JP2007007965A - 帯電防止用積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材表面に、アルミニウム含有酸化亜鉛粒子、特定の分散剤、多官能(メタ)アクリレート、光重合開始剤及び溶剤を含有する液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜層を形成させた積層体。さらに、特定のエチレン性不飽和基含有物フッ素重合体と、シリカ粒子を含む硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる低屈折率膜を組み合わせることにより、反射防止積層体の耐擦傷性、及び耐汚染性が改善される。
【選択図】なし
Description
また、光学物品に反射防止機能を付与するために、光学物品の表面に、低屈折率層と高屈折率層との多層構造(反射防止膜)を形成することが行われている。
近年、情報通信機器の発達と汎用化は目覚しいものがあり、ハードコート、帯電防止膜、反射防止膜等のさらなる性能向上及び生産性の向上が要請されるに至っている。
これらの要求に対して、生産性が高く、常温で硬化できることに注目し、放射線硬化性の材料が種々提案されている。
これら表示パネルにおいては、付着した指紋、埃等を除去するため表面をエタノール等を含侵したガーゼで拭くことが多く、耐擦傷性が求められている。また、付着した指紋、埃等が容易に拭き取れる耐汚染性も求められている。
特に、液晶表示パネルにおいては、反射防止膜は、偏光板と貼り合わせた状態で液晶ユニット上に設けられている。また、基材としては、例えば、トリアセチルセルロース等が用いられているが、このような基材を用いた反射防止膜では、偏光板と貼り合わせる際の密着性を増すために、通常、アルカリ水溶液でケン化を行う必要がある。
従って、液晶表示パネルの用途においては、耐久性において、特に、耐アルカリ性に優れた反射防止膜が求められている。
しかし、このようなフッ素樹脂系塗料では、塗膜を硬化させるために、水酸基含有含フッ素重合体と、メラミン樹脂等の硬化剤とを、酸触媒下、加熱して架橋させる必要があり、加熱条件によっては、硬化時間が過度に長くなり、使用できる基材の種類が限定されてしまうという問題があった。
また、得られた塗膜についても、耐候性には優れているものの、耐擦傷性や耐久性に乏しいという問題があった。
このため、このような重合体を含む塗料用組成物は、低温、短時間での硬化を可能とするものの、残存した水酸基を反応させるために、メラミン樹脂等の硬化剤をさらに用いて硬化させる必要があった。さらに、上記公報で得られた塗膜は、塗工性、耐擦傷性についても十分とはいえないという課題があった。
本発明は、さらに、耐擦傷性及び耐汚染性に優れた反射防止積層体を提供することを目的とする。
さらに、特定のエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体とシリカ粒子を含む硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる低屈折率膜を組み合わせることにより、反射防止積層体の耐擦傷性及び耐汚染性が改善されることを見出し、本発明を完成させた。
[1]基材と、
下記成分(A)及び(D)を含有する層と、
を有する積層体。
(A)アルミニウム含有酸化亜鉛粒子、
(D)下記式(1)又は(2)で表される化合物
[2]前記層が、(A)アルミニウム含有酸化亜鉛粒子を60〜85重量%含有する上記[1]に記載の積層体。
[3]さらに、基材上に、下記成分(F)及び(G):
(F)1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、
水酸基含有含フッ素重合体と、
を反応させて得られるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、
(G)シリカを主成分とする粒子、
を含む硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、589nmにおける屈折率が1.30〜1.45の層(以下、低屈折率層と称す場合がある)を有する上記[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]前記水酸基含有含フッ素重合体が、下記構造単位(a)〜(c)の合計を100モル%としたとき、(a)20〜70モル%、(b)10〜70モル%及び(c)5〜70モル%を含む上記[3]に記載の積層体。
(a)下記式(11)で表される構造単位
(b)下記式(12)で表される構造単位
(c)下記式(13)で表される構造単位
[5]前記成分(G)が、
下記式(22)で表されるケイ素化合物及び下記式(23)で表されるケイ素化合物の合計を100モル%としたとき、式(22)で表されるケイ素化合物67〜99モル%及び式(23)で表されるケイ素化合物33〜1モル%の加水分解物及び/又は加水分解縮合物からなり、平均粒径が5〜50nmである多孔質シリカ粒子(G1)
SiX4 ・・・(22)
R29 jSiX4−j ・・・(23)
(Xはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、イソシアネート基、炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基又は炭素数1〜4のアルキルアミノ基を示す。R29は炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数4〜8のアクリロキシアルキル基又は炭素数5〜8のメタクリロキシアルキル基、jは1〜3の整数を示す。尚、式(22)のX及び式(23)のXは、同一であっても異なっていてもよい。)
である上記[3]又は[4]に記載の積層体。
[6]前記成分(G)が、
下記式(22)で表されるケイ素化合物、下記式(23)で表されるケイ素化合物及び下記式(24)で表されるケイ素化合物の合計を100モル%としたとき、式(22)で表されるケイ素化合物60〜98モル%、式(23)で表されるケイ素化合物1〜30モル%、及び式(24)で表されるケイ素化合物1〜20モル%の加水分解物及び/又は加水分解縮合物からなり、平均粒径が5〜50nmである多孔質シリカ粒子(G2)
SiX4 ・・・(22)
R29 jSiX4−j ・・・(23)
R30 kSiX4−k ・・・(24)
(Xはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、イソシアネート基、炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基又は炭素数1〜4のアルキルアミノ基を示す。R29は炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数4〜8のアクリロキシアルキル基又は炭素数5〜8のメタクリロキシアルキル基、jは1〜3の整数を示す。R30は炭素数1〜12のフッ素置換アルキル基、kは1〜3の整数を示す。尚、式(22)のX、式(23)のX及び式(24)のXは、同一であっても異なっていてもよい。)
である上記[3]又は[4]に記載の積層体。
[7]さらに、基材上に、ハードコート層が形成されている上記[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8]表面抵抗値が1×1012Ω/□以下である上記[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
[9]基材上に、下記成分(A)〜(E)を含有する液状硬化性組成物を塗布し、放射線を照射することによって、該組成物を硬化して得られる硬化膜層を形成する工程を含む積層体の製造方法。
[液状硬化性組成物]
(A)アルミニウム含有酸化亜鉛粒子
(B)分子内に3以上の重合性不飽和基を有する化合物
(C)光重合開始剤
(D)下記式(1)又は(2)
(E)溶剤
従来、十分な導電性を得るには錫含有酸化インジウム(ITO)等の導電性粒子を高含有量で配合する必要があったが、透明性に劣るため0.1μm程度の膜厚でしか使用できなかったが、本発明によれば、酸化亜鉛を導電性粒子として用い、高透明かつ充分な導電性を発現させることができ、帯電防止性能に優れた硬化膜を有する帯電防止用積層体を得ることができる。
また、本発明によれば、アルミニウム含有酸化亜鉛粒子の含有量が多くても、硬化膜の透明性と充分な表面抵抗値を両立させることができ、帯電防止機能を有する光学用部品、特に帯電防止機能を有する反射防止膜として有用である。
さらに、特定の構成を有する低屈折率層を形成することにより、耐擦傷性及び耐汚染性に優れた反射防止積層体を得ることができる。
本発明の積層体は、少なくとも、基材と、(A)アルミニウム含有酸化亜鉛粒子及び(D)特定の化合物を含有する硬化膜層と、を有することを特徴とする。
上記硬化膜層は、下記成分(A)〜(E)を含有する液状硬化性組成物を硬化させることによって形成することができる。
[液状硬化性組成物]
(A)アルミニウム含有酸化亜鉛粒子
(B)分子内に3以上の重合性不飽和基を有する化合物
(C)光重合開始剤
(D)特定の化合物
(E)溶剤
(F)1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、水酸基含有含フッ素重合体と、をイソシアネート基/水酸基のモル比が1.1〜1.9の割合で反応させて得られるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
(G)シリカ粒子
本発明の積層体の最も基本的な構成を図1に示す。本発明の積層体1は、基材10及び前記液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜層12を有する。
本発明の積層体は、少なくとも基材10及び硬化膜層12を有していればよく、目的に応じて種々の層を設けてもよい。目的に応じて設けられる層については、後述する。
また、本発明の積層体1は、フィルム状、板状、又はレンズ等の各種形状の基材上に優れた帯電防止機能を有する硬化膜層12が配設されていることにより帯電防止用積層体として有用である。
本発明の積層体の基材上に設けられる硬化膜層は、下記液状硬化性組成物(以下、単に「組成物」又は「帯電防止層形成用組成物」ということがある)を硬化させて得られ、積層体に導電性、高屈折率膜としての機能及び/又はハードコートとしての機能を付与することができる。
(A)アルミニウム含有酸化亜鉛粒子
アルミニウム含有酸化亜鉛粒子の一次粒径は、通常、5nm〜100nmのものを使用できる。また、結晶構造も特に限定されないが、単斜晶系等を使用できる。アルミニウム含有酸化亜鉛粒子の一次粒径は、例えば、透過型電子顕微鏡観察による数平均粒径として測定することができる。粒子が球形でない場合は、長軸と短軸の平均を粒径とし、長軸/短軸の比が2以上の場合は短軸を粒径とする。
このようなアルミニウム含有酸化亜鉛粒子の市販品としては、ハクスイテック(株)製 商品名:パゼットAB、パゼットAK、パゼットCK、堺化学工業(株)製 商品名:SC−18等が挙げられる。
−X−C(=Y)NH− (3)
(式(3)中、Xは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Yは、O又はSを示す。)
に示す基を有する化合物(以下、「特定有機化合物」という。)と反応させることにより行うことができる。尚、この化合物は、分子内にシラノ−ル基又は加水分解によってシラノ−ル基を生成する基を有する化合物であることが好ましい。
本発明に用いられる成分(B)は、得られる液状硬化性組成物を硬化させて得られる硬化被膜に優れた成膜性、透明性を付与する成分であり、分子内に3以上の重合性不飽和基を有する化合物である。このような成分(B)を用いることにより、優れた耐擦傷性、有機溶剤耐性を有する硬化物が得られる。
成分(B)の具体例としては、例えば、(メタ)アクリルエステル類が好ましく、多官能(メタ)アクリルエステル類(以下、「多官能(メタ)アクリレートモノマー」ということがある)がより好ましい。
多官能(メタ)アクリレートモノマーの市販品としては、KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)、サートマーSR399E等を挙げることができる。
成分(C)として用いる光重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであれば特に制限はなく、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
成分(D)は液状硬化性組成物において、分散剤として機能する化合物である。成分(D)(以下、「分散剤」と称することもある。)は、下記式(1)及び(2)で表される化合物のうちのいずれか一方を用いる。
xが2又は3の場合、2つ又は3つ存在するR1は、同一でも異なってもよいが、通常は同一である。
溶剤は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類を用いることができる。中でも、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。溶剤は一種又は二種以上を混合して用いることができる。
本発明で用いる組成物は、上記の成分の他に、その特性を損なわない範囲において、単官能又は2官能のエチレン性不飽和基含有化合物を含むこともできる。
CH2=C(R2)−COO(R3O)r−Ph−R4 式(4)
(式中、R2は水素原子又はメチル基を示し、R3は炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基を示し、R4は水素原子又は炭素数1〜12、好ましくは1〜9のアルキル基を示し、Phはフェニレン基を示し、rは0〜12、好ましくは1〜8の数を示す。)
本発明で用いる組成物には、組成物が分離、ゲル化等の不具合を起こさない範囲で、非導電性粒子、又は非導電性粒子とアルコキシシラン化合物とを有機溶媒中で反応させて得られる粒子を併用してもよい。
本発明で用いる組成物には、この他の添加剤として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、滑材、カップリング剤等を必要に応じて配合することができる。酸化防止剤としては、チバスペシャルティケミカルズ(株)製 商品名:イルガノックス1010、1035、1076、1222等、紫外線吸収剤としては、チバスペシャルティケミカルズ(株)製 商品名:チヌビン P234、320、326、327、328、213、329、シプロ化成(株)製 商品名:シーソーブ102、103、501、202、712等、光安定剤としては、チバスペシャルティケミカルズ(株)製 商品名:チヌビン292、144、622LD、三共(株)製 商品名:サノ−ルLS770、LS440、住友化学工業(株)製 商品名:スミソーブ TM−061等を挙げることができる。
本発明で用いる組成物は、紫外線を遮蔽した容器中において、(A)アルミニウム含有酸化亜鉛粒子、(D)分散剤、(E)溶剤からなるアルミニウム含有酸化亜鉛粒子分散液に、(B)重合性不飽和基含有化合物、(C)光重合開始剤、及び必要に応じて、(i)単官能又は2官能(メタ)アクリレート化合物、(ii)非導電性粒子、(iii)添加剤、追加の(E)溶剤等を混合、撹拌することにより製造できる。
アルミニウム含有酸化亜鉛粒子分散液における上記各成分の配合量は、用途に応じて適宜設定できるが、通常、(A)アルミニウム含有酸化亜鉛粒子8〜50重量%、(D)分散剤0.1〜12.5重量%、(E)溶剤37.5〜90重量%であり、好ましくは、(A)アルミニウム含有酸化亜鉛粒子15〜40重量%、(D)分散剤1.0〜6.15重量%、(E)溶剤53.85〜84重量%である。
また、アルミニウム含有酸化亜鉛粒子分散液中の固形分濃度は、通常8.6〜62.5重量%、好ましくは10〜50重量%である。
また、均一に分散し分散安定性が高いアルミニウム含有酸化亜鉛粒子分散液を含んで調製した本発明の樹脂組成物を硬化した膜は、透明性が高い。
本発明の積層体の硬化膜層は、上述の帯電防止層形成用組成物を上記基材に塗布、乾燥した後に、放射線を照射して、組成物を硬化させることにより得ることができる。
得られた硬化膜層の表面抵抗は、1×1012Ω/□以下、好ましくは1×1010Ω/□以下、より好ましくは1×108Ω/□以下である。表面抵抗が1×1012Ω/□を超えると、帯電防止性能が十分でなく、埃が付着し易くなったり、付着した埃を容易に除去できない場合がある。
可視光線の線源としては、例えば、直射日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また、紫外線の線源としては、例えば、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また、電子線の線源としては、例えば、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式等を挙げることができる。
α線、β線及びγ線の線源としては、例えば、60Co等の核分裂物質を挙げることができ、γ線については、加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は、1種単独で、又は2種以上を同時に照射してもよく、また、1種以上の放射線を、一定期間をおいて照射してもよい。
また、光学フィルムへ用いる場合、透明性が必要であり、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。
本発明の積層体に用いられる基材は、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木材、スレート等特に制限はなく、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、放射線硬化性という生産性の高い、工業的有用性を発揮できる材料として、例えば、フィルム、ファイバー状の基材に好ましく適用される。特に好ましい材料は、プラスチックフィルム、プラスチック板である。そのようなプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン/ポリメチルメタクリレート共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、トリアセチルセルロース樹脂、ジエチレングリコールのジアリルカーボネート(CR−39)、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、環化ポリオレフィン樹脂(例えば、ノルボルネン系樹脂)等を挙げることができる。
次に、本発明の積層体を、帯電防止機能を有する反射防止膜として用いる場合の各層の構成を、図2A〜図2Fを参照しながら説明する。
光学物品に反射防止機能を付与する場合、基材、又はハードコート処理された基材等に、低屈折率層を形成する方法、又は低屈折率層と高屈折率層との多層構造を形成する方法が有効であることが知られている。
本発明の積層体を帯電防止機能付き反射防止膜として用いる場合の第一の形態を図2Aに示す。帯電防止機能付き反射防止膜2は、基材10の上に、前記液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜層である帯電防止層12を形成し、さらにその上に低屈折率層18を形成してなる。第一の形態では、帯電防止層12は、帯電防止機能、ハードコート層としての機能、さらには高屈折率層としての機能をも併せ持っている。第一の形態では、帯電防止層12の屈折率が、低屈折率層18の屈折率より高いことが必要である。
(2)低屈折率層
低屈折率層は、その厚さが0.05〜0.20μmの範囲内で、屈折率が1.30〜1.45の層である。
低屈折率層に使用される材料としては、目的とする特性が得られれば特に限定されるものではないが、例えば、含フッ素重合体を含有する硬化性組成物、アクリルモノマー、含フッ素アクリルモノマー、エポキシ基含有化合物、含フッ素エポキシ基含有化合物等の硬化物を挙げることがでる。また、低屈折率層の強度を上げるために、シリカ微粒子等を配合することもできる。
本発明の積層体を反射防止膜として用いる好ましい態様では、後述する成分(F)及び(G)を含有する硬化性樹脂組成物を用いて低屈折率層を形成する。
高屈折率層は、その厚さが0.05〜0.20μmの範囲内で、屈折率が1.55〜2.20の範囲内である。
高屈折率層を形成するために高屈折率の無機粒子、例えば金属酸化物粒子を配合することができる。
また、高屈折率層にハードコート層の機能を持たせることもできる。
3種以上の屈折率を有する層を組み合わせる場合に、屈折率が1.50〜1.90であって、低屈折率層より高く、高屈折率層より低い屈折率を有する層を中屈折率層と表す。中屈折率層の屈折率は、好ましくは、1.50〜1.80、より好ましくは、1.50〜1.75である。中屈折率層は、その厚さが0.05〜0.20μmの範囲内である。
中屈折率層を形成するために、高屈折率の無機粒子、例えば金属酸化物粒子を配合することができる。
ハードコート層の具体例としては、SiO2、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂等の材料から構成するのが好ましい。また、これらの樹脂にシリカ粒子を配合してもよい。
ハードコート層は積層体の機械的強度を高める効果がある。ハードコート層の厚さは、
通常0.5〜50μm、好ましくは1〜30μmの範囲である。また、ハードコート層の屈折率は、通常1.45 〜1.70、好ましくは1.45〜1.60の範囲である。
本発明の積層体を反射防止膜として用いる場合の基材の材料は、透明であることが必要であり、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン/ポリメチルメタクリレート共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、トリアセチルセルロース樹脂、ジエチレングリコールのジアリルカーボネート(CR−39)、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、環化ポリオレフィン樹脂(例えば、ノルボルネン系樹脂)等を挙げることができる。
本発明の積層体の製造において、他の要求、例えば、ノングレア効果、光の選択吸収効果、耐候性、耐久性、転写性等の機能をさらに付与するために、例えば、1μm以上の光散乱性の粒子を含有する層を加えること、染料を含有する層を加えること、紫外線吸収剤を含有する層を加えること、接着層を加えること、接着層と剥離層を加えること等が可能であり、さらに、これらの機能付与成分を本発明で用いる帯電防止層形成用組成物及び/又は低屈折率層形成用組成物の1成分として加えることも可能である。
また、低、中、高屈折率層の膜厚は、それぞれ通常60〜150nm、ハードコート層の膜厚は通常1〜20μm、帯電防止層の膜厚は通常0.05〜30μmである。
本発明では、層の製造方法は、公知の塗布と硬化、蒸着、スパッタリング等の方法により製造できる。
本発明の積層体を反射防止膜として用いるためには、少なくとも、上記硬化膜層の上に低屈折率層を形成する必要がある。本発明における低屈折率層とは、550nmにおける屈折率が1.45以下の層をいう。本発明の積層体に形成される低屈折率層は、(F)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体及び(G)シリカ粒子を含有する硬化性樹脂組成物(以下、「低屈折率層形成用組成物」ということがある)からなる硬化物であることが好ましい。
以下、成分(F)及び(G)について説明する。
低屈折率層形成用組成物に用いるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(F)は、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、水酸基含有含フッ素重合体とを、反応させて得られる。
1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物としては、分子内に、1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を含有している化合物であれば特に制限されるものではない。
尚、イソシアネート基を2個以上含有すると、水酸基含有含フッ素重合体と反応させる際にゲル化を起こす可能性がある。
また、上記エチレン性不飽和基として、後述する硬化性樹脂組成物をより容易に硬化させることができることから、(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。
このような化合物としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネートの一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
ジイソシアネートの例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネアート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが好ましい。
尚、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、大阪有機化学(株)製 商品名 HEA、日本化薬(株)製 商品名 KAYARAD DPHA、PET−30、東亞合成(株)製 商品名 アロニックス M−215、M−233、M−305、M−400等を入手することができる。
水酸基含有含フッ素重合体は、好ましくは、下記構造単位(a)、(b)及び(c)を含んでなる。
(a)下記式(11)で表される構造単位。
(b)下記式(12)で表される構造単位。
(c)下記式(13)で表される構造単位。
上記式(11)において、R11及びR12のフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基等の炭素数1〜6のフルオロアルキル基が挙げられる。また、R12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
これらの中でも、ヘキサフルオロプロピレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)又はパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)がより好ましく、これらを組み合わせて用いることがさらに好ましい。
また、このような理由により、構造単位(a)の含有率を、上記構造単位(a)〜(c)の合計100モル%に対して、25〜65モル%とするのがより好ましく、30〜60モル%とするのがさらに好ましい。
式(12)において、R13又はR14のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ラウリル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、R15のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
また、このような理由により、構造単位(b)の含有率を、上記構造単位(a)〜(c)の合計100モル%に対して、20〜60モル%とするのがより好ましく、30〜60モル%とするのがさらに好ましい。
式(13)において、R17のヒドロキシアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基等が挙げられる。
また、水酸基含有ビニル単量体としては、上記以外にも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を用いることができる。
また、このような理由により、構造単位(c)の含有率を、上記構造単位(a)〜(c)の合計100モル%に対して、5〜40モル%とするのがより好ましく、5〜30モル%とするのがさらに好ましい。
水酸基含有含フッ素重合体は、さらに下記構造単位(d)を含んで構成することも好ましい。
また、このような理由により、構造単位(d)の含有率を、上記構造単位(a)〜(c)の合計100モル%に対して、0.1〜5モル%とするのがより好ましく、0.1〜3モル%とするのがさらに好ましい。同じ理由により、構造単位(e)の含有率は、その中に含まれる構造単位(d)の含有率を上記範囲にするよう決定することが望ましい。
水酸基含有含フッ素重合体は、さらに下記構造単位(f)を含んで構成することも好ましい。
また、このような理由により、構造単位(f)の含有率を、上記構造単位(a)〜(c)の合計100モル%に対して、0.1〜3モル%とするのがより好ましく、0.2〜3モル%とするのがさらに好ましい。
水酸基含有含フッ素重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで、テトラヒドロフランを溶剤として測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であることが好ましい。この理由は、数平均分子量が5,000未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の機械的強度が低下する場合があるためであり、一方、数平均分子量が500,000を超えると、後述する硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、薄膜コーティングが困難となる場合があるためである。
また、このような理由により、水酸基含有含フッ素重合体のポリスチレン換算数平均分子量を10,000〜300,000とするのがより好ましく、10,000〜100,000とするのがさらに好ましい。
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、上述した、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、水酸基含有含フッ素重合体とを、反応させて得られる。1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、水酸基含有含フッ素重合体とは、イソシアネート基/水酸基のモル比が1.1〜1.9の割合で反応させるのが好ましい。この理由は、モル比が1.1未満になると耐擦傷性及び耐久性が低下する場合があるためであり、一方、モル比が1.9を超えると、硬化性樹脂組成物の塗膜のアルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、イソシアネート基/水酸基のモル比を、1.1〜1.5とするのが好ましく、1.2〜1.5とするのがより好ましい。
また、このような理由から、(F)成分の添加量を2〜90質量%とするのがより好ましく、3〜85質量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(1)シリカを主成分とする粒子
本発明で用いる低屈折率層形成用組成物には、シリカを主成分とする粒子を配合することができ、低屈折率層形成用組成物の硬化物の耐擦傷性、特にスチールウール耐性を改善することができる。シリカを主成分とする粒子としては、数平均粒径1〜100nmのシリカを主成分とする粒子が好ましい。粒径は、透過型電子顕微鏡により測定する。(G)成分の粒径は、5〜80nmが好ましく、10〜60nmがさらに好ましい。
これらシリカを主成分とする粒子としては、公知のものを使用することができ、また、その形状も特に限定されない。球状であれば通常のコロイダルシリカに限らず中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。また、球状に限らず、不定形の粒子であってもよい。固形分が10〜40重量%のコロイダルシリカが好ましい。
本発明に用いられるシリカ粒子は、エチレン性不飽和基を有していることが好ましい(以下、「反応性シリカ粒子」という)。反応性シリカ粒子の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上述の数平均粒径が10〜100nmのシリカ粒子と、反応性表面処理剤とを反応させて得ることができる。
低屈折率層形成用組成物に用いるシリカ粒子としては、多孔質シリカ粒子が好ましい。
多孔質シリカ粒子として、第一の多孔質シリカ粒子(G1)又は第二の多孔質シリカ粒子(G2)を使用することがより好ましい。第一の多孔質シリカ粒子(G1)は下記式(22)で表されるケイ素化合物及び下記式(23)で表されるケイ素化合物の、加水分解及び/又は加水分解縮合により得られる。すなわち、式(22)で表されるケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合し、かつ式(23)で表されるケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合することにより得られる。式(22)で表されるケイ素化合物及び式(23)で表されるケイ素化合物は、混合して同時に加水分解及び/又は加水分解縮合してもよいし、式(22)で表されるケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合し、ついで、式(23)で表されるケイ素化合物を加えてさらに加水分解及び/又は加水分解縮合してもよい。第二の多孔質シリカ粒子(G2)は、下記式(22)で表されるケイ素化合物、下記式(23)で表されるケイ素化合物及び下記式(24)で表されるケイ素化合物の加水分解及び/又は加水分解縮合により得られる。すなわち、式(22)で表されるケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合し、かつ式(23)で表されるケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合し、かつ式(24)で表されるケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合することにより得られる。式(22)で表されるケイ素化合物、式(23)で表されるケイ素化合物及び式(24)で表されるケイ素化合物は、混合して同時に加水分解及び/又は加水分解縮合してもよいし、式(22)で表されるケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合し、ついで、式(23)で表されるケイ素化合物及び式(24)で表されるケイ素化合物を加えてさらに加水分解及び/又は加水分解縮合してもよい。
SiX4 ・・・(22)
R29 jSiX4−j ・・・(23)
R30 kSiX4−k ・・・(24)
式(22)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラクロロシラン等を挙げることができる。
式(23)中、jは1〜3の整数であり、好ましくは1〜2である。
式(23)で表される化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
式(23)で示される化合物を使用することで、多孔質シリカ粒子はエチレン性不飽和基を含むものとすることができる。エチレン性不飽和基を含むことにより、硬化性組成物を硬化せしめた硬化膜を有する本発明の反射防止膜の耐擦傷性が向上する。
式(24)中、kは1〜3の整数であり、好ましくは1〜2である。
式(24)で表される化合物としては、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、2−パーフルオロヘキシルメチルトリメトキシシラン、2−パーフルオロヘキシルエチルトリメトキシシラン、2−パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、2−パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、3,3−ジ(トリフルオロメチル)−3−フルオロプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
式(24)で示される化合物を使用することで、多孔質シリカ粒子は含フッ素アルキル基を含むものとすることができる。含フッ素アルキル基を含むことにより、硬化性組成物を硬化せしめた硬化膜の耐汚染性を向上させることができる。
尚、式(22)で表されるケイ素化合物、式(23)で表されるケイ素化合物及び式(24)で表されるケイ素化合物は、それぞれ、2種以上用いてもよい。
第二の多孔質シリカ粒子(G2)において、式(22)で表されるケイ素化合物、式(23)で表されるケイ素化合物及び(24)で表されるケイ素化合物の合計を100モル%としたとき、式(22)で表されるケイ素化合物/式(23)で表されるケイ素化合物/式(24)で表されるケイ素化合物は、好ましくは、60〜98/1〜30/1〜20(モル%)、より好ましくは65〜96/2〜20/2〜15(モル%)の割合で加水分解及び/又は加水分解縮合される。
平均粒径が上記範囲内であれば、得られる塗膜の可視光領域での散乱が抑制できる。また、多孔質化であることにより、密度が低下し、このような多孔質シリカ粒子を含む膜の屈折率が低くなる。
第一又は第二の多孔質シリカ粒子(G1)、(G2)は、水、炭素数1〜3のアルコール、塩基性化合物、並びに酸アミド、ジオール及びジオールの半エーテルから選ばれる少なくとも1種の存在下で、それぞれ、上記式(22)で表されるケイ素化合物及び式(23)で表されるケイ素化合物、又は上記式(22)で表されるケイ素化合物、式(23)で表されるケイ素化合物及び式(24)で表されるケイ素化合物を、加水分解及び/又は加水分解縮合して製造できる。
これらの塩基性化合物は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
酸アミドとして、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が用いられ、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが用いられる。
本発明で使用される多孔質シリカ粒子は、合成時に酸アミド、ジオール又はジオールの半エーテルを共存させることで粒子を多孔質化することができる。
式(22)のケイ素化合物及び式(23)のケイ素化合物、又は式(22)のケイ素化合物、式(23)のケイ素化合物及び式(24)のケイ素化合物は同時に混合して加水分解及び/又は加水分解縮合させてもよく、また、水、炭素数1〜3のアルコール、塩基性化合物、並びに酸アミド、ジオール及びジオールの半エーテルから選ばれる少なくとも1種の存在下で、式(22)で表されるケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合し、ついで、それぞれ、式(23)で表されるケイ素化合物、又は式(23)で表されるケイ素化合物及び式(24)で表されるケイ素化合物を加えてさらに加水分解及び/又は加水分解縮合させてもよい。
得られた加水分解及び/又は加水分解縮合反応液に有機溶媒を加え、さらに必要に応じて不要な成分を蒸留や液液抽出等の方法で除去することにより、多孔質シリカ粒子が有機溶媒に分散した分散液を得ることができる。
本発明で用いる低屈折率層用組成物には、必要に応じて下記成分を添加することができる。
硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物及び/又は少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物を添加することもできる。
この化合物については、分子内に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であれば特に制限されるものではない。このような例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、「U−15HA」(商品名、新中村化学社製)等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
尚、これらのうち、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
この化合物については、少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物であれば特に制限されるものではない。このような例として、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独で或いは2種以上組み合わせて使用することができる。
また、このような理由から、(H)成分の添加量を80質量%以下とするのがより好ましく、60質量%以下の添加量とするのがさらに好ましい。
本願発明では、活性エネルギー線の照射又は熱により活性種を発生する化合物を添加することもできる。活性エネルギー線の照射又は熱により活性種を発生する化合物は、硬化性樹脂組成物を硬化させるために用いられる。
活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物(以下「光重合開始剤」という。)としては、活性種として、ラジカルを発生する光ラジカル発生剤等が挙げられる。
尚、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の光エネルギー線が挙げられる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が速く、しかも照射装置が比較的安価で、小型な観点から、紫外線を使用することが好ましい。
光ラジカル発生剤の例としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジル、又はBTTBとキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリン、その他の色素増感剤との組み合わせ等を挙げることができる。
光重合開始剤の添加量は特に制限されるものではないが、有機溶剤以外の組成物全量に対して0.01〜20質量%とするのが好ましい。この理由は、添加量が0.01質量%未満となると、硬化反応が不十分となり耐擦傷性、アルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。一方、光重合開始剤の添加量が20質量%を超えると、硬化膜の屈折率が増加し反射防止効果が低下する場合があるためである。
また、このような理由から、光重合開始剤の添加量を、有機溶剤以外の組成物全量に対して0.05〜15質量%とすることがより好ましく、0.1〜15質量%とすることがさらに好ましい。
熱により活性種を発生する化合物(以下「熱重合開始剤」という。)としては、活性種として、ラジカルを発生する熱ラジカル発生剤等が挙げられる。
熱ラジカル発生剤の例としては、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチル−オキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル、アセチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルパーアセテート、クミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等の一種単独又は二種以上の組み合わせを挙げることができる。
熱重合開始剤の添加量についても特に制限されるものではないが、有機溶剤以外の組成物全量に対して0.01〜20質量%とするのが好ましい。この理由は、添加量が0.01質量%未満となると、硬化反応が不十分となり耐擦傷性、アルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。一方、光重合開始剤の添加量が20質量%を超えると、硬化膜の屈折率が増加し反射防止効果が低下する場合があるためである。
また、このような理由から、有機溶剤以外の組成物全量に対して熱重合開始剤の添加量を0.05〜15質量%とするのがより好ましく、0.1〜15質量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
硬化性樹脂組成物には、さらに有機溶媒を添加することが好ましい。このように有機溶媒を添加することにより、薄膜の反射防止膜を均一に形成することができる。このような有機溶媒としては、炭素数1〜8のアルコール系、炭素数3〜10のケトン系、炭素数3〜10のエステル系の有機溶媒が好ましく使用でき、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メタノール、エタノール、t−ブタノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等が特に好ましい例として挙げられる。これらの有機溶媒は一種単独又は二種以上の組み合わせで使用できる。
硬化性樹脂組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、(G)成分以外の無機充填剤若しくは顔料、染料等の添加剤をさらに含有させることもできる。
本発明で使用される硬化性樹脂組成物は、上記(F)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体及び上記(G)成分、又は必要に応じて上記(H)成分、(I)成分、(J)有機溶剤、及び添加剤をそれぞれ添加して、室温又は加熱条件下で混合することにより調製することができる。具体的には、ミキサ、ニーダー、ボールミル、三本ロール等の混合機を用いて、調製することができる。ただし、加熱条件下で混合する場合には、熱重合開始剤の分解開始温度以下で行うことが好ましい。
低屈折率層形成用組成物の硬化条件についても特に制限されるものではないが、例えば活性エネルギー線を用いた場合、露光量を0.01〜10J/cm2の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、露光量が0.01J/cm2未満となると、硬化不良が生じる場合があるためであり、一方、露光量が10J/cm2を超えると、硬化時間が過度に長くなる場合があるためである。
また、このような理由により、露光量を0.1〜5J/cm2の範囲内の値とするのがより好ましく、0.3〜3J/cm2の範囲内の値とするのがより好ましい。
また、このような理由から、50〜180℃の範囲内の温度で、1〜120分間加熱するのがより好ましく、80〜150℃の範囲内の温度で、1〜60分間加熱するのがさらに好ましい。
アルミニウム含有酸化亜鉛粒子(A−1)(ハクスイテック(株)製、パゼットCK(商品名)、一次粒径20〜40nm)、分散剤(楠本化成(株)製、PLAAD ED211(商品名):上記式(2)において、数平均分子量40,000の高分子ポリカルボン酸のアミドアミン塩、固形分量50%)、及びメチルエチルケトンを、27.6/4.8/67.6(重量比)の配合量で混合した。この分散液をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、30%であった。また、この分散液を磁性るつぼに2g秤量後、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥し、750℃のマッフル炉中で1時間焼成した後の無機残渣より、固形分中の無機含量を求めたところ、27.6%であった。
得られた分散液に分散しているアルミニウム含有酸化亜鉛粒子(A−1)のメジアン径を以下の条件で測定した。5時間及び8時間の分散において、メジアン径が150nmまで微粒径化でき、経時的に安定していることを確認した。
機器:(株)堀場製作所製 動的光散乱式粒径分布測定装置
測定条件: 温度 25℃
試料 サンプルを原液のまま測定
データ解析条件:粒子径基準 体積基準
分散粒子 アルミニウム含有酸化亜鉛粒子 屈折率1.95
分散媒 メチルエチルケトン 屈折率1.379
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン221部、ジブチル錫ジラウレート1部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート222部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間加熱攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60重量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40重量%とからなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)549部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で10時間加熱攪拌することで重合性不飽和基を有する有機化合物(特定有機化合物(Aa))を得た。生成物中の残存イソシアネート量をFT−IRで分析したところ0.1%以下であり、反応がほぼ定量的に終了したことを示した。生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550カイザーの吸収ピーク及び原料イソシアネート化合物に特徴的な2260カイザーの吸収ピークが消失し、新たにウレタン結合及びS(C=O)NH−基に特徴的な1660カイザーのピーク及びアクリロキシ基に特徴的な1720カイザーのピークが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロキシ基と−S(C=O)NH−、ウレタン結合を共に有するアクリロキシ基修飾アルコキシシランが生成していることを示した。以上により、この組成物には、下記式(25)及び下記式(26)で示される化合物が合計で773部含まれるほか、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート220部が混在している。
攪拌機付きの容器内のイソホロンジイソシアネート18.8部と、ジブチル錫ジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)93部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、6時間の条件で攪拌し、反応液とした。
この反応液中の生成物について、製造例2と同様にして残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1重量%以下であり、反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、ウレタン結合、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)とを含むことを確認した。
以上により、この組成物には、下記式(27)で示される化合物(B−1)75部が含まれるほか、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート37部が混在している。
製造例1で調製したアルミニウム含有酸化亜鉛粒子分散液(酸化亜鉛濃度27.6%)289.86部、製造例2で製造した重合性不飽和基を含む有機化合物(Aa)を含む組成物2.08部(特定有機化合物(Aa)を1.62部含む)、イオン交換水0.08部、及びp−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.01部の混合液を、60℃、4時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル0.95部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性アルミニウム含有酸化亜鉛粒子(A−2)分散液を得た。この分散液をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、30.7%であった。また、分散液を磁性るつぼに2g秤量後、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥し、750℃のマッフル炉中で1時間焼成した後の無機残渣より、固形分中の無機含量を求めたところ、90%であった。
シリカ粒子ゾル(メチルエチルケトンシリカゾル、日産化学工業(株)製MEK−ST−L、数平均粒子径0.05μm、シリカ濃度30%)143g(シリカ粒子として43g)、製造例2で製造した特定有機化合物(Aa)を含む溶液2.8g、蒸留水0.1g、p−ヒドロキノンモノメチルエーテル0.01gを混合し、65℃で加熱攪拌した。4時間後、オルト蟻酸メチルエステル1.0g添加し、さらに1時間加熱することで、固形分31%の反応性シリカ粒子ゾルを得た。
内容積1.5Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル465g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)138.5g、エチルビニルエーテル37.5g、ヒドロキシエチルビニルエーテル46.0g、ノニオン性反応性乳化剤として「アデカリアソープER−30」(旭電化工業株式会社製)180.0g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンとして「VPS−1001」(和光純薬工業株式会社製)9.0g及び過酸化ラウロイル1.5gを加え、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いでヘキサフルオロプロピレン86.0gを加え、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は2.9×105Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が2.0×105Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出しオートクレーブを開放し、固形分濃度30.0%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い220gの水酸基含有含フッ素重合体を得た。
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、製造例6で得られた水酸基含有含フッ素重合体を70.0g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.01g及びMIBK520gを仕込み、20℃で水酸基含有含フッ素重合体がMIBKに溶解して、溶液が透明、均一になるまで攪拌を行った。次いで、この系に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート22gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート0.2gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を継続することにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体のMIBK溶液を得た。この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、15.0%であった。
製造例5で得られた反応性シリカ粒子ゾル20g(反応性粒子として6.2g)、製造例7で得られたエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体101.0g(エチレン性不飽和基含有フッ素重合体として15.2g)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート1.7g、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン(C−2)1.2g、製造例3で得られた式(27)で示される化合物0.4g、有機共重合物含有特殊シリコン(フローレンAC−901、共栄社化学株式会社)0.1g、メチルイソブチルケトン505.6gを加え、室温にて1時間攪拌し、低屈折率層形成用組成物1を得た。製造例1と同様に固形分含量を求めたところ、4重量%であった。
石英製セパラブルフラスコ中に、テトラエトキシシラン22.24g、メタノール841.97g、プロピレングリコール30.00gを加え、均一に混合した後、アンモニアの1%水溶液101.00gを添加した。その後、溶液を攪拌しながら40℃で8時間反応させ、さらにビニルトリメトキシシラン0.92g、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製SZ−6030)1.54gを添加し40℃で1時間反応させた。次いで、2−パーフルオロヘキシルエチルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製TSL8257)2.33gを添加し40℃で1時間反応させた。反応液を室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン1000.00gとシュウ酸の0.1%水溶液1000.00gとを加え、攪拌、静置した。2層に分離した上層を取り分け、ロータリーエバポレーターで固形分濃度5%となるまで濃縮し、多孔質シリカ粒子溶液を得た。
上記で得られた多孔質シリカ粒子溶液の1gにエタノール10gを加えて混合後、透過型電子顕微鏡用カーボングリッド上に1滴を滴下し、次いで室温で24時間乾燥し、日本電子社製フィールドエミッション電子顕微鏡JEM−2010Fを用いて観察を行い、多孔質シリカ粒子の粒径を測定したところ、平均粒径20nmであった。
多孔質シリカ粒子溶液の10gをアルミ皿に取り、150℃のホットプレート上で1時間乾燥し、多孔質シリカ粒子1の粉末サンプルを得た。得られた多孔質シリカ粒子粉末のBET比表面積をQuantachrome Instruments社製AUTOSORB−1を用いて測定したところ、比表面積は200m2/gであった。
製造例7で得たエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体のMIBK溶液を56g(エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体として8.5g)、製造例9で得られた多孔質シリカ粒子分散液を1750g(多孔質シリカ粒子として87.5g)、光重合開始剤として2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン4g、MIBK700gを、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、23℃にて1時間攪拌し低屈折率層形成用組成物2を得た。製造例1と同様に固形分含量を求めたところ、4重量%であった。
紫外線を遮蔽した容器中において、アルミニウム含有酸化亜鉛粒子(A―1)分散液289.86部(アルミニウム含有酸化亜鉛80部、分散剤6.96部を含む)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製 商品名 KAYARAD DPHA)9.04部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.5部、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン1.5部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル30.43部、を50℃で2時間攪拌することで均一な溶液の液状硬化性組成物を得た。この組成物をアルミ皿に2g秤量後、170℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、30重量%であった。また、この組成物を磁性るつぼに2g秤量後、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥し、750℃のマッフル炉中で1時間焼成した後の無機残渣より、固形分中の無機含量を求めたところ、80重量%であった。
下記表1に示す成分を表1に示す配合量で用いた以外は製造例11と同様にして液状硬化性組成物2及び3を得た。
Disperbyk 2001:BYK Chemie社製分散剤(変性アクリル系ブロック共重合体)
Irgacure184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
Irgacure907:2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
反射防止積層体1の製造
製造例11で得られた液状硬化性組成物1を、ワイヤーバーコータ#20を用いて、表面易接着処理が施されたポリエステルフィルムA4300(東洋紡績(株)製、膜厚188μm)上に塗工し、オーブン中、80℃、3分間の条件で乾燥した。次いで、大気中、メタルハライドランプを用いて、1J/cm2の光照射条件で塗膜を紫外線硬化させ、帯電防止ハードコート層を有するフィルムを作製した。帯電防止ハードコート層の膜厚を触針式表面形状測定器により測定したところ、3μmであった。この帯電防止ハードコート付フィルム上に、製造例8で得られた低屈折率層形成用組成物1を、ワイヤーバーコータ#3を用いて塗工し、オーブン中、80℃、1分間の条件で乾燥した。次いで、窒素雰囲気下で、メタルハライドランプを用いて、1J/cm2の光照射条件で塗膜を紫外線硬化させ、低屈折率層を形成させて反射防止積層体1を作製した。得られた反射防止積層体1の反射率から低屈折率層の膜厚を算出したところ、0.1μmであった。
反射防止積層体2の製造
低屈折率層形成用組成物1の代わりに製造例10で得られた低屈折率層形成用組成物2を用いたこと以外は実施例1と同様にして反射防止積層体2を作製した。実施例1と同様に低屈折率層の膜厚を算出したところ、0.1μmであった。
反射防止積層体3の製造
液状硬化性組成物1の代わりに製造例12で得られた液状硬化性組成物2を用いたこと以外は実施例1と同様にして反射防止積層体3を作製した。
実施例1と同様に低屈折率層の膜厚を算出したところ、0.1μmであった。
反射防止積層体4の製造
低屈折率層形成用組成物1の代わりに製造例10で得られた低屈折率層形成用組成物2を用いたこと以外は実施例3と同様にして反射防止積層体4を作製した
反射防止積層体5の製造
液状樹脂組成物1の代わりに製造例13で得られた液状硬化性組成物3を用いたこと以外は実施例1と同様にして反射防止積層体5を作製した。実施例1と同様に低屈折率層の膜厚を算出したところ、0.1μmであった。
反射防止積層体6の製造
低屈折率層形成用組成物1の代わりに製造例13で得られた低屈折率層形成用組成物2を用いたこと以外は比較例1と同様にして反射防止積層体6を作製した。実施例1と同様に低屈折率層の膜厚を算出したところ、0.1μmであった。
実施例1〜4、比較例1〜2で得られた反射防止積層体1〜6について以下の特性を評価した。
硬化膜フィルムの全光線透過率(%)及びヘーズ(%)を、カラーヘーズメーター(スガ試験機(株)製)を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。得られた結果を表2に示す。
硬化膜フィルムの表面抵抗(Ω/□)を、ハイ・レジスタンス・メーター(アジレント・テクノロジー(株)製 Agilent4339B)、及びレジスティビティ・セル16008B(アジレント・テクノロジー(株)製)を用い、印加電圧100Vの条件で測定した。得られた結果を表2に示す。
得られた反射防止積層体の反射率を、分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、波長340〜700nmの範囲で反射率を測定して評価した。具体的には、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における反射防止積層体(反射防止膜)の反射率を測定した。波長550nmにおける反射率を表2に示す。
反射防止積層体のスチールウール耐性テストを次に示す方法で実施した。即ち、スチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール(株)社製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重500gの条件で10回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で、以下の基準で確認した。得られた結果を表2に示す。
○:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
△:硬化膜に細い傷が認められる。
×:硬化膜の一部に剥離が生じ、又は硬化膜の表面に筋状の傷が発生した。
得られた結果を表2に示す。
反射防止積層体の布擦り耐性テストを次に示す方法で実施した。即ち、不織布(BEMCOT S−2、旭化成工業社製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重1000gの条件で20回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で、以下の基準で確認した。得られた結果を表2に示す。
○:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
△:硬化膜に細い傷が認められる。
×:硬化膜の一部に剥離が生じ、又は硬化膜の表面に筋状の傷が発生した。
得られた結果を表2に示す。
硬化膜のエタノール耐性テストを次に示す方法で実施した。即ち、エタノールを染み込ませた不織布(BEMCOT S−2、旭化成工業社製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重500gの条件で20回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で、以下の基準で確認した。得られた結果を表2に示す。
○:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
△:硬化膜に細い傷が認められる。
×:硬化膜の一部に剥離が生じ、又は硬化膜の表面に筋状の傷が発生した。
得られた結果を表2に示す。
本発明の積層体は、例えば、タッチパネル用保護膜、転写箔、光ディスク用ハードコート、自動車用ウインドフィルム、レンズ用の帯電防止保護膜、化粧品容器等の高意匠性の容器の表面保護膜等主として製品表面傷防止や静電気による塵埃の付着を防止する目的でなされるハードコートとして、また、CRT、液晶表示パネル、プラズマ表示パネル、エレクトロルミネッセンス表示パネル等の各種表示パネル用の帯電防止機能付き反射防止膜として、プラスチックレンズ、偏光フィルム、太陽電池パネル等の帯電防止機能付き反射防止膜として利用することができる。
本発明の積層体は、例えば、プラスチック光学部品、タッチパネル、フィルム型液晶素子、プラスチック筐体、プラスチック容器、建築内装材としての床材、壁材、人工大理石等の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のためのハードコ−ティング材;各種基材の接着剤、シ−リング材;印刷インクのバインダー材等として好適に用いることができる。
2:帯電防止機能付き反射防止膜
10:基材
11:ハードコート層
12:硬化膜層又は帯電防止層
14:中屈折率層
16:高屈折率層
18:低屈折率層
Claims (9)
- 前記層が、(A)アルミニウム含有酸化亜鉛粒子を60〜85重量%含有する請求項1に記載の積層体。
- さらに、基材上に、下記成分(F)及び(G):
(F)1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、
水酸基含有含フッ素重合体と、
を反応させて得られるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、
(G)シリカを主成分とする粒子、
を含む硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、589nmにおける屈折率が1.30〜1.45の層を有する請求項1又は2に記載の積層体。 - 前記水酸基含有含フッ素重合体が、下記構造単位(a)〜(c)の合計を100モル%としたとき、(a)20〜70モル%、(b)10〜70モル%及び(c)5〜70モル%を含む請求項3に記載の積層体。
(a)下記式(11)で表される構造単位
(b)下記式(12)で表される構造単位
(c)下記式(13)で表される構造単位
- 前記成分(G)が、
下記式(22)で表されるケイ素化合物及び下記式(23)で表されるケイ素化合物の合計を100モル%としたとき、式(22)で表されるケイ素化合物67〜99モル%及び式(23)で表されるケイ素化合物33〜1モル%の加水分解物及び/又は加水分解縮合物からなり、平均粒径が5〜50nmである多孔質シリカ粒子(G1)
SiX4 ・・・(22)
R29 jSiX4−j ・・・(23)
(Xはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、イソシアネート基、炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基又は炭素数1〜4のアルキルアミノ基を示す。R29は炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数4〜8のアクリロキシアルキル基又は炭素数5〜8のメタクリロキシアルキル基、jは1〜3の整数を示す。尚、式(22)のX及び式(23)のXは、同一であっても異なっていてもよい。)
である請求項3又は4に記載の積層体。 - 前記成分(G)が、
下記式(22)で表されるケイ素化合物、下記式(23)で表されるケイ素化合物及び下記式(24)で表されるケイ素化合物の合計を100モル%としたとき、式(22)で表されるケイ素化合物60〜98モル%、式(23)で表されるケイ素化合物1〜30モル%、及び式(24)で表されるケイ素化合物1〜20モル%の加水分解物及び/又は加水分解縮合物からなり、平均粒径が5〜50nmである多孔質シリカ粒子(G2)
SiX4 ・・・(22)
R29 jSiX4−j ・・・(23)
R30 kSiX4−k ・・・(24)
(Xはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、イソシアネート基、炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基又は炭素数1〜4のアルキルアミノ基を示す。R29は炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数4〜8のアクリロキシアルキル基又は炭素数5〜8のメタクリロキシアルキル基、jは1〜3の整数を示す。R30は炭素数1〜12のフッ素置換アルキル基、kは1〜3の整数を示す。尚、式(22)のX、式(23)のX及び式(24)のXは、同一であっても異なっていてもよい。)
である請求項3又は4に記載の積層体。 - さらに、基材上に、ハードコート層が形成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
- 表面抵抗値が1×1012Ω/□以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
- 基材上に、下記成分(A)〜(E)を含有する液状硬化性組成物を塗布し、放射線を照射することによって、該組成物を硬化して得られる硬化膜層を形成する工程を含む積層体の製造方法。
[液状硬化性組成物]
(A)アルミニウム含有酸化亜鉛粒子
(B)分子内に3以上の重合性不飽和基を有する化合物
(C)光重合開始剤
(D)下記式(1)又は(2)
(E)溶剤
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