JP2988355B2 - 表面性状の良好な含銅熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

表面性状の良好な含銅熱延鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として一般建
材、コンテナ用素材、自動車の足廻り部品用素材等に用
いられる耐食性に優れた含銅熱延鋼板の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に常温での耐食性を向上させるため
にはCuを0.2 %以上添加することが有効とされている。
しかし、含銅鋼の欠点として熱間脆性があり、高温で加
工する際に鋼板に割れが発生し製品の表面疵の原因とな
ることが知られている。この熱間加工時の割れの原因は
概ね次のように考えられている。
【0003】すなわち、加熱炉においてスラブを加熱し
た際、Feがスケールとして酸化するためFeより酸化しに
くいCuはFeとスケールの界面に富化層を形成する。この
富化層のCu濃度が約8%以上に達した場合、1094℃以上
で液相を生じる。この液相の生じた脆弱な鋼板表面が熱
間加工を受けた場合に割れの発生に至るというものであ
る。
【0004】この表面割れ発生機構をもとに、割れすな
わち製品の表面疵を発生させないような工夫が種々行わ
れてきた。最も簡単な方法としてはNiをCuの1/2 以上の
量だけ添加し、Cu富化層の融点を上げる方法が知られて
いる。しかし、この方法は高価なNiを多量に必要とする
ため著しいコスト上昇につながる。また、Siについても
Cuの富化層がスケール側にくることにより表面疵を改善
する効果があるといわれている。
【0005】Ni添加量低減方法としては特開平6−3130
2 号公報、同6−297025号公報にNi酸化物、Si酸化物を
スラブ表面に塗布する方法が開示されている。これはNi
およびSiの効果をスラブ表面のみとすることを目的とし
ているが、Ni、Si酸化物の塗布方法が不明確であり、ま
た、塗布するための新たな設備を設ける必要がある。
【0006】Ni添加以外の方法としては、特開昭49−12
3458号公報に加熱温度を1300℃以上とし、1090℃以上で
粗圧延を完了し、引き続き1050℃以下まで冷却したのち
仕上げ圧延を行う方法が開示されている。これはCuをス
ケール中に拡散させること、およびCuの脆化が最も激し
い1050〜1100℃での熱間加工を避けることにより表面疵
抑制を狙ったものである。しかし、加熱温度を1300℃以
上とすることは炉の損傷やエネルギーコストの著しい上
昇などが伴い、量産ラインで実施することは困難であ
る。
【0007】また、加熱温度1300℃以下における表面疵
の防止方法として、特開昭51−126322号公報にスラブ表
面を熱間溶削したのち直ちに熱間圧延を実施する、また
は、熱間溶削したのち加熱時間、加熱温度を厳しく制限
し熱間圧延を実施する方法が開示されている。これらは
Cuが富化層を形成する前に熱間加工を完了させてしまう
というものであるが、そのためには新たに設備を設ける
必要があり、また加熱条件を著しく制約するという欠点
がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来技術は含銅鋼の表
面疵防止のために有効ではあるが、制限が多く実際の操
業においては実現困難である。ここに本発明の目的は、
実際の操業に容易に実施でき、かつ表面疵の発生を効果
的に防止できる含銅熱延鋼板の製造方法を提供すること
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、熱
延鋼板に対象を絞って表面疵の抑制方法を研究した結
果、熱延鋼板での含銅鋼の表面疵防止方法を開発した。
すなわち、熱延鋼板の特徴として、熱間圧延ではロール
接触表面が大きいこと、製品厚が薄いため製品端面の劣
化は問題とならないこと、そして加熱後に幅調整あるい
はスケール剥離向上の目的で幅方向の加工が加わること
が挙げられることに着目し、熱延鋼板の表面疵防止方法
として幅方向加工時の温度を制御することで、また幅方
向加工時の加工速度を制御することで、若干端面の劣化
はみられるものの、効果的に表面疵の発生防止が図ら
れ、量産ラインで適用が容易な製造方法が実現できるこ
とを知り、本発明を完成した。本発明に係わる表面性状
の良好な含銅熱延鋼板の製造方法は次の通りである。
【0010】(1) 重量%で、C: 0.20%以下、 Mn:0.
10〜1.50%、S: 0.020 %以下、Cu:0.20〜0.50%、残
部をFeおよび不可避的不純物から成る鋼組成を有する素
材鋼スラブを加熱したのち、スラブ幅方向の加工をスラ
ブ幅の4%以上行う場合、その加工を1170℃以上で実施
し、Ar3 点以上で仕上げ圧延を完了することを特徴とす
る表面性状の良好な含銅熱延鋼板の製造方法。
【0011】(2) 重量%で、C: 0.20%以下、 Mn:0.
10〜1.50%、S: 0.020 %以下、Cu:0.20〜0.50% 残部をFeおよび不可避的不純物から成る鋼組成を有する
素材鋼スラブを加熱したのち、スラブ幅方向の加工をス
ラブ幅の4%以上行う場合、その加工を幅方向の下記
(1) 式で定義される加工速度(*1) 250mm/sec以下で実施
し、Ar3 点以上で仕上げ圧延を完了することを特徴とす
る表面性状の良好な含銅熱延鋼板の製造方法。
【0012】 加工速度(*1)= (元スラブ幅−加工後スラブ幅) /幅方向加工時間 ・・・・・(1) (3) 前記鋼組成が、さらに、重量%で、Si:1.2%以下、
Ti:0.15 %以下、Nb:0.05 %以下の少なくとも1種、お
よび/またはP:0.15 %以下、Cr:1.5%以下の少なくと
も1種以上を含有する上記(1) または(2) 記載の表面性
状の良好な含銅熱延鋼板の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明によれば、Cu:
0.50 %以下では、幅方向の加工がスラブ幅の4%未満
の場合、ロール接触面では疵の発生は見られず、鋼板端
面がわずかに劣化するのみであることがわかった。ま
た、幅方向にスラブ幅の4%以上の加工を加えた場合
は、鋼板表面に疵の発生が見られる場合もあるが、加工
温度を1170℃以上とするとき、またはスラブ幅方向の加
工速度が250mm/sec 以下のときは疵の発生が抑えられる
ことを見い出した。しかし、Cu:0.50 %を超えると加工
温度が1170℃以上であっても、また幅方向の加工速度が
250mm/sec 以下でも表面疵が発生する場合がある。つま
りCu:0.50 %以下、加工温度が1170℃以上、または幅方
向加工速度250mm/sec 以下では非ロール接触面 (自由
端) のみ疵が発生する。
【0014】次に、本発明の製造方法において鋼組成お
よび加工条件を上記のように定めた理由について以下に
詳細に説明する。まず、本発明の対象となる素材鋼スラ
ブの化学組成を定めた理由を作用効果とともに述べる。
本明細書において「%」は特にことわりがなり限り、重
量%を表す。
【0015】C: 0.20%以下 Cは機械特性に対して影響の大きい元素である。Cが0.
20%を超えると加工性が著しく劣化し、冷間でのプレス
加工において所定の形状を得られない場合がある。ま
た、構造物とした場合、溶接部近傍の軟化、硬化が発生
し強度、靱性が十分得られない場合がある。そのためC
の含有量は0.20%以下とした。好ましくは0.03〜0.15%
である。
【0016】Mn:0.10〜1.50% MnはMnSとしてSの熱間脆化 (約900 〜1000℃) を防止
し表面疵の発生を防ぐ働きがある。このため下限を0.10
%とした。またMnは強化元素として有効であるが多量に
添加すると伸びが低下し加工性が著しく劣化する。その
ためMnの上限を1.50%とした。好ましくは0.30〜1.30%
である。
【0017】S: 0.020 %以下 Sは熱間加工性を劣化させる元素であり、できるだけ少
ないことが望ましい。しかし、Sが0.020 %以下ではそ
の劣化が小さいことから上限を0.020 %とした。好まし
くは、0.010 %以下である。
【0018】Cu:0.20〜0.50% Cuは耐食性に対して重要な元素である。耐食性向上のた
めには0.20%以上の添加が必要であるため下限を0.20%
とした。また、耐食性に関しては0.70%程度まで上昇は
見られるが、Cuを0.50%を超えて添加すると、本発明の
方法では表面疵を皆無にすることは困難である。そのた
め上限は0.50%とした。好ましくは、0.30〜0.50%であ
る。
【0019】Si、Ti、Nb、P、Cr:これらは必要に応じ
て添加してもよい。Si、Ti、Nb、P、Crを添加するのは
次の効果を期待する場合である。
【0020】Si: 1.2 %以下 Siは成形性の劣化が少なく鋼板の強度を向上させるのに
適した元素である。このため自動車の足廻り部品などに
含銅熱延鋼板を使用する場合などはSiを添加するのは有
効な手段である。しかし1.2 %を超えて添加するとFe2S
iO4 が大量に発生し異常酸化の原因となりスケールロス
が大きくなる。そのため上限は1.2 %とした。好ましく
は、0.50〜1.10%である。
【0021】Ti:0.15%以下、Nb:0.05%以下 Ti、NbはそれぞれTiC、NbCとして析出して強度上昇に
有効な元素である。しかし、Tiは0.15%を超えて添加し
てもその効果は小さくなり、コスト上昇につながるのみ
のため上限を0.15%とした。同様な理由によりNbも上限
を0.05%とした。好ましくは、Ti:0.02〜0.12%、Nb:
0.01〜0.035 %である。
【0022】P: 0.15%以下 Pは耐食性に対して有効な元素である。そのためさらな
る耐食性の向上が必要な場合は添加すると良い。しか
し、Pは0.15%を超えて添加しても耐食性の向上は見ら
れないだけでなく鋼の靱性を劣化させるため上限は0.15
%とした。好ましくは、0.05〜0.12%である。
【0023】Cr: 1.5 %以下 Crも耐食性に有効な元素であり、特に耐海水腐食性が有
効である。このため耐海水腐食性が必要な場合は添加す
る必要がある。しかし1.5 %を超えてもその効果は飽和
するため上限を1.5 %とした。好ましくは、1.0 〜1.5
%である。
【0024】次に製造条件の限定理由について説明す
る。熱間圧延は、スラブを加熱炉より抽出後、スラブ幅
方向加工→デスケーリング→粗圧延→仕上げ圧延→冷却
→巻き取りの各工程を経て行われる。
【0025】スラブ幅方向加工量:スラブ幅の4%以上 スラブ幅方向の加工量がスラブ幅の圧下量で4%未満と
小さい場合は、スラブは幅方向の加工を加えても表面疵
は発生しにくい。このため、スラブ幅方向の加工量がス
ラブ幅の4%未満は本発明の範囲外となる。このためス
ラブ幅方向の加工量はスラブ幅の圧下量で4%以上とし
た。好ましくは6%以上である。
【0026】スラブ幅方向加工の加工温度:1170℃以上 スラブ幅方向加工の加工温度を1170℃以上とすることは
表面疵防止の上で重要である。含銅熱延鋼板の表面疵発
生原因は幅方向の加工に起因するところが大きい。すな
わち幅方向の加工では鋼板表面は自由端となり製品時に
表面側に疵が発生する原因となるためである。この幅方
向の加工をCuの脆化温度以外で行うことにより含銅熱延
鋼板の表面疵は防止可能である。このためスラブ幅方向
加工の加工温度を1170℃以上とした。好ましくは、1200
〜1250℃である。
【0027】スラブ幅方向加工の加工速度:250mm/sec
以下 本発明は、その別の面からは、幅方向の加工速度を規制
することによって、加工時の表面疵防止を図るのであ
る。
【0028】スラブ幅方向加工の加工速度を250 mm/sec
以下とすることは表面疵防止の上で重要である。含銅熱
延鋼板の表面疵発生原因は幅方向の加工に起因するとこ
ろが大きい。すなわち幅方向の加工では鋼板表面は自由
端となり製品時に表面側に疵が発生する原因となるため
である。鋼板表面疵と幅方向の加工速度について検討し
た結果、加工速度が大きくなるに従い表面疵が発生する
確立が高くなることがわかった。従って、幅方向の加工
速度の上限を規定することによりCuに起因した表面の脆
化は防止可能である。このためスラブ幅方向加工の加工
速度の上限を250mm/sec 以下とした。好ましくは、200m
m/sec 以下である。ここでスラブ幅方向加工速度とは、
前述の(1) 式で示されるように、 (元スラブ幅−加工後
スラブ幅) /幅方向加工時間と定義する。
【0029】仕上げ圧延温度:Ar3 点以上 Ar3 点以上で仕上げ圧延を完了させる理由は、圧延中に
変態が起きると圧延荷重の変化により鋼板の平坦度や寸
法精度が大きく劣化するばかりでなく、通板そのものが
困難となるためである。
【0030】巻取り温度については、含銅熱延鋼板の表
面に与える影響はないが、巻き取り不良の防止のため70
0 ℃以下とすることが望ましい。次に、本発明の作用効
果を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
【0031】
【実施例】
(実施例1)本例では、C=0.10%、Mn=0.50%、S=0.
015 %の基本鋼組成に、Cu=0.2、0.5 、0.8 %をそれ
ぞれ添加した3種の鋼組成を持った素材鋼スラブ240t×
1200w×6000〜7000L (mm)を作製し、加熱炉にて加熱、
抽出後、スラブ幅方向加工→デスケーリング→粗圧延→
仕上げ圧延→冷却→巻き取りの順で熱間圧延を実施し
た。
【0032】スラブ幅方向の加工はサイジングプレスで
スラブ幅の約12.5%(150 mm)実施した。また、スラブ加
熱温度は全て約1220℃とし、その後ホットランテーブル
上で所定の幅方向加工温度まで冷却を実施した。圧延は
幅方向加工後に粗圧延、タンデムの仕上げ圧延により板
厚2.6 mmにまで実施した。
【0033】図1はこのときの加工温度と表面疵発生率
(%) との関係を表わすグラフである。図1のように、幅
方向加工温度は約1100℃の時に最も表面疵が発生してい
るのが判る。さらにCu:0.50 %以下では幅方向加工温度
が1170℃以上で表面疵の発生が抑えられている。逆にCu
=0.8 %では幅方向の加工温度が1170℃以上でも表面疵
は、わずかではあるが、発生する場合がある。
【0034】(実施例2)表1の含有成分の鋼(Ar3≒800
℃) を常法により溶製後、幅方向加工温度、加工量を変
化させて熱間圧延を行った。製造したスラブの寸法は24
0t×1200w×6000〜7000L(mm) とし、実施例1の場合と
同様に抽出後、サイジングプレスにより幅方向圧下率2
%(24mm)〜20%(240mm) のスラブ幅方向加工を実施した
後、粗圧延、仕上げ圧延、コイル巻取りを実施した。
【0035】その結果を表2に示す。表面疵発生の有無
は、次工程である酸洗ラインにて目視による検査を行っ
た結果である。この結果より本発明の方法では含銅熱延
鋼板の表面に疵が発生しないことが判る。
【0036】また機械特性は酸洗ラインにて熱延コイル
の1/4wの位置より採取したサンプルをJIS 5号試験片に
て圧延方向の引張試験を行った結果である。本発明方法
により得られた鋼は良好な機械特性を有しているのに対
して、C、Mnを過剰に添加したものは、伸びの劣化が著
しいことが判る。さらに、Tiを0.15%以上、Nbを0.05%
以上に多量に添加しても強度への影響が小さいことが判
る。
【0037】さらに酸洗ラインにて採取したサンプルの
耐食性を評価するため、促進型バクロ試験を実施した。
促進型バクロ試験は、通常のバクロ試験に加え、1回/
週、5%食塩水を散布することを特徴とする。
【0038】この試験結果から、本発明で規定する範囲
より少ないCu添加量では耐食性の劣化が著しいことが判
る。また、耐食性向上に有効なP、Crについても、本発
明範囲を越えて多量に添加してもその効果が飽和するこ
とが判る。スケールロスについてもSiを多量に添加した
場合に、スケールロスが大きいことが判る。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】(実施例3)本例では、実施例1の場合と同
様にC=0.10%、Mn=0.50%、S=0.015 %の基本鋼組
成に、Cu=0.2 、0.5 、0.8 %をそれぞれ添加した3種
の鋼組成を持った素材鋼スラブ240t×1200w×6000〜70
00L (mm)を作製し、圧延を実施したときの幅方向加工速
度と表面疵発生率の関係を調べた。
【0042】スラブ幅方向の加工はサイジングプレスで
スラブ幅の圧下率で約20%(240 mm)実施した。また、ス
ラブ加熱温度は全て約1200℃とした。圧延は幅方向加工
後に粗圧延、タンデムの仕上げ圧延により板厚2.6 mmに
まで実施した。
【0043】図2はこのときの加工温度と表面疵発生率
(%) との関係を表わすグラフである。図2のように幅方
向加工速度が早くなるに従い表面疵発生率が高くなるこ
とがわかる。さらにCu:0.50 %以下では幅方向加工速度
が250 mm/sec以下では表面疵の発生が抑えられている。
逆にCu=0.8 %では幅方向加工速度が250mm/sec 以下で
も表面疵は、かなり発生する場合がある。
【0044】(実施例4)表3の含有成分の鋼(Ar3=約80
0 ℃) を常法により溶製後、幅方向加工温度、加工量を
変化させて熱間圧延を行った。製造したスラブの寸法は
240t×1200w×6000〜7000L(mm) とし、実施例3の場合
と同様に抽出後、スラブ幅方向の加工をサイジングプレ
スにより幅方向圧下率2% (24mm) 〜20%(240mm) 、加
工速度 150〜350mm/sec で行い、その後粗圧延、Ar3
以上での仕上げ圧延、コイル巻取りを実施した。
【0045】その結果を表4に示す。表面疵発生の有無
は、次工程である酸洗ラインにて目視による検査を行っ
た結果である。この結果より本発明方法で得られた熱延
鋼板の表面には疵が発生しないことが判る。また機械特
性は酸洗ラインにて熱延コイルの1/4wの位置より採取し
たサンプルをJIS 5号試験片にて圧延方向の引張試験を
行った結果である。
【0046】本発明方法により得られた鋼は良好な機械
特性を有しているのに対して、C、Mnを過剰に添加した
ものは、伸びの劣化が著しいことが判る。さらに、Ti、
Nbを1.0 %以上に多量に添加しても強度への影響が小さ
いことが判る。
【0047】さらに酸洗ラインにて採取したサンプルの
耐食性を評価するため、促進型バクロ試験を実施した。
促進型バクロ試験は、通常のバクロ試験に加え、1回/
週、5%食塩水を散布することを特徴とする。
【0048】この試験結果から、本発明で規定する範囲
より少ないCu添加量では耐食性の劣化が著しいことが判
る。また、耐食性向上に有効なP、Crについても、本発
明範囲以上添加してもその効果が飽和することが判る。
スケールロスについてもSiを多量に添加した場合に、ス
ケールロスが大きいことが判る。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば高価なNiや加熱条件を大
きく制限することなく表面の良好な含鋼熱延鋼板を製造
することができる。Cu含有量が0.5 %以下の場合、幅方
向加工を1170℃以上で実施するか、またはスラブ幅方向
加工速度を250mm/sec 以下とすることによりCuの脆化に
よる表面疵の発生を実質上完全に防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】Cu含有量を変えた場合における鋼の幅方向加工
温度と表面疵発生率の関係を示すグラフである。
【図2】Cu含有量を変えた場合における鋼の幅方向加工
速度と表面疵発生率の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 1/02 B21B 3/00 C21D 8/02 C22C 38/00 C22C 38/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C: 0.20%以下、 Mn:0.10〜1.50%、 S: 0.020 %以下、Cu:0.20〜0.50%、 残部をFeおよび不可避的不純物から成る鋼組成を有する
    素材鋼スラブを加熱したのち、スラブ幅方向の加工をス
    ラブ幅の4%以上行う場合、その加工を1170℃以上で実
    施し、Ar3 点以上で仕上げ圧延を完了することを特徴と
    する表面性状の良好な含銅熱延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C: 0.20%以下、 Mn:0.10〜1.50%、 S: 0.020 %以下、Cu:0.20〜0.50% 残部をFeおよび不可避的不純物から成る鋼組成を有する
    素材鋼スラブを加熱したのち、スラブ幅方向の加工をス
    ラブ幅の4%以上行う場合、その加工を幅方向の加工速
    度(*1) 250mm/sec以下で実施し、Ar3 点以上で仕上げ圧
    延を完了することを特徴とする表面性状の良好な含銅熱
    延鋼板の製造方法。 加工速度(*1)= (元スラブ幅−加工後スラブ幅) /幅方
    向加工時間
  3. 【請求項3】 前記鋼組成が、さらに、重量%で、 Si:1.2%以下、Ti:0.15 %以下、Nb:0.05 %以下の少な
    くとも1種、 および/またはP:0.15 %以下、Cr:1.5%以下の少なく
    とも1種以上を含有する請求項1または2記載の表面性
    状の良好な含銅熱延鋼板の製造方法。
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