JP2004308726A - 静圧軸受装置及び両頭研削装置 - Google Patents

静圧軸受装置及び両頭研削装置 Download PDF

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一敬 原
Akira Isobe
章 磯部
Shinichiro Tsukahara
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Abstract

【課題】本発明は、主軸を静圧媒体の圧力により回転自在に支持して加工を行う静圧軸受装置及び両頭研削装置に関し、主軸の回転速度を荒加工から仕上げ加工に対応した速度に可変可能、かつ被加工物を高精度に加工することを目的とする
【解決手段】静圧軸受装置10に静圧媒体33を供給する供給機構を、水を供給するための液体冷却供給装置25と、空気を供給するためのエアコンプレッサ26と、三方弁27とにより構成し、ラジアル用静圧ポケット37及びスラスト用静圧ポケット38に加圧供給する静圧媒体33の切り替えを三方弁27により行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は静圧軸受装置及び両頭研削装置に係り、特に主軸を静圧媒体の圧力により回転自在に支持して加工を行う静圧軸受装置及び両頭研削装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に従来の静圧軸受装置では、静圧媒体として液体または空気が用いられており、軸受本体と主軸との間に形成された静圧ポケットに静圧媒体を加圧状態で供給し、主軸を静圧媒体の圧力により回転自在に支持している。このような静圧軸受装置は、工作機械や研削装置の1つである両頭研削装置等に用いられており、被加工物を高精度に加工するために、相当な荷重の元で、高精度を維持しつつ、主軸を高速回転させることが必要とされている。液体の静圧媒体には、潤滑油または水が用いられている。粘性の高い潤滑油は、振動吸収性が大きく、低速で回転する主軸を安定させることができるため、低速回転領域で使用される静圧軸受装置に用いられている。水は、潤滑油と比較して回転抵抗が小さく、動力損失や発熱量を抑制することができるので高速回転領域で使用される静圧軸受装置に用いられており、潤滑油を用いた場合よりも精度良く被加工物の加工を行うことができる。
【0003】
また近年、加工精度のさらなる向上が望まれており、さらに高精度に被加工物を加工したい場合には、静圧媒体に空気を用いた静圧軸受装置が用いられている。静圧媒体に空気を用いた静圧軸受装置は、水を使用した静圧軸受装置よりもさらに高速な毎分1万回転以上の回転領域で使用することができる(例えば、特許文献1参照。)。このように非常に高速な回転領域で使用可能な静圧軸受装置は、高精度に加工ができるため、一対の砥石により被加工物の両面を加工する両頭研削装置にも用いられている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−257037号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、被加工物の加工は、始めに主軸を低速で回転させて荒加工を行い、仕上げ加工においては主軸を高速で回転させて加工を行うため、静圧媒体の違う複数の静圧軸受装置を用意して加工しなければならないという問題があった。また、両頭研削装置を用いて被加工物の両面を高精度に加工する場合には、さらに主軸の回転速度を毎分1万回転以上にして別の静圧軸受装置を用いて加工を行わなければならないという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、主軸の回転速度を荒加工から仕上げ加工に対応した速度に可変可能、かつ被加工物を高精度に加工することのできる静圧軸受装置及び両頭研削装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項1記載の発明では、軸受本体と主軸との間に形成された静圧ポケットに静圧媒体を加圧状態で供給し、前記主軸を前記静圧媒体の圧力により回転自在に支持する静圧軸受装置において、前記静圧媒体として液体または気体を選択的に供給する供給機構を設けたことを特徴とする静圧軸受装置により、解決できる。
【0009】
上記発明によれば、静圧媒体である液体または気体を選択的に供給する供給機構を設けたことにより、静圧ポケットに供給する静圧媒体を選択的に供給することができるので、加工する際の主軸の回転速度を可変させて加工を行うことができる。
【0010】
請求項2記載の発明では、請求項1に記載の静圧軸受装置を備えたことを特徴とする両頭研削装置により、解決できる。
【0011】
上記発明によれば、請求項1に記載の静圧軸受装置を備えた両頭研削装置を用いて加工を行うことにより、1台の両頭研削装置により被加工物の両面を高精度に加工することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【0013】
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例である静圧軸受装置の概略図を示したものである。同図に示したX1,X2方向はスラスト方向を示しており、Y1,Y2方向はX1,X2方向に直交する面方向であるラジアル方向を示している。図1を参照して、第1実施例である静圧軸受装置10の構成について説明する。なお、本実施例においては、静圧媒体である気体に空気を用いた場合を例に挙げて以下の説明をする。図1に示すように、静圧軸受装置10は、大略すると研削装置20と、液体冷却供給装置25と、エアコンプレッサ26と、三方弁27とにより構成されており、冷却液体供給装置25、エアコンプレッサ26及び三方弁27は、静圧媒体を静圧ポケットに供給するための供給機構である。
【0014】
始めに、研削装置20の構成について説明する。研削装置20は、大略すると主軸11と、フランジ12と、モータ13と、砥石14と、軸受本体15と、シール部材16と、ハウジング18とにより構成されている。ハウジング18は、円筒形の形状をしており、ハウジング18の内部には主軸11が貫通するように形成されている。主軸11の図1中の右側には、砥石14が主軸と一体に形成されている。ハウジング18の両端部と主軸11との間には、軸受本体15が主軸11と隙間を介在させた状態で形成されている。ハウジング18の両端部に形成された軸受本体15と主軸11との間には、静圧媒体33をシールするためのシール部材16がそれぞれ形成されている。
【0015】
軸受本体15には、静圧を構成するための領域であるラジアル用静圧ポケット37が形成されている。ラジアル用静圧ポケット37は、加圧状態で供給された静圧媒体33を導入して、主軸11をY1,Y2方向から回転自在に支持するためのものである。砥石14側に形成された軸受本体15の図1中の右側には、円盤状のフランジ12が主軸11と一体に形成されている。砥石14が形成されていない側の軸受本体15の図1中の左側には、主軸11を回転駆動させるためのモータ13が形成されている。このモータ13が駆動することにより、砥石14、フランジ12及び主軸11は一体に回転駆動する。フランジ12とモータ13との間には、軸受本体15が主軸11と隙間を介在させた状態で形成されている。
【0016】
フランジ12の両側に形成された軸受本体15とフランジ12との間には、それぞれ隙間が介在されており、軸受本体15には複数のスラスト用静圧ポケット38が形成されている。スラスト用静圧ポケット38は、加圧状態で供給された静圧媒体33を導入して、フランジ12をX1,X2方向から回転自在に支持するためのものである。軸受本体15及びハウジング18には、管路17がラジアル用静圧ポケット37及びスラスト用静圧ポケット38に静圧媒体33である水または空気を供給可能な状態で形成されている。また、軸受本体15及びハウジング18には、管路19が静圧媒体33である水をラジアル用静圧ポケット37及びスラスト用静圧ポケット38から回収可能な状態で形成されている。管路19は、液体回収用管路32と接続されている。
【0017】
次に、図1を参照して、液体供給装置である液体冷却供給装置25について説明する。液体冷却供給装置25は、大略すると冷却器23と、ポンプ24とにより構成されている。冷却器23は、液体回収用管路32と接続されており、回収した静圧媒体33である水を冷却するためのものである。回収された水は、図示していないセンサーに基づき、一定の温度に制御されている。ポンプ24は、冷却器23により冷却された水を液体供給用管路29に所定の圧力で供給するためのものである。なお、所定の圧力とは、主軸11を回転支持可能な圧力のことである。
【0018】
次に、空気供給装置であるエアコンプレッサ26について説明する。エアコンプレッサ26は、静圧媒体33である空気を供給するためのものであり、空気供給用管路30と接続されている。エアコンプレッサ26から供給された空気は、空気供給用管路30に供給される。次に、切り替え手段である三方弁27について説明する。三方弁27は、液体供給用管路29、空気供給用管路30及び静圧媒体供給用管路31と接続されている。三方弁27は、ラジアル用静圧ポケット37及びスラスト用静圧ポケット38に加圧供給する静圧媒体33を切り替えて供給するためのものである。
【0019】
このように、供給機構として液体冷却供給装置25、エアコンプレッサ26及び三方弁27を設けることにより、ラジアル用静圧ポケット37及びスラスト用静圧ポケット38に加圧供給する静圧媒体33を切り替えることができる。
【0020】
次に、図1乃至図2を参照して、第1実施例の静圧軸受装置10の静圧媒体33の切り替え方法について例を挙げて説明する。図2は、図1に示した研削装置のA1,A2方向の断面図である。始めに、液体冷却供給装置25のポンプ24を起動し、三方弁27を操作して、ラジアル用静圧ポケット37及びスラスト用静圧ポケット38に静圧媒体供給用管路31を介して、加圧状態の水を供給する。この状態で、主軸11をモータ13により所望の回転速度で回転駆動させて、砥石14により被加工物の荒加工を行う。荒加工終了後に、モータ13を停止させて主軸11の回転を停止させる。次に、ポンプ24を停止させて、水の供給圧力を0Paにする。
【0021】
次に、ラジアル用静圧ポケット37及びスラスト用静圧ポケット38に残留した水を、液体回収用管路32を介して液体冷却供給装置25に回収する。その後、エアコンプレッサ26を起動し、三方弁27を操作して、ラジアル用静圧ポケット37及びスラスト用静圧ポケット38に静圧媒体供給用管路31を介して、加圧状態の空気を供給する。この状態で、主軸11をモータ13により所望の回転速度で高速に回転駆動させて、砥石14により被加工物の仕上げ加工を行う。仕上げ加工終了後には、次の被加工物の荒加工を行うために、エアコンプレッサ26の動作を停止させて、液体冷却供給装置25のポンプ24を起動し、三方弁27を操作して、ラジアル用静圧ポケット37及びスラスト用静圧ポケット38に加圧状態の水を供給する。上記説明した工程を繰り返し行うことで、複数の被加工物の加工を行う。このように、静圧媒体33として水と空気とを切り替えて使用することにより、主軸11の回転速度を所望の回転速度に可変することができ、1台の静圧軸受装置で被加工物の荒加工から仕上げ加工までの加工を行うことができる。また、仕上げ加工する際の静圧媒体33に空気を用いるため、被加工物を高精度に加工することができる。さらに、複数の静圧軸受装置を用いて加工を行う場合と比較して、加工効率を向上させることができる。
【0022】
上記に説明した静圧軸受装置10は、被加工物の両面を高精度に加工する両頭研削装置に適用することができる。次に、図3を参照して、研削装置のうちの1つである両頭研削装置40ついて説明する。図3は、一般的な両頭研削装置の概略図である。なお、同図に示したX1,X2方向はスラスト方向を示しており、Y1,Y2方向はX1,X2方向に直交する面方向であるラジアル方向を示している。図3に示すように、両頭研削装置40は、大略すると研削加工部41a,41bとワーク保持装置50とにより構成されている。
【0023】
研削加工部41a,41bは、被加工物であるワーク42の研削位置を挟んで同一構成のものが対向するよう2台配設されている。よって、図3に関しては、同図中右部に位置する研削加工部41aには符号aを添記し、図中左部に位置する研削加工部41bには符号bを添記して、主に符号aを添記した側の研削加工部41aについて説明する。
【0024】
研削加工部41aは、大略すると駆動装置42aと、移動装置43aと、砥石45aと、研削主軸44aとにより構成されている。研削主軸44aの一方の端部には砥石45aが形成されており、他方の端部には駆動装置42aが形成されている。また、砥石45a及び駆動装置42aは、研削主軸44aと一体に形成されており、駆動装置42aが研削主軸44aを回転駆動させることにより、砥石はY1,Y2方向に回転される。砥石45aには、ワーク55と接触して加工を行う研削動作面46aが形成されている。駆動装置42aは、移動装置43aに移動可能な状態で形成されており、駆動装置42a、研削主軸44a及び砥石45aは移動装置43aによりX1,X2方向へ移動される。ワーク保持装置50は、大略するとワーク保持器フレーム51と、複数のV溝付きローラ52と、駆動源53とにより構成されている。ワーク保持器フレーム51には、ワーク55を回転支持するための複数のV溝付きローラ52と、駆動源53とが形成されており、V溝付きローラ52により支持されたワーク55は、駆動源53によりY1,Y2方向に回転される。両頭研削装置40の加工は、回転するワーク55に向かって回転移動する一対の砥石45a,45bの研削動作面46a,46bがワーク55の両面と接触することにより行われる。
【0025】
このような両頭研削装置40が加工するワーク55には、シリコンウエハやガラスディスク等があり、シリコンウエハ上には微細なパターンが形成されるため高精度の加工が要求される。本実施例に示した静圧軸受装置10を両頭研削装置40の研削主軸44a,44bに適用することにより、シリコンウエハやガラスディスク等のワーク55を一台の両頭研削装置40で高精度に加工を行うことができる。
【0026】
(第2実施例)
図4は、本発明の第2実施例である静圧軸受装置の概略図を示したものであり、図5は、図4に示した研削装置のB1,B2方向の断面図である。図4に示したX1,X2方向はスラスト方向を示しており、Y1,Y2方向はX1,X2方向に直交する面方向であるラジアル方向を示している。なお、図4において、図1に示した構成と同一構成部分については、同一符号を付して説明を省略する。また、図5において、図2に示した構成と同一構成部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0027】
図4乃至図5を参照して、第2実施例である静圧軸受装置40の構成について説明する。図4に示すように、静圧軸受装置60は、大略すると研削装置35と、液体冷却供給装置25と、エアコンプレッサ26とにより構成されている。図4乃至図5に示すように、軸受本体15及びフランジ18には、ラジアル用静圧ポケット37及びスラスト用静圧ポケット38に静圧媒体33を供給するための第1の管路である液体供給用管路57及び第2の管路である空気供給用管路58がそれぞれ形成されている。液体供給用管路57は水を供給するためのものであり、空気供給用管路58は空気を供給するためのものである。液体冷却供給装置25と液体供給用管路57とは、水供給用管路38により水が加圧供給可能な状態で接続されている。エアコンプレッサ26と空気供給用管路58とは、空気供給用管路37により空気を加圧供給可能な状態で接続されている。
【0028】
このように、静圧媒体33である水を供給するための液体供給用管路57と、静圧媒体33である空気を供給するための空気供給用管路58とをそれぞれ形成することにより、液体供給用管路57及び空気供給用管路58は絞りとして機能し、水と空気とのそれぞれに対して最適な剛性を得ることができる。これにより、それぞれの静圧媒体33で被加工物を加工した際、軸受剛性が大きくなり、主軸11が高速回転領域においても安定するため、高精度に被加工物を加工することができる。なお、静圧軸受装置60の静圧媒体33の切り替え方法については、第1実施例において説明した静圧軸受装置10と同様な方法により行うことができる。
【0029】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0030】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、静圧媒体である液体または気体を選択的に供給する供給機構を設けたことにより、静圧ポケットに供給する静圧媒体を選択的に供給することができるので、加工する際の主軸の回転速度を可変させて加工を行うことができる。
【0031】
請求項2記載の発明によれば、1台の両頭研削装置で被加工物の両面を高精度に加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である静圧軸受装置の概略図である。
【図2】図1に示した研削装置のA1,A2方向の断面図である。
【図3】一般的な両頭研削装置の概略図である。
【図4】本発明の第2実施例である静圧軸受装置の概略図である。
【図5】図4に示した研削装置のB1,B2方向の断面図である。
【符号の説明】
10、60 静圧軸受装置
11 主軸
12 フランジ
13 モータ
14 砥石
15 軸受本体
16 シール部材
17、19 管路
18 ハウジング
20、35 研削装置
23 冷却器
24 ポンプ
25 液体冷却供給装置
26 エアコンプレッサ
27 三方弁
29、57、59 液体供給用管路
30、58、61 空気供給用管路
31 静圧媒体供給用管路
32 液体回収用管路
33 静圧媒体
37 スラスト用静圧ポケット
38 ラジアル用静圧ポケット
40 両頭研削装置
41a、41b 研削加工部
42a、42b 駆動装置
43a、43b 移動装置
44a、44b 研削主軸
45a、45b 砥石
46a、46b 研削動作面
50 ワーク保持装置
51 ワーク保持器フレーム
52 V溝付きローラ
53 駆動源
55 ワーク

Claims (2)

  1. 軸受本体と主軸との間に形成された静圧ポケットに静圧媒体を加圧状態で供給し、前記主軸を前記静圧媒体の圧力により回転自在に支持する静圧軸受装置において、
    前記静圧媒体として液体または気体を選択的に供給する供給機構を設けたことを特徴とする静圧軸受装置。
  2. 請求項1に記載の静圧軸受装置を備えたことを特徴とする両頭研削装置。
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