JP4804657B2 - オーステナイト系ステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーステナイト系ステンレス冷延鋼板の焼鈍時に発生するスケールを除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステンレス冷延鋼板の製造工程は、熱間圧延されたステンレス鋼板を冷間圧延する工程、冷間圧延の際に生じた加工ひずみを除去し、成形性や加工性を改善する焼鈍工程、この焼鈍工程で生成する酸化スケールを除去する脱スケール工程からなっている。
【0003】
焼鈍工程において、SUS301鋼や同304鋼で代表されるオーステナイト系ステンレス鋼は、900℃を超える温度で焼鈍されるが、その焼鈍中にFe、Cr等を主成分とした酸化スケールが生成する。これを除去するために焼鈍後に脱スケール工程が必要となる。
この酸化スケールの脱スケール方法としては、「中性塩電解処理」が広く用いられている。中性塩電解処理では、硫酸ナトリウム等の中性塩の水溶液中で、焼鈍されたステンレス鋼板を、陽極電解、陰極電解を交互に繰り返す交番電解により脱スケールを行う。陽極電解の際に、難溶性のCrを主体とした酸化スケールを更に酸化させ、Cr 2−の可溶性のイオンとして溶解させる方法である。
【0004】
他の方法として、「アルカリソルト浸漬処理」がある。これは、水酸化ナトリウムや硝酸ナトリウム等からなる混合塩を450〜550℃に加熱溶融させ、焼鈍されたステンレス鋼板を浸漬して脱スケールする方法である。このアルカリソルト浸漬法でも、酸化スケールは更に酸化され可溶性のNaCrとなり、続く水洗工程で溶解除去される。
【0005】
上記の中性塩電解処理またはアルカリソルト浸漬処理のいずれの方法においても、それぞれ単独では完全に脱スケールされないため、引き続き「硝ふっ酸浸漬処理」が実施される。硝ふっ酸浸漬処理は、アルカリソルト浸漬処理または中性塩電解処理で除去困難な、Cr酸化物以外の酸化スケールを除去することを目的として行われる。
【0006】
アルカリソルト浸漬処理と中性塩電解処理とを比較すると、アルカリソルト浸漬処理の方が、スケール中のCrを酸化する能力、すなわち脱スケール性は優れ、更に母材と酸化スケールとの界面に濃化するSi酸化物等を除去する能力にも優れている。しかし、アルカリソルト浸漬法は、溶融塩の粘性が高いため、ソルト中で浸漬ロールと鋼板との間でスケールや槽の底部に堆積したスラッジを噛み込み、鋼板に疵を生じさせやすい。したがって、アルカリソルト浸漬処理は、中性塩電解処理に比べ表面疵で問題となることが多い。
【0007】
冷延焼鈍される製品は、表面品質を重視する場合が多いため、その脱スケール法として中性塩電解処理が一般的に用いられている。この時、脱スケール性がアルカリソルト浸漬処理よりも劣るために、複数の処理槽が必要になり、設備が大規模となるという問題がある。
上述の通り、中性塩電解処理はアルカリソルト浸漬処理に比べ、脱スケール性に劣るため、従来から種々の提案がなされてきた。
【0008】
特開平5−247700公報には、中性塩電解液のpHを3以下とし、不動態化電流密度以上の電流密度で処理することによって、鋼板表面の鉄、珪素、チタン、ニオブ等の酸化物残存による表面光沢の劣化を防止する脱スケール法が提案がされている。しかしこの提案された方法では、中性塩のみでpHを低下させた場合、肌荒れが大きく表面品質上の問題がある。
【0009】
特開平5−287600公報には、中性塩電解後NaOHまたはKOHとNaNOまたはNaSOの混合アルカリ性水溶液で電解することによって、高速脱スケールを行う方法が記載されている。しかしこの記載された方法では、アルカリ性水溶液中で水酸化鉄が析出し通板ロールに付着し、押し込み疵の発生原因になり、表面品質上大きな問題がある。
【0010】
特開平11−61500公報には、中性塩電解を行った後、硫硝酸混合水溶液で電解処理を実施する方法が開示されている。しかしこの開示された方法では、母材と酸化スケールとの界面に生成されるSi酸化物の除去能力に劣り、その後の調質圧延などでSi酸化物が脱落し、押し込み疵の原因となる欠点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の諸問題に鑑みて、オーステナイト系ステンレス冷延鋼板の焼鈍時に発生するスケールを、アルカリソルト浸漬処理を用いないで、高能率で除去することができ、除去後の鋼板表面の研磨性が良好となるオーステナイト系ステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
オーステナイト系ステンレス冷延鋼板の焼鈍後の脱スケール方法について、アルカリソルト浸漬処理を用いない電解処理による脱スケール方法を検討した。
【0013】
先ず、オーステナイト系ステンレス冷延鋼板の焼鈍時の酸化スケールの構造と、中性塩電解処理工程及び硝ふっ酸浸漬処理工程における脱スケール挙動について得られた知見を以下の(a)〜(e)に示す。
【0014】
(a)焼鈍により生じるスケールは、外層がFe酸化物主体、内層がCr酸化物主体のスケール構造をなし、母材と前記酸化スケールとの界面にSi酸化物主体のスケールが生成する。Nb等を含む鋼種は、この界面にNb酸化物を含むスケールも形成される。
【0015】
(b)中性塩電解処理工程では、主にCr酸化物主体のスケールが溶解されるが、Si、Nbの酸化物を含むスケールは全く溶解されない。
【0016】
(c)中性塩電解処理工程に続く、硝ふっ酸混合水溶液中での浸漬酸洗では、SiおよびNbの酸化物は完全には除去されず、特にSi酸化物やNb酸化物の含有量が多い鋼種は、この酸化物が厚く生成され、除去することは困難である。
【0017】
さらに短時間で、脱スケール後に鋼板表面の研磨性の低下を生じさせずに、オーステナイト系ステンレス鋼板の脱スケール方法を検討するにあたり、上記(b)に記載の中性塩電解処理工程に着目して種々検討した。その結果、新たに下記の(d)、(e)の知見を得た。
【0018】
(d)中性塩電解処理工程において硫酸ナトリウムの水溶液中に硝酸イオンを含有させると、研磨性の低下を生じさせずに、スケール溶解速度が増加する。
【0019】
(e)その場合、pHの低下に伴い脱スケールが進行し、研磨性が上昇する。
【0020】
図1は、SUS304鋼における硝酸イオン添加の効果を示したものである。
【0021】
冷間圧延材を1100℃で焼鈍した後、200g/lの硫酸ナトリウムを含有した水溶液中で、6A/dmの電流密度で、陽極および陰極電解を各2秒交互に繰り返し、合計40秒の電解を行った。その後200g/lの硫酸ナトリウムと硝酸を混合させた水溶液中で電解し、残留Si酸化物の深さ方向の厚さを調査した。この時の条件は、電流密度が2A/dmとし、電解条件は陽極電解2秒間、陰極電解2秒間を交互に繰り返し、合計80秒間の電解処理を行った。
【0022】
図1から、硫酸ナトリウム水溶液中に硝酸イオンを含有しない従来法の場合には、表面にSi酸化物が残留するが、硫酸ナトリウム中に硝酸イオンを含有した場合には、硝酸イオン濃度が20g/l以上で、Si酸化物が完全に除去されることがわかる。
【0023】
この作用機構については、次の反応が両極でおきるために、これらの相乗効果により優れた脱スケール性が得られるものと推定される。
【0024】
▲1▼陽極電解反応
硫酸ナトリウムは前述した様にCr酸化物の酸化溶解反応に寄与し、硝酸イオンはFe酸化物、Cr酸化物のスケールの酸化溶解に寄与する。
【0025】
▲2▼陰極電解反応
硫酸ナトリウムと硝酸イオンは母材の均一溶解に寄与し、Si酸化物等の脱スケールを促進する。また硝酸イオンはFeの還元溶解にも寄与する。
【0026】
しかし、SiやNb濃度が高い鋼種や、焼鈍温度が高い場合は、上記の硫酸ナトリウムと硝酸イオンによる電解処理では脱スケールが困難な場合がある。その場合は更に硝ふっ酸混合水溶液で浸漬酸洗処理を追加することで、脱スケールが完了でき、母材と酸化スケールとの界面のSi酸化物及びNb酸化物の生成量が増加しても、研磨性に優れた鋼板が得られる。
【0027】
さらに脱スケールが困難な鋼種については、硫酸ナトリウムと硝酸イオンによる電解処理工程の前に、通常の中性塩電解処理工程を追加することで、完全な脱スケールが可能で、かつ研磨性に優れた鋼板が得られる。
【0028】
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下の(1)〜(3)に示すオーステナイト系ステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法にある。
【0029】
(1)オーステナイト系ステンレス冷延焼鈍鋼板を、硫酸ナトリウム濃度を50〜300g/l、硝酸イオン濃度を20〜250g/l、pHを3以下とした水溶液中で陽極及び陰極で電解処理することを特徴とするオーステナイト系ステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法。
【0030】
(2)上記(1)に記載の電解処理に引き続き、硝ふっ酸混合水溶液で浸漬処理を行うのが望ましい。
【0031】
(3)上記(1)に記載の電解処理の前に、中性塩電解処理を行うことが望ましい。ここで、「冷延焼鈍鋼板」とは冷間圧延後、焼鈍された鋼板を指す。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の範囲を前記のように規定した理由について説明する。
【0033】
オーステナイト系ステンレス鋼板の製造工程において冷間圧延後に実施される焼鈍は、一般に約900℃から1250℃の温度範囲である。焼鈍条件の詳細は、化学組成、組織および要求される成形性あるいは加工性等により決定される。
【0034】
焼鈍後の脱スケール工程では、硝酸イオンを含む硫酸ナトリウム水溶液中で電解処理する。硫酸ナトリウム濃度は50〜300g/l、硝酸イオン濃度は20〜250g/lとする。
【0035】
硫酸ナトリウム濃度が、50g/l未満では、脱スケールが完了するのに長時間を要する。300g/lを超えるとその効果は飽和し、ランニングコストが増加する。したがって、硫酸ナトリウム濃度は50〜300g/lとした。なお望ましくは80〜250g/lである。
【0036】
硝酸イオン濃度が、20g/l未満では脱スケール効果が得られない。一方、250g/lを超えると、研磨性が低下する。したがって、硝酸イオン濃度は、20〜250g/lとした。なお望ましくは50〜150g/lである。硝酸イオン源としては、硝酸、あるいは硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等の硝酸塩の何れでもその効果は得られる。また硝酸や複数の硝酸塩を混合して用いても、硝酸イオン濃度が本発明の範囲内であれば良好な脱スケール性を確保できる。
【0037】
pHは、3以下に保つ必要がある。3を超えると脱スケールが十分進行しない。pHを3以下に保つためには、硫酸、塩酸、硝酸等、酸の種類に制限はないが、硝酸を用いた場合、硝酸イオンの供給を兼ねることができるため、液管理が容易になる。
【0038】
電解処理液の液温は、高温ほど脱スケール効果が大きくなるが、NOの発生や酸液の蒸発が問題となるため、40〜90℃とするのが望ましい。
【0039】
電解電流密度は、高いほど溶解速度が大きくなり脱スケール効果も増加するが、高すぎると母材が溶解して肌荒れが生じ、研磨性が低下する場合があり、また電極材料の溶損が発生する場合もあるため、0.5〜10A/dmとするのが望ましい。
【0040】
前記の硝酸イオンを含む硫酸ナトリウム水溶液中での電解処理のみでは脱スケールが困難な材料、たとえばSi、NbまたはMo等を一種以上含有した鋼種の鋼板については、引き続いて硝ふっ酸浸漬処理を実施するのが望ましい。この場合、硝酸濃度は30〜200g/l、ふっ酸濃度は5〜30g/lとするのが望ましい。この時の液温は、30〜60℃とするのが望ましい。
【0041】
また、Cr含有量が高い鋼種の場合、スケール内層に生成されるCr酸化物主体のスケール層が厚い。この場合、硝酸イオンを含む硫酸ナトリウム水溶液中で電解処理する前に、硫酸ナトリウム等の中性塩水溶液中で、電解処理を実施し脱スケール性を更に向上させる。この時の中性塩電解処理条件は、通常実施されている条件で良く、濃度は硝酸ナトリウムの場合、50〜300g/l、液温は40〜90℃、電流密度は0.5〜10A/dmが望ましい。
【0042】
【実施例】
表1に示す化学成分を有する、SUS304鋼を供試材として用いた。
【0043】
【表1】
Figure 0004804657
この供試材は冷間圧延されたままの状態で、板厚は何れも0.8mmである。この供試材から100×150mmの試片を切り出して焼鈍した。焼鈍には電気炉を用い、焼鈍雰囲気は酸化性雰囲気の炭化水素燃焼ガス雰囲気とした。焼鈍温度は1100℃とし、均熱時間は何れも30秒とした。焼鈍後、硫酸ナトリウムおよび硝酸イオンの濃度を変化させた電解液中で脱スケールを実施した。電流密度はいずれも±2A/dmとし、電解条件は、陽極電解2秒間、陰極電解1秒間を交互に繰り返し、総電解時間は36秒とした。
【0044】
また、一部の鋼板については、硝酸ナトリウムに硝酸イオンを混合させた水溶液で電解処理の前後に、中性塩電解処理、硝ふっ酸浸漬処理を追加した。
【0045】
中性塩電解処理は、200g/lの濃度の硫酸ナトリウムを使用し、電流密度は6A/dmとし、電解条件は、陽極電解2秒間、陰極電解2秒間を交互繰り返し、総電解時間は80秒とした。
硝ふっ酸浸漬処理は、下記のAまたはBの濃度で行った。何れも液温40℃、浸漬時間は40秒とした。
【0046】
A:硝酸濃度=80g/l、ふっ酸濃度=30g/l
B:硝酸濃度=80g/l、ふっ酸濃度=15g/l
何れの鋼種についても、脱スケール後の評価は、以下に示す方法で評価し、何れも、「◎」「○」を良好(合格)とした。
【0047】
まず、「脱スケール性」は、100倍の光学顕微鏡で観察し、完全に脱スケールされた場合を◎、面積率で97%以上脱スケースされた場合を○、90%以上脱スケースされた場合を△、90%未満しか脱スケールされなかった場合を×で表した。
【0048】
次に、「Si酸化物の残留有無」は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、これらの酸化物が完全に除去されている場合を◎、極くわずか残留が認められるが問題ないと判断される場合を○、一部粒界近傍に残留している場合を△、全面に残留している場合を×で表した。
【0049】
さらに、「研磨性」は、脱スケール後の鋼板に、約1%の調質圧延を施した後に、#1200番の砥粒を用い、回転式研磨装置を用いて、1パスのバフ研磨を行った。研磨面を、研磨の均一性、光沢度等について目視により総合判断し判定した。特に良好なものを◎、良好なものを○、やや不良なものを△、不良なものを×、とした。
【0050】
得られた結果を、まとめて表2〜表4に示す。
【0051】
【表2】
Figure 0004804657
【表3】
Figure 0004804657
【表4】
Figure 0004804657
符号1、2、8および9は従来法である硫酸ナトリウムによる中性塩電解の例であるが、pHを低下させてもまた電解時間を長く取っても脱スケール性は劣り、Si酸化物も残留し、研磨性も劣っている。
【0052】
一方、符号4、5、6、11、12および13は、硫酸ナトリウム中に硝酸イオンを本発明で規定する20〜250g/lの範囲で、硝酸または硝酸ナトリウムとして含有させた場合であり、電解処理のみで脱スケールが完了した。Si酸化物もほぼ除去されており、従来引き続いて実施されていた硝ふっ酸浸漬処理が不要となることがわかった。これにより本鋼種では脱スケールに要する時間が大幅に短縮可能となる。
しかし、符号3、10のように硝酸イオン濃度が本発明の規定量より低い場合や、符号7、14のように高い場合は、研磨性が劣っている。
【0053】
さらに、符号16、17および18のように、本発明の範囲内で硫酸ナトリウムに硝酸イオンを混合した水溶液で電解を行う前に、中性塩電解を実施した場合は、脱スケール性、研磨性は更に良好となる。
【0054】
しかし、符号15のように、硝酸イオン濃度が本発明の規定量より低い場合や、符号19のように高い場合は、研磨性に劣っている。
符号21、24および27は、本発明の範囲内で硫酸ナトリウムに硝酸イオンを混合した水溶液で電解処理を行った後に、硝ふっ酸で浸漬処理を行った場合で、特にSi酸化物が完全に除去されている。特に、硫酸ナトリウムに硝酸イオンを混合した水溶液で電解を行う前後に、中性塩電解処理および硝ふっ酸で浸漬処理を行った場合は、完全に脱スケールが完了し、Si酸化物も完全に除去され、研磨性も極めて良好となる。
【0055】
しかし、符号20、23および26のように硝酸イオン濃度が本発明の規定量より低い場合や、符号22、24および28のように高い場合は、研磨性に劣っている。
【0056】
以上の結果から、本発明の硫酸ナトリウムと硝酸イオンを混合した水溶液で電解処理した場合、脱スケール時間が大幅に短縮され、母材とスケールとの界面のSi酸化物の除去能力に優れ、研磨性が良好な鋼板が得られることが判明した。
【0057】
【発明の効果】
本発明の脱スケール方法によれば、オーステナイト系ステンレス冷延鋼板の焼鈍後の脱スケール速度が大幅に向上でき、研磨性にも優れた表面を得ることが可能となり、これによりアルカリソルト浸漬工程の省略による押し込み疵防止、ならびに中性塩電解脱スケール工程時間の短縮による生産性の向上も期待できる。
【0058】
更に、母材と酸化スケールとの界面に生成されるSi酸化物等の脱スケール効率にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】電解後のSUS304鋼の表面の残留Si酸化物厚さと硝酸イオン含有量との関係を示したグラフである。

Claims (3)

  1. オーステナイト系ステンレス冷延焼鈍鋼板を、硫酸ナトリウム濃度を50〜300g/l、硝酸イオン濃度を20〜250g/l、pHを3以下とした水溶液中で陽極及び陰極で電解処理することを特徴とするオーステナイト系ステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法。
  2. 上記の電解処理に引き続き、硝ふっ酸混合水溶液で浸漬処理することを特徴とする請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法。
  3. 上記の電解処理の前に、中性塩電解処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のオーステナイト系ステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法。
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