JPH11239806A - 表面性状に優れた、フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

表面性状に優れた、フェライト系ステンレス鋼板の製造方法

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JPH11239806A
JPH11239806A JP4041198A JP4041198A JPH11239806A JP H11239806 A JPH11239806 A JP H11239806A JP 4041198 A JP4041198 A JP 4041198A JP 4041198 A JP4041198 A JP 4041198A JP H11239806 A JPH11239806 A JP H11239806A
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steel sheet
hot
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ferritic stainless
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JP4041198A
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Yuzo Goto
勇三 後藤
Seiji Hatano
政治 秦野
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フェライト系ステンレス鋼の連鋳スラブを熱
間圧延する際の表面疵の発生を防止する。 【解決手段】 予備処理することなく、スラブ加熱の際
の酸素濃度、均熱温度をコントロールし、スラブ表面の
スケール生成量を35mg/cm2以上に制御することで、スケ
ール層の構造を変化させる。具体的条件として、在炉時
間210 分±20分、均熱温度1150〜1250℃、炉内酸素濃度
に応じて決められる時間だけ均熱処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェライト系ステ
ンレス鋼の熱延鋼板および冷延鋼板の製造方法、さらに
詳しくは、フェライト系ステンレス鋼の連続鋳造スラブ
を熱間圧延する際に、熱延鋼板に発生する表面疵を防止
することにより、表面疵のない、表面性状の良好な熱延
鋼板、さらには冷延鋼板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライト系ステンレス鋼は、熱延鋼板
として利用されていることもあるが、特にその冷延鋼板
は、耐食性に優れていることに加え、表面が美麗なた
め、厨房用、意匠用など美麗であることを求められる用
途に利用されることが多い。いずれの場合も、表面疵等
のない表面性状のよい製品が要求されている。
【0003】このようなステンレス鋼板は、通常まず連
続鋳造スラブ (厚さ:120 〜280mm)、幅700 〜1200mm、
長さ8m程度) を熱間圧延し、焼鈍、酸洗を行って熱延
鋼板(厚さ2〜10mm程度) を製造する。冷延鋼板を製造
する場合には、さらに、厚さ0.3 〜2mm程度まで冷間圧
延し、焼鈍および必要に応じて酸洗・洗浄を施して仕上
げられている。熱延鋼板および冷延鋼板の表面疵は、こ
の製造工程の中で主に熱間圧延および冷間圧延の際に発
生しやすい。熱間圧延の際に発生する熱延鋼板の表面疵
は、冷間圧延後の最終製品にも残るため、表面性状のよ
い製品を得るためには、熱間圧延の際の表面疵の発生を
防止しなければならない。
【0004】ステンレス鋼の連続鋳造スラブを熱間圧延
する際に発生する表面疵の主な原因としては、(イ) 連続
鋳造によりスラブを製造する工程で生じるスラブ表面の
肌荒れ等のスラブ表面不良、(ロ) 熱間圧延を行うために
スラブを加熱する際に発生するスラブ表面のスケール、
および(ハ) 熱間圧延の際のスラブとロールとの焼付きの
3つがある。特にフェライト系ステンレス鋼について
は、(ハ) に起因する熱延鋼板の表面疵の防止対策が最も
重要な課題である。
【0005】ステンレス鋼スラブは、熱間圧延に先立
ち、一般に、NOx 等の有害なガスを発生させることな
く、かつ、燃料原単位が最小限に押さえられるような酸
素濃度を適正に調整した酸化性雰囲気の加熱炉内で、11
00〜1300℃の温度に加熱される。この際、鋼中のCrが雰
囲気中の酸素と反応して、スラブ表面に酸化クロムの層
(スケール層) が形成される。この酸化クロムから成る
スケール層は雰囲気中の酸素を通しにくいので、この層
が保護皮膜となって、スラブ表層からの内部への酸化の
進行は一時停滞する。スケール層とスラブ母材との熱膨
張係数が相違するため、スケール層に割れが生じるが、
その割れの部分には、再び酸化クロムの保護皮膜 (スケ
ール層) が形成される。前述の通り、酸化クロムの酸化
膜は酸素を通しにくく、酸化速度は炭素鋼に比べ、著し
く遅いために、スラブ加熱終了時に形成されるスラブ表
面のスケール層の厚さは、炭素鋼の場合2〜5mmである
のに比べ、フェライト系ステンレス鋼の場合 0.3〜0.5
mmと著しく薄い。フェライト系ステンレス鋼の場合、特
に熱間圧延の際のスラブとロールとの焼き付きが問題と
なるのは、次の理由による。
【0006】スラブ加熱で生成する上述のようなスケー
ル層は、Crを多く含有する (Fe, Cr)3O4の立方晶スピネ
ル構造をしている。Crを多く含有するスピネル構造のス
ケールは、スラブ加熱後のスケール層の厚さも薄く、熱
間圧延に先立って行われる100 kg/cm2を越える圧力の高
圧水の噴射等のデスケーリングで、そのようなスケール
は除去され、表面に地金が露出する。地金が露出した状
態のスラブを圧延すると、スケールによる潤滑効果がな
いため、スラブの金属面と圧延ロールの金属面とが密着
し、焼き付き肌荒れが発生する。
【0007】Cr含有量が多くなるほど、スケールの生成
は抑制されるため、スラブと圧延ロールとの焼き付き肌
荒れの程度は強くなる。デスケーリング未実施の場合で
も、上述のような立方晶スピネル構造のスケール層とス
ラブ母材との熱膨張係数が異なるため、圧延によりスケ
ールが剥離し、スラブと圧延ロールとの焼き付き肌荒れ
は発生する。特に熱間圧延の下面は、加熱炉から圧延ま
でのスラブ搬送時に、搬送用テーブルローラとの接触に
よる剥離が起こる。また、剥離したスケールはスラブか
ら落下するため、地金が露出しやすく、圧延ロールとの
焼き付き肌荒れが発生しやすい。焼き付き肌荒れは、酸
洗後、冷間圧延された製品でも「熱間焼き付き肌荒れ」
あるいは「熱間肌荒れ疵」と呼ばれる肌荒れとして残る
ことになる。
【0008】これらのフェライト系ステンレス鋼の熱間
圧延時に発生する表面疵の防止対策として、フェライト
系ステンレス鋼スラブを、熱間圧延するための加熱炉装
入前に、スラブ表面をグラインダーあるいはショットブ
ラストによる研削、あるいはバイトやフライスによる切
削の少なくとも1種類の方法により、表面粗度をRmax
で20μm 以上にすることにより、スラブ加熱中に均一で
厚いスケールを容易に形成せしめ、しかる後に熱間圧延
を行う方法が、特開平6−77703 号公報に開示されてい
る。しかし、上記方法を用いると、工程増となり、生産
コストがかかるという欠点がある。また、特開平8−25
7605号公報には、熱間圧延に際して、通過する非圧延材
の温度が900 〜1100℃の範囲にある熱間圧延スタンドの
ワークロール表面に、水酸化鉄含有の流体を塗布または
スプレーすることを特徴とするステンレス鋼の熱間圧延
方法を開示しているが、水酸化鉄含有の流体を塗布また
はスプレーするための工数や新設備を設置しなければな
らないといった欠陥を含んでいる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述したよ
うな従来技術の問題点を解決するために、スラブ加熱前
に、予備処理することなく、スラブ加熱の際の酸素濃
度、均熱温度をコントロールし、スラブ表面のスケール
生成を制御するだけで、表面疵の少ない、表面性状の良
好なフェライト系ステンレス熱延鋼板および冷延鋼板を
製造する方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決することを目的として、フェライト系ステンレス
鋼連続鋳造スラブの加熱条件 (均熱温度、均熱時間) と
熱間圧延後の鋼板 (熱延鋼板) の表面疵との関係、さら
に熱延鋼板の表面疵と冷間圧延後の鋼板 (冷延鋼板) の
表面疵との関係について研究を重ねた。その結果、加熱
によってスラブ表面に生成するスケールに起因する熱延
鋼板の表面疵発生防止策の基本条件として、次の3点を
考慮することが不可欠であることを知見した。(a) スラ
ブ加熱時の均熱温度のファクターを考慮しなければなら
ないこと。(b) 加熱炉内の酸素濃度のファクターも、同
時に考慮しなければならないこと。(c) スラブ加熱時の
在炉時間は、210 ±10分程度であれば、酸化増量に大き
な影響をおよぼさないこと。(d) 酸化増量が35mg/cm2
上と大きくなるとスケール層の剥離、地金の露出がなく
なる。
【0011】なお、従来の均熱処理ではスケール層は高
々30mg/cm2以下と非常に低く抑えられていることから、
そのような多量のスケールを発生させること自体予想外
と云わなければならない。
【0012】本発明は、上記(a) 〜(d) を同時に考慮し
て、スラブの加熱条件を選択することによって疵のな
い、表面性状に優れたフェライト系ステンレス熱延鋼板
および冷延鋼板を製造するのであって、その要旨は次の
通りである。
【0013】(1) フェライト系ステンレス鋼の連続鋳造
スラブに、酸化性雰囲気の加熱炉の中で、酸化増量が35
mg/cm2以上になるように均熱処理を行い、次いで熱間圧
延をすることを特徴とするフェライト系ステンレス熱延
鋼板の製造方法。
【0014】(2) 前記均熱処理を、在炉時間210 分±20
分、均熱温度1150〜1250℃の操業条件下において、均熱
温度t℃、酸化増量はYmg/cm2として、酸化性雰囲気中
の酸素濃度に応じて下記式(1) から式(4) にしたがっ
て、Yが35mg/cm2以上となるように行った後、熱間圧延
をすることを特徴とする上記(1) 記載のフェライト系ス
テンレス熱延鋼板の製造方法。
【0015】 酸素濃度0%の場合 :Y=11t+4 ・・・・(1) 式 酸素濃度0%超1%未満の場合 :Y=11t+11.3 ・・・・(2) 式 酸素濃度1%以上5%未満の場合:Y=13.5t+16.3 ・・・(3) 式 酸素濃度5%の場合 :Y=14.5t+25.3 ・・・(4) 式 (3) 上記(1) または(2) 記載の方法により製造されたフ
ェライト系ステンレス熱延鋼板を、焼鈍、酸洗した後、
冷間圧延し、さらに焼鈍することを特徴とするフェライ
ト系ステンレス冷延鋼板の製造方法。 なお、在炉時間とは、スラブを加熱炉内に装入してか
ら、スラブが加熱炉から抽出されるまでの時間を意味す
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成要素とその作
用について詳細に説明する。本発明の方法が対象として
いる材質は、フェライト系ステンレス鋼である。前述の
ようにフェライト系ステンレス鋼は、スラブを加熱した
ときに、スラブ表面に酸化クロムの層が形成され、この
層が保護皮膜となって、スラブ表層から、内部への酸化
の進行が停滞するため、スラブ表層のスケール層の厚さ
が薄くなり、後に熱間圧延工程において、材料の金属面
が露出する。その結果、材料の金属面と熱延ロールの金
属面とが密着し、焼き付き肌荒れを発生するという問題
が生じる。
【0017】また対象としているスラブは、厚さ120 〜
280 mm、幅650 〜1250mm、長さ10m程度の連続鋳造スラ
ブである。鋳造状態のスラブの表面は、耐酸化性の皮膜
で覆われており、熱間圧延を行うためのスラブ加熱時に
スラブの表面が酸化されにくい性質をもっている。一
方、スラブの表面を研削した後に、熱間圧延を行うため
のスラブ加熱をする場合もある。その場合には、鋳込み
時に生成した耐酸化性の皮膜が取り除かれているので、
スラブの表面は、酸化されやすい状態になっている。
【0018】本発明では、そのようなスラブ表面の手入
れ有無によるスケール生成の違いを考慮し、スラブ無手
入れ材での必要酸化増量とスラブ加熱条件を規定してい
るため、スラブ無手入れ材、およびスラブ手入れ材の両
方に対して有効である。
【0019】本発明にしたがって、無手入れスラブにつ
いて、在炉時間 210分±10分における均熱温度と酸化増
量と表面疵の関係について整理した結果を図1にグラフ
で示す。
【0020】図1に示すように、表面疵が発生しない領
域は、スラブ加熱における酸化増量が、35mg/cm2以上の
ときである。酸化増量が35mg/cm2以上になると、スラブ
加熱後のスケール層が厚くなり、またその断面構造が変
化し、熱間圧延前でのスケール剥離、地金の露出がなく
なり、被圧延材と圧延ロールとの金属面の接触を発生さ
せずに圧延することが可能となるため、焼き付き肌荒れ
のない、表面性状の優れたコイルを製造することができ
る。
【0021】酸化増量が35mg/cm2以上となるとスケール
層の構造は図2に示すように (Fe,Cr)3O4 の立方晶スピ
ネル構造中のFe含有量が高まり、特にCrリッチな下層は
薄くなる。図3は酸化増量が35mg/cm2未満の場合であ
る。酸化増量の上限は特に制限はないが、一般には90mg
/cm2以下、好ましくは60mg/cm2以下とする。
【0022】酸化増量と均熱温度の関係は、炉内の酸素
濃度に応じて、式(1) 〜(4) で表わされ、35mg/cm2以上
となるよう、均熱温度をコントロールすればよい。式
(1) 〜(4) で明らかなように、酸素濃度が高いほど、ま
た均熱温度が高いほど、酸化増量が多く、焼き付き肌荒
れ防止には有効である。ただし、均熱温度が1250℃超に
なると、フェライト系ステンレス鋼の場合、スラブ表層
が脱炭し、加工性の悪い粗大粒が生成する。その結果、
圧延時に粒界割れを起こし、表面に重大な欠陥を発生さ
せるため均熱温度は、1250℃以下とする。また、均熱温
度1150℃未満になると、熱間圧延中のロール負荷が大と
なり、ロール焼き付き肌荒れが発生するため、本発明の
好適態様では均熱温度は1150〜1250℃とする。
【0023】本発明では、加熱のための熱源は、コーク
ス炉ガス、プロパン、天然ガス等の炭化水素系の圧延な
どの燃料を対象とし、酸素濃度は0〜5%の範囲にコン
トロールされる。
【0024】所定の条件下で加熱されたスラブに対し、
熱間圧延される。熱間圧延は、通常の鋼板製造用の連続
式ロール圧延法が適している。圧延温度の下限は、フェ
ライト系ステンレス鋼の場合、900 ℃程度とするのがよ
い。熱延鋼板の厚みは用途によって相違し、2〜8mm程
度に仕上げられる場合が多い。
【0025】熱間圧延によって得られた熱延鋼板は、焼
鈍および酸洗・洗浄により、所定の機械的性質、加工
性、表面性状とする。焼鈍は、通常バッチ式焼鈍炉を用
いて、露点を−10〜+20℃、均熱温度800 〜890 ℃、均
熱時間10〜20時間で焼鈍され、酸洗は連続式酸洗ライン
を用いて、常温〜80℃の硝弗酸中 (例えば、8重量%硝
酸−1.5 重量%弗酸) で、少なくとも脱スケールが完了
する程度まで酸洗される。
【0026】フェライト系ステンレス鋼板は、上記の処
理を施した熱延鋼板としても利用されるが、さらに冷間
圧延して冷延鋼板として利用されることが多い。冷延鋼
板を得るためには、上記熱延鋼板に対し、冷間圧延、焼
鈍、必要に応じて脱スケールおよび酸洗を施す必要があ
る。
【0027】冷間圧延は、センジミア圧延機やクラスタ
ー圧延機による圧延法または通常の連続式ロール圧延法
が適している。冷間圧延に供するフェライト系ステンレ
ス鋼板の厚みは、2〜8mm程度がよい。圧延後の厚みは
用途によって相違するが、0.3 〜2mm程度に仕上げられ
る場合が多い。
【0028】冷間圧延によって得られた冷延鋼板は、焼
鈍処理により、所定の機械的性質、加工性、成形性、表
面性状に仕上げられる。焼鈍雰囲気が弱酸化性の場合に
は、脱スケールおよび酸洗処理が必要であるが、焼鈍雰
囲気が非酸化性雰囲気 (光輝焼鈍) の場合には、その必
要性はない。弱酸化性雰囲気焼鈍は、通常、連続式の焼
鈍炉で、LPG、天然ガス等の雰囲気下で、900 〜1150
℃程度の温度で行う。
【0029】また、酸洗は、硝弗酸 (例えば、8重量%
硝酸−1.5 重量%弗酸) を用いて常温〜80℃程度の温度
で処理すればよい。なお、光輝焼鈍を行う場合には、脱
スケール、酸洗を省略することもできる。
【0030】
【実施例】本例では供試材として、SUS430フェライト系
ステンレス鋼を用いた。主成分を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】かかるフェライト系ステンレス鋼を連続鋳
造によりスラブとした後、この供試材であるスラブを加
熱する際に、同一成分を有する鋳込みままのスラブサン
プルから幅約100 mm、長さ約100 mm、高さ約20mmの部分
を切り出し、この切り出しサンプルを幅1020mm、厚さ20
0 mm、長さ10mの実際のスラブの上に載せておいた。
【0033】このときのスラブ加熱条件は、酸素濃度を
0、1、3、5%の4条件、均熱温度を1150、1200、12
50の3条件とした。上記切り出しサンプルは、加熱炉か
ら抽出された後、圧延前に回収する。一方、同時に加熱
炉から抽出された実際のスラブは、そのまま圧延し、熱
間圧延コイルとした後、サンプルを採取した。2種類の
サンプルを用いて、それぞれスラブ加熱時のスケール構
造、熱間圧延後のスケール構造を調査した。
【0034】さらに、実際のコイルは、バッチ式焼鈍炉
を用いて、露点を−10℃、均熱温度840 ℃、均熱時間15
時間焼鈍し、連続式酸洗ラインを用いて、常温50℃の硝
弗酸中で、8重量%硝酸−1.5 重量%弗酸で、脱スケー
ルが完了する程度まで酸洗した。酸洗されたコイル表面
を、目視で検査する。
【0035】それぞれの調査結果を総合し、表面性状と
スケール構造におよぼすスラブ加熱条件を調査した。試
験条件および冷延鋼板の表面性状調査結果を表2にまと
めてしめす。
【0036】
【表2】
【0037】表2の結果からも、酸化増量は、均熱温度
が高いほど、また加熱炉内酸素濃度が高いほど増加する
ことが確認された。ここで、最も重要なことは、酸洗後
の表面性状の評価であるので、目視による判定基準は、
極く軽度でも焼き付き肌荒れが発生していたコイルに対
しては、「×」とした。このような厳しい疵の評価を実
施した結果、あらゆる加熱条件下においても、酸化増量
35mg/cm2以上であれば、冷間圧延後の表面性状は良好と
なることが判明した。
【0038】また、スラブ加熱後のスケール構造を調査
した結果、スラブ加熱後のスケール構造は、 (Fe, Cr)3
O4の立方晶スピネル型であり、酸化増量が35mg/cm2を越
えると、FeO の生成が確認された。次に、酸化増量が35
mg/cm2を越すようなスケールを有するスラブの熱延板で
のスケール構造の断面観察を実施した。
【0039】図2に模式図で示したように、本発明例で
はスケール層の厚さは、約8〜10μm程度であり、外層
のスケール層4〜5μmには、Cr濃度が平均的に12〜14
wt%程度含有されており、内層のスケール層4〜5μm
には、Cr濃度が平均的に20wt%程度含有されている。ま
た、金属鉄近傍での内層のスケール層のCr濃度が10wt%
程度まで局所的に低下している部分も存在する。
【0040】一方、酸化増量が35mg/cm2未満で、冷間圧
延後の表面性状が良くなかったものの熱延板スケール構
造を断面観察したところ、図3に示したように、スケー
ル層の厚さは平均的に6〜8μm程度であり冷間圧延後
の表面性状が良好である熱延板に比べ2μm程度薄いこ
とが判明した。外層のスケール層3〜4μmには、Cr濃
度が平均的に14〜16wt%程度含有されており、内層のス
ケール層3〜4μmには、Cr濃度が平均的に20wt%以上
含有されている。また、35mg/cm2を越すようなスケール
を有するスラブの熱延板に見られた金属鉄の存在は確認
されなかった。
【0041】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明にかかる
スラブ加熱方法を実施すれば、焼き付き肌荒れの発生を
防止することが可能であり、次工程での疵取り作業をす
ることなく、安定的に表面品質の優れたフェライト系ス
テンレス熱延鋼板および冷延鋼板を製造することが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】炉内酸素濃度別の酸化増量におよぼす均熱温度
の影響を示し、本発明の酸化増量と均熱温度との関係を
示すグラフである。
【図2】本発明の製造方法で得られた熱延鋼板の断面ス
ケール構造の模式図である。
【図3】従来技術での製造方法で得られた、熱延板のス
ケール構造の模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C21D 9/00 101 C21D 9/00 101A C23C 8/14 C23C 8/14

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライト系ステンレス鋼の連続鋳造ス
    ラブに、酸化性雰囲気の加熱炉の中で、酸化増量が35mg
    /cm2以上になるように均熱処理を行い、次いで熱間圧延
    をすることを特徴とするフェライト系ステンレス熱延鋼
    板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記均熱処理を、在炉時間210 分±20
    分、均熱温度1150〜1250℃の操業条件下において、均熱
    温度t℃、酸化増量はYmg/cm2として、酸化性雰囲気中
    の酸素濃度に応じて下記式(1) から式(4) にしたがっ
    て、Yが35mg/cm2以上となるように行った後、熱間圧延
    をすることを特徴とする請求項1記載のフェライト系ス
    テンレス熱延鋼板の製造方法。 酸素濃度0%の場合 :Y=11t+4 ・・・・(1) 式 酸素濃度0%超1%未満の場合 :Y=11t+11.3 ・・・・(2) 式 酸素濃度1%以上5%未満の場合:Y=13.5t+16.3 ・・・(3) 式 酸素濃度5%の場合 :Y=14.5t+25.3 ・・・(4) 式
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の方法により製造さ
    れたフェライト系ステンレス熱延鋼板を、焼鈍、酸洗し
    た後、冷間圧延し、さらに焼鈍することを特徴とするフ
    ェライト系ステンレス冷延鋼板の製造方法。
JP4041198A 1998-02-23 1998-02-23 表面性状に優れた、フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 Withdrawn JPH11239806A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015178022A1 (ja) * 2014-05-21 2015-11-26 Jfeスチール株式会社 油井用高強度ステンレス継目無鋼管およびその製造方法
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