JP3125692B2 - 黒皮被覆13Cr系ステンレス継目無鋼管の製造方法 - Google Patents

黒皮被覆13Cr系ステンレス継目無鋼管の製造方法

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JP3125692B2 JP08283913A JP28391396A JP3125692B2 JP 3125692 B2 JP3125692 B2 JP 3125692B2 JP 08283913 A JP08283913 A JP 08283913A JP 28391396 A JP28391396 A JP 28391396A JP 3125692 B2 JP3125692 B2 JP 3125692B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面性状と耐食性
に優れた黒皮被覆13Cr系ステンレス継目無鋼管の製
造方法に関する。本明細書において、11〜15重量%
のCrを含むステンレス鋼を13Cr系ステンレス鋼と
いう。
【0002】
【従来の技術】通常の継目無鋼管の製造方法はつぎのと
おりである。
【0003】素材ビレットを1100℃から1300℃
に加熱した後、穿孔圧延(ピアシング)により中空素管
を製造し、冷却することなくそのまま、その中空素管を
マンドレルミルにより延伸圧延する。延伸圧延の方法に
は各種の方法があるが、寸法精度および生産性で優れて
いるマンドレルミル圧延法が広く利用されている。
【0004】マンドレルミル圧延では、表面に熱間圧延
用潤滑剤を塗布したマンドレルバーを中空素管内面に挿
入した状態で延伸圧延する。マンドレルミルでの管の温
度はマンドレルミル入り側では1050℃から1200
℃、また、出口側では800℃から1000℃となるの
が一般的である。マンドレルミルにより圧延された管
は、一般に仕上げ圧延用素管と呼ばれる。
【0005】仕上げ圧延用素管は、必要に応じて再加熱
炉によってマンドレルミル前よりも低目の850℃から
1100℃に再加熱された後ストレッチレデュ−サ−等
の仕上げ圧延機により管外径を所定サイズの継目無鋼管
に圧延される。その後、900℃以上に再加熱され焼入
れ、ついで700℃近傍で焼戻し処理が施される。
【0006】このように継目無鋼管の製造においては、
各段階での被圧延材であるビレット、中空素管、及び仕
上げ圧延用素管は、1300℃〜700℃の加熱をうけ
るため、管の内外表面には不可避的にスケールが形成さ
れる。酸化物スケールは、仕上げ圧延後にショットブラ
ストにより、さらに硫酸あるいは硝沸酸の酸洗脱スケー
ルにより除去され、継目無鋼管はスケールの無い状態で
出荷される。近年、酸洗脱スケールでのスピードアップ
化、酸洗液使用量の低減等が要請されてきており、13
Cr系ステンレス継目無鋼管のスケールつき出荷が検討
されている。以後の説明において“スケールつき出荷”
のことを“黒皮まま出荷”、また、仕上げ圧延ままおよ
び圧延後熱処理ままの“スケールつき鋼管”を“黒皮被
覆鋼管”という。
【0007】現状の方法で製造された黒皮被覆13Cr
系ステンレス鋼管には下記の問題点がある。
【0008】スケールの表面凹凸が著しいため、出荷
時におこなう超音波探傷の表面傷の判別が困難となる。
【0009】スケールの割れ、すなわちマイクロクラ
ックが多く存在しスケールによる環境遮断効果が不十分
であるため、地金より錆が発生する。これは、海上輸送
時に海水が付着した場合にとくに問題となる。
【0010】防錆油の均一塗布が困難であることに起
因する保管時の発錆。
【0011】曲げ加工時のスケール剥離。
【0012】外観すなわち見栄えの悪さ。見栄えの悪
さは主として赤錆の発生に対応する。
【0013】上記の不良のうち、“表面の凹凸”及び
“赤錆の発生”の2つの要因を合わせたものを“表面性
状の不良”という。
【0014】これまでに、13Cr系ステンレス鋼のス
ケール制御方法として、板材の焼入れ処理前に表面のス
ケールを除去する方法が開示されている(特開昭57−
19329号公報)。しかしながら、この方法はスケー
ル除去法として酸洗処理を採用するため、連続的に製造
される鋼管への適用が困難である。この例を除いて、こ
れまで、鋼管の熱間圧延中のスケール制御を目的とした
加熱圧延条件の最適化を行う提案はほとんどなされてい
ないのが実状である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、デス
ケーリングおよび圧延においてスケールを制御すること
により表面性状と耐食性に優れた黒皮被覆13Cr系ス
テンレス継目無鋼管を製造する方法を提供することにあ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究した結果、下記の事項を確認する
ことができた。
【0017】(a)13Cr系ステンレス鋼の表面に生
じるスケールは、つぎのような2層構造を有する。すな
わち、ヘマタイト(Fe23)及びマグネタイト(Fe
34)からなるポーラスで密着性の悪い外層とスピネル
型FeCr24(以後、“スピネル型酸化物”という)
を主成分とする緻密で密着力の優れた内層とからなる2
層構造のスケールである。
【0018】内層スケールには、主成分としてスピネル
型酸化物FeCr24が20〜70体積%含まれ、その
ほかにFeO、Fe34、Fe2SiO4が副成分として
含まれる。このうちFe2SiO4は母材とスケールの界
面からスケール側に約50μmまでの範囲に濃化してい
る。
【0019】(b)現状の黒皮被覆13Cr系ステンレ
ス継目無鋼管の表面性状の不良、すなわちスケールの凹
凸及び赤錆は、延伸圧延前の脱スケール時に部分的に取
り残した外層酸化物、なかでもヘマタイト(Fe23
により生じる。
【0020】一方、内層酸化物には耐食性を向上させる
元素であるCrが濃化していることから、内層スケール
は酸化に対する保護被膜として働く。スピネル型酸化物
FeCr24もFe2SiO4も母材へのスケールの密着
性を高める。Fe2SiO4はスケールの結晶粒界に生成
し、加熱温度によっては溶融し圧延中温度降下とともに
凝固しまたは加熱時から固相のまま、圧延中は高い変形
能をもって塑性変形し、圧延終了後は母材とスケールと
のバインダーとして働く。
【0021】(c)高圧水等によって脱スケールする場
合、外層と内層を合わせた全スケール厚が一定範囲内に
あれば、外層スケールのみを容易に除去することができ
る。すなわち、外層スケールと内層スケールの間には強
い結合力はなく、外力により外層スケールを明確に内層
スケールから分離除去できる。
【0022】(d)前記の黒皮被覆13Cr系ステンレ
ス継目無鋼管の問題点のうち、のマイクロクラックの
発生は、延伸圧延における圧下率を一定以上に高めるこ
とにより抑制できる。
【0023】本発明は上記の事項を基に、製造現場にお
ける各種の13Cr系ステンレス継目無鋼管の製造実験
を重ねて完成されたものであり、つぎの黒皮被覆13C
r系ステンレス継目無鋼管の製造方法を要旨とする。
【0024】(1)13Cr系ステンレス鋼のビレット
を加熱し穿孔圧延し中空素管を製造した後、中空素管に
生成した外層と内層とからなるスケールの外層スケール
をデスケーラによって除去し、スピネル型酸化物FeC
24を主成分とする内層スケールを厚さ0.1〜50
μm残存させ、圧下率40%以上にて延伸圧延して仕上
げ圧延用素管を製造する方法を含む表面性状と耐食性に
優れた黒皮被覆13Cr系ステンレス継目無鋼管の製造
方法(〔発明1〕とする)。
【0025】(2)13Cr系ステンレス鋼の仕上げ圧
延用素管を加熱した後、仕上げ圧延用素管に生成した外
層と内層とからなるスケールの外層スケールをデスケー
ラによって除去し、スピネル型酸化物FeCr24を主
成分としFe2SiO4を副成分の1つとして含む内層ス
ケールを厚さ0.1〜50μm残存させ、仕上げ圧延し
て継目無鋼管を製造する方法を含む表面性状と耐食性に
優れた黒皮被覆13Cr系ステンレス継目無鋼管の製造
方法(〔発明2〕とする)。
【0026】〔発明1〕において、「中空素管」とは、
ビレットがピアサー等により穿孔された延伸圧延用の中
間素材をいう。ピアサーによって製造された中空素管
は、通常は一旦冷却されずにそのまま延伸圧延される
が、冷却した後再加熱され延伸圧延されてもよい。
【0027】〔発明2〕における「仕上げ圧延用素管」
とは、延伸圧延を終了した中間素材をさす。延伸圧延に
よって製造された仕上げ圧延用素管は、通常は一旦冷却
され、再加熱された後に仕上げ圧延に供される。
【0028】〔発明1〕または〔発明2〕における「ス
ケール」は、それぞれ中空素管または仕上げ圧延用素管
の管外面に生じているスケールで、外層スケールと内層
スケールからなる。管内面のスケールは、通常、ショッ
トブラストにより全て除去される。〔発明1〕または
〔発明2〕において、デスケーリングはそれぞれ延伸圧
延直前または仕上げ圧延直前に行うので、熱間でのデス
ケーリングである。
【0029】〔発明1〕における「スピネル型酸化物を
主成分とする内層スケール」とは、内層スケール中の2
0〜70体積%はスピネル型酸化物であり、ほかにFe
O、Fe34、Fe2SiO4等が含まれてもよい。
【0030】延伸圧延は、中空素管を圧延することを指
し、主としてマンドレルミルにより圧延するが、延伸圧
延であるかぎりマンドレルミルによる圧延に限定されな
い。延伸圧延における圧下率とは、{(延伸圧延前の肉
厚−延伸圧延後の肉厚)/延伸圧延前の肉厚}×100
(%)を指す。
【0031】〔発明2〕における「スピネル型酸化物を
主成分としFe2SiO4を副成分の1つとして含む内層
スケール」とは、仕上げ圧延用素管の加熱において形成
されたスケールの成分を指す。主成分としてのスピネル
型酸化物は、〔発明2〕における仕上げ圧延前における
内層スケールにおいても20〜70体積%とする。仕上
げ圧延前加熱の際には、仕上げ圧延用素管は延伸圧延終
了時点に有していたスケールをもったまま加熱されるこ
とはいうまでもない。
【0032】
【発明の実施の形態】つぎに、〔発明1〕および〔発明
2〕の限定理由について説明する。
【0033】1.13Cr系ステンレス鋼 本発明の対象とする13Cr系ステンレス鋼管の材質
は、11〜15重量%のCrを含むマルテンサイト系ス
テンレス鋼を主対象とするが、フェライト系ステンレス
鋼であってもよい。Crを11〜15重量%含有すれ
ば、後記するような通常の加熱雰囲気中で目的とするス
ケール層が形成されるからである。
【0034】〔発明2〕においては、内層スケール中に
必ずFe2SiO4が副成分として含まれなければならな
いので、13Cr系ステンレス鋼はSiを含まなければ
ならない。しかし、このSi含有率は特別高い必要はな
い。
【0035】〔発明1〕および〔発明2〕における化学
組成を例示すれば、Cr:11〜15%、C:0.4%
以下、Si:0.01〜1%、Mn:1%以下、Ni:
9%以下、Mo:5%以下を含み、他に微量のAl、C
a、Ti、稀土類元素等を含むものがあげられる。
【0036】2.脱スケール 〔発明1〕および〔発明2〕のデスケーラは、ともに通
常の高圧水デスケーラであって、高圧水の水圧は、10
0〜300kgf/cm2G とすることができる装置で
あることが望ましい。ここで、“G”は、ゲージ測定に
よる圧力であることを示す記号である。この様な装置に
より、鋼管を回転させながら鋼管の全周囲又は一定範囲
から高圧水を噴射して外層スケールを内層スケールから
分離除去する。高圧水の水圧が100kgf/cm2
未満では、外層スケールの分離が不十分であり、300
kgf/cm2G を超えると内層スケールが剥離する場
合があるので100〜300kgf/cm2 Gの範囲と
することが望ましい。
【0037】3.内層スケール 3−1:主成分 〔発明1〕および〔発明2〕、ともに、13Cr系ステ
ンレス鋼の表面に生成するスケールのうち、内層スケー
ルの主成分をなすスピネル型酸化物は、耐食性を向上さ
せるCrを約60重量%含み、かつ緻密であり母材の保
護被膜として作用する。内層スケールの主成分がスピネ
ル型酸化物でない場合は、表面性状及び耐食性ともに不
良なものとなるので、内層スケールの主成分はスピネル
型酸化物とする。スピネル型酸化物が20体積%未満で
は、表面性状及び耐食性が不十分となり黒皮まま出荷は
できない。一方、スピネル型酸化物が70体積%を超え
ると表面性状がかえって劣化するので、内層スケール中
のスピネル型酸化物は20〜70体積%とする。
【0038】内層スケール中の他の化合物としては、F
eO、Fe34、Fe2SiO4がある。このうちFe2
SiO4は、〔発明2〕では副成分として必ず含まれな
ければならない。仕上げ圧延前のスケールにFe2Si
4が含まれていないと、スケールの密着性が良好なも
のとならないからである。密着性をより一層高めるため
には、Fe2SiO4は内層スケール中で0.5体積%以
上含まれることが望ましい。FeOおよびFe34は、
スケール密着性を低下させ、表面性状も劣化させるの
で、できるだけ少ないほうがよい。
【0039】3−2.内層スケール厚さ 〔発明1〕および〔発明2〕において、内層スケール厚
が50μmを超える場合、内層スケールの種類によらず
延伸圧延時に割れ又は剥離を生じ、それが原因で二次ス
ケールとして赤錆の原因であるFe23が生成し黒皮の
表面性状を著しく不良にする。一方、スケール厚さが
0.1μm未満の場合には、圧延によって局部的に地鉄
が露出し、発錆の起点となるので内層スケール厚さは
0.1μm以上とする。したがって、表面性状と耐食性
に優れた緻密な黒皮が形成されるように延伸圧延直前
(〔発明1〕)または仕上げ圧延直前(〔発明2〕)の
内層スケール厚さは0.1〜50μmとする。
【0040】スケールが内層と外層の2層からなり外層
スケールがデスケーラで除去しやすく、かつ内層スケー
ルの厚さが上記0.1〜50μmの範囲になる加熱雰囲
気、条件等は経験的に知られており、たとえばつぎの雰
囲気および条件が該当する。
【0041】[雰囲気] 重油燃焼雰囲気(H2O含
有)であり、その組成は、O2:5体積%、CO2:10
体積%、H2O:10〜20体積%、N2:残部 であ
る。
【0042】[加熱条件] 温度:950〜1100
℃、時間:約60分。
【0043】4.延伸圧延(〔発明1〕の場合) 4−1.延伸圧延温度 延伸圧延は主にマンドレルミルで行われるが、必ずしも
マンドレルミルでなくてもよい。ここで延伸圧延の温度
は、従来通り800℃〜1200℃の温度域で問題ない
が、Fe23(赤錆)生成を考慮すれば950℃〜11
50℃の温度域で行うことが望ましい。
【0044】4−2.延伸圧延の圧下率 延伸圧延直後のスケールに覆われた全表面積に対するマ
イクロクラックが発生した部分の割合(以下、マイクロ
クラック率)は、延伸圧延での圧下率が40%未満では
約10%であるのに対し、40%以上にすると数%以下
に抑制できる。このため、保管時および海上輸送時に耐
食性を保持するため延伸圧延の圧下率は40%以上とす
る。
【0045】圧下率の上限はとくに限定する必要はない
が、現状のマンドレルミル等の性能を考慮して、90%
以下とすることが望ましい。
【0046】5.仕上げ圧延(〔発明2〕の場合) 仕上げ圧延は通常は一般に用いられるストレッチレデュ
ーサーで行われるが、ストレッチレデューサーに代わる
加工方法で仕上げ加工を行なってもよい。仕上げ圧延の
圧延温度域は、Fe2SiO4の塑性変形能が十分大きい
範囲という観点から900℃以上とすることが望まし
い。
【0047】5.延伸圧延(〔発明1〕)と仕上げ圧延
(〔発明2〕)との関係 表面性状と耐食性に優れた13Cr系ステンレス鋼管の
製造方法として最も望ましいのは、〔発明1〕と〔発明
2〕を組み合わせた方法である。すなわち、〔発明1〕
の延伸圧延を行って製造した仕上げ圧延用素管に〔発明
2〕の仕上げ圧延を施す方法である。しかしながら、必
ずしも、〔発明1〕と〔発明2〕を組み合わせた方法に
よらなくても、表面性状と耐食性に優れた13Cr系ス
テンレス鋼管を製造することはできる。
【0048】たとえば、〔発明1〕の延伸圧延を行っ
て、仕上げ圧延は任意の方法でおこなっても、〔発明
1〕以外の延伸圧延を行い、かつ仕上げ圧延も〔発明
2〕以外の仕上げ圧延方法で製造したものより良好な表
面性状と耐食性に優れた13Cr系ステンレス継目無鋼
管を製造することができる。これは、〔発明1〕におい
ては密着性の良好な内層スケールが圧延により細粒化さ
れ母材に圧着され、それが最終製品まで維持されるから
である。
【0049】〔発明2〕の場合は、最終段階のスケール
制御であるだけに、〔発明1〕の延伸圧延を行わずに
〔発明2〕の仕上げ圧延のみを適用した場合にも、きわ
めて優れた表面性状と耐食性を有する13Cr系ステン
レス継目無鋼管を製造することが可能である。
【0050】
【実施例】つぎに[実施例1]により〔発明1〕の効果
を、また[実施例2]により〔発明2〕の効果を説明す
る。、 [実施例1]素材ビレットはAPI規格13Cr系ステ
ンレス鋼(以下、鋼符号「API」という)および13
Cr系ステンレス鋼の改良鋼(以下、鋼符号「改13」
という)を用いた。
【0051】表1はこれら鋼の化学成分を示す。
【0052】
【表1】
【0053】表1に示す鋼のビレット(外形192m
m)を回転炉床加熱炉において、1100℃から120
0℃の温度域で加熱した後、マンネスマンピアサーによ
って外形192mm、肉厚16mm、長さ6650mm
の中空素管を製造した。中空素管は冷却されることなく
そのまま、マンドレルミルによる延伸圧延前に水圧を1
00〜250kgf/cm2G の範囲に設定した高圧水
デスケーラによりデスケールされた。このでデスケーリ
ングにより中空素管は外層スケールを除去され内層スケ
ール種と厚さが調整された後、マンドレルミルにより外
径151mm、肉厚6.5mmおよび長さ20mの仕上
げ用素管が延伸圧延された。延伸圧延前のスケール種、
スケール厚さおよびマイクロクラック率は、別にスケー
ル測定用の中空素管を同一条件で加熱して測定を行っ
た。
【0054】その後、仕上げ圧延用素管を水を含有した
重油燃焼雰囲気中にて1100℃に20分間加熱し、水
圧を100〜250kgf/cm2G の範囲に設定した
デスケーラによりデスケーリングした後、ストレッチレ
デュサーによって外径63.5mm、肉厚5.5mmお
よび長さ56mの継目無鋼管とした。このデスケーリン
グの後仕上げ圧延直前の残存したスケールの成分につい
てはとくに調査は行わなかった。その後、980℃で6
5分間加熱後高圧水により焼入れ処理を行った後730
℃で焼戻しを実施し、管の外側表面にアマニ油を塗布し
最終製品とした。
【0055】最終製品の表面性状は、つぎのとの両
方によって総合的に評価した。
【0056】目視による表面の黒皮の凹凸の有無。
【0057】赤錆の発生を赤色への変化としてとら
え、赤色の度合いの色差計によるクロマティクスネス値
表示。
【0058】耐食性試験は、海水100倍希釈溶液に浸
漬後、海上輸送を模擬した雰囲気である、温度50℃、
湿度98%の空気中で1週間暴露した後、発錆の有無を
観察することにより行った。
【0059】表2はこれら試験の結果を示す一覧表であ
る。
【0060】
【表2】
【0061】表2において、表面性状と耐食性の評価基
準は下記のとおりである。なお、表2のマイクロクラッ
ク率は延伸圧延直後のマイクロクラック率である。
【0062】a.表面性状評価基準 ○:凹凸がなく、かつ赤錆が発生しない。
【0063】△:凹凸はないが、赤錆が発生。
【0064】×:凹凸と赤錆がともに発生。
【0065】b.耐食性評価基準 ○:錆の発生なし。
【0066】△:面積率20%以下の範囲で錆発生。
【0067】×:面積率20%以上の範囲で錆発生。
【0068】色差計による測定では、本発明例の試験番
号1〜8はいずれもヘマタイト(Fe23)の生成量が
非常に少なく、赤錆発生による黒皮スケールの赤色への
変化を示すクロマティクスネス値はマイナスであった。
【0069】また、本発明例は40%以上の圧下率で圧
延を行っているためスケール表面のマイクロクラック率
が極めて小さく発錆がなかった。
【0070】一方、比較例である試験番号9は、延伸圧
延前のスケール厚さが0.05μmと薄いため、延伸圧
延直後のマイクロクラック率も高く、これが最終製品に
影響して表面性状及び耐食性ともに不良であった。
【0071】試験番号10〜15は、延伸圧延における
圧下率が40%未満であるためマイクロクラック率が高
く、これが原因でいずれも錆を生じていた。
【0072】試験番号16〜24は延伸圧延前の内層ス
ケール厚さが厚いために、マイクロクラック率の大小に
よらず、耐食性と表面性状の両方において不良であっ
た。
【0073】上記の試験番号10〜24の比較例におい
ては、赤錆発生による黒皮スケールの赤色への変化を示
すクロマティクスネス値は1以上、すなわちFe23
成による黒皮スケールの色の変化(赤変)が明瞭であっ
た。表面黒皮の凹凸も、目視で容易に確認できるほどで
あった。
【0074】[実施例2]素材ビレットはAPI13C
r系ステンレス鋼(鋼符号:API2)を基本にFe2
SiO4の体積%の影響を調査する目的でSi含有率の
異なる5種類の13Cr系ステンレス鋼(鋼符号:試
1、試2、試3、試4、試5)を用いた。
【0075】表3はこれら供試鋼の化学組成をしめす。
【0076】
【表3】
【0077】外径192mmのビレットを回転炉床加熱
炉において、1100℃から1200℃の温度域で加熱
し、ピアサーによって外径192mm、肉厚16mm、
長さ6650mmの中空素管を製造した。中空素管は、
一旦冷却されることなくそのまま、水圧100〜250
kgf/cm2G の間に制御された高圧水デスケーラに
よって、スケール種と厚さが調整された。その後、中空
素管はマンドレルミルにより外径151mm、肉厚6.
5mm、長さ20mの仕上げ圧延用素管へと延伸圧延さ
れた。
【0078】仕上げ圧延用素管は水を含んだ重油燃焼雰
囲気の再加熱炉で1100℃に20分加熱され、水圧1
00〜250kgf/cm2G または比較のためこれよ
り高圧の範囲に制御された高圧水デスケーラによって、
スケール種と厚さが調整された。その後、ストレッチレ
デューサーによって、外径63.5mm、肉厚5.5m
m、長さ56mの継目無鋼管とされた後、980℃で6
5分加熱され、高圧水により冷却する焼入れ処理、およ
び730℃で焼戻し処理が施された。
【0079】その後、鋼管の外面にアマニ油が塗布され
最終製品とされた。最終製品は目視による表面黒皮の凹
凸および剥離部の有無が調べられた。耐食性は、海水1
00倍希釈溶液に浸漬後、海上輸送条件を模擬した、温
度50℃、湿度98%の雰囲気中で1週間暴露すること
により試験された。
【0080】表4は、試験結果を示す一覧表である。
【0081】
【表4】
【0082】表4におけるデスケーリング後の状態およ
び各種評価基準(表面凹凸、剥離の有無、耐食性)は以
下の通りである。
【0083】a.脱スケール後の状態 P:最適スケール(FeCr24+Fe2SiO4) F:デスケ不十分(外層スケールも残存) N:残存スケールほとんどなし S:FeCr24のみ形成 b.表面凹凸 ○:凹凸が無く表面性状良好 ×:凹凸があり製品としての品格がない c.剥離の有無 ○:剥離が無く表面性状良好 ×:剥離があり不均一 d.耐食性 ○:錆無し ×:錆発生 デスケが不十分であった試験番号12、15、18、2
1、24、29では鋼種によらず、主として外層スケー
ルの部分的剥離に起因する表面凹凸が著しく黒皮出荷に
適さない。
【0084】Si含有率の極めて少ない試験番号5では
内層にFe2SiO4がほとんど形成されず、スケールの
残存状態にかかわらず、外層スケールのみならず内層ス
ケールも密着性が低くなり剥離がみられた。
【0085】また、内層スケールまで除去され残存スケ
ールがほとんど無い試験番号13、16、19、22、
25、30では、保護皮膜としての健全な黒皮被覆が不
十分なため耐食性が悪く発錆した。
【0086】さらに、残存スケール厚が50μm以上の
場合(試験番号11、14、17、20、23、2
8)、50μmを超える厚さの部分において、表面性状
が不良となった。
【0087】これに対して、本発明例の試験番号1〜1
0では、仕上げ圧延まえのスケール種およびスケール厚
さが適切な範囲にあり、表面性状および耐食性ともに優
れた黒皮製品が得られた。
【0088】
【発明の効果】本発明により、表面性状と耐食性に優れ
た黒皮スケールを有する13Cr系ステンレス継目無鋼
管を提供することができる。本発明方法は、製造コスト
を低減しながら使用時の耐食性をはかることができるの
で、製造者のみならず使用者にとっても有益な技術であ
る。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】11〜15重量%のCrを含むステンレス
    鋼のビレットを加熱し穿孔圧延し中空素管を製造した
    後、中空素管に生成した外層と内層とからなるスケール
    の外層スケールをデスケーラによって除去し、スピネル
    型酸化物FeCr24を主成分とする内層スケールを厚
    さ0.1〜50μm残存させ、圧下率40%以上にて延
    伸圧延して仕上げ圧延用素管を製造する方法を含むこと
    を特徴とする表面性状と耐食性に優れた黒皮被覆13C
    r系ステンレス継目無鋼管の製造方法。
  2. 【請求項2】11〜15重量%のCrを含むステンレス
    鋼の仕上げ圧延用素管を加熱した後、仕上げ圧延用素管
    に生成した外層と内層とからなるスケールの外層スケー
    ルをデスケーラによって除去し、スピネル型酸化物Fe
    Cr24を主成分としFe2SiO4を副成分の1つとし
    て含む内層スケールを厚さ0.1〜50μm残存させ、
    仕上げ圧延して継目無鋼管を製造する方法を含むことを
    特徴とする表面性状と耐食性に優れた黒皮被覆13Cr
    系ステンレス継目無鋼管の製造方法。
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