JP4307133B2 - ゴム製品の表面ひずみ測定用シート及びゴム製品の表面ひずみ測定方法、並びにタイヤの表面ひずみ測定用シート及びタイヤの表面ひずみ測定方法 - Google Patents

ゴム製品の表面ひずみ測定用シート及びゴム製品の表面ひずみ測定方法、並びにタイヤの表面ひずみ測定用シート及びタイヤの表面ひずみ測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ゴム製品の表面ひずみ測定に関し、さらに詳しくは、ゴム製品の表面ひずみを簡易に、そして精度よく測定できるゴム製品の表面ひずみ測定用シート及びゴム製品の表面ひずみ測定方法、並びにタイヤの表面ひずみ測定用シート及びタイヤの表面ひずみ測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤやコンベアベルト等のゴム製品においては、表面ひずみを細かく測定することにより、故障や耐久性等の設計要因をより正確に知ることができる。ゴム製品の物性を計測する方法には、サンプルのゴム状弾性体の側面に基準標識を記入して、ゴム状弾性複合体の接着界面近傍の物性を計測する技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−304666号公報 P2、P3 図5
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記方法でタイヤその他のゴム製品の表面ひずみを測定しようとすると、ゴム製品の表面に基準標識を記入しなければならず、ひずみの測定に手間を要していた。また、特許文献1に開示された物性分布測定方法は、ゴムと金属、ゴムと繊維といったゴム状弾性複合体において、ゴムと金属等との接着界面近傍における物性分布を測定するものである。タイヤその他のゴム製品表面上における表面ひずみを、2mm程度の細かい間隔で簡易に測定できる技術は未だ確立されていない。
【0005】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ゴム製品の表面ひずみを簡易に測定すること、ゴム製品の表面ひずみを細かい間隔で精度よく測定することのうち少なくとも一つを達成できるゴム製品の表面ひずみ測定用シート及びゴム製品の表面ひずみ測定方法、並びにタイヤの表面ひずみ測定用シート及びタイヤの表面ひずみ測定方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係るゴム製品の表面ひずみ測定用シートは、測定対象のゴム製品よりも硬度の低い材料のシート状基材と、当該基材の一方の面に形成した凸線又は凹線によって構成した格子とを有し、前記格子が形成された面の反対面と測定対象の表面とが貼り合わされて、測定対象表面の変形を前記格子の変形に変換することを特徴とする。
【0007】
このように、表面に格子が形成されたゴム製品の表面ひずみ測定用シートを測定対象のゴム製品に貼り付けて使用するので、測定対象表面に標識を記入する必要はない。これにより、ゴム製品の表面ひずみを簡易に測定することができる。また、このゴム製品の表面ひずみ測定用シートは、測定対象のゴム製品よりも硬度の低い材料で作られるので、測定対象の表面の変形をほとんど拘束しない。その結果、表面ひずみの測定精度を向上させることができる。
【0008】
また、次の本発明に係るゴム製品の表面ひずみ測定用シートは、上記ゴム製品の表面ひずみ測定用シートにおいて、前記シート基材の硬度はJIS−K−6253 A硬度において40以上55以下で厚さは0.3mm以上1mm以下、さらに前記格子の間隔は1mm以上2mm以下であることを特徴とする。
【0009】
このような硬度、及びシート基材の厚さであれば、測定対象の表面の変形に十分に追従できるので、当該変形はほとんど拘束されない。その結果、表面ひずみの測定精度を向上させることができる。また、このような格子間隔であれば、測定対象の表面ひずみを十分に細かく測定できる。
【0010】
また、次の本発明に係るゴム製品の表面ひずみ測定用シートは、上記ゴム製品の表面ひずみ測定用シートにおいて、前記凸線又は前記凹線の幅は0.1mm以上0.5mm以下であり、また、前記凸線又は前記凹線の高さ又は深さは0.1mm以上0.5mm以下であることを特徴とする。
【0011】
格子を形成する凸線又は凹線の幅、及び、凸線又は凹線の高さ又は深さがこのような範囲であれば、被記録媒体へ格子の転写画像を鮮明かつ正確に転写できる。これにより、格子の読み取りが容易になり、同時に読み取り精度も向上するので、表面ひずみの測定精度を向上させることができる。
【0012】
また、次の本発明に係るゴム製品の表面ひずみ測定方法は、測定対象のゴム製品よりも硬度の低い材料で作られ、かつ一方の面に形成された凸線又は凹線によって格子が構成された測定用シートを、前記格子が形成された面とは反対面と測定対象表面とを対向させて貼り付ける工程と、前記測定対象の変形前後における格子面を被記録媒体に転写することで前記測定対象の変形前後における格子パターンを取得する工程と、前記被記録媒体に転写した格子パターンから、前記測定対象の変形前後における格子パターンの格子点座標を取得する工程と、前記格子点座標から各格子のひずみを算出して測定対象の表面ひずみを求める工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
このように、表面に格子が形成されたゴム製品の表面ひずみ測定用シートを測定対象のゴム製品に貼り付けることにより、ゴム製品の表面ひずみを測定する。このため、測定対象表面に標識を記入する必要はない。これにより、ゴム製品の表面ひずみを簡易に測定することができる。また、このゴム製品の表面ひずみ測定方法に使用する測定用シートは、測定対象のゴム製品よりも硬度の低い材料で作られるので、測定対象の表面の変形をほとんど拘束しない。その結果、測定対象の変形を格子の変形へ正確に反映できるので、表面ひずみの測定精度を向上させることができる。
【0014】
また、次の本発明に係るゴム製品の表面ひずみ測定方法のように、前記格子パターンを取得する工程においては、着色材を塗布した前記格子を前記被記録媒体に転写することが好ましい。このようにすれば、紙やOHPシート等の被記録媒体へ鮮明に格子パターンを転写できるので、格子パターンの読み取りが容易になるとともに、読み取り精度も向上させることができる。これにより、表面ひずみの測定精度を向上させることができる。
【0015】
また、次の本発明に係るタイヤの表面ひずみ測定用シートは、タイヤのゴム材料よりも硬度の低い材料のシート状基材と、当該基材の一方の面に形成した凸線又は凹線によって構成した格子とを有し、前記格子が形成された面の反対面と前記タイヤの測定部分における表面とが貼り合わされて、前記タイヤの測定部分の表面における変形を前記格子の変形に変換することを特徴とする。
【0016】
このように、表面に格子が形成されたタイヤの表面ひずみ測定用シートをタイヤの測定箇所に貼り付けて使用するので、タイヤ表面に標識を記入する必要はない。これにより、タイヤの表面ひずみを簡易に測定することができる。また、タイヤの表面ひずみ測定用シートを測定対象に貼り付け、格子パターンを転写することにより、タイヤの表面に沿った格子パターンを取得できる。これにより、タイヤのサイドウォールのように表面に曲率があり3次元的に変形する場合でも、精度よく表面ひずみを求めることができる。さらに、このタイヤの表面ひずみ測定用シートは、測定対象のタイヤよりも硬度の低い材料で作られるので、タイヤ表面の変形をほとんど拘束しない。その結果、表面ひずみの測定精度を向上させることができる。また、タイヤの表面ひずみ測定においては、高荷重により変形量が大きくなったときでも、タイヤの表面ひずみ測定用シートが追従するので、表面ひずみの測定精度が向上する。
【0017】
また、次の本発明に係るタイヤの表面ひずみ測定用シートは、上記タイヤの表面ひずみ測定用シートにおいて、前記シート基材の硬度はJIS−K−6253A硬度において40以上55以下で厚さは0.3mm以上1mm以下、さらに前記格子の間隔は1mm以上2mm以下であることを特徴とする。
【0018】
このような硬度、及びシート基材の厚さであれば、タイヤの表面の変形に十分に追従できるので、当該変形はほとんど拘束されない。その結果、表面ひずみの測定精度を向上させることができる。これは、特にタイヤのサイドウォールのように曲率が大きい部分における表面ひずみの測定に有効である。また、このような格子間隔であれば、タイヤのサイドウォール部半径方向の表面ひずみを十分に細かく測定できる。
【0019】
また、次の本発明に係るタイヤの表面ひずみ測定用シートは、上記タイヤの表面ひずみ測定用シートにおいて、前記凸線又は前記凹線の幅は0.1mm以上0.5mm以下であり、また、前記凸線又は前記凹線の高さ又は深さは0.1mm以上0.5mm以下であることを特徴とする。
【0020】
格子を形成する凸線又は凹線の幅、及び、凸線又は凹線の高さ又は深さがこのような範囲であれば、被記録媒体へ格子の転写画像を鮮明かつ正確に転写できる。これにより、格子の読み取りが容易になり、同時に読み取り精度も向上するので、表面ひずみの測定精度を向上させることができる。
【0021】
また、次の本発明に係るタイヤの表面ひずみ測定方法は、タイヤのゴム材料よりも硬度の低い材料で作られ、かつ一方の面に形成された凸線又は凹線によって格子が構成された測定用シートを、前記格子が形成された面とは反対面とタイヤの測定対象表面とを対向させて貼り付ける工程と、前記タイヤの変形前後における格子面を被記録媒体に転写することで前記タイヤの変形前後における格子パターンを取得する工程と、前記被記録媒体に転写した格子パターンから、前記タイヤの変形前後における格子パターンの格子点座標を取得する工程と、前記格子点座標から各格子のひずみを算出して前記タイヤの測定対象表面における表面ひずみとする工程と、を含むことを特徴とする。
【0022】
このように、表面に格子が形成されたタイヤの表面ひずみ測定用シートをタイヤの測定箇所に貼り付けて使用するので、タイヤ表面に標識を記入する必要はない。これにより、タイヤの表面ひずみを簡易に測定することができる。また、タイヤの表面ひずみ測定用シートを測定対象に貼り付け、格子パターンを転写することにより、タイヤの表面に沿った格子パターンを取得できる。これにより、タイヤのサイドウォールのように表面に曲率があり3次元的に変形する場合でも、精度よく表面ひずみを求めることができる。さらに、このタイヤの表面ひずみ測定方法に使用する測定用シートは、測定対象のタイヤよりも硬度の低い材料で作られるので、タイヤ表面の変形をほとんど拘束しない。その結果、タイヤの変形を正確に格子の変形に反映して、表面ひずみの測定精度を向上させることができる。
【0023】
また、次の本発明に係るタイヤの表面ひずみ測定方法のように、前記格子パターンを取得する工程においては、着色材を塗布した前記格子を前記被記録媒体に転写することが好ましい。このようにすれば、紙やOHPシート等の被記録媒体へ鮮明に格子パターンを転写できるので、格子パターンの読み取りが容易になるとともに、読み取り精度も向上させることができる。これにより、表面ひずみの測定精度を向上させることができる。また、着色材により被記録媒体へ転写させれば、被記録媒体に追従性のよい紙やOHPシート等を使用することができる。これにより、タイヤのサイドウォールのように、表面に曲率があり3次元的に変形する場合でも、精度よく表面ひずみを求めることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0025】
(実施の形態1)
実施の形態1においては、本発明に係るゴム製品の表面ひずみ測定方法について、タイヤのサイドウォールの表面ひずみを測定する場合を例にとって説明する。図1は、表面ひずみの測定対象であるタイヤを、その回転軸を含む子午面で切った断面を示す一部断面図である。同図を用いて、本実施の形態における予測対象構造体であるタイヤ10の構造について、簡単に説明する。キャップトレッド11は、タイヤ10の路面接地部に配置されており、カーカス15、ベルト14又はブレーカの外側を覆うゴム層である。キャップトレッド11は、カット衝撃に対してカーカス15やベルト14を保護する役目を持っている。
【0026】
アンダトレッド12は、キャップトレッド11とベルト14との間に配置されるゴム層で、発熱性、接着性等を向上させる目的で用いられる。サイドトレッド13は、サイドウォール部の最も外側に配置されて外からの傷がカーカス15に達するのを防止するとともに、ラジアルタイヤの場合には、車軸からの駆動力を路面に伝える補助的役割も担っている。
【0027】
ベルト14は、キャップトレッド11とカーカス15との間に配置されたゴム引きコード層である。なお、バイアスタイヤの場合にはブレーカと呼ぶ。ラジアルタイヤにおいて、ベルト14は形状保持及び強度メンバーとして重要な役割を担っている。カーカス15はタイヤ10の骨格をなすゴム引きコード層である。カーカス15は、タイヤ10に空気を充填した際に圧力容器としての役目を果たす強度メンバーであり、その内圧によって荷重を支え、走行中の動的荷重に耐える構造を持っている。
【0028】
ビード16は、内圧によって発生するカーカス15のコード張力を支えているスチールワイヤの束を、硬質ゴムで固めたリングである。タイヤ10をホイールのリムに固定させる役割を果たす他、カーカス15、ベルト14及びトレッドとともに、タイヤ10の強度部材となる。ビードフィラ17は、カーカス15をビードワイヤの周囲に巻き込む際に生ずる空間へ充填するゴムである。カーカス15をビード16に固定するとともに、その部分の形状を整え、ビード部全体の剛性を高める。次に、実施の形態1に係る本発明のゴム製品の表面ひずみ測定用シート及びゴム製品のひずみ測定方法について説明する。
【0029】
図2は、実施の形態1に係る本発明のゴム製品の表面ひずみ測定用シートを示す説明図である。このゴム製品(タイヤ)の表面ひずみ測定用シート(以下表面ひずみ測定用シート)1は、測定対象の表面に貼り付けて測定対象の表面ひずみを測定するものであり、表面に凸線3又は凹線3'による格子が形成されており、かつ測定対象のゴム製品よりも柔らかい材料で形成した点に特徴がある。
【0030】
図2(a)、(b)に示すように、この表面ひずみ測定用シート1の表面には、シート基材1B上に凸線3による格子が前記シート基材1Bと一体に形成されている。この格子は、図2(b)に示すように、格子間隔がaの正方形状となっている。図2(b)、(c)に示すように、格子間隔aは、隣接する凸線3同士の中心間距離で表される距離であり、測定対象の表面ひずみの測定精度を向上させるために、格子間隔aは1mm以上2mm以下が好ましい。なお、この格子は、図2(d)に示すように、凹線3'によって形成してもよい。
【0031】
シート基材1Bは測定対象の表面に貼り付けられ、かつ測定対象の表面が変形することによる格子の変形を紙やOHPシートその他の被記録媒体へ転写して、この転写画像を読み取ることにより表面ひずみを求めるものである。このため、格子を形成する凸線3又は凹線3'には、被記録媒体へ鮮明かつ正確に格子の転写画像を形成する機能が求められる。このような観点から、凸線3の高さh(凹線3'の場合には、深さh')及び幅Sは0.5mm以下が好ましく、さらには0.1mm以上0.2mm以下が好ましい。このような範囲であれば、被記録媒体へ格子の転写画像を鮮明かつ正確に転写できる。これにより、格子の読み取りが容易になり、同時に読み取り精度も向上するので、表面ひずみの測定精度を向上させることができる。また、図2()に示すように、凸線3の断面は三角形状となっており、当該三角形の頂点が被記録媒体へ線状に接するようになっている。このような構成によって、格子の変形を正確に被記録媒体へ転写することができ、また、転写像を正確に読み取ることができる。
【0032】
なお、転写にインクや朱肉その他の着色材を使用する場合には、これらが付着し易いように、断面三角形状に形成された凸線3の頂部に表面処理を施すことが好ましい。例えば、着色材として水性インクを使用する場合には親水性処理を、油性インクを使用する場合には親油性処理を頂部3tに対して施す。これにより、着色材の濡れ性が改善されて、着色材が頂部へ均一に付着するので、被記録媒体に格子パターンが鮮明かつ正確に転写される。また、図2()に示すように、凹線3'の断面を三角形状としてもよい。
【0033】
図3は、実施の形態1に係るゴム製品の表面ひずみ測定用シートの変形例を示す説明図である。この表面ひずみ測定用シート1aのように、被記録媒体へ鮮明かつ正確に格子の転写画像を形成するという観点から、表面に凸線3aの頂部3atを平面上に構成してもよい(図3()参照)。このようにすれば、被記録媒体に転写する際における転写圧力のばらつきにより、転写された格子線の太さが影響を受け難くなる。その結果、後述する格子点座標の読み取りが容易になるとともに、読み取り精度も向上させることができる。このとき、断面三角形状に形成した前記凸線3と同様に、転写使用するインクや朱肉その他の着色材が付着し易いように、凸線3aの頂部3atに表面処理を施すことが好ましい。これにより、着色材の濡れ性が改善されて、着色材が頂部3at全面へ均一に付着するので、被記録媒体に格子パターンが鮮明かつ正確に転写される。また、図3()に示すように、凹線3a'の断面を矩形状に形成してもよい。
【0034】
表面ひずみ測定用シート1は測定対象の表面に貼り付けられ、測定対象表面の変形を、前記表面ひずみ測定用シート1の表面に形成された格子の変形に変換する。このような観点から、測定対象の表面に対する追従性を高くする必要がある。このため、シート基材1Bの厚さはシート基材1Bの全体にわたって均一であることが好ましい。さらに、シート基材1Bの厚さtは1mm以下が好ましく、測定対象表面に対する追従性をさらに向上させるためには、0.3mm以上0.5mm以下が好ましい。
【0035】
また、表面ひずみ測定用シート1の硬度が高すぎると、測定対象であるゴム製品の表面を拘束して正確な表件ひずみを求めることができない。したがって、表面ひずみ測定用シート1の硬度は測定対象であるゴム製品のゴムよりも硬度の低いことが好ましい。具体的には、表面ひずみ測定用シート1の硬度を、JIS−K−6253 A硬度において、40以上55以下とすることが好ましい。この硬度範囲であれば、通常測定対象となるゴム製品よりも硬度が低いので、測定対象であるゴム製品の表面を拘束しないので、表面の変形に対して十分に追従して高い精度で表面歪を求めることができる。なお、表面ひずみ測定用シート1は、ゴムで製造することが好ましく、例えば天然ゴム、ブチルゴム、シリコンゴム等を使用することができる。なお、ひずみ測定においては、変形前の格子点座標と変形後の格子点座標とがわかればよいので、格子の形状は長方形でもよい。
【0036】
図4は、実施の形態1に係る本発明のゴム製品のひずみ測定方法を示すフローチャートである。また、図5は、実施の形態1に係る本発明のゴム製品のひずみ測定方法の手順を示す説明図である。これらを用いて、実施の形態1に係る本発明のゴム製品(タイヤ)のひずみ測定方法について説明する。
【0037】
実施の形態1においては、タイヤ10のサイドウォール10swにおける表面ひずみを測定する。まず、図5(a)に示すように、表面ひずみ測定用シート1を適当な大きさに切断してから、表面ひずみ測定用シート1の格子面反対側に接着剤を塗布して、測定対象であるタイヤ10のサイドウォール10sw表面に貼り付ける(ステップS101)。このとき、タイヤ10内には空気が充填されていない状態(大気圧とタイヤ内圧とが略等しい状態)であり、この状態を初期状態とする。
【0038】
表面ひずみの測定前に、朱肉やインク等の着色材により、タイヤ10のサイドウォール10swに貼り付けられた表面ひずみ測定用シート1の格子を着色する。そして、図5(b)に示すように、表面ひずみ測定用シート1の格子を紙や透明なOHPシート等の被記録媒体51へ転写して、サイドウォール10swの変形前における格子パターン1i1(図5(d))を得る(ステップS102)。ここで、表面ひずみ測定用シート1の格子は凸線又は凹線で形成されているので、例えば粘のような塑性材料に凸線又は凹線で形成されている格子を転写してもよい。このようにすれば、格子を着色する必要がないので、それだけ表面ひずみ測定の手間を軽減することができる。
【0039】
次に、図5(c)に示すように、タイヤ10へ荷重Pを作用させてサイドウォール10sw表面を変形させる。サイドウォール10swの変形とともに、ここに貼り付けられた表面ひずみ測定用シート1も変形するので、サイドウォール10sw表面における変形は、表面ひずみ測定用シート1表面の格子の変形として現れる。この変形した格子を、ステップS102と同様に被記録媒体52へ転写して、サイドウォール10swの変形後における格子パターン1i2(図5(d))を得る(ステップS103)。このようにして、サイドウォール10swの変形前後における格子パターン1i1及び1i2を取得する(図5(d))。
【0040】
サイドウォール10swの変形前後における格子パターン1i1及び1i2を取得したら、格子を読み取って各格子点の座標を求める(ステップS104)。次に、この座標のファイルを作成し(ステップS105)、作成した座標ファイルに基づいて測定対象の表面ひずみを計算する(ステップS106)。その後、計算結果を計算手段の表示手段へ表示し(ステップS107)、計算結果のファイルを作成して(ステップS108)、ゴム製品の表面ひずみの測定が終了する。
【0041】
次に、格子点の各座標を取得する手順について説明する。格子点とは、格子を構成する縦線と横線との交点である。図6は、実施の形態1に係る本発明のゴム製品の表面ひずみ測定装置を示す説明図である。また、図7は、実施の形態1に係る本発明の格子点の座標読み取り手順を示すフローチャートである。図6、7を用いて、格子点の座標読み取りについて説明する。
【0042】
被記録媒体51、52へ転写した格子パターン1i1及び1i2の格子点の各座標を、ゴム製品(タイヤ)の表面ひずみ測定装置50に備えられた格子パターン読み取り装置20によって読み取る。格子パターン読み取り装置20は、光学顕微鏡21とX方向及びY方向のスケールとを有する読み取りテーブル22から構成されている。被記録媒体51、52へ転写された格子パターンは、格子パターン拡大手段である光学顕微鏡21によって格子パターン1i1、1i2の転写像が拡大される(ステップS201)。拡大された転写像は、光学顕微鏡21の視野21s中に表示される。視野21s内には、X方向の基準線21XとY方向の基準線21Yとが示されている。
【0043】
読み取りテーブル22に取り付けられているハンドル22X及び22Yを動かすことによって、視野21s内に示された両基準線21Xと21Yとの交点Dに、格子点を重ねる。そして、交点Dと格子点とが重なったときのX座標及びY座標が、格子点のX座標及びY座標となる。読み取りテーブル22にはX方向及びY方向のスケールが内蔵されており、当該スケールの指示値は信号分岐ボックス24を介して表示器26へ実際の値として表示される。
【0044】
信号分岐ボックス24で受信したX方向及びY方向のスケールの指示値は、A/D変換器28へ取り込まれ、ここでディジタル信号に変換される。表面ひずみ計算手段30のデータ処理部30cは、A/D変換器28からディジタル変換された格子パターン1i1及び1i2の格子点の座標値を取得する(ステップS202)。次に、A/D変換における量子化誤差を取り除くため、予め求めた補正係数によって、取得した格子点のディジタル変換後における座標値を補正して量子化誤差を取り除き、当該座標値を表示器26に表示された実際の測定値と同じ値へ変換する(ステップS203)。
【0045】
図8は、格子パターンと格子点の各座標との関係を示す説明図である。同図に示すように、格子パターン1i1、1i2はM列の格子列から構成され、1列につきN個の格子からなる(M、Nは自然数)。このため、全格子点数は(M+1)×(N+1)となる。格子列1列について、N+1個の格子点に対するX及びY座標の値を読み込んでいない場合には(ステップS204:No)、同じ列における次の格子点に移動し(ステップS205)、1列におけるすべての格子点を読み取る。
【0046】
N+1個の格子点について各座標値の読み込みが終了したら(ステップS204:Yes)、M+1列すべての格子点を読み込んだか否かを判定する(ステップS206)。M+1列すべての格子点に関する座標値を読み込んでいない場合は(ステップS206:No)次の格子列へ移動し(ステップS207)、M+1列の格子列に対してN+1個の格子点を読み込む。M+1列に存在するすべての格子点に関する座標値を読み込んだら(ステップS206:Yes)、全座標のファイルを作成し、格子点の座標値読み取りが終了する。なお、タイヤ10の変形前における格子パターン1i1と、タイヤ10の変形後における格子パターン1i2とに対して格子点座標値を求め、変形前後における格子点座標のファイルを作成する。このファイルは、表面ひずみ計算手段30の記憶部30mや、外部記憶手段36に格納される。
【0047】
ここで、記憶部30mは、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。また、表面ひずみ計算手段30には、入力手段32が接続されており、これによって計算に必要なデータをデータ処理部30cや記憶部30mへ入力する。ここで、入力手段32には、キーボード、マウス等の入力デバイスを使用することができる。
【0048】
また、データ処理部30cは、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよい。表面ひずみ計算手段30に表示手段34を接続して、入力画像や計算結果等を表示させてもよい。この表示手段34には、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等を使用することができる。また、必要に応じてプリンタ(図示せず)を接続し、計算結果等を出力させてもよい。
【0049】
ここで、上述した格子点の各座標を取得する手順では、光学顕微鏡によるマニュアル操作によって格子位置を調整し、各格子点の座標を取得したが、例えばスキャナやCCDカメラのような光学読み取り装置によって格子パターン1i1、1i2を読み込んでもよい。そして、読み込んだ格子パターン1i1、1i2に対して二値化、及びエッジ抽出処理等の画像処理を施して各格子点の座標を特定し、これを取得することもできる。
【0050】
次に、表面ひずみの計算について説明する。図9は、実施の形態1に係る本発明の表面ひずみ計算手順を示すフローチャートである。また、図10は、格子点と座標との関係を示す説明図である。まず、タイヤ10の変形前における格子パターン1i1と、タイヤ10の変形後における格子パターン1i2に対して求めた格子点座標のファイルを、ひずみ計算手段30の記憶部30m等から読み出す(ステップS301)。そして、タイヤ10の変形前後における格子点座標のファイルを表面ひずみ計算手段30のデータ処理部30cへ読み込む(ステップS302、S303)。このファイルに記録されている各格子点の座標値に基づいて、タイヤ10の表面ひずみを計算する(ステップS304)。
【0051】
表面ひずみの計算においては、図10に示す格子上座標で各格子点の座標値を取り扱う。これは、絶対座標で計算すると、表面ひずみ測定用シート1の貼付精度や読み取り精度の影響を受けやすく、表面ひずみの測定精度を低下させるので、これらの影響を受け難い格子上座標で数値を取り扱う方が好ましいからである。格子▲1▼1、▲1▼2(図8参照)等の表面ひずみεは、数1によって求めることができる。数1中、(ui、vi)は各格子点の変位であり、格子点座標のファイルから読み込まれる。また、G、Hはそれぞれ数2及び3で表される。ここで(ξ、η)は、ひずみ座標算出用の格子座標であり、各格子中の0〜1の間の値をとる。このように、格子座標上で数値を取り扱うのは、絶対座標上での回転等を除去することができる。
【0052】
【数1】
Figure 0004307133
【0053】
【数2】
Figure 0004307133
【0054】
【数3】
Figure 0004307133
【0055】
数1〜3に、格子点座標のファイルから読みこまれる各格子点の変位(ui、vi)及びひずみ座標算出用の格子座標(ξ、η)を代入して、各格子における表面ひずみεを求める。表面ひずみ計算手段30の記憶部30m等には数1〜数3を実行するためのコンピュータプログラムが格納されており、データ処理部30cに当該コンピュータプログラムをロードすることにより、各格子点における表面ひずみεを計算することができる。なお、表面ひずみεを求める詳細な計算手順は、下記参考文献1及び2を参照されたい。
参考文献1:「The Finite Element Method-Linear Static and Dynamic Finite Element Analysis-」; Thomas J. R. Hughes著 Prentice-Hall Inc.
参考文献2:「Non-Linear Elastic Deformations」; R. W. Ogden著 Ellis Horwood Limited
【0056】
ここで、このコンピュータプログラムは、コンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせによって、本発明に係るゴム製品の表面ひずみ測定方法を実現できるものであってもよい。また、図6におけるデータ処理部30cの機能を実現するための上記プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより本発明に係る予測方法を実行してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
【0057】
各格子点の座標を読み込む際に、読み取りテーブル22上に載置された被記録媒体51(図6参照)等が傾いている場合があり、この傾きに起因して格子パターン1i1等に回転が生ずることがある。その結果、表面ひずみが発生していない場合でもひずみが発生しているものとして取り扱われるので、この回転を除去する必要がある。このために、格子座標を採用している。これにより、絶対座標ではなく格子上座標で表面ひずみを取り扱うことができるので、表面ひずみ測定用シート1の貼り付け誤差の影響を排除することができる。
【0058】
このテンソル計算は、表面ひずみ計算手段30の記憶部30m等にテンソル計算を実行するためのコンピュータプログラムを格納し、データ処理部30cに当該コンピュータプログラムをロードすることにより実行することができる。各格子の表面ひずみεを求めたら、ゴム製品の表面ひずみ測定装置50に備えられた表示手段34に結果を表示する(ステップS305)とともに、結果をファイルに保存して(ステップS306)、表面ひずみの計算が終了する。なお、回転ひずみを除去する詳細な計算手順については、上記参考文献1、2を参照されたい。
【0059】
以上、実施の形態1に係る本発明によれば、表面ひずみ測定用シートを表面ひずみの測定対象であるタイヤやゴム製品に貼り付けるので、表面に標識を記入する手間が省け、簡易に表面ひずみを測定できる。また、実施の形態1に係る本発明の表面ひずみ測定用シートは、格子の間隔を1mm以上2mm以下としているので、細かい間隔で表面ひずみを求めることができる。さらに、実施の形態1に係る本発明の表面ひずみ測定用シートは、硬度をJIS−K−6253 A硬度において40以上55以下、厚さを0.3mm以上1mm以下としているので、測定対象の表面を拘束しない。これにより、表面ひずみの測定精度を向上させることができる。また、絶対座標ではなく格子状座標で表面ひずみを計算するので、表面ひずみ測定用シートの貼り付け誤差等の影響を排除して、表面ひずみの測定精度を向上させることができる。
【0060】
また、表面ひずみ測定用シートを測定対象に貼り付け、格子パターンを転写することにより、測定対象の表面に沿った格子パターンを取得できる。これにより、タイヤのサイドウォールやホース表面等のように表面に曲率があり3次元的に変形する場合でも、精度よく表面ひずみを求めることができる。これは、特に変形量が大きい場合に有利である。また、測定対象の表面にケガキ線を描くと、測定対象の剛性が低下して正確な表面ひずみを求めることはできないが、本発明においては表面ひずみ測定用シートを測定対象に貼り付けるので、このような問題も発生しない。
【0061】
(実施例)
ここでは、実施の形態1で説明した表面ひずみの測定シート及び表面ひずみ測定方法を用いて、荷重が作用したタイヤのサイドウォールの表面ひずみを求めた。測定条件を表1に示す。
【0062】
【表1】
Figure 0004307133
【0063】
表1に示した条件で、タイヤのサイドウォールの表面ひずみを求めた。図11は、その結果を表した説明図である。同図に示すように、Y方向の表面ひずみεYは、サイドウォール中央部からビード部に向かって、引張ひずみから圧縮ひずみに変化することがわかる。X方向の表面ひずみεXはサイドウォール中央部からビード部の間で、引張ひずみであることがわかる。せん断ひずみγXYは、サイドウォール中央部からビード部の間で、圧縮ひずみから引張ひずみへ変化することがわかる。このように、本発明の表面ひずみの測定シート及び表面ひずみ測定方法によれば、精度よく表面ひずみを求めることができ、このときの処理誤差は2.5%以下である。
【0064】
(実施の形態2)
実施の形態1においては、タイヤを例によって本発明に係る表面ひずみの測定シート及び表面ひずみ測定方法を説明したが、本発明が適用できるゴム製品はタイヤに限られるものではない。実施の形態2においては、他の適用例として本発明に係る表面ひずみの測定シート及び表面ひずみ測定方法を、ホースに適用した例について説明する。図12は、ホースに本発明を適用した例を示す説明図である。ホース60の使用時においては、内圧の作用や曲げによってホース60には表面ひずみが発生する。この表面ひずみを測定するため、図12(a)に示すように、内圧及び曲がりが作用していないホース60の表面に、本発明の表面ひずみ測定用シート1を貼り付ける。このときの格子パターン1i1(図12(c))を、被記録媒体51に転写する。
【0065】
次に、ホース60に内圧Piや曲げを作用させる(図12(b))。そして、このときの格子パターン1i2(図12(c))を、被記録媒体52に転写する。ホース60の変形前後における格子パターン1i1、1i2から、実施の形態1で説明した本発明に係る表面ひずみ測定方法により、ホース60の表面ひずみを測定する。本発明においては、簡易に、かつ高い精度でホース60の表面ひずみを求めることができる。これにより、ホース破損等の設計要因を細かく把握することができる。
【0066】
(実施の形態3)
実施の形態2においては、他の適用例として本発明に係る表面ひずみの測定シート及び表面ひずみ測定方法を、コンベアベルトに適用した例について説明する。図13は、コンベアベルトに本発明を適用した例を示す説明図である。コンベアベルト62はプーリー66を通過する際に曲げを受け、また、プーリー66を通過しないときには引張又は圧縮を受ける。これらの曲げ、あるいは引張等によるコンベアベルト62の表面ひずみを求める。
【0067】
まず、コンベアベルト62に曲げ、あるいは引張等が作用していない状態で、本発明の表面ひずみ測定用シート1を貼り付け、コンベアベルト62の変形前における格子パターン1i1を被記録媒体51に転写する(図13(a))。次にコンベアベルト62がプーリー66の箇所で曲げを受けた場合における格子パターン1i2を被記録媒体52に転写する(図13(b))。そして、コンベアベルト62の変形前後における格子パターン1i1、1i2から、実施の形態1で説明した本発明に係る表面ひずみ測定方法により、コンベアベルト62の表面ひずみを測定する。本発明においては、簡易に、かつ高い精度でコンベアベルト62の表面ひずみを求めることができる。これにより、コンベアベルト破損等の設計要因を細かく把握することができる。
【0068】
(実施の形態4)
この実施の形態においては、他の適用例として本発明に係る構造体の力学的特性の予測方法を、防舷材に適用した例について説明する。図14は、防舷材に本発明を適用した例を示す説明図である。防舷材64は、内部に充填された高圧空気等の圧力により変形する。また、船舶と岸壁との間に挟まれて衝撃を緩和する際、防舷材64は変形する(図14(b))。このように、内圧による変形や衝撃緩和の際における変形に起因する防舷材64の表面ひずみを求める。
【0069】
まず、防舷材64に内圧や変形が作用していない状態で、本発明の表面ひずみ測定用シート1を貼り付け、防舷材64の変形前における格子パターン1i1を被記録媒体51に転写する(図14(a))。次に防舷材64に内圧が作用したり、衝撃を緩和する際に変形したりした場合における格子パターン1i2を被記録媒体52に転写する(図14(b))。そして、防舷材64の変形前後における格子パターン1i1、1i2から、実施の形態1で説明した本発明に係る表面ひずみ測定方法により、防舷材64の表面ひずみを測定する。本発明においては、簡易に、かつ高い精度で防舷材64の表面ひずみを求めることができる。これにより、防舷材破損等の設計要因を細かく把握することができる。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るゴム製品の表面ひずみ測定用シートは、測定対象のゴム製品よりも硬度が低く、表面には凸線又は凹線によって格子を構成した。そして、これを測定対象のゴム製品に貼り付けて使用するようにした。これにより、測定対象表面に標識を記入する必要はないので、ゴム製品の表面ひずみを簡易に測定することができる。また、このゴム製品の表面ひずみ測定用シートは、測定対象のゴム製品よりも硬度の低い材料で作られるので、ゴム製品の変形を正確に反映させて、表面ひずみの測定精度を向上させることができる。
【0071】
また、本発明に係るゴム製品の表面ひずみ測定方法は、表面に格子が形成され、かつ硬度が測定対象よりも低いゴム製品の表面ひずみ測定用シートをゴム製品に貼り付けることにより、ゴム製品の表面ひずみを測定するようにした。これにより、測定対象表面に標識を記入する必要はないので、ゴム製品の表面ひずみを簡易に測定することができる。また、測定対象のゴム製品よりも硬度の低い材料で作られるゴム製品の表面ひずみ測定用シートを使用するので、ゴム製品の表面の変形を正確に反映させて、表面ひずみの測定精度を向上させることができる。
【0072】
また、本発明に係るタイヤの表面ひずみ測定用シートは、表面に格子が形成され、かつ硬度がタイヤよりも低いタイヤの表面ひずみ測定用シートをタイヤに貼り付けて使用するようにした。これにより、タイヤ表面に標識を記入する必要はないので、タイヤの表面ひずみを簡易に測定することができる。また、このタイヤの表面ひずみ測定用シートは、測定対象のタイヤよりも硬度の低い材料で作られるので、タイヤ表面の変形を正確に反映させて、タイヤの表面ひずみの測定精度を向上させることができる。
【0073】
また、本発明に係るタイヤの表面ひずみ測定方法は、表面に格子が形成され、かつタイヤよりも硬度の低いタイヤの表面ひずみ測定用シートをタイヤに貼り付けて、表面ひずみを求めるようにした。これにより、タイヤ表面に標識を記入する必要はないので、タイヤの表面ひずみを簡易に測定することができる。また、この方法で使用するタイヤの表面ひずみ測定用シートは、測定対象のタイヤよりも硬度の低い材料で作られるので、タイヤの変形を正確に反映させて、表面ひずみの測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面ひずみの測定対象であるタイヤを、その回転軸を含む子午面で切った断面を示す一部断面図である。
【図2】実施の形態1に係る本発明のゴム製品の表面ひずみ測定用シートを示す説明図である。
【図3】実施の形態1に係るゴム製品の表面ひずみ測定用シートの変形例を示す説明図である。
【図4】実施の形態1に係る本発明のゴム製品のひずみ測定方法を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1に係る本発明のゴム製品のひずみ測定方法の手順を示す説明図である。
【図6】実施の形態1に係る本発明のゴム製品の表面ひずみ測定装置を示す説明図である。
【図7】実施の形態1に係る本発明の格子点の座標読み取り手順を示すフローチャートである。
【図8】格子パターンと格子点の各座標との関係を示す説明図である。
【図9】実施の形態1に係る本発明の表面ひずみ計算手順を示すフローチャートである。
【図10】格子点と座標との関係を示す説明図である。
【図11】その結果を表した説明図である。
【図12】ホースに本発明を適用した例を示す説明図である。
【図13】コンベアベルトに本発明を適用した例を示す説明図である。
【図14】防舷材に本発明を適用した例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ゴム製品の表面ひずみ測定用シート(タイヤの表面ひずみ測定用シート、表面ひずみ測定用シート)
1B シート基材
1i1、1i2 格子パターン
3 凸線
3' 凹線
1、52 被記録媒体
10 タイヤ
10sw サイドウォール
20 格子パターン読み取り装置
21 光学顕微鏡
30 表面ひずみ計算手段
50 ゴム製品の表面ひずみ測定装置(タイヤの表面ひずみ測定装置)

Claims (10)

  1. 測定対象のゴム製品よりも硬度の低い材料のシート状基材と、
    当該基材の一方の面に形成した、断面が三角形状の線によって構成した格子とを有し、
    前記格子が形成された面の反対面と測定対象の表面とが貼り合わされて、測定対象表面の変形を前記格子の変形に変換することを特徴とするゴム製品の表面ひずみ測定用シート。
  2. 前記シート基材の硬度はJIS−K−6253 A硬度において40以上55以下で厚さは0.3mm以上1mm以下、さらに前記格子の間隔は1mm以上2mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のゴム製品の表面ひずみ測定用シート。
  3. 前記凸線又は前記凹線の幅は0.1mm以上0.5mm以下であり、また、前記凸線又は前記凹線の高さ又は深さは0.1mm以上0.5mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム製品の表面ひずみ測定用シート。
  4. 測定対象のゴム製品よりも硬度の低い材料で作られ、かつ一方の面に形成された、断面が三角形状の線によって格子が構成された測定用シートを、前記格子が形成された面とは反対面と測定対象表面とを対向させて貼り付ける工程と、
    前記測定対象の変形前後における格子面を被記録媒体に転写することで前記測定対象の変形前後における格子パターンを取得する工程と、
    前記被記録媒体に転写した格子パターンから、前記測定対象の変形前後における格子パターンの格子点座標を取得する工程と、
    前記格子点座標から各格子のひずみを算出して測定対象の表面ひずみを求める工程と、
    を含むことを特徴とするゴム製品の表面ひずみ測定方法。
  5. 前記格子パターンを取得する工程においては、着色材を塗布した前記格子を前記被記録媒体に転写することを特徴とする請求項4に記載のゴム製品の表面ひずみ測定方法。
  6. タイヤのゴム材料よりも硬度の低い材料のシート状基材と、
    当該基材の一方の面に形成した、断面が三角形状の線によって構成した格子とを有し、
    前記格子が形成された面の反対面と前記タイヤの測定部分における表面とが貼り合わされて、前記タイヤの測定部分の表面における変形を前記格子の変形に変換することを特徴とするタイヤの表面ひずみ測定用シート。
  7. 前記シート基材の硬度はJIS−K−6253 A硬度において40以上55以下で厚さは0.3mm以上1mm以下、さらに前記格子の間隔は1mm以上2mm以下であることを特徴とする請求項6に記載のタイヤの表面ひずみ測定用シート。
  8. 前記凸線又は前記凹線の幅は0.1mm以上0.5mm以下であり、また、前記凸線又は前記凹線の高さ又は深さは0.1mm以上0.5mm以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載のタイヤの表面ひずみ測定用シート。
  9. タイヤのゴム材料よりも硬度の低い材料で作られ、かつ一方の面に形成された、断面が三角形状の線によって格子が構成された測定用シートを、前記格子が形成された面とは反対面とタイヤの測定対象表面とを対向させて貼り付ける工程と、
    前記タイヤの変形前後における格子面を被記録媒体に転写することで前記タイヤの変形前後における格子パターンを取得する工程と、
    前記被記録媒体に転写した格子パターンから、前記タイヤの変形前後における格子パターンの格子点座標を取得する工程と、
    前記格子点座標から各格子のひずみを算出して前記タイヤの測定対象表面における表面ひずみとする工程と、
    を含むことを特徴とするタイヤの表面ひずみ測定方法。
  10. 前記格子パターンを取得する工程においては、着色材を塗布した前記格子を前記被記録媒体に転写することを特徴とする請求項9に記載のタイヤの表面ひずみ測定方法。
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