JP3473534B2 - Cr系ステンレス鋼板の熱間圧延方法 - Google Patents

Cr系ステンレス鋼板の熱間圧延方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、Cr系ステンレス
鋼板の熱間圧延中に鋼板表面に発生する焼付き疵を防止
することのできる熱間圧延方法に関する。 【0002】 【従来の技術】Cr系ステンレス鋼は、熱延鋼板として
利用されることもあるが、特にその冷延鋼板は、耐食性
に優れていることに加え、表面が美麗なため厨房用、意
匠用など美観を求められる用途に利用される。いずれの
場合も、表面疵のない表面性状のよい製品が要求され
る。なお、Cr系ステンレス鋼とは、本発明ではフェラ
イト系ステンレス鋼とマルテンサイト系ステンレス鋼と
をいう。 【0003】通常、ステンレス鋼板は連続鋳造スラブ
(厚さ:130mm〜280mm、幅700〜1600
mm、長さ10m程度)を熱間圧延し、焼鈍、酸洗をお
こなって熱延鋼板(厚さ2〜10mm程度)を製造す
る。冷延鋼板を製造する場合には、さらに厚さ0.3〜
2mm程度まで冷間圧延し、焼鈍および必要に応じて酸
洗、洗浄を施して仕上げられる。 【0004】Cr系ステンレス鋼は、普通鋼と比較して
スラブ加熱時に生成するスケ−ル厚さが非常に薄いこと
から、熱間圧延時に被圧延材と圧延ロ−ルとの金属間接
触による焼付き疵が発生しやすいという問題を有してい
る。焼付き疵は、熱延鋼板を酸洗したとき、圧延方向に
沿って筋状に鋼板表面が割れた状態、程度の悪い場合、
スケ−ルが噛み込んだ形態で確認することができる。 【0005】熱延鋼板に焼付き疵が発生した場合、軽度
なものは研削により除去できるが、重度なものは鋼板ご
とスクラップにせざるを得ないので、生産性や歩留りが
著しく低下する。さらに、焼付きが発生するとワークロ
ールの表面に被圧延材が移着してロ−ル肌荒れが発生す
る。したがって、焼付が発生したロールは、その表面を
研削して肌荒れを除去しないと使用できなくなる。その
ため、熱延鋼板の生産性や歩留の低下に加え、ロ−ル原
単位の上昇を招くという問題が発生することになる。 【0006】近年、Cr系ステンレス鋼の需要はNi系
ステンレスと比較して多くなっているが、Cr系ステン
レス鋼は、熱間圧延時の焼付き疵が発生しやすい化学組
成になっている。例えば、自動車排気系部品、スト−ブ
等の燃焼装置用材料として使用されるCr系ステンレス
鋼は、Cr、Mo、Nb、Ti、AlおよびSiの含有
量を多くなっており、耐酸化性が改善されているのでス
ラブ加熱時に生成するスケ−ル厚さも薄くなる傾向にあ
る。 【0007】また、Cr系ステンレス鋼板の冷間成形時
に発生するリジングの対策には、仕上げ圧延温度の低下
(950℃以下)が要求される。仕上げ圧延温度を低く
することは、変形抵抗が大きくなるので鋼板とロ−ル間
の焼付きの発生を助長することになる。 【0008】通常、Cr系ステンレス鋼の熱延鋼板は、
連続鋳造スラブを1050〜1270℃に加熱した後、
高圧水の噴射によるデスケ−リング処理をおこない、2
〜6スタンド(レバ−ス含む)の粗ミル、さらに引き続
く6〜7スタンドの仕上げミルにより圧延することによ
り製造される。これらの工程のうち、焼付によるロ−ル
肌荒れが問題となるのは、圧延負荷の大きな仕上げミル
の前段スタンドで、一旦焼付きが発生すると、仕上げミ
ルの最終スタンドまで焼付く場合もある。 【0009】焼付疵の発生を防止する対策として、一般
には被圧延材を高温で長時間加熱することにより、スラ
ブ加熱時に生成するスケ−ルを厚くするとともに、仕上
げ圧延温度を上昇させる方法が知られている。しかしな
がら、この対策は上記リジング対策上の制約や、高温加
熱時にスラブ垂れが発生するという問題が生じる。近
年、上記の問題を解決するために、以下に示すようなス
テンレス熱延鋼板の製造方法が提案され一部実施されて
いる。 【0010】特開平8−257605号公報には、熱間
圧延に際して通過する被圧延材の温度が900〜110
0℃の範囲にある圧延スタンドのワ−クロ−ル表面に、
潤滑剤として水酸化鉄含有の流体を塗布またはスプレ−
する方法が開示されている。 【0011】特公平4−42082号公報には、粗ミル
のスタンド間あるいは粗ミルと仕上げミルのスタンド間
で被圧延材に空気、酸素、水蒸気を吹き付ける方法が開
示されている。 【0012】特公昭60−50522号公報には、仕上
げ圧延前に被圧延材に空気、酸素、水蒸気を吹き付け上
層スケールを成長させる方法が開示されている。 【0013】上記の方法は、仕上げ圧延で被圧延材と圧
延ロ−ルとの金属間接触による焼付きを回避するため
に、潤滑剤を使用するか、あるいは被圧延材表面に酸化
スケ−ルを生成させ方法である。 【0014】しかしながら、これら各公報に開示された
技術を実施するためには、新たな工程や設備を設置する
必要があるため、設備費が嵩むという問題がある。これ
ら問題に加え、潤滑剤を使用する場合には、ワ−クロ−
ルの下ロ−ルにおいて焼付きを回避するのに十分な潤滑
効果を得るための設備設計が困難であるという問題があ
る。また、被圧延材表面に酸化スケ−ルを生成させる場
合、耐酸化性の良好なCr系ステンレス鋼において、圧
延中の数分間で酸化スケ−ルを生成させることは非常に
困難である。 【0015】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、Cr
系ステンレス鋼のスラブを熱間圧延するに際し、新たな
工程や設備を設置することなく、被圧延材と圧延ロ−ル
との焼付きによる表面疵の発生を防止することのできる
熱間圧延方法を提供することにある。 【0016】 【発明が解決するための手段】本発明の要旨は、次のC
r系ステンレス熱延鋼板の製造方法にある。 【0017】「Cr含有量が、10〜35質量%のCr
系ステンレス鋼板の熱間圧延において、仕上げ圧延機の
第1および第2スタンドのワークロ−ルに、ロールの軸
方向の表面粗さが、中心線平均粗さRaで3μm以下で
あるロールを用いて圧延する方法であって、少なくとも
第2スタンドのワークロールの中心線平均粗さRaが、
下記式を満足していることを特徴とするCr系ステン
レス鋼板の熱間圧延方法。 【0018】 Ra≦0.005X2−0.335X+6.1 ・・・・ ここで、Xは被圧延材のCr含有量(質量%)とする」 なお、中心線平均粗さRaは、JIS B0601 の規定によ
る。本発明者らは、前記の課題を解決すべく、Cr系ス
テンレス熱延鋼板の焼付き疵の発生に及ぼす被圧延材の
スケ−ル厚さと圧延条件の影響について実験、検討した
結果、以下の知見を得るに至った。 【0019】1)被圧延材の焼付き疵は、幅0.1〜
0.3mm程度、深さ10〜50μm程度の微細な横ひ
び割れが圧延方向に連続して連なったもので、被圧延材
表面がスケ−ルの潤滑不足により圧延ロ−ルの突起部で
引っ掻かれて生じた熱間加工割れである。 【0020】2)熱間圧延の仕上げ圧延においては、被
圧延材の焼付き疵の発生は第1スタンドおよび第2スタ
ンドのロール表面粗さ(中心線平均粗さRa)と被圧延
材のスケール厚さdとが大きく影響しており、Raが3
μm以下で、Ra/d≦0.2を満足させれば焼付き疵
の発生は防止できる。 【0021】3)被圧延材の表面に生成するスケールの
厚さdは、被圧延材のCr含有量の影響を受け、dとC
r含有量の関係は下記式により整理できる。 【0022】d=0.025X2−1.675X+3
0.5(X:Cr含有量で質量%) 4)上記2)および3)の関係から、焼付き発生を防止
するには、仕上げ圧延における第1、第2スタンドにお
けるワークロールのうち少なくとも第2スタンドのワー
クロールが、上記2)および3)に記載の式から求まる
下記式を満足させるのがよい。 【0023】Ra≦0.005X2−0.335X+
6.1 【0024】 【発明の実施の形態】以下に、本発明のCr系ステンレ
ス熱延鋼板の製造方法について、具体的に説明する。 【0025】(a) Cr系ステンレス鋼板(以下、化学組
成の%表示は、全て質量%とする) Cr系ステンレス鋼は、普通鋼と比較して焼付き疵が発
生しやすい傾向にある。本発明が対象とする鋼は、Cr
含有量が10〜35%の範囲にあるフェライト系ステン
レス鋼およびマルテンサイト系ステンレス鋼とする。C
r含有量が10%未満の場合、焼付きが発生しにくく、
また35%を超えるとスラブ加熱時に生成するスケール
は、Cr酸化物(Cr23)であり、その厚さは数十μ
mと非常に薄いため熱間圧延時の焼付きは避けられな
い。したがって、本発明の対象とするステンレス鋼のC
r含有量は10〜35%とした。 【0026】(b) ロール軸方向の表面粗さ 熱間圧延仕上げ圧延における焼付き疵の発生は、圧下率
が高くなる第1スタンドおよび第2スタンドで発生して
おり、これらのスタンドのワークロールの軸方向の表面
粗さを、中心線平均粗さRaで3μm 以下にしなけれ
ば、通常の圧延工程で被圧延材の表面に生成するスケー
ル厚さでは焼付き疵が発生する。したがって、第1スタ
ンドおよび第2スタンドのワークロールの軸方向の表面
粗さを、中心線平均粗さRaで3μm 以下とした。 【0027】 (c) Ra≦0.005X−0.335X+6.1 仕上げ圧延機の第1スタンドおよび第2スタンドのワー
クロールの軸方向の表面粗さが、中心線平均粗さRaで
3μm 以下であっても、被圧延材表面のスケール厚さが
薄ければ焼付き疵が発生する。焼付疵には第1スタンド
および第2スタンドのロール表面粗さ(中心線平均粗さ
Ra)と被圧延材のスケール厚さdとが大きく影響して
おり、Ra/d≦0.2とすれば焼付き疵の発生は防止
できる。また、被圧延材の表面に生成するスケール厚
は、被圧延材のCr含有量に関係しており、d=0.
025X−1.675X+30.5(X:Cr含有
量、質量%)で整理できる。 【0028】したがって、これらの式から下記式が求ま
り、下記式を満足すれば焼付き疵の発生を防止すること
ができる。 Ra≦0.005X2−0.335X+6.1 ・・・・・・ 被圧延材のスケ−ル厚さは、粗圧延後の仕上げ圧延機の
1スタンド直後にあるフライングシャ−により切断、採
取したサンプルを用いて測定した。スケ−ル厚さは、サ
ンプル断面を樹脂に埋め込み、鏡面研磨を施して、光学
顕微鏡または走査型電子顕微鏡を用いて観察することに
より測定できる。 【0029】さらに、実生産ラインでのスケール厚さの
測定は、X線回折により定量分析することにより簡便に
実施できる。定量分析は、原則として酸化スケ−ルを構
成する種々の酸化物の回折強度を用いておこなう。種々
の酸化物の回折強度は、一般に、X線回折装置にて回折
線幅の2θ値を指定し、その間を2θ走査法で自動的に
回折強度測定をおこない、バックグラウンド強度を差し
引いた純粋の回折強度をプリントアウトする手法でよ
い。 【0030】なお、Raは仕上げ圧延機の第1スタンド
および第2スタンドのワークロールの両方が上記式を
満足しているのが好ましいが、第2スタンドのみでもよ
い。 【0031】普通鋼を熱間圧延する場合、仕上げ圧延で
スリップが発生し易いので、仕上げ第1スタンドのワー
クロールの表面粗さ、Raを3μm程度に粗く仕上げる
場合がある。普通鋼の圧延の後で、同じワークロールを
用いてCr系ステンレス鋼を圧延する場合、仕上げ第1
スタンドおよび第2スタンドにおいて、上記被圧延材に
焼付き疵が生じる場合がある。このような場合、第1ス
タンドの表面粗さはそのままにしておいても、第2スタ
ンドのロ−ル表面粗さRaを小さくして上記式を満足
させることにより、焼付き疵の発生を最小限に抑制する
ことがでる。したがって、その後の酸洗処理あるいは必
要により酸洗処理後に軽度の研削を施すことにより無害
化することができる。 【0032】上記のことは、下記のような試験をおこな
い求めたものである。 【0033】被圧延材として、12%Cr系、18%C
r系、20%Cr系、30%Cr系ステンレス鋼の熱延
鋼板から、厚さ3mm、幅30mm,長さ200mmの
圧延試験片を製作した。この試験片を800〜1200
℃の温度範囲で、温度、保持時間を種々変えてスケール
厚さの異なる試験片を用意した。これらの試験片を、圧
下率35〜45%、圧延温度900〜1050℃の範囲
でロ−ルの軸方向表面粗度Raを種々変化させた圧延機
で1パスの熱間圧延をおこなった。圧延ロ−ルは、材質
SKD11、ロ−ル径4インチのものを用いた。ロ−ル
表面粗度は、砥石により円周方向に平行な研磨筋を入れ
て平均粗さRaを0.1〜3.0μmに調整した。 【0034】1パス圧延後、焼付き疵の発生の有無は、
圧延後のスケールが付着したままの試験片表面を走査型
電子顕微鏡を用いて観察し、反射電子像法により金属表
面の露出部の有無により判定した。反射電子像は、原子
番号に依存した反射電子の放出によりコントラストが得
られる。このことから、酸化スケ−ルからなる部位と金
属表面が露出した部位を識別して観察することができ
る。実際は、熱間圧延後、金属表面の焼付による金属露
出部に薄いテンパ−カラ−が付着するが、その酸化皮膜
は非常に薄いために本手法にて識別が可能である。その
結果の一例として18%Crのステンレス鋼の結果を表
1に示す。 【0035】 【表1】 表1から明らかなように、焼付き疵が発生していないの
は、ロ−ルの表面粗さ、Ra(μm)と被圧延材のスケ
−ル厚さ、d(μm)が、Ra/d≦0.2を満足して
いる場合である。 【0036】次いで、この圧延試験で焼付き疵の発生し
た試験番号1、2、8および11のスケールが付着して
いる試験片を用いて圧下率35〜45%、圧延温度90
0〜1000℃の範囲でロ−ルの軸方向表面粗さ、Ra
を0.1〜1μmの範囲で変化させて、1パスの圧延を
おこなった。 【0037】圧延後、試験片は、酸洗処理を施して焼付
き疵の有無を目視観察した。酸洗処理は、500℃のア
ルカリソルトバスに1分間浸漬した後、50℃の10%
硝酸−2%弗酸水溶液中に1分間浸漬することによりお
こなった。その際、金属表面の腐食減量は3μm未満で
あった。結果を表2に示す。 【0038】 【表2】表2より明らかなように、1回目の圧延で焼付疵が発生
していた試験片でも、2回目の圧延で使用したロール
軸方向表面粗さRaとスケール厚さの関係がRa/d≦
0.2を満足する場合は、酸洗後に焼付疵は観察されな
かった。これは、1回目の圧延で発生した焼付疵は2回
目の圧延により疵が延ばされより軽微なものとなり、酸
洗により除去されたものと考えられる。 【0039】一方、Ra/d≦0.2を満足しない条件
で圧延した場合、圧延前に存在していた焼付き疵は、酸
洗処理後も確認された。 【0040】上記のような焼付き疵をの発生を防止する
ことのできる条件は、12%Cr系、20%Cr系、3
0%Cr系のステンレス鋼板における試験においても1
8%Crの結果と同じ結果となった。 【0041】(d) ワークロール 本発明のCr系ステンレス熱延鋼板の熱間圧延方法にお
いて使用されるワークロールの材質としては、一般的に
熱間圧延で使用されているロールの材質であればよい。 【0042】例えば、高Cr鋳鉄(2.8%C−18%
Cr系)、特公平6-35640号、特公昭61-163
36号、特公昭61-16415号各公報に開示される
ような金属組織中に黒鉛を晶出させた高Cr鋳鉄、高合
金グレン鋳鉄(3.3%C-4.4%Ni-1.5%Cr
系)、金属組織中に球状黒鉛とセメンタイトを有したダ
クタイル鋳鉄、アダマイト(1.5%C-1.0%Ni-
1.2%Cr系)および高速度工具鋼のC量を1〜3%程
度に高めた高炭素系高速度工具鋼(ハイス、熱延ハイス、
耐摩耗鋳鉄などとも呼ばれる)などである。 【0043】高炭素系高速度工具鋼は、Cr,Mo,
V,Nb,W等のごとく、高硬度複合炭化物を形成する
元素を含有したもので、特開平2-240634号、特
開平2-25205号、特開平2-88745号、特開平
3-126838号、特開平3-219047号、特開平
4-141553号、特開平5-148584号、特開平
5-271875号の各公報等に開示されているような
一般的な化学成分は、質量%でC:0.8〜3.8%、S
i:0.2〜3.5%、Mn:0.1〜2%、Cr:0〜10
%、Mo:0〜10%、V:0〜10%、W:0〜10
%、Co:0〜10.0%、Nb:0〜8%、その他実質
的にFeである。さらに上記元素に加えてB,Al,T
i等の特殊元素を添加した例や特開平6-256889
号、特開平9-170040号、特開平9-170043
号各公報に開示されているような金属組織中に黒鉛を晶
出させた例も見られるが、いずれにしても基本的には高
速度工具鋼の範疇に入るものである。特に、焼付き抑制
効果の点で、高Cr鋳鉄、高合金グレン鋳鉄、高速度工
具鋼が好ましい。さらに高速度工具鋼がより好ましく、
黒鉛晶出高速度工具鋼が最も適している。 【0044】 【実施例】表3に示す化学組成の、厚さ200mm、幅
1000mmのステンレス鋼スラブの被圧延材を120
0〜1250℃の温度範囲に加熱後、高圧水デスケ−リ
ング処理をおこない、2組のスタンドからなる粗ミル
(レバ−スミル)、7組のスタンドからなる仕上げミル
により圧延し、板厚4.5〜3mmに仕上げた。 【0045】その際、仕上げ圧延機のスタンドの内、第
1および第2スタンドのワークロールには、高速度工具
鋼からなりロ−ルの軸方向表面粗さ、Raを表4に示す
ように1〜3μmと変化させたロールを使用した。 【0046】 【表3】 得られた熱延鋼板は、焼鈍および酸洗処理を施し、焼付
き疵の発生の有無を目視により検査した。焼付き疵が確
認された熱延鋼板は、ベルト研削機4基から構成される
疵取りラインにより焼付疵が除去されるまで表面を研削
した。研削条件はベルト番手を60番とし、ライン速度
は10m/分とした。疵取りラインを1回通板した場合
を研削工程1パスとし、2回通板場合したを3パスとし
た。 【0047】焼付き疵の評価は、焼付き疵が酸洗処理後
に観察されなかった場合を◎(良好)、酸洗処理で焼付
き疵が観察され、研削工程1パスにより除去された場合
を○(やや良好)、焼付き疵の除去に研削工程を2パス
以上必要とした場合を×(不良)とした。その結果を表
4に示す。表4中の第1スタンド直後のスケール厚さ
は、第一スタンド通過後のスラブトップから300mm
の位置(板厚が18〜25mm)での測定結果である。 【0048】 【表4】表4より明らかなように、第1、第2スタンド両者のロ
−ル表面粗さが、本発明で規定する式を満足している本
発明例であるA1、C1、D1では、酸洗処理後に焼付
き疵のない良好な表面性状が得られた。また、本発明例
である第2スランドのロールについてのみ本発明で規定
する式を満足しているA2、B1、C2、D2は、酸洗
処理後に僅かな焼付疵が確認されたが、研削工程1パス
により焼付き疵が無害化された。 【0049】一方、比較例の試番A3、B2、C3、D
3は、第1、第2スタンドの両ロール共に表面粗さは3
μm以下であるが、第2スタンドのロールの表面粗さが
本発明で規定する式を満足していないため、酸洗処理後
に焼付き疵が確認され、これを除去するための研削は2
パス以上が必要であった。 【0050】 【発明の効果】本発明のCr系ステンレス鋼板の製造方
法によれば、被圧延材と圧延ロ−ルとの焼付きによる表
面疵の発生を防止することができ、表面性状に優れた熱
延鋼板、さらに冷延鋼板を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−99304(JP,A) 特開 平7−178415(JP,A) 特開 平9−174111(JP,A) 特開 平9−253712(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 3/02 B21B 1/26 B21B 27/00 C22C 38/00 C22C 38/50

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】Cr含有量が、10〜35質量%のCr系
    ステンレス鋼板の熱間圧延において、仕上げ圧延機の第
    1および第2スタンドのワークロ−ルに、ロールの軸方
    向の表面粗さが、中心線平均粗さRaで3μm以下であ
    るロールを用いて圧延する方法であって、少なくとも第
    2スタンドのワークロールの中心線平均粗さRaが、下
    記式を満足していることを特徴とするCr系ステンレ
    ス鋼板の熱間圧延方法。 Ra≦0.005X2−0.335X+6.1 ・・・・・ ここで、Xは被圧延材のCr含有量(質量%)とする
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