JP2006124572A - 活性エネルギー線硬化性導電膜形成用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ITO粉末を用いた塗工法により、塗布に適した流動性を示し、紫外線、電子線などの活性エネルギー線の照射により容易に硬化し、耐熱性の低い樹脂基板や多様な形状の基板にも適用でき、耐湿性、導電性、透明性等の特性が十分に満足できる透明導電膜を形成することができる活性エネルギー線硬化性導電膜形成組成物を提供すること。
【解決手段】酸性官能基を有しないアクリレート又はメタクリレート化合物を含む活性エネルギー線硬化性バインダー成分、エチルアルコール、及び錫を含有する酸化インジウム粉末を必須成分とする、活性エネルギー線硬化性導電膜形成用組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】酸性官能基を有しないアクリレート又はメタクリレート化合物を含む活性エネルギー線硬化性バインダー成分、エチルアルコール、及び錫を含有する酸化インジウム粉末を必須成分とする、活性エネルギー線硬化性導電膜形成用組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は活性エネルギー線硬化性導電膜形成組成物に関し、より詳しくは、ITO粉末を用いた塗工法により、塗布に適した流動性を示し、紫外線、電子線などの活性エネルギー線の照射により容易に硬化し、耐熱性の低い樹脂基板や多様な形状の基板にも適用でき、耐湿性、導電性、透明性等の特性が十分に満足できる透明導電膜を形成することができ、電子写真記録、透明電極、帯電防止、熱線反射、面発熱体等の分野で利用できる活性エネルギー線硬化性導電膜形成組成物に関する。
酸化物半導体透明膜は、一般に可視光に対して高い透過率を示し、低抵抗でかつ膜強度が強いために、液晶ディスプレイなどの透明電極や太陽電池の窓材料、熱線反射膜、帯電防止膜など多方面に利用されている。このような酸化物半導体の代表例として、錫を含有する酸化インジウム(以下、ITOともいう)を挙げることができる。
従来の透明導電膜の成膜方法としては、絶縁体上に金属又は無機物(特にITO又は類似の半導体性金属酸化物)を真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの気相法により堆積させる方法、ITO粉末をバインダー(結合剤)である樹脂溶液中に分散させた分散液を塗料又はインクとして塗布又は印刷する塗工法等が知られている。
蒸着やスパッタリングなどの気相法は、従来より最も広く用いられている透明導電膜の形成方法であるが、形状が一様でない基板に対しては均一な皮膜の形成が困難である上、成膜後にエッチング法により回路を描く場合には、基板に付着したITOの大半が取り除かれるという材料の無駄、さらには成膜装置の設備費が高価であるという欠点もある。
一方、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明性に優れた樹脂の溶液中に導電性微粒子を分散させて塗料化し、これを基板に塗布し、樹脂を硬化させて透明導電膜を形成する塗工法は、設備が簡単で生産性に優れ、大面積の膜も容易に形成できる点では有利である。また、この方法はITO粉末を用いる塗工法にも容易に適用できる。
しかし、このような塗工法で得られる膜は耐湿性に劣り、膜硬度が低く、ヘーズが高くなる等の問題がある。そのため、透明性、導電性、耐湿性等のすべての特性が実用目的に必要な水準に達している透明導電膜をこのような塗工法で得ることは困難であった。
本発明の目的は、ITO粉末を用いた塗工法により、塗布に適した流動性を示し、紫外線、電子線などの活性エネルギー線の照射により容易に硬化し、耐熱性の低い樹脂基板や多様な形状の基板にも適用でき、耐湿性、導電性、透明性等の特性が十分に満足できる透明導電膜を形成することができる活性エネルギー線硬化性導電膜形成組成物を提供することにある。
本発明者らは、ITO粉末を各種のバインダーと組み合わせて塗料化し、上記目的を達成できる組成物について探究した結果、酸性官能基を有しないアクリレート又はメタクリレート化合物を含有する活性エネルギー線硬化性バインダーが最適であること、また溶媒としてエチルアルコールを用いる必要があることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の活性エネルギー線硬化性導電膜形成組成物は、酸性官能基を有しないアクリレート又はメタクリレート化合物を含む活性エネルギー線硬化性バインダー成分、エチルアルコール、及び錫を含有する酸化インジウム粉末を必須成分とすることを特徴とする。
本発明の導電膜形成組成物は、塗料又はインクとして基板に塗布又は印刷した後、活性エネルギー線の照射により基板上に透明導電膜を形成することができる。従って、比較的耐熱性の低い樹脂基板や多様な形状の基板にも適用でき、透明導電膜を連続的に大量生産でき、また大面積化も容易である。得られた透明導電膜については、成膜条件を調整することにより、表面抵抗値を105Ω/□以下、光透過率を85%以上、ヘーズを2%以下に設定でき、透明性、導電性、耐湿性のいずれも良好である。従って、本発明の導電膜形成用組成物は、液晶などの透明電極や、太陽電池の窓材料、赤外線反射膜、帯電防止膜、タッチパネル、面発熱体、電子写真記録など広範囲な分野に利用可能であり、各分野において優れた性能を示すことができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性導電膜形成組成物で用いる活性エネルギー線硬化性バインダー成分は酸性官能基を有しないアクリレート又はメタクリレート化合物を含む。以下の記載においては、このアクリレート化合物とメタクリレート化合物を総称して(メタ)アクリレートと記載する。本発明においては、バインダーとは、ITO粉末を結合して導電膜を形成する成分を意味する。
酸性官能基を有しない(メタ)アクリレートとして、ラジカル重合性モノマー及び/又はオリゴマーを挙げることができる。ラジカル重合性モノマーは、ラジカル重合性の不飽和基(α,β−エチレン性不飽和基)を有しているモノマーであればよく、アミノ基等の塩基性官能基を有するもの、OH基などの中性官能基を有するもの、或いはこのような官能基を有していないもの、のいずれでもよい。
このようなラジカル重合性モノマーの具体例として、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、アリルアルコール等の(メタ)アクリレート以外のラジカル重合性モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、アリルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の三官能以上の(メタ)アクリレートを挙げることができる。
ラジカル重合性オリゴマーの具体例として、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、オリゴ(メタ)アクリレート、アルキド(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個有するプレポリマーを挙げることができる。特に好ましいラジカル重合性オリゴマーは、ポリエステル、エポキシ、ポリウレタンの各(メタ)アクリレートである。
本発明の導電膜形成組成物を活性エネルギー線硬化型とするために、組成物中に重合開始剤(光増感剤)を添加することが望ましい。それにより、少量の活性エネルギー線の照射で組成物を硬化させることができる。但し、本発明の組成物は熱硬化させることもできるので、熱硬化型として使用する場合には、光増感剤に変えて適当なラジカル重合開始剤(例えば、アゾビスイソブチロニトリル)を配合してもよい。
活性エネルギー線硬化型とするために用いる重合開始剤として、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、p−クロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルサルファイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1を挙げることができる。重合開始剤は1種もしくは2種以上を使用することができる。重合開始剤の配合量は、バインダー成分100質量部に対して好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部の範囲内である。
さらに、本発明の導電膜形成組成物には、その目的を損なわない範囲で、上記以外の慣用の各種添加剤を配合してもよい。このような添加剤の例として、重合禁止剤、硬化触媒、酸化防止剤、レベリング剤等を挙げることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性導電膜形成組成物においては、耐水性、光透過率及びヘーズに優れた硬化膜を形成するために溶媒としてエチルアルコールを用いることが必須である。エチルアルコールはITO粉末との親和性が高いため、酸性官能基含有バインダーを使用することなくなしで分散させることができ、耐水性向上につながった。エチルアルコールの配合量としては、導電膜形成組成物中に30質量%以上含有することが好ましく、それ以下の配合量では、本発明の導電膜形成組成物中にITO粉末が均一に分散しにくいので好ましくない。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性導電膜形成組成物においては、上記のエチルアルコールに加えて、必要に応じて、他の有機溶媒を併用することができる。そのような有機溶媒としては、上記バインダー成分との相溶性が良好なものが好ましく、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、アセチルアセトンなどのケトン類、1−ブタノール、2−プロパノールなどのアルコール類、セロソルブ類、酢酸エステル類、エーテル類、芳香族炭化水素類などを単独で、或いは2種以上の混合溶媒として使用することができる。そのような有機溶媒の使用量は、ITO粉末を分散させて最終的に得られる組成物の粘性が、塗布又は印刷に適したものとなるように調整する。本発明の活性エネルギー線硬化性導電膜形成組成物においては粘度が2〜5000cps(E型粘度計)の範囲内にあることが好ましい。
本発明で用いるITO粉末としては市販品を利用してもよく、或いは公知の方法(例えば、錫とインジウムの各塩化物が溶解した酸性溶液をアルカリで中和して錫/インジウムの水酸化物を共沈させ、この共沈物を焼成する)で製造することもできる。ITO粉末は、Inに対するSnの含有量が1〜15モル%の範囲内のものが導電性が高いことから好ましい。Sn含有量がこの範囲を外れると、ITO粉末自体の抵抗が高くなるため、形成された膜の導電性が低下する傾向にある。
また、ITO粉末は平均一次粒子径が0.2μm以下の超微粒子であることが好ましい。粒子径が0.2μm以下では透明膜が得られるが、それ以上になると透明性が低下するからである。しかし、透明性が重要でない用途に対しては、0.2μmより大粒径のITO粉末も使用できる。
本発明の活性エネルギー線硬化性導電膜形成組成物においては、ITO粉末と活性エネルギー線硬化性バインダー成分との質量比(ITO粉末/バインダー成分)は、好ましくは20/80〜90/10の範囲内、より好ましくは30/70〜80/20の範囲内である。ITO粉末の量が上記質量比で20/80より少ないと、得られた膜の透明性は十分であっても、導電性が悪くなる傾向がある。逆に、ITO粉末が上記質量比で90/10より多いと、粉末の分散性が悪くなり、得られた導電膜の透明性、基板への密着性及び塗膜硬度が低くなり、膜性能が低下する傾向にある。
本発明の活性エネルギー線硬化性導電膜形成組成物は、例えば、上記のバインダー成分にエチルアルコールを加えて希釈したバインダー溶液中にITO粉末を分散させることにより製造することが出来る。ITO粉末の分散は、常法により、ペイントシェーカー、ボールミル、サンドミル、セントリミル、三本ロール等によって行うことができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性導電膜形成組成物を塗布して透明導電膜を形成する基板としては、電気・電子機器をはじめとして様々な分野において広く用いられている各種の合成樹脂、ガラス、セラミックス等を挙げることができ、これらはシート状、フィルム状、板状等の任意の形状であり得る。合成樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びフェノール樹脂等を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
本発明の活性エネルギー線硬化性導電膜形成組成物の基板への塗布又は印刷は常法により、例えば、ロールコート、スピンコート、スクリーン印刷などの手法で行うことができる。その後、必要により加熱して溶媒を蒸発させ、塗膜を乾燥させる。次いで、活性エネルギー線(紫外線又は電子線)を照射する。活性エネルギー線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー、色素レーザーなどの紫外線源、ならびに電子線加速装置を使用することができる。活性エネルギー線の照射量は、紫外線の場合には50〜3000mJ/cm2、電子線の場合には0.2〜1000μC/cm2の範囲内が適当である。この活性エネルギー線の照射により、上記バインダー成分が重合し、ITO粉末が樹脂で結合された透明導電膜が形成される。この透明導電膜の膜厚は一般的に0.5〜5.0μmの範囲内であることが好ましい。
基板上に本発明の組成物から形成された透明導電膜は、電子写真記録の埃防止膜として、或いは透明電極、帯電防止膜、熱線反射膜、面発熱体、タッチパネル等として利用可能である。
以下に、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。実施例及び比較例で使用したITO粉末はいずれもInに対するSnの含有量が5.0モル%であり、平均一次粒子径が0.05μmの粉末であった。また、実施例及び比較例において「部」は全て「質量部」である。
実施例1
トリメチロールプロパントリアクリレート20部及びポリエステルアクリレート10部からなるバインダー成分を、ITO粉末70部、エチルアルコール150部及びガラスビーズ250部とともに容器に入れ、ペイントシェカーで、粒ゲージにより分散状態を確認しながら、5時間練合した。練合後、光開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1を3部加え、完全に溶解させた後、ガラスビーズを取り除いて粘稠な液状物を得た。その後、バーコーターを用いてその粘稠な液状物を膜厚100μmのPETフィルム上に塗布し、有機溶媒を蒸発させた後、高圧水銀灯にて500mJ/cm2の紫外線を照射し、厚み2μmの透明硬化被膜を作製した。
トリメチロールプロパントリアクリレート20部及びポリエステルアクリレート10部からなるバインダー成分を、ITO粉末70部、エチルアルコール150部及びガラスビーズ250部とともに容器に入れ、ペイントシェカーで、粒ゲージにより分散状態を確認しながら、5時間練合した。練合後、光開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1を3部加え、完全に溶解させた後、ガラスビーズを取り除いて粘稠な液状物を得た。その後、バーコーターを用いてその粘稠な液状物を膜厚100μmのPETフィルム上に塗布し、有機溶媒を蒸発させた後、高圧水銀灯にて500mJ/cm2の紫外線を照射し、厚み2μmの透明硬化被膜を作製した。
実施例2
トリメチロールプロパントリアクリレート60部及びポリエステルアクリレート10部からなるバインダー成分を、ITO粉末30部、エチルアルコール100部及びガラスビーズ250部とともに容器に入れ、ペイントシェカーで、粒ゲージにより分散状態を確認しながら、5時間練合した。練合後、実施例1と同様にして、厚み2μmの透明硬化被膜を作製した。
トリメチロールプロパントリアクリレート60部及びポリエステルアクリレート10部からなるバインダー成分を、ITO粉末30部、エチルアルコール100部及びガラスビーズ250部とともに容器に入れ、ペイントシェカーで、粒ゲージにより分散状態を確認しながら、5時間練合した。練合後、実施例1と同様にして、厚み2μmの透明硬化被膜を作製した。
比較例1
トリメチロールプロパントリアクリレート40部及びポリエステルアクリレート10部からなるバインダー成分を、ITO粉末50部、メチルエチルケトン(MEK)150部及びガラスビーズ250部とともに容器に入れ、ペイントシェカーで、粒ゲージにより分散状態を確認しながら、5時間練合した。練合後、実施例1と同様にして、厚み2μmの透明硬化被膜を作製した。
トリメチロールプロパントリアクリレート40部及びポリエステルアクリレート10部からなるバインダー成分を、ITO粉末50部、メチルエチルケトン(MEK)150部及びガラスビーズ250部とともに容器に入れ、ペイントシェカーで、粒ゲージにより分散状態を確認しながら、5時間練合した。練合後、実施例1と同様にして、厚み2μmの透明硬化被膜を作製した。
比較例2
酸性官能基含有メタアクリレートであるモノ(2−メタクリロイルポリエチレンオキサイド)アシッドフォスフェート(ホスマーPE、ユニケミカル株式会社製商品名)7.5部、トリメチロールプロパントリアクリレート12.5部及びポリエステルアクリレート10部からなるバインダー成分を、ITO粉末70部、エチルアルコール150部及びガラスビーズ250部とともに容器に入れ、ペイントシェカーで、粒ゲージにより分散状態を確認しながら、5時間練合した。練合後、実施例1と同様にして、厚み2μmの透明硬化被膜を作製した。
酸性官能基含有メタアクリレートであるモノ(2−メタクリロイルポリエチレンオキサイド)アシッドフォスフェート(ホスマーPE、ユニケミカル株式会社製商品名)7.5部、トリメチロールプロパントリアクリレート12.5部及びポリエステルアクリレート10部からなるバインダー成分を、ITO粉末70部、エチルアルコール150部及びガラスビーズ250部とともに容器に入れ、ペイントシェカーで、粒ゲージにより分散状態を確認しながら、5時間練合した。練合後、実施例1と同様にして、厚み2μmの透明硬化被膜を作製した。
実施例1〜2及び比較例1〜2で得た透明硬化被膜について、その全線透過率及びヘーズを東京電色技術センター製TC−HIII DPKで測定し、表面抵抗値を三菱化学(株)製のハイレスタIP MCP−HT260表面抵抗器で測定した。そして、膜の表面硬度をJIS C 3003に従い、鉛筆硬度として測定し、耐湿性を温度60℃、湿度95%の条件下に1000時間被膜を放置した際の全線透過率及びヘーズの変化によって評価した。それらの測定結果を第1表にまとめて示す。
第1表に示すデータから明らかなように、本発明に従って、酸性官能基を有しない(メタ)アクリレート化合物及びエチルアルコールを含んでいる導電膜形成用組成物(実施例1〜2)を塗布して活性エネルギー線で硬化させた場合には、表面抵抗値が105Ω/□以下であり、光透過率が85%以上であり、ヘーズが2%以下であり、耐湿性、透明性、導電性のいずれにも優れた透明導電膜が得られた。
これに対し、比較例1に示すように、溶媒にMEKを用いると、導電性、透明性、ヘーズがいずれも大きく低下し、また、被膜硬度も低かった。また、比較例2に示すように、酸性官能基含有(メタ)アクリレート化合物を含有すると、耐湿試験後に膜は白化し、透明性は低下し、ヘーズは増加した。
Claims (3)
- 酸性官能基を有しないアクリレート又はメタクリレート化合物を含む活性エネルギー線硬化性バインダー成分、エチルアルコール、及び錫を含有する酸化インジウム粉末を必須成分とすることを特徴とする活性エネルギー線硬化性導電膜形成用組成物。
- 錫を含有する酸化インジウム粉末が、Inに対するSnの含有量が1〜15モル%であり、平均一次粒子径が0.2μm以下のものである請求項1記載の導電膜形成用組成物。
- 錫を含有する酸化インジウム粉末/バインダー成分の質量比が20/80〜90/10の範囲にある請求項1又は2記載の導電膜形成用組成物。
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