JP7089135B2 - 工作機械の主軸冷却装置 - Google Patents

工作機械の主軸冷却装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7089135B2
JP7089135B2 JP2017192814A JP2017192814A JP7089135B2 JP 7089135 B2 JP7089135 B2 JP 7089135B2 JP 2017192814 A JP2017192814 A JP 2017192814A JP 2017192814 A JP2017192814 A JP 2017192814A JP 7089135 B2 JP7089135 B2 JP 7089135B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spindle
cooling
bearing
groove
cylinder portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017192814A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019063945A (ja
Inventor
直弘 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Niigata Machine Techno Co Ltd
Original Assignee
Niigata Machine Techno Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Niigata Machine Techno Co Ltd filed Critical Niigata Machine Techno Co Ltd
Priority to JP2017192814A priority Critical patent/JP7089135B2/ja
Publication of JP2019063945A publication Critical patent/JP2019063945A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7089135B2 publication Critical patent/JP7089135B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Auxiliary Devices For Machine Tools (AREA)
  • Turning (AREA)

Description

本発明は、工具ホルダを保持する主軸を備えた工作機械において、主軸の回転時や停止時の軸受の温度上昇による主軸の熱膨張を低減すると共に、主軸の冷却の均一化を図るようにした工作機械の主軸冷却装置に関する。
中ぐりスピンドルを備えた工作機械の主軸は、長い中ぐりスピンドルとその外側に配設された筒状のW軸スピンドルとを有する2重筒構造である。中ぐりスピンドルはスラスト軸受で保持されてW軸スピンドル内を軸方向に摺動可能とされ、W軸スピンドルは高剛性の回転軸受(以下、単に軸受という)で回転可能に保持されている。
この主軸は軸方向に長く且つ二重構造であるため、高速回転駆動時に軸受が発熱して温度上昇し、熱伝導を受けた中ぐりスピンドルの熱膨張がこのスピンドルを持たない工作機械に比較して大きくなる問題があった。
中ぐりスピンドルが軸方向に移動することで軸受からの熱流入位置が変化し、広域に亘って温度が高くなるため、熱膨張がより大きくなる問題がある。また、主軸運転が続いて熱変位が定常になった状態で主軸を停止させると、中ぐりスピンドルの温度が急速に低下して熱収縮することで熱変位が大きく変わってしまうという問題もあった。
例えば特許文献1に記載された工作機械の主軸装置では、主軸の内部に冷却油を循環させることで軸受と主軸モータを冷却する。この冷却油はプッシュロッドと主軸との間の筒体を後部から前方に流れて主軸モータの後部と前部に配設された後軸受と前軸受を冷却した後に、モータロータのスリーブと主軸の外筒との間を通って後方に戻ることで、軸受と主軸モータの発熱を低下させる。
特許文献2に記載された工作機械では、中ぐりスピンドルの外側に配設された軸受の冷却溝の配列構造により中ぐりスピンドルの冷却効果を高めている。
特許文献3に記載された主軸の潤滑冷却装置では、ベアリング支持領域の通孔と支持軸領域の通孔の総断面積により、ベアリング潤滑油量及び主軸冷却油量の供給量を設定して、各油量を簡潔に制御したものである。
特許文献4に記載された主軸の熱変位抑制装置では、主軸内の冷媒温度検知器と温度発生器若しくは機体または室温検知器との比較により、冷媒温度検知器の温度値が上回るときのみ運転するようにしている。機体の運転中は機体または室温検知器側とするほか、機械停止中は温度発生器側と冷媒温度検知器とに切り換え比較して運転制御している。
特許第3521396号公報 特開2015-186829号公報 特開平8-247154号公報 特開平7-40185号公報
しかしながら、特許文献1に記載の工作機械の主軸装置は、スピンドルが軸方向に相対移動しないことを前提としているため、中ぐりスピンドルが軸受のない前方に移動した際に過冷却になり急激な熱収縮を生じて変位するおそれがあった。
特許文献2に記載の工作機械では、軸受内部からの発熱により軸受の内輪と外輪の温度が上昇し、内輪に接する中ぐりスピンドルの温度も上昇して径方向に熱膨張する。このときに軸受の外輪のみを強く冷却すると外輪が収縮してボールが締め付けられて軸受の予圧が上昇して焼付くおそれがある。また、主軸は中空スピンドルの内側に軸方向に摺動可能な中ぐりスピンドルを設けた2重筒構造であるため、主軸の外側を強く冷却すると2重スピンドル間の摺動部の隙間が小さくなって食い付き、中空スピンドルの摺動ができなくなるおそれがあった。
特許文献3に記載の潤滑冷却装置では、主軸冷却油は軸受の潤滑油を兼ねているため、清浄度と潤滑重視が求められるが、軸受に流す潤滑油の流量を絞ることが困難であった。そのため、冷却を兼ねて多量の潤滑及び冷却油を軸受に投入しなければならず、強力な冷却装置が必要になるため動力損失が激しいという欠点があった。
特許文献4に記載の熱変位抑制装置は、通常行われている冷却装置の機体同調に冷却装置のON/OFFを追加した構成であり、主軸運転を停止すると主軸の温度は低下するため、運転時の熱変位状態を維持できずに冷えてしまうという問題がある。しかも、再度主軸を稼働させると熱的に安定するまでに時間を要するという問題もある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、主軸の停止時における主軸の過冷却を防止できるようにした工作機械の主軸冷却装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、主軸の停止時に主軸が急激に冷却されて熱収縮することを抑制するようにした工作機械の主軸冷却装置を提供することである。
本発明の更に他の目的は、主軸の高速回転時に高温になる発熱部分を効率的に冷却できるようにした工作機械の主軸冷却装置を提供することである。
本発明に係る工作機械の主軸冷却装置は、ハウジングに設けられた軸受に主軸が回転可能に支持されている工作機械の主軸冷却装置において、前記主軸は工具を把持する中ぐりスピンドルと、その外側に配設されていて前記軸受に保持された外側筒部とを備えた二重筒を有し、前記中ぐりスピンドルは、前記中ぐりスピンドルの内部に進退可能に配設されたプッシュロッドの外周に配設された仕切り筒部と、前記中ぐりスピンドルの内側であって、前記仕切り筒部に設けられていて前記軸受を冷却媒体で内側から冷却する内側冷却流路とを備え、前記ハウジングは、前記軸受を冷却媒体で外側から冷却する外側冷却流路を備え、前記主軸が停止した時に前記内側冷却流路による冷却を停止させ、所定時間経過後に前記外側冷却流路による冷却を停止させるようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、主軸の回転が停止した時点で内側冷却流路による冷却を停止させて中ぐりスピンドルの過冷却を防止でき、更に所定時間経過後に外側冷却流路による冷却を停止させることで軸受から遅れて伝導する熱を低下させて中ぐりスピンドルの熱変形を抑え、発熱体である軸受を効果的に冷却できる。
また、前記内側冷却流路は、前記仕切り筒部の内側に設けられた往側冷却通路と、外側に設けられた往側冷却溝と、前記往側冷却通路及び往側冷却溝を連通する第一の連通孔と、前記仕切り筒部の外側に設けられた復側冷却溝と、前記復側冷却溝及び往側冷却通路を連通する第二の連通孔とを備え、前記第一の連通孔は第二の連通孔より前記主軸の長手方向の前記工具を把持する側となる前方に設けられていることが好ましい。
往側冷却通路を主軸の前方に送られる冷却媒体が第一の連通孔を介して仕切り筒部の外側の往側冷却溝に流れて主軸と軸受を冷却し、主軸や軸受を冷却して暖まった冷却媒体が復側冷却溝を通って後方に流れる。その際、復側冷却溝には往側冷却通路の冷えた冷却媒体が第二の連通孔を介して供給されるため再度冷却されており、主軸の後方側や後方に配設された軸受も冷却することができる。
また、仕切り筒部は長手方向に複数に分割された分割筒部からなり、分割筒部の接続部に円周方向に形成された円周溝が形成され、円周溝を介して前後の分割筒部における復側冷却溝が連通していることが好ましい。
仕切り筒部が長軸になると製造コストが高くなるので、複数に分割した分割筒部を製造して配列させ、その際、前後の分割筒部が周方向に相対角度をずらしていても、復側冷却溝は円周溝を介して連通しているため、複数の分割筒部間で冷却媒体を前方から後方にスムーズに流通させて戻すことができる。
また、第一の連通孔を閉塞可能な弾性閉塞部材を有しており、主軸の回転による遠心力で弾性閉塞部材が第一の連通孔を開口するように変位して冷却媒体を外側に吐出するようにしてもよい。
主軸を高速回転させると弾性部材がその遠心力で一部の第一の連通孔を閉塞した位置から開口させた位置に変位するため、当該第一の連通孔から冷却媒体を仕切り筒部の外側に吐出させることができて軸受や主軸の冷却効率が向上する。
本発明に係る工作機械の主軸冷却装置によれば、主軸の回転が停止した時点で内側冷却流路による冷却を停止させることで主軸の過冷却を防止でき、更に所定時間経過後に外側冷却流路による冷却を停止させることで軸受から遅れて伝導する熱を除去して主軸の熱変位を抑制して軸受を効率よく冷却することができる。
また、本発明に係る工作機械の主軸冷却装置によれば、主軸の回転が停止した時点で内側冷却流路による冷却を停止させることで中ぐりスピンドルの過冷却を防止でき、更に所定時間経過後に外側冷却流路による冷却を停止させることで軸受から遅れて伝導する熱を除去して主軸の熱変位を防止して軸受を効果的に冷却することができる。
本発明に係る工作機械の主軸冷却装置によれば、主軸の停止時に、主軸温度センサで測定した主軸の温度に基づいて往側冷却通路に供給する冷却媒体の温度を設定したことで、主軸停止後に過冷却によって中ぐりスピンドルが急激に熱収縮することを防止できる。
本発明に係る工作機械の主軸冷却装置によれば、主軸の停止時に、往側冷却通路を循環して戻る暖まった冷却媒体を再度往側冷却通路に供給することで、主軸停止後に過冷却によって中ぐりスピンドルが急激に熱収縮することを防止できる。
本発明に係る工作機械の主軸冷却装置によれば、高速回転時に、分割筒部と制御キーとの熱膨張係数の差によって分割筒部の間の隙間から内側冷却流路の冷却媒体を流出させて発熱する軸受と主軸の冷却効率を向上できる。
本発明の第一実施形態による工作機械の要部構成図である。 主軸ユニットにおける中ぐりスピンドルが引っ込んだ状態の断面図である。 主軸ユニットにおける中ぐりスピンドルが突き出た状態の断面図である。 図2における主軸ユニットの前側部分の拡大断面図である。 主軸ユニットの中間部分の拡大断面図である。 主軸ユニットの後側部分の拡大断面図である。 (a)中ぐりスピンドルの拡大断面図、(b)同図(a)における仕切り筒部の拡大断面図である。 (a)は図7(b)のA-A線断面図、(b)は同じくB-B線断面図である。 仕切り筒部の後端部の拡大図である。 工作機械の主軸冷却装置の要部構成を示す説明図である。 主軸冷却装置の軸心冷却供給源と冷却液の循環機構を示す説明図である。 第二実施形態による工作機械の中ぐりスピンドルの前側拡大断面図である。 (a)中ぐりスピンドルの制御キーを備えた仕切り筒部の部分拡大断面図、(b)は同図(a)のC-C線断面図である。 中ぐりスピンドルの往側冷却溝の第一の連通孔に設けた板バネを示す図であり、第一の連通孔の閉塞状態と開口状態の拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態による工作機械の主軸冷却装置について図1乃至図14に基づいて説明する。
図1~図11は第一実施形態による工作機械1の主軸冷却装置55を示すものである。
図1は実施形態に係る工作機械1における主軸ユニット2を示す。この主軸ユニット2は、例えば、横型の工作機械1に設置されている。工作機械1は、ベース3と、ベース3上の前部に設けられてZ軸方向に移動可能なテーブル4と、ベース3上の後部に設けられていてX軸方向に移動可能なコラム5と、コラム5に支持されてY軸方向に移動可能な主軸ヘッド6とを備えている。ベース3には、テーブル4をZ軸ガイドレールRzに沿って移動させるZ軸モータMzと、コラム5をX軸ガイドレールRxに沿って移動させるX軸モータMxとが設けられている。コラム5には、Y軸ガイドレールRyに沿って主軸ヘッド6を移動させるY軸モータMyが設けられている。
テーブル4の上面の中央には、ワークを取り付けたパレットPが自動交換可能に載置されている。ワークは、主軸ヘッド6に設けられた主軸8の中ぐりスピンドル9に装着された後述する工具ホルダ7の工具で加工させられる。主軸8には、中ぐりスピンドル9を冷却するためのスピンドル内冷却装置12と、後述するW軸スピンドル16を冷却するための主軸外筒冷却装置13とが設置されている。
パレットPには、テーブル4がパレット交換位置に移動したときに、テーブル4上の加工済みワークと段取りテーブル上の新しいワークとを互いに入れ替える、従来周知の2面式自動パレット交換装置が設けられている。
本実施形態による主軸ユニット2は、主軸8の中心軸線Oに沿って切削液が先端に送られて吐出されるセンタースルー方式である。
図2及び図3に示す主軸ユニット2において、主軸8として、工具を把持した工具ホルダ7をセンターのテーパ穴9aに着脱する中ぐりスピンドル9と、スライド軸受15を介してその外周側に設けられた筒状のW軸スピンドル16とが二重筒状に形成されている。W軸スピンドル16は外側筒部に含まれる。スライド軸受15は前後方向に分割配置されており、例えば前側スライド軸受15aと中間スライド軸受15bと後側スライド軸受15cとを有している。
W軸スピンドル16の外側には主軸ヘッド6とボールねじ支持枠19が配設され、ボールねじ支持枠19の内周面に設けた高剛性の軸受18によってW軸スピンドル16が回転可能に支持されている。ハウジング17はマシニングセンタ等の主軸頭に固定されている。軸受18は前後方向に複数に分割されて配置されており、例えば前側軸受18aと中間軸受18bと後側軸受18cとを有している。
図4~図6において、中空状の中ぐりスピンドル9の内部にはプッシュロッド20が進退可能に配設され、中ぐりスピンドル9の後端部には支持軸受21を介してロータリージョイント22が装着されている。プッシュロッド20の後端部には、支持軸受21の前側に作動油の貯留タンク23内を進退可能なアンクランプ用ピストン24が設置されている(図6参照)。貯留タンク23内への作動油の供給位置を前後切り替えることでアンクランプ用ピストン24を前進または後退移動させる。これらをアンクランプ機構という。
プッシュロッド20の前端部には工具ホルダ7のプルスタッドを着脱可能なコレット爪25が設けられている(図4参照)。貯留タンク23内におけるアンクランプ用ピストン24の前進位置でコレット爪25を開いて工具ホルダ7を離し、後退位置でコレット爪25を綴じて工具ホルダ7を把持するようになっている。なお、本実施形態において、主軸8の長手方向における工具ホルダ7側を前方、前側といい、アンクランプ用ピストン24側を後方、後側というものとする。
図2及び図3において、ハウジング17には、ボールねじ支持枠19の外周側に主軸モータM1が設置され、主軸モータM1の出力軸に固定されたモータ軸ギア27、アイドルギア28を介して、W軸スピンドル16の外周面に固定した主軸ギア29に噛合している。主軸モータM1の駆動により、主軸ギア29を介して、前側軸受18a、中間軸受18b及び後側軸受18cで保持されたW軸スピンドル16及び中ぐりスピンドル9を有する二重筒の主軸8が一体に中心軸線O回りに回転可能とされている。
W軸スピンドル16にはW軸モータM2が設置され、その出力軸に固定したW軸モータ用ギア31は、両端を軸受で支持されたW軸ボールねじ32に固定されたボールねじ用ギア33に噛合している。W軸ボールねじ32は中ぐりスピンドル9と平行に配設され、W軸ボールねじ32に螺合するW軸ナット34は中ぐりスピンドル9に連結されている。
そのため、W軸モータM2の駆動に連動して回転するW軸ボール32に沿ってW軸ナット34が前後方向に移動し、中ぐりスピンドル9がW軸スピンドル16に対して進退移動する。これにより、中ぐりスピンドル9はW軸スピンドル16に対して引っ込んだ位置(図2参照)と突き出た位置(図3参照)とを選択的にとることができる。
次に、図4乃至図7により主軸8の内部構造を説明する。
図4に示す主軸8の先端部において、中ぐりスピンドル9の先端部に設けたテーパ穴9aには工具ホルダ7のテーパシャンクが着脱可能である。中空の中ぐりスピンドル9内には、中ぐりスピンドル9と一体回転するプッシュロッド20が進退可能に装着されている。プッシュロッド20の先端には、工具ホルダ7のプルスタッドを把持及び開放可能な複数のコレット爪25が開閉可能に設けられている。プッシュロッド20の先端にはテーパ穴9aとの連通部に拡径された空間部36が形成されている。
プッシュロッド20が前方に移動した場合にはコレット爪25が空間部36内に進入して、ばねの力で拡径するように回動してプルスタッドを離す。中ぐりスピンドル9が後方に移動した場合には、コレット爪25が空間部36の後方の穴部内に納められて縮径しプルスタッドを把持する(図4参照)。
プッシュロッド20の内部には、切削液を先端側に供給する中心穴として切削液流路20aが形成されている。プッシュロッド20には工具ホルダ7にテーパ穴9aから外れる方向(後方)に付勢力を与える圧縮ばねが装着されている。圧縮ばねは例えば前後部のバネリテーナに挟まれた皿ばねである。
中ぐりスピンドル9の外周側には前側スライド軸受15a、中間スライド軸受15b及び後側スライド軸受15cを介してW軸スピンドル16が配設されている。中ぐりスピンドル9はW軸スピンドル16に対して進退可能であると共に、W軸スピンドル16と一体回転する。
中ぐりスピンドル9において、プッシュロッド20の外周面には略円筒状の仕切り筒部38が同軸に配設されている。仕切り筒部38はプッシュロッド20の前端から後側軸受18cに軸方向に重なる領域まで延びている。仕切り筒部38は一体の長い筒状に形成してもよいが、本実施形態では長手方向に配列された複数個(図では4個)の分割筒部38a、38b、38c、38dに分割されている。通常、複数個の分割筒部38a~38dは互いに当接して長手方向に配列されて仕切り筒部38を形成している。
図7(a)、(b)及び図8(a)、(b)において、複数の分割筒部38a~38dの最も先端側の分割筒部38aの外周面には冷却媒体として例えば冷却油等からなる冷却液を流通させる往側冷却溝39と復側冷却溝40とが中心軸線O方向に平行に延びて形成され、冷却液の行きと戻りが分離されている。往側冷却溝39と復側冷却溝40は分割筒部38aの外周面の周方向に交互に配列されている。往側冷却溝39と復側冷却溝40は分割筒部38aの先端部で互いに接続されている。往側冷却溝39は先端側の分割筒部38aにのみ設けられている。先端の分割筒部38aに続く分割筒部38b、38c、38dには復側冷却溝40のみが複数周方向に配列され、後方に直線状に延びて連通している。
図4乃至図6において、仕切り筒部38の内周面とプッシュロッド20との間には、冷却液を後方のスピンドル内冷却装置12から前方に供給するための往側冷却通路42が長手方向に沿って配列されている。図7(a)に示す仕切り筒部38において、往側冷却通路42と往側冷却溝39及び復側冷却溝40との間には仕切り筒部38を厚み方向に貫通する複数の連通孔44が形成されている。
即ち、図7(b)に示す先端側の分割筒部38aでは、往側冷却通路42の先端部と往側冷却溝39の後端部との間に第一の連通孔44aが複数(図では2個)形成されている。二つ目以降の分割筒部38b、38cの各復側冷却溝40と往側冷却通路42との間にも第二の連通孔44b、第三の連通孔44cがそれぞれ適宜数、例えば1つずつ形成されている。
復側冷却溝40は最も後端の分割筒部38dまで延びている。図9において、後端の分割筒部38dで復側冷却溝40は中ぐりスピンドル9の後端部の内部に形成された復側冷却通路43に接続されている。
複数の連通孔44は仕切り筒部38の長手方向に沿って所定間隔で配設され、しかも複数の連通孔44は前側から後ろ側に穴径が次第に小さくなるように配列されている。先端の分割筒部38aにおける最も大径の第一の連通孔44aを介して往側冷却通路42から往側冷却溝39に冷却液を供給している。これにより、中ぐりスピンドル9が引っ込んだ位置で前側軸受18aを冷却することができる。
また、後方側の第二の連通孔44b、第三の連通孔44cは比較的小径であり、二つ目以降の分割筒部38b、38cに形成した復側冷却溝40にそれぞれ連通している。復側冷却溝40で戻る冷却液は前側軸受18aや中ぐりスピンドル9等を冷却して後方に行くほど暖まっているが、第二、第三の連通孔44b、44cを介して往側冷却通路42の冷却液を供給することで再冷却して、中間軸受18b及び後側軸受18cの冷却や、中ぐりスピンドル9が突き出た位置での前側軸受18aの冷却を行える。
仕切り筒部38の後方から往側冷却通路42を前方に流れる冷却液は、先端の分割筒部38aに設けた連通孔44を介して往側冷却溝39に流れ、仕切り筒部38の前端で復側冷却溝40に流れ込み、復側冷却溝40を後方に流れる。後端の分割筒部38dでは、復側連通孔を介して復側冷却通路43内に流れ込む。これによって、中ぐりスピンドル9を全長に亘って冷却できる。
中ぐりスピンドル9の後端部では、図6に示すように、往側冷却通路42と復側冷却通路43の各冷却液はロータリージョイント22を介してスピンドル内冷却装置12に循環されている。
仕切り筒部38は複数個の分割筒部38a~38dに分割されているため、前後の分割筒部38a~38d間で周方向にずれて角度位相が相違すると、復側冷却溝40が周方向にずれることがあり得る。そのため、図4に示すように、隣り合う分割筒部38a、38b、38c、38dの各分割面の接合部(接続部)における一方の端部にリング状の円周溝49が形成されている。これによって、前後の復側冷却溝40は円周溝49を介して連通可能であるため、冷却液を後端に連結した復側冷却通路43に流すことができる。
なお、円周溝49は接合部の他方側の分圧筒部に形成してもよいし両側に形成してもよい。
なお、図9において、仕切り筒部38の後端部にはW軸スピンドル16との接合部にゴム等のリング状の弾性体50が固定されている。仕切り筒部38は複数の分割筒部38a~38dに分割されているため、隣り合う分割筒部38a~38d同士の隙間で生じ得る全長の伸びを弾性体50の弾性で吸収することができる。
図4において、W軸スピンドル16の外周面とボールねじ支持枠19との間には軸受18が配設されている。ボールねじ支持枠19の外周面には、主軸ユニット2の駆動時に軸受18の前側軸受18a、中間軸受18b、後側軸受18cで発生する熱を冷却するための、例えば螺旋状に配列された外筒冷却通路51が形成されている。そのため、外筒冷却通路51は軸受18の全域に対向して配設されており、冷却油等の冷却液が流れて外側から軸受18を冷却することができる。
次に実施形態による工作機械1の主軸ユニット2における主軸冷却装置55の制御機構について図1、図10及び図11により説明する。
図1及び図10において、制御装置56は主軸モータM1とW軸モータM2とに電気的に接続されている。制御装置56から出力される電気信号により主軸モータM1を駆動させて、軸受18に対してプッシュロッド20、中ぐりスピンドル9及びW軸スピンドル16を備えた主軸8を回転させる。制御装置56から出力される電気信号によりW軸モータM2を駆動させて、W軸ボールねじ32に沿って中ぐりスピンドル9をW軸スピンドル16に対して進退させる。
制御装置56は、切削液供給源57、軸心冷却液供給源58、外筒冷却液供給源59にそれぞれ電気的に接続されている。工具ホルダ7に固定した工具によるワーク切削時には、切削液供給源57から切削液を供給してプッシュロッド20の切削液流路20aを通してワークの切削点に切削液を吐出する。
主軸8の回転時には、回転する主軸8を支持する軸受18が発熱するため、軸心冷却液供給源58から冷却液をロータリージョイント22を介して往側冷却通路42に供給して中ぐりスピンドル9及び軸受18を冷却する。軸受18の前側軸受18a、中間軸受18b、後側軸受18cは内側から冷却される。中ぐりスピンドル9及び軸受18を冷却して暖まった冷却液は復側冷却通路43からロータリージョイント22を介して軸心冷却液供給源58に戻される。
往側冷却通路42により中ぐりスピンドル9の内側を冷却するので、主軸8の外側の冷却も強めにすることができ、軸受18やスライド軸受15の摺動隙間に悪影響を与えないで冷却能力を高めることができる。
同様に、外筒冷却液供給源59では、ボールねじ支持枠19において、軸受18の前側軸受18a、中間軸受18b、後側軸受18cに対向する外筒冷却通路51に冷却液を供給して循環させ、外側から前側軸受18a、中間軸受18b、後側軸受18cを冷却させる。そのため、軸受18の内輪と外輪が同時に冷却されるため冷却効率が高い。
また、軸受18の例えば前側軸受18aの温度を測定する軸受温度センサS1、さらに主軸8の温度Tsを適宜位置で測定する主軸温度センサS2が設置され、各測定値を制御装置56に出力するように設定されている。
図11はスピンドル内冷却装置12の軸心冷却液供給源58を示すものであり、戻された冷却液を貯留する冷却液タンク62と、冷却液の温度を制御する冷却装置63と、冷却液タンク62から冷却装置63を介してロータリージョイント22に冷却液を供給する吐出流路64aと、主軸8内を循環して暖まった冷却液をロータリージョイント22から冷却液タンク62に戻す戻り流路64bと、が設けられている。
冷却装置63には、冷却液タンク62から冷却液を繰り出す第一ポンプP1と、冷却液を熱交換で再冷却させる熱交換器65と、制御装置56からの指示が入力されるコントローラ66とが設けられている。更に、冷却液タンク62と吐出流路64aをバイパスして接続するバイパス流路67が設けられている。バイパス流路67には第二ポンプP2が設置されている。
第一の冷却モードでは、主軸8の駆動時には冷却液タンク62内の冷却液を冷却装置63で熱交換して冷却させて吐出流路64aからロータリージョイント22へ供給する。そして、冷却液を主軸8内の往側冷却通路42、往側冷却溝39、復側冷却溝40を経由して循環させて中ぐりスピンドル9と軸受18を冷却し、冷却液タンク62に戻す。これが主たる冷却モードである。
第二の冷却モードでは、主軸8の停止した時に、主軸温度センサS2で主軸8の温度Tsを測定する。その後に制御装置56によって、軸心冷却液供給源58の冷却装置63から主軸8内に吐出する冷却液の温度を熱交換器65で温度Tsに設定することで、中ぐりスピンドル9が急激に熱収縮することを防止できる。外筒冷却液供給源59においても、制御装置56によって、外筒冷却通路51に供給する冷却液を同様に制御してもよい。
第三の冷却モードでは、中ぐりスピンドル9がW軸スピンドル16から突き出た位置または引っ込んだ位置で主軸8が停止した状態で、軸心冷却液供給源58内で第一ポンプP1を停止させ、主軸8から戻り流路64bを介して冷却液タンク62に戻った暖まった冷却液を冷却することなく第二ポンプP2によりバイパス流路67を介して吐出流路64aに供給する。この冷却液を中ぐりスピンドル9に循環させることで、中ぐりスピンドル9の過冷却を阻止できる。
本第一実施形態による工作機械1の主軸ユニット2は上述した構成を有しており、次に主軸冷却装置55による主軸冷却方法について説明する。
図2において、主軸8のW軸スピンドル16に対して中ぐりスピンドル9が引っ込められた状態で、主軸モータM1を駆動して主軸8を回転駆動させて中ぐりスピンドル9のテーパ穴9aに装着した工具ホルダ7で回転切削加工を行う。その際、主軸8の回転を受ける軸受18の前側軸受18a、中間軸受18b、後側軸受18cは高温の発熱体となる。しかも軸受18の内側に設けられた中ぐりスピンドル9も軸受18からの熱伝導で高温になる。
一方、図4~図7において、軸心冷却液供給源58により所定の低温に調整された冷却液は仕切り筒部38とプッシュロッド20の間の往側冷却通路42内を前方に送られる。冷却液は、先端の分割筒部38aで内面側の往側冷却通路42から第一の連通孔44aを介して外面の往側冷却溝39へ流れ込み、中ぐりスピンドル9の前端部を冷却すると共にその外側の前側軸受18aも内側から冷却する。
往側冷却溝39の冷却液は中ぐりスピンドル9の先端部で分割筒部38aの復側冷却溝40に移動し、その後方の分割筒部38b、38c、38dの復側冷却溝40を後方に流れる。その際、分割筒部38b、38c、38dの周方向位置がずれていたとしても、各分割筒部38b、38c、38dの各端部に設けた円周溝49を介して後方の復側冷却溝40に冷却液を順次流すことができる。
冷却液は、分割筒部38a~38dを復側冷却溝40に沿って中ぐりスピンドル9を冷却しながら後部に戻っていく。そのため、復側冷却溝40内の冷却液は後方に流れるほど暖められる。
また、往側冷却通路42内では、二つ目以降の分割筒部38b、38cから第二、第三の連通孔44b、44cを介して復側冷却溝40に冷却液が供給されるため、暖められた冷却液の温度を低下させる。これによって、中ぐりスピンドル9を冷却し、発熱している中間軸受18b、後側軸受18cを内側から冷却する。しかも第二、第三の連通孔44b、44cは前側の第一の連通孔44aに対して順次小径になるため、過度に冷却されることを抑制できる。
その後、冷却液は復側冷却溝40から復側冷却通路43に流れてロータリージョイント22を介して軸心冷却液供給源58の冷却液タンク62に戻される。また、外筒冷却液供給源59においても、冷却液が外筒冷却通路51に供給されて軸受18の前側軸受18a、中間軸受18b、後側軸受18cを外側から冷却する。
そのため、主軸8の熱変位を抑制して、剛性は高いが周囲温度の変化により軸受18の予圧が変動し易い例えば円筒コロの軸受18を軸冷により安定させることができるため、主軸8の高速回転を行える。また、主軸8が長軸で二重筒構造であって軸受18の温度上昇による中ぐりスピンドル9の熱膨張量が大きくても全長に亘って冷却して熱膨張を抑制できる。
次に、W軸モータM2を駆動することで、W軸モータ用ギア31及びボールねじ用ギア33を介してW軸ボールねじ32を回転させることで、W軸ナット34をW軸ボールねじ32に沿って移動させて中ぐりスピンドル9をW軸スピンドル16から突き出た位置に移動させる。
図3において、中ぐりスピンドル9がW軸スピンドル16から突き出た状態で、主軸モータM1を駆動して主軸8を回転駆動させて中ぐりスピンドル9のテーパ穴9aに装着した工具ホルダ7の工具で回転切削加工を行う。
その際、高温となる軸受18の前側軸受18a、中間軸受18b、後側軸受18cに対して冷却液を流す中ぐりスピンドル9の位置が図2の引っ込んだ位置と比較して前方にずれている。仕切り筒部38の先端の分割筒部38aはW軸スピンドル16から突出している。しかし、二つ目以降の分割筒部38b、38c、38dに設けた復側冷却溝40に、第二、第三の連通孔44b、44cを介して往側冷却通路42の低温の冷却液が流れ込むため、往路で暖まった冷却液が再度冷却されて、中ぐりスピンドル9を介して前側軸受18a、中間軸受18b、後側軸受18cを冷却できる。
主軸8の回転を停止させた場合には、W軸スピンドル16から突き出た部分の中ぐりスピンドル9は往側冷却溝39の冷却液により過冷却になるため、即座に軸心冷却液供給源58の第一ポンプP1を停止させて冷却液の供給を停止させる。一方、主軸8の停止後にも軸受18は高温状態に保持されているため、外筒冷却液供給源59と外筒冷却通路51による冷却は継続して行う。これにより、軸受18から遅れて伝導する熱を除去することで中ぐりスピンドル9やW軸スピンドル16の熱変位を阻止できる。
そして、主軸8が停止した後、所定時間経過すると軸受18の温度も低下する。そのため、所定時間として例えば5分~20分程度経過後に外筒冷却液供給源59の作動を停止させて冷却液による軸受18の冷却を停止する。しかも、中ぐりスピンドル9の先端部だけが過度に冷却されることを阻止できる。
このような主軸冷却制御は、中ぐりスピンドル9が突き出た状態だけでなく、引っ込んだ状態でも適用できる。主軸8の停止後、外筒冷却液供給源59の作動を遅れて停止させる時間は、主軸8がより長くて外径が大きいほど長時間になるため、実験で求めて制御装置56のメモリに記憶させておくとよい。
また、主軸冷却装置55による第二の冷却モードの主軸冷却方法について説明する。
即ち、主軸8の停止時に、主軸温度センサS2によって主軸温度Tsを測定し、制御装置56に入力する。そして、軸心冷却液供給源58から中ぐりスピンドル9の往側冷却通路42に供給する冷却液の温度をTsに設定する。これにより、主軸8の回転停止後に中ぐりスピンドル9が急激に冷却されて熱収縮することを防止できる。
その後、時間経過によって軸受18の温度が低下することで、中ぐりスピンドル9の温度も徐々に低下するため、熱収縮を防止できる。更に所定時間経過後に軸心冷却液供給源58からの冷却液の供給を停止すればよい。
なお、主軸8の停止後に、暖まった、或いは比較的温度の高い冷却液を軸心冷却液供給源58から中ぐりスピンドル9の往側冷却通路42に供給する場合、熱交換器65とコントローラ66で冷却液の温度調整する第二の冷却モードに代えて、第三の冷却モードを用いてもよい。
即ち、ロータリージョイント22から戻り流路64bを介して冷却液タンク62内に戻る暖まった冷却液を、軸心冷却液供給源58の熱交換器65を通すことなく、バイパス流路67を介して第二ポンプP2で吐出流路64aに戻し、往側冷却通路42に供給する。
この第三の冷却モードによっても、主軸8の停止時の中ぐりスピンドル9の急速な冷却による熱収縮を抑制できる。
上述したように本実施形態による工作機械1の主軸ユニット2の主軸冷却装置55によれば、中ぐりスピンドル9及びW軸スピンドル16の二重筒を備えた主軸8の高速回転時に軸受18が高温に発熱するが、軸心冷却液供給源58の往側冷却通路42、往側冷却溝39、復側冷却溝40と、外筒冷却液供給源59の外筒冷却通路51とによって軸受18及び中ぐりスピンドル9を安定して冷却できる。特に軸受18は内外両側から冷却できるため、主軸8の高速回転を行える。
また、主軸8が長軸で外径の大きい二重筒構造であって軸受18の発熱による中ぐりスピンドル9の熱膨張量が大きくても全長に亘って冷却して熱膨張を抑制できる。
また、主軸8を停止させた際に、外筒冷却液供給源59の外筒冷却通路51を通る冷却液の供給停止を所定時間遅らすことで、軸受18から遅れて中ぐりスピンドル9に伝導する熱を低下させることができる。そのため、中ぐりスピンドル9の先端部だけが過冷却になることを阻止する。
更に、主軸8を停止させた際に、中ぐりスピンドル9について、往側冷却通路42、往側冷却溝39、復側冷却溝40に供給する冷却液の温度を主軸8の温度Tsに調整したり、循環して戻った冷却時の熱交換で暖まった冷却液を再供給させることによって、急激に冷却されて熱収縮することを阻止できる。
なお、本発明による工作機械1の主軸冷却装置55は、上述した第一実施形態によるものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能である。以下に、本発明の他の実施形態や変形例等について説明するが、上述した第一実施形態による工作機械1の主軸冷却装置55と同一または同様な部材、部品には同一の符号を用いて説明する。
次に本発明の第二実施形態による工作機械1の主軸ユニット2の主軸冷却装置55Aについて、図12~図14により説明する。
図12に示す主軸8において、中ぐりスピンドル9内のプッシュロッド20の外周面に設けた仕切り筒部38は、その長手方向に分割された複数の分割筒部38a~38dを互いに当接させて設けている。そして、分割筒部38a、38b、38c、38dの各当接部には、円周溝49に代えて両側の分割筒部38a、38b、38c、38dに延びるキー溝70がそれぞれ形成されている。各キー溝70内には分割筒部38a、38b、38c、38dより熱膨張係数の高い制御キー71が嵌合されている。
そのため、上述の第一実施形態のように前後の分割筒部38a、38b、38c、38dが周方向にずれることはなく、外周面に形成された冷却液の復側冷却溝40が周方向にずれないで連通している。
図13において、主軸8の回転駆動時に、軸受18の発熱等により制御キー71の周囲温度が上昇すると分割筒部38a、38b、38c、38dよりも各制御キー71の熱膨張率が高いため、熱膨張係数の差によって分割筒部38a、38b、38c、38dの間に隙間Kが発生する。すると、分割筒部38a、38b、38c、38dの内側の往側冷却通路42の冷えた冷却液がこの隙間Kを通って外側に流れるため、中ぐりスピンドル9や前側軸受18a、中間軸受18b、後側軸受18c等の発熱部分を効果的に冷却することができる。
なお、分割筒部38a、38b、38c、38dと制御キー71は例えば金属製とされている。しかも制御キー71と分割筒部38a、38b、38c、38dは温度が例えば20℃以下では隙間Kが生じないように設定し、20℃を超えた場合に隙間Kが生じるように、各金属の熱膨張率を設定してもよい。
また、図12及び図14に示す前側の分割筒部38aにおいて、往側冷却通路42と往側冷却溝39を連通する第一の連通孔44aが例えば2つ形成されている。そのうちの一方、例えば後方の第一の連通孔44aとその後方の往側冷却溝39には、弾性閉塞部材として例えば長板状の板バネ73が設置されている。板バネ73の一端部73aは往側冷却溝39の底部に固着され、他端部73bは一方の第一の連通孔44aを閉塞している。後方の第一の連通孔44aは、板バネ73の弾性力によって他端部73bが湾曲変位して開口可能とされている。
図14において、主軸8の停止時や低速回転時には、第一の連通孔44aは板バネ73によって閉塞されている。主軸モータM1の駆動によって主軸8を高速回転させると、その強い遠心力で板バネ73の他端部73bが弾性変形して湾曲し第一の連通孔44aを開口させる。すると、第一の連通孔44aから往側冷却通路42内の低温の冷却液が外側に流れ出す。第一の連通孔44aから流れ出した冷却液によって、中ぐりスピンドル9や前側軸受18aの発熱部分等を効果的に冷却することができる。主軸8の回転速度が高くなるほど板バネ73の弾性変形が大きくなり、第一の連通孔44aから吐出する冷却液の流量が増加することになる。
なお、本発明の変形例として、上述した各実施形態による主軸冷却装置55、55Aにおいて、主軸8の停止時に測定した主軸温度Tsを、往側冷却通路42に供給する冷却液の温度に設定する第二の冷却モードや、復側冷却通路43から軸心冷却液供給源58に戻る暖まった冷却液を熱交換することなくバイパス流路67を介して往側冷却通路42に再供給する第三の冷却モードは、中ぐりスピンドル9を設けない二重筒でない一般的な主軸にも適用できる。
また、第二、第三の冷却モードは、第一実施形態で説明した、主軸8の停止時にスピンドル内冷却装置12の軸心冷却液供給源58の第一ポンプP1を停止させ、所定時間経過後に主軸外筒冷却装置13の外筒冷却液供給源59から外筒冷却通路51への冷却液の供給を停止する主軸冷却装置55に限定されない。例えば主軸8の停止時に軸心冷却液供給源58と外筒冷却液供給源59を同時停止させる場合にも適用できる。
本発明において、外筒冷却通路51は外側冷却流路に含まれる。また、仕切り筒部38の内側に設けられた往側冷却通路42と、外側に設けられた往側冷却溝39と、往側冷却通路42及び往側冷却溝39を連通する第一の連通孔44aと、仕切り筒部38の外側に設けられた復側冷却溝40と、復側冷却溝40及び往側冷却通路42を連通する第二の連通孔44bは、内側冷却流路に含まれる。
1 工作機械
2 主軸ユニット
7 工具ホルダ
8 主軸
9 中ぐりスピンドル
12 スピンドル内冷却装置
13 主軸外筒冷却装置
15 スライド軸受
16 W軸スピンドル
17 ハウジング
18 軸受
18a 前側軸受
18b 中間軸受
18c 後側軸受
20 プッシュロッド
38 仕切り筒部
38a、38b、38c、38d 分割筒部
39 往側冷却溝
40 復側冷却溝
42 往側冷却通路
44 連通孔
44a 第一の連通孔
44b 第二の連通孔
49 円周溝
51 外筒冷却通路(外側冷却流路)
56 制御装置
58 軸心冷却液供給源
59 外筒冷却液供給源
71 制御キー
73 板バネ(弾性閉塞部材)
K 隙間

Claims (4)

  1. ハウジングに設けられた軸受に主軸が回転可能に支持されている工作機械の主軸冷却装置において、
    前記主軸は工具を把持する中ぐりスピンドルと、その外側に配設されていて前記軸受に保持された外側筒部とを備えた二重筒を有し、
    前記中ぐりスピンドルは、
    前記中ぐりスピンドルの内部に進退可能に配設されたプッシュロッドの外周に配設された仕切り筒部と、
    前記中ぐりスピンドルの内側であって、前記仕切り筒部に設けられていて前記軸受を冷却媒体で内側から冷却する内側冷却流路とを備え、
    前記ハウジングは、前記軸受を冷却媒体で外側から冷却する外側冷却流路を備え、
    前記主軸が停止した時に前記内側冷却流路による冷却を停止させ、所定時間経過後に前記外側冷却流路による冷却を停止させるようにしたことを特徴とする工作機械の主軸冷却装置。
  2. 前記内側冷却流路は、前記仕切り筒部の内側に設けられた往側冷却通路と、外側に設けられた往側冷却溝と、前記往側冷却通路及び往側冷却溝を連通する第一の連通孔と、前記仕切り筒部の外側に設けられた復側冷却溝と、前記復側冷却溝及び往側冷却通路を連通する第二の連通孔とを備え、
    前記第一の連通孔は第二の連通孔より前記主軸の長手方向の前記工具を把持する側となる前方に設けられている請求項1に記載された工作機械の主軸冷却装置。
  3. 前記仕切り筒部は長手方向に複数に分割された分割筒部からなり、前記分割筒部の接続部に周方向に形成された円周溝が形成され、前記円周溝を介して前後の前記分割筒部における前記復側冷却溝が連通している請求項2に記載された工作機械の主軸冷却装置。
  4. 前記第一の連通孔を閉塞可能な弾性閉塞部材を有しており、
    前記主軸の回転による遠心力で前記弾性閉塞部材が前記第一の連通孔を開口するように変位して冷却媒体を外側に吐出する請求項2に記載された工作機械の主軸冷却装置。
JP2017192814A 2017-10-02 2017-10-02 工作機械の主軸冷却装置 Active JP7089135B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017192814A JP7089135B2 (ja) 2017-10-02 2017-10-02 工作機械の主軸冷却装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017192814A JP7089135B2 (ja) 2017-10-02 2017-10-02 工作機械の主軸冷却装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019063945A JP2019063945A (ja) 2019-04-25
JP7089135B2 true JP7089135B2 (ja) 2022-06-22

Family

ID=66338801

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017192814A Active JP7089135B2 (ja) 2017-10-02 2017-10-02 工作機械の主軸冷却装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7089135B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111113143B (zh) * 2019-12-20 2021-03-19 珠海格力电器股份有限公司 冷却系统、电主轴及数控机床
JPWO2022190338A1 (ja) * 2021-03-12 2022-09-15
CN114054786B (zh) * 2021-11-29 2022-12-30 广州市昊志机电股份有限公司 一种电主轴和机床

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003053632A (ja) 2001-08-13 2003-02-26 Makino Milling Mach Co Ltd 工作機械の回転軸装置
JP2004338034A (ja) 2003-05-15 2004-12-02 Toshiba Mach Co Ltd 工作機械の主軸冷却方法および装置並びに主軸バランス取り方法
JP2010023158A (ja) 2008-07-17 2010-02-04 Niigata Machine Techno Co Ltd 工作機械の冷却システム
JP2011156597A (ja) 2010-01-29 2011-08-18 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 中ぐり盤の主軸装置
JP2013086214A (ja) 2011-10-19 2013-05-13 Nachi Fujikoshi Corp 回転主軸冷却水の制御方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0463659A (ja) * 1990-06-29 1992-02-28 Makino Milling Mach Co Ltd 工作機械の主軸温度制御方法
JPH08309644A (ja) * 1995-05-12 1996-11-26 Enshu Ltd 主軸の潤滑冷却装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003053632A (ja) 2001-08-13 2003-02-26 Makino Milling Mach Co Ltd 工作機械の回転軸装置
JP2004338034A (ja) 2003-05-15 2004-12-02 Toshiba Mach Co Ltd 工作機械の主軸冷却方法および装置並びに主軸バランス取り方法
JP2010023158A (ja) 2008-07-17 2010-02-04 Niigata Machine Techno Co Ltd 工作機械の冷却システム
JP2011156597A (ja) 2010-01-29 2011-08-18 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 中ぐり盤の主軸装置
JP2013086214A (ja) 2011-10-19 2013-05-13 Nachi Fujikoshi Corp 回転主軸冷却水の制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019063945A (ja) 2019-04-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7089135B2 (ja) 工作機械の主軸冷却装置
EP2529883B1 (en) Main shaft device for boring machine
JP4948943B2 (ja) 潤滑構造を備えた回転工具タレット
CN107848089B (zh) 用于机床的转台
JP2003145393A (ja) 主軸装置
JP5742534B2 (ja) 主軸装置
WO2007010926A1 (ja) 転がり軸受の潤滑装置
JP3616499B2 (ja) 工作機械の主軸装置
US10766112B2 (en) Machine-tool spindle cooling method and machine tool
JPH11333607A (ja) 主軸用ツールホルダクランプ装置
JP2000237902A (ja) 主軸装置
JP2000158288A (ja) 工作機械の主軸冷却装置およびスピンドル装置
JPH10156661A (ja) 切削油剤用クリーンタンクを内蔵した工作機械
JP6446638B2 (ja) 工作機械のテーブル装置
JP4679493B2 (ja) 工作機械の主軸装置
JP2003053632A (ja) 工作機械の回転軸装置
JP7177723B2 (ja) 予圧調整型スピンドルユニット
JP2010090993A (ja) 軸受ユニット
TWI758649B (zh) 使用於工具機且可選擇性內循環的冷卻裝置
JPH06134651A (ja) 温度制御アンダレース潤滑スピンドル装置
JP2836153B2 (ja) 工作機械の主軸冷却装置
US11529707B2 (en) Main spindle device for machine tool
JP2011235403A (ja) 工作機械の軸装置
SU1024224A1 (ru) Шпиндельное устройство
JP6698106B2 (ja) 工作機械のクーラント装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200721

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210617

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210629

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210721

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220325

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220405

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7089135

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150