JP4307016B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー複写機やカラープリンタ等の中間転写体を備える画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カラー画像の形成を行うことができる画像形成装置の需要が増大しており、(1)低ランニングコスト、(2)小スペース、(3)低電力、(4)高画質、(5)ハイスピード、(6)操作性向上、(7)メディアフレキシビリティーの7項目が達成できる画像形成装置の投入が期待されている。
【0003】
従来より、(7)メディアフレキシビリティーであり、且つ、(4)高画質のカラー画像を提供する中間転写体を備える画像形成装置が知られている。
【0004】
この画像形成装置では、より高画質のカラー画像を提供するために、感光体ドラムから中間転写体への1次転写時の転写性及び再転写性を改善することが求められている。これを改善するために、感光体ドラムの周速度と中間転写体速度とに周速度差をつけて、微小に中間転写体速度の方を速く駆動することにより、静電気的な転写以外に感光体ドラム上のトナー像を機械的に引き剥がして中間転写体上に転写させる効果を狙った方式を採用する画像形成装置がある。
【0005】
この方式を採用した画像形成装置では、1次転写時の転写性という点において、より高画質なカラー画像を提供することが可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の画像形成装置は、感光体ドラムと中間転写体との間に周速度差を設けており、且つ中間転写体速度の方が感光体ドラム周速度よりも速くなるように構成されているため、図8に示すように感光体ドラムには、中間転写体より感光体ドラムの回転方向に常に接線力F=μN(μ:動摩擦係数、N:垂直抗力)が作用している。
【0007】
この条件下において、感光体ドラム上の現像トナーが中間転写体との1次転写ニップ部に突入すると、感光体ドラムと中間転写体との間の動摩擦係数μが急変して、ほぼ0になり、感光体ドラムは作用している前記接線力Fから開放される。この瞬間に感光体ドラムには接線力Fの開放による回転変動が発生し、感光体ドラムの周面上では潜像を作像しているレーザーの書き込みムラが生じて、ライン間隔が縮まる。これにより上記従来の構成では、前述したレーザーの書き込みムラによって実画像先端から感光体ドラムの周面上における露光転写間距離(図9中のJ)の位置に横スジが発生してしまうという問題があった。
【0008】
特に、4色のプロセスカートリッジそれぞれによって形成された各色のトナー像が中間転写体上に載ってトナーの載り量が多くなると感光体ドラムの回転変動が顕著になって実画像上の横スジが悪化する傾向にある。
【0009】
本発明では、像担持体から中間転写体への1次転写時の転写性及び再転写性を改善しつつ、且つ、横スジの発生しない高画質のカラー画像を形成することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像形成装置は、着脱自在な像担持体を有するプロセスカートリッジと、該像担持体上に潜像を形成する露光手段と、前記露光手段により形成された潜像に基づいてトナー像を形成する現像手段と、該像担持体上の各色のトナー像を順次重ねて転写する中間転写体とを備え、該像担持体の周速度と該中間転写体の速度とが異なる速度でそれぞれ駆動される画像形成装置において、前記露光手段が実画像に対応する潜像を形成する像担持体上の露光開始位置よりも、前記露光手段により潜像を形成される像担持体上の露光位置と前記中間転写体にトナー像が転写される像担持体上の転写位置との間の前記像担持体の外周に沿った距離以上前の位置から、前記実画像の後端まで、前記実画像とは別のユーザの目視限界を下回る低印字率のトナー像に対応する潜像を形成すると共に前記現像手段が前記露光手段により形成された潜像に基づいて前記低印字率のトナー像を形成することを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項2記載の画像形成装置は、着脱自在な像担持体を有する複数のプロセスカートリッジと、該像担持体上に潜像を形成する複数の露光手段と、前記露光手段により形成された潜像に基づいてトナー像を形成する複数の現像手段と、該像担持体上の各色のトナー像を順次重ねて転写する中間転写体とを備え、該像担持体の周速度と該中間転写体の速度とが異なる速度でそれぞれ駆動される画像形成装置において、前記中間転写体に最初に転写される色についてのみ、前記露光手段が実画像に対応する潜像を形成する像担持体上の露光開始位置よりも、前記露光手段により潜像を形成される像担持体上の露光位置と前記中間転写体にトナー像が転写される像担持体上の転写位置との間の前記像担持体の外周に沿った距離以上前の位置から、前記実画像の後端まで、前記実画像とは別のユーザの目視限界を下回る低印字率のトナー像に対応する潜像を開始すると共に前記現像手段が前記露光手段により形成された潜像に基づいて前記低印字率のトナー像を形成することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。本実施の形態に係る画像形成装置は、カラーレーザープリンタであるが、これに限られるものではない。
【0018】
カラーレーザープリンタは、主として、図1に示すように、Y,M,C,Bkの各色毎に一定速度で回転する像担持体1とカラー現像器をもつ画像形成部と画像形成部で現像され多重転写されたカラー画像を保持し給送部から給送された転写材2に更に転写する中間転写体とを備えている。カラーレーザープリンタは、カラー画像を転写された転写材2を定着部25へ搬送してカラー画像を転写材2に定着し、排出ローラーによって装置上面の排出部37へ排出する。尚、上記4色のカラー現像器はプリンター本体に対して個別に着脱可能に構成されている。
【0019】
次に、カラーレーザプリンタの各部の構成について順次詳細に説明する。
【0020】
同図に示す像担持体(感光ドラム)1は現像ユニット4のホルダーの容器3と一体的に構成され、この現像ユニット4はプリンター本体に対して着脱自在に支持され、像担持体1の寿命に合わせて容易にユニット交換可能であるように構成されている。本実施の形態に係る像担持体1はアルミシリンダーの外側に有機光導電体層を塗布して構成され、像担持体1のホルダーの容器3に対して回転自在に支持されている。また、像担持体1は、図示後方の像担持体1の一方端に図示しない駆動モータの駆動力が伝達されることにより、画像形成動作に応じて反時計回りに回転する。
【0021】
[帯電手段]
同図に示す4つの帯電手段5Y,5M,5C,5Kは、それぞれ注入帯電方法を用いるものであり、帯電剤を介して帯電スリーブの印加電圧を像担持体1に印加し、像担持体1の表面を一様に帯電させる。
【0022】
[露光手段]
上記像担持体1への露光は4つのスキャナー部6Y,6M,6C,6Kから行われる。即ち画像信号が不図示のレーザーダイオードに与えられると、このレーザーダイオードは画像信号に対応する画像光をポリゴンミラー6Ya,6Ma,6Ca,6Kaへ照射する。このポリゴンミラー6Ya,6Ma,6Ca,6Kaは各々不図示のスキャナーモーターによって高速回転し、ポリゴンミラー6Ya,6Ma,6Ca,6Kaで反射した画像光が各々結像レンズ6Yb,6Mb,6Cb,6Kbを介して一定速度で回転する像担持体1の表面を選択的に露光し、その結果像担持体1上に静電潜像が形成される。
【0023】
[現像手段]
現像手段は、上記静電潜像を可視像化するために、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色現像を可能とする4つの現像器4Y,4M,4C,4Kから構成される。4色の現像器4Y,4M,4C,4Kは、像担持体1に対向した位置に、像担持体1に対して微小間隔をもって配置されたスリーブ3YS,3MS,3CS,3KSをそれぞれ備えており、像担持体1に各色トナーによる可視像を形成する。
【0024】
各色の現像器4は容器内のトナーを送り機構(不図示)によって送り込み、スリーブ3Sの外周にトナー(非磁性)と現像剤(磁性)を混合させた粉末を時計方向に回転するスリーブ3Sの外周にコートする。その後、各色の現像器4は粉末の中のトナーを像担持体1の静電潜像に対応してトナー現像を行う。
【0025】
[中間転写体]
中間転写体9は、カラー画像形成動作時には現像器4Y,4M,4C,4Kにより可視化された像担持体1上のトナー画像を多重転写するため、像担持体1の外周速度と同期して時計回りに回転し、また、多重転写を受けた中間転写体9は電圧を印加された2次転写ローラ10と共に転写材2を挟み込み搬送することにより転写材2に中間転写体上の各色トナー像を同時多重転写する。
【0026】
本実施の形態に係る中間転写体9は、周長約1000mmの樹脂ベルトで形成され、駆動ローラ9a、2次転写対向ローラ9b及びテンションローラ9cの3軸で張架され、テンションローラ9cの両端にばね9e(不図示)で荷重され、中間転写ベルト9の周長が本体内の温湿度や径時変化により変化しても、変化量を吸収できる構成になっている。
【0027】
この中間転写体9は本体に対して駆動ローラ9aを支点として支持され、駆動ローラ9aに図示後方の一方端に図示しない駆動モータの駆動力を伝達することにより、中間転写体9を画像形成動作に応じて時計回りに回転させている。更に、この中間転写体9は図示前方に簡単に着脱することができる。
【0028】
[給紙部]
給紙部は画像形成部へ転写材2を給送するものであり、複数枚の転写材2を収納したカセット7、給紙ローラ8a、給送ローラ8b、重送防止のリタードローラ8c、給紙ガイド8d及びレジストローラ8eから主に構成される。
【0029】
画像形成時には給紙ローラ8aが画像形成動作に応じて駆動回転し、カセット7内の転写材2を一枚ずつ分離給送すると共に、分離給送された該転写材2はガイド板8dによってガイドされ、搬送ローラ(不図示)を経由してレジストトローラ8eに至る。画像形成動作中にレジストローラ8eは、転写材2を静止待機させる非回転の動作と転写材2を中間転写体に向けて搬送する回転の動作とを所定のシーケンスで行い、次工程である転写工程時の画像と転写材2との位置合わせを行う。
【0030】
[転写部]
転写部は揺動可能な転写ローラ10を備えている。転写ローラ10は金属軸を中抵抗発泡弾性体で巻いたものであり、図示上下に移動可能で且つ駆動する。
【0031】
転写ローラ10は、上記中間転写体9上に4色のトナー像を形成している間、即ち中間転写体9上のトナー像が2次転写部に至るまではその画像が乱れないようにするため、図示点線に示すように下方に位置し、中間転写体9とは離れている。その後転写材2にカラー画像を転写するタイミングに合わせて、転写ローラ10は図示しないカム部材により図示実線で示す上方の位置、即ち転写材2を介して中間転写体9に所定の圧力で押しつけられる。この時同時に転写ローラ10にはバイアスが印加され、中間転写体9上のトナー画像は転写材2に転写される。ここで、中間転写体9と転写ローラー10とは夫々駆動されているため、両者に挟まれた状態の転写材2は転写工程が行われると同時に、図示左方向に所定の速度で搬送され、次工程である定着器に向けて送られる。
【0032】
[中間転写体クリーニング部]
中間転写体クリーニングユニット14は、クリーニングブレード12aと、クリーニングブレード12aを中間転写体9に押し当てるための加圧ばね12eと、ファーブラシ13と、これらを保持するクリーナ容器14aとを備えている。
【0033】
ファーブラシ13はレーヨンの糸で形成されており、2次転写後中間転写体上の転写されなかったトナー画像を除電する。このファーブラシ13は、図示前方の一方端に図示しない駆動モータの駆動力を伝達することにより、中間転写体9に対し逆方向(時計周り)に等速の周速度で回転する。尚、ファーブラシ13の対向部にはバックアップローラとしてテンションローラ9cが配置されている。
【0034】
クリーニングブレード12aの材質はウレタンゴムであり、クリーニングブレード12aは金属板12bに貼り付けられて、クリーナ容器14aに保持された軸12dを回転中心として、加圧ばね12eにより中間転写体9に所定の角度をもって押し当てられているため、中間転写体9に対し均一に当接することができる。尚、クリーニングブレード12aの対向部にはバックアップローラとしてテンションローラ9cが配置されており、クリーニングブレード12aが所定の当接圧力で中間転写体9に当接できる構成になっている。このクリーニングブレード12aが当接した点でファーブラシ13により除電されたトナー画像を中間転写体9から掻き落とし、中間転写体9をクリーニングする。
【0035】
クリーニングブレード12aにより掻き落とされた排トナーはクリーナ容器14aに回収され、クリーナ容器12aの最下部に配置されているスクリュー14bにより本体内に別途配置されている中継ホース24を経由して排トナーボックス25に送られ回収される。このスクリュー14bは図示後方の一方端に図示しない駆動モータの駆動力を伝達することにより、スクリューの搬送方向に回転する。
【0036】
[定着部]
定着部17は、上記現像手段により形成されたトナー画像を中間転写体9を介して転写材2上に形成したトナー画像を定着させるものであり、図1に示すように、転写材2に熱を加えるための定着ローラ18と、転写材2を定着ローラ18に圧接させるための加圧ローラ19とを備え、各ローラは中空ローラであり内部に夫々ヒータ(不図示)を有し、回転駆動され、同時に転写材2を搬送するように構成されている。即ち、トナー像を保持した転写材2は、定着ローラ18と加圧ローラ19とにより搬送されると共に、熱及び圧力を加えられることによりトナーが転写材2に定着される。
【0037】
次に、上記のように構成されたカラーレーザープリンタによって画像形成を行う場合の該プリンタの動作について説明する。
【0038】
先ず、図1に示す給紙ローラ8aを回転して給紙カセット1内の転写材2を一枚分離し、レジストローラ8eへと搬送する。
【0039】
一方、像担持体1と中間転写体9とが各々所定の外周速度V、及びV’(以下プロセス速度と呼ぶ)で図2に示す矢印方向へ回転する。
【0040】
図2に示すように、中間転写体9の外周の任意の点が「S」の位置に来たときに、帯電手段によって表面を均一に帯電された像担持体1は、点Eの位置でレーザ露光を受け、画像形成を行う。像担持体1周面上の露光位置Eから反時計回りに中間転写体9との接触部T1までの距離aと中間転写体9の図示S点からT1までの距離bは各々像担持体1及び中間転写体9が一定時間tの間に進む距離に相当する。従って、時間tの経過後には画像の書き初めの点Eと中間転写体9上の点SはT1の位置で一致する。即ち、画像は中間転写体9の点Sを先端として形成される。
【0041】
[イエロー画像の形成]
まず、図1に示すように、スキャナー部6Yがイエロー画像のレーザ照射を行い、像担持体1上にイエロー潜像を形成する。この潜像形成と同時にイエロー現像器4Yが、像担持体1上の潜像にイエロートナーが付着するように、像担持体1の帯電極性と同極性で略同電位の電圧を像担持体1に印加してイエロー現像を行う。
【0042】
イエロー現像器4Yは、同時に現像部の少し下流の第一転写位置T1Yで像担持体1上のイエロートナー像を中間転写体9の外周に一次転写する。この時、中間転写体9には上記イエロートナーと逆特性の電圧を印加して一次転写を行う。
【0043】
例えば、形成される画像がA3サイズの場合には、長さ420mmであり中間転写体9の外周S点からL1点まで画像が形成される。
【0044】
[マゼンタ画像の形成]
次いで、中間転写体9の外周の一点S(イエロー画像の先端)が点Smの位置にきたとき、スキャナー部6Mがマゼンタ画像のレーザ照射を行い、マゼンタ現像器4Mが像担持体1上の潜像にマゼンタトナー像を現像し、像担持体1上のマゼンタトナー像を第一転写位置T1Mで中間転写体9上のイエロートナー像に重ねて転写する。
【0045】
[シアン画像の形成]
次いで、中間転写体9の外周の一点S(イエロー及びマゼンタ画像の先端)が点Scの位置にきたとき、スキャナー部6Cがシアン画像のレーザ照射を行い、シアン現像器4Cが像担持体1上の潜像にシアントナー像を現像し、像担持体1上のシアントナー像を第一転写位置T1Cで中間転写体9上のイエロー、マゼンタの各トナー像に重ねて転写する。
【0046】
[ブラック画像の形成]
次いで、中間転写体9の外周の一点S(イエロー/マゼンタ/シアン画像の先端)が点SKの位置にきたとき、スキャナー部6Kがブラック画像のレーザ照射を行い、ブラック現像器4Kが像担持体1上の潜像にブラックトナー像を現像し、像担持体1上のブラックトナー像を第一転写位置T1Kで中間転写体9上のイエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー像に重ねて転写する。
【0047】
このように、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの順で潜像形成、現像及び中間転写体9へのトナー転写がそれぞれの1次転写位置T1Y,T1M,T1C,T1Kで行われ、中間転写体9の表面にイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4種のトナーから成るフルカラーの画像が形成される。
【0048】
そして、ブラックトナーの中間転写体9への転写が終了する前に、即ち4色目のブラックトナーの第1転写を終えてフルカラー画像を形成した中間転写体9の画像先端Sが第二次転写部T2へ到達する前に、上述のレジストローラで待機させておいた転写材2がタイミングを合わせて第二次転写部T2に向けて搬送される。
【0049】
転写ローラ10は上記4色の中間転写体9上への各色の画像形成時には下方に待機し、転写材2が第二次転写部T2へ搬送されると、カム(不図示)を用いて上方へ移動し、転写材2を中間転写体9の第二転写部T2で圧接する。この圧接と同時に転写ローラ10にトナーと逆特性のバイアスが印加され、中間転写体9上のフルカラー画像が転写材2に4色同時に転写される。
【0050】
第二転写部T2を経た転写材2は、中間転写体9から剥離され、定着部17へ搬送され、トナー定着を行った後に排出ローラ対20〜22を介して本体上部の排出トレイ23上へ画像面を下向きにして排出され、画像形成動作は終了する。
【0051】
図3は、フルカラー画像を印字する際のイエロー画像の1次転写の構成を説明する図である。
【0052】
同図において、1次転写ローラ71Yは、不図示の付勢力によって中間転写体9を介して、像担持体1Y方向へ加圧されている。1次転写ローラ71Yと像担持体1Yとの両者はニップ部を形成し、図中のT1Yの位置において像担持体1Y上のトナー像を中間転写体9へ1次転写する。この時、1次転写工程における転写性又は再転写性を改善するため、像担持体1Yの周速度Vと中間転写体9の速度V’との間には周速度差が設けられており、且つ中間転写体9が像担持体1Yよりも速い速度で駆動されて図中矢印方向へ回転する。また、中間転写体9の速度V’が像担持体1Yの周速度Vより速いことにより、図3に示すように像担持体1Yには中間転写体9より像担持体1Yの回転方向に常に接線力F=μNが作用する。
【0053】
この条件下において、像担持体1Y上の現像トナーが1次転写ニップ部に突入すると、像担持体1Yと中間転写体9との間の動摩擦係数μが急変してほぼ0になり、像担持体1Yは作用している上記接線力Fから開放される。この瞬間に像担持体1Yには接線力Fの開放による回転変動が発生し、像担持体1Y周面上では潜像を作像しているレーザの書き込みムラが生じて、ライン間隔に変動が生じる。
【0054】
ここで、図3に示すように、中間転写体9の外周の任意の点が点Sよりも手前の点SYの位置に来たときに、即ち、図3において像担持体1Yを基準にして、点Sよりも遠い点SYの位置に来たときに、帯電手段によって表面を均一に帯電された像担持体1Yは、点EYの位置でレーザ露光を受け、まず実画像とは別の低印字率トナー像の画像形成を開始する。ここで、中間転写体9上の点SYから点Sまでの距離cは、前述した点SからT1Yまでの距離bよりも長い距離であるとする。
【0055】
その後、中間転写体9の外周の任意の点が点Sの位置に来たときに、像担持体1Yは点EYの位置で実画像に相当するレーザ露光を受け始める。ここで、距離cは距離bより長いから前述した低印字率トナー像が像担持体1Y上のT1Yの位置に来たときには、像担持体1Yは点EYの位置でまだ低印字率トナー像のレーザ露光を受けていることになる。この瞬間に低印字率トナー像の1次転写開始によって像担持体1Yに作用している接線力Fが開放され、像担持体1Yには回転変動が生じるが、この時、像担持体1Yに潜像を作像しているレーザ露光では実画像とは別の低印字率トナー像を露光しているので、この像担持体1Yの回転変動が実画像形成中のレーザ露光に影響を及ぼすことはない。また、イエローの低印字率トナー像を距離cと実画像長さと合わせた領域にわたって形成すれば、実画像中に白紙部分があるような場合でも実画像上にレーザの書き込みムラによる横スジを発生させることはない。
【0056】
図4は、中間転写体9上に1次転写されたトナー像を示す概念図である。
【0057】
中間転写体9が図3における点SYにきたときに、露光開始された低印字率トナー像は図4の領域HYに相当し、図3における点Sにきたときに露光開始された実画像は図4における領域GYに相当する。低印字率トナー像の先端から実画像先端までの距離は図3で示した距離cであり、また低印字率トナー像の先端が1次転写を開始された際に、レーザ露光されていた位置は図4中の低印字率トナー像の先端から距離bの位置となる。
【0058】
図4でも明らかなように、低印字率トナー像の1次転写開始によって生じた像担持体1Yの回転変動によるレーザ露光ムラは低印字率トナー像先端から距離bの位置に生じ、図4における線J’のように中間転写体9上に現れる。したがって、図4における実画像領域GYにはなんら影響する事はなく、レーザの書き込みムラによる横スジを非実画像領域にシフトすることが可能となる。また、イエローの低印字率トナー像を所定の印字率、即ちユーザの目視可能限界をわずかに下回る印字率で形成することにより、ユーザが手にする実画像にはなんら不具合を及ぼすことはない。
【0059】
図5は、マゼンタ単色画像を印字する際の1次転写の構成を説明する図である。
【0060】
マゼンタ単色画像であるので、通常ではイエローの画像形成は行わないが、本発明では上述したフルカラー画像の印字と同様に中間転写体9の外周の任意の点が図5における点SYにきたときに低印字率トナー像のレーザ露光を開始する。ここで、図5における点SYは前述したものと同様に点T1Yまでの距離が距離cだけ離れている点である。イエローの低印字率トナー像はこの位置から距離cと実画像長さと合わせた領域に形成され、図5における点T1Yを通過してイエローの1次転写を終える。このイエローの低印字率トナー像も上述したものと同じく、ユーザの目視不可能限界をわずかに下回る印字率で形成されるので、出力されるマゼンタ画像にはなんら影響を及ぼさない。この後、中間転写体9上のイエローの低印字率トナー像の先端が、マゼンタの1次転写位置T1Mに突入すると、その瞬間に、像担持体1Mは中間転写体9からの接線力Fから開放されて回転変動を発生する。しかし、マゼンタによる実画像の先端が転写されるはずの中間転写体9上の位置は、この瞬間の点T1Mからc(>b)の距離だけ離れた点SMであるため、像担持体1Mが回転変動を発生した瞬間にはまだマゼンタ実画像のレーザ露光は開始されていない。
【0061】
図6は、中間転写体9上に1次転写されたイエローの低印字率トナー像及びマゼンタ実画像を示す概念図である。
【0062】
中間転写体9上の任意の点が図5における点SYにきたときに露光開始された低印字率トナー像は図6における領域HYに相当し、図5における点SMにきたときに露光開始されたマゼンタ実画像は図6における領域GMに相当する。
低印字率トナー像の先端から実画像の先端までの距離は図5で示した距離cであり、また低印字率トナー像の先端がイエローの1次転写を開始された際に、イエローのレーザー露光がなされていた位置は図6における低印字率トナー像の先端から距離bの位置となる。
【0063】
図6でも明らかなように、低印字率トナー像の1次転写開始によって生じた像担持体1Yの回転変動によるレーザ露光ムラは、低印字率トナー像の先端から距離bの位置に生じ、図6における線J’のように中間転写体9上に現れる。しかし、低印字率トナー像の先端がマゼンタ実画像の1次転写を行う点T1Mを通過した際には、マゼンタ実画像のレーザ露光は開始されていないので、マゼンタ実画像のレーザの書き込みは影響を受けることなく通常通り行われる。
【0064】
従って、図6における実画像領域GMにはなんら影響はなく、レーザの書き込みムラによる横スジを非実画像領域にシフトすることが可能となる。
【0065】
上述した実施の形態では、マゼンタ単色画像の出力の例を示したが、これはシアン単色画像、ブラック単色画像だけでなく、任意の2色画像及び任意の3色画像に対しても同様の効果を得ることができる。
【0066】
以上説明したように、本実施の形態によれば、露光手段が実際に印字する画像に対応する潜像を形成する前に、予め露光手段により潜像を形成される像担持体1Y上の露光位置(図3における点EY)と中間転写体9にトナー像が転写される像担持体1Y上の転写位置(図3における点T1Y)との間の距離(図3における距離a)よりも長い長さ(図3における距離c)を有する、実際に印字する画像とは別の低印字率のトナー像に対応する潜像を形成すると共に現像手段が露光手段により形成された潜像に基づいて低印字率のトナー像を形成するので、像担持体1Yに回転変動が生じるときに像担持体1Yに形成される潜像は、実画像とは別の低印字率トナー像に対応するものであり、この像担持体1Yの回転変動が実画像形成中のレーザ露光に影響を及ぼすことはなく、実画像上にレーザの書き込みムラによる横スジを発生させることはない。よって、像担持体から中間転写体への1次転写時の転写性及び再転写性を改善しつつ、且つ、横スジの発生しない高画質のカラー画像を形成することができる。
【0067】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態が上述した第1の実施の形態と異なる点は画像形成装置の構成であり、第1の実施の形態では、画像形成装置として4色の像担持体をインライン状に並べたタンデム方式のカラーレーザープリンタを使用したが、本実施の形態ではロータリー方式のカラーレーザープリンタを使用する。
【0068】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【0069】
本実施の形態に係る画像形成装置は、ロータリー方式のカラーレーザープリンタである。図1のタンデム方式のカラーレーザープリンタと同一の構成については、同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0070】
ロータリー方式のカラー画像形成装置では、ロータリー40に搭載されているイエロー現像器80Yが像担持体1にイエロートナーを現像した後、ロータリー40が回転して、次のマゼンタ現像器80Mが回転移動し、像担持体1に対向した位置に位置決めされ、イエローと同様にしてマゼンタトナーを現像する。ついで、シアン現像器80C、ブラック現像器80Kがそれぞれ、シアン又はブラックの潜像形成及び現像を行い、これらの各現像器が中間転写体9への1次転写を順次行い、中間転写体9の表面にイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4種のトナーで構成されるカラー画像を形成する。この時、中間転写体9は1色の1次転写を行うたびに1回転し、4色の1次転写を終えるまでに計4回転する。そして、中間転写体9の表面にカラー画像が形成された後、レジストローラ8eで待機させておいた転写材2が搬送され、転写ローラ10が該転写材2を中間転写体9に圧接すると同時に、転写ローラ10にトナーと逆特性のバイアスが印加され、中間転写体9上のカラー画像が転写材2に2次転写される。
【0071】
1次転写を行う工程は、第1の実施の形態と同様で、図3に示すように、中間転写体9上の任意の点が、1次転写位置T1Yから距離cだけ離れている点SYにきたときに、イエローによる低印字率トナー像のレーザ露光を開始することによって、実際に出ト力する実画像領域にはなんら影響を与えることなく、レーザの書き込みムラによる横スジを非実画像領域にシフトすることが可能となる。また、イエローの低印字率トナー像を所定の印字率、即ちユーザの目視可能限界をわずかに下回る印字率で形成することにより、ユーザが手にする実画像にはなんら不具合を及ぼすことはない。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態においても、像担持体から中間転写体への1次転写時の転写性及び再転写性を改善しつつ、且つ、横スジの発生しない高画質のカラー画像を形成することができる。
【0073】
本発明は、上述した第1及び第2の実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを図示しないパーソナルコンピュータ(PC)を介して又は直接カラーレーザープリンタに供給し、該カラーレーザープリンタがこの供給されたプログラムを読出して実行することによっても本発明の目的が達成されることは云うまでもない。
【0074】
この場合、上記プログラムは、不図示の該プログラムを記録した記憶媒体から直接、又はインターネット、商用ネットワーク、若しくはローカルエリアネットワーク等に接続される不図示の他のコンピュータやデータベース等からダウンロードすることにより供給される。
【0075】
また、上記プログラムは、上述した実施の形態の機能カラーレーザープリンタで実現することができればよく、その形態は、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給されるスクリプトデータ等の形態を有するものでもよい。
【0076】
更にまた、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを記録した記録媒体をカラーレーザープリンタに供給し、そのカラーレーザープリンタが記録媒体に格納されたプログラムを読出し、該読出されたプログラムを実行することによっても、本発明の目的が達成されることは云うまでもない。
【0077】
プログラムを供給する記録媒体としては、例えば、RAM、NV−RAM、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、MO、CD−ROM、CD−RW、DVD(DVD−ROM、DVD−R)、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、他のROM等の上記プログラムを記憶できるものであればよい。以上詳細に説明したように、露光手段が実際に印字する画像に対応する潜像を形成する像担持体上の露光開始位置よりも、露光手段により潜像を形成される像担持体上の露光位置と中間転写体にトナー像が転写される像担持体上の転写位置との間の距離以上前の位置から、実際に印字する実画像の後端まで、実際に印字する画像とは別の低印字率のトナー像に対応する潜像を形成すると共に現像手段が露光手段により形成された潜像に基づいて低印字率のトナー像を形成するので、像担持体に回転変動が生じるときに像担持体に形成される潜像は、実画像とは別の低印字率トナー像に対応するものであり、この像担持体の回転変動が実画像形成中のレーザ露光に影響を及ぼすことはなく、実画像上にレーザの書き込みムラによる横スジを発生させることはない。よって、像担持体から中間転写体への1次転写時の転写性及び再転写性を改善しつつ、且つ、横スジの発生しない高画質のカラー画像を形成することができる。
【0078】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の画像形成装置によれば、露光手段が実画像に対応する潜像を形成する像担持体上の露光開始位置よりも、露光手段により潜像を形成される像担持体上の露光位置と中間転写体にトナー像が転写される像担持体上の転写位置との間の距離以上前の位置から、実画像の後端まで、実画像とは別の低印字率のトナー像に対応する潜像を形成すると共に現像手段が露光手段により形成された潜像に基づいて低印字率のトナー像を形成するので、像担持体に回転変動が生じるときに像担持体に形成される潜像は、実画像とは別の低印字率トナー像に対応するものであり、この像担持体の回転変動が実画像形成中のレーザ露光に影響を及ぼすことはなく、実画像上にレーザの書き込みムラによる横スジを発生させることはない。よって、像担持体から中間転写体への1次転写時の転写性及び再転写性を改善しつつ、且つ、横スジの発生しない高画質のカラー画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】画像を印字する際の1次転写の構成を説明する図である。
【図3】フルカラー画像を印字する際のイエロー画像の1次転写の構成を説明する図である。
【図4】中間転写体9上に1次転写されたトナー像を示す概念図である。
【図5】マゼンタ単色画像を印字する際の1次転写の構成を説明する図である。
【図6】中間転写体9上に1次転写されたイエローの低印字率トナー像及びマゼンタ実画像を示す概念図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図8】従来の画像形成装置において画像を印字する際の1次転写の構成を説明する図である。
【図9】従来の画像形成装置において中間転写体9上に1次転写されたトナー像を示す概念図である。
【符号の説明】
1 像担持体
2 転写材
3 ホルダーの容器
4 現像ユニット
5 帯電手段
6 スキャナー部
9 中間転写体
10 2次転写ローラ
17 定着装置
40 ロータリー
71 1次転写ローラ
80 ロータリー式現像器

Claims (5)

  1. 着脱自在な像担持体を有するプロセスカートリッジと、該像担持体上に潜像を形成する露光手段と、前記露光手段により形成された潜像に基づいてトナー像を形成する現像手段と、該像担持体上の各色のトナー像を順次重ねて転写する中間転写体とを備え、該像担持体の周速度と該中間転写体の速度とが異なる速度でそれぞれ駆動される画像形成装置において、
    前記露光手段が実画像に対応する潜像を形成する像担持体上の露光開始位置よりも、前記露光手段により潜像を形成される像担持体上の露光位置と前記中間転写体にトナー像が転写される像担持体上の転写位置との間の前記像担持体の外周に沿った距離以上前の位置から、前記実画像の後端まで、前記実画像とは別のユーザの目視限界を下回る低印字率のトナー像に対応する潜像を形成すると共に前記現像手段が前記露光手段により形成された潜像に基づいて前記低印字率のトナー像を形成することを特徴とする画像形成装置。
  2. 着脱自在な像担持体を有する複数のプロセスカートリッジと、該像担持体上に潜像を形成する複数の露光手段と、前記露光手段により形成された潜像に基づいてトナー像を形成する複数の現像手段と、該像担持体上の各色のトナー像を順次重ねて転写する中間転写体とを備え、該像担持体の周速度と該中間転写体の速度とが異なる速度でそれぞれ駆動される画像形成装置において、
    前記中間転写体に最初に転写される色についてのみ、前記露光手段が実画像に対応する潜像を形成する像担持体上の露光開始位置よりも、前記露光手段により潜像を形成される像担持体上の露光位置と前記中間転写体にトナー像が転写される像担持体上の転写位置との間の前記像担持体の外周に沿った距離以上前の位置から、前記実画像の後端まで、前記実画像とは別のユーザの目視限界を下回る低印字率のトナー像に対応する潜像を開始すると共に前記現像手段が前記露光手段により形成された潜像に基づいて前記低印字率のトナー像を形成することを特徴とする画像形成装置。
  3. 前記最初に転写される色以外の色の露光手段による露光が開始される前に、前記最初に転写される色以外の色に対応する像担持体と前記中間転写体との接部に前記低印字率のトナー像が到達していることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記複数の現像手段は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色のトナー像を現像するものであり、且つ前記中間転写体に最初に転写されるトナー像の色がイエローであることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  5. 前記中間転写体は前記像担持体よりも速い速度で駆動されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置。
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