JP4302430B2 - 工作機械の主軸バランス取り方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主軸の熱変位を短時間にサチュレートさせるための主軸冷却装置を利用しながら主軸のバランス取りを行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工作機械では、主軸の軸受部やモータ部などで発生する熱により主軸が伸びるため、主軸先端の実際の位置と位置制御上の位置との間に誤差が生じる。このような現象は熱変位と呼ばれ、数値制御工作機械で高精度の加工をするためには、主軸の熱変位についての対策が必要不可欠である。
【0003】
一般に工作機械は、主軸の熱変位を抑制するために、発熱部である軸受部あるいはビルトインモータ部に温度管理された冷却液を循環させる主軸冷却装置を備えている。機械で加工工程が進行している間は、主軸の回転、停止に関係なく冷却液を常に循環させるようにして主軸を冷却している。
【0004】
工作機械では、工具交換や、段取り替えのため、主軸を一時停止させることが頻繁に起こる。この間、冷却液を循環していると、主軸が冷えて縮むため、加工再開時には、熱変位の状態がサチュレートして主軸の伸びが一定になるまでアイドリング運転をする必要がある。
【0005】
アイドリング運転の時間を短縮するために、主軸の停止時間、主軸回転速度の変化に対して主軸冷却装置の起動タイミング、主軸の起動タイミングや加工開始タイミングを最適制御する冷却装置が知られている(特許文献1)。
【0006】
上記の引用文献1の冷却装置は、主軸起動時の指令回転数に応じて、主軸冷却装置の冷却液供給開始タイミングを最適制御するというもので、主軸停止後、次の加工が始まるまでに、冷却液供給開始のタイミングをずらすことにより、熱変位が安定するまでの時間を短縮することを狙っている。主軸を停止している間は、次回加工時の指令回転数によっては冷却液は循環されたままの状態となる。
【0007】
ところで、工作機械の主軸を支持する軸受は、ベアリングを用いた接触型の軸受と、空気軸受などの非接触型の軸受に大別することができる。接触型の軸受は、大型の工作機械のように大きな重量の主軸を支持するのに適しているが、主軸を高速回転させると軸受での発熱量が大きいので、主軸の熱変位が増大する。したがって、このような接触型の軸受を使った主軸頭では、冷却液を常に循環させておく必要性が高い。
【0008】
一方、空気軸受は、非接触であるから高速回転させても発熱量は小さいが、大きな重量を支持するのには適さないので、小型、高速性を活かして、ワークを精密に加工する精密工作機械に利用されている。
【0009】
空気軸受で主軸を支持した精密工作機械は、主軸の先端にダイヤモンド砥石、エンドミル等を装着し、主軸を高速で回転させて加工するため、加工精度を向上させるには、取り付けた工具のバランス取りを行うことが不可欠である。主軸に工具を装着することで、回転のバランスが乱れ、高速で回転させると工具が振動してしまうからである。
【0010】
このようなバランス取りは、できるだけ実際の加工時と同じ条件の下で行う必要がある。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−110021号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
主軸のバランス調整は、主軸を停止した状態で、バランスリングにおもりを付加したり、取り外したりしてバランス調整を行っている。そして、バランスが取れたことを確認するために、実際に加工するときの回転速度で主軸を回転し、その回転速度における振動を測定する。
【0013】
バランス調整の過程では、熱変位が主軸のバランス取りの精度に対して大きく影響する。空気軸受を使用した主軸の場合、モーターで発生する熱を受けて、バランスリングが変形して、時間とともに振動測定値が刻々と変化する。したがって、熱変位がサチュレートして主軸の長さが一定になるまで、そのまま主軸を回してアイドリングをしなければならない。
【0014】
ところが、従来の主軸冷却方式では、バランス調整をするために主軸を停止している間にも、冷却液は循環されているので、主軸が過冷却されてしまい、再スタート後も、熱変位が安定するまでアイドリングに時間を要し、主軸のバランス取りが完了するまでに非常に時間がかかるという問題がある。
【0015】
また、実際の加工の段階になった場合でも、空気軸受を使用した主軸では、軸受での発熱が少ないだけに、段取り替え等のため、主軸を一時停止するたびに主軸が過冷却されてしまい、実際に加工を再開する前に、主軸の熱変位が安定するまでアイドリングを十分にしなければならない。空気軸受を使った超精密加工機では、熱変位の状態を主軸停止前と同じ状態にしなければ所期の加工精度を得られないため、とりわけアイドリングに時間を取られるという問題がある。
【0016】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、短時間で効率良く主軸のバランス取りをできるようにする工作機械の主軸バランス取り方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、主軸を空気軸受により支持する主軸軸受構造を有する主軸頭を備え、前記主軸頭と冷却液供給装置とを冷却液配管で接続して冷却液が循環する冷却回路を構成した工作機械において、前記主軸の回転バランスを調整するバランス取り方法であって、前記主軸の起動と同時に冷却液を循環させながら、主軸の熱変位がサチュレートするまでアイドリング運転を行う工程と、前記主軸の熱変位がサチュレートした後に、加工時と同条件の下で主軸の振動を測定する工程と、前記主軸を停止すると同時に冷却液の循環を停止し、主軸のバランスを調整する工程と、前記主軸を再起動すると同時に冷却液の循環を開始し、加工時と同条件で主軸の振動を測定し振動の大きさが許容範囲に入るかどうかを検査する工程と、からなることを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による工作機械の主軸冷却装置の一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1並びに図2は、本発明による主軸冷却装置が適用される精密加工機である研削盤を示す。図1は、この研削盤の側面図で、図2は研削盤の正面図である。図1、図2において、参照符号10は、ベッドを示す。12はコラムで、14はテーブルを示している。このベッド10の上には、ガイドレール11が敷設されており、コラム12は、ベッド10上でガイドレール11(またはV溝からなるガイド)を介して摺動可能に設置されている。また、ベッド10の上面には、ガイドレール11の延びる方向と直交する方向に延びるV溝13a、13bが形成されており、テーブル14は、このV溝13a、13bを案内面として摺動可能に設置されている。コラム12の側面には上下にガイドレール15が延びており、このガイドレール15に沿って主軸頭16が昇降可能に設置されている。
【0022】
この研削盤では、テーブル14の送り運動を制御する軸がX軸、コラム12の送り運動を制御する軸がY軸、主軸頭16の昇降運動を制御する軸がZ軸である。この実施形態では、これらX軸、Y軸、Z軸に加えて、テーブル14の上に配置された旋回台27の旋回運動を制御するC軸が設けられている。
【0023】
X軸の送り機構は、図2に示すように、X軸サーボモータ17により駆動されるX軸ボールねじ18と、テーブル14の下面に取り付けられている図示しないボールナットとから構成されている。Y軸の送り機構は、図1に示すように、Y軸サーボモータ20によって駆動されるY軸ボールねじ21と、コラム12の下面に取り付けられた図示しないボールナットから構成されている。Z軸の送り機構についても同様に、コラム12の頂部にZ軸サーボモータ22が設置されており、Z軸ボールねじ24が垂下するように延びて、主軸頭16側に取り付けられた図示しないボールナットがZ軸ボールねじ24に螺合するようになっている。
【0024】
主軸頭16から延びる主軸25の先端部には、工具26として研削砥石が保持されている。この工具26は、この実施形態では、円盤状の薄刃砥石28を有し、鉛直面に平行な面内を回転する姿勢で主軸25に取り付けられている。
【0025】
図2に示すように、テーブル14の上に設置された旋回台27には、加工対象のワークを固定するためのチャック装置29が載置されている。旋回台27は、図示しないC軸サーボモータにより駆動されるC軸旋回機構を内蔵している。また、テーブル14には、旋回台27に加えて、加工のじゃまにならない位置にツルーイング装置30が設置されている。図1に示すように、ツルーイング装置30は、円柱状のツルーイング砥石31と、このツルーイング砥石31を回転駆動する駆動部32とから構成されている。
【0026】
図1において、参照符号54は、NC装置を示し、参照符号44は、NC装置54から送られる指令に基づいてX軸サーボモータ17、Y軸サーボモータ20、Z軸サーボモータ22、C軸サーボモータをそれぞれ駆動するサーボ駆動回路である。
【0027】
次に、図3は、主軸頭16の縦断面および主軸冷却装置の構成を示す図である。この図3に示す主軸頭16では、主軸25の先端部25aから工具26は取り外された状態で示されている。参照符号34は、主軸頭16の本体を構成するハウジングを示している。このハウジング34の後部には、主軸25を駆動するビルトインモータ36が組み込まれており、37がステータで、38がロータである。主軸25は、2つの空気軸受40a、40bによって回転自在に支承されている。
【0028】
主軸頭16のハウジング34の外周部には、主たる発熱部であるビルトインモータ36の外側を取り囲むように、カバー41が取り付けられ、このカバー41の内側に第1の冷却ジャケット42が形成されている。同じく発熱部である空気軸受40a、40bを囲むように、ハウジング34の外周部にはカバー43が取り付けられ、このカバー43の内側に第2の冷却ジャケット44が設けられている。
【0029】
次に、主軸頭16の第1冷却ジャケット42、第2冷却ジャケット44に冷却液を供給する冷却液供給装置45および冷却液配管について説明する。この冷却液供給装置45は、冷却液タンク46、電動駆動の油圧ポンプ47を備えている。
【0030】
冷却液供給装置45と主軸頭16とは、冷却液配管である冷却液供給配管48および戻り配管49によって接続され、冷却液が循環する冷却回路が構成されている。この冷却液供給配管48の途中には、切替弁50が設けられており、切替弁50の下流で管路は2手に分かれてそれぞれの末端が第1冷却ジャケット42、第2冷却ジャケット44の入口ポートに接続されている。
【0031】
切替弁50は、2位置3ポートの電磁方向制御弁であって、Pポートが油圧ポンプ47の吐出口に接続しており、ソレノイドがOFFの状態でPポートとAポートが連通して、油圧ポンプ47から吐出された冷却液は冷却液供給配管48を通じて第1冷却ジャケット42、第2冷却ジャケット44に導入され、さらに、戻り配管49を流れて冷却液タンク46に還流するようになっている。
一方、切替弁50のTポートからは配管52が冷却液タンク46まで延び、ソレノイドがONになると、油圧ポンプ47から吐出された冷却液は、主軸頭16には送られずに配管52を通って冷却液タンク46に戻されるようになっている。
【0032】
このような切替弁50を制御する制御装置がNC装置54である。このNC装置54は、油圧ポンプ47のモータの起動、停止を制御するともに、主軸25の停止と同時に切替弁50のソレノイドを励磁し、主軸25の起動と同時にソレノイドを消磁するようになっている。本実施の形態では、油圧ポンプ47のモータは、主軸25の起動、停止と関わりなく、研削盤が稼働している間は常に回ったままである。なお、図3において、56は、冷却液の温度を設定値に維持する冷却液冷却装置を示し、この冷却液冷却装置56は、それ自身単独で冷却液の温度を一定に管理できるようになっている。
【0033】
次に、主軸25のバランス取り方法との関連において、主軸冷却装置の作用並びに効果について説明する。
図3に示すように、主軸25から先端部25aにかけての段差のある端面25bには、バランス調整用のねじ57を取り付けるねじ穴が複数が設けられている。同様に、ビルトインモータ36と結合している主軸25の後端部には、おなじく端面にバランス調整用のねじ57を取り付けるねじ穴を有するバランスリング58が取り付けられている。
【0034】
A.主軸25単体のバランス取り
主軸25には工具は取り付けないで、段差面25bには、主軸25の回転速度を検出する回転センサ用のシールを貼っておく。また、主軸頭16には、振動センサを取り付けておく。
【0035】
ここで、図4は、バランス取りを行う過程での主軸25の起動、停止のタイミングおよび主軸頭16への冷却液の供給の停止、再開のタイミングを示すタイムチャートと、主軸25のY軸熱変位の変化とを対照させて示す図である。この図4で縦軸はY軸熱変位(μm)を示し、横軸は時間(分)を示す。
【0036】
まず、ビルトインモータ36を起動し、ワークを加工するときの回転速度まで主軸25の回転速度を上げ、その回転速度を保ってしばらくアイドリングをする。この間、冷却液は主軸頭16と冷却液供給装置45との間を循環している。
【0037】
主軸25が回転を続けていると、発熱源(主としてビルトインモータ36)から発生する熱と、冷却液に奪われる熱が平衡してやがて熱変位はサチュレートして一定になる。この状態が加工時と同条件である。一定になったところで、振動測定を行い、振動センサの出力をバランス測定器に取り込んで周波数分析をする。
【0038】
振動測定が終了したら主軸25は停止する。このとき、NC装置54は、ビルトインモータ36を停止させると同時に切替弁50のソレノイドをONにするので、冷却液の流路が切り替わり、それまで供給配管48を通って主軸頭16送られ、戻り配管49から冷却液タンク46に戻る冷却液の循環は停止し、冷却液は、配管52を流れて直ちに冷却タンク46に戻される。
【0039】
主軸25が停止したら、振動測定結果に基づいて、バランスが悪いと推定される位置にバランス調整用のねじ57を取り付けたり、取り外したりしてバランスを調整する。この間(図4にAで示す区間)、主軸頭16では、主軸25の停止とともに第1冷却ジャケット42、第2冷却ジャケット44を冷却液が流れなくなるので、主軸25の温度は緩やかに下がり、それと並行してY軸熱変位も緩やかに低下する。
【0040】
次に、バランスが適正に取れたかどうかを確認するために、再び、主軸25を起動する。NC装置54は、主軸25の起動と同時に切替弁50のソレノイドをOFFにするので、それまで冷却液タンク45に戻されていた冷却液は、供給配管48を通って再び主軸頭16に供給され、冷却液の循環が再開される。
【0041】
主軸25は、主としてビルトインモータ36で発生する熱を受けて再び温度上昇する。その間、主軸25には熱変位による伸びが生じるとともに第1冷却ジャケット42、第2冷却ジャケット44を流れる冷却液との間で熱交換が行われることになるが、再起動前は冷却液の循環を停止していることで温度低下を抑えているため、再起動後の主軸25は、短時間での停止前の熱的平衡状態に到達し、Z軸熱変位は短時間で速やかにサチュレートする(B区間)。そして、主軸25のZ軸熱変位がサチュレートしたら、バランス測定器で主軸25の振動を計測する。測定した振動の大きさが許容値内に収まっていたら、主軸単体でのバランスは取れていることなる。
【0042】
これに対して、振動の大きさが許容値よりも大きい場合には、バランス修正が不十分であるから、主軸25を停止して、上述のバランス調整、振動測定を振動測定値が許容範囲に入るまで繰り返すことになる。
【0043】
ここで、図5は、冷却液の循環を停止せずにバランス取りをした場合のZ軸熱変位の変化を示す。図4と対照すると、バランス調整のために主軸25を停止したA区間で、主軸25が過冷却される結果、再起動後に熱変位がサチュレートするまでのC区間が長くなることがわかる。
【0044】
B.主軸25に工具を取り付けた状態でのバランス取り
ここでは、工具26それ自体のバランス取りは行わない。工具メーカーは、工具のバランスを検査しバランスの取れた工具だけを出荷するからである。
【0045】
図1に示すように、工具26には、主軸25に取り付けたときにバランス調整が可能なようにバランス調整部材60が取り付けられている。図2には、このバランス調整部材60の端面が示されており、一定の間隔で複数のねじ穴61が切られている。このねじ穴61には、図3に示した主軸25の場合と同様、バランスを調整するねじ57を取り付けることができるようになっている。
【0046】
工具26を取り付けた状態の主軸25について行うバランス取りの手順は、前述した主軸単体でのバランス取りの場合と基本的に同じであり、図4に示すタイムチャートが当てはまる。
すなわち、主軸25を起動して加工時と同じ回転速度で回転させ、Y軸熱変位がサチュレートするまでアイドリングをする。そして、主軸25の振動を測定してから、主軸25を停止し、振動測定結果に基づいて、工具26のバランス調整部材60のねじ穴61にねじ57を取り付けたり、取り外したりしてバランス調整をする。
【0047】
しかる後、主軸25の再起動し、加工時の回転速度で回転させ、Y軸熱変位がサチュレートしてから振動を測定する。振動の大きさが許容値よりも大きい場合には、バランス修正が不十分であるから、主軸25を停止して、上述のバランス調整、振動測定を振動測定値が許容範囲に入るまで繰り返すことになる。
【0048】
このような工具26を取り付けた状態での主軸25のバランス取りが完了するまでに、主軸25は停止、再起動、再停止、再々起動されることになるが、主軸25が停止する度に、同時に切替弁50のソレノイドがONになり冷却液の循環は停止するので、主軸25のZ軸熱変位は緩やかに下がる(図4にAで示す区間)。そして、主軸25が起動、再起動後は、短時間での停止前の熱的平衡状態に到達し(図4にBで示す区間B)、Y軸熱変位は短時間で速やかにサチュレートする。したがって、バランス取りが完了するまでの時間を大幅に短縮化することができる。
【0049】
以上のようにして、主軸冷却装置を活用して、実際に加工する条件下で主軸25のバランスを効率よく調整できたので、次に、実際の加工における主軸冷却装置の作用について説明する。
【0050】
C.加工中の主軸の冷却
図3において、切替弁50はノーマルオープン弁であり、主軸25が回転している間は、常に、冷却液供給装置45と主軸頭16をつなぐ冷却回路には冷却液が循環しており、主軸頭16の第1冷却ジャケット42、第2冷却ジャケット44には常に冷却液が流れている状態になっている。
【0051】
したがって、ワークを加工している間は、主軸25と第1冷却ジャケット42、第2冷却ジャケット44を流れる冷却液との間で熱交換が行われるので、主軸25のY軸熱変位がサチュレートして安定した状態が保たれる。
【0052】
加工を中断して主軸25が停止する場合としては、実施形態のような研削盤の場合、次のワークを加工するための段取り替え、工具26である薄刃砥石28にツルーイングを行う場合、砥石28を交換する場合などがある。
【0053】
いずれの場合であっても、NC装置54は、主軸25の停止と同時に切替弁50のソレノイドをONにし、ポートPとポートTを連通させるので、油圧ポンプ47から吐出される冷却液は、冷却液供給配管48を流れずに配管52を流れて冷却液タンク46に戻される。
【0054】
このような流路の切替により、主軸頭16の第1冷却ジャケット42、
第2冷却ジャケット44には冷却液が流れなくなるので、停止している間、主軸25を冷却し過ぎるのを確実に防止することができる。
【0055】
NC装置54は、主軸25を再起動すると同時に切替弁50のソレノイドをOFFにするので、それまで冷却液タンク46に戻されていた冷却液は、冷却液供給配管48を通って再び主軸頭16に供給されて、冷却液の循環が再開される。
【0056】
再起動前は冷却液の循環を停止していることで温度低下を抑えていたので、Y軸熱変位がサチュレートするまで主軸25のアイドリング運転の時間が短くて済む。主軸25のZ軸変位がサチュレートし次第、加工が再開される。
【0057】
以上、本発明による工作機械の主軸冷却装置について、本発明を主軸を空気軸受で支持した精密加工機械に適用した実施形態を挙げて説明したが、本発明にかかる主軸冷却装置は、主軸を接触型の軸受で支持した種々の工作機械にも適用することができる。
【0058】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、主軸再起動後に主軸停止前と同条件の熱変位状態に短時間に復帰できるようにして、短時間で効率良く主軸のバランス取りを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による主軸バランス取り方法が適用される研削盤を示す側面図。
【図2】 図1の研削盤の正面図。
【図3】 本発明の主軸バランス取り方法で使用する主軸冷却装置の構成図。
【図4】 主軸の熱変位の変化と、主軸の停止、起動、冷却液の停止、供給のタイミングを示す図。
【図5】 図4において、冷却液の供給を停止しなかった場合の主軸の熱変位を変化を示す図。
【符号の説明】
10 ベッド
12 コラム
14 テーブル
16 主軸頭
25 主軸
26 工具
40a、40b 空気軸受
42 第1冷却ジャケット
44 第2冷却ジャケット
45 冷却液供給装置
48 冷却液供給管
49 戻り配管
50 切替弁
54 NC装置(制御装置)
Claims (1)
- 主軸を空気軸受により支持する主軸軸受構造を有する主軸頭を備え、前記主軸頭と冷却液供給装置とを冷却液配管で接続して冷却液が循環する冷却回路を構成した工作機械において、前記主軸の回転バランスを調整するバランス取り方法であって、
前記主軸の起動と同時に冷却液を循環させながら、主軸の熱変位がサチュレートするまでアイドリング運転を行う工程と、
前記主軸の熱変位がサチュレートした後に、加工時と同条件の下で主軸の振動を測定する工程と、
前記主軸を停止すると同時に冷却液の循環を停止し、主軸のバランスを調整する工程と、
前記主軸を再起動すると同時に冷却液の循環を開始し、加工時と同条件で主軸の振動を測定し振動の大きさが許容範囲に入るかどうかを検査する工程と、
からなることを特徴とする工作機械の主軸バランス取り方法。
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