JP4308252B2 - 帯電防止被覆された成形体およびその製造法 - Google Patents

帯電防止被覆された成形体およびその製造法 Download PDF

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Description

本発明は、導電性を備えたプラスチック成形体の製造法、導電性を備えたプラスチック成形体および該プラスチック成形体の使用に関する。
背景技術
欧州特許第0514557号明細書B1には、金属酸化物、例えば酸化錫を基礎とする粉末状導電性粒子からなる透明の導電性被覆を、熱硬化性シリカポリマーラッカー系からなるマトリックス中に形成させるための被覆溶液が記載されている。被覆された支持体、例えばセラミック表面は、例えば500〜7000Å(オングストローム、10−10m)の範囲内の厚さのラッカー層を有することができる。導電性粒子が主に個々の粒子として十分にかまたは完全に凝集物を含まないで存在しているような製品を使用することは、有利であることが強調される。シリカポリマーラッカー系は、多数のプラスチック支持体を被覆するためには著しく不適当である。それというのも、このシリカポリマーラッカー系は、極めて高い温度で硬化されなければならず、一般に極めて脆く、劣悪に付着するからである。
欧州特許出願公開第0911859号明細書には、透明の支持体、透明の導電性被覆およびもう1つの透明の被覆からなる透明の導電性構造体が記載されている。導電性粒子としては、金または白金で被覆された、結合剤マトリックス中の1〜100nmの寸法を有する銀粒子が使用される。比較例においては、なかんずく熱硬化性シロキサンラカー系中のインジウム−錫酸化物(ITO)からなる粒子も使用されている。
ドイツ連邦共和国特許第10129374号明細書には、成形体を片側でa)結合剤、b)場合によっては溶剤、c)場合によってはラッカー系において常用されている他の添加剤およびd)5〜130nmの平均粒径を有する導電性の金属酸化物粉末10〜300質量部(成分a)に対して)からなるラッカー系で自体公知の方法で被覆し、この成形体をラッカー層の硬化前に、金属酸化物粉末の粒子の含量が空気のための境界層に対向しているラッカー層の半分中で、前記粒子の少なくとも65%が前記ラッカー層の半分中に存在しているように増加する程度に処理するかまたは貯蔵し、その後に引続き前記ラッカー層を硬化させることにより、導電性の被覆を有するプラスチックからなる成形体を製造する方法が記載されている。
課題
既に比較的減少された量の金属酸化物粉末で良好な導電性が達成されるような導電性被覆を有するプラスチックからなる成形体を製造する方法を提供するという課題が課された。導電性の金属酸化物粉末、例えばインジウム−錫酸化物(ITO)は、粉末の形で、全ての種類の成形体上に導電性の被覆を得るために使用されてよいラッカー系中で使用されることができる。1つの商業的な欠点は、導電性金属酸化物粉末の高い価格にあり、したがってこの種の被覆は、極めて高い価格の製品の場合にのみ提供されうる。例えば、インジウム−錫酸化物(ITO)粉末の高い価格は、なかんずく極めて数多くの費用のかかる作業工程を含むゾル−ゲル原理により費用のかかる製造法から生じる。更に、ドイツ連邦共和国特許第10129374号明細書の記載により必要とされる、既に被覆されたプラスチック成形体を貯蔵する工程は、回避される。それというのも、プラスチック成形体は、この状態で機械的に極めて敏感であるからである。更に、まさに高価なITOを安価な製品によって代替する方法を見出すべきであり、この場合には、被覆の機能性、例えば導電性または耐引掻性は、本質的に損なわれることはない。更に、ラッカー系がもはや可能不可能であるような程度に粘度を上昇させることなく、導電性の金属酸化物粉末およびナノ粒子のできるだけ高い含量を混入することができるラッカー系を開発するという課題が課された。
解決
この課題は、
導電性被覆を有する、プラスチックからなる成形体を製造する方法であって、この成形体を1つの側で、
a)結合剤または結合剤混合物、
b)場合によっては溶剤または溶剤混合物および
c)場合によってはラッカー系で常用の他の添加剤および
d)場合によっては濃稠化剤または濃稠化混合物、
e)1〜80nmの平均一次粒径および0.01%〜99%の凝集度を有する、(成分a)に対して)5〜500質量部の導電性の金属酸化物粉末、この場合凝集度は、百分率で記載され、その上、一次粒子は、少なくとも2個の一次粒子からなり、さらに凝集度の測定は、透過電子顕微鏡によって完成ラッカーについて行なわれ、また、"粒子、一次粒子または個々の粒子"、"凝集物"および"凝集体"の概念は、DIN 53206(1972年8月)に定義されており、
f)2〜100nmの平均一次粒径を有する、(成分a)に対して)5〜500質量部の不活性のAl23ナノ粒子およびSiO2ナノ粒子からなるラッカー系で自体公知の方法で被覆し、このラッカー層を硬化するかまたは硬化させることにより、導電性被覆を有する、プラスチックからなる成形体を製造する方法によって解決される。
更に、本発明は、本発明による方法により製造しうる、導電性被覆を有する成形体およびその使用に関する。
発明の実施
結合剤または結合剤混合物a)
結合剤は、物理的に乾燥性の有機結合剤もしくは有機結合剤混合物または混合された有機/無機結合剤もしくは有機/無機結合剤混合物であってもよいし、熱的もしくは化学的に硬化可能かまたはエネルギーに富んだ放射線により硬化可能な有機結合剤もしくは有機結合剤混合物または混合された有機/無機結合剤もしくは有機/無機結合剤混合物であってもよい。
有機結合剤は、有機モノマー、有機オリゴマーおよび/または有機ポリマーからなる。例は、次の通りである:ポリ(メタ)アクリレート、ビニル系(コ)ポリマー、エポキシ樹脂、ポリウレタンまたはアルキド樹脂、架橋性反応希釈剤および非架橋性反応希釈剤。
反応希釈剤は、ラッカー中に重合導入されていてよい低粘稠なモノマーであり、架橋性反応希釈剤は、2個またはそれ以上の重合性基を分子中に有する。
反応性希釈剤は、例えばブチルアクリレートまたはヒドロキシエチルメタクリレートであり、架橋性反応希釈剤は、例えばヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートである。混合された有機/無機結合剤は、例えば次の通りであることができる:ポリシロキサン、シラン−共重縮合体、シリコーン、または前記化合物と有機ポリマーとのブロックコポリマー。
他の例は、ハイブリッドポリマーであり、このハイブリッドポリマーは、モノマー成分とオリゴマー成分との混合物として使用される。これは、(メタ)アクリレートとエポキシドまたはイソシアネートおよびそれぞれ属する硬化剤との組合せ物であることができる。
適当なモノマーは、例えばγ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Silquest A174 NT)、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、Serpol QMA 189(Servo Delden BV, NL)、ジプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリットトリテトラアクリレート、Bisomer PPA6E、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、Sartomer 335、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、Sartomer CD 9038、エトキシル化ビスフェノールジアクリレート、Sartomer CD 406、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、Sartomer SR 335、ラウリルアクリレート、Sartomer SR 285、テトラヒドロフルフリルアクリレート、Sartomer SR 339、2−フェノキシエチルアクリレートである。
溶剤b)
ラッカー系中に場合によっては含有されている溶剤は、アルコール、エーテルアルコールまたはエステルアルコールであることができる。また、これらの溶剤は、互いに混合されてもよいし、場合によっては他の溶剤、例えば脂肪族または芳香族の炭化水素またはエステルと混合されてもよい。
好ましい溶剤は、アルコール、エーテルアルコールまたはこれらの混合物、アルコールと他の溶剤、例えば酢酸ブチル、ジアセトンアルコールおよびトルエンとの混合物である。
添加剤c)
ラッカー系中に場合によっては含有されている常用の添加剤c)は、例えば流展助剤、湿潤剤、分散添加剤、酸化防止剤、反応希釈剤、消泡剤、立体障害アミン−光安定剤(HALS)、またはUV吸収剤であることができる。界面活性剤は、特に有利に製品Byk 045、Byk 335、Efka 83、Tego 440、Silan GF 16(Wacker社)である。好ましいUV吸収剤は、次の通りである:Norbloc 7966、Bis-DHB-A(Riedel de Haan社)、CGL 104(Ciba社)、3−(2−ベンゾトリアゾリル)−2−ヒドロキシ−5−第三オクチル−ベンジルメタクリルアミド、BASF社のUVA 635-L、Uvinul N35、Tinuvine 1130、Tinuvine 329およびTinuvine 384。立体障害アミン光安定剤としては、有利にTinuvine 770、Tinuvine 440、Tinuvine 144、Tinuvine 123、Tinuvine 765、Tinuvine 292、Tinuvine 268が使用される。
濃稠化剤または濃稠化剤混合物d)
濃稠化剤または濃稠化剤混合物としては、適当なポリマー、例えばRoehm GmbH & Co.KG社によって製造されかつ販売された製品PLEX(登録商標)8770 Fが使用されてよい。この製品PLEX(登録商標)8770 Fは、メタクリル酸メチルエステル約75質量%およびブチルアクリレート約25質量%の組成を有する高分子量PMMAである。粘度数Jは、約11である。(20℃でクロロホルム中で測定された)。この製品は、パール重合によって製造され、開始剤として、2,2−アゾビス−(イソブチロニトリル)が使用される。パール重合の方法は、当業者に公知である。
更に、適当な濃稠化剤は、次の通りである:オリゴマーのエポキシアクリレート、例えばEbecryl 605、Ebecryl 608、ウレタンアクリレート、例えばEbecryl 210、Ebecryl 264、Ebecryl 284、Ebecryl 5129、Ebecryl 1290;シリコーンアクリレート、例えばEbecryl 350またはEbecryl 360;ポリエステルアクリレート、例えばEbecryl 440、エポキシアクリレート、例えばJaegalux 3300、ポリエステルアクリレート、例えばJaegalux 1300;ポリエチレングリコールジアクリレート、例えばIGM Resin BV社、 Waalwijk在、オランダ国、のEM227。Ebecrylの名称を有する製品は、UCB社、Kerpen在、から入手可能である。
a)、b)、c)およびd)からなるラッカー系
物理的に乾燥する適当なラッカーは、例えばポリマー、例えばポリメチルメタクリレート−(コ)ポリマー30質量%および溶剤、例えばメトキシプロパノールおよび酢酸ブチル70質量%を含有する。薄層での塗布後、このラッカーは、溶剤の蒸発後に自己硬化する。
熱的に硬化しうる適当なラッカーは、例えばアルキルアルコキシシランの部分的な加水分解および縮合によって得ることができるポリシロキサンラッカーであることができる。硬化は、場合によっては使用される溶剤の蒸発後に、例えば60〜120℃への数時間の加熱によって行なわれる。
化学的に硬化しうる適当なラッカー系は、例えばポリイソシアネートとポリオールとの混合物からなることができる。反応性成分の組み合わせ後に、ラッカー系は、数分間ないし数時間に亘って自己硬化する。
放射線により硬化しうる適当なラッカー系は、例えば場合によってはポリ不飽和のラジカル重合可能なビニル系不飽和化合物、例えば(メタ)アクリレート化合物の混合物からなる。硬化は、エネルギーに富んだ放射線、例えばUV線または電子線の作用後、場合によっては放射線によって活性化しうる重合開始剤の添加後に行なわれる。例は、耐引掻性ラッカーであり、例えばこれは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19507174号明細書中に記載されている。
この場合、成分a)、b)およびc)は、ポリ(メタ)アクリレート、ポリシロキサン、ポリウレタン、エポキシ樹脂またはラジカル重合可能な、場合によっては多価のビニル系モノマーを基礎とするラッカー系であることができる。
特に好ましいのは、硬化した状態で結合剤に対して少なくとも5モル%、有利に10〜25モル%の極性の官能基の含量を有する結合剤を含有するラッカー系である。
適当な被覆組成物は、
aa)式(I)
C=C(R)−C(O)−O−[CH−CH−O]−C(O)−C(R)=CH (I)
〔式中、nは、5〜30であり、Rは、HまたはCHである〕で示されるポリアルキレンオキシド−ジ(メタ)アクリレートからなる混合物、成分aa)〜ee)の総和に対して、70〜95質量%、
この場合
aa1)式(I)のポリアルキレンオキシド−ジ(メタ)アクリレートの混合物50〜90質量%は、300〜700の平均分子量(M)を有するポリアルキレンオキシド−ジオールによって形成されており、
aa2)式(I)のポリアルキレンオキシド−ジ(メタ)アクリレートの混合物50〜10質量%は、900〜1300の平均分子量(M)を有するポリアルキレンオキシド−ジオールによって形成されており、
bb)式(II)
C=C(R)−C(O)−O−[CH]−OH (II)
〔式中、mは、2〜6であり、Rは、HまたはCHである〕で示されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、成分aa)〜ee)の総和に対して、1〜15質量%、
cc)架橋剤としてのアルカンポリオール−ポリ(メタ)アクリレート、成分aa)〜ee)の総和に対して、0〜5質量%、
dd)UVポリマー開始剤、成分aa)〜ee)の総和に対して、0.1〜10質量%、
ee)場合によってはUV硬化可能な被覆のための他の常用の添加剤、例えばUV吸収剤および/または流展およびレオロジーのための添加剤、
ff)蒸発によって簡単に除去可能な溶剤、成分aa)〜ee)の総和に対して、0〜300質量%および/または一価の反応性希釈剤、成分aa)〜ee)の総和に対して、0〜30質量%からなることができる。
記載されたラッカー系は、Roehm GmbH & Co.KG社びドイツ連邦共和国特許出願公開第10002059号明細書の対象である。
濃稠化剤を有する処方物は、例えば次の組成:
aa)式(I)
C=C(R)−C(O)−O−[CH−CH−O]−C(O)−C(R)=CH (I)
〔式中、nは、5〜30であり、Rは、HまたはCHである〕で示されるポリアルキレンオキシド−ジ(メタ)アクリレートからなる混合物、成分aa)〜ff)の総和に対して、70〜95質量%、
この場合
aa1)式(I)のポリアルキレンオキシド−ジ(メタ)アクリレートの混合物50〜90質量%は、300〜700の平均分子量(M)を有するポリアルキレンオキシド−ジオールによって形成されており、
aa2)式(I)のポリアルキレンオキシド−ジ(メタ)アクリレートの混合物50〜10質量%は、900〜1300の平均分子量(M)を有するポリアルキレンオキシド−ジオールによって形成されており、
bb)式(II)
C=C(R)−C(O)−O−[CH]−OH (II)
〔式中、mは、2〜6であり、Rは、HまたはCHである〕で示されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、成分aa)〜ff)の総和に対して、1〜15質量%、
cc)架橋剤としてのアルカンポリオール−ポリ(メタ)アクリレート、成分aa)〜ff)の総和に対して、0〜5質量%、
dd)UVポリマー開始剤、成分aa)〜ff)の総和に対して、0.1〜10質量%、
ee)場合によってはUV硬化可能な被覆のための他の常用の添加剤、例えばUV吸収剤および/または流展およびレオロジーのための添加剤、
ff)蒸発によって簡単に除去可能な溶剤、成分aa)〜ff)の総和に対して、0〜300質量%および/または一価の反応性希釈剤、成分aa)〜ee)の総和に対して、0〜30質量%、
gg)濃稠化剤または濃稠化剤混合物、成分aa)〜ff)の総和に対して、0.5〜50質量%を有する。
この種のラッカー系は、極性の官能基の比較的高められた含量によって水を吸収することができ、例えばオートバイのヘルメットの風防のための被覆として使用され、風防ガラスの曇りを阻止することができる。実際に常に環境から生じる吸水は、導電性金属酸化物粉末との組み合わせで被覆の再度改善された導電率を生じる。
導電性金属酸化物粉末e)
適当な導電性金属酸化物粉末e)は、1〜80nmの範囲内の一次粒径を有する。金属酸化物粉末e)は、一次粒子の凝集物および凝集体ならびに凝集物として存在することができ、この場合には、2000nmまでまたは1000nmまでの凝集体の粒径を有する。凝集物は、500nmまで、有利に200nmまでの寸法を有する。
金属酸化物粉末の一次粒子の平均粒径は、透過電子顕微鏡により測定されることができ、一次粒子の場合に一般に5〜50nm、有利に10〜40nm、特に有利に15〜35nmの範囲内にある。更に、平均粒径に適した測定方法は、ブルナウアー−エメット−テラー吸着法(BET法)であるかまたはX線回折法(XRD法)である。一次粒子は、凝集物として存在してもよいし、凝集体として存在してもよい。凝集物は、焼結橋により持続的につなぎ合わされた二次粒子である。分散処理によって、凝集物は分離不可能になる。
適当な金属酸化物粉末は、例えばアンチモン−錫酸化物粉末またはインジウム−錫酸化物(ITO)粉末であり、該粉末は、特に良好な導電性を有する。また、記載された金属酸化物粉末の変種も適当である。相応する生成物は、ゾルゲル法により高い純度で得ることができ、種々の製造業者から商業的に入手可能である。平均一次粒径は、5〜50nmの範囲内にある。この生成物は、個々の粒子から構成された凝集物および凝集体の一定の含量を含有する。凝集物は、ファン・デル・ワールス力によって結び付いた二次粒子であり、この二次粒子は、分散処理によって分離可能である。
特に有利には、50〜200nmの粒径を有する凝集された粒子の含量10〜80体積%、有利に20〜60体積%を有するインジウム−錫酸化物粉末が使用される。体積%の含量は、粒子分析器(例えば、Coulter社のレーザー粒子分析器またはBrookhaven社のBI-90粒子寸法測定器)を用いて、動的光散乱で体積から平均を取ったかまたは強度から平均を取った直径を測定することにより、測定されることができる。
適当なインジウム−錫酸化物粉末は、アエロジル(Aerosil)製造法を用いて、相応する金属塩化物化合物を熱い火炎内で金属酸化物に変換することにより得ることができる。
インジウム−錫酸化物粉末をラッカー系中に混入した場合、凝集された粒子は、部分的に僅かな個々の粒子の凝集物中および個々の粒子(一次粒子)中に合併されうる。50〜200nmの粒径を有する凝集された粒子の含量は、有利に5%未満、好ましくは10%未満に減少すべきではない。ラッカー系中で鎖状で列をなして凝集された、25〜90%の粒子の含量は、有利である。この場合には、鎖状の凝集物は、分枝鎖状であってもよいし、列をなした粒子の立体の造形物として存在していてもよい。
重なり合った橋の凝集物が形成されることは、電子顕微鏡により目視可能である。
アエロジル(Aerosil)法によるインジウム−錫酸化物(ITO)粉末の製造
アエロジル(Aerosil)法によるインジウム−錫酸化物粉末の製造は、Degussa AG社(所在地Hanau-Wilfgang, Deutschland)の欧州特許第1270511号明細書の対象である。
記載された欧州特許第1270511号明細書には、インジウム−錫酸化物の製造方法が記載されており、この場合には、インジウム塩の溶液を錫塩の溶液と混合し、場合によっては塩の溶液を少なくとも1つのドーピング成分に添加し、この溶液混合物を噴霧し、この噴霧された溶液混合物を熱分解し、得られた生成物を排ガスと分離する。
塩としては、無機化合物、例えば塩化物、硝酸塩および金属有機前駆物質、例えばアセタール、アルコラートが使用されてよい。
前記溶液は、場合によっては水、水溶性の有機溶剤、例えばアルコール、例えばエタノール、プロパノールおよび/またはアセトンを含有することができる。
溶液の噴霧は、超音波アトマイザー、超音波噴霧器、二物質流ノズルまたは三物質流ノズルを用いて行なうことができる。超音波アトマイザーまたは超音波噴霧器を使用する場合には、得られたエアロゾルは、火炎に供給されるキャリヤーガスおよび/またはN2/O2と混合されうる。
二物質流ノズルまたは三物質流ノズルを使用する場合には、エアロゾルは、直接に火炎内に噴霧されてよい。
また、水と混合不可能な有機溶剤、例えばエーテルが使用されてもよい。
分離は、フィルターまたはサイクロンを用いて行なうことができる。
熱分解は、水素/空気および酸素の燃焼によって発生される火炎内で行なうことができる。また、水素の代わりに、メタン、ブタンおよびプロパンが使用されてよい。
更に、熱分解は、外側から加熱される炉を用いて行なうことができる。同様に、流動床反応器、回転管またはパルス反応器が使用されてもよい。
本発明によるインジウム−錫酸化物は、例えば酸化物および/または元素状金属の形の次の物質でドープされていてよい:アルミニウム、イットリウム、マグネシウム、タングステン、珪素、バナジウム、金、マンガン、コバルト、鉄、銅、銀、パラジウム、ルテニウム、ニッケル、ロジウム、カドミウム、白金、アンチモン、オスミウム、セリウム、イリジウム、ジルコニウム、チタン、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、タンタルまたは亜鉛、この場合出発物質としては、相応する塩が使用されてもよい。特に好ましいのは、カリウム、白金または金でのドーピングである。
得られたインジウム−錫酸化物(ITO)は、例えば次の物理的化学的パラメーターを有することができる:
Figure 0004308252
ナノ粉末e)
それぞれ乾燥被膜に対して(不活性)ナノ粒子0.1〜50質量%およびITO30〜70質量%の含量(これは、溶剤なしのラッカーの組成である)(成分a)、c)、d)、e))を有するラッカーは、良好に硬化可能なラッカーを生じることが見い出された。好ましいのは、ITO約20〜40質量%および不活性ナノ粒子20〜40質量%の組成物である。このラッカーは、機械的に安定性であり、プラスチック支持体上で良好に付着する。
意外なことに、不活性の無機粒子、例えばSiOナノ粒子を含有するラッカーは、良好な付着力および減少されていない良好な導電率を有する。
SiOナノ粒子は、自体公知の方法で製造され、Highlink OGの商品名でClariant GmbHによって販売されている。同様に、Nanocrylの商品名のHanse-Chemie社, Geesthacht在、の製品も適当である。
不活性のナノ粒子は、既述したHighlink OGの商品と共に次の物質および物質種である:本質的にSiO2もしくはAl23またはこれらの組合せ物からなるオルガノゾル(Organosole)およびシリカゾル(Kieselsole)。同様に、他の酸化物ナノ粒子、例えば酸化鉄も適している。また、微粒状の破壊された熱分解硼珪酸が使用されてもよい。これは、古典的な熱分解法珪酸とは、なお比較的に僅かな程度にラッカーの濃稠化に貢献しているという点で区別される。
更に、同様の程度にかまたは僅かな程度にインジウム錫酸化物として導電性に貢献する機能性ナノ粒子は、ラッカー中に混入されてもよい。適当なのは、例えばアンチモン錫酸化物または酸化亜鉛である。機能性ナノ粒子は、該粒子が電流の導電に関与することにより、本発明の範囲内で全複合体の導電率を改善するかまたは維持するような粒子である。
本明細書中で述べなかった間接的な貢献は、不活性の粒子がその存在によって機能性ナノ粒子を帯状導電体に似た構造体中に排除し、それによって導電率がむしろ改善されることによって行なわれうる。このための例は、それぞれ次のもの:
インジウムスル酸化物3g、
SiOナノ粒子3g(13nm、Highlink OG 502-31)(不活性ナノ粒子)、
アクリレート混合物3g(組成、下記参照)、
イソプロパノール7g、
シランGF 16 0.08g(Wacker)および
アクリレートに対して2%の光開始剤
からなるラッカーである。
このラッカーは、UV硬化後に表面抵抗<10exp6Ωを有する帯電性層を生じる。
更に、1つの実施例において、前記の記載と同様に実施したが、しかし、9nmの粒径を有するナノ粒子が使用された。同様の結果が得られた。比較のために、同様のITO濃度を有するラッカーを製造したが、しかし、ナノ粒子を使用しなかった。不活性のナノ粒子の代わりに、アクリレートが使用された。10exp9Ωの表面抵抗が見出される。
被覆可能な成形体
適した被覆可能な成形体は、プラスチック、有利に熱可塑性プラスチックまたは熱的に変形可能なプラスチックからなる。
適当な熱可塑性プラスチックは、例えばアクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、耐衝撃性に変性されたポリメチルメタクリレートまたは2つ以上の熱可塑性プラスチックからなる他の混合物(配合物)である。ポリオレフィン(ポリエチレンもしくはポリプロピレンまたはシクロオレフィンコポリマー、例えばエチレンとノルボルネンとからなるコポリマー)は、適当な前処理後、例えばコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ溶射処理またはエッチング処理後に同様に被覆可能である。
好ましいのは、透明プラスチックである。被覆可能な支持体として特に好ましいのは、ポリメタクリレートプラスチック型の透明度が高いために、押出されたかまたは注型されたポリメタクリレートプラスチックからなる成形体である。ポリメチルメタクリレートは、少なくとも80質量%、有利に85〜100質量%のメチルメタクリレート単位からなり、場合によっては他のラジカル重合可能なコモノマー、例えばC〜C−アルキル(メタ)アクリレートを含有していてよい。適当なコモノマーは、例えばメタクリル酸のエステル(例えば、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート)、アクリル酸のエステル(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート)またはスチレンおよびスチレン誘導体、例えばα−メチルスチレンまたはp−メチルスチレンである。
注型されたポリメチルメタクリレートは、極めて高分子量であり、したがってもはや熱可塑的には、可能不可能である。しかし、このポリメチルメタクリレートは、熱的に変形可能(熱可塑的)である。
被覆することができる成形体は、任意の形を有することができる。しかし、好ましいのは、平面状の成形体である。それというのも、この平面状の成形体は、特に簡単に効果的に片面または両面を被覆することができるからである。平面状の成形体は、例えば中実の板または中空板、例えばウェブ板もしくはウェブ二重板またはウェブ多重板である。また、例えば、波形板も適当である。
被覆することができる成形体は、無光沢か、平滑かまたは構造化された表面を有することができる。
ラッカー、製造法および処方:
ラッカー基剤:
適当なラッカーは、例えばドイツ連邦共和国特許第10129374号明細書中に記載されている。1つの特に好ましい実施態様においては、放射線硬化可能なラッカーが使用されている。放射線硬化可能なラッカーは、物理的に無水で化学的に硬化性または熱的に硬化性の系と比較して、数秒で液体の状態から固体の状態に移行し、相応する架橋の際に耐化学薬品性で耐引掻性の被膜を形成し、比較的小さな部屋で取り扱うことができるという利点を有している。ラッカーの粘度を十分に高く調節する場合には、被膜の塗布とラッカーの硬化との間の極めて短い時間によって、ラッカー中での特に重い金属酸化物粒子の望ましくない沈殿を阻止することができる。
UV硬化可能なラッカー
ITO添加剤なしのラッカーは、40〜50%、場合によっては70%までのITOをラッカー中に導入することができるようにするため、および依然として十分な加工可能性、分散可能性および塗布可能性が定められているようにするために、ITOおよびナノ粒子e)の分散に対して低粘稠でなければならない(パラメーター)。これは、例えば適当な低粘稠の反応性希釈剤を選択するかまたは溶剤、例えばアルコールを添加することによって行なうことができる。同時に、適当な濃稠化剤の添加によって、ラッカー中でのITO粒子の沈殿は、効果的に阻止されなければならない。これは、例えば適当なポリマーを添加することによって行なうことができる。適当なポリマーの例は、例えばPLEX 8770 Fまたは官能基を有するポリメタクリレートであり;更に、適当なポリマーまたはオリゴマーは、既に”a)、b)およびc)からなるラッカー系”の章に記載されている。適当なポリマーは、或る程度の極性を示し、それによって、このポリマーは、ラッカーの別の成分およびITOの極性表面と相互作用を有しうる。完全に非極性のポリマーもしくはオリゴマーまたは僅かな数の極性を有するポリマーおよびオリゴマーは、濃稠化には不適当である。それというのも、前記ポリマーおよびオリゴマーは、別のラッカー成分と相互作用を有することはなく、ラッカーと非相容性であるからである。十分に極性のオリゴマーまたはポリマーは、アルコール、エーテル、ポリエーテル、エステル、ポリエステル、エポキシド、シラノール、シリルエーテル、置換された脂肪族基または芳香族基を有する珪素化合物、ケトン、尿素、ウレタン、ハロゲン、ホスフェート、亜燐酸塩、硫酸塩、スルホネート、スルファイト、硫化物、アミン、ポリアミン、アミド、イミド、カルボン酸、硫黄複素化合物、窒素複素化合物および酸素複素化合物、フェニルおよび置換された芳香族基、環中にヘテロ原子を有する化合物を含めて多核の芳香族化合物から選択された極性基を含有する。極めて極性のオリゴマーまたはポリマーは、同様に不適当である。それというのも、前記オリゴマーまたはポリマーの作用は、完成ラッカーの性質にとって不利であるからである。不適当な強い極性基には、ポリ酸または多重酸の塩が含まれる。不適当な基は、しばしば高められた水溶性または水膨潤可能性を示す。適当な極性基の濃度は、ラッカーの膨潤可能性が或る程度の基準を超えないように選択されなければならない。従って、適当な極性基は、ラッカーが水溶性でなく、本質的に膨潤不可能であることを保証する濃度で使用される。これは、極性基のモル含量が上記ポリマー100g当たり0.4〜100ミリ等量であることを保証する。極性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホニルーカルボン酸アミド基、ニトリル基およびシラノール基を挙げることができる。極性基は、作用で区別される。この作用は、ニトリル<ヒドロキシル<第1カルボン酸アミド<カルボキシル<スルホニル<シラノールの順序で増加する。極性作用が強ければ強いほど、ポリマー中で必要とされる含量は、ますます僅かになる。
特に好適な濃稠化剤は、移動し得ない系である。このような系は、例えばラッカーへの結合によって固定されうる。これは、ラッカーへの物理的または化学的な結合、例えば重合導入によって行なうことができる。特に好適なのは、オリゴマーまたはポリマー、例えば硫黄橋により後架橋する重合導入可能なアクリレートまたはオリゴマー/ポリマー、例えばRoehm GmbH & Co. KG社のPLEX 8770 Fである。
ラッカーの粘度に対するITOの作用を説明するために、ラッカーの粘度は、ITOなしにブルックフィールド粘度計LVT(アダプターA)を用いて測定された。4.5mPa.sの粘度が見出される。同様のラッカーは、結合剤に対して同じ質量含量のITOを用いて充填され、同様にブルックフィールド粘度計LVT(スピンドル2)中で種々の回転速度で測定された。明らかな構造粘度が見出される:
Figure 0004308252
前記ラッカーの組成は、次の通りであった:
ITO 24.5部、
アクリレート混合物 24.5部、
イソプロパノール 50部、
分散添加剤 0.5部、
光開始剤 0.5部
ITOなしのラッカーは、相応して次の組成を有していた:
アクリレート混合物 32.45部、
分散添加剤 0.66部、
光開始剤 0.66部、
イソプロパノール 66.22部。
アクリレート混合物としては、ペンタエリトリットトリテトラアクリレート約40質量%およびヘキサンジオールジアクリレート約60%からなる混合物が使用される。分散添加剤としては、Wacker Chemie社のシランGF 16が使用される。光開始剤としては、Irgacure 184が使用される。
例えば、溶剤が添加されていないために、ラッカーの粘度が高すぎる場合には、十分な量のITOを分散供給することに成功しない。例えば、ヘキサンジオールジアクリレート60部、ペンタエリトリットトリテトラアクリレート40部からなる処方物は、約30〜40部のITOでのみ充填されうる。この充填量を超える場合には、ラッカーは、もはや加工し得ない程度に粘稠である。
ラッカーの構造粘度のために、ラッカーを塗布の際に剪断することは、好ましい。それによって、均一の湿潤および良好な流展が達成される。適当な塗布技術は、例えばロール塗布および噴霧塗布である。ラッカーの流し塗りまたは注型は、不適当である。
特殊な実施態様:
前記ラッカーは、適当なモノマーを選択することによって、良好な硬化が空気(空気酸素)の存在で保証されているように調節されうる。例は、プロパントリオールトリアクリレートと硫化水素との反応による反応生成物(Roehm GmbH & Co. KGのPLEX6606)である。前記ラッカーは、窒素雰囲気下で実際に急速に硬化するかまたは微少量の光開始剤で硬化するが、しかし、例えば適当な光開始剤、例えばIrgacure 907を使用する場合には、空気中での硬化も可能である。
また、これは、例えばSiOナノ粒子をラッカーマトリックス中に混入することによって達成されうる。適当な製品は、モノ分散性ナノ粒子であり、これは、例えばClariant社のオルガノゾルの形でHighlink OGの名称で販売されている。同様に、熱分解法珪酸も適当であり、これは、Degussa社からAerosilの名称で販売されている。特に有利には、微粒状の破壊された熱分解法珪酸が使用され、それというのも、これは、ラッカーの粘度に僅かにのみ影響を及ぼすからである。破壊された珪酸には、Degussa社のアエロジル法(Aerosilverfahren)により数ナノメートルないし数百ナノメートルの大きさの一次粒子の凝集物として製造されたものであり、製造パラメーターを適当に選択するかまたは後処理によって二次構造および三次構造の粒径に関連して十分にかまたは完全に百ナノメート未満の水準にもたらされている製品が含まれる。この性質を満たす製品は、Degussa社の欧州特許出願公告第0808880号明細書B1中に記載されている。
それぞれ乾燥被膜に対して(不活性の)ナノ粒子10〜40%およびITO20〜50%の含量を有するラッカー(これは、溶剤なしのラッカーの組成である)は、十分に硬化しうるラッカーを生じることが見出された。このラッカーは、機械的に安定性であり、プラスチック支持体上に良好に付着する。
意外なことに、不活性の無機粒子、例えばSiOナノ粒子または酸化物を基礎とするナノ粒子を含有するラッカーは、良好な付着力および減少されていない良好な導電率を有する。
充填剤粒子は、インジウム錫酸化物粒子をあたかも帯状導電体に似た構造体中に排除し、それによって導電の効果を導電性粒子の濃縮によって改善することから出発する。それによって、ITOの濃度は、同じ導電率で減少されうる。
Clariant社のHighlink OGの名称で販売されているオルガノゾルは、場合によっては他の官能基を有していてもよい一官能性または二官能性のモノマーを含有する。同様に適当なのは、有機溶剤中、例えばアルコール中のオルガノゾルである。良好に好適なモノマーは、例えばヘキサンジオールアクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレートである。前記モノマーは、できるだけ僅かな量の重合抑制剤を含有する。適当な安定剤は、Degussa社のTempolまたはフェノチアジンである。一般に、前記モノマーは、500ppm未満、好ましい実施態様において200ppm未満、特に有利に100ppm未満の安定剤濃度を有する。被覆により完成されたUVラッカーの安定剤濃度は、反応性成分に対して200ppm未満、有利に100ppm未満、殊に有利に50ppm未満である。選択された安定剤濃度は、選択された重合能を有する成分の種類および反応性に依存する。特に反応性の成分、例えば多くの場合の多官能性アクリレートまたはアクリル酸は、よりいっそう高い安定剤量を必要とし、僅かに反応性の成分、例えば一官能性メタクリレートは、僅かな安定剤量を必要とする。安定剤としては、Tempolおよびフェノチアジンと共に、例えばヒドロキノンモノメチルエーテルもこれに該当し、この場合最初の2つのTempolおよびフェノチアジンは、酸素の不在下で作用を有し、10〜100ppmの極めて微少量にもたらされ、他方、最後の化合物のヒドロキノンモノメチルエーテルは、酸素の存在でのみ作用を有し、50〜00ppmの量で使用される。
前記組成を選択することによって、前記ラッカーは、耐引掻性、耐化学薬品性または柔軟性および変形不可能に調節されうる。このために、架橋剤含量は、適当に適合される。例えば、ヒドロキシエチルメタクリレートの高い含量を用いた場合には、重い下地、例えば注型された高分子量PMMAに対する付着力および同時に変形可能性は、改善されうる。ヘキサンジオールジアクリレートのよりいっそう高い含量を用いた場合には、耐化学薬品性および耐引掻性は、上昇される。
なお、良好な耐引掻性および耐化学薬品性は、なお多官能性モノマー、例えばペンタエリトリットトリテトラアクリレートによって達成される。この場合、前記ラッカーの組成は、必要とされる全ての性質の望ましい組合せ物を得ることができる程度に変動される。
変形可能性を上昇させ、付着力を改善する方法は、二重結合の含量と反応性であるかまたは非反応性であるように選択されうるオリゴマーまたはポリマーの成分を使用することである。高分子量の構成単位を使用することによって、ラッカーの架橋密度および硬化の際の収縮は、減少され、それによって一般に良好な付着力が達成される。
適当なポリマー成分は、例えばメタクリレートおよびアクリレートならびに官能性モノマーから構成されていてよいポリ(メタ)アクリレートである。付着力の改善に付加的な貢献を保証するために、官能基を有するポリマーが使用されてよい。適当なポリメタクリレートの例は、分子量の基準としての粘度数J[ml/g](20℃でCHCl中で):11±1を有する、Roehm GmbH & Co. KG社のPLEX 8770 Fである。
オリゴマーまたはポリマーの添加剤は、分子量に応じて異なる量で添加されてよい。高分子量のポリマーは、相応する微少量で添加され、低分子量の生成物は、高い量で添加され、したがってラッカーの全粘度は、加工を可能にする。ポリマーの添加剤は、同時に濃稠化剤として作用し、ナノ粒子を収縮において維持し、粒子の望ましくない沈殿を被覆後に阻止するためにも利用されている。
こうして、表面上、殊に層の最上層の200nm中でのITO濃度は、ばら積みの場合を本質的に下廻らないかまたは支持体に対して層境界でのITO濃度は、ばら積みの場合を本質的に下廻らないことが保証されている。更に、この方法の重要な見解は、濃稠化剤の添加によって支持体の付着力を改善することである。これは、本発明を特定の理論に規定するものではないが、濃稠化剤によって誘発される、支持体に対する相境界でのITO濃度が減少することによって説明され、それによって同時に相境界での結合剤濃度は、好ましくは十分に高く維持される。それというのも、結合剤は、支持体の良好な付着に貢献するからである。これに対して、支持体の付着がラッカー−支持体の相境界に沈殿することによって強化される場合には、無機充填剤、例えばITOによれば、支持体と結合剤との間の接触面積の減少によって支持体の付着は劣化される。
製造方法:
ITO粒子の良好な微粉砕/分散が保証されるようにラッカー粘度を調節することは、重要なことである。これは、例えばロールバンク上に粉砕体としてのガラス玉で分散させることによって行なうことができる(ドイツ連邦共和国特許第10129374号明細書参照)。
ITOナノ粒子の分散は、ラッカー中で強制コンベヤーと結合されている、特殊に組み合わされた攪拌装置および分散装置、例えばHaagen und Rinau GmbH社のUnimix LM6によって行なうことができる。組み合わされた攪拌装置と分散装置を用いてITO凝集物の破壊なしに十分に良好な分配を達成させるために、攪拌条件は、ナノ粒子凝集体が十分に小さい凝集物に分配されるように調節されなければならず、したがって被膜の良好な透明度が定められる。十分な透明度のためには、凝集物は、可視光線の波長の四分の一λ(lambda Viertel)未満、即ち100nm以下でなければならない。混合物を著しく強く剪断したかまたは長時間剪断した場合には、導電率に顕著に貢献する凝集物は、破壊され、パーコレーションネットワークは、もはや正しく構成することができない。剪断がパーコレーションネットワークに及ぼす影響については、例えばHans J. Mair, Siegmar Roth(編)," Elektrisch leitende Kunststoffe", Hanser Verlag, 1986および"Ishihara Functional Materials", Technical News, T-200 Electroconductive Materials, Firmenschrift Ishiharaに指摘されている。
従って、本発明の本質的な点は、凝集物がパーコレーションネットワーク中に保持されたままであり、可視光線の波長の四分の一λよりも大きい粗大な凝集体が破壊されるように剪断を調節することである。
これは、分散装置および分散条件の選択、前記組成物の適した粘度の選択および適当な添加剤の場合による添加によって成功する。
適当な添加剤は、例えば欧州特許第281365号明細書(Nippon Oil & Fats)中に記載されている。
導電のためのモデル:
パーコレーションネットワークが真珠のネックレスのように並べられた、互いに接触する導電性粒子から構成されている場合には、静電防止作用は、最適であるように発揮することができる。それによって、比較的高価なITOの費用−利用−比は、最適化される。同時に、透明度は改善され、被膜の曇りは減少される。それというのも、散乱する粒子の含量は、最少化することができるからである。パーコレーションの限界は、粒子の形態に依存する。球状の一次粒子を前提とする場合には、パーコレーションの限界は、例えばITO 40質量%で達成される。針状のITO粒子を使用する場合には、粒子の十分な接触は、既に濃度が僅かな際に起こる。しかし、針状粒子は、透明度および曇りに対して不利な作用を有するという欠点をもっている。
従って、本発明の課題は、不活性のナノ粒子を使用することによってパーコレーションネットワークの形成に必要とされる、ITOの量を減少させることである。同時に、全体系の透明度は、不活性のナノ粒子の添加下に損傷を受けず、前記系の他の好ましい性質、例えば性質の損失なしの空気酸素下での硬化可能性、高い硬さ、良好な変形可能性、良好な支持体付着力がもたらされる。
実施例においては、ナノ粒子の使用によって、既にITO33%でナノ粒子なしのラッカー中のITO50%の場合と同様の良好な導電率が達成されることが示される。
被覆技術:
被覆するための方法は、ラッカーが薄手の均一な厚さで塗布されうるように選択されなければならない。適した方法は、例えばナイフ塗布(Drahtrakeln)、浸漬、刷毛塗り、ロール塗布および吹き付け塗りである。当業者に公知の方法により、ラッカーの粘度は、湿式被膜中の層厚が場合によっては添加された溶剤の蒸発後に2〜15μmであるように調節されなければならない。薄手の層は、もはや耐引掻性ではなく、ラッカーマトリックスからの金属酸化物粒子の突出によって艶消し効果を示すことができる。厚手の層は、透過率の損失と関連しており、導電性を全くもたらさず、費用の理由から重要ではない。しかし、絶えず機械的負荷によりラッカー表面が摩耗しているために、厚手の層に調節することは、重要である。また、この場合には、層厚は、100μmにまで調節されてよい。この場合には、場合により厚手の層を形成させるためにラッカーの粘度を上昇させなければならない。
硬化:
十分な硬化を達成させるために、光開始剤の種類および濃度を適合させることもできる。場合によっては、ラッカーの十分な表面積および深部硬化(Tiefenhaertung)を得るために、光開始剤を組み合わせることが必要とされる。殊に、金属酸化物粒子での高い充填度の場合、十分な深部硬化を得るために、常用の光開始剤(例えば、Ciba社のIrgacure 1173またはIrgacure 184)と長波長範囲内で吸収する光開始剤(例えば、BASF社のLucirin TPOまたはLucirin TPO-L)との組合せ物が重要である。透明な支持体の場合には、場合によっては被覆された支持体を上側および下側から、転位したUV線での照射によって硬化することは、重要である。必要とされる開始剤濃度は、光開始剤0.5%〜8%、有利に1.0〜5%、特に有利に1.5〜3%である。この場合には、硬化の際に不活性ガスの下でアクリレートに対して0.5〜2%の光開始剤量で十分であり、一方、空気の下での硬化の場合には、2〜8%、有利に4〜6%の量が必要とされる。好ましくは、ラッカー中にできるだけ僅かな分解生成物を有するようにするために、できるだけ僅かな開始剤濃度を使用することは、好ましい。それというのも、この分解生成物は、長時間耐候安定性に不利な影響を及ぼすからである。また、経済的理由から、できるだけ僅かな開始剤量を使用することは、重要である。
また、UV線での硬化に対して選択的に、別のエネルギーに富んだ放射線で被膜を硬化させることも可能である。適当な方法は、電子線での照射である。UV線と比較して前記方法の利点は、厚手の層を良好に硬化させることであり、この方法は、大気酸素の存在で光開始剤なしに急速に硬化させることができる。放射線エネルギーは、層の硬化が十分である場合に支持体の損傷および黄変を生じないように調節されなければならない。
収縮の少ない処方物:
本発明の本質的な視点は、ラッカーの硬化の際に収縮が少ないことである。勿論、放射線硬化の場合に収縮されたUV硬化可能なラッカーは、それによってラッカー表面に不利な影響を及ぼす可能性があり、支持体に対する付着力は、失われうる。一官能価モノマー、二官能価モノマーおよび多官能価モノマーまたは一官能価オリゴマー、二官能価オリゴマーおよび多官能価オリゴマー、無機充填剤およびポリマー充填剤ならびに添加剤の割合を適度に選択することによって、ラッカーの収縮は、最小限度に減少させることができる。重合時に関与する不活性充填剤、例えば金属酸化物、例えばインジウム錫酸化物、二酸化珪素または非反応性ポリマー成分は、前記組成物の全収縮を減少させ、一面で、一価モノマーおよびオリゴマーは、中程度の程度に収縮し、多価アルコールは、収縮に最も大きく貢献する。
収縮が少ない処方物は、例えば多価成分の含量が或る程度の水準を超えないことによって得ることができる。この考え方の場合には、分子量と官能基の数と収縮率との関係に注意しなければならない。低い分数を有する多価成分は、勿論、最も高い収縮率を有し、一方、高い分子量を有する一価成分は、収縮に僅かに貢献するにすぎない。
収縮の少ない処方の例は、次の組成物から明らかである:
例1:
溶剤、例えばエタノールまたはイソプロパノール100部、
ヒドロキシエチルメタクリレート35部、
SiOナノ粒子15部1)
インジウム錫酸化物ナノ粒子50部、
光開始剤2部および
場合によっては他の添加剤。
或る程度の柔軟性を有する、良好に付着する被膜を得ることができる。即ち、例えばそれによって被覆されたPMMAフィルムは、或る程度まで変形可能であるかまたは折り曲げることができる。SiOナノ粒子は、例えばヒドロキシエチルメタクリレート中での無機ナノ粒子のオルガノゾルの形で使用することができ、このオルガノゾルは、Highlink OGの名称でClariant社から販売されている。記載された処方を有する被膜は、機械的に安定であるが、しかし、耐引掻性ではない。この種の被膜の耐引掻性は、オルガノゾルの一部分を二官能価アクリレートまたは多官能価アクリレートによって代替することによって上昇させることができる。耐引掻性の収縮の少ない処方の例は、次の組成物である:
例2:
溶剤、例えばエタノールまたはイソプロパノール100部、
ヒドロキシエチルメタクリレート17.5部、
SiOナノ粒子7.5部1)
ヘキサンジオールジアクリレート25部、
インジウム錫酸化物ナノ粒子50部、
光開始剤2部および
場合によっては他の添加剤。
良好な付着力のための前提条件は、安定剤の特に低い含量を有するオルガノゾルを使用することである。即ち、記載された例の場合には、それぞれ安定剤Tempol(登録商標)または安定剤フェノチアジン100ppmを有するオルガノゾルが使用される。市販の高度に安定化されたオルガノゾルを有するラッカー(フェノチアジン500ppm)とは異なり、良好な付着力(碁盤目試験GT=0)ならびに不活性ガス(窒素)下および大気空気下での良好な付着力を得ることができる。
ラッカー中での安定剤の含量をできるだけ少なくなるように維持するために、選択的にラッカーマトリックス中にナノ粒子を導入するために、有機溶剤中、例えばアルコール中のSiOナノ粒子の安定剤不含のオルガノゾルを使用することもできる。
収縮に対する硬化条件の影響:
収縮は、処方外で適当な硬化条件を選択することによって影響を及ぼされてもよい。比較的に僅かな照射エネルギーでの緩徐の硬化は、有利であり、一方、急速な硬化および大きな照射エネルギーの場合には、よりいっそう大きい収縮が観察される。
好ましい硬化条件は、1〜3m/分の送り速度および窒素雰囲気下での光開始剤2%の含量で120ワット/cmおよびピント調節された放射線を有する、Fusion社の照射器F450を使用する場合である。
ラッカーの耐引掻性:
本発明のもう1つの特徴は、静電防止ラッカーの良好な耐引掻性にある。記載された硬化条件を選択した場合には、僅かな収縮率および良好な付着力を有する耐引掻性の静電防止ラッカーを形成させることができる。
ITO33〜50%を含有する本発明によるラッカーは、前記条件下で摩擦機構CS 10Fを備えかつ100回転で5.4Nの重りの負荷を有するテーバー磨耗試験機上での試験により、前記条件下で2%未満のデルタヘイズ(Delta Haze)の耐引掻性が達成される。
ラッカーの耐化学薬品性
本発明によるラッカーは、短い作用時間で化学薬品、例えば無機酸およびアルカリ液、多数の有機溶剤、例えばエステル、ケトン、アルコール、芳香族溶剤に対して良好な安定性を有する。本発明によるラッカーで被覆されたプラスチック成形体は、例えば必要な場合には、前記溶剤で清浄化されていてよい。
耐候安定性および処方:
安定剤貧有の配合物を使用する特殊な利点は、大気空気下で硬化させることができ、それによって不活性化(不活性ガス使用のための装置的費用および運転費用)のための費用を減らすことができる。更に、利点は、比較的少量の光開始剤で既に良好な硬化を達成させることができることである。実施例中に記載された配合物ならびにSiOナノ粒子が全く使用されておらずかつオルガノゾルの代わりに一官能価モノマーもしくは多官能価モノマーまたはこれらの混合物が使用されているような配合物は、光開始剤、例えばIrgacure 184、Irgacure 1173、Irgacure 907またはこれらの混合物それぞれ2%を用いて耐引掻性で耐候性の配合物に硬化させることができる。
例3:
溶剤、例えばエタノールまたはイソプロパノール100部、
ペンタエリトリットトリテトラアクリレート40部、
ヘキサンジオールジアクリレート60部、
インジウム錫酸化物ナノ粒子50部、
SiOナノ粒子5部、
光開始剤2部および
場合によっては他の添加剤。
例4:
例3と同様ではあるが、しかし、次のものを含む:
PLEX 8770(濃稠化剤) 5部、
ペンタエリトリットトリテトラアクリレート20部、
ヘキサンジオールジアクリレート 75部。
先に記載された配合物には、耐候性を高めるために、なおUV保護剤が添加されてもよい。この場合には、UV保護剤は、放射線硬化を阻止しないようにすることに注意すべきである。
本発明の1つの好ましい実施態様においては、電子線で硬化される。それによって、UV吸収剤とUV光との間の不利な相互作用が発生することは、阻止される。
UV灯を放射源として使用する場合には、例えば長波長のUV光は、スペクトルの長波長範囲内でかまたはスペクトルの可視光線範囲内で使用される光開始剤との組合せで使用されることができる。UV吸収剤は、放射線硬化にとって十分な量のエネルギーに富んだ光がラッカー中に到達するようにするために、光開始剤の吸収範囲内で完全には吸収してはならない。
常用のUV灯、例えばシステムフュージョン(System Fusion)またはIST放射線技術を用いて作業する場合には、光開始剤を励起させるためのUV線を透過させる吸収範囲内で十分な大きさの窓を提供するUV吸収剤を使用することができる。適当なUV吸収剤は、Norbloc 7966、Tinuvin 1130である。
前記方法の組合せ、殊に微少量の光開始剤の使用によって、できるだけ耐湿潤性で長持ちする被膜を形成させることができる。微少量の光開始剤は、僅かな含量の分解生成物を必要とし、それによって、光開始剤の移動に対する攻撃個所は、殆んど生じない。従って、記載されたラッカーは、5000時間に亘る、人造の急速耐候試験(Bewitterungsschnelltest)(DIN No.によるXeno試験)での付着力、耐引掻性および良好な透過率なしという悪い結果を凌駕する。
プラスチック成形体は、窓ガラスまたは窓ガラス部材として、ハウジングのため、医学領域、生物学的領域またはマイクロエレクトロニクス領域内での純粋空間の装備のため、機械被覆のため、インキュベーターのため、ディスプレイのため、テレビのスクリーンおよびテレビのスクリーン被覆のため、バックプロジェクションスクリーン(Rueckprojektionsschirme)のため、医学的装置のため、および遮閉物として電化製品のために使用されてよい。
他の使用
また、静電防止被膜は、透明な使用以外に、非透明の支持体に使用されてもよい。例は、次の通りである:静電性を備えたプラスチック床板、一般に支持体上、例えば木材、紙装飾物上への耐引掻性の静電防止フィルムの貼り合わせ品。もう1つの使用は、電子線の下での硬化を伴う装飾紙の被覆である。
PCSによる粒径測定(超音波による)
1.試薬
蒸留されたかまたは完全脱塩された水、pH5.5を上廻る
2.機器
回転数測定器を備えた実験室用ディスソルバーLR34、Pendraulik社, 31832 Springe 1 分散ディスク、直径40mm、
超音波プロセッサUP 400S、Dr. Hielscher社, 70184 Stuttgart チタンからなるSonotrode H7、直径7mm、
粒径分析器HORIBA LB-500、Retsch Technology社, 42781 Haan アクリル製使い捨てキュベット1.5mlを装備、
計量供給装置 Hoechst, 識別番号22926、内容量250ml、DD−PE、性質0/0021、Hoechst AG社、
部門EK-Verpackung V, Brueningstr. 64, 65929 Frankfurt-Hoechst
計量供給装置のための蓋、250ml、識別番号22918、
パスツールピペット、3.5ml、150ml長さ、注文番号1-6151、
精密計量器(読取り可能性0.01g)。
3.1%の分散液の製造
粉末試料(約10〜100g)を貯蔵容器中で手で振盪することによって(30秒間)均質化する。脱気のために、この試料を少なくとも10分間放置する。
この粉末を精密計量器(読取り可能性0.01g)上で秤量する。この粉末1g(+/−0.02g)をPE−計量供給装置中に充填し、水道水で100g(+/−0.02g)になるまで満たす。
試料の分散
前記試料を実験室用ディスソルバーを用いて5分間、2000r.p.m.で蓋をしたポリ容器中で前分散させ、引続き4分間、超音波で80%の振幅およびサイクル=1で分散させる。
4.粒子分布の測定
理論:当該試験法には、光子相関分光分析法(PCS、”動的光散乱”)を用いて粒径分布を測定することが記載されている。この方法は、粒子およびその凝集物をサブミクロン範囲内で測定するのに特に好適である(10nm〜3μm)。使用される機器HORIBA LB-500は、後方散乱光学系を使用しており、この場合この後方散乱光学系は、1回の散乱と多重散乱との割合を殆んど一定にし、したがって無視することができる。また、この理由から、高い濃度を有する分散液を測定することもでき、この場合には、間違った測定を行なうことがない。粒径分布の正確な測定のために、次のパラメーターは、公知であるはずである:
分散液の温度:粒子の自由運動をだめにする、キュベット中での対流運動を排除するために、一定の温度は、重要である。HORIBA LB-500は、キュベット中の温度を測定し、この測定された温度を評価の際に考慮する。
分散媒対の粘度:希釈された系の場合には、重要ではない。それというのも、純粋な溶剤の例えば25℃での粘度は、十分に公知であるからである。更に、高い濃度に関連して、分散液の濃度が液相(多くの場合に水)を上廻ることは、問題である。それというのも、この場合には、粒子の運動は、制限されているからである。この理由から、測定は、多くの場合に約1%の固体濃度で実施される。
粒子および分散媒体の屈折率:この記載は、固体および溶剤の大部分についてHORIBAのソフトウェアでリストアップされている。
分散液は、沈殿に対して安定性でなければならない。キュベット中での沈殿は、粒子の付加的な運動を発生させるだけでなく、この沈殿によって、散乱光の強さは、測定中に変化する。更に、それによって、分散液は、キュベットの底部に捕集する大きな粒子の含量を少なくする。
測定:測定装置は、コンピュータープログラムにより制御され、この場合このコンピュータープログラムは、測定信号の評価を行ない、測定結果の蓄積および表現を可能にする。
全ての測定/測定順序の前に、ソフトウェアで次の調整を行なわなければならない:
粒子および媒体の屈折率の入力、
分散媒体の粘度の入力、
試料についての名称および注釈
ディスソルバーおよび超音波で分散された試料を、パスツールピペットを用いてアクリルガラス製使い捨てキュベット1.5ml中に移す。このアクリルガラス製使い捨てキュベットをPCS機器の測定室中に差し込み、温度センサーを上方から分散液中に導入し、ソフトウェアを用いての測定を開始する(キー”測定”)。20秒間の待ち時間の後に、”測定表示”のウィンドウを開き、全部で3秒間、実際の粒子分布を表示する。測定表示のウィンドウ内の測定キーを再び押すことにより、固有の測定を開始する。前調節に応じて、多種多様な測定結果(例えば、d50、d10、d90、標準偏差)を有する粒径分布を30〜60秒後に表示する。d50値が強く変動する場合(例えば、150nm+/−20%;これは、極めて幅広い分布の際に起こりうる)には、約6〜8回の測定を実施し、他の場合には、3〜4回で十分である。
5.d50値の記載
測定された全てのd50値の平均値(小数の位なしに)は、明らかな異常値を除いてnmで記載される。

Claims (6)

  1. プラスチックからなる成形体を製造する方法において、成形体を1つの側または多数の側で、
    a)結合剤または結合剤混合物、
    b)場合によっては溶剤または溶剤混合物、
    c)場合によってはラッカー系で常用の他の添加剤および
    d)場合によっては濃稠化剤、この場合には、それぞれ乾燥被膜に対して0〜20%の含有量を有するポリマーの濃稠化剤および0〜40%の含有量を有するオリゴマーの濃稠化剤を使用することができ(成分a、c、d、e)、
    e)1〜80nmの平均一次粒径および0.01%〜99%の凝集度を有する、a)に対して5〜500質量部の導電性の金属酸化物粉末、
    f)a)に対して5〜500質量部の不活性のAl 2 3 ナノ粒子およびSiO 2 ナノ粒子からなるラッカー系で自体公知の方法で被覆し、ラッカーを硬化させることを特徴とする、プラスチックからなる成形体を製造する方法。
  2. ラッカー(a)〜c))は、5〜500mPa.sの粘度を有する(ブルックフィールド粘度計LVTで測定した)、請求項1記載の方法。
  3. ラッカー系(請求項1記載の成分a)〜e))は、150〜5000mPa.sの粘度を有する、請求項1記載の方法。
  4. 導電性粒子としてITOおよび/またはアンチモン錫オキシドATOおよび/またはドープされたITOからなる混合物を使用する、請求項1記載の方法。
  5. 請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法により得ることができるプラスチック成形体において、該プラスチック成形体がPMMA、PC、PET、PET−G、PE、PVC、ABSまたはPPからなることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法により得ることができるプラスチック成形体。
  6. 窓ガラスとして、ハウジングのため、クリーンルームの装備のため、機械の被覆のため、インキュベータのため、ディスプレイのため、テレビのスクリーンおよびテレビのスクリーン用被覆のため、バックプロジェクションスクリーンのため、医療装置のためおよび電化製品のための請求項記載のプラスチック成形体の使用。
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