JP4315564B2 - 物体昇降装置及びこれを用いたセグメント供給装置 - Google Patents

物体昇降装置及びこれを用いたセグメント供給装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体昇降装置及びこれを用いたセグメント供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シールド掘進機のエレクターにセグメントを供給する装置として、例えば特開平10−317899号公報のセグメント供給装置が提案されている。このセグメント供給装置は、図5に示すように、下枠51と、この下枠51の上端から上方に突出してセグメントSを支持する上枠52とが設けられ、下枠51の前端と中央後部に所定の角度で傾斜するガイド部材53が設けられ、上枠52のガイド部材53との対向面には水平なガイド板54が設けられている。
【0003】
このガイド部材53とガイド板54との間には、図6にも示すように、楔部材55が摺動自在に配置され、この楔部材55が昇降ジャッキ56に連結されている。そして、楔部材55を摺動させることにより、ガイド板54、したがって上枠52を上昇させ、この上枠52に載置されたセグメントSをエレクター(図示せず)に供給するようになっている。
【0004】
これらのガイド部材53、ガイド板54、楔部材55及び昇降ジャッキ56は、上枠51と下枠52の両側の端部に設けられているが、図5では片側のみ図示している。なお、図5中の符号57は上枠52を横移動させるためのスライドジャッキ、Tは既設のセグメント、図6中の符号58は摩擦係数を小さくするためのオイレスプレートである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のセグメント供給装置では、一対の楔部材55をそれぞれ別々の昇降ジャッキ56,56によってスライドさせているので、何らかの原因で一対の昇降ジャッキ56,56のそれぞれの伸縮量が互いに相違した場合には、上枠52の両端の昇降高さが相違して傾いてしまうことになる。この場合は、セグメントSを正常な姿勢でエレクターに供給できなくなるなどの問題が発生する。
【0006】
更に、この場合には、上枠52が傾いて楔部材55と上枠52との接触面積が減るので、楔部材55の摺動に支障が出たり、或いは楔部材55と上枠52との接触部が異常に摩耗するなどの問題が発生する。
【0007】
また、このセグメント供給装置では、楔部材55を摺動させたときに、楔部材55がガイド部材53の傾斜に沿って上下にも移動するので、この楔部材55に連結された昇降ジャッキ56の連結部側も上下に移動するため、昇降ジャッキ56の周囲にある程度の余剰スペースを設けなければならず、これが装置の小型化を阻害する原因となっていた。
【0008】
更に、上枠52が昇降する際には、この上枠52を上下移動自在に支持している支持部材との間に大きな摩擦力が発生するため、昇降ジャッキ56の出力を必要以上に大きくする必要があった。
【0009】
このような問題は、伸縮手段と楔部材を用いて物体を昇降させる場合には共通して発生する問題である。
そこで、本発明は、物体を正常な姿勢で昇降させることができると共に、楔部材とテーブルとの接触部の摩耗を抑制でき、また装置の小型化、伸縮手段の小出力化が可能な物体昇降装置及びこれを用いたセグメント供給装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は重量物昇降装置及びこれを用いたセグメント供給装置であり、前述の技術的課題を解決するために以下のように構成されている。すなわち、本発明の重量物昇降装置は、重量物を載置可能であると共に昇降自在に支持されたテーブルと、前記テーブルの下方に配置された水平面を有するベースと、それぞれの傾斜面を互いに反対側に向けて前記ベースの水平面上に配置された一対の楔部材と、前記一対の楔部材を互いに反対方向に水平移動させるため、前記一対の楔部材の間に配置された伸縮手段と、前記楔部材の傾斜面上に摺動自在に配置された摺動部材と、前記摺動部材と前記テーブルとを連結するヒンジ部材とを備え、前記伸縮手段によって前記楔部材を互いに反対方向に水平移動させることによって、前記摺動部材及び前記ヒンジ部材を介して前記テーブルを昇降させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のセグメント供給装置は、シールド掘進機のエレクターへセグメントを供給するためのセグメント供給装置において、上述の重量物昇降装置を用いて、前記セグメントを昇降させることによって、前記セグメントを前記エレクターへ供給することを特徴とする。
【0012】
次に、各部の構成を説明する。
(ベース)
楔部材を載置する面を水平面とし、楔部材が水平移動するようにする。
(楔部材)
例えば直角三角形状とし、その直交する2面のうちの1面をベースの水平面上に載置し、もう1面を他の楔部材側に向けることによって、傾斜面を上側に向けることができると共に、伸縮手段を垂直面に取り付けることができるので、取り付けが容易になる。この楔部材の傾斜面の摩擦係数を小さくするため、傾斜面を平滑に仕上げ、更に例えば摩擦係数の小さな材料を使用するか、或いは傾斜面に低摩擦部材を貼り付けることができる。
(伸縮手段)
例えば油圧シリンダや、モータ駆動のスライド装置などを使用できる。
(摺動部材)
摩擦係数の小さな材料を用いて板状に形成することにより、摩耗を抑制できると共に、伸縮手段の出力を小さくできる。また、ヒンジ部材を摺動部材のほぼ中央部分に取り付けることにより、テーブル及びテーブル上の物体の荷重が、摺動部材の略中央部分に作用するようにすることができ、これによって、摺動部材が楔部材に片当たりするのを防止できる。
(ヒンジ部材)
例えば、テーブルに固定されるブラケットと、摺動部材に固定されるブラケットと、これらのブラケットを回動自在に連結する軸部材とによって構成できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る物体昇降装置及びこれを用いたセグメント供給装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の物体昇降装置1を示す。この物体昇降装置1は、例えばセグメントなどの物体10を載置可能であると共に昇降自在に支持されたテーブル11と、このテーブル11の下方に配置された水平面12aを有するベース12と、それぞれの傾斜面13aを互いに反対側に向けてベース12の水平面12a上に摺動自在に配置された一対の楔部材13,13とを備えている。
【0015】
また、この物体昇降装置1は、一対の楔部材13,13を互いに反対方向に水平移動させるため、これらの楔部材13,13の間に配置された伸縮手段15と、楔部材13,13の傾斜面13a上に摺動自在に配置された摺動部材16,16と、これらの摺動部材16,16をテーブル11に連結するヒンジ部材17,17とを備えている。
【0016】
テーブル11は、物体10を載置可能な大きさであり、その両側端には下側に突出させてガイド板18,18が設けられている。ベース12の両端側にはそれぞれ平板19,19が設けられ、その上面が水平面12a,12aとなっている。
【0017】
ベース12の両側端には、テーブル11のガイド板18,18より外側で上方に突出する支持板20,20が設けられている。そして、ガイド板18,18と、支持板20,20との間には転動体として、例えばコロ21が配置されている。このコロ21は、支持板20,20に回転自在に取り付けられている。
【0018】
楔部材13は例えば直角三角形状に形成されており、その直交する2面のうち1面がベース12の水平面12a,12a上に載置され、もう1面が他の楔部材13側に向けて配置されている。これによって、一対の楔部材13,13の傾斜面13a,13aが互いに反対側、ここでは、互いに外側に向けられている。また、楔部材13,13の垂直面13b,13bが互いに内側に向けられており、油圧シリンダ15の両端が垂直面13b,13bに取り付けられている。
【0019】
これらの楔部材13,13は、摩擦係数の小さな材料で形成され、その傾斜面13a,13aは平滑に仕上げられている。また、傾斜面13a,13aの摩擦係数を更に小さくするために、摩擦係数の小さな部材を貼り付けることもできる。
【0020】
油圧シリンダ15は両クレビスタイプであり、その両端が上述のように楔部材13,13の垂直面13b,13bに取り付けられて水平に配置されている。なお、この油圧シリンダ15に代えて、例えばモータ駆動のスライド手段などを使用できる。
【0021】
楔部材13の傾斜面13a上に配置された摺動部材16は、低摩擦係数の材料で平板状に形成されており、物体10及びテーブル11を支えるだけの強度を有している。この摺動部材16は、油圧シリンダ15の縮小位置、すなわち、テーブル11の下限位置において、傾斜面13aの下方に配置されている。
【0022】
ヒンジ部材17は、テーブル11の下面に固定されたブラケット22と、摺動部材16の略中央部に固定されたブラケット23と、これらのブラケット22,23を回動自在に連結する軸24とを備えている。
【0023】
次に、この物体昇降装置1の作用を説明する。物体10を上昇させる前は、図1に示すように、油圧シリンダ15を縮小させておく。そして、物体10を上昇させる場合は、図2に示すように、油圧シリンダ15を伸張させる。そうすると、油圧シリンダ15の両端に取り付けられている両方の楔部材13,13が、互いに離間する方向に水平移動し、楔部材13,13の傾斜面13a,13a上にある摺動部材16,16が上昇する。これによって、摺動部材16,16にヒンジ17,17を介して連結されているテーブル11の両端が上昇し、その上に載置されている物体10が上昇する。
【0024】
このように、本発明の物体昇降装置1は、一対の楔部材13,13をその間に取り付けられ同一の油圧シリンダ15で水平移動させるので、両方の楔部材13,13の水平移動量を略同一にでき、更に、その移動タイミングを一致させることができる。したがって、従来のように、テーブル11の両端の上昇量が相違してテーブル11が傾くのを防止でき、物体10の姿勢を正常に保持できる。
【0025】
また、この物体昇降装置1は、次に説明するようにテーブル11が水平に保持される機能がある。すなわち、いま、油圧シリンダ15の伸張開始直後に、例えば油圧シリンダ15のロッド15a側の楔部材13が他方の楔部材13よりも先に移動を開始して、図3中に破線で示すように、先に移動を開始した楔部材13上にある摺動部材16だけが上昇し、テーブル11が傾いたとする。
【0026】
このときには、瞬間的に摺動部材16が下端縁を支点として、傾斜面13aから浮いた状態となる。そうすると、摺動部材16の中間部の浮いている部分にテーブル11及び物体10の重量Wが作用し、摺動部材16には下端縁を支点として図3中の反時計回転方向への回転力Rが発生する。
【0027】
ここで、摺動部材16は、ヒンジ17でテーブル11に回転自在に取り付けられているので、上述の回転力Rによって反時計回転方向に回転する。そして、摺動部材16の板面が楔部材13の傾斜面13aに全体的に当接して停止する。このとき、摺動部材16が降下し、テーブル11がほぼ水平状態に保持されるのである。このように、摺動部材16は常に傾斜面13aに全体的に当接した状態で摺動するので、摺動部材16及び傾斜面13aが部分的に接触したときのように異常に摩耗するのを防止できる。
【0028】
これに対して、例えば摺動部材16とテーブル11との間にヒンジ17がなく、摺動部材16をテーブル11に直接固定した場合には、片方の楔部材13だけが移動すると、その上にある摺動部材16が片当たりしたまま相当程度まで上昇するので、テーブル11の傾きが大きくなると共に、摺動部材16と傾斜面13aの摩耗が大きくなる。
【0029】
また、この物体昇降装置1は、油圧シリンダ15が水平方向に伸縮するだけであり、油圧シリンダ15の周囲に移動することはないので、油圧シリンダ15の周囲に必要以上に広いスペースを保持する必要がなく、したがって、装置の小型化を図ることができる。
【0030】
更に、テーブル11のガイド板18と、ベース12の支持板20との間にコロ21を配置したので、テーブル11の上昇時の抵抗が小さくなる。したがって、テーブル11を上昇させるための力を小さくできるので、油圧シリンダ15の出力を小さくできる。
【0031】
図4は、上述の物体昇降装置1を使用したセグメント供給装置3を示す。このセグメント供給装置3は、シールド掘進機(図示せず)のエレクターにセグメントSを供給するものであり、既設のセグメントT上を移動可能な搬送用台車31と、この搬送用台車31上に配置された複数の物体昇降装置1を有している。
【0032】
但し、各物体昇降装置1のベース12は共通であり、搬送用台車31上にスライド可能に配置されている。また、ベース12には、台車31に固定された移送用シリンダ32のロッド32aが取り付けられており、台車31を停止した状態で、物体昇降装置1と共にセグメントSをシールド掘進機のエレクター側に移送できるようになっている。
【0033】
本実施の形態では、各物体昇降装置1の油圧シリンダ15の中央部が、ベース12上にスライド自在に配置された保持部材33によって支持されており、油圧シリンダ15の重量が楔部材13,13に作用するのを防止している。なお、保持部材33は台車31に固定することもできる。
【0034】
このセグメント供給装置3は、セグメントSを正常な状態で昇降させてシールド掘進機(図示せず)のエレクターに供給できるので、セグメント設置作業を正確に行うことができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の物体昇降装置によれば、一対の楔部材を同一の伸縮手段で水平移動させることによってテーブルを昇降させるので、一対の楔部材の移動タイミングを合わせることができるため、テーブルが傾くのを防止でき、これによって、物体を正常な姿勢で昇降させることができる。また、伸縮手段が水平方向に伸縮するだけで、上下左右に移動しないので、装置の小型化が可能になる。
【0036】
更に、テーブルの下方にヒンジを介して摺動部材を取り付け、この摺動部材を楔部材の斜面上に配置したので、テーブルが昇降時に自動的に水平状態を保持するようになる。
【0037】
更に、摺動部材を板状とし、この摺動部材の略中央部分にヒンジ部材を取り付けたので、摺動部材が楔部材の斜面に全体的に当接するため、楔部材と摺動部材とが異常に摩耗するのを防止できる。
【0038】
また、テーブルと支持部材との間に転動部材を配置したので、テーブルの上昇時の摩擦を軽減でき、これにより、伸縮手段の出力を小さくできる。
また、本発明のセグメント供給装置によれば、セグメントを正常な姿勢でエレクターに供給できるので、セグメントの設置作業を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る物体昇降装置を示す図である。
【図2】本発明に係る物体昇降装置の作用を説明する図である。
【図3】本発明に係る物体昇降装置の作用を説明する図である。
【図4】本発明に係る物体昇降装置を用いたセグメント供給装置を示す図である。
【図5】従来例に係るセグメント供給装置を示す図である。
【図6】従来例に係るセグメント供給装置の部分拡大図である。
【符号の説明】
1 物体昇降装置
3 セグメント供給装置
10 昇降すべき物体
11 テーブル
12 ベース
12a 水平面
13 楔部材
13a 斜面
15 油圧シリンダ(伸縮手段)
16 摺動部材
17 ヒンジ部材
S セグメント

Claims (5)

  1. 昇降すべき物体を載置可能であると共に昇降自在に支持されたテーブルと、前記テーブルの下方に配置された水平面を有するベースと、それぞれの傾斜面を互いに反対側に向けて前記ベースの水平面上に配置された一対の楔部材と、前記一対の楔部材を互いに反対方向に水平移動させるため、前記一対の楔部材の間に配置された伸縮手段と、前記楔部材の傾斜面上に摺動自在に配置された摺動部材と、前記摺動部材と前記テーブルとを連結するヒンジ部材とを備え、前記伸縮手段によって前記楔部材を互いに反対方向に水平移動させることによって、前記摺動部材及び前記ヒンジ部材を介して前記テーブルを昇降させる物体昇降装置であって、
    前記摺動部材は板状に形成され、前記ヒンジ部材は前記摺動部材の略中央部分に取り付けられていることを特徴とする物体昇降装置
  2. 前記楔部材は略直角三角形状であり、前記一対の楔部材の斜面が互いに外側に向けて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の物体昇降装置。
  3. 昇降すべき物体を載置可能であると共に昇降自在に支持されたテーブルと、前記テーブルの下方に配置された水平面を有するベースと、それぞれの傾斜面を互いに反対側に向けて前記ベースの水平面上に配置された一対の楔部材と、前記一対の楔部材を互いに反対方向に水平移動させるため、前記一対の楔部材の間に配置された伸縮手段と、前記楔部材の傾斜面上に摺動自在に配置された摺動部材と、前記摺動部材と前記テーブルとを連結するヒンジ部材とを備え、前記伸縮手段によって前記楔部材を互いに反対方向に水平移動させることによって、前記摺動部材及び前記ヒンジ部材を介して前記テーブルを昇降させる物体昇降装置であって、
    前記テーブルの両側端部が転動部材によって支持されていることを特徴とする物体昇降装置。
  4. シールド掘進機のエレクターへセグメントを供給するためのセグメント供給装置において、請求項1に記載の物体昇降装置を用いて、前記セグメントを昇降させることによって、前記セグメントを前記エレクターへ供給することを特徴とするセグメント供給装置。
  5. シールド掘進機のエレクターへセグメントを供給するためのセグメント供給装置において、請求項3に記載の物体昇降装置を用いて、前記セグメントを昇降させることによって、前記セグメントを前記エレクターへ供給することを特徴とするセグメント供給装置。
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