JP2012251291A - 下地コンクリート表面の凹凸記録方法及び凹凸評価方法 - Google Patents

下地コンクリート表面の凹凸記録方法及び凹凸評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な方法で、外装材を貼付する下地コンクリート表面の凹凸状態を正確に、保存性のよい画像情報として記録しうる下地コンクリート表面の凹凸記録方法及び、下地コンクリート表面の凹凸を定量的に評価しうる下地コンクリート表面の凹凸評価方法を提供する。
【解決手段】支持体上に電子受容性顕色剤を含む顕色剤含有層20と電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルを含有するマイクロカプセル層14とを備える感圧記録シート10を、外装材を貼付する下地コンクリート30表面に配置する感圧記録シート配置工程と、前記感圧記録シート10に圧力を加えて感圧記録シートを発色させる感圧記録シート発色工程と、を有する下地コンクリート表面の凹凸記録方法である。
【選択図】図3

Description

本発明は、タイル、煉瓦などの外装材を貼付する下地コンクリート表面の凹凸を記録する下地コンクリート表面の凹凸記録方法、及び、該記録方法により得た凹凸の状態を評価する下地コンクリート表面の凹凸評価方法に関するものである。
建築分野においては、中低層マンションを始めとする各種建築物で建築物の付加価値を高めるため、外観を改良することが重要であり、建築物の表面にタイル、煉瓦などの外装材を貼付する方法が広く普及している。外装材は建築物などの区体を構成する下地コンクリート表面にモルタルなどの接着層を設け、接着層を介して外装材を貼付する方法は一般的である。
しかし、貼付した外装材は施工後の経年変化により剥離や剥落が発生することがあり、剥離や剥落が発生した場合には、外観品質維持や通行人等の安全確保などの観点から問題となる。
外装材の剥離や剥落は、施工時のコンクリートやモルタルの乾燥歪みの差や、施工後の経年による温度や湿度の繰り返し変化により蓄積されるコンクリートと外装材との間の弾性率の相違に起因する歪みなど、所謂ディファレンシャルムーブメントに起因することが多いことが知られており、それらを改善するための様々な研究が建築業界を中心に行われている。
剥離や剥落を軽減し、或いは防止するためには、外装材の接着強度を高めることも重要である。一般的に接着強度は接着層自身の接着力や保持力だけでなく、下地との接触面積も重要な因子であることが知られている。そのため、下地となる打設後の平滑なコンクリート表面を様々な方法で粗面化して溝状の凹部を形成することでコンクリートの表面積を高める方法が用いられている。
コンクリートの粗面化は、例えば、機械的に金属ブラシなどで物理的に表面を削って粗面化する方法、高圧水、超高圧水処理により粗面化する方法、アルカリ剤などを適用して化学的に粗面化する方法などが挙げられるが、近年では、処理の均一性、簡易性などの観点から、高圧水、超高圧水処理による方法が汎用されている。
粗面化の程度は主に目視によりその良否が判定されているのが現状であるが、現場におけるコンクリートの表面強度は必ずしも一定でないこと、過度の粗面化はコンクリート自体の強度を低下させる懸念があること、等の問題があり、下地コンクリート表面の粗面化において、接着性及び接着耐久性を確保する最適な凹凸となっているか否かの判定が困難であり、施工現場において下地コンクリート表面の凹凸を正しく記録し、必要な分析機器による評価に供する方法が求められている。
コンクリート表面の凹凸評価方法として、コンクリート表面に金属箔を押し当ててその表面状態を金属箔に型押しして写し取り、該金属箔を試験体として光沢度を光沢度計により測定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、金属箔に凹凸状態が転写されるが、微細な凹凸を正しく転写するためには充分に薄い金属箔が必要であり、これをコンクリート表面から剥離する際に変形すると凹凸の状態が正しく記録されないことがあり、取り扱い性に劣っていた。
特開2009−24468号公報
上記問題点を考慮してなされた本発明の目的は、簡易な方法で、外装材を貼付する下地コンクリート表面の凹凸状態を正確に、保存性のよい画像情報として記録しうる下地コンクリート表面の凹凸記録方法を提供することにある。また、本発明のさらなる目的は、現場における下地コンクリート表面の凹凸を定量的に評価しうる下地コンクリート表面の凹凸評価方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、高感度の感圧記録シートを用いることで上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。本発明の構成は以下に示すとおりである。
<1> 支持体上に電子受容性顕色剤を含む顕色剤含有層と電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルを含有する染料前駆体層とを備える感圧記録シートを、外装材を貼付する下地コンクリート表面に配置する感圧記録シート配置工程と、前記感圧記録シートに圧力を加えて感圧記録シートを発色させる感圧記録シート発色工程と、を有する下地コンクリート表面の凹凸記録方法。
<2> 前記感圧記録シート発色工程が、感圧記録シートを打撃治具で叩く工程である<1>に記載の下地コンクリート表面の凹凸記録方法。
<3> 前記感圧記録シート発色工程が、感圧記録シートを、擦過治具で擦過する工程である<1>に記載の下地コンクリート表面の凹凸記録方法。
<4> 前記感圧記録シートが、支持体上に電子受容性顕色剤を含む顕色剤含有層を備える第1のシートと、支持体上に電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルを含有する染料前駆体層を備える第2のシートからなる感圧記録シートである<1>〜<3>のいずれか1項に記載の下地コンクリート表面の凹凸記録方法。
<5> <1>〜<4>のいずれか1項に記載の下地コンクリート表面の凹凸記録方法において発色した感圧記録シートの画像情報を2値化処理する工程を有する下地コンクリート表面の凹凸評価方法。
<6> 前記2値化した感圧記録シートの画像情報より、下地コンクリート表面の凹部の面積率を算出し、予め定められた表面粗さの最適値である表面凹部の面積率と比較して、凹凸の適否を判断する<5>に記載の下地コンクリート表面の凹凸評価方法。
請求項の言葉の定義
本発明によれば、簡易な方法で、外装材を貼付する下地コンクリート表面の凹凸状態を、正確に、且つ保存性よく記録しうる下地コンクリート表面の凹凸記録方法を提供することができる。
また、本発明によれば、現場における下地コンクリート表面の凹凸を定量的に評価しうる下地コンクリート表面の凹凸評価方法を提供することができる。
本発明の記録方法、評価方法に使用される感圧記録シートの一態様を示す概略断面図である。 本本発明の記録方法、評価方法に使用される感圧記録シートの別の態様を示す概略断面図である。 本発明の記録方法の第1の態様を工程順に示す概略図である。 本発明の記録方法の第1の態様に用いるハンマーを示す側面図である。 本発明の記録方法の第2の態様を工程順に示す概略図である。 (A)は本発明の記録方法により得た下地コンクリート表面の凹凸を記録した感圧記録シートの発色画像であり、(B)は(A)とは別の下地コンクリート表面の凹凸を記録した感圧記録シートの発色画像である。 (A)は図6(A)で得た発色画像を2値化した画像であり、(B)は図6(B)で得た発色画像を2値化した画像である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
〔下地コンクリート表面の凹凸記録方法〕
本発明の下地コンクリート表面の凹凸記録方法は、支持体上に電子受容性顕色剤を含む顕色剤含有層と電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルを含有する染料前駆体層とを備える感圧記録シートを、外装材を貼付する下地コンクリート表面に配置する感圧記録シート配置工程と、前記感圧記録シートに圧力を加えて感圧記録シートを発色させる感圧記録シート発色工程と、を有することを特徴とする。
即ち、本発明の記録方法によれば、巨視的には平滑な表面に存在している微細な傷や溝などの凹部の投影方向の形状が画像情報として簡易に感圧記録シートに保存性よく記録されるものであり、本発明の記録方法により記録された画像情報は、後述する下地コンクリート表面の凹凸評価方法により2値化処理し、演算することで、下地コンクリート表面の凹部の面積率が算出され、凹凸における面積比が定量化されて下地コンクリート表面の凹凸状態が客観的かつ定量的に評価されるものである。
本発明の下地コンクリート表面の凹凸記録方法が適用される下地コンクリートは、建築物の外壁、内壁、天井、床などや屋外に配置されるベンチ、オブジェなどの駆体を構成するコンクリートであって表面に接着剤を介して外装材が貼付される下地を形成するものであればいずれにも適用される。
ここで、外装材としては、タイル、レンガ、石材などが挙げられる。また、外装材の貼付に用いられる接着剤としては、適用箇所、貼付される外装材のサイズや重量、必要とされる耐久性等を考慮して適宜選択されるが、例えば、モルタル、コンクリート用接着剤、タイル用接着剤、コンクリートボンドなどが挙げられる。
まず、外装材を貼付しようとする下地コンクリート表面を粗面化して凹凸を形成する。粗面化により表面積を向上させ、接着剤との接着がより強固なものとなる。
粗面化は公知の方法で行われ、例えば、金属ブラシによる切削、高圧水の吐出、アルカリ剤処理など、いずれも使用されるが、後処理が不要であり、簡易で均一性に優れることから高圧水処理が汎用される。高圧水処理の処理条件は、ノズルの形状や数、水の吐出圧、処理速度などを選択することで適宜調整され、吐出圧20MPa〜300MPa、処理速度1分/m〜5分/m程度で行われる。
また、処理対象の下地コンクリート強度にばらつきがある場合には、粗面化処理は、コンクリート強度との関係において処理工程を変更することで表面粗さを均等にすることも可能である。
以下、本発明の記録方法をその工程に従って詳細に説明する。
<感圧記録シート配置工程>
本工程は、支持体上に電子受容性顕色剤を含む顕色剤含有層と電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルを含有する染料前駆体層とを備える感圧記録シートを、外装材を貼付する下地コンクリート表面に配置する工程である。
図1は、本発明の記録方法に用いうる感圧記録シート10の構成を示す概略断面図である。
図1に示す感圧記録シート10は、一対の支持体12、18の一方である支持体12上に電子供与性染料前駆体(以下、発色剤ともいう)を内包するマイクロカプセル層14を形成した第1のシート(電子供与性染料前駆体塗布シート、以下、発色剤塗布シートともいう)11と、他方の支持体18上に、電子受容性顕色剤含有層(以下単に顕色剤含有層ともいう)20を備える第2のシート16からなる。通常は、第1のシート11と第2のシート16とを別に保存するか、或いは、マイクロカプセル層14と顕色剤含有層20との間に保護シート(図示せず)を挟むことで、所望されない発色が防止される。
感圧記録シート10に用いられる一対の支持体12、18は、プラスチックフィルム、金属箔、紙、レジンコーテッド紙、合成紙などが用いられ、必要な強度があり、柔軟性を有するシートであれば、いずれも用いることができる。上記柔軟性、圧力付与手段による圧力の伝達を損なわない限り支持体の厚みには特に制限はないが、一般的には50μm〜500μmの範囲が好ましい。
第1のシート11におけるマイクロカプセル層14は、電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルを含有する層である。通常は、発色剤を油に溶解させた溶液をマイクロカプセル化したものを塗布してマイクロカプセル層14を形成する。発色を損なわない限りバインダーを用いて層形成してもよい。
発色剤は、電子受容性顕色剤(以下単に顕色剤という)との反応で発色する化合物である。これらの発色剤および顕色剤については、例えば、特公昭57−24852号公報、特公昭59−16654号公報等多数の文献により公知であり、詳細な内容はこれらの文献から知ることができる。
発色剤は油に溶解される。ここに用いる油も前記文献等に公知であり、例えば合成油、天然油などが用いられる。このように発色剤を溶解した溶液は公知のマイクロカプセル化法によってマイクロカプセル化される。例えばコアセルベーション法、界面重合法、内部重合法、外部重合法などが知られている。
このマイクロカプセル化した溶液(マイクロカプセル塗布液)はカプセル分散液であるから、そのまま支持体12に塗布することにより、マイクロカプセル層14を形成することができる。マイクロカプセルはハンマーなどの打撃治具による打撃、或いは、こてなどの擦過治具による擦過等により圧力を付与した時に容易に破壊できる程度の強度に調整される。そのような観点から、マイクロカプセルは、例えば0.02MPa〜10MPa程度の圧力で破壊が可能なものが望ましい。
第2のシート16は記録シートであり、支持体18表面に、顕色剤を含む層20を備える。顕色剤は、前記発色剤との関係で選択され、無機固体酸または有機合成物のどちらを採用しても構わない。顕色剤については前記のように先行文献などにより公知である。
このような発色剤塗布シート(第1のシート)11および記録シート(第2のシート)16からなる感圧記録シート10は、市販品としても入手可能であり、例えば、富士フイルム株式会社製、圧力測定フィルム「プレスケール」(商品名)の超低圧用や低圧用のもの、富士フイルム株式会社製、「感圧紙」(商品名)などを適宜使用可能であるが、これに限定されるものではなく、所定の圧力や衝撃圧の印加により判別可能な濃度に発色するものであればいずれのものを用いてもよい。
図2は、本発明の記録方法に用いうる感圧記録シート10の別の態様を示す概略断面図である。
本実施形態の感圧記録シート22は、支持体24の片面に顕色剤含有層20とマイクロカプセル層14とを重層してなる記録層を備える。なお、支持体24上の記録層として、マイクロカプセル層14が支持体24側に設けられ、その表面に顕色剤含有層20を設けてもよく、マイクロカプセル層14と顕色剤含有層20との形成順は任意である。
一層型の感圧記録シートを用いる場合、評価対象である下地コンクリート表面、或いは打撃治具、擦過治具等の圧力付与手段への発色材料の転写を防ぐため、該感圧記録シートと圧力付与手段との間に薄いフィルムを挟んでもよい。
このように、本発明の記録方法に用いられる感圧記録シートは、図1に示すような2枚のシートからなる分離型の感圧記録シート10であっても、支持体上にマイクロカプセル層14と顕色剤含有層20とを備える、図2に示すような一層型の感圧記録シート22であってもよいが、高感度の感圧記録シートを用いる場合には、使用時までに例えば、施工者が触れたり、圧力を受けて折れ曲がったりしたときに所望されない発色が生じる懸念が少なく、測定対象領域への色素転写の懸念がない分離型を用いることが好ましい。
記録方法の第1の態様として、発色剤塗布シート(第1のシート)11と記録シート(第2のシート)16からなる分離型の感圧記録シートを用いた場合を例に挙げて、図3に従って説明する。
図3(A)は、本工程を示す概略図である。まず、発色剤塗布シート11のマイクロカプセル層14と記録シート16の顕色剤含有層20が対向接触するように重ねた感圧記録シートを、表面凹凸形状を採取すべき下地コンクリート30の表面に配置する。下地コンクリート30表面には、凹部32が模式的に示される。即ち、凹部32は、採取、記録すべき傷や溝などを表す。下地コンクリート表面が駆体の壁面で地面に対し垂直な面を有する場合には、感圧記録シートの隅などの一部を、接着層を有するテープなどを用いて固定化してもよい。
重層の記録層を有する一層型の感熱記録シート22を用いる場合には、記録層側を下地コンクリート30の表面に接触させればよい。
<感圧記録シート発色工程>
本工程は、前記下地コンクリート30の表面に配置した感圧記録シートに圧力を加えて感圧記録シートを発色させる工程である。
第1の形態では、図3(B)に示すように、打撃治具であるハンマー34で表面凹凸形状像を採取すべき面を一様に順次打撃して、感圧記録シートに応力を加える。
加圧することで、下地コンクリート30の表面のうち傷や溝などの凹部32が無い部分ではハンマーで印加した圧力によりマイクロカプセル層14のマイクロカプセルが破壊され、その中の発色剤を溶解した溶液が記録シート16の顕色剤含有層20に転写され発色剤と顕色剤の化学反応によって顕色剤が発色した領域26が形成される。
一方、凹部32の部分では印加した力に対する抗力が生じないためマイクロカプセル層14は加圧されず前記のような発色は起きないため、図3(C)に示すように、粗面化により形成された凹部32の領域は未発色で下地コンクリートの凹部の存在しない領域が発色領域26となり、例えば、図6(A)のような発色画像が形成される。
第1の形態では、ハンマー34で表面凹凸形状像を採取すべき面を一様に順次打撃するが、圧力付与手段はこれに限定されず、後述するように、適度な強度と弾性を有する擦過治具で順次擦過したり、弾性体を押し当てて加圧したりしてもよい。
図4は、打撃治具として本発明の記録方法に好適に使用されるハンマー34の形態を示す側面図である。ハンマー34は、下地コンクリート30表面の凹凸を高感度に反映させるとともに、コンクリートの巨視的な凹凸(表面のうねり)に追従しうるという観点から、適度の弾性を有する素材、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどの合成ゴム、天然ゴム、エラストマー、軟質合成樹脂、コルク材などで形成されるハンマーヘッドを備えることが好ましい。
打撃時に感圧記録シートと接触するハンマーヘッドの底面は、打撃時の角当たりを防ぎ円形状に広く発色させるために一定の凸状の曲率を有しているものが好ましく、曲率半径は好ましくは30mmから250mm、より好ましくは50mmから150mmである。
ハンマーヘッドの底面が平面であると、打撃時に角当たりが生じて、ハンマーヘッドの角部である円弧状にしか発色しない懸念があるためである。
図4に示すハンマーヘッドの直径(L)を45mmとしたとき、局面の頂部から隅部までの距離(y)が1mm〜10mmであることが好ましく、上記曲率半径を考慮すれば、さらに好ましくは、yが2mm〜3mmの範囲である。
(最適な範囲)
L=45mm, y=2mm ⇒ R=128mm
L=45mm, y=3mm ⇒ R=85.9mm
(良好な範囲)
L=45mm, y=1mm ⇒ R=253mm
L=45mm, y=4mm ⇒ R=65.3mm
L=45mm, y=7mm ⇒ R=39.7mm
L=45mm, y=10mm ⇒ R=30.3mm
次に、本発明の記録方法の第2の態様について説明する。
図5(A)〜(C)は、本発明の記録方法の第2の態様を示す概略図である。図5(A)は、前記した感圧記録シート配置工程を示すものであり、図3(A)と同様に行われる。
図5(B)では、下地コンクリート30上に配置された感圧記録シートへの圧力付与手段として擦過治具である弾性を有するへら36で擦る手段を用いている。
へら36による圧力付与によっても、ハンマー34を用いた場合と同様、傷や溝などの凹部32が無い部分ではへら36で印加した圧力によりマイクロカプセル層14のマイクロカプセルが破壊され、発色剤と顕色剤含有層20との化学反応によって顕色剤が赤色に発色する発色領域26が形成され、凹部32の部分では印加した力に対する抗力が生じないためマイクロカプセル層14は加圧されず前記のような発色は起きない。このようにして、図5(C)に示すように、第1の態様と同様の発色画像が形成される。
擦過治具はへら36に限定されず、コテや角材などであってもよいが、加圧の均一性の観点からは、感圧記録シートとの接触部分が、ハンマーヘッドの項において述べた如き適度の弾性を有している材料で形成されるものが好ましい。また、作業性の観点からは、感圧記録シートとの摩擦が小さいものが好ましく、そのような観点からは、感圧記録シートとの接触部分が天然ゴムよりも合成ゴム、特には、ウレタンゴムやシリコーンゴムで形成されるものが好ましい。
圧力付与手段として、ハンマーなどの打撃治具による打撃、へら、コテなどの擦過治具による擦過には限定されず、静圧印加手段を執ることもできる。静圧印加手段としては、弾性層を有する押圧治具により均一に面圧を掛ける方法、半円形の治具を回転させながら面圧を掛ける方法等が挙げられる。
打撃治具、擦過治具、押圧治具のいずれにおいても、感圧記録シートとの接触面部材として合成ゴム、天然ゴム、エラストマー、コルク材など一定の弾性を有している材料で構成させる部材を備えることが望ましい。弾性を有していれば、平板あるいは角柱などを擦過治具や押圧治具として使用することもできる。
このようにして、図6(A)、(B)に示すような発色画像が形成され、下地コンクリート表面の凹凸状態が正確に記録される。感圧記録シートに形成された発色画像は、強い圧力を付与しない限り安定であり、記録した発色画像の保存性に優れる。
〔下地コンクリート表面の凹凸評価方法〕
本発明の下地コンクリート表面の凹凸評価方法では、前記本発明の下地コンクリート表面の凹凸記録方法により得られた画像を分析、評価する。即ち、前記本発明の下地コンクリート表面の凹凸記録方法において発色した感圧記録シートの画像情報を2値化処理する工程を有することを特徴とする。
また、本来の目的、即ち、下地コンクリート表面の凹凸を制御することにより、外装材を貼付する接着剤との密着性、密着耐久性を向上させるために、さらに、前記2値化した感圧記録シートの画像情報より、凹部の面積率を算出し、予め定められた表面粗さの最適値である凹部の面積率と比較して、凹凸の適否を判断する工程を行うことが好ましい。
本実施形態では、密着性向上に最適な下地コンクリート表面の凹部の面積を予め定め、これと実際に測定された凹部の面積率とを対比して評価を行い、最適値の範囲内にある場合には、次工程である接着剤塗布工程、外装材貼付工程を行えばよく、また、最適値の範囲を大きく外れる場合には適切な方法で再度粗面化を行えばよい。
下地コンクリート表面の凹部の面積の最適範囲は、下地コンクリートの材料、接着剤の種類、貼付される外装材のサイズや重量、必要とされる耐久性などにより適宜決定すればよい。凹部の面積が少なすぎると表面積向上による密着性向上効果が不十分となり、多すぎると下地コンクリート表面の損傷を招き、結果として外装材の貼着安定性が低下する懸念がある。
本発明の記録方法により得られた表面の凹凸を反映した発色画像は取り扱い性に優れ、そのまま搬送して2値化の分析装置により分析され、凹部の面積率が測定される。また、2値化されたデータにより、凹部の形状や形成密度なども画像解析により検知しうるためその応用範囲は広い。
画像の2値化には公知の手段を用いることができる。
2値化は基本的にはある閾値(しきい値)を設定し、画像の値が閾値以上の場合は1、それ以外の場合は0にする変換であるが、2値化のための閾値設定の方法として、例えば、直接、閾値を設定するか、或いは、2値化の結果を見ながら試行錯誤によって閾値を決定する方法、濃度が低い領域と濃度が高い領域で、それぞれの出現頻度がグラフ上で2つの山(ピーク)を有する場合に、その山と山の間の谷(最低値)となったところを閾値として設定するモード法、対象物と背景の違いが際立つように閾値を決める判別分析法、個々の画像毎の近傍での局所的な発色濃度の平均値同士を比較して閾値を求める移動平均法などがある。
なお、後述する本発明の実施例では、未発色部分を0、発色部分を1とするように設定した閾値を用いて2値化を行っている。
本発明においては、感圧記録シートを用いることで、現場において下地コンクリート表面の凹凸を簡易に記録することができ、記録された発色画像は安定性に優れることから様々な分析手段を用いて、表面の凹凸状態を評価することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕
評価対象として、年輪凹凸形状的に粗面化された下地凹凸を測定した。
感圧記録シートとして、富士フイルム株式会社製圧力測定フィルム「プレスケール」超低圧用を用いた。
まず、図3(A)に示すように、感圧記録シートを下地コンクリート表面に配置する(感圧記録シート配置工程)。
次に、図3(B)に示すように、ゴム硬度が約65度であるゴムのハンマーヘッド部を有するゴムハンマー34で、下地コンクリート表面に配置した感圧記録シートを順次打撃して感圧記録シートに圧力を付与して、図3(C)に示すように感圧記録シートを発色させ、図6(A)に示すような発色画像を得た(感圧記録シート発色工程)。
なお、ここで用いたゴムハンマー34における直径と曲率半径を以下に示す。
L=45mm、y=2mm 曲率半径:R=128mm
次に、上記で得られた発色画像〔図6(A)〕の画像情報を2値化処理して図7(A)に示すような処理画像を得た。2値化は、富士フイルム(株)製プレスケール圧力画像解析システムFPD−9270を用い、白黒の2値化処理を行ったものである。
得られた2値化画像データより算出した下地コンクリート表面の凹部の面積比は13%であった。
〔実施例2〕
下地コンクリートとして表面を粗面化していないものを用いた。感圧記録シートとして、実施例1と同様に、富士フイルム株式会社製圧力測定フィルム「プレスケール」超低圧用を用いた。
まず、図5(A)に示すように、感圧記録シートを下地コンクリート表面に配置する(感圧記録シート配置工程)。
その後、図5(B)に示すように、軟質プラスチック製へら36で感圧記録シート表面を擦ることで感圧記録シートに圧力を付与して、図5(C)に示すように感圧記録シートを発色させ、図6(B)に示す発色画像を得た(感圧記録シート発色工程)。
次に、上記で得られた発色画像〔図6(B)〕の画像情報を2値化処理して図7(B)に示す処理画像を得た。2値化は実施例1と同様に行った。
得られた2値化画像データを目視で観察したところ、図7(B)に示すようにひび割れが発生しており、粗面化されていないために殆どの領域が発色していた。該2値化画像より算出した下地コンクリート表面の凹部の面積比は3%であった。
以上より、本発明の評価法によれば、簡易な方法で下地コンクリート表面の凹凸を適切に評価しうることがわかる。
10 感圧記録シート(分離型)
11 第1のシート(電子供与性染料前駆体塗布シート)
16 第2のシート(記録シート)
12、18、24 感圧記録シート支持体
14 電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセル層(発色剤層)
20 電子受容性顕色剤含有層(顕色剤含有層)
30 下地コンクリート
32 下地コンクリート表面の凹部
34 ゴムハンマー(打撃治具)
36 プラスチック製へら(擦過治具)

Claims (6)

  1. 支持体上に電子受容性顕色剤を含む顕色剤含有層と電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルを含有する発色剤層とを備える感圧記録シートを、外装材を貼付する下地コンクリート表面に配置する感圧記録シート配置工程と、前記感圧記録シートに圧力を加えて感圧記録シートを発色させる感圧記録シート発色工程と、を有する下地コンクリート表面の凹凸記録方法。
  2. 前記感圧記録シート発色工程が、感圧記録シートを打撃治具で叩く工程である請求項1に記載の下地コンクリート表面の凹凸記録方法。
  3. 前記感圧記録シート発色工程が、感圧記録シートを擦過治具で擦過する工程である請求項1に記載の下地コンクリート表面の凹凸記録方法。
  4. 前記感圧記録シートが、支持体上に電子受容性顕色剤を含む顕色剤含有層を備える第1のシートと、支持体上に電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルを含有する発色剤層を備える第2のシートからなる感圧記録シートである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の下地コンクリート表面の凹凸記録方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の下地コンクリート表面の凹凸記録方法において発色した感圧記録シートの画像情報を2値化処理する工程を有する下地コンクリート表面の凹凸評価方法。
  6. 前記2値化した感圧記録シートの画像情報より、下地コンクリート表面の凹部の面積率を算出し、予め定められた表面粗さの最適値である表面凹部の面積率と比較して、凹凸の適否を判断する請求項5に記載の下地コンクリート表面の凹凸評価方法。
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