JP4305033B2 - シンクの構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水垢が付着し難いシンクの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から金属製のシンクが知られている。(例えば特許文献1参照)
従来の金属製のシンクは底面部の内面及び側面部の内面がいずれも平滑面となっている。
【0003】
ところで、金属製のシンクは底面部に排水孔を設け、シンクの上方に位置する蛇口から水を流下させ、シンク内で食器等を洗うようにしている。ここで、シンクの上方に位置する蛇口から流下した水がシンクの底面部に当たって、底面部内面を排水孔側に流れて排水されるので、シンクの底面部内面は大量の流下する水により常に洗い流されることになって水垢が付着し難い。しかしながら、蛇口から流下してシンクの底面部に水が衝突すると、一部の水が飛沫となって飛散してシンクの側面部の内面に当たり、該水の飛沫の水滴が表面張力によりシンクの側面部の内面に付着したままの状態となり、表面張力で付着した水滴が水垢となって付着して「ぬめり」が発生し、衛生的でないという問題があり、頻繁にシンクの側面部を掃除する必要がある。
【0004】
これまで汚れに対しては表面の平滑性を向上させて手入れをしやすいようにするなどの工夫がされているが、汚れの付着(特にステンレスの水垢)に関しては、これといった対策が取られていないのが現状である。
【0005】
一方、平板状の屋根板、壁板等の建材として、鋼鈑表面のめっき被覆層中に多孔性セラミック粉と抗菌剤との混合粉体を分散させて耐結露性効果を発揮させ、耐かび性を向上させるようにしたもの(例えば、特許文献2参照)や、あるいは、ガラスや鏡の表面にアルミナ粒子を含む塗膜層を形成して水滴や汚れが付着し難くするものも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−57797号公報
【特許文献2】
特開2002−80830号公報
【特許文献3】
特開平9−104959号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、蛇口からシンク底面部の内面に直接流下する水は水の勢いによりスムーズに排水孔に向けて排水でき、側面部の内面に飛散した水滴は表面張力で付着し難くしてスムーズに流下させることができて側面部の内面への水垢を減少させることができるシンクの構造を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係るシンクの構造は、金属製のシンク1の排水孔2を有する底面部3の内面を平滑面とすると共に、シンク1の側面部4の内面を凹凸面5として成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、蛇口からシンク1の底面部3の内面に直接流下する水は水の勢いにより平滑面となっている底面部3の内面を排水孔2に向けて抵抗無くスムーズに流れて排水できるものであり、一方、蛇口から底面部3に流下した際に飛散したり、あるいは食器等の洗浄の際に飛散した水滴10がシンク1の側面部4の内面に接触するが、飛散した水滴10は側面部4の内面が凹凸面5であるため、表面張力で付着しにくくなり、水滴10が重力により下方に流下して他の水滴10と結合して大きな水滴10となって底面部3に至り、底面部3では大きな水滴10の集まりとなっているため、表面張力で底面部3に付着することなく、そのまま、排水孔2側に向けて流れて排水されることになる。
【0009】
また、凹凸面5の凸部6の巾が0.1〜3.0mmであることが好ましい。すなわち、シンク1の側面部4の内面に表面張力で付着し且つ汚れとして認識できる程度の大きさの水滴10は直径が約2〜3mm前後であり、この直径が2〜3mm前後の水滴10が0.1〜3.0mm巾の凸部6に接触すると、凸部6に接触した水滴10のうち大部分の水滴10の一部が凸部6の端縁部の角部(稜部)に接触するものであり、このように凸部6の端縁部の角部に水滴10が接触することで水滴10の表面張力が破壊されて重力により凹部7に流れ、いったん水滴10が重力で流れ出すと、留まることなく下方に流下し続けると共に他の水滴10と結合していっそう大きな水滴10となって流下することになる。
【0010】
また、凹凸面5の凹部7の巾が0.2〜3.0mmであることが好ましい。このような構成とすることで、凹部7に沿って水滴10が重力により流れ易くなるものである。
【0011】
また、凹凸面5の凹部7と凸部6との面積比が3:7〜7:3であることが好ましい。このような構成とすることで、水滴10が表面張力を維持できなくなってより水滴10が流れ易すくなる。
【0012】
また、凹凸面5の凹部7の底から凸部6の先端までの寸法が10〜1000μmであることが好ましい。このような構成とすることで、10μm以上とすることで凸部6の角部に水滴10が接触することによる表面張力の破壊で水滴10が凹部7へ流れるという水滴10の動きを損なうことがなく、また、1000μm以下とすることで、付着した汚れを拭き取る際に容易に除去できるものである。
【0013】
また、凹凸面5において凹部7又は凸部6のいずれかが独立して存在し、この独立して存在する凹部7又は凸部6の面積が1〜5mmであることが好ましい。このような構成とすることで、側面部4の内面に飛散した水滴10の表面張力が破壊され易くなって、水滴10が下方に流下し易くなるものである。
【0014】
また、凹凸面5において凹部7が隣接する凹部7と連続していることが好ましい。このような構成とすることで、水滴10が流下する際に連続する凹部7を流下することで、他の水滴10と結合して大きな水滴10に成長しながら流下できるものである。
【0015】
また、シンク1の側面部4の内面に等間隔の縦方向を向いた溝を施すことで凹凸面5を形成することが好ましい。このような構成とすることで、凹凸面5の形成が容易となり、また、縦方向の溝が凹部7となり、凹部7に沿って水滴10がスムーズに流下するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0017】
図1に示すシステムキッチン等の流し台に設けられるステンレス鋼鈑のような金属製のシンク1には底面部3に排水孔2が設けてあり、排水孔2を設けた底面部3の内面は排水孔2側に向けて下り傾斜していいる。
【0018】
上記のような金属製のシンク1において、本発明においては、シンク1の底面部3の内面を平滑面とし、側面部4の内面を凹凸面5とした点に特徴がある。
【0019】
ここで、金属製のシンク1において側面部4の内面を凸部6の巾、凹部7の巾が狭い凹凸面5としたのは以下の理由による。すなわち、側面部4の内面には蛇口から流下した水がシンク1の底面部3の内面に衝突した場合の飛散や、蛇口から流下した水で食器等を洗浄する際の飛散で水滴10がシンク1の側面部4の内面に当たるが、この場合、表面張力で水滴10が側面部4の内面に付着すると、これが水垢となって「ぬめり」の原因となる。そこで、本発明においては、金属製のシンク1において側面部4の内面を凹凸面5とすることで、飛散した水滴10が表面張力でシンク1の側面部4の内面に付着しないで重力で流下しやすくしたものである。
【0020】
一方、シンク1の内面のうち底面部3の内面を側面部4の内面のように凹凸面とすることなく平滑面としたのは以下の理由による。すなわち、シンク1の底面部3の内面には蛇口から水が直接流下するので、表面張力で水滴10が付着していても直ぐに蛇口から流下する水流により洗い流されてしまうので、凹凸面5を底面部3の内面に形成する必要はなく、むしろ、蛇口から流下する水を底面部3の内面に沿って排水孔2に向けてできるだけ抵抗なくスムーズに素早く排水するには低部3の内面は平滑面であるほうが好ましいものである。
【0021】
つまり、シンク1において、蛇口から流下する水が直接流れる底面部3の内面を平滑面とすることで、排水孔2へ向けての排水を良好にし、一方、側面部4の内面を凹凸面5とすることで飛散する水滴10が表面張力で付着し難いようにして側面部4の内面に水垢が付着しないようにしてある。
【0022】
シンク1の側面部4に形成する凹凸面5の凸部6の巾は0.1〜3.0mmとする。すなわち、一般的にスケールとして目立つ大きさであり、汚れとして認識できる大きさとしては直径が約2〜3mm前後の水滴10が対象となるものと考えられる。したがって、本発明においては、図2(a)のように飛散してくる水滴10が凸部6に接触すると上記対象とする殆どの水滴10はその一部が図2(b)に示すように凸部6の端縁部の角部(稜部)に接触し、このように凸部6の端縁部の角部に水滴10が接触することで水滴10の表面張力が破壊されて図2(c)の矢印のように重力で凹部7に流れるように凸部6の巾を3.0mm以下としたものであり、いったん水滴10が重力により下方に向けて流れ出すと、表面張力により付着せず、また、他の水滴10と結合して大きな水滴10となり、重力により確実に流下してシンク1の底面部3に流れるものである。
【0023】
なお、対象とする水滴10の直径を約2mmとする場合は凸部6の巾は0.1〜2.0mmとするのがより好ましい。また、凸部6の巾を0.1mm未満とすると、水滴10がもつ表面張力が破壊されにくくなることにより凹部7に流れ込み難くなって、水垢が残る原因となるので好ましくない。また、水滴10の直径が大きくなると表面張力により付着せずに重力により流下するので、凸部10の巾は3.0mmを越える大きさにする必要はなく、むしろ、凸部10の巾が3.0mmを越えると、汚れとして認識できる大きさである上記直径約2〜3mm前後の水滴10が接触した場合に表面張力が破れないような場合が生じるので好ましくない。
【0024】
また、凹部7の巾は0.2〜3.0mmとし、これにより凹部7に沿って水滴10が重力により流れ易くなるものである。
【0025】
また、凹部7と凸部6との面積比は3:7〜7:3とするものであり、対象とする水滴10の大きさなどにより上記範囲で面積比を設定し、より水が流れ易く、水滴10が表面張力を維持できなくなるような凹凸の配置となるようにする。
【0026】
また、凹部7の底から凸部6の先端までの寸法が10〜1000μmとする。ここで、凹部7の底から凸部6の先端までの寸法(つまり凹部7の深さ)は10μm未満であると、水滴10が凹部7へ流れ込む際にほとんど水の動きが無いため、水が広がりにくくなり、他の水滴10と結合しにくくなって水滴10が流れにくくなるので、凹部7の底から凸部6の先端までの寸法が10μm以上とするものであり、また、凹部7の底から凸部6の先端までの寸法が1000μmを越えると、側面部4の内面に付着した汚れを拭き取る際に容易に除去することができず、汚れが固着してしまう可能性があるので、側面部4の内面の手入れのし易さを考慮にいれ、凹部7の底から凸部6の先端までの寸法を1000μm以下とするものである。
【0027】
ところで、金属製のシンク1の側面部4の内面に凹凸面5を形成するに当たって、凹部7又は凸部6のいずれかが独立して存在し、独立して存在する方の凹部7又は凸部6の面積を1〜5mmとするものである。ここで、独立して存在する凹部7又は凸部6の面積が1〜5mmの範囲外であると、水滴10の表面張力が破壊されずに表面張力で付着するおそれがあって好ましくない。
【0028】
隣接する凹部7は互いに連続しているのが好ましく、このように隣接する凹部7が互いに連続することで、凸部6がそれぞれ独立して存在することになり、凸部6に接触した水滴10の表面張力が破れて凹部7に流れ込み、いったん水滴10が凹部7内を流下し出すと、連続する凹部7に沿って重力により流下し、途中で他の水滴10と結合しながら大きな水滴10となって確実に底面部3に流下することになる。
【0029】
上記のような構成の内面が凹凸面5となったシンク1の側面部4は水平面に対して45〜110°の傾斜を持ったものであり、この範囲の傾斜を持った側面部4の内面に上記のような構成の凹凸面5を形成することで、側面部4の内面において水滴10の表面張力を破壊して重力によって水が流れ易くなって、水滴10が付着しないようにできるものである。
【0030】
ここで、シンク1の側面部4の内面に形成する凹凸面5としては、種々の形状のものが考えられるが、凹凸面5における凹凸のパターンが図3のような市松模様状、もしくは、図4のような亀甲模様状とすると、同一形状の凹部7、凸部6の繰り返しのパターンであり、非常に水が濡て広がりやすく、且つ流れ易くなるものである。
【0031】
なお、本発明において、シンク1の側面部4の内面に凹凸面5を形成する方法については特に制限はなく、エッチング処理等の化学的処理、プレス処理、切削処理等の機械的処理などに限られるものではない、また、あらかじめ凹凸が形成されるような金型を用いて作製することも可能である。
【0032】
また、シンク1の側面部4の内面に等間隔の縦方向を向いた溝を施すことで凹凸面5を形成してもよく、この場合、凹凸面5の形成が容易となり、また、縦方向の溝が凹部7となり、縦方向の凹部7に沿って水滴10が重力によりスムーズに流下するものである。
【0033】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。以下の実施例ではシンク1の側面部4を模して金属の基材を垂直面に貼り付け、この金属の基材に飛散により接触した水滴の落下実験を示す実施例である。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
【実施例】
(実施例1)
15cm角のステンレス(SUS304)の基材に図3に示すような凸部6のパターンをプレス成形により形成した。その凸部6、凹部7の条件として、凸部6の巾をAmm、凸部6間の巾をBmm、凹部7の底から凸部6の先端までの寸法をCμmとする(実施例1における上記A,B、Cの寸法はそれぞれ表1に示している)。また、図3の凸部6の配置形状は市松模様の変形で、凸部6の角部と凸部6の角部との間に隙間が形成されて隣接する凹部7が連続している。また、突部6の端縁部にはくびれ部11が形成してあり、水滴10が凸部6の端縁部の影響を受け易い形状となっている。上記のような基材をサンプル片として垂直面に貼り付けて角度90°として評価を行った。
【0035】
評価方法としては、サンプルである基材の初期重量を測定後、サンプル片を貼り付けた面にシャワー(200cc/min)により1分間水を掛け続け、シャワー掛け1分後に水滴が落ちないように注意しながら基板であるサンプル片の重量を測定し、シャワー掛け後のサンプル片の重量値からシャワー掛け前のサンプル片の重量値を差し引いた値を残水量としt。残水量の判定基準として、0〜2g…◎、2〜4g…○、4〜7g…△、7g以上…×とした。この判定による結果を下記の表1に示す。
(実施例2〜実施例12)
15cm角のステンレス(SUS304)の基材に図3に示すような凸部6のパターンをプレス成形により形成した。その凸部6、凹部7の条件として、凸部6の巾をAmm、凸部6間の巾をBmm、凹部7の底から凸部6の先端までの寸法をCμmとし(実施例2〜実施例12における各サンプル片の上記A,B、Cの寸法はそれぞれ表1に示している)、また、各サンプル片の角度を表1のようにし、各サンプル片につき実施例1と同様の方法でシャワーを掛けて評価を行った。実施例2〜実施例12における評価の結果を表1に示す。
(比較例1)
15cm角のステンレス(SUS304)の平板の基材をサンプル片として垂直面に貼り付けて実施例1と同様の評価を行った。その評価の結果を表2に示す。
(比較例2〜比較例5)
15cm角のステンレス(SUS304)の基材に図3に示すような凸部6のパターンをプレス成形により形成した。その凸部6、凹部7の条件として、凸部6の巾をAmm、凸部6間の巾をBmm、凹部7の底から凸部6の先端までの寸法をCμmとし(比較例2〜比較例5における各サンプル片の上記A,B、C寸法はそれぞれ表2に示している)、各サンプル片の角度を表2のようにし、各サンプル片につき実施例1と同様の方法でシャワーを掛けて評価を行った。比較例2〜比較例5における評価の結果を表2に示す。
【0036】
表1、表2の結果から、図3に示される凸部6のパターンにおいては、凹凸条件が、凸部6の巾が1.5mm、凸部6間の巾(凹部7の巾)が2.0mm、凹部7の底から凸部6の先端までの寸法が20μmであり、且つ、平面に対して90°の角度のあるものがサンプル片の表面に水滴の付着が少ない最も優れたものであることが判った。また、凹部7が連続するものの方が水滴の付着が少ないことが判った。
(実施例13〜実施例18)
15cm角のステンレス(SUS304)の基材に図4に示すような正六角形をした凸部6のパターンをプレス成形により形成した。その凸部6、凹部7の条件として、凸部6の巾をA’mm、凸部6間の巾をB’mm、凹部7の底から凸部6の先端までの寸法をC’μmとし(実施例13〜実施例18における各サンプル片の上記A’,B’、C’の寸法はそれぞれ表3に示している)、各サンプル片の角度を表3のようにし、各サンプル片につき実施例1と同様の方法でシャワーを掛けて評価を行った。実施例13〜実施例18における評価の結果を表3に示す。
(比較例6〜比較例10)
15cm角のステンレス(SUS304)の基材に図4に示すような凸部6のパターンをプレス成形により形成した。その凸部6、凹部7の条件として、凸部6の巾をA’mm、凸部6間の巾をB’mm、凹部7の底から凸部6の先端までの寸法をC’μmとし(比較例6〜比較例10における各サンプル片の上記A’,B’、C’の寸法はそれぞれ表4に示している)、各サンプル片の角度を表4のようにし、各サンプル片につき実施例1と同様の方法でシャワーを掛けて評価を行った。比較例5〜比較例10における評価の結果を表4に示す。
【0037】
図4で示す凸部6のパターンとなるように形成したものも、前述の図3で示す凸部6のパターンとなるように形成したものとほとんど変わらない結果が得られた。但し、六角形の場合、凸部6の巾が広い部分ができやすいため、若干水滴が残り易い場合がある。
(実施例19〜実施例24)
15cm角のステンレス(SUS304)の基材に図5に示すような凸部6のパターンをプレス成形により形成した。その凸部6、凹部7の条件として、凸部6の巾をA”mm、凸部6間の巾をB”mm、凹部7の底から凸部6の先端までの寸法をC”μmとし(実施例19〜実施例24における各サンプル片の上記A”,B”、C”の寸法はそれぞれ表5に示している)、各サンプル片の角度を表5のようにし、各サンプル片につき実施例1と同様の方法でシャワーを掛けて評価を行った。実施例19〜実施例24における評価の結果を表5に示す。
(比較例11〜比較例15)
15cm角のステンレス(SUS304)の基材に図5に示すような凸部6のパターンをプレス成形により形成した。その凸部6、凹部7の条件として、凸部6の巾をA”mm、凸部6間の巾をB”mm、凹部7の底から凸部6の先端までの寸法をC”μmとし(比較例6〜比較例10における各サンプル片の上記A”,B”、C”の寸法はそれぞれ表6に示している)、各サンプル片の角度を表6のようにし、各サンプル片につき実施例1と同様の方法でシャワーを掛けて評価を行った。比較例11〜比較例15における評価の結果を表6に示す。
【0038】
図5で示す凸部6のパターンとなるように形成したものも、前述の図3で示す凸部6のパターンとなるように形成したもの比較して、水滴が少し残り易くなっていた。原因としては凸部6が真円であるため、菱がすくないこと、凸部6間隔が開き易いことなどが考えれる。また、凸部6間を0mmにした場合は凹部7が連続して存在しなくなり、水切れが悪くなった。
(実施例25〜実施例30)
15cm角のステンレス(SUS304)の基材に等間隔で縦溝を切ったものを作製した。縦溝の作製方法は機械切削によりおこなって、縦溝により凹部7を形成し、縦溝間の部分を凸部6とした。ここで、凸部6、凹部7を形成するための縦溝の製作条件として、凹部7となる縦溝の溝巾を0.2〜3.0mm、溝の深さ10〜1000μm、縦溝と縦溝との間の部位である凸部6の巾が1〜3mmの範囲で作製し、この条件の組み合わせたものをそれぞれサンプル片として実施例25〜実施例30として表7に示した。この実施例25〜実施例30の各サンプル片に実施例1と同様の方法でシャワーを掛けて評価を行った。実施例25〜実施例30における評価の結果を表7に示す。
(比較例15〜比較例20)
15cm角の平面のステンレス(SUS304)をサンプル片としたものを比較例15とし、溝巾、溝の深さ、縦溝と縦溝との間の部位である凸部の巾、角度を表8に示す値で作製した各サンプル片を比較例15〜比較例20とし、この比較例15〜比較例20の各サンプル片に実施例1と同様の方法でシャワーを掛けて評価を行った。比較例15〜比較例20における評価の結果を表8に示す。
【0039】
下記の表7、表8の結果から縦溝の溝巾が広すぎると凹部に水滴が残ってしまうため、残水が多くなることが判る。また、縦溝の深さが深すぎると水が流れにくいことも判った。更に、縦溝の溝深さが浅すぎると水滴の表面張力が破壊されにくくなるため、水滴が凹部に取り込まれ難くなる。
【0040】
【表1】
Figure 0004305033
【0041】
【表2】
Figure 0004305033
【0042】
【表3】
Figure 0004305033
【0043】
【表4】
Figure 0004305033
【0044】
【表5】
Figure 0004305033
【0045】
【表6】
Figure 0004305033
【0046】
【表7】
Figure 0004305033
【0047】
【表8】
Figure 0004305033
【0048】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、金属製のシンクの排水孔を有する底面部の内面を平滑面とすると共に、シンクの側面部の内面を凹凸面としてあるので、蛇口からシンクの底面部の内面に直接流下する水は平滑面となった底面部の内面を排水孔に向けて抵抗無くスムーズに流れて排水できて排水効果を向上させることができ、一方、飛散によりシンクの側面部の内面に接触した水滴は側面部の内面に凹凸を形成してあるため、表面張力で付着しにくくなり、水滴が重力により下方に流下して他の水滴と結合して大きな水滴となって底面部に至り、底面部では大きな水滴の集まりとなっているため、表面張力で底面部に付着することなく、そのまま、排水孔側に向けて流れて排水され、この結果、シンクの底面部の内面においては蛇口から流下する水がスムーズに排水孔に流れ且つシンクの側面部の内面においては飛散する水滴が表面張力で付着し難くて水垢が付着せずに「ぬめり」が発生しない従来にない新規なシンクを提供できるものである。
【0049】
また、請求項2記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、凸部の巾が0.1〜3.0mmであるので、シンクの側面部の内面に表面張力で付着し且つ汚れとして認識できる直径が約2〜3mm前後の水滴が0.1〜3.0mm巾の凸部に接触した場合、水滴の一部が凸部の端縁部の角部(稜部)に接触して水滴の表面張力が破壊されて重力により流れるものであって、簡単な構成で確実に側面部の内面への水滴の付着を防止できるものである。
【0050】
また、請求項3記載の発明にあっては、上記請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、凹部の巾が0.2〜3.0mmであるので、凹部に沿って水滴が重力により流れ易くなるものである。
【0051】
また、請求項4記載の発明にあっては、上記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の効果に加えて、凹部と凸部との面積比が3:7〜7:3であるので、水滴が表面張力を維持できなくなってより水滴が流れ易すくなる。
【0052】
また、請求項5記載の発明にあっては、上記請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、凹部の底から凸部の先端までの寸法が10〜1000μmであるので、表面張力の破壊で水滴が凹部へ流れるという水滴の動きを損なうことがなく、また、凹部に付着した汚れを容易に拭き取って除去できて掃除が容易に行えるものである。
【0053】
また、請求項6記載の発明にあっては、上記請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、凹部又は凸部の面積が1〜5mmであるので、側面部の内面に飛散した水滴の表面張力が破壊され易くなって、水滴が下方に流下し易くなるものである。
【0054】
また、請求項7記載の発明にあっては、上記請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の発明の効果に加えて、凹部が隣接する凹部と連続しているので、水滴が流下する際に連続する凹部を流下するものであって、効果的に他の水滴と結合して大きな水滴に成長しながら流下できるものである。
【0055】
また、請求項8記載の発明にあっては、上記請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の発明の効果に加えて、シンクの側面部の内面に等間隔の縦方向を向いた溝を施すことで凹凸を形成するので、縦方向に溝を形成するという簡単な構成で凹凸を形成でき、また、縦方向の溝が凹部となり、凹部に沿って水滴がスムーズに流下するので水滴の流下性も良くなるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシンクの概略斜視図である。
【図2】(a)(b)(c)は同上の表面張力が破壊することを説明するための作用説明図である。
【図3】(a)は同上の凸部のパターンを示す正面図であり、(b)は同上の拡大正面図であり、(c)は拡大断面図である。
【図4】(a)は同上の凸部の他のパターンを示す正面図であり、(b)は同上の拡大正面図であり、(c)は拡大断面図である。
【図5】(a)は同上の凸部の更に他のパターンを示す正面図であり、(b)は同上の拡大正面図であり、(c)は拡大断面図である。
【符号の説明】
1 シンク
2 排水孔
3 底面部
4 側面部
5 凹凸面
6 凸部
7 凹部

Claims (8)

  1. 金属製のシンクの排水孔を有する底面部の内面を平滑面とすると共に、シンクの側面部の内面を凹凸面として成ることを特徴とするシンクの構造。
  2. 凹凸面の凸部の巾が0.1〜3.0mmであることを特徴とする請求項1記載のシンクの構造。
  3. 凹凸面の凹部の巾が0.2〜3.0mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のシンクの構造。
  4. 凹凸面の凹部と凸部との面積比が3:7〜7:3であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のシンクの構造。
  5. 凹凸面の凹部の底から凸部の先端までの寸法が10〜1000μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のシンクの構造。
  6. 凹凸面において凹部又は凸部のいずれかが独立して存在し、この独立して存在する凹部又は凸部の面積が1〜5mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のシンクの構造。
  7. 凹凸面において凹部が隣接する凹部と連続していることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のシンクの構造。
  8. シンクの側面部の内面に等間隔の縦方向を向いた溝を施すことで凹凸面を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のシンクの構造。
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