JP2965423B2 - 高Cr含有フェライト系ステンレス鋼板の酸洗法 - Google Patents
高Cr含有フェライト系ステンレス鋼板の酸洗法Info
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- JP2965423B2 JP2965423B2 JP21161292A JP21161292A JP2965423B2 JP 2965423 B2 JP2965423 B2 JP 2965423B2 JP 21161292 A JP21161292 A JP 21161292A JP 21161292 A JP21161292 A JP 21161292A JP 2965423 B2 JP2965423 B2 JP 2965423B2
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- sulfuric acid
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は14重量%以上のCrを
含有するフェライト系及びマルテンサイト系ステンレス
鋼板の酸化膜除去法に関するものである。
含有するフェライト系及びマルテンサイト系ステンレス
鋼板の酸化膜除去法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延及び熱延板焼鈍などの熱履歴を
受けたCr含有鋼板或いは更に冷間圧延後焼鈍したCr
含有鋼板の表面に生成する酸化膜の存在は、最終製品表
面の平滑性、商品価値を低下させ、また絞り加工時のダ
イスの寿命を縮めたり、溶接作業を困難にするなど多く
の問題を惹起するので、完全に取り除く必要がある。そ
のため、例えば「鉄鋼便覧昭和37年4月5日、丸善K
K、第1258頁、表15.3」に記載された「硝酸と
弗酸」「硫酸と硝酸とクロム酸」「硫酸と硝酸と弗酸」
などのような各種の酸洗液に高温浸漬する方法、ルスナ
ー法と称される硫酸ナトリウムのごとき中性塩中で電解
する方法、溶融塩浸漬法と称される高温溶融塩中で洗浄
する方法などが知られている。
受けたCr含有鋼板或いは更に冷間圧延後焼鈍したCr
含有鋼板の表面に生成する酸化膜の存在は、最終製品表
面の平滑性、商品価値を低下させ、また絞り加工時のダ
イスの寿命を縮めたり、溶接作業を困難にするなど多く
の問題を惹起するので、完全に取り除く必要がある。そ
のため、例えば「鉄鋼便覧昭和37年4月5日、丸善K
K、第1258頁、表15.3」に記載された「硝酸と
弗酸」「硫酸と硝酸とクロム酸」「硫酸と硝酸と弗酸」
などのような各種の酸洗液に高温浸漬する方法、ルスナ
ー法と称される硫酸ナトリウムのごとき中性塩中で電解
する方法、溶融塩浸漬法と称される高温溶融塩中で洗浄
する方法などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの酸化膜除去法
のうち、酸洗法は対象とするステンレス鋼板のCr含有
量がある量以上に多かったり、鋼板の使用性能を高める
ために鋼中に添加される元素、例えばMo,Nb,T
i,Ni,Cuが存在すると酸化膜の除去効率が極端に
低下して、製造上種々の問題を生じる。また、ルスナー
法、溶融塩浸漬法は処理時間が数十秒要するので生産性
を確保するためには処理ラインを長大にする必要があ
る。
のうち、酸洗法は対象とするステンレス鋼板のCr含有
量がある量以上に多かったり、鋼板の使用性能を高める
ために鋼中に添加される元素、例えばMo,Nb,T
i,Ni,Cuが存在すると酸化膜の除去効率が極端に
低下して、製造上種々の問題を生じる。また、ルスナー
法、溶融塩浸漬法は処理時間が数十秒要するので生産性
を確保するためには処理ラインを長大にする必要があ
る。
【0004】従来からステンレス鋼板の酸化膜を、弗酸
を含まない溶液で化学的に溶解することは極めて困難と
いわれており、表面の酸化膜除去は酸化膜の亀裂部から
侵入した酸が素地を溶解し、その際に発生するH2 が機
械的に酸化膜を剥離するメカニズムが言及されている。
したがって、この方法によって表面の酸化膜を完全に除
去するには長時間が必要となる。いっぽう、硝酸−弗酸
水溶液を用いると酸化膜の溶解は比較的容易であるが、
NOx の発生、廃液処理、作業安全性の面から好まれな
い。
を含まない溶液で化学的に溶解することは極めて困難と
いわれており、表面の酸化膜除去は酸化膜の亀裂部から
侵入した酸が素地を溶解し、その際に発生するH2 が機
械的に酸化膜を剥離するメカニズムが言及されている。
したがって、この方法によって表面の酸化膜を完全に除
去するには長時間が必要となる。いっぽう、硝酸−弗酸
水溶液を用いると酸化膜の溶解は比較的容易であるが、
NOx の発生、廃液処理、作業安全性の面から好まれな
い。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、交番電解酸洗
において、硫酸水溶液をベースとした酸洗液にフルオロ
ホウ酸塩を添加すると陽極反応による酸化膜溶解が起こ
り、硝酸塩を添加すると陰極反応による素地溶解が促進
されることを利用して、短時間で、しかも低公害環境で
ステンレス鋼板の表面仕上げを達成するものである。
において、硫酸水溶液をベースとした酸洗液にフルオロ
ホウ酸塩を添加すると陽極反応による酸化膜溶解が起こ
り、硝酸塩を添加すると陰極反応による素地溶解が促進
されることを利用して、短時間で、しかも低公害環境で
ステンレス鋼板の表面仕上げを達成するものである。
【0006】即ち、本発明は、酸化膜が付着した14重
量%以上のCrを含有する鋼板を、10〜300g/L
の硫酸、1.5〜8g/LのBF4 - 及び7〜80g/
LのNO3 - (但し硝酸塩の形で添加)で構成される
(但し硫酸が10〜60g/Lのときは硫酸(g/L)
/硝酸塩(g/L)≧1とする。)水溶液中で交番電解
することによりCr含有鋼板を酸洗する方法を要旨とす
る。
量%以上のCrを含有する鋼板を、10〜300g/L
の硫酸、1.5〜8g/LのBF4 - 及び7〜80g/
LのNO3 - (但し硝酸塩の形で添加)で構成される
(但し硫酸が10〜60g/Lのときは硫酸(g/L)
/硝酸塩(g/L)≧1とする。)水溶液中で交番電解
することによりCr含有鋼板を酸洗する方法を要旨とす
る。
【0007】
【作用】以下、本発明の詳細を説明する。本発明の主剤
として使用される硫酸はごく僅かな酸化膜溶解反応と、
酸化膜が溶解された部分の素地の溶解反応に関与する。
また、フルオロホウ酸塩は酸化膜を直接溶解する反応に
関与する。そのメカニズムは、例えばフルオロホウ酸ナ
トリウムでは、鋼板が陽極として存在する場合にその表
面で硫酸と共存する結果生ずるペルオキソ硫酸が次の化
学反応によって酸化膜を水に溶解し易い酸化物に変質さ
せるためと思われる。
として使用される硫酸はごく僅かな酸化膜溶解反応と、
酸化膜が溶解された部分の素地の溶解反応に関与する。
また、フルオロホウ酸塩は酸化膜を直接溶解する反応に
関与する。そのメカニズムは、例えばフルオロホウ酸ナ
トリウムでは、鋼板が陽極として存在する場合にその表
面で硫酸と共存する結果生ずるペルオキソ硫酸が次の化
学反応によって酸化膜を水に溶解し易い酸化物に変質さ
せるためと思われる。
【0008】〔化1〕 Cr2 O3+H2 S2 O8+H2 O+202 +4e -→2CrO4 --+2H2S
O4 Cr2 O3+H2 S2 O8+H2 O+3/202 +2e- →Cr2O7 --+
2H2SO4
O4 Cr2 O3+H2 S2 O8+H2 O+3/202 +2e- →Cr2O7 --+
2H2SO4
【0009】硝酸塩は陰極反応に於ける素地の溶解量を
増大させる。これは陰極に於いて大量に発生するH2 の
攪伴作用による反応イオンの供給、表面の活性化、通電
による表面発熱が硫酸イオン−硝酸イオンのFe溶解を
促進させるためと思われる。
増大させる。これは陰極に於いて大量に発生するH2 の
攪伴作用による反応イオンの供給、表面の活性化、通電
による表面発熱が硫酸イオン−硝酸イオンのFe溶解を
促進させるためと思われる。
【0010】種々の組み合わせ実験で「硫酸」「硝酸
塩」「フルオロホウ酸塩」の量の間に相互の関係がある
ことが確かめられた。まず、酸洗を効率的に行うために
硫酸は10g/L以上が必要であり、好ましくは60g
/L以上であった。フルオロホウ酸塩、例えばフルオロ
ホウ酸ナトリウムは酸化膜の溶解反応には不可欠な成分
であった。その効果は添加量がBF4 - として1.5g
/L以上で顕著となり、8g/Lで飽和する。フルオロ
ホウ酸塩の代用としてフルオロケイ酸塩を検討したがそ
の効果はフルオロホウ酸塩より格段に少なかった。ま
た、フルオロホウ酸塩のこの効果は硫酸と硝酸塩の量に
よって影響を受けた。
塩」「フルオロホウ酸塩」の量の間に相互の関係がある
ことが確かめられた。まず、酸洗を効率的に行うために
硫酸は10g/L以上が必要であり、好ましくは60g
/L以上であった。フルオロホウ酸塩、例えばフルオロ
ホウ酸ナトリウムは酸化膜の溶解反応には不可欠な成分
であった。その効果は添加量がBF4 - として1.5g
/L以上で顕著となり、8g/Lで飽和する。フルオロ
ホウ酸塩の代用としてフルオロケイ酸塩を検討したがそ
の効果はフルオロホウ酸塩より格段に少なかった。ま
た、フルオロホウ酸塩のこの効果は硫酸と硝酸塩の量に
よって影響を受けた。
【0011】硫酸量が60g/L以下の場合は硝酸塩が
多すぎると素地の溶解量が減少した。これはNO3 - の
存在が鋼板表面の不活性化に寄与したものと思われ、そ
れを防止する両者の量関係は硫酸/硝酸塩≧1であっ
た。しかしこの現象は硫酸量が60g/Lを越えると消
失した。両者が以上の量関係を満足するとフルオロホウ
酸塩の酸化膜溶解反応は持続された。フルオロホウ酸塩
の酸化膜溶解速度はBF 4 - の量が8g/Lを越えると
飽和した。また、硫酸の量は300g/L、硝酸塩とし
て供給したNO3 - の量は80g/Lを越えると素地の
溶解量が飽和した。尚、NO3 - は酸洗水溶液の地鉄溶
解能力を高めるために7g/L以上を添加する。また、
NO3 - は硝酸で添加するとNOx が大量に発生して不
都合であった。
多すぎると素地の溶解量が減少した。これはNO3 - の
存在が鋼板表面の不活性化に寄与したものと思われ、そ
れを防止する両者の量関係は硫酸/硝酸塩≧1であっ
た。しかしこの現象は硫酸量が60g/Lを越えると消
失した。両者が以上の量関係を満足するとフルオロホウ
酸塩の酸化膜溶解反応は持続された。フルオロホウ酸塩
の酸化膜溶解速度はBF 4 - の量が8g/Lを越えると
飽和した。また、硫酸の量は300g/L、硝酸塩とし
て供給したNO3 - の量は80g/Lを越えると素地の
溶解量が飽和した。尚、NO3 - は酸洗水溶液の地鉄溶
解能力を高めるために7g/L以上を添加する。また、
NO3 - は硝酸で添加するとNOx が大量に発生して不
都合であった。
【0012】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。SUS430の
ステンレス鋼板の冷延板を連続焼鈍ラインで焼鈍し、表
1に示す条件で酸洗を行った。その結果を表1に示す。
この表より本発明の条件で酸洗した鋼板はいずれの場合
も、外観、接触抵抗、耐食性とも長時間を要した従来法
に匹敵する性能を示すことが明らかである。
ステンレス鋼板の冷延板を連続焼鈍ラインで焼鈍し、表
1に示す条件で酸洗を行った。その結果を表1に示す。
この表より本発明の条件で酸洗した鋼板はいずれの場合
も、外観、接触抵抗、耐食性とも長時間を要した従来法
に匹敵する性能を示すことが明らかである。
【0013】
【表1】
【0014】
【発明の効果】以上示したように本発明はCr含有鋼板
の高速大量生産によるコストダウンに適合する迅速酸化
膜除去法を提供するものであり、経済性、対公害性に優
れた工業的価値の極めて高いものである。
の高速大量生産によるコストダウンに適合する迅速酸化
膜除去法を提供するものであり、経済性、対公害性に優
れた工業的価値の極めて高いものである。
Claims (1)
- 【請求項1】 酸化膜が付着した14重量%以上のCr
を含有する鋼板を、10〜300g/Lの硫酸、1.5
〜8g/LのBF4 - 及び7〜80g/LのNO3
- (但し硝酸塩の形で添加)で構成される(但し硫酸が
10〜60g/Lのときは硫酸(g/L)/硝酸塩(g
/L)≧1とする。)水溶液中で交番電解することを特
徴とするCr含有鋼板の酸洗法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21161292A JP2965423B2 (ja) | 1992-08-07 | 1992-08-07 | 高Cr含有フェライト系ステンレス鋼板の酸洗法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21161292A JP2965423B2 (ja) | 1992-08-07 | 1992-08-07 | 高Cr含有フェライト系ステンレス鋼板の酸洗法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0657500A JPH0657500A (ja) | 1994-03-01 |
JP2965423B2 true JP2965423B2 (ja) | 1999-10-18 |
Family
ID=16608648
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21161292A Expired - Fee Related JP2965423B2 (ja) | 1992-08-07 | 1992-08-07 | 高Cr含有フェライト系ステンレス鋼板の酸洗法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2965423B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100576044B1 (ko) * | 2001-12-22 | 2006-05-03 | 주식회사 포스코 | 스테인리스강의 전해 산세방법 |
KR101873176B1 (ko) * | 2011-01-17 | 2018-06-29 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 연료 전지 세퍼레이터용 스테인리스강의 제조 방법, 연료 전지 세퍼레이터용 스테인리스강, 연료 전지 세퍼레이터, 그리고 연료 전지 |
-
1992
- 1992-08-07 JP JP21161292A patent/JP2965423B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0657500A (ja) | 1994-03-01 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
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