JP2944874B2 - 圧延疵の発生を低減したsus420系シームレス鋼管の圧延方法 - Google Patents

圧延疵の発生を低減したsus420系シームレス鋼管の圧延方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、中炭素系13%Cr鋼
(JIS規格SUS420相当)のシームレス圧延に際
して、圧延素材表層の加熱に伴う脱炭を抑制することに
よって外表面の圧延疵の発生を減少させる圧延法に関わ
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般にSUS420系シームレス鋼管は
油井用鋼管として使用されることが多く、最近その需要
量が急激に増大しているが、その製造は主に普通鋼鋼管
と同じ製造ラインで実施されている。シームレス鋼管製
造の主要なライン構成は、加熱炉−穿孔機−延伸機−プ
ラグミルまたはマンドレルミル−再熱炉−サイザーミル
またはストレッチレヂュサーで構成されている。加熱炉
には弱酸化性雰囲気の直火炉が中心に使用されており、
加熱条件は圧延負荷を低下させる目的から1250℃×
1hr〜2hr程度の高温熟熱加熱が通例である。した
がって被加熱材の圧延用素材の表層には大量の酸化スケ
ールが生成する。
【0003】このように鋼表面に大量の酸化スケールが
生成すると、Cの優先酸化が起こるためスケール下に脱
炭層が形成される。鋼の中でも普通鋼の場合、加熱炉中
で被圧延材の表面に形成された酸化スケールは、圧延前
の簡単なデスケーリング処理または圧延中の材料表面の
変形によって容易に剥離するので、外面疵発生の様なシ
ームレス鋼管圧延上の支障となることはほとんどない。
また脱炭層についても、高温状態での金属組織の大幅な
変化を惹起することがないので、シームレス鋼管圧延上
問題となることはない。一方、SUS420系の鋼につ
いては、普通鋼と同一製造ラインを共用する関係から、
圧延用素材の加熱に際しても特別の処理をすることはな
いのが通例である。一般に圧延用素材の表面スケールの
抑制技術に関連して、従来技術として特公昭57−52
92号公報には「分塊圧延または連続鋳造により製造さ
れた鋼片を加熱する前に、メタリックAlを付着させる
こと」、また、特公昭49−30893号公報には「予
め鋼表面にAl2 3 またはCaOの単独または混合
物、または酸化鉄と粘結剤を混合したものを塗布するこ
と」が提示されている。しかしながらこれらはいずれ
も、圧延素材の表面酸化によるメタルクロスを防止する
目的で適用されるものであり、さらにSUS420系鋼
のシームレス鋼管においては、その圧延時の圧延素材表
層の脱炭防止と、それに伴う表層の高温での金属組織を
制御することが要求される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】SUS420系鋼の場
合、上記の普通鋼の場合と異なって、圧延素材の表面に
脱炭層や酸化スケールが生成すると、その程度に応じて
割れまたはへげ疵が発生する。通常、SUS420鋼で
のこれらの外面圧延疵の発生率は、普通鋼の数倍以上と
なることが経験的に知られている。つまりSUS420
鋼を普通鋼と同様な条件で加熱してシームレス鋼管圧延
を行うと、圧延疵が多発する。この事は、SUS420
相当鋼のシームレス鋼管製造上、単に疵生成に伴う歩留
り低下に止まらず疵手入れのための製造コストの上昇や
製造工期の長期化などの深刻な問題となっている。
【0005】本発明は、このような従来の問題点を解消
するものであり、SUS420系鋼のシームレス圧延に
際して、圧延素材の加熱に伴う脱炭を抑制し、疵の発生
を防止するシームレス鋼管の圧延法を提供するものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、SUS420
(JIS規格)のシームレス鋼管で発生する外面の圧
延疵を詳細に調査・解析し、かつ疵の発生機構を明らか
にし、その結果に基づいて構成した疵防止圧延技術であ
る。すなわち、疵発生メカニズムは種として次記の二つ
であり、疵発生の寄与度としては前者の方がかなり大き
いことを知見した。
【0007】一つは、脱炭層生成に伴う高温での組織変
化に起因した割れ疵である。SUS420系鋼は、一般
的な圧延素材加熱温度である1250℃前後の高温で
は、オーステナイト組織単相であるが、脱炭層ができて
その部分の炭素濃度が低下すると、強力なオーステナイ
ト形成元素の一つが減少することになり、その部分のオ
ーステナイト安定条件が崩壊し局所的にフェライト組織
が生成する。フェライト相の生成量は脱炭の度合いと加
熱温度に依存することは言うまでもない。つまりSUS
420系鋼の脱炭層部は、高温状態でフェライトとオー
ステナイトとの混合組織を呈することになる。ところが
フェライト相は、同一温度において、オーステナイト相
よりも低強度であり、両者の混合組織を有する材料を熱
間加工すると、軟らかいフェライト相中に変形が集中
し、限界の変形量を超えて加工を加えるとその部分に割
れが発生する。SUS420系鋼の実際のシームレス圧
延でもこの現象が現れ、脱炭相中のフェライトに沿って
圧延変形の集中に伴う割れがかなりの頻度で発生する。
【0008】他の機構は、剥離不十分な酸化スケールの
圧延ロールによる押し込み、巻き込みに起因する線上ま
たはラップ疵である。SUS420系鋼の場合、高温加
熱時に表層スケールと地鉄との界面に鉄・クロマイトか
らなる酸化スケール層が形成される。この層は、地鉄に
しっかりとを根を下ろした状態で生成しているため、剥
離性が極めて不良であり、圧延前の簡単なデスケーリン
グ処理や圧延中の被圧延材の表層塑性変形ではなかなか
除去されない。そしてスケール除去不十分なままで圧延
すると、当然ながらスケール押し込みが起こり、圧延材
表面に段差や溝状の凹みが生じることとなり、それらが
起点となって線状の筋疵やラップ状のへげ疵になる。
【0009】本発明は以上の新知見に基づいたSUS4
20系鋼シームレス鋼管圧延における外面疵発生の抑
止技術でその要旨は、JISに規定されるCrを12〜
14重量%含有するSUS420系鋼からなるシームレ
鋼管圧延用素材の表面に、脱炭防止剤を塗布するかも
しくは保護鋼板を覆った後、加熱・圧延することを特徴
とする圧延疵の発生を低減したSUS420系シームレ
ス鋼管圧延方法である。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明においてSUS420系鋼への適用は、十分な外表
面圧延疵の防止効果を有すると共に、シームレス鋼管圧
延における実現性と経済性を有することを前提とする。
【0011】まず本発明の適用鋼種については、クロム
の含有量が数%以下の低合金鋼や普通鋼では脱炭やスケ
ール生成を抑制しなくても、またクロム含有量が10数
%以上のステンレス鋼では脱炭やスケールの生成そのも
のが少ないので、SUS420系鋼で問題となるような
機構の疵発生がない。したがって本発明においてはCr
量が12〜14重量%のJISに規定されるSUS42
0系鋼に限定する。
【0012】次に圧延素材を高温加熱する場合の脱炭お
よび酸化を抑制する方法はいくつも存在するが、前述の
如き効果が十分で実現性や経済性が高いと言う理由から
圧延素材の表面にメタリックAl、セラミック溶射材な
どの脱炭防止剤を塗布する方法や、図1および図2で示
すように被圧延材であるSUS420系鋼1をブリキ原
板などの薄鋼板からなる保護鋼板2で覆う方法に限定す
るものとする。たとえば、還元性の雰囲気中で加熱すれ
ば、本発明と同じ効果が得られるが、加熱炉の改造や操
業に相当な経費が掛かる。
【0013】なお脱炭防止剤の組成については、特に限
定するものでなく、通常の鋼材の高温酸化防止剤を使用
することで十分である。また保護鋼板の厚みは、加熱中
の酸化消耗に耐えるに十分なことが必要である。このよ
うな処理を施して加熱されたSUS420系シームレス
圧延素材は、脱炭防止剤や保護鋼板を剥離した後、シー
ムレス鋼管圧延に供される。
【0014】
【実施例】SUS420J1鋼を供試材として、圧延素材
表面に脱炭防止剤を塗布し、または、普通鋼鋼板を保護
被覆材として圧延素材表面を覆った後、実機のシームレ
ス鋼管圧延を行った。その後、製品鋼管の外面の疵を目
視および磁粉探傷により観察した。被圧延材の加熱条件
は1250℃×1.5hrsの一定条件とし、脱炭防止
剤には金属AlとSiO2 との混合粉末を接着用溶液に
溶かしたものを使用し、保護鋼板として2mm厚みの普通
鋼を使用した。
【0015】実機のシームレス鋼管圧延結果を表1に示
すが、圧延疵生成の評価としてはパイプ一本当たりの平
均疵発生個数で行った。
【0016】脱炭防止剤は、高温で雰囲気中の酸素と反
応し、圧延素材の表面を覆うため、素材表面が雰囲気ガ
スに直接触れることが抑制されることになる。その結
果、素材表面に脱炭層が生成されず、また鉄・クロマイ
トのサブスケール層の生成も観察されなくなる。さらに
脱炭防止剤の反応生成物は、地鉄に比べて熱膨脹率が大
きく加熱後の冷却過程で自然に割れて圧延素材から脱落
する。これらの結果として、表1に示された如く、シー
ムレス鋼管圧延後の外面疵が従来法に比較して激減する
ことが確認された。
【0017】圧延素材を保護鋼板で覆った場合には、加
熱中の酸化反応は保護鋼板で起こり、素材表面は加熱雰
囲気から遮断されることになる。その結果、上記と同様
に、素材表面に脱炭層や酸化スケールが生成することな
く、外面疵の発生が大幅に減少することが判明した。
【0018】
【表1】
【0019】
【発明の効果】前述の実施例に明らかにした様に、本発
明法によれば、SUS420相当鋼のシームレス鋼管圧
延疵の発生を著しく低減せしめることができる。本発明
の特徴は、圧延のための高温加熱時に生成する脱炭層と
剥離性の悪いスケールを抑制することにあり、脱炭防止
剤塗布もしくは表面保護鋼板の設置にそれぞれの材料費
と施工費とを必要とするが従来法と比較して圧延後の疵
減少に伴う歩留り向上や疵手入れ費用の低減、工程短縮
等の効果があり、本発明のシームレス鋼管製造における
工業的効果は、極めて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法の圧延素材表面に保護鋼板をセットし
た状態を示すもので、Aは圧延素材が丸ブルームの場
合、Bは圧延素材が角ブルームの場合をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1 被圧延材 2 保護板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 楢崎 浩二 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭53−95110(JP,A) 特開 平4−72019(JP,A) 特開 昭62−127418(JP,A) 特公 昭56−43370(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 23/00 C21D 1/70 C21D 8/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 JISに規定されるCrを12〜14重
    量%含有するSUS420系鋼からなるシームレス鋼管
    圧延用素材の表面に、脱炭防止剤を塗布するかもしくは
    保護鋼板を覆った後、加熱・圧延することを特徴とする
    圧延疵の発生を低減したSUS420系シームレス鋼管
    圧延方法。
JP32176793A 1993-12-21 1993-12-21 圧延疵の発生を低減したsus420系シームレス鋼管の圧延方法 Expired - Lifetime JP2944874B2 (ja)

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