方法で
は、内外面ともに全厚が30μm以下、外層スケールの
厚さが15μm以下の2層からなるスケール層が形成さ
れるのは、次の理由による。
【0079】すなわち、素材のビレットの加熱時および
仕上げ用素管の再加熱時に形成されるスケール層、なか
でも外表面のスケール層は、通常、ピアサー、マンドレ
ルミルおよびストレッチレデューサーの入側に設けれら
れた高圧水デスケーラーにより除去される。また、デス
ケール後に生成するスケール層は、材料の塑性変形に伴
って圧延中にそのほとんどが剥離脱落する。このため、
仕上げ圧延直後の継目無鋼管の表面には、スケールがほ
とんどないか、存在していても極めて薄い。
【0080】したがって、前者の方法においては、仕上
げ圧延後の焼入れ炉による900℃以上の再加熱時に2
層のスケール層が形成される。しかし、その全厚は外面
で70μm程度、内面で50μm程度で、しかも外層ス
ケールと内層スケールの厚さがほぼ同じであり、そのう
ちの少なくとも外層スケールを除去してから焼戻し炉に
装入する。その結果、残りの内層スケールが成長して厚
くなるとともに、その表層部分の酸化が進行して外層ス
ケールが新たに生成する。
【0081】また、後者の方法においては、仕上げ圧延
後の継目無鋼管をそのまま焼戻し炉に装入するので、ス
ケールが全くないか、仮にあっても極めて薄いスケール
層が形成された表面に、新たにスケール層が生成する。
【0082】しかし、本発明で規定する前述の化学組成
を有するマテンサイト系ステンレス鋼の表面に生成する
2層のスケール層のうち、密着性に劣る外層スケール
は、主として800〜1000℃の温度域で生成して成
長し、これよりも低い温度域、特に750℃以下の温度
域ではほとんど生成しない。このため、前者の方法の場
合、内面についてはその全厚が30μm超で、かつ外層
スケールの厚さが15μm超、外面についてはその全厚
が50μm超で、かつ外層スケールの厚さが15μm超
になることがない。また、後者の方法の場合、内外表面
ともにその全厚が30μm超で、かつ外層スケールの厚
さが15μm超になることがない。
【0083】なお、上記前者の方法における再加熱焼入
れ処理後に施すデスケール処理は、管外面については高
圧水デスケーラー、内面については酸洗またはショット
ブラストで行うのが好ましい。その他の方法、例えばブ
ラシデスケーラーなどで行ってもよい。その際のデスケ
ール条件は、処理対象のスケール厚さに応じて適宜調整
すればよく、そのスケール厚さは主として焼戻し炉の加
熱条件から知ることができる。また、製品品質の観点か
らは、外層スケールに加えて内層スケールも同時に除去
するのが望ましいが、そのためには従来と同じ工数と費
用がかかり、製品の製造コスト低減および環境改善が図
れないので、外層スケールのみを除去するのが好まし
い。
【0084】これに対し、上記後者の方法は、焼入れの
ための再加熱および仕上げ圧延後にデスケール処理を行
う必要がないので大幅な製造コスト低減および酸洗液や
ショット粒の多量使用による環境悪化防止を図れること
ができる。さらに、地球温暖化防止の観点から極めて強
い要求のあるCO2 ガスの排出量の低減が可能である。
【0085】ここで、上記の継目無鋼管が、前述したユ
ジーン・セジュルネ法に代表される熱間押出製管法によ
って製造されたものである場合には、押出製管後に潤滑
剤を除去する関係から管の温度が常温になる。また、熱
間押抜製管法によって製造されたものである場合には、
押抜製管後に偏肉矯正のための内面と外面の少なくとも
一方に切削加工を施す関係から管の温度が常温になる。
このため、その熱処理を含めた製造方法は前者の方法が
採られる。また、鋼管が前述したERW(電縫溶接)製
管法、TIG溶接製管法、レーザ溶接製管法、UO−S
AW(UOプレス成形→サブマージ・アーク溶接)製管
法などによって製造された溶接鋼管の場合には、溶接製
管後の溶接部を除く管の温度が常温である。このため、
その熱処理を含めた製造方法は、上記の熱間押出製管法
によって製造された継目無鋼管の場合と同様に、前者の
方法が採られる。
【0086】上記のようにして製造されたスケール層付
きの継目無鋼管および溶接鋼管の2層からなるスケール
層の最表面には、Fe23層が必ず存在している。そし
て、このFe23層が厚い場合には、前述したように、
硫化水素を含む炭酸ガス環境下でSSCが発生する。こ
のため、本発明では、硫化水素を含む炭酸ガス環境下で
の耐硫化物応力割れ性(耐SSC性)を確保したい場合
には、そのFe23層の厚さを5μm以下、好ましくは
0(ゼロ)にする必要がある。このFe23層の厚さを
0(ゼロ)を含む5μm以下にする方法については、特
に規定するものではないが、例えば、次のような方法に
よればよい。
【0087】最終的な熱処理工程(焼戻し工程)を経た
鋼管の表面に軽度なショットブラストや高圧水吹き付け
によるデスケール処理、さらにはブラシ式デスケーラー
によるデスケール処理を施して外層スケールの最表面に
存在するFe23層のみを除去する。また、このような
物理的にFe23層の一部または全部を除去する方法に
代えて、焼入れ炉と焼戻し炉のいずれか一方または両方
の炉内雰囲気を酸素分圧が低い状態(酸素分圧10-2
tm以下程度)にしたり、可及的に低温(750℃以
下)にすることにより、Fe23が最表面に生成し難く
なる条件にて加熱する方法などを採用してもよい。
【0088】以上の製造方法は、鋼材が鋼管(継目無鋼
管および溶接鋼管)以外の鍛造品や棒鋼および鋼板など
であっても同じであることはいうまでもない。
【0089】
【実施例】《実施例1》表1に示す化学組成を有する9
種類のマルテンサイト系ステンレス鋼製で、外径192
mmの素材のビレットを準備した。
【0090】
【表1】
【0091】そして、これらのビレットを回転炉床式の
加熱炉で1100〜1200℃に加熱し、傾斜ロール式
のマンネスマン・ピアサーにより外径192mm、肉厚
16mm、長さ6650mmの中空素管とし、引き続い
てマンドレルミルにより外径151mm、肉厚6.5m
m、長さ20mの仕上げ用素管とした。次いで、仕上げ
用素管を再加熱炉に装入して1100℃に20分間加熱
保持した後、ストレッチレデユサ−により外径63.5
mm、肉厚5.5mm、長さ56mの継目無鋼管に仕上
げた。この時、仕上げ温度は、900〜1000℃であ
った。
【0092】その後、仕上げ圧延後の継目無鋼管に、下
記〜のうちのいずれかの処理を施してから精整工程
に送給し、曲がり矯正後、その内表面のみに防錆油(ア
マニ油)を塗布し(ただし、一部の鋼管は塗布を省略し
た)、下記の耐食性試験Iおよび耐食性試験IIに供し
た。
【0093】〈仕上げ圧延後の処理条件〉 980℃で65分加熱後水冷の焼入れ→710℃で1
00分加熱の焼戻し(比較法)。 980℃で65分加熱後水冷の焼入れ→管内面の外層
スケールのみショットブラスト除去→710℃で100
分加熱の焼戻し。 空冷焼入れ→710℃で100分加熱の焼戻し。
【0094】上記〜の各処理後の鋼管の管内面に形
成されているスケール層の全厚と外層スケールの厚さ
は、処理後の鋼管から採取した試験片の断面を光学顕微
鏡により観察する方法で測定した。その際、微細な割れ
(マイクロクラック)の存在の有無とスケール層の構造
も同時に調べ、スケール層の構造を下記のS1とS3と
に区分した。なお、内層スケールと外層スケールの区分
は、光学顕微鏡による観察に先立ち、電子線プローブマ
イクロアナライザー(Elcctron Probe Micro Analyzer:
EPMA)を用いてスケール層の厚さ方向の線分析を行
い、Crの2次X線強度を測定する方法で区分した。
【0095】S1:前述の2層からなり、全厚が30μ
m以下、かつ外層スケールの厚さが15μm以下の微細
な割れがほとんどないスケール。
【0096】S3:S1と同じ2層ではあるが、微細な
割れが多いスケール。
【0097】また、曲がり矯正後の管内面を目視観察
し、その表面性状を調べた。評価は、外層スケールの剥
離個所数で評価し、外層スケールの剥離個所が300個
/m2以下の場合を良好「○」、それ以外の場合を不芳
「×」とし、総合評価の良否「良好:○、不芳:×」判
定に加えた。
【0098】〈耐食性試験I・・出荷後のスケールの剥
離脱落に起因する発錆模擬試験〉振幅10mm、サイク
ル60回/分の振動を1時間付与した後、内面に100
倍の水で人工海水を希釈した水溶液を塗布し、温度50
℃、湿度98%の環境下に1週間暴露した時点における
赤錆の発生の有無を調べ、赤錆が発生していなかった場
合を「○」、赤錆が発生していた場合を「×」として評
価した。
【0099】〈耐食性試験II・・油井環境(ただし、炭
酸ガス環境)下での耐食性模擬試験〉供試鋼管のうち、
防錆油を塗布したものについてはその内表面の防錆油皮
膜を除去した後、温度が180℃、雰囲気が30atm
−CO2 の25%NaCl水溶液中に300時間浸漬す
るオートクレーブ試験を行って腐食減量を調べることに
より、耐炭酸ガス腐食性を評価した。評価は、腐食減量
が1g/m2 ・hr以下の場合を耐食性良好「○」、1
g/m2 ・hr超の場合を耐食性不芳「×」とした。
【0100】これらの結果を、表2にまとめて示した。
なお、表2の処理条件欄およびスケール構造欄には、そ
の処理条件およびスケール構造を、前述と同じ記号(
〜およびS1、S3)を付して示した。
【0101】
【表2】
【0102】表2に示す結果から明らかなように、仕上
げ圧延後の処理がで、焼入れ炉による再加熱後のデス
ケール処理を省略した比較例の鋼管(試番13〜21)
は、鋼の化学組成の如何にかかわらず、いずれも管内面
のスケール層の全厚が40μm以上、かつ外層スケール
の厚さが20μm以上と厚く、そのスケール構造も微細
な割れの多いS3であった。その結果、曲がり矯正後の
管内面の表面性状が不芳であり、耐食性試験Iでは、試
験で外層スケールが剥離したために、防錆油塗布の有無
にかかわら、赤錆が発生した。
【0103】また、鋼No. gを用いた比較例の鋼管(試
番19、22、25)は、Cr含有量が8%と少ないた
めに、スケール層の全厚とスケール構造の如何にかかわ
らず、耐食性試験IIの試験結果、すなわち耐炭酸ガス腐
食性が悪かった。
【0104】さらに、鋼No. hを用いた比較例の鋼管
(試番20、23、26)は、C含有量が本発明で規定
する範囲の上限を超えて0.6%と高すぎるために、仕
上げ圧延後の処理の如何にかかわらず、焼入れ時に焼き
割れが発生し、製管性が悪かった。
【0105】また、鋼No. iを用い、仕上げ圧延後に本
発明方法の処理またはを施して製造した比較例の鋼
管(試番24、27)は、管内面のスケール層の全厚が
30μm以下、かつ外層スケールの厚さが15μ以下と
薄いものの、Mn含有量が本発明で規定する範囲の上限
を超えて2.1%と高すぎるために、スケール中にFe
O・Mn23系のスピネル型酸化物が多量に生成してス
ケール構造が微細な割れの多いS3であった。その結
果、曲がり矯正後の管内面の表面性状が不芳であり、耐
食性試験Iでは、試験で内層スケールが剥離したため
に、防錆油塗布の有無にかかわらず、赤錆が発生した。
【0106】これに対し、本発明で規定する範囲内の化
学組成を有する鋼No. a〜fを用い、仕上げ圧延後に本
発明方法の処理またはを施して製造した本発明例の
鋼管(試番1〜12)は、管内面のスケール層の全厚が
いずれも30μm以下、かつ外層スケールの厚さが15
μm以下で、しかもスケール構造も微細な割れがほとん
どないS1であった。その結果、曲がり矯正後の管内面
の表面性状が良好であり、耐食性試験Iでは、試験で外
層スケールが剥離しなっかたために、防錆油塗布の有無
にかかわらず、赤錆は発生しなかった。また、生成した
スケール層が付着したままの管内面の耐食性試験IIの結
果、すなわち耐炭酸ガス腐食性は良好であった。さら
に、焼入れ時にも焼き割れは発生せず、製管性も良好で
あった。
【0107】《実施例2》実施例1で用いたのと同じ9
種類の鋼からなる外径192mmの素材のビレットを準
備し、実施例1と同じ工程を経て外径63.5mm、肉
厚5.5mm、長さ56mの継目無鋼管に仕上げた。こ
の時、仕上げ温度は、800〜1000℃であった。
【0108】その後、仕上げ圧延後の継目無鋼管に、実
施例1と同じ上記〜のうちのいずれかの処理を施し
た。だだし、のデスケールは、管外面のスケール層を
対象とし、その外層スケールのみをゲージ圧力が110
kgf/cm2 の高圧水を吹き付けて除去した。
【0109】次いで、熱処理後の鋼管を精整工程に送給
し、曲がり矯正後、その外表面のみに防錆油(アマニ
油)を塗布し(ただし、一部の鋼管は塗布を省略し
た)、実施例1と同じ条件の耐食性試験Iと耐食性試験
IIに供した。ただし、耐食性試験IIには、供試鋼管のう
ち、防錆油を塗布したものについては、実施例1と同様
に、防錆油の皮膜を除去してから試験に供した。
【0110】また、処理後の鋼管から試験片を採取し、
管外面に形成されたスケール層の全厚と外層スケールの
厚さ、およびそのスケール構造と微細な割れの存在の有
無を実施例1と同様の方法により調べた。なお、本実施
例では、そのスケール構造を下記のS1、S2およびS
3とに区分した。 S1:前述の2層からなり、全厚が30μm以下、かつ
外層スケールの厚さが15μm以下の微細な割れがほと
んどないスケール。
【0111】S2:S1と同じ2層からなり、全厚が5
0μm以下、かつ外層スケールの厚さが15μm以下の
微細な割れがほとんどないスケール。 S3:S1またはS2と同じ2層ではあるが、微細な割
れが多いスケール。
【0112】さらに、曲がり矯正後の管外面を目視観察
してその表面性状を調べ、実施例1と同じ基準に従って
評価し、総合評価の良否「良:○、否:×」判定に加え
た。
【0113】また、耐食性試験Iと耐食性試験IIの結果
についても、実施例1と同じ基準に従って評価した。
【0114】これらの結果を、表3にまとめて示した。
なお、表3の処理条件欄およびスケール構造欄には、そ
の処理条件およびスケール構造を、前述と同じ記号(
〜およびS1〜S3)を付して示した。
【0115】
【表3】
【0116】表3に示す結果から明らかなように、仕上
げ圧延後の処理がで、焼入れ炉による再加熱後のデス
ケール処理を省略した比較例の鋼管(試番28〜33)
は、鋼の化学組成の如何にかかわらず、管外面のスケー
ル層の全厚が70μm以上、外層スケールの厚さが30
μm以上と極めて厚く、そのスケール構造も微細な割れ
の多いS3であった。その結果、曲がり矯正後の管内面
の表面性状が不芳であり、耐食性試験Iでは、試験で外
層スケールが剥離したために、防錆油塗布の有無にかか
わらず、赤錆が発生した。
【0117】また、鋼No. gを用いた比較例の鋼管(試
番46、49、52)は、Cr含有量が8%と少ないた
めに、耐食性試験IIの結果、生成したスケール層が付着
したままの管内面は耐炭酸ガス腐食性が悪かった。
【0118】さらに、鋼No. hを用いた比較例の鋼管
(試番47、50、53)は、C含有量が本発明で規定
する範囲の上限を超えて0.6%と高すぎるために、仕
上げ圧延後の処理の如何にかかわらず、焼入れ時に焼き
割れが発生し、製管性が悪かった。
【0119】また、鋼No. iを用い、仕上げ圧延後に本
発明方法の処理またはを施して製造した比較例の鋼
管(試番51、54)は、管外面のスケール層の全厚は
50μm以下と薄いものの、Mn含有量が本発明で規定
する範囲の上限を超えて2.1と高すぎるために、スケ
ール中にFeO・Mn23系のスピネル型酸化物が多量
に生成してスケール構造が微細な割れの多いS3であっ
た。その結果、曲がり矯正後の管内面の表面性状が不芳
であり、耐食性試験Iでは、試験で内層スケールが剥離
したために、防錆油塗布の有無にかかわらず、赤錆が発
生した。
【0120】これに対し、本発明で規定する範囲内の化
学組成を有する鋼No. a〜fを用い、仕上げ圧延後に本
発明方法の処理またはを施して製造した本発明例の
鋼管(試番28〜39)は、いずれも管外面のスケール
層の全厚が30μm以下、かつ外層スケールの厚さが1
5μ以下、または全厚50μm以下、かつ外層スケール
の厚さが15μm以下であり、しかもスケール構造も微
細な割れがほとんどないS1またはS2であった。その
結果、曲がり矯正後の管内面の表面性状が良好であり、
耐食性試験Iでは、試験で外層スケールが剥離しなっか
たために、防錆油塗布の有無にかかわらず、赤錆は発生
しなかった。また、生成したスケール層が付着したまま
の管外面の耐食性試験IIの結果、すなわち耐炭酸ガス腐
食性は良好であった。さらに、焼入れ時に焼き割れは発
生せず、製管性も良好であった。
【0121】《実施例3》前述の表1に示す鋼のうちの
No. a、eおよびfの3種類のマルテンサイト系ステン
レス鋼からなるインゴットを1250℃に加熱後、熱間
鍛造して厚さ40mmのブロックを作製した。次いで、
このブロックを1250℃に再加熱して熱間圧延し、厚
さ12mmの板材とした。
【0122】そして、得られた板材のうち、鋼No. aと
eの板材については、980℃に60分間加熱保持した
後空冷する焼入れ処理を施し、次いで700℃に30分
間加熱保持後空冷する焼戻し処理を施して、スケール層
付きの鋼板を得た。
【0123】また、鋼No. fの板材については、950
℃に60分間加熱保持した後水冷する焼入れ処理を施
し、次いで640℃に30分間加熱保持後空冷する焼戻
し処理を施して、スケール層付き鋼板を得た。
【0124】こうして得られたスケール層付き鋼板の表
面をアルミナ製の噴射式ショットブラスト装置を用いて
処理時間を変化させてデスケールを行い、外層スケール
の最表面に存在するFe23層の厚さを種々変化(0.
3〜6.8μm)させたスケール層付き鋼板を作製し
た。このスケール層付き鋼板から表面をそのままの状態
にして切り出した腐食試験用のサンプルを作製した。
【0125】また、焼入れ焼戻し処理を行う際、それぞ
れの加熱炉内の酸素分圧を10-3atmに設定すること
により、外層スケールの最表面にFe23層のないスケ
ール層付き鋼板を得て、このスケール層付き鋼板からも
上記と同様の腐食試験用のサンプルを作製した。
【0126】得られた各サンプルのスケール層の全厚、
外層スケールの厚さおよび外層スケールの最表面に存在
するFe23層の厚さ、およびそのスケール構造と微細
な割れの存在の有無は、実施例1と同様の方法で調べ
た。そして、スケール構造は、実施例2と同じ基準に従
って区分した。
【0127】耐食性試験(硫化水素を含む炭酸ガス環境
下での耐硫化物応力割れ試験)は、切り出した腐食試験
用サンプルを、図1に示す形状寸法の4点曲げ試験片1
に加工し、鋼No. に応じて、表4に示す硫化水素濃度が
異なる環境中において硫化物応力割れ試験を行った。こ
の時、比較の基準とするために、形状寸法が上記と同じ
4点曲げ試験片で、全ての面のスケール層を湿式研磨
(#600エメリー紙)により完全に除去した試験片を
用いて同様の硫化物応力割れ試験を行った。
【0128】
【表4】
【0129】試験における応力負荷は、図2に示す曲げ
付与治具2に試験片1をセットし、図2中に示す各部の
寸法に基づいて、下式で表される曲げ応力σが各供試鋼
の0.2%耐力となるように曲げ量yを付与した。
【0130】なお、試験片には、図1に示すように、実
際のスケール層中の鋼表面に達するマイクロクラックを
模擬する目的で、中央部に半径rが0.25mmのノッ
チをつけた。
【0131】 σ=12×E×ty/(3×H2 −4×A2 ) ここで、Eはヤング率、yは曲げ量、tは試験片厚さ、
Hは外側支点間距離、Aは外側支点と内側支点間の距離
である。
【0132】また、試験は、腐食環境中に720時間浸
漬した後に試験片を取り出し、その外観観察と試験片断
面の光学顕微鏡観察により割れの発生の有無を調査し
た。
【0133】そして、試験結果の評価は、全面を研磨し
スケール層を除去した試験片を基準として次のように評
価した。この基準材に硫化物応力割れ(SSC)が起こ
っていない環境であって、対象となるスケール層付き鋼
板が割れたものについては耐食性(耐SSC性)が不良
「×」、割れなかったものについては良好「○」とし
た。その結果を、表5に、スケールの全厚、外層スケー
ルの厚さ、最表面に存在するFe23層の厚さ、スケー
ル構造および試験条件と併せて示した。
【0134】
【表5】
【0135】表5から明らかなように、外層スケールの
最表面に存在するFe23層の厚さが5μm以下鋼板
(試番55〜58)は、ノッチ底における局部腐食が過
度に進行せず、SSCが発生しておらず、耐SSC性が
良好であった。
【0136】これに対し、Fe23層の厚さが5μm
超える鋼板(試番59〜61)は、ノッチ底に大きな局
部腐食が生じてSSCが発生しており、耐SSC性が悪
かった。したがって、耐SSC性が要求される場合は、
Fe 2 3 層の厚さは5μm以下とするのがよい。
【0137】
【発明の効果】本発明のスケール層付きマルテンサイト
系ステンレス鋼材は、表面性状に優れ、非破壊検査精度
および防錆油を塗布する場合の均一塗布性を低下させる
ことがなく、しかもその表面に形成されているスケール
層が工場出荷後に剥離して脱落しにくい。また、製品が
鋼管で、この鋼管が例えば油井管として使用された場合
にも炭酸ガス環境下で優れた耐食性を発揮する。
【0138】また、そのスケール層の最表面に存在する
Fe23層の厚さが5μm以下(ゼロを含む)の鋼材
は、硫化水素を含む環境下、具体的は硫化水素を含む炭
酸ガス環境下において特に優れた耐SSC性を発揮す
る。
【0139】さらに、本発明の製造方法によれば、製品
の製造コスト低減と作業環境の改善を図ることが可能
で、特に仕上げ圧延を900℃以上で終了し、再加熱焼
入れを施すことなく焼戻し処理する工程を採る場合は、
省エネルギー化が図れるだけでなく、多大な工数と費用
のかかるデスケール処理が不要であるので、大幅な製造
コスト低減と作業環境の改善が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3の耐食性試験に用いた試験片の形状と
寸法を示す図である。
【図2】実施例3の耐食性試験における試験片への曲げ
応力付与状態を示す図である。
【符号の説明】
1:試験片、 2:曲げ付与治具。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C23F 15/00 C23F 15/00 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C21D 1/18,6/00,9/08 C23F 15/00

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.5%以下、Si:1%
    以下、Mn:2%以下およびCr:9〜16%を含むマ
    ルテンサイト系ステンレス鋼の母材と、その表面に形成
    された酸化スケール層とからなり、酸化スケール層が、
    FeCr24とFe34を主成分とする内側のスケール
    層と、Fe34を主成分とし、最表面にFe23層を備
    える外側のスケール層、またはFeCr24とFeOを
    主成分とする内側のスケール層と、FeOとFe34
    主成分とし、最表面にFe23層を備える外側のスケー
    ル層の2層で構成され、その全厚が50μm以下、かつ
    外側のスケール層の厚さが15μm以下である酸化スケ
    ール層付きマルテンサイト系ステンレス鋼材。
  2. 【請求項2】酸化スケール層の全厚が30μm以下であ
    る請求項1に記載の酸化スケール層付きマルテンサイト
    系ステンレス鋼材。
  3. 【請求項3】外側のスケール層を構成する最表面のFe
    23層の厚さが5μm以下である請求項1または請求項
    2に記載の酸化スケール層付きマルテンサイト系ステン
    レス鋼材。
  4. 【請求項4】母材のマルテンサイト系ステンレス鋼のM
    n含有量が1.5%以下である請求項1〜3のいずれか
    に記載の酸化スケール層付きマルテンサイト系ステンレ
    ス鋼材。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の酸化スケ
    ール層付きマルテンサイト系ステンレス鋼材であって、
    その内面と外面のいずれか一方または両方に酸化スケー
    ル層を有する酸化スケール層付き継目無鋼管。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれかに記載の酸化スケ
    ール層付きマルテンサイト系ステンレス鋼材であって、
    その内面と外面のいずれか一方または両方に酸化スケー
    ル層を有する酸化スケール層付き溶接鋼管。
  7. 【請求項7】酸化スケール層の表面に、防錆油の皮膜を
    有する請求項5または請求項6に記載の酸化スケール層
    付き鋼管。
  8. 【請求項8】重量%で、C:0.5%以下、Si:1%
    以下、Mn:2%以下およびCr:9〜16%を含むマ
    ルテンサイト系ステンレス鋼からなる母材を再加熱焼入
    れ処理し、次いでデスケール処理により表面に形成され
    ている2層からなる酸化スケール層のうちの少なくとも
    外側のスケール層を除去した後、600〜750℃の温
    度範囲に20〜100分間加熱保持する条件で焼戻し処
    理する酸化スケール層付きマルテンサイト系ステンレス
    鋼材の製造方法。
  9. 【請求項9】重量%で、C:0.5%以下、Si:1%
    以下、Mn:2%以下およびCr:9〜16%を含むマ
    ルテンサイト系ステンレス鋼を熱間加工により製品の形
    状に仕上げ、再加熱焼入れ処理を施すことなく、600
    〜750℃の温度範囲に20〜100分間加熱保持する
    条件で焼戻し処理する酸化スケール層付きマルテンサイ
    ト系ステンレス鋼材の製造方法。
  10. 【請求項10】熱間加工の仕上げを、900℃以上で終
    了する請求項9に記載の酸化スケール層付きマルテンサ
    イト系ステンレス鋼材の製造方法。
  11. 【請求項11】焼戻し処理した後、機械的デスケーリン
    グ手段により外側のスケール層の最表面に存在するFe
    23層を除去し、その層厚を5μm以下にする請求項8
    〜10のいずれかに記載の酸化スール層付きマルテンサ
    イト系ステンレス鋼材の製造方法。
  12. 【請求項12】母材のマルテンサイト系ステンレス鋼の
    Mn含有量が1.5%以下である請求項8〜11のいず
    れかに記載の酸化スケール層付きマルテンサイト系ステ
    ンレス鋼材の製造方法。
  13. 【請求項13】母材が、熱間圧延製管法、熱間押出製管
    法、熱間押抜製管法または溶接製管法のうちのいずれか
    によって製造された継目無鋼管または溶接鋼管である請
    求項8、11および12のいずれかに記載の酸化スケー
    ル層付きマルテンサイト系ステンレス鋼材の製造方法。
  14. 【請求項14】熱間加工が熱間圧延製管法であり、かつ
    母材がこの熱間圧延製管法によって製造される継目無鋼
    管である請求項9〜12のいずれかに記載の酸化スケー
    ル層付きマルテンサイト系ステンレス鋼材の製造方法。
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