JP2005232546A - ステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法 - Google Patents

ステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ステンレス冷延鋼板の焼鈍時に発生するスケールを、高能率で、かつスケール除去後の鋼板表面の均一性が良好となる脱スケール方法を提供する。
【解決手段】 ステンレス冷延焼鈍鋼板を、硝酸50〜200g/lを含む水溶液中に、硫酸イオン濃度≧0.4mol/lかつナトリウムイオン濃度≧0.8mol/lを含み、さらにその水溶液のpHが<1とした水溶液中で交番電解処理する。必要に応じて、アルカリソルト浸漬および硫酸ナトリウム電解による前処理や、硝ふっ酸混合水溶液での浸漬酸洗の後処理を組み合わせる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ステンレス冷延鋼板の焼鈍時に発生するスケールを高能率で除去することができ、かつスケール除去後の表面の光沢性、均一性が良好となるステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法に関する。ここで、「冷延焼鈍鋼板」とは冷間圧延後、焼鈍された鋼板を指す。
ステンレス冷延鋼板の製造工程は、熱間圧延されたステンレス鋼板を冷間圧延する工程、冷間圧延の際に生じた加工ひずみを除去し、成形性・加工性を改善する焼鈍工程、この焼鈍工程で生成する酸化スケールを除去する脱スケール工程からなっている。
焼鈍工程においては、その化学組成により、約800から1200℃を超える温度で焼鈍されるが、その焼鈍中にFe、Cr等を主成分とした酸化スケールが生成する。この酸化スケールを除去するために焼鈍後に脱スケール工程が必要となる。
この脱スケール工程としては、硫酸ナトリウム水溶液中での電解法または溶融アルカリソルト中への浸漬法による前処理法と、硝酸電解法または硝酸とふっ酸の混合水溶液(以下硝ふっ酸という)による浸漬法による脱スケール法とを組み合わせて実施されている。
中性塩電解法では、硫酸ナトリウム等の中性塩の水溶液中で、焼鈍されたステンレス鋼板を、陽極電解、陰極電解を交互に繰り返す交番電解により脱スケールを行う。陽極電解の際に、Crを主体とした酸化スケールを(1)式に示す化学反応により、Cr27 2-の可溶性のイオンとして溶解させる方法である。
Cr23+4H2O→Cr27 2-+8H++6e … (1)
アルカリソルト浸漬法は、水酸化ナトリウム、硝酸ナトリウム等からなる混合塩を450〜550℃に加熱溶融させ、焼鈍されたステンレス鋼板を浸漬して脱スケールする方法である。このアルカリソルト浸漬法でも、酸化スケールは(1)式に示す反応により水溶性のイオンに酸化され、続く水洗工程で除去される。
上記の中性塩電解法またはアルカリソルト浸漬法のいずれの方法においても、それぞれ単独では完全に脱スケールされないため、引き続き脱スケール法が実施される。この脱スケール法は、その材質によって大きく二つに分類され、フェライト系およびマルテンサイト系ステンレスは、硝酸電解処理が実施され、オーステナイト系ステンレス鋼では、硝ふっ酸浸漬法がそれぞれ用いられる。
ここで、アルカリソルト浸漬法と中性塩電解法とを比較すると、アルカリソルト浸漬法はスケール中のCrを溶解する能力、すなわち脱スケール性に優れ、特にスケール/母材界面に濃化するSi酸化物等を溶解する能力に優れているが、溶融塩の粘性が高いため、鋼板に付着して槽外に持ち出される量が多く、ランニングコストが増加し、更にソルト中で浸漬ロールと鋼板との間でソルトやスケールを噛み混み、鋼板に疵を生じさせやすいデメリットがある。一方、中性塩電解法の方は、ランニングコストおよび疵のない均一な表面が得られるが、脱スケールの能率はソルト浸漬法に比較し劣るために、設備が長大となり、かつ複数の処理槽が必要になるという問題がある。
フェライト系およびマルテンサイト系ステンレス鋼板の中性塩電解処理後の硝酸電解方法は、特許文献1に開示されている。 本方法では、ステンレス鋼の代表的鋼種であるSUS430鋼は比較的容易に脱スケールできる。しかし脱スケール能力が大きくないため、焼鈍スケールが厚い場合にはスケール/母材界面に生成したSi酸化物が残留し、光沢が低下する。さらにこのSi酸化物が通板時のロール表面に不均一に付着し、その模様が鋼板に転写されることで、鋼板表面の光沢性や均一性を損なう場合もある。
また、加工用途に用いられる高純度フェライト系ステンレス鋼や自動車排気系用途に用いられるステンレス鋼は、1000℃前後の高温焼鈍が必要とされる。そのためにスケール/母材界面のSi濃化が顕著となり、従来の中性塩電解法と硝酸電解法との組み合わせでは完全に脱スケールできない場合や、大部分スケールが除去されても表面にSiが残留すると表面が黄色に変色し、表面光沢や均一性を損ねる場合がある。このような問題を避けるために、アルカリソルト浸漬法が用いられるが、先に述べたとおり、ランニングコスト、生産性に問題が多い。
上記課題を解決する方法として、特許文献2、特許文献3等には、硫酸に硝酸塩、硫酸塩およびフルオロ珪酸塩またはフルオロ硼酸塩を混合させた水溶液中で電解処理する高能率脱スケール法が提案されている。この方法はフルオロ珪酸塩またはフルオロ硼酸塩から硫酸電解中に生成するペルオキソ硫酸がスケールの溶解を促進させるとしている。しかし腐食性が強いため、電極や電解槽の溶損、劣化が大きく、設備コストが高くなる。
また特許文献4には、pHを6〜8の範囲で中性塩電解処理した後に、硫酸と硝酸とを混合した水溶液中で電解し、さらに必要があればその後に硝酸電解処理または硝ふっ酸浸漬処理を行う方法が開示されている。さらに特許文献5には、硫酸中に硫酸塩をモル比で0.4〜0.6添加する電解脱スケール方法が記載されている。
しかし、何れの方法もスケール除去を主目的とするもので、脱スケール後の鋼板表面の均一性については十分な効果が得られていない。
また一方で、オーステナイトステンレス汎用鋼であるSUS304では、先に述べたようにアルカリソルト浸漬後に硝ふっ酸酸洗が実施される場合がある。この方法で通常の脱スケールは十分可能であるが、焼鈍酸洗ライン実操業時において、通板速度が遅くなるなどで長時間焼鈍された場合に、焼鈍スケールのうち特にFe主体の酸化物が厚く生成すると、アルカリソルト浸漬法ではCr主体のスケールの溶解速度は十分に速いがFe主体のスケール溶解速度はそれより遅いため、上記組み合わせではFe主体の酸化物が硝ふっ酸酸洗でも残存し、完全脱スケールができないという課題もある。
上記のステンレス冷延鋼板の焼鈍スケールにおける課題に対して、硫酸ナトリウム中に硝酸イオンを添加する電解方法を適用することにより、高能率でスケール除去することができ、かつ除去後の鋼板表面の均一性が良好となるステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法が、特許文献6および特許文献7が開示されてある。
特開昭49−123936号公報 特開昭61−276999号公報 特許第2965423号公報 特開平11−61500号公報 特開平10−219500号公報 特開2002−348700号公報 特開2003−13299号公報
本発明はこの公報を元に検討を加えた結果、上記効果を得られる水溶液組成がより広範囲にわたることを明らかにしたものである。
さらにSUS304鋼のソルト浸漬法適用時でも発生するFe主体酸化物のスケール残りに対しても、ソルト浸漬後に本発明の電解法を実施することでFe主体の酸化物を除去し、完全脱スケールが可能であることも明らかにしている。
高能率で、鋼板表面均一性に優れたステンレス冷延鋼板の脱スケール方法を検討するため、電解脱スケール方法について種々検討した結果、本発明を完成した。
本発明は、硝酸を50−200g/l含む水溶液中に、硫酸イオン濃度≧0.4mol/lかつナトリウムイオン濃度≧0.8g/lを含み、さらにその水溶液のpHを<1とした水溶液中で交番電解処理することを特徴としたステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法である。
図1は、硝酸水溶液中に添加した硫酸イオンおよびナトリウムイオン濃度と脱スケール後のSUS430焼鈍板の表面観察結果を示している。電解電流密度は±2A/dm2で陰極電解と陽極電解を交互に実施する交番電解とした。硝酸濃度は100g/lで液温は50℃であった。この図の通り、グラフ中の原点で示される硝酸のみの場合は、スケール改質能力が低く、完全脱スケールできない。ここで硫酸イオン濃度を0.4mol/l以上、ならびにナトリウムイオン濃度を0.8mol/l以上に高めると、電解のみで脱スケールが完了するだけでなく、表面も均一美麗となる条件があることが明らかとなった。この作用としては明らかでないものもあるが以下の効果によるものと推察される。第一に硝酸中の硫酸イオンおよびナトリウムイオンの存在により、Cr主体の酸化物の酸化溶解が促進される。さらに陽極電解時の酸素発生が抑制され、電解効率が向上する。これは硝酸中の硫酸イオンの存在により酸素過電圧が大きくなるためと推定される。
第二に硝酸中での陰極電解で生じるFe酸化物の還元溶解が硫酸イオンにより活性化される。さらにこの場合母材の活性溶解も促進されるが、ここにナトリウムイオンが共存すると均一・平滑に溶解が進行する現象が認められた。
これは図1に明らかなように硫酸イオン濃度が高くても、ナトリウムイオン濃度が0.8g/l以下では、脱スケールは完了するが肌荒れが生じており、均一な肌が得られない。
一方、ナトリウムイオン濃度が高くても、硫酸イオン濃度が0.4mol/lよりも低い場合は、スケール改質効果が少なく、完全脱スケールができない。
ここで上記作用に示したとおり、その効果を達成するために陰極および陽極電解を交互に行うことが必要である。
本発明によれば、酸化スケールのうちCr主体の酸化物は、式(1)で示した中性塩電解と同様の作用で溶解するとともに、残るFe主体の酸化物は溶解しやすい2価のFeイオンに還元溶解されるとともに、さらに母材も均一溶解するために、従来の電解脱スケールでは除去されにくいSi酸化物も脱スケール可能となる。
さらに本発明では、請求項2に示すとおり、前記電解処理に先立ち、アルカリソルト浸漬処理または硫酸ナトリウム水溶液中での電解処理のいずれかの前処理を実施することを特徴とする。
この組み合わせにより、さらにスケール改質能力があがることで、生産性をより向上させることが可能となる。
また本発明の請求項3は、前記電解処理に引き続き、硝ふっ酸浸漬処理を実施することを特徴とする。耐熱用途として用いられるステンレス鋼や、Si含有率が高いステンレス鋼では、特に焼鈍後に母材/スケール界面のSi酸化物が厚く生成され、前記電解を用いても完全除去が困難な場合がある。このときにスケール直下のCr欠乏層や、Si酸化物そのものを溶解可能な硝ふっ酸浸漬法と組み合わせることで、より高能率の脱スケールが実現できる。
さらに本発明の請求項4は、前記電解処理に先立ち、アルカリソルト浸漬処理または硫酸ナトリウム水溶液中での電解処理のいずれかの前処理を実施し、前記電解処理に引き続き、硝ふっ酸浸漬処理を実施することを特徴とする。実機焼鈍酸洗ラインにおいて通板速度が遅くなるなどで長時間焼鈍された場合に、焼鈍スケールのうち特にFe主体の酸化物が厚く生成すると、従来のアルカリソルト浸漬法と硝ふっ酸浸漬法の組み合わせでは、Fe主体の酸化物が残存し、完全脱スケールができない場合が生じる。この場合本発明の脱スケール法では、Fe酸化物のスケール改質・溶解が促進されるために、均一な脱スケールが可能となる。
本発明により、ステンレス冷延鋼板の焼鈍後の脱スケール効率が大幅に向上でき、また耐熱用途材等の脱スケールが難しいとされる鋼種や、板厚により焼鈍時間が長くスケールが厚く生成する条件についても、硝酸電解条件の適正化により、脱スケール能力が向上し、均一性にも優れた表面を得ることが可能となった。これにより生産効率の向上によるコストダウン及び品質向上が期待できる。
以下に、本発明の各項目について説明する。
ステンレス鋼板の製造工程において冷延後に実施される焼鈍温度は、化学組成、組織および要求される成形性・加工性等により約800℃から1200℃を超える温度範囲で実施される。
焼鈍後の電解脱スケール工程は、硝酸水溶液中に、硫酸イオンとかつナトリウムイオンを含み、さらにその水溶液のpHを<1とした水溶液中で電解処理される。
硝酸濃度は、50から200g/lとする。これより濃度が低い場合には硝酸の効果が得られない。200g/lより高い場合は不働態化を促進し、かえって脱スケール効果が薄くなる場合がある。より好ましくは80−150g/lである。
硫酸イオン濃度は0.4mol/l以上とする。これより低い場合は硝酸との相互作用が得られず、脱スケール不良となる。より好ましくは0.5mol/l以上とする。上限は特にないが、実用上2.0mol/l以下が好ましい。
ナトリウムイオン濃度は0.8mol/l以上とする。これより低い場合は、硝酸および硫酸イオンとの作用による均一溶解の効果が得られない。より好ましくは1.0mol/l以上とする。上限は特に定めないが、実用上3.0mol/l以下が好ましい。
pHは3.0以下とする。これ以上では陰極電解でのFe酸化物還元溶解の効果が小さく、また母材均一溶解速度も遅くなる。より好ましくは1以下とする。
電解条件は陰極電解と陽極電解を交互に実施する交番電解処理とする。この場合の電流密度は高いほど溶解速度が大きくなり脱スケール効果も増加するが、高すぎると母材が溶解して肌荒れが生じる場合があり、また電極材料の溶損が発生する場合もあるため、0.5〜10A/dm2が望ましい。
電解処理液の液温は、高温ほど脱スケール効果が大きくなるが、NOxの発生や酸液の蒸発が問題となるため、40〜90℃が望ましい。
さらに脱スケール工程の生産効率をより向上させるために、前記の電解処理に先立ちアルカリソルト浸漬法または硫酸ナトリウム電解法を実施することができる。この場合の条件はいずれも一般的に用いられる条件でよい。アルカリソルトとしてはNaOHおよびNaNO3を主成分とし、400〜500℃の浴温で用いられる。硫酸ナトリウム電解としては、硫酸ナトリウム濃度100−300g/lで50−90℃に保持された水溶液中で、電流密度2−10A/dm2で交番電解処理が実施される。
また上記の組み合わせ法によっても脱スケールが困難な材料、耐熱鋼等の高温焼鈍材または長時間保持されるような焼鈍条件となる材料は、本発明の電解後、またはさらにその電解処理に先立ちアルカリソルト浸漬法または硫酸ナトリウム電解法を実施した電解後に、引き続き硝酸とふっ酸の混合水溶液中で浸漬処理することができる。
硝ふっ酸浸漬条件は一般的な条件でよく、硝酸濃度は30〜200g/l、ふっ酸濃度は5〜30g/lが望ましい。液温は30〜60℃が望ましい。
実施例1
供試材として商用のSUS430を0.8mmまで冷間圧延したものから100×150mmの試片を切り出して焼鈍した。焼鈍は電気炉を用い、焼鈍雰囲気は酸化性雰囲気の炭化水素燃焼ガス雰囲気とした。焼鈍温度は820℃×30秒とした。焼鈍後、硝酸および硫酸イオン、ナトリウムイオン濃度を変化させた電解液中で脱スケールを実施した。電流密度はいずれも2A/dm2とし、電解条件は、陽極電解2秒間、陰極電解1秒間を交互に繰り返し、総電解時間は36秒とした。脱スケール後の評価は、完全に脱スケールされた場合を○、面積率で95%以上を△、それ以下を×で表した。
「表面の均一性」は、目視で良好なものを○、むらが認められるものを△、むらや凹凸があるものを×とした。
結果を表1に示す。
本発明の条件では、いずれも電解処理のみでも脱スケールが完了しており、均一性にも優れていることが分かる。一方本発明条件の濃度範囲より外れている場合は、脱スケールが完了できず、また脱スケールが完了した比較例11の場合でも表面に電解による微小凹凸が認められ、均一性に劣る。
Figure 2005232546
実施例2
つづいて、本発明の電解法に先立ち、アルカリソルト浸漬法または硫酸ナトリウム電解を実施した場合の脱スケール性と表面均一性を評価した。供試材はSUS444を用い、0.8mmまで冷間圧延したものから100×150mmの試片を切り出して焼鈍した。焼鈍は焼鈍温度を1000℃で30秒保持とする以外は、実施例1と同一条件とした。焼鈍後、脱スケール前処理として硫酸ナトリウム電解またはアルカリソルト浸漬を実施した。硫酸ナトリウム電解は、濃度200g/l、液温80℃とし、電流密度は6A/dm2で交番電解により36秒電解処理した。アルカリソルト浸漬は、パーカー社製DGSソルト(主成分NaOH+NaNO3)を450℃に保持して浸漬処理した。浸漬時間は約5秒とし、浸漬後に水洗してソルト成分を除去した。続く電解処理は、実施例1と同様に硝酸および硫酸イオン、ナトリウムイオン濃度を変化させた電解液中で脱スケールを実施した。電解条件は同一条件とし、電流密度は2A/dm2で、陽極電解2秒間、陰極電解1秒間を交互に繰り返し、総電解時間は36秒とした。脱スケール後の評価も実施例1に従った。
結果を表2に示す。
本発明条件を満たす実施例13〜21は、いずれも脱スケールが完了し、脱スケール後の表面も均一美麗であった。一方、本発明条件の濃度範囲より外れている場合は、脱スケール性が劣り、また脱スケールが完了した比較例24,27でも電解による微小ピットにより表面が荒れており、均一性に劣る。
Figure 2005232546
実施例3
つづいて、本発明の電解法に引き続き、硝ふっ酸浸漬処理を実施した場合の脱スケール性と表面均一性を評価した。供試材はSUS304を用い、0.8mmまで冷間圧延したものから100×150mmの試片を切り出して焼鈍した。焼鈍は焼鈍温度を1100℃で30秒保持とする以外は、実施例1と同一条件とした。焼鈍後の電解処理は、実施例1と同様に硝酸および硫酸イオン、ナトリウムイオン濃度を変化させた電解液中で脱スケールを実施した。電解条件は同一条件とし、電流密度は2A/dm2で、陽極電解2秒間、陰極電解1秒間を交互に繰り返し、総電解時間は36秒とした。電解に引き続き実施される硝ふっ酸浸漬条件は、硝酸80g/l、ふっ酸30g/lとし、液温50℃中に40秒間浸漬処理した。脱スケール後の評価も実施例1に従った。
結果を表3示す。本発明条件を満たす実施例28〜33は、いずれも脱スケールが完了し、脱スケール後の表面も均一美麗であった。一方、本発明条件の濃度範囲より外れている場合は脱スケール性が劣り、また脱スケールが完了した比較例36でも電解による微小ピットが生成し、表面が荒れるため、均一性に劣る。
Figure 2005232546
実施例4
最後に、本発明の電解法の前処理として硫酸ナトリウム電解法またはアルカリソルト浸漬法または硫酸ナトリウム電解を実施し、さらに電解処理後に、硝ふっ酸浸漬処理を実施した場合の脱スケール性と表面均一性を評価した。供試材はSUS304を用い、2.5mmまで冷間圧延したものから100×150mmの試片を切り出して焼鈍した。焼鈍は板厚が厚いため焼鈍温度を1100℃で90秒保持とした。硫酸ナトリウム電解条件は総電解時間を108秒とした以外は実施例2と同じとした。同様にアルカリソルト浸漬法の条件は、浸漬時間を15秒とした以外は実施例2と同一である。
焼鈍後の電解処理条件は実施例1と同様である。また電解後に引き続き実施される硝ふっ酸浸漬条件は、実施例3に従った。
結果を表4示す。本試験材は板厚が厚く、焼鈍時間が長いためスケールが厚く生成しているが、本発明条件を満たす実施例38〜42はいずれも脱スケールが完了し、脱スケール後の表面も均一で美麗であった。一方、本発明条件の濃度範囲より外れている場合は、表面に茶褐色のスケールが残存しており脱スケール性が劣っていた。また脱スケールが完了した比較例43,46でも電解による微小ピットが生成し、表面が荒れるため、均一性に劣る。
Figure 2005232546
図1はSUS430鋼焼鈍材の電解処理した場合の脱スケール性と、硝酸電解液中のNaイオンおよび硫酸イオン濃度との関係を示した図である。

Claims (7)

  1. ステンレス冷延焼鈍鋼板を、硝酸を50〜200g/l含む水溶液中に、硫酸イオン濃度≧0.4mol/lで、かつ硫酸イオンおよびナトリウムイオン濃度について下式を満足し、さらに液中のpHが<3とする水溶液中で交番電解処理することを特徴としたステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法。
    [硫酸ナトリウムイオン(mol/l)]>2×[ナトリウムイオン(mol/l)]
  2. ステンレス冷延焼鈍鋼板を、硝酸を50〜200g/l含む水溶液中に、ナトリウムイオン濃度≧0.8mol/lで、かつ硫酸イオンおよびナトリウムイオン濃度について下式を満足し、さらに液中のpHが<3とする水溶液中で交番電解処理することを特徴としたステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法。
    [硫酸ナトリウムイオン(mol/l)]<2×[ナトリウムイオン(mol/l)]
  3. 請求項1または2に記載の電解処理に先立ち、硫酸ナトリウム水溶液中での交番電解を前処理として実施することを特徴とするステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法。
  4. ステンレス冷延焼鈍鋼板を、硝酸50〜200g/lを含む水溶液中に、硫酸イオン濃度≧0.4mol/lかつナトリウムイオン濃度≧0.8mol/lを含み、さらにその水溶液のpHが<3とした水溶液中で交番電解処理の電解処理に先立ち、アルカリソルト浸漬処理を前処理として実施することを特徴とするステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法。
  5. 請求項1または2に記載の電解処理に引き続き、硝酸濃度を30〜200g/l、ふっ酸濃度を5〜30g/lとした水溶液中で浸漬処理することを特徴とするステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法。
  6. 請求項3に記載の2種類の電解処理に引き続き、硝酸濃度を30〜200g/l、ふっ酸濃度を5〜30g/lとした水溶液中で浸漬処理することを特徴とするステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法。
  7. 請求項4に記載のアルカリ処理浸漬および電解処理を実施したあとに引き続き、硝酸濃度を30〜200g/l、ふっ酸濃度を5〜30g/lとした水溶液中で浸漬処理することを特徴とするステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法。
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